JPH0954290A - 半導体量子井戸光変調器及び光変調方法 - Google Patents

半導体量子井戸光変調器及び光変調方法

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JPH0954290A
JPH0954290A JP21047795A JP21047795A JPH0954290A JP H0954290 A JPH0954290 A JP H0954290A JP 21047795 A JP21047795 A JP 21047795A JP 21047795 A JP21047795 A JP 21047795A JP H0954290 A JPH0954290 A JP H0954290A
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JP
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quantum well
optical modulator
absorption
optical
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Application number
JP21047795A
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Inventor
Takayuki Yamanaka
孝之 山中
Koichi Wakita
紘一 脇田
Kiyoyuki Yokoyama
清行 横山
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NTT Inc
Original Assignee
Nippon Telegraph and Telephone Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 光導波路を構成する多重量子井戸層の吸収係
数、あるいは屈折率を外部印加電界で制御して、光導波
路を通過する光の強度、あるいは位相を制御する光導波
路型変調器及び光変調方法を提供する。 【解決手段】 基板1と、該基板1上に形成した異なる
2種類の半導体材料からなる量子井戸層および障壁層を
交互に積み重ねた多重量子井戸構造3をコアとする光変
調器において、前記コアは、前記量子井戸構造を形成し
ている量子井戸層の格子定数とこの層をその上に成長さ
せている基板結晶の格子定数との不整合により生じる格
子歪みを有し、この格子歪みは、価電子帯のバンド構造
を変化させて、前記量子井戸構造の励起子による光吸収
の吸収係数のスペクトルの形状を変化させ、前記光変調
器への電圧印加に伴う量子井戸層の吸収係数変化とその
結果発現する負の屈折率変化による光の制御を行うこと
を可能にする大きさに設定されている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光導波路を構成す
る多重量子井戸層の吸収係数、あるいは屈折率を外部印
加電界で制御して、光導波路を通過する光の強度、ある
いは位相を制御する光導波路型変調器及び光変調方法に
関する。
【0002】
【従来の技術】近年、分子線エピタキシー(MBE)や
有機金属化学気相成長法(MOVPE)など化合物半導
体極薄膜作成技術の進展によって半導体多重量子井戸
(MQW)や超格子構造が登場し、従来のバルク半導体
に比べて著しいオプトエレクトロニクス素子の特性改良
が可能となっている。このうちMQW構造に電界を印加
してその吸収係数あるいは屈折率を変化させる電界吸収
効果は、バルク半導体に比べ非常に顕著であり、これを
用いて高速・低電圧駆動な光変調器が実現されている。
【0003】光変調器は光の信号を変調するために、2
種類の物理量の変化を利用する。一つは、固定された波
長(動作波長)での吸収係数の変化を利用するもの、他
方は、同じく動作波長での屈折率変化を利用するやり方
である。前者を強度変調器、後者を位相変調器と呼ぶ。
特に、強度変調器は外部電界を印加した場合の吸収係数
の変化に対応して、搬送波である光の包絡線をパルス状
に変調するものである。変調器に電界を印加すると吸収
係数及び屈折率の双方が同時に変化するが、どちらの変
化を信号の変調に利用するかでデバイス動作の原理は異
なってくる。
【0004】半導体強度変調器は、デバイスの構成が異
なる光導波路を導波してきた光の干渉を利用する位相変
調器に比べて簡単なこと、動作電圧が低い(現状では位
相変調器の約3分の1)ことから、半導体量子井戸構造
の導入や導波路構造の改良により性能の大幅な向上が実
現されてきている。
【0005】しかしながら、強度変調器では、通常の動
作条件の下では変調により光パルスを発生させると、時
間軸に沿ってパルスの前縁部から後縁部にわたって搬送
波の周波数が変化する。これは、パルスの「チャーピン
グ」と呼ばれ、ある波長での急峻な吸収係数変化Δα
は、その変化を打ち消すように近傍の波長の屈折率変化
Δnを引き起こすという物理現象に起因している。
【0006】図10に、変調器によって生成される光パ
ルスの包絡線振幅と搬送波の周波数変化の例を示す。こ
こでは、距離xの位置の光強度変化(x〜x+Δxの位
置を包絡線関数E(x,t)のパルス電界が通過する際
の光強度変化)を考えているので、時間tは光パルスの
前縁から後縁に向かって測ることになる。
【0007】図10(a)では、搬送波の前縁部の周波
数が中心周波数ωc より高くなっており(Δω>0)、
逆に後縁部では周波数がωc より低くなっている(Δω
<0)。周波数の高い部分(短波長化した領域)は速度
は早く、低い部分(長波長化した領域)はより遅くなる
ので、時間とともにパルスは広くなろうとする。このチ
ャーピングΔωは、吸収係数の変化に伴う屈折率変化Δ
n(∝Δω)によって生じたものである。ここで、図1
0(a)のような状況を、「正のチャーピング」と呼ぶ
ことにする。これと逆の場合が図10(b)に示されて
おり、その状況を「負のチャーピング」と呼ぶことにす
る。
【0008】後述するように、チャーピングの大きさ
は、光パルスの伝送特性に非常に大きな影響を与える。
通常の変調器の動作条件では、チャーピングは正であ
り、これを負にするためには動作波長を外部電界ゼロで
の吸収端エネルギーに相当する波長に近づけねばならな
い(デチューニングという)が、同時に挿入損失が著し
く増大してしまい消光比が要求される値を満たせなくな
るため、このやり方での負のチャーピング実現は実用上
困難を伴う。
【0009】一方、光パルスの伝送路となる光ファイバ
は、異なる波長の光に対しては伝送速度が異なるという
特性を持つ(分散を持つという)。パルス状の光は、あ
る範囲の異なる波長の平面波にスペクトル分解できる。
分散の程度は平面波の波長に強く依存し、分散がゼロと
なる波長(ゼロ分散波長)を境にして短波長側を正常分
散領域、長波長側を異常分散領域と呼ぶ。異常(正常)
分散領域では、パルスの中心波長よりも波長の短い(即
ち、青い)光の成分はより早く(遅く)、波長の長い
(即ち、赤い)光の成分はより遅く(早く)光ファイバ
の中を伝わろうとする。
【0010】このことは、分散があると波長成分ごとに
伝播速度が異なるために、分散の正常、異常にかかわら
ず、光パルスの搬送波の周波数がパルス内で変化するた
めにチャーピングを引き起こし、パルスは伝播とともに
広がることになる。
【0011】後述するように、正のチャーピングを持つ
光パルスを光ファイバで伝送する場合、光ファイバの分
散によるチャーピングと相俟って伝送距離を著しく短く
するため、そのままでは実用に供しにくい。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】ところで、チャーピン
グの制御は、光パルスの通り路である光ファイバ自身の
分散を調整することによっても可能ではある。事実、国
内幹線では分散補償型(ゼロ分散波長を動作波長である
1.55μm帯近傍に設定)の光ファイバが採用されてお
り、これにより分散の低減が図られている。
【0013】しかしながら、分散を完全に取り除くこと
は不可能に近く、光パルスの発生源である変調器そのも
のがチャーピングの小さい特性を有していることが強く
求められる。
【0014】本発明で解決されるべき課題を明確にする
ため、以下では、光パルスのチャーピングと光ファイバ
による光パルスの伝送距離との関係について述べる。
【0015】チャーピングを持つ光パルス(パルス幅T
0 =50(ps)のGauss 型関数の仮定)を光変調器によ
って生成し、光ファイバ内をある距離L(km)伝送する
場合を考える。チャーピングの絶対値及びその符号は、
αパラメータによって定量化される。この時の伝送距離
は、αパラメータとビットレートB(Gb/s)の関数とし
て以下のように与えられる。
【0016】
【数1】
【0017】ここで、β2(ps2/km)は、光ファイバの分
散パラメータ(動作波長に依存)、x,T1 は伝送後の
劣化した光パルスに対するパワーペナルティー(単位:
dB)およびパルス幅である。また、ビットレートとパル
ス幅の間には、B=(2T0)-1の関係がある。
【0018】図11に、B=10(Gb/s)及びx=+1
(dB)の場合の結果を示す。図11から、αパラメータ
が正のとき(正のチャーピング)、絶対値の増大ととも
に伝送距離が急峻に短くなっていくのがわかる。他方、
αパラメータが負(負のチャーピング)のとき、伝送距
離がパルス幅の比で決まる値でピーク値をとる。なぜな
ら、ここで考えている動作波長は、通常の光ファイバの
異常分散領域にあたるので、sgn(β2)=−1となるから
である。
【0019】伝送距離は
【数2】 でピークを取る。
【0020】負のチャーピングに対しては、絶対値の増
大に対する伝送距離の減少も大変緩やかである。上述し
たように、負のチャーピングの条件では、パルスの前縁
の周波数の低い部分の速度は遅く、逆に光パルスの後縁
の周波数の高い部分の速度は早くなるので、パルスは、
ある距離に渡ってファイバ中を伝播しながら自分自身を
尖鋭化していくことになり、長い距離の伝送に対して光
パルス形状の劣化の程度がその分だけ抑制される。この
ように、長距離にわたって光パルスを安定して伝送する
ためには、符号が負でかつ絶対値が小さいαパラメータ
を持つ光パルスの実現が強く望まれる。
【0021】本発明は、このような事情に鑑み、従来に
ない符号が負でかつ絶対値が小さいαパラメータを持つ
光パルスが、印加電界の広い領域で得られる高性能な光
導波路型変調器及び光変調方法を提供することを目的と
する。
【0022】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成する本発
明の第一の量子井戸光変調器は、基板と、該基板上に形
成した異なる2種類の半導体材料からなる量子井戸層お
よび障壁層を交互に積み重ねた多重量子井戸構造をコア
とする光変調器において、前記コアは、前記量子井戸構
造を形成している量子井戸層の格子定数とこの層をその
上に成長させている基板結晶の格子定数との不整合によ
り生じる格子歪みを有し、この格子歪みは、価電子帯の
バンド構造を変化させて、前記量子井戸構造の励起子に
よる光吸収の吸収係数のスペクトルの形状を変化させ、
前記光変調器への電圧印加に伴う量子井戸層の吸収係数
変化とその結果発現する負の屈折率変化による光の制御
を行うことを可能にする大きさに設定されていることを
特徴とする。
【0023】本発明の第二の半導体量子井戸光変調器
は、上述の第一の半導体量子井戸光変調器において、前
記格子歪みは引張歪みであり、その歪み量が0.01%以
上0.6%以下であることを特徴とする。
【0024】本発明の第三の半導体量子井戸光変調器
は、上述の第一及び第二の半導体量子井戸光変調器にお
いて、前記格子歪みの導入によって、前記光変調器に外
部電界を印加しない状態で、伝導帯基底エネルギー準位
と価電子帯基底エネルギー準位間のエネルギー差が光の
波長に換算して1.47μmと1.50μmの間になるよう
に、井戸層材料、井戸幅、障壁層材料の組成が設定され
ていることを特徴とする。
【0025】本発明の第四の半導体量子井戸光変調器
は、上述の第一、第二及び第三の半導体量子井戸光変調
器において、前記格子歪みの導入によって、前記光変調
器に外部電界を印加した際、光吸収の吸収端近傍で負の
吸収係数変化量が正の吸収係数変化量を上回り、その結
果屈折率変化が負となるように、井戸層材料、井戸幅、
障壁層材料の組成が設定されていることを特徴とする。
【0026】一方、本発明の第一の光変調方法は、上記
半導体量子井戸光変調器を用いて、量子井戸層に平行な
電界成分を持つTE偏光により光変調を行うことを特徴
とする。
【0027】本発明の第二の光変調方法は、上記光変調
器と、前記光変調器にTE偏光を含む光を供給する光源
と、前記光変調器へ信号に対応する電圧を印加する電圧
印加手段とを備え、それにより、前記量子井戸構造の励
起子による光吸収の吸収係数の波長依存性、すなわち吸
収スペクトルの形状を変化させ、前記光変調器への電圧
印加に伴う量子井戸層の吸収係数変化とその結果誘起さ
れる特異な屈折率変化による光の制御を行うことを可能
にする大きさに設定されていることを特徴とする。
【0028】[作用]αパラメータは、光変調器に外部
から逆バイアス方向に電界をF(kV/cm)印加したとき、
屈折率変化Δn(F)の吸収係数変化Δα(F)に対す
る比として、以下のように定義される。
【0029】
【数3】
【0030】ここで、λ0 は動作波長を表す。半導体光
変調器を構成する材料では、吸収係数変化と屈折率変化
は独立ではなく、いわゆるKramers-Kroenig 変換と呼ば
れる一般的な関係で結ばれている。
【0031】すなわち、
【数4】 ここで、EおよびE0 は、変調器への入射光の光子のエ
ネルギーを表し、P.V.は積分の主値を取ることを意
味する。
【0032】上式を波長表示すると、
【数5】 となり、結局αは、
【数6】 と表現される。
【0033】変調器はΔα>0の波長で動作させるか
ら、αの絶対値を小さくかつその符号を負にするために
は、上式(5)および(6)の被積分項が負にならなけ
ればならない。
【0034】従来の技術では、負のαは動作波長のデチ
ューニングに依らざるを得なかったが、本発明になる技
術によれば、井戸層にわずかな引張歪みを加えることで
上記積分項が負になりうる。
【0035】井戸幅12nmのInAlGaAs/InA
lAs量子井戸を例にとり、以下にその機構を説明す
る。長距離大容量通信システムで用いられる変調器の動
作波長は1.55μm帯であり、電界ゼロのときの動作波
長での吸収係数(吸収損失)を小さく抑えるために、吸
収端の波長は請求項3にあるような範囲にあることが必
要である。
【0036】図4は印加電界ゼロでの吸収端波長を1.4
9μmに固定した場合の印加電界75kV/cm におけるT
E偏光での吸収係数のスペクトル(α(λ,75))を
0.01%,0.28%及び0.38%の3種類の引張歪みの
場合について比較図示したものである。量子井戸内に形
成される伝導帯第mサブバンドをCm、価電子帯第nサ
ブバンドをVnと書き、伝導帯第一準位と価電子帯第n
準位間の励起子吸収遷移をC1−Vnと書く。C1とV
1のエネルギー差が波長にして1.49μmになるよう組
成を変化させているので、C1−V1の励起子は歪み量
に依らずほぼ同じ波長に吸収ピークを持つ。
【0037】一方C1−V2の吸収ピークは、引張歪み
量の増加に応じて長波長側へ大きくシフトする。すなわ
ち、わずかな引張歪み量の導入でTE偏光の吸収ピーク
位置関係をコントロールできることがわかる。吸収ピー
クの高さについて、C1−V2のそれは歪み量の増加と
ともに小さくなるが、全ての歪み量でC1−V1のそれ
を上回る。これら吸収ピークの位置や強さの相対関係
は、価電子帯の歪みによる変化から理解できる。
【0038】図5に各歪み量に対する価電子帯バンド構
造を示し、(a)0.01%,(b)0.28%及び(c)
0.38%の3種類の引張歪みの場合について電界75kV
/cmの価電子帯バンド構造の場合である。図5に示した
各サブバンドに分布する電子は、変調器に量子井戸層に
光が入射されると光子のエネルギーをもらって伝導帯に
遷移し、対生成された価電子帯の正孔との間で、障壁層
の量子閉じこめによって増強されたクーロン引力によ
り、有限の寿命をもつ束縛励起子として量子井戸内に存
在する。これが励起子による光吸収のイメージである。
波数ゼロでのV1とV2のエネルギー準位は、歪み量が
増えるとより近接してくるのがわかる。これは、重い正
孔と軽い正孔では形成される井戸の深さが異なり、引張
歪みが導入されると重い正孔の井戸は浅く、軽い正孔の
井戸は深くなるよう変化するためである。
【0039】図6は、励起子吸収の電界吸収変化の波長
依存性の模式図である。図6の縦軸について、エネルギ
ーを上向きを正として図るとする。正孔のエネルギーは
波数に依存するサブバンド間の相互作用によって変化す
るため、有効質量も変化し、サブバンドのエネルギー−
波数曲線も放物型の曲線から大きく外れる。更に有限の
電界では、量子井戸のポテンシャル形状は非対称になる
ため、正孔の状態を決める自由度の一つであるスピンに
よるエネルギーの縮退が解け、各々のサブバンドはゼロ
以外の波数で2つのエネルギーを持つようになる。
【0040】図4の各々のV2サブバンドに見られるよ
うに、波数ゼロの近傍では波数とともにエネルギーが増
大するためエネルギー−波数曲線の2階微分の逆数で与
えられる正孔の有効質量は負となり、伝導帯電子と同じ
エネルギーの波数依存性を示す。このため、価電子帯か
ら伝導帯への光吸収の際、生成される束縛励起子の結合
状態密度が増大する結果、C1−V2の強い励起子吸収
が得られる。
【0041】さて、吸収係数変化Δα≡α(λ,75)
−α(λ,0)を含む項の積分値が屈折率変化になるこ
とはすでに述べたが、吸収ピークの位置関係を制御でき
るという知見は、以下に詳述するように所望の屈折率変
化を得るべく変調器を設計する上で重要である。
【0042】波長軸上で考えて、仮に孤立した励起子吸
収ピーク(α(λ,0))が一つあるとする(図6)。
この吸収ピークを電界Fにより長波長側にシフトさせΔ
α(λ,F)としたとき、電界ゼロからの吸収係数変化
α(λ,F)は、長波長側に正のピークと短波長側に負
のピークを持つ二極性の吸収係数変化曲線を描くであろ
う。電界によって吸収のスペクトルが波長軸上をシフト
すると、吸収係数変化は二極性の変化を示す。従って伝
導帯と価電子帯のサブバンドの組み合わせや、バンド間
吸収や励起子吸収といった遷移過程の数に応じて、波長
軸上に二極性の吸収ピークが現れることになる。
【0043】図4の0.01%と0.23%の場合につい
て、厳密な吸収スペクトルα(λ,0),α(λ,F)
と吸収係数変化Δα(λ,F)波長依存性をプロットし
たのが図7である。歪み0.01%の場合(図7
(a))、C1−V1とC1−V2の吸収ピークが波長
軸上でほぼ孤立して存在する格好になっており、各ピー
クに対応して二極性の吸収係数変化が適当な波長間隔を
隔てて正と負対称的に繰り返し現れているのがわかる。
【0044】屈折率変化が吸収係数変化の積分で与えら
れることを考えると、正と負の吸収係数変化が互いに相
殺しあう状況では、前者は後者ほど大きな変化を期待で
きないことになる。
【0045】一方、歪み0.38%の場合(図7
(b))、V2サブバンドをV1サブバンドに近接させ
ることができる。このとき、V1サブバンド及びV2サ
ブバンドは、バンド混合効果のため負の有効質量、すな
わち結合状態密度が増大することとなり、吸収ピークお
よび吸収係数変化が大きくなる。
【0046】その結果、図7(b)からわかるように、
正の吸収係数変化の領域を少なくし、逆に負の吸収係数
変化を大きくとることが可能になり、それぞれの吸収ピ
ークからのΔαへの寄与が相殺されてしまう従来の状況
をさけることができる。
【0047】図4の場合について、屈折率変化への直接
の寄与となる(4)式の被積分関数を波長の関数として
図8(a)にプロットした。歪み0.01%では、75kV
/cmの電界の場合積分変数である波長λに依存する項1
/(λ2 −λ0 2)により、動作波長λ0 に近い波長ほど
積分への正の寄与が大きくなるため、積分の結果として
の屈折率変化Δnは正の値に留まることになる。
【0048】しかし、歪みが大きくなると、波長1.5μ
m付近のΔαが上記の理由から大きいため、動作波長近
くのΔαが大きく正に振れるにも係らず、屈折率変化と
しては負の値を得ることが可能となる。
【0049】電界を150kV/cm とした場合の被積分関
数の波長依存性を図8(b)に図示した。電界が大きく
なると、動作波長λ0 =1.55μmを越えて吸収変化全
体が長波側にシフトする。動作波長よりも長波側の寄与
はすべて屈折率変化に負の寄与を及ぼすので、この状況
においても負のαパラメータが実現できることがわか
る。これは、井戸幅が12nmと広いため、電界による吸
収ピークのシフト量が従来の構造にくらべて大きいため
に起こる現象である。動作波長を1.55μm帯とするた
めには、本発明の「請求項3」に規定した伝導帯基底エ
ネルギー準位と価電子帯基底エネルギー準位間のエネル
ギー差が光の波長に換算して1.47μmと1.50μmの
間になるような、波長領域に量子井戸基底準位間の吸収
エネルギーを設定することが必要である。このとき、本
発明で用いる引張歪み井戸層に導入するために井戸層幅
を大きく取る必要がでてくる。従って、引張歪みと広い
井戸幅の両方の効果が相乗的に働いて、負の屈折率変化
およびαパラメータが実現できる。上記の例では、歪み
量は最大0.38%となっているが、V1サブバンドとV
2サブバンドの励起子吸収ピークを一致させるような条
件まで上記の考え方はあてはまる。
【0050】図9に励起子のバンドギャップエネルギー
と引張歪み量の関係をプロットした。これによると、歪
み量0.6%の場合、C1−V1の吸収ピークとC1−V
2の吸収ピークはほぼ一致し、最大歪み量0.6%までの
歪みを導入して負の屈折率変化およびαパラメータを制
御できる。
【0051】以上の知見は、量子井戸構造の電界吸収に
対する歪みの効果と量子閉じこめ効果を、新たに開発し
た解析手法を駆使した結果得られたものであり、定量的
な理論に裏打ちされたものである。
【0052】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明の実
施例を説明する。
【0053】図1は、上述したような負のαパラメータ
の実施例に関わる光変調器を示す模式的斜視図である。
図1に示すように、n−InP基板1上には、n−In
AlAsクラッド層2、ノンドープIn1-x-y Alx
y As/In0.52Al0.48Asからなる多重量子井戸
層3、p−InAlAsクラッド層4、およびp−In
GaAs層5が順次積層されており、n−InP基板1
の裏面にはN側電極6が、p−InGaAs層5の上面
にはP側電極7が各々設けられている。P側電極7上に
は、変調信号に対応する電圧を印加するための電圧印加
手段(図示しない)に接続するためのリード線8が接続
されている。図示しない光源(レーザ)からの入射光9
は、変調光(出射光)10として出射される。
【0054】ここで、量子井戸層3は、InAlGaA
sとInAlAsとをそれぞれ量子井戸層と障壁層とに
する多重量子井戸構造で、分子線エピタキシャル成長法
や有機金属気相成長法などの結晶成長法で作製される。
通常、InP基板1に格子整合するIn1-x-y Alx
y Asは、xやyの値を変えることにより格子不整合
を生じさせ層内に応力を発生させることができる。引張
歪み0.01%では、x=0.04,y=0.43、0.38
%では、x=0.0,y=0.52である。
【0055】図2は、本発明に係わる、井戸幅の12nm
のInAlGaAs/InAlAs量子井戸を有する光
変調器で、引張歪み0.01%と0.38%の場合のαパラ
メータの電界依存性を示したものである。ここで、動作
波長は、1.57μmである。歪みの非常に小さい場合で
も[作用]の項で述べたような広い井戸幅の効果によ
り、小さなαの値が得られるのがわかる。75〜200
kV/cm の範囲で見ると、α=0を中心に値が分布し、高
電界側で負に振れていく。
【0056】しかしながら、0.38%歪み量子井戸の場
合に見られるように、歪み量を大きくすることで、歪み
と広い井戸幅の相乗効果により、ほぼすべての電界でα
パラメータが負になっている。75〜200kV/cm の範
囲でみるとα=−1を中心に値が分布する。
【0057】図3は、図6の光変調器を用いて光パルス
を光ファイバにより伝送した場合の、パワーペナルティ
ーと伝送距離との関係を図示したものである。簡単のた
め、歪みの非常に小さい場合(0.01%)のαパラメー
タを75〜200kV/cm の範囲での平均的な値0に、歪
みの大きい場合(0.38%)のαパラメータを75〜2
00kV/cm の範囲での平均的な値−1として計算を行っ
た。α=0の場合で80km、α=−1の場合では更に延
びて110kmの伝送距離が得られることがわかる。比較
のために、従来の変調器(α=0.5〜1)での伝送距離
は40km以下であり、本発明になる技術により伝送距離
が約3倍近く長くなることがわかる。
【0058】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
引張歪みと広い井戸幅の二つの相乗効果によって、負の
屈折率変化と負のαパラメータを持つ変調器を実現で
き、従来の変調動作を凌ぐ高性能な光変調器を提供する
ことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例に係わる光変調器を示す斜視図
である。
【図2】本発明に基づく光変調器で、引張歪み0.01%
と0.38%の場合のαパラメータの電界依存性を示した
図である。
【図3】本発明に基づく光変調器で、伝送距離とパワー
ペナルティーの関係を示す図である。
【図4】0.01%,0.28%及び0.38%の3種類の引
張歪みの場合について吸収スペクトルの比較図である。
【図5】0.01%,0.28%及び0.38%の3種類の引
張歪みの場合について電界75kV/cm の価電子帯バンド
構造を示し、(a)が0.01%,(b)が0.28%、
(c)が0.38%引張歪みの場合である。
【図6】励起子吸収の電界吸収変化の波長依存性の模式
図である。
【図7】励起子吸収の電界吸収変化の波長依存性の厳密
な計算結果を示し、(a)が0.01%,(b)が0.38
%引張歪みの場合である。
【図8】0.01%,0.28%,0.38%量子井戸に対す
る吸収係数変化の(作用)項(4)式に基づく被積分関
数の波長依存性を示す図であり、(a)が75kV/cm ,
(b)が150kV/cm の場合である。
【図9】励起子吸収のバンドギャップと歪み量との関係
を示す図である。
【図10】光パルスのチャーピングの様子を示す図であ
り、(a)は正のチャーピング、(b)は負のチャーピ
ングをそれぞれ模式的に表している。
【図11】光パルスに対するパワーペナルティー(単
位:dB)を+1dBとして、αパラメータと光パルスの伝
送距離の関係を示す図である。
【符号の説明】
1 n−InP基板 2 n−InAlAsクラッド層 3 多重量子井戸層 4 p−InAlAsクラッド層 5 p−InGaAs層 6 N側電極 7 P側電極 8 リード線 9 入射光 10 変調光

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基板と、該基板上に形成した異なる2種
    類の半導体材料からなる量子井戸層および障壁層を交互
    に積み重ねた多重量子井戸構造をコアとする光変調器に
    おいて、 前記コアは、前記量子井戸構造を形成している量子井戸
    層の格子定数とこの層をその上に成長させている基板結
    晶の格子定数との不整合により生じる格子歪みを有し、
    この格子歪みは、価電子帯のバンド構造を変化させて、
    前記量子井戸構造の励起子による光吸収の吸収係数のス
    ペクトルの形状を変化させ、前記光変調器への電圧印加
    に伴う量子井戸層の吸収係数変化とその結果発現する負
    の屈折率変化による光の制御を行うことを可能にする大
    きさに設定されていることを特徴とする半導体量子井戸
    光変調器。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の半導体量子井戸光変調器
    において、 前記格子歪みは、引張歪みであり、その歪み量が0.01
    %以上0.6%以下であることを特徴とする半導体量子井
    戸光変調器。
  3. 【請求項3】 請求項1記載の半導体量子井戸光変調器
    において、 前記格子歪みの導入によって、前記光変調器に外部電界
    を印加しない状態で、且つ、伝導帯基底エネルギー準位
    と価電子帯基底エネルギー準位間のエネルギー差が光の
    波長に換算して1.47μmと1.50μmの間になるよう
    に、井戸層材料、井戸幅、障壁層材料の組成が設定され
    ていることを特徴とする半導体量子井戸光変調器。
  4. 【請求項4】 請求項1記載の半導体量子井戸光変調器
    において、 前記格子歪みの導入によって、前記光変調器に外部電界
    を印加した際、光吸収の吸収端近傍で負の吸収係数変化
    量が正の吸収係数変化量を上回り、その結果屈折率変化
    が負となるように、井戸層材料、井戸幅、障壁層材料の
    組成が設定されていることを特徴とする半導体量子井戸
    光変調器。
  5. 【請求項5】 請求項1,2,3又は4に記載の半導体
    量子井戸光変調器を用いて、量子井戸層に平行な電界成
    分を持つTE偏光により光変調を行うことを特徴とする
    半導体量子井戸光変調方法。
  6. 【請求項6】 請求項1,2,3又は4に記載の光変調
    器と、前記光変調器にTE偏光を含む光を供給する光源
    と、前記光変調器へ信号に対応する電圧を印加する電圧
    印加手段とを備えてなり、 前記量子井戸構造の励起子による光吸収の吸収係数の波
    長依存性、すなわち吸収スペクトルの形状を変化させ、
    前記光変調器への電圧印加に伴う量子井戸層の吸収係数
    変化とその結果誘起される特異な屈折率変化による光の
    制御を行うことを可能にする大きさに設定されているこ
    とを特徴とする半導体量子井戸光変調方法。
JP21047795A 1995-08-18 1995-08-18 半導体量子井戸光変調器及び光変調方法 Pending JPH0954290A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US5953149A (en) * 1996-06-17 1999-09-14 Nec Corporation Semiconductor electroabsorption optical modulator
JP2001281609A (ja) * 2000-03-30 2001-10-10 Mitsubishi Electric Corp 光変調器及び光変調器付半導体レーザ装置、並びに光通信装置

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JP2001281609A (ja) * 2000-03-30 2001-10-10 Mitsubishi Electric Corp 光変調器及び光変調器付半導体レーザ装置、並びに光通信装置

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