JPH0967313A - カルボン酸エステル化合物、反強誘電性液晶化合物、反強誘電性液晶組成物および反強誘電性液晶素子 - Google Patents

カルボン酸エステル化合物、反強誘電性液晶化合物、反強誘電性液晶組成物および反強誘電性液晶素子

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JPH0967313A
JPH0967313A JP7228367A JP22836795A JPH0967313A JP H0967313 A JPH0967313 A JP H0967313A JP 7228367 A JP7228367 A JP 7228367A JP 22836795 A JP22836795 A JP 22836795A JP H0967313 A JPH0967313 A JP H0967313A
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山 高 広 藤
Junichi Kawabata
端 潤 一 川
Tsuneaki Koike
池 恒 明 小
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Abstract

(57)【要約】 【課題】反強誘電性液晶化合物あるいは反強誘電性液晶
組成物の成分として用いられる新規なカルボン酸エステ
ル化合物、従来に比較してチルト角の大きな反強誘電性
液晶材料、及びこのようなチルト角の大きな反強誘電性
液晶材料を用いた反強誘電性液晶素子を提供する。 【解決手段】従来のキラル部位の中心炭素原子に炭素数
3〜20であって、かつ炭素数の等しい2つのアルキル基
と水素原子が結合したカルボン酸エステル化合物を合成
して反強誘電性液晶相を示すカルボン酸エステル化合物
を得る。このようにして得られたカルボン酸エステル化
合物を配合して反強誘電性液晶組成物を調製する、さら
に、これらの反強誘電性液晶材料をセルギャップ間に充
填した液晶セルを用いて反強誘電性液晶素子を構成す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、新規なカルボン酸エス
テル化合物、反強誘電性液晶化合物、反強誘電性液晶組
成物および反強誘電性液晶素子に関する。
【0002】
【発明の技術的背景】現在、液晶表示素子は、低電圧お
よび低消費電力で駆動でき、しかも小型化、薄型化が可
能な点から広く利用されているが、TN(ツイストネマ
チック)モードで駆動する液晶表示素子が主流である。
【0003】しかしながら、このTN液晶素子は、光ス
イッチング時間が長いという欠点がある。これに対し、
強誘電性液晶の電気光学効果を利用した液晶素子(以
下、強誘電性液晶素子という。)は、上述したTN液晶
素子あるいはSTN液晶素子と比較して光スイッチング
時間が極めて短く、しかも光スイッチング前後でいずれ
も強誘電性液晶化合物の配向状態が安定に保持されるた
めに液晶素子が光学メモリー性を示すので、動画表示装
置用の表示素子として用いるのに適している。
【0004】しかしながら、強誘電性液晶素子は、残像
(スイッチング不良)が生じる、機械的ショックに弱
い、強誘電性液晶がシェブロン構造(くの字形に屈曲し
た配向構造)やツイスト構造(分子長軸方向に沿って液
晶分子がねじれ配向した構造)をとり易いために高いコ
ントラストと安定した光学メモリー性が得られないとい
う欠点がある。
【0005】反強誘電性液晶の電気光学効果を利用した
液晶素子(以下、反強誘電性液晶素子という。)は、上
記強誘電性液晶素子と同等の光スイッチングを示し、所
定の大きさを越える電圧を印加すると隣接する液晶分子
間の自発分極の向きが同一となる、すなわち、強誘電状
態となる点で強誘電性液晶素子と共通している。
【0006】しかしながら、反強誘電性液晶素子は、強
誘電状態から電圧の大きさをゼロに近付け、電圧の大き
さを所定の値よりも小さくすると隣接する液晶分子間の
自発分極が互いに反対方向を向く、すなわち、反強誘電
状態となる。
【0007】このため、反強誘電性液晶素子では、強誘
電性液晶素子のような残像が生じることはなく、また、
反強誘電性液晶素子は、単純マトリックス駆動に適して
いるという利点がある。
【0008】従来、反強誘電性液晶は、分子末端に光学
活性基(キラル部)を有する化合物が配向することによ
って形成されると考えられていた。すなわち、従来の反
強誘電性液晶にとって、分子末端に光学活性基を有する
化合物は不可欠であった。
【0009】したがって、従来においては、分子末端に
光学活性基を有する化合物が不可欠であるために提供可
能な反強誘電性液晶の範囲が制限され、また、提供可能
な反強誘電性液晶の範囲が制限されているために液晶物
性の改良に限界があった。
【0010】反強誘電性液晶素子中でそれぞれ自発分極
の大きさが同一である2種類の反強誘電性液晶を比較し
た場合、チルト角の大きな反強誘電性液晶の方が、電気
光学的応答速度が高速であり、コントラストの高い液晶
素子を得る上で望ましい。
【0011】たとえば、光が一方の偏光板、液晶セルお
よび他方の偏光板をこの順序で透過するように液晶セル
の両側に一対の偏光板を配置し、液晶セルの電極間に反
強誘電性液晶を充填し、かつ、前記一対の偏光板をクロ
スニコル位に、すなわち、それぞれの偏光板によって制
御される偏光方向が互いに直交するように配置して形成
された反強誘電性液晶素子では、反強誘電性液晶素子の
光透過率、すなわち、一方の偏光板、液晶セルおよび他
方の偏光板を、この順序で透過した光の透過率は、下記
式(i): I=I0 sin2 2θsin2 (πΔn・d/λ) …(i) (上記式(i)中、I0 は、入射光強度を表し、Iは、
透過光強度を表し、θは、チルト角を表し、Δnは、屈
折率異方性(常光に対する屈折率と異常光に対する屈折
率との差)を表し、dは、液晶セルのセルギャップを表
し、λは、入射光の波長を表す。)で表され、チルト角
θが45度の時に最大となる。このチルト角θは、液晶
セルの電極間に充填された反強誘電性液晶の種類によっ
て異なるが、できるだけ大きく、45度に近づけた方が
コントラストの高い液晶素子を得る上で有利である。
【0012】ところで、反強誘電性液晶は、自発分極と
電場との直接的な相互作用によってスイッチングする、
すなわち、電気光学的に変化する。このため、自発分極
の大きな反強誘電性液晶を用いれば、反強誘電性液晶素
子の電気光学的応答速度が高速化できる。
【0013】しかしながら、反強誘電性液晶は、自発分
極が大きくなるにつれて粘度も大きくなる傾向があり、
このため、自発分極の大きな反強誘電性液晶を用いても
反強誘電性液晶素子の電気光学的応答速度が高速化でき
ないことがある。
【0014】以上のことから、反強誘電性液晶について
は、自発分極の大きさをあまり変化させず、チルト角を
大きくすることが、電気光学的応答速度が高速であり、
コントラストの高い反強誘電性液晶素子を得る上で望ま
しいといえる。
【0015】したがって、現在、反強誘電性液晶素子中
で従来の反強誘電性液晶と自発分極の大きさがほとんど
変わりなく、しかも従来の反強誘電性液晶に比較してチ
ルト角の大きな反強誘電性液晶の提供が望まれている。
【0016】また、分子末端に光学活性基を有する化合
物は、通常、光学活性アルコールを用いて合成されてい
るが、この光学活性アルコールは、合成するのに手間が
かかる。このため、従来の反強誘電性液晶はコスト高で
あるという問題点もあった。
【0017】これに対し、本発明者らが、新規なカルボ
ン酸エステル化合物を製造し、このカルボン酸エステル
化合物、あるいはこれを含む組成物の液晶相を測定した
ところ、驚くべきことに、カルボン酸エステル化合物が
分子末端に光学活性基を有してないのにもかかわらず、
カルボン酸エステル化合物、あるいはこれを含む組成物
が反強誘電性液晶相を示し、しかもこれらの反強誘電性
液晶材料を用いて反強誘電性液晶素子を構成すると、従
来の反強誘電性液晶と自発分極の大きさがほとんど変わ
りなく、しかも従来の反強誘電性液晶材料に比較してチ
ルト角の大きな反強誘電性液晶が提供できることを見出
し、本発明を完成させるに至った。
【0018】
【発明の目的】本発明は、反強誘電性液晶化合物あるい
は反強誘電性液晶組成物の成分として好適に用いること
ができるような新規なカルボン酸エステル化合物、その
製造方法、従来の反強誘電性液晶と自発分極の大きさが
ほとんど変わりなく、しかも従来の反強誘電性液晶材料
に比較してチルト角の大きな反強誘電性液晶が提供でき
るような反強誘電性液晶化合物または反強誘電性液晶組
成物、およびこれらの反強誘電性液晶化合物または反強
誘電性液晶組成物を用いた反強誘電性液晶素子(液晶表
示素子を包含する。)を提供することを目的としてい
る。
【0019】また、本発明は、前記反強誘電性液晶化合
物または前記反強誘電性液晶組成物を安価に提供するこ
とをも目的としている。
【0020】
【発明の概要】本発明に係るカルボン酸エステル化合物
は、次式(I): R−X−A1 −Y−A2 −CO2 −CH(Cn 2n+12 …(I) 〔式(I)中、Rは、炭素数3〜20のアルキル基、炭
素数3〜20のポリフルオロアルキル基から選ばれる基
およびこれらの基中に存在する1個または隣接していな
い2個以上の-CH2- 基または-CF2- 基が-O- 基で置換さ
れた基から選ばれる1種の基を表し、Xは、-O- または
単結合を表し、A1 およびA2 は、それぞれ独立して
【0021】
【化9】
【0022】から選ばれる基(ただし、A1 およびA2
の少なくとも一方は、
【0023】
【化10】
【0024】である。)を表し、Yは、-COO- 、-OCO、
-CH2CH2-、-CH2O-、-OCH2-、-CONH-、-NHCO-、-SCO- 、
-COS- 、-CH2S-および-SCH2-から選ばれる1種の基を表
し、nは、2〜8の整数を表す〕で表されることを特徴
としている。
【0025】本発明に係る反強誘電性液晶化合物は、上
記式(I)(式(I)中のR、X、A1 、A2 、Yおよ
びnは前記と同様の意味を表す。〕で表されることを特
徴としている。
【0026】本発明に係る反強誘電性液晶組成物は、上
記式(I)で表されるカルボン酸エステル化合物を含有
することを特徴としている。本発明に係る反強誘電性液
晶素子は、液晶セルを備えた液晶素子であって、該液晶
セル内部の電極間に上述したような本発明に係る反強誘
電性液晶化合物または反強誘電性液晶組成物が充填され
ていることを特徴としている。
【0027】
【発明の具体的な説明】カルボン酸エステル化合物 まず、本発明に係るカルボン酸エステル化合物について
具体的に説明する。
【0028】本発明に係る新規なカルボン酸エステル化
合物は、次式(I): R−X−A1 −Y−A2 −CO2 −CH(Cn 2n+12 …(I) で表される。
【0029】上記式(I)中、Rは、炭素数3〜20の
アルキル基、炭素数3〜20のポリフルオロアルキル基
から選ばれる基、およびこれらの基中に存在する1個ま
たは隣接していない2個以上の-CH2- 基または-CF2- 基
が-O- 基で置換された基から選ばれる1種の基を表し、
Xは、-O- または単結合を表し、A1 およびA2 は、そ
れぞれ独立して
【0030】
【化11】
【0031】から選ばれる基を表すが、A1 およびA2
の少なくとも一方は、
【0032】
【化12】
【0033】であり、Yは、-COO- 、-OCO、-CH2CH2-、
-CH2O-、-OCH2-、-CONH-、-NHCO-、-SCO- 、-COS- 、-C
H2S-および-SCH2-から選ばれる1種の基を表し、nは、
2〜8の整数を表す。
【0034】上記Rが炭素数3〜20のアルキル基であ
る場合、このアルキル基は、直鎖状、分岐状あるいは脂
環状のいずれの形態を有していてもよい。また、上記R
が隣接していない2個以上の-CH2- 基が-O- 基で置換さ
れた炭素数3〜20のアルキル基である場合、このよう
な基としては、(2-ヘキシルオキシ)エトキシ基、
〔(2'- ブトキシ)-2- エトキシ〕エトキシ基、ノニル
オキシメチル基などが挙げられる。
【0035】上記式(I)で表されるカルボン酸エステ
ル化合物を、例示すると下記表1の通りである。
【0036】
【表1】
【0037】
【表2】
【0038】
【表3】
【0039】上記表1に示されたカルボン酸エステル化
合物のうち、後述する実施例には、Rが、炭素数3〜2
0のアルキル基または炭素数2〜19のアルコキシ基で
あり、A1 およびA2 が、それぞれ独立して
【0040】
【化13】
【0041】から選ばれる1種の基を表し、A1 および
2 の少なくとも一方が、
【0042】
【化14】
【0043】であり、Yが、-COO- であるカルボン酸エ
ステル化合物、特にRが、デシル基またはデシルオキシ
基であり、nが3であるカルボン酸エステル化合物が例
示されている。
【0044】なお、本発明で、上記式(I)で表される
カルボン酸エステル化合物が得られていることは、後述
する実施例で示すようにFD−マススペクトルおよび1
H−NMRスペクトルで確認されている。
【0045】特に、上記式(I)で表されるカルボン酸
エステル化合物のうち、後述する実施例に例示されてい
るYが-COO- であるカルボン酸エステル化合物は、例え
ば、次のようにして製造される。 (1)下記式(II): Ph−CH2 O−A2 −COOH …(II) (上記式中、Phはフェニル基を表し、A2 は、上記式
(I)中のA2 と同一の基である。)で表される化合
物、例えば1,2,3,4-テトラヒドロ-6- ベンジルオキシナ
フタレンカルボン酸と、式:HOCH(Cn 2n+12
で表されるアルコールとを反応させ、下記式(III)) Ph−CH2 O−A2 −CO2 CH(Cn 2n+12 …(III) で表されるカルボン酸エステル化合物、例えば1,2,3,4-
テトラヒドロ-6- ベンジルオキシナフタレンカルボン酸
エステルを得る。 (2)得られた上記式(III)で表されるカルボン酸エス
テル化合物、例えば1,2,3,4-テトラヒドロ-6- ベンジル
オキシナフタレンカルボン酸エステルを、テトラヒドロ
フランなどの溶媒中、パラジウム/炭素などの還元触媒
の存在下で水素ガスを用いて還元することにより下記式
(IV): HO−A2 −CO2 CH(Cn 2n+12 …(IV) で表されるヒドロキシ化合物、例えば1,2,3,4-テトラヒ
ドロ-6- ヒドロキシナフタレンカルボン酸エステルを得
る。 (3)上記式(IV)で表されるヒドロキシ化合物、例え
ば1,2,3,4-テトラヒドロ-6- ヒドロキシナフタレンカル
ボン酸エステルと、下記式(V): R−X−A1 −COOH …(V) (上記式中、XおよびA1 は、それぞれ上記式〔I〕中
のXおよびA1 と同一の基である。)で表されるカルボ
ン酸、例えば4-アルコキシビフェニルカルボン酸とを、
塩化メチレン溶媒中、4-N,N-ジメチルアミノピリジンの
存在下でN,N'- ジシクロヘキシルカルボジイミド溶液を
滴下しながら反応させることにより上記式(I)で表さ
れるカルボン酸エステル化合物が製造される。
【0046】なお、上記式(II)で表される化合物が1,
2,3,4-テトラヒドロ-6- ベンジルオキシナフタレンカル
ボン酸である場合、この1,2,3,4-テトラヒドロ-6- ベン
ジルオキシナフタレンカルボン酸は、例えば次のように
して製造される。 (i)6-アルコキシナフタレン-2- カルボン酸と1,2-ジ
エトキシエタンとの混合物を金属ナトリウムの存在下で
イソアミルアルコールを滴下しながら還流することによ
り、1,2,3,4-テトラヒドロ-6- アルコキシナフタレン-2
- カルボン酸を得る。 (ii)こうして得られた1,2,3,4-テトラヒドロ-6- アル
コキシナフタレン-2- カルボン酸を、酢酸、臭化水素酸
と反応させることにより、1,2,3,4-テトラヒドロ-6- ヒ
ドロキシナフタレン-2- カルボン酸を得る。 (iii)上記のようにして得られた1,2,3,4-テトラヒドロ
-6- ヒドロキシナフタレン-2- カルボン酸と臭化ベンジ
ルとを水酸化カリウムの存在下で反応させると、1,2,3,
4-テトラヒドロ-6- ベンジルオキシナフタレンカルボン
酸が得られる。
【0047】上記式(I)中、Yが-OCO- である場合に
は、上記式(II)で表される化合物に代えて下記式(V
I): Ph−CH2 OCO−A2 −COOH …(VI) (上記式中、A2 は、上記式(I)中のA2 と同一の基
である。)で表される化合物を用い、この式(VI)で表
される化合物と式:HOCH(Cn2n+12 で表され
るアルコールとを反応させることによって得られた下記
式(VII): Ph−CH2 OCO−A2 −COOCH(Cn 2n+12 …(VII) (上記式中、A2 は、前記と同様の意味を表す。)をテ
トラヒドロフランなどの溶媒中で、パラジウム/炭素な
どの還元触媒の存在下で水素ガスを用いて還元すると下
記式(VIII): HOOC−A2 −CO2 CH(Cn 2n+12 …(VIII) (上記式中、A2 は、前記と同様の意味を表す。)で表
されるカルボン酸が得られ、この式(VIII)で表されるカ
ルボン酸と下記式(IX): R−X−A1 −OH …〔IX〕 (上記式中、XおよびA1 は、それぞれ上記式(I)中
のXおよびA1 と同一の基である。)で表される化合物
とを反応させることによって得られる。
【0048】上記式(I)でYが-CH2CH2-、-CH2O −、
-OCH2-、-CONH-、-NHCO-、-SCO- 、-COS- 、-CH2S-また
は-SCH2-である場合、予め、常法に従って下記式
(X): R−X−A1 −Y−A2 −COOH …(X) (上記式中、R、X、Y、A1 およびA2 は、それぞれ
上記式(I)中の対応する符号と同一の基を意味す
る。)で表されるカルボン酸を合成しておき、この式
(X)で表されるカルボン酸と、式:HOCH(Cn
2n+12 で表されるアルコールとを反応させることによ
って得られる。
【0049】液晶化合物 本発明に係る反強誘電性液晶化合物は、上記式〔I〕で
表されることを特徴としている。すなわち、本発明に係
る反強誘電性液晶化合物は、上記式(I)で示されるカ
ルボン酸エステル化合物の範囲から選択される。
【0050】反強誘電性液晶相の温度範囲が広い反強誘
電性液晶化合物を得るためには、反強誘電性液晶分子が
剛直構造をとることが望ましく、このような点から、上
記式(I)中、Rは、直鎖基、特にn-ヘキシル基、n-ヘ
プチル基、n-オクチル基、n-ノニル基、n-デシル基、n-
ウンデシル基、n-ドデシル基、n-テトラデシル基、n-ヘ
キサデシル基などのような直鎖アルキル基であることが
好ましく、Yは、-COO- または-CH2O −であることが好
ましく、A1 およびA2 は、
【0051】
【化15】
【0052】から選ばれる1種の基であることが好まし
く、A1 およびA2 の少なくとも一方は、
【0053】
【化16】
【0054】であることが好ましい。本発明に係る反強
誘電性液晶化合物を液晶セルに充填して用いる場合、本
発明に係る反強誘電性液晶化合物を単独で用いてもよ
く、また、公知の液晶化合物および添加剤と混合して用
いてもよい。
【0055】液晶組成物 次いで、本発明に係る液晶組成物について説明する。本
発明に係る液晶組成物は、上記式(I)で表されるカル
ボン酸エステル化合物を含有することを特徴としてい
る。
【0056】本発明に係る液晶組成物は、2種以上の上
記式(I)で表されるカルボン酸エステル化合物の混合
物のみで構成されていてもよいが、他の液晶化合物、公
知の添加剤の1種以上との混合物で構成されていてもよ
い。
【0057】本発明に係る液晶組成物で用いられる他の
液晶化合物としては
【0058】
【化17】
【0059】
【化18】
【0060】
【化19】
【0061】
【化20】
【0062】などのような2価の環状基を有し、かつ分
子末端に光学活性基を有する化合物が挙げられる。本発
明に係る反強誘電性液晶組成物が上記式(I)で表され
るカルボン酸エステル化合物と他の液晶化合物との混合
物からなる場合、上記式(I)で表されるカルボン酸エ
ステル化合物の量は、反強誘電性液晶組成物の総量10
0重量部に対し、1〜99重量部、好ましくは5〜75
重量部であることが望ましい。すなわち、上記式(I)
で表されるカルボン酸エステル化合物は、他の液晶化合
物の種類に応じて反強誘電性液晶組成物の主剤としても
助剤としても用いられる。
【0063】本発明に係る反強誘電性液晶組成物は、必
要に応じて液晶組成物の反強誘電性を損なわない範囲の
量で、電導性賦与剤、寿命向上剤などのような公知の添
加剤を含有していてもよい。
【0064】反強誘電性液晶素子 本発明に係る反強誘電性液晶素子は、液晶セルを備えた
液晶素子であって、液晶表示素子を包含し、前記液晶セ
ル内部の電極間、通常、液晶セルに備えられた一対の電
極付基板の電極間に上述したような本発明に係る反強誘
電性液晶化合物または反強誘電性液晶組成物が充填され
ている。
【0065】上記一対の電極付基板の一方は透明であっ
て、他方は透明であっても不透明であってもよい。この
電極付基板の一方が不透明である場合、この液晶セルを
備えた液晶素子は、反射型液晶素子として液晶表示素子
などに用いられうる。これに対し、両電極付基板が透明
である場合、この液晶セルを備えた液晶素子は、透過型
液晶素子として光スイッチング素子、光変調素子などに
用いられうる。
【0066】また、上記一対の電極付基板の少なくとも
一方の電極面には、配向膜が設けられていてもよい。な
お、配向膜とは、液晶セル中でこれと接する本発明に係
る液晶化合物または液晶組成物を所定の方向に配向させ
る層を意味し、例えば電極付基板の電極上にポリイミド
膜を形成し、このポリイミド膜の表面を所定の方向にラ
ビングするなどして得られる。
【0067】さらに、上記液晶セルには、液晶セル内部
の電極間距離を一定に保つため、この電極間にスペーサ
が介設されている。このスペーサとしては、一定膜厚の
フィルム、粒径の揃った球状粒子または太さの揃った繊
維片などが用いられる。スペーサとして一定膜厚のフィ
ルムを用いる場合、このスペーサは、通常、液晶セル内
部の電極間周縁部に介設される。また、スペーサとして
粒径の揃った球状粒子または太さの揃った繊維片を用い
る場合、これらのスペーサは、本発明に係る液晶化合物
または液晶組成物と混合して用いられる。
【0068】また、液晶セルの基板が、アルカリ金属な
どの不純物を含んでいる場合、これらの不純物が電極付
基板の電極あるいは電極などを通して本発明に係る液晶
化合物または液晶組成物を阻害しないように、電極付基
板の基板と電極との間にアルカリパッシベーション膜な
どが設けられていてもよい。
【0069】本発明に係る反強誘電性液晶素子では、液
晶セル内部に充填されている本発明に係る反強誘電性液
晶化合物または反強誘電性液晶組成物が反強誘電性液晶
相の状態で液晶セルの電極間に電圧が印加されると、電
圧の極性および大きさに応じて反強誘電性液晶相の配向
状態が、3安定状態間で変化し、たとえば正電圧側の強
誘電状態から電圧をゼロに近付けた場合に反強誘電状態
に変化し、この配向状態の変化に伴って液晶セル中で液
晶セルに入射した光の偏光方向が変化する。
【0070】このような光の偏光方向の変化を利用して
表示、光スイッチングあるいは光変調を行う場合、本発
明に係る反強誘電性液晶素子では、通常、偏光板、偏光
ビームスプリッター、1/4波長板などの偏光制御手段
が用いられ、本発明に係る反強誘電性液晶素子が反射型
液晶素子である場合には、偏光制御手段が観察者と液晶
セルとの間に設けられ、本発明に係る反強誘電性液晶素
子が光透過型液晶素子である場合には、偏光制御手段、
液晶セルおよび偏光制御手段にこの順序で入射光が透過
するように2つの偏光制御手段がパラニコル位またはク
ロスニコル位に配置され、光の偏光方向が変化した際に
最大のコントラストが得られるよう2つの偏光制御手段
と液晶セルとの位置決めがなされる。ただし、入射光が
特定偏光成分、たとえば垂直偏光成分または水平偏向成
分のみを有する場合、光入射側の偏光制御手段を省略す
ることができ、観察者が偏光眼鏡をかけて液晶素子の出
力光を観察する場合、偏光眼鏡以外の光出入射側の偏光
制御手段を省略することができる。
【0071】以上のように、本発明に係る反強誘電性液
晶素子は、液晶セルを備え、該液晶セル内部の電極間に
上述したような本発明に係る反強誘電性液晶化合物また
は反強誘電性液晶組成物が充填されていればよく、液晶
素子の用途などに応じて様々な変形が可能である。
【0072】本発明に係る反強誘電性液晶素子は、液晶
セルを備え、該液晶セル内部の電極間に上述したような
本発明に係る反強誘電性液晶化合物または反強誘電性液
晶組成物が充填されているので、液晶セル内部の電極間
に電圧を印加して反強誘電性液晶化合物分子を配向させ
た際にこれら反強誘電性液晶化合物分子のチルト角を従
来の反強誘電性液晶化合物または反強誘電性液晶組成物
を用いた場合に比較して大きくすることができる。
【0073】
【発明の効果】本発明によれば、新規なカルボン酸エス
テル化合物が提供される。このカルボン酸エステル化合
物は、反強誘電性液晶化合物として、あるいは反強誘電
性液晶組成物の成分として用いられる。
【0074】本発明に係る反強誘電性液晶化合物は、上
記本発明に係る新規なカルボン酸エステル化合物で構成
され、分子末端に光学活性基を有していないのにもかか
わらず反強誘電性液晶相を示す。
【0075】本発明に係る反強誘電性液晶組成物は、上
記本発明に係る新規なカルボン酸エステル化合物を含ん
でおり、このため、分子末端に光学活性基を有する化合
物群で基本的に構成されている従来の反強誘電性液晶組
成物に比較して、液晶セルの電極間に充填し、次いでこ
の電極間に電圧を印加した際に示す液晶化合物分子の配
向チルト角を大きくすることができる。
【0076】また、本発明によれば、上記のような優れ
た性質を有する反強誘電性液晶化合物または反強誘電性
液晶組成物が安価に提供することができる。
【0077】
【実施例】以下に実施例を示し、本発明をさらに具体的
に説明するが、本発明はこれら実施例により限定される
ものではない。なお、下記化合物に記載されているR、
Sは、それぞれ異なる旋光性を示す符号である。
【0078】
【実施例1】6-(4- デシルオキシビフェニル-4'-カルボニルオキシ)-
1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-2- カルボン酸-4- ヘ
プチルエステル〔例示化合物(17)〕:
【0079】
【化21】
【0080】の合成 第1段階 6-デシルオキシ- ナフタレン-2- カルボン酸23.2g (70.
8mmol)および1,2-ジエトキシエタン780ml の混合物に、
窒素雰囲気下、120 ℃で攪拌しながら金属ナトリウム18
g (780mg原子)を加え、さらに還流温度にまで加熱し
た。
【0081】この混合物にイソアミルアルコール60g (6
84mmol) を1時間かけて滴下し、さらに11時間還流しな
がら反応させた。得られた反応混合物を室温に冷却した
後、この反応混合物に、エタノールを加えて反応混合物
中に残存する金属ナトリウムを分解した後、20%塩酸を
加えて酸性にした。
【0082】次いで、この水600ml を加えて水相と有機
相とに分離した後、得られた有機相を水洗した。しかる
後、この有機相を減圧下で濃縮して固体25.5g を得た。
トルエンを用いてこの固体を再結晶することにより、1,
2,3,4-テトラヒドロ-6- デシルオキシナフタレン-2- カ
ルボン酸17.7g (53.3mmol)を得た。
【0083】第2段階 第1段階で得られた1,2,3,4-テトラヒドロ-6- デシルオ
キシナフタレン-2- カルボン酸 16.6g (50mmol) (第1
段階より量が多くなっています)に酢酸250mlおよび47
%臭化水素酸 86.5g (0.5mol) を加えて得られた混合物
を130 ℃で7時間加熱還流した。次いで、この混合物に
蒸留水を添加した後、減圧下で濃縮することにより、1,
2,3,4-テトラヒドロ-6- ヒドロキシナフタレン-2- カル
ボン酸 10.60g (50mmol)を得た。
【0084】第3段階 第2段階で得られた1,2,3,4-テトラヒドロ-6- ヒドロキ
シナフタレン-2- カルボン酸 10.60g (50mmol)、臭化ベ
ンジル 12.85g (75mmol)、85%水酸化カリウム6.6g (10
0mmol) 、ヨウ化ナトリウム 0.525g (3.5mmol) 、エタ
ノール 200ml、蒸留水 25ml の混合物を100 ℃で12時間
加熱還流を続けた。得られた反応混合物を、室温まで放
冷し、次いで冷水中に添加した後、トルエンを用いて再
結晶することにより、1,2,3,4-テトラヒドロ-6- ベンジ
ルオキシナフタレン-2- カルボン酸 13.8g (46.4mmol)
を得た。
【0085】第4段階 第3段階で得られた1,2,3,4-テトラヒドロ-6- ベンジル
オキシナフタレン-2-カルボン酸 0.42g (1.5mmol)、4-
ヘプタノール 0.17g (1,5mmol)、4-N,N-ジメチルアミノ
ピリジン 0.02g (0.16mmol) および塩化メチレン 12ml
の混合物に、N,N'- ジシクロヘキシルカルボジイミド
0.37g (1.8mmol)を含む塩化メチレン溶液5mlを室温で、
攪拌しながら1.5 時間かけて滴下した。
【0086】こうして得られた反応混合物を、さらに室
温下で20時間反応させた。次いで、この反応混合物をろ
過し、得られたろ液を濃縮した。この濃縮物をカラムク
ロマトグラフィーを用いて分離することにより、無色透
明液体である1,2,3,4-テトラヒドロ-6- ベンジルオキシ
ナフタレン-2- カルボン酸-4- ヘプチルエステル 0.40g
(1.05mmol) を得た。
【0087】第5段階 第4段階で得られた1,2,3,4-テトラヒドロ-6- ベンジル
オキシナフタレン-2-カルボン酸-4- ヘプチルエステル
0.40g (1.05mmol) 、5 %Pd/炭素 0.20gおよびテトラ
ヒドロフラン 5mlの混合物中に、室温、常圧下で攪拌し
ながら水素を72時間吹き込んだ。得られた反応混合物を
ろ過助剤としてセライトを用いてろ過し、得られたろ液
を濃縮することにより、無色透明液体である1,2,3,4-テ
トラヒドロ-6- ヒドロキシナフタレン-2- カルボン酸-4
- ヘプチルエステル 0.29g (1.0mmol)を得た。
【0088】第6段階 第5段階で得られた1,2,3,4-テトラヒドロ-6- ヒドロキ
シナフタレン-2- カルボン酸-4- ヘプチルエステル 0.2
9g (1.0mmol)、別途常法により合成した4-デシルオキシ
ビフェニル-4'-カルボン酸 0.35g (1mmol)、4-N,N-ジメ
チルアミノピリジン 0.02g (0.16mmol) および塩化メチ
レン 10ml の混合物に、N,N'- ジシクロヘキシルカルボ
ジイミド 0.27g (1.3mmol)を含む塩化メチレン溶液 3ml
を、室温で攪拌しながら2時間かけて滴下した。
【0089】こうして得られた反応混合物を、さらに室
温下で4時間反応させた。次いで、この反応混合物をろ
過し、得られたろ液を濃縮した。この濃縮物をカラムク
ロマトグラフィーを用いて分離することにより、無色の
半固体 0.46gを得た。
【0090】この半固体のFDマススペクトル値M/e は62
6 であった。図1に得られた半固体状化合物の1H-NMRス
ペクトルチャートを示す。以上の測定結果から、この化
合物は、目的とする6-(4- デシルオキシビフェニル-4'-
カルボニルオキシ)-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-2
- カルボン酸-4-ヘプチルエステル〔例示化合物(1
7)〕であると同定された。
【0091】上記例示化合物(17)の相転移温度を下記
表2に示す。なお、表中、Iso は等方性液体相を示し、
SmA はスメクチックA相を示し、SmC はスメクチックC
相を示し、SmX は未同定のスメクチック相を示し、Cry
は結晶相を示し、2相、例えば等方性液体相とスメクチ
ックA相との臨界温度が表中に示されている。
【0092】
【表4】
【0093】
【実施例2】6-(4- デシルビフェニル-4'-カルボニルオキシ)-1,2,3,
4-テトラヒドロナフタレン-2- カルボン酸-4- ヘプチル
エステル〔例示化合物(24)〕:
【0094】
【化22】
【0095】の合成 実施例1の第6段階において、4-デシルオキシビフェニ
ル-4'-カルボン酸の代わりに4-デシルビフェニル-4'-カ
ルボン酸を用いる以外は実施例1と同様にして無色の半
固体 0.45gを得た。
【0096】この半固体のFDマススペクトル値M/e は61
0 であった。図2に得られた半固体状化合物の1H-NMRス
ペクトルチャートを示す。以上の測定結果から、この化
合物は、目的とする6-(4- デシルビフェニル-4'-カルボ
ニルオキシ)-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-2- カル
ボン酸-4- ヘプチルエステル〔例示化合物(24)〕であ
ると同定された。
【0097】上記例示化合物(24)の相転移温度を下記
表3に示す。なお、表中の記号および数値は、表2に示
された記号および数値と同様の意味を表している。
【0098】
【表5】
【0099】
【実施例3】6-[(4-デシルオキシフェニル)シクロヘキサン-4'-カル
ボニルオキシ]-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-2- カ
ルボン酸-4- ヘプチルエステル〔例示化合物(79)〕:
【0100】
【化23】
【0101】の合成 実施例1の第6段階において、4-デシルオキシビフェニ
ル-4'-カルボン酸の代わりに4-(4- デシルオキシフェニ
ル)シクロヘキサンカルボン酸を用いる以外は実施例1
と同様にして無色の半固体 0.44gを得た。
【0102】この半固体のFDマススペクトル値M/e は63
2 であった。図3に得られた半固体状化合物の1H-NMRス
ペクトルチャートを示す。以上の測定結果から、この化
合物は、目的とする6-[(4-デシルオキシフェニル)シク
ロヘキサン-4'-カルボニルオキシ]-1,2,3,4-テトラヒド
ロナフタレン-2-カルボン酸-4- ヘプチルエステル〔例
示化合物(79)〕であると同定された。
【0103】上記例示化合物(79)の相転移温度を下記
表4に示す。なお、表中の記号および数値は、表2に示
された記号および数値と同様の意味を表している。
【0104】
【表6】
【0105】
【実施例4】6-(4- デシルオキシフェニルカルボニルオキシ)-1,2,3,
4-テトラヒドロナフタレン-2- カルボン酸-4- ヘプチル
エステル〔例示化合物(86)〕:
【0106】
【化24】
【0107】の合成 実施例1の第6段階において、4-デシルオキシビフェニ
ル-4'-カルボン酸の代わりに4-デシルオキシ安息香酸を
用いる以外は実施例1と同様にして無色の半固体 0.39g
を得た。
【0108】この半固体のFDマススペクトル値M/e は55
2 であった。図4に得られた半固体状化合物の1H-NMRス
ペクトルチャートを示す。以上の測定結果から、この化
合物は、目的とする6-(4- デシルオキシフェニルカルボ
ニルオキシ)-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-2- カル
ボン酸-4- ヘプチルエステル〔例示化合物(86)〕であ
ると同定された。
【0109】上記例示化合物(24)の相転移温度を下記
表5に示す。なお、表中の記号および数値は、表2に示
された記号および数値と同様の意味を表している。
【0110】
【表7】
【0111】
【実施例5】 4-(6- デシルオキシ-1,2,3,4- テトラヒドロナフタレン
-2- カルボニルオキシ)安息香酸-4- ヘプチルエステル
〔例示化合物(101 )〕:
【0112】
【化25】
【0113】の合成 第1段階 4-ベンジルオキシ安息香酸 3.42g (15mmol) 、4-ペンタ
ノール 1.74g (15mmol) 、4-N,N-ジメチルアミノピリジ
ン 0.18g (1.5mmol)および塩化メチレン 15mlの混合物
に、N,N'- ジシクロヘキシルカルボジイミド 3.71g (18
mmol) を含む塩化メチレン溶液 10ml を、室温で攪拌し
ながら2時間かけて滴下した。
【0114】こうして得られた反応混合物を、さらに室
温下で12時間反応させた。次いで、この反応混合物をろ
過し、得られたろ液を濃縮した。この濃縮物をカラムク
ロマトグラフィーを用いて分離することにより、無色液
体である4-ベンジルオキシ安息香酸-4- ペンチルエステ
ル 2.64g (8.1mmol)を得た。
【0115】第2段階 第1段階で得られた4-ベンジルオキシ安息香酸-4- ペン
チルエステル 2.64g (8.1mmol)、5 %Pd/炭素 0.3g お
よびテトラヒドロフラン 30ml の混合物中に、室温、常
圧下で攪拌しながら水素を19時間吹き込んだ。得られた
反応混合物をろ過助剤としてセライトを用いてろ過し、
得られたろ液を濃縮することにより、淡黄色透明液体で
ある4-ヒドロキシト安息香酸-4- ペンチルエステル 1.8
1g (7.7mmol)を得た。
【0116】第3段階 第1段階で得られたる4-ヒドロキシト安息香酸-4- ペン
チルエステル 0.26g (1.1mmol)、実施例1の第1段階で
得られた1,2,3,4-テトラヒドロ-6- デシルオキシナフタ
レン-2- カルボン酸 0.37g 81.1mmol)、4-N,N-ジメチル
アミノピリジン0.013g (0.11mmol)および塩化メチレン
10ml の混合物に、N,N'- ジシクロヘキシルカルボジイ
ミド 0.27g (1.3mmol)を含む塩化メチレン溶液 5mlを、
室温で攪拌しながら1.5 時間かけて滴下した。
【0117】こうして得られた反応混合物を、さらに室
温下で4時間反応させた。次いで、この反応混合物をろ
過し、得られたろ液を濃縮した。この濃縮物をカラムク
ロマトグラフィーを用いて分離することにより、無色の
半固体 0.46gを得た。
【0118】この半固体のFDマススペクトル値M/e は55
0 であった。図5に得られた半固体状化合物の1H-NMRス
ペクトルチャートを示す。以上の測定結果から、この化
合物は、目的とする4-(6- デシルオキシ-1,2,3,4- テト
ラヒドロナフタレン-2- カルボニルオキシ)安息香酸-4
- ヘプチルエステル〔例示化合物(101 )〕であると同
定された。
【0119】上記例示化合物(101 )の相転移温度を下
記表6に示す。なお、表中の記号および数値は、表2に
示された記号および数値と同様の意味を表している。
【0120】
【表8】
【0121】
【実施例6】実施例1で測定された例示化合物(17)の
SmX 相を同定するために、例示化合物(17)と下記式
〔A〕:
【0122】
【化26】
【0123】で表される反強誘電性液晶化合物との2元
系液晶組成物を調整し、それぞれの配合比を変えた場合
の相転移温度を測定し、2成分の配合比と相転移温度と
の関係を示す相図を作成した。
【0124】この相図を図6に示す。図6に示された結
果から、SmX 相は、反強誘電性液晶相(SmCA相)である
ことが判明した。
【0125】
【実施例7、比較例1】実施例1で得られた例示化合物
(17)と下記式〔B〕:
【0126】
【化27】
【0127】で表される化合物を重量比で50:50の
割合で混合して得られた組成物をセルギャップ2μmに
充填した光透過型液晶セル(試験セル)の両側に偏光板
をクロスニコル位に、偏光板、光透過型液晶セルおよび
偏光板の順序で光が透過するように配置して反強誘電性
液晶素子を作成した。
【0128】また、比較のために上記組成物に代えて上
記式〔B〕で表される化合物のみを充填した以外は上記
と同様にして反強誘電性液晶素子を作成した。この状態
で、それぞれの液晶分子が示すチルト角および自発分極
の大きさを下記のようにして測定した。チルト角 直流電圧を試験セルに印加し、正電圧を印加して試験セ
ル内部の上記組成物中の液晶分子を強誘電状態に配向さ
せた場合および負電圧を印加して試験セル内部の上記組
成物中の液晶分子を強誘電状態に配向させた場合につ
き、それぞれ反強誘電性液晶素子の出力光が最暗状態と
なる、すなわち、偏光板、光透過型液晶セルおよび偏光
板の順序で透過してきた光量が最も少なくなるように上
記一対の偏光板に対して試験セルを回転し、それぞれの
回転角度θ1 およびθ2 を測定し、次式からチルト角θ
を求めた。
【0129】チルト角θ=(θ2 −θ1 )/2自発分極 図7に示す測定回路を構成し、回路中の試験セルに30V
/2μm、100Hz の矩形波を印加し、分極反転電流値を
測定し、この値を自発分極の大きさとした。
【0130】結果を、下記表7に示す。
【0131】
【表9】
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、本発明で得られた新規化合物である
6-(4- デシルオキシビフェニル-4'-カルボニルオキシ)-
1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-2- カルボン酸-4- ヘ
プチルエステルの1H-NMRスペクトルチャートである。
【図2】 図2は、本発明で得られた新規化合物である
6-(4- デシルビフェニル-4'-カルボニルオキシ)-1,2,3,
4-テトラヒドロナフタレン-2- カルボン酸-4- ヘプチル
エステルの1H-NMRスペクトルチャートである。
【図3】 図3は、本発明で得られた新規化合物である
6-[(4-デシルオキシフェニル)シクロヘキサン-4'-カル
ボニルオキシ]-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-2- カ
ルボン酸-4- ヘプチルエステルの1H-NMRスペクトルチャ
ートである。
【図4】 図4は、本発明で得られた新規化合物である
6-(4- デシルオキシフェニルカルボニルオキシ)-1,2,3,
4-テトラヒドロナフタレン-2- カルボン酸-4- ヘプチル
エステルの1H-NMRスペクトルチャートである。
【図5】 図5は、本発明で得られた新規化合物である
4-(6- デシルオキシ-1,2,3,4- テトラヒドロナフタレン
-2- カルボニルオキシ)安息香酸-4- ヘプチルエステル
1H-NMRスペクトルチャートである。
【図6】 図6は、SmX 相が反強誘電性液晶相であるこ
とを示す2元系液晶組成物の相図である。
【図7】 図7は、本発明で液晶分子の自発分極の大き
さを測定する際に用いた回路を示す図面である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C07C 69/94 C07C 69/94 233/81 9547−4H 233/81 235/54 9547−4H 235/54 235/56 9547−4H 235/56 323/61 7419−4H 323/61 323/62 7419−4H 323/62 327/32 7106−4H 327/32 C07D 239/26 C07D 239/26 239/32 239/32 C09K 19/14 9279−4H C09K 19/14 19/20 9279−4H 19/20 19/22 9279−4H 19/22 19/28 9279−4H 19/28 19/30 9279−4H 19/30 19/34 9279−4H 19/34 G02F 1/13 500 G02F 1/13 500

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 次式(I): R−X−A1 −Y−A2 −CO2 −CH(Cn 2n+12 …(I) 〔式(I)中、 Rは、炭素数3〜20のアルキル基、炭素数3〜20の
    ポリフルオロアルキル基から選ばれる基およびこれらの
    基中に存在する1個または隣接していない2個以上の-C
    H2- 基または-CF2- 基が-O- 基で置換された基から選ば
    れる1種の基を表し、 Xは、-O- または単結合を表し、 A1 およびA2 は、それぞれ独立して 【化1】 から選ばれる基を表し、A1 およびA2 の少なくとも一
    方は、 【化2】 であり、 Yは、-COO- 、-OCO、-CH2CH2-、-CH2O-、-OCH2-、-CON
    H-、-NHCO-、-SCO- 、-COS- 、-CH2S-および-SCH2-から
    選ばれる1種の基を表し、 nは、2〜8の整数を表す。〕で表されるカルボン酸エ
    ステル化合物。
  2. 【請求項2】 前記式(1)中、Rが、炭素数3〜20
    のアルキル基または炭素数2〜19のアルコキシ基であ
    り、 A1 およびA2 が、それぞれ独立して 【化3】 から選ばれる1種の基を表し、A1 およびA2 の少なく
    とも一方が、 【化4】 であり、 Yが、-COO- である請求項2に記載のカルボン酸エステ
    ル化合物。
  3. 【請求項3】 次式(I): R−X−A1 −Y−A2 −CO2 −CH(Cn 2n+12 …(I) 〔式(I)中、 Rは、炭素数3〜20のアルキル基、炭素数3〜20の
    ポリフルオロアルキル基から選ばれる基およびこれらの
    基中に存在する1個または隣接していない2個以上の-C
    H2- 基または-CF2- 基が-O- 基で置換された基から選ば
    れる1種の基を表し、 Xは、-O- または単結合を表し、 A1 およびA2 は、それぞれ独立して 【化5】 から選ばれる基(ただし、A1 およびA2 の少なくとも
    一方は、 【化6】 である。)を表し、 Yは、-COO- 、-OCO、-CH2CH2-、-CH2O-、-OCH2-、-CON
    H-、-NHCO-、-SCO- 、-COS- 、-CH2S-および-SCH2-から
    選ばれる1種の基を表し、 nは、2〜8の整数を表す。〕で表される反強誘電性液
    晶化合物。
  4. 【請求項4】 上記式(I)中、 A1 およびA2 が、それぞれ独立して 【化7】 から選ばれる1種の基(ただし、A1 およびA2 の少な
    くとも一方は、 【化8】 である。)である請求項3に記載の反強誘電性液晶化合
    物。
  5. 【請求項5】 上記式(I)中、Yが-COO- または-CH2
    O −である請求項4に記載の反強誘電性液晶化合物。
  6. 【請求項6】 請求項1または2のいずれか1項に記載
    のカルボン酸エステル化合物を含有することを特徴とす
    る反強誘電性液晶組成物。
  7. 【請求項7】 液晶セルを備えた液晶素子であって、該
    液晶セル内部の電極間に請求項3ないし5のいずれか1
    項に記載の反強誘電性液晶化合物または請求項6に記載
    の反強誘電性液晶組成物が充填されていることを特徴と
    する反強誘電性液晶素子。
JP22836795A 1995-09-05 1995-09-05 カルボン酸エステル化合物、反強誘電性液晶化合物、反強誘電性液晶組成物および反強誘電性液晶素子 Expired - Fee Related JP3795106B2 (ja)

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CN102888227A (zh) * 2012-09-20 2013-01-23 北京八亿时空液晶科技股份有限公司 一种液晶化合物及其制备方法与应用

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