JPH0967625A - 耐遅れ破壊性に優れた浸炭高強度ネジの製造方法 - Google Patents

耐遅れ破壊性に優れた浸炭高強度ネジの製造方法

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JPH0967625A
JPH0967625A JP22228895A JP22228895A JPH0967625A JP H0967625 A JPH0967625 A JP H0967625A JP 22228895 A JP22228895 A JP 22228895A JP 22228895 A JP22228895 A JP 22228895A JP H0967625 A JPH0967625 A JP H0967625A
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delayed fracture
steel
less
strength
carburized
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JP22228895A
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Takehiko Kato
猛彦 加藤
Yuuichi Namimura
裕一 並村
Toyofumi Hasegawa
豊文 長谷川
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Kobe Steel Ltd
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Kobe Steel Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 冷間鍛造性が良好であると共に、優れた耐遅
れ破壊性を発揮する浸炭高強度ネジの製造方法を提供す
る。 【解決手段】 C:0.05〜0.15%,Si:0.
10%以下,Mn:1.6%以下,P:0.010%以
下,S:0.010%以下,Al:0.01〜0.05
%を含有し、残部Fe及び不純物からなる鋼を、燐を含
まない潤滑皮膜形成剤で処理した後、ねじ形状に成形加
工し、次いで浸炭焼入れ焼戻し処理を行うことを特徴と
する。さらに、鋼成分として、Ti:0.10%以下、
Cr:0.5%以下、Mo:0.25%以下のうち1種
または2種以上を含有する鋼を用いてもよい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は電気製品,カメラ,
AV機器等の精密機器や建築用資材等に使用されるタッ
ピンねじや小ねじ等の浸炭高強度ネジを製造する方法に
関し、特に耐遅れ破壊性に優れた浸炭高強度ネジの製造
方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】浸炭高強度ねじを製造するにあたって
は、熱間圧延線材を用いて、脱スケール,伸線,球状化
焼鈍,酸洗い,燐酸亜鉛皮膜処理,仕上げ伸線の各工程
に付した後、冷間鍛造によりねじ形状に成形し、最後に
所定強度を付与するための浸炭焼入れ焼戻しを行うとい
う方法を採用することが一般的である。
【0003】特にタッピンねじの場合には、下穴だけの
めねじ側に自らねじを加工しながら締付ける必要がある
ことから、高い表面硬度と内部靭性が要求されている。
そこで炭素の含有量を低めに設定した上で、焼入性向上
を目的としてSi,Mn等の合金化元素を含有させた低
炭素鋼(例えば、特公平5−63542)が提案されて
おり、浸炭焼入れ焼戻し処理を施すことにより、表面硬
さはHv500以上、芯部硬さはHv300〜400を
示すタッピンねじが開発されている。
【0004】この様にして製造される浸炭高強度ねじの
必要特性としては、使用中に突然破断する遅れ破壊に対
し抵抗力を有すること、即ち耐遅れ破壊性に優れること
が重要であり、上記低炭素鋼では、P,Sの含有量を微
量に限定することにより耐遅れ破壊性の改善が図られて
いる。
【0005】しかしながら、上記低炭素鋼を用いたタッ
ピンねじを始め従来のタッピンねじでは、カメラ等の精
密機器や自動車に組み込まれたねじが、頻度こそは低い
が、遅れ破壊により破断する場合があり、特にカメラの
場合にはねじの交換が困難なことがあるため、ねじの破
損が製品寿命につながることがあった。
【0006】ボルトの場合には、引張強さが120kg
f/mm2 を超えると、耐遅れ破壊性の劣化が顕著とな
ることが知られており、これは表面からの浸燐により表
層部に燐濃化層が形成されている場合に起こることが確
認されている。
【0007】タッピンねじの場合、引張強さはその寸法
や形状等の制約から直接測定することは難しいが、硬度
換算により引張強さを推定することは可能であり、硬度
がHv500以上の表層部における引張強さは120k
gf/mm2 を超えているものと推定される。従って、
上記タッピンねじの場合も表層部の燐濃化層が遅れ破壊
を引き起こしていることが十分予想される。しかし、浸
燐によるねじの遅れ破壊に対しては何ら対策が採られて
いないのが現状である。
【0008】高強度部材の浸燐対策に関しては、特開平
2−247332の技術が知られている。しかしこの技
術はC量が0.2%以上と高く、しかもMn及びCrの
合金化元素により焼入れ性の向上を図る高強度ボルトを
対象とするものであり、高い表面硬度と内部靭性が要求
されるタッピンねじに関しては、十分に信頼性の高い製
造方法が確立されていなかった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記事情に着
目してなされたものであって、冷間鍛造性が良好である
と共に、優れた耐遅れ破壊性を発揮する浸炭高強度ネジ
の製造方法を提供しようとするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決した本発
明の製造方法とは、C:0.05〜0.15%,Si:
0.10%以下,Mn:1.6%以下,P:0.010
%以下,S:0.010%以下,Al:0.01〜0.
05%を含有し、残部Fe及び不純物からなる鋼を、燐
を含まない潤滑皮膜形成剤で処理した後、ねじ形状に成
形加工し、次いで浸炭焼入れ焼戻し処理を行うことを要
旨とするものである。さらに、鋼成分として、Ti:
0.10%以下、Cr:0.5%以下、Mo:0.25
%以下のうち1種または2種以上を含有する鋼を用いて
もよい。
【0011】また、Mn含有量が0.5%以下である上
記鋼を用いて、浸炭焼入れ焼戻し後の表面硬さをHv5
30〜560、芯部硬さをHv340〜380に形成す
れば、特に冷間鍛造性に優れる浸炭高強度ネジが製造で
き、またMn含有量が0.5〜1.6%である上記鋼を
用いて、浸炭焼入れ焼戻し後の表面硬さをHv560〜
600、芯部硬さをHv320〜360に形成すれば、
耐遅れ破壊性の非常に優れた浸炭高強度ネジを製造する
ことができる。
【0012】
【発明の実施の形態】前述の通り、ねじの製造工程にお
いては、冷間鍛造により所定のねじ形状に成形するに際
して、燐酸亜鉛皮膜処理を施すことが一般的であり、素
材が含有する燐のみならず、製造過程で浸燐により形成
される燐濃化層が耐遅れ破壊性に悪影響を与えており、
必ずしも信頼性の高い耐遅れ破壊性に優れた浸炭高強度
ねじの製造方法とはなり得ていなかった。即ち、潤滑処
理剤として一般に採用されている燐酸塩皮膜形成剤を用
いた場合には、該燐酸塩皮膜形成剤が素材に付着したま
ま焼入れ焼戻し処理が施されると、素材表面の粒界部分
から浸燐が起こり、燐濃化層が形成され、遅れ破壊を促
進するものと考えられる。
【0013】従って、本発明の製造方法においては、潤
滑処理剤として燐を含まない潤滑皮膜形成剤を用いるこ
とが不可欠である。燐を含まない潤滑皮膜形成剤として
は、石灰,蓚酸塩皮膜,二硫化モリブデン,黒鉛等を用
いれば良い。
【0014】本発明の製造方法では、燐を含まない潤滑
皮膜で成形加工がおこなわれるので、浸炭焼入れ時に浸
燐が発生することがなく、燐濃化層による耐遅れ破壊性
の劣化を防止することができる。
【0015】次に、本発明に係る浸炭高強度ネジの製造
方法において、各鋼成分の限定理由について説明する。 C:0.05〜0.15% Cは、焼入れ性を向上させ、浸炭熱処理後の強度を確保
するために必要な元素である。含有量が0.05%未満
では、表面硬さ及び芯部硬さが低く、所定の引張強さが
確保できないため、締付力低下により遅れ破壊強さが劣
化するので、0.05%以上必要である。
【0016】Cの上限値については以下の通り、遅れ破
壊の点から特に重要である。即ち、本発明者らは、鋼中
の固溶C量が多いと、拡散性水素のトラップサイトとな
り得る各種化合物が固溶Cにトラップされてしまう結
果、遅れ破壊強さが大きく低減することとなることを見
出した。拡散性水素を鋼中で十分にトラップさせるため
には、C含有量を0.15%以下に制限することが必要
である。0.15%を超えて多量に添加すると、鋼中の
固溶C量を増大させて拡散性水素による脆化を防止する
ことができない。しかも、焼戻し処理後の表面硬さ及び
芯部硬さが高くなり過ぎ、遅れ破壊強さが却って低下す
ると共に、ねじ成形時の変形抵抗を上昇させ、工具寿命
の低下を招く。よって、C含有量は0.05〜0.15
%の範囲とするが、0.07〜0.13%の範囲であれ
ば、より好ましい。
【0017】Si:0.10%以下(但し、0%は含ま
ない) Siは、焼戻し軟化抵抗性及び焼入れ性を向上させ、強
度を高くする元素である。但し、フェライト地を硬化さ
せ冷間圧造時の変形抵抗を増大させる結果、工具寿命の
低下を招く。更に浸炭時に粒界が酸化することにより遅
れ破壊強さの劣化をもたらす。従ってSi含有量は0.
10%以下とした。
【0018】Mn:1.6%以下(但し、0%は含まな
い) Mnは焼入れ性を向上させ、靭性を保ちながら強度を上
昇させるのに必要な元素である。しかも本発明でC含有
量を低下させた分の焼入れ性を補うという観点からも重
要な元素である。但し多過ぎると、粒界酸化物の生成と
Pの偏析を助長することにより遅れ破壊強さを低下させ
る。また冷間圧造時の変形抵抗を増大させる結果、工具
寿命の低下を招く。従って、1.6%以下とする。
【0019】尚、本発明は、冷間鍛造性に優れ、しかも
耐遅れ破壊性に優れた浸炭高強度ねじの製造方法を提供
しようとするものであるが、特にMn含有量を制御する
ことにより、表面と芯部におけるビッカース硬さのバラ
ンスを調整して冷間鍛造性または耐遅れ破壊性のより一
層の向上を図ることができる。
【0020】例えば、Mn含有量が0.5%以下の場合
には、浸炭焼入れ焼戻し後の表面硬さをHv530〜5
60,芯部硬さをHv340〜380に調整でき、冷間
鍛造性に特に優れた浸炭高強度ねじを製造することが可
能である。この場合では、Mn含有量が0.30%以
上、0.45%以下であればより好ましい。
【0021】一方Mn含有量が0.5〜1.6%の場合
には、浸炭焼入れ焼戻し後の表面硬さをHv560〜6
00,芯部硬さをHv320〜360に調整でき、耐遅
れ破壊性に非常に優れた浸炭高強度ねじを製造すること
ができる。この場合では、Mn含有量が1.10%以
上、1.30%以下であればより好ましい。
【0022】P:0.010%以下 Pは、粒界偏析を起こして耐遅れ破壊性を劣化させるの
で、0.010%以下とすることが必要であり、0.0
07%以下であればより好ましい。
【0023】S:0.010%以下 Sは、鋼中でMnSを形成することにより、応力が負荷
された時の応力集中箇所となる。従って耐遅れ破壊性の
改善にはS含有量を減少させることが必要であり、上限
は0.010%に定めた。尚、好ましくは0.007%
以下である。
【0024】Al:0.01〜0.05% Alは鋼中のNを捕捉してAlNを形成し、結晶粒を微
細化することによって耐遅れ破壊性の向上に寄与するの
で0.01%以上の添加が必要である。しかし0.05
%を超えると酸化物系介在物が生成し、該介在物が却っ
て耐遅れ破壊性を劣化させるので、0.05%を上限と
定めた。尚、Al含有量の好ましい範囲は、0.025
〜0.035%である。
【0025】本発明では上記鋼成分に加えて、更にT
i,Cr,Moを加えることにより、優れた特性を示す
浸炭高強度ネジを製造することができる。その理由を以
下に示す。
【0026】Ti:0.10%以下 Tiは鋼中のNを固定して窒化物を形成すると共に、炭
化物を形成することにより、結晶粒の微細化に有用であ
り、耐遅れ破壊性の向上に効果的である。また低温焼戻
しにおける焼戻し脆性を低減する効果をもっている。但
し、0.10%を超えて添加すると、圧延後の冷却過程
におけるTi化合物の析出硬化により必要以上に硬さの
増大を招き、冷間圧造時の変形抵抗が上昇し、工具寿命
の低減を招く。また冷間鍛造性の低下は、特に熱間圧延
後に表面疵を形成する原因ともなるから上限は0.10
%に設定した。尚、好ましい範囲は0.02〜0.06
%であり、0.03〜0.05%程度であるとより好ま
しい。
【0027】Cr:0.5%以下 Crは、焼入性を高めて高強度を確保するために有用な
元素である。但し、多量に添加し過ぎると炭化物を安定
化させ、冷間圧造性に悪影響を与えるので、Crの上限
は0.5%に設定した。尚、Cr含有量の好ましい範囲
は、0.15〜0.25%程度である。
【0028】Mo:0.25%以下 Moは焼入性と粒界強化作用により耐遅れ破壊性を向上
させる有用な元素である。しかし、多量に添加すると微
細な炭化物を析出し、冷間圧造性を阻害するので0.2
5%を上限値とした。尚、Mo含有量の好ましい範囲
は、0.10〜0.15%程度である。
【0029】以上のように製造されたボルトの品質は、
表面硬さ及び芯部硬さについて以下の条件を満足させる
ことにより最終製品として優れた耐遅れ破壊性を有する
ボルトを得ることができる。
【0030】表面硬さは所定のボルト締付力を確保する
上でHv530以上とすることが望ましく、一方高くな
り過ぎると、切欠き感受性が高まり亀裂発生を促進し耐
遅れ破壊性を劣化させるので、Hv600以下が好まし
い。
【0031】芯部硬さも、表面硬さ同様、所定のボルト
締付力を確保するためにHv320以上であることが好
ましく、一方高くなり過ぎると靭性が低下し耐遅れ破壊
性を劣化させるので、Hv380以下が望ましい。
【0032】尚、前述の通り、本発明においてMn含有
量が0.5%以下である鋼を用いる場合には、浸炭焼入
れ焼戻し後の表面硬さをHv530〜560、芯部硬さ
をHv340〜380に調整することにより、冷間鍛造
性に特に優れた浸炭高強度ねじを製造することができ
る。また、Mn含有量が0.5〜1.6%である鋼を用
いる場合には、浸炭焼入れ焼戻し後の表面硬さをHv5
60〜600、芯部硬さをHv320〜360に調整す
ることにより、耐遅れ破壊性に非常に優れた浸炭高強度
ねじを製造することができる。
【0033】以下本発明を実施例によって更に詳細に説
明するが、下記実施例は本発明を限定する性質のもので
はなく、前・後記の主旨に徴して設計変更することはい
ずれも本発明の技術的範囲に含まれるものである。
【0034】
【実施例】実施例1 表1に示す化学成分を含有する鋼材を150kg/c
h、小型真空溶解炉にて溶製し、155角のビレットに
鍛伸後、ダミービレットを溶接し、熱間圧延により6.
50mmφ線材に圧延した。
【0035】6.50mmφ線材をメカニカルデスケー
ラーで脱スケールを行った後、5.50mmφに伸線
し、球状化焼鈍を行った。その線材を機械加工により図
1に示す拘束圧縮試験片に加工した。この試験片につい
ては300Tプレスにて圧縮率で60%の拘束圧縮試験
を行い、その時の変形抵抗を求めた。
【0036】また浸炭焼入れ焼戻し後の性質と遅れ破壊
特性を調査するため図2に示すM6ボルトを作製した。
5.50mmφ球状化焼鈍材を酸洗いした後、各種潤滑
剤を付着させ、具体的には燐酸亜鉛皮膜,蓚酸塩皮膜,
石灰,二硫化モリブデン,黒鉛等で皮膜処理後、5.2
mmφに伸線し、図2に示すM6ボルトを圧造し、ねじ
転造後、浸炭焼入れ焼戻し処理(900℃×20分→油
焼入れ,200〜300℃×40分戻し)を行った。こ
れらのボルト形状試験片については定荷重型テコ式遅れ
破壊試験機を使用し、負荷直前に15%HClの塩酸に
30分浸漬し、水洗乾燥後、大気中で負荷する酸→大気
方式の促進式遅れ破壊試験を実施し、100時間経過し
ても破断しない最大負荷応力を求め比較した。その結果
を表1に示す。
【0037】
【表1】
【0038】No.1〜4は、いずれも本発明の条件を
満足しMn量が0.5%以下の場合の本発明鋼であり、
変形抵抗が小さく冷間圧造性に優れると共に、遅れ破壊
強さが大きく、耐遅れ破壊性に優れている。
【0039】No.5はC量が低すぎる場合の比較鋼で
あり、芯部硬さが低く所定の締付力が確保できず遅れ破
壊強さが低下している。No.6はC量が高すぎる場合
の比較鋼であり、表面硬さ及び芯部硬さが高くなり過
ぎ、耐遅れ破壊性が乏しい。しかも変形抵抗が高く、冷
間圧造性にも劣る。No.7はSiが上限値を超える場
合の比較鋼であり、遅れ破壊強さが小さい。更に、フェ
ライト地の硬さ上昇により変形抵抗が高くなった。N
o.8はMnが高い場合の比較鋼であり、遅れ破壊強さ
が小さい。No.9はP含有量が高い場合の比較鋼であ
り、粒界強度の低下による遅れ破壊強さの低下が顕著で
あった。No.10はS含有量が高い場合の比較鋼であ
り、MnSの生成による悪影響で遅れ破壊強さの低下が
認められた。No.11はTiを増量して添加した場合
の比較鋼であり、多量なTi化合物の生成により遅れ破
壊強さが低下した。更にTiの微細化合物による析出硬
化で変形抵抗が高くなった。
【0040】No.12,13はCrまたはMoを添加
した場合の発明鋼であり、焼入れ性向上と粒界強化作用
により遅れ破壊強さの向上が達成されている。No.1
4はCr添加量が上限値を超える場合の比較鋼であり、
遅れ破壊強さは優れるが、変形抵抗が高くなり、冷間圧
造性が劣化している。No.15はMo添加量が上限を
超える場合の比較鋼であり、Crが多過ぎるNo.14
と同様、遅れ破壊強さは大きいが、冷間圧造工具寿命を
支配する変形抵抗が高い。
【0041】No.16は燐酸亜鉛により潤滑皮膜処理
したボルトを熱処理した比較鋼であり、浸燐により表面
から30μmの深さまで燐濃化層が形成されており、最
表層部の粒界強度が大きく低下した結果、遅れ破壊強さ
が顕著に減少している。
【0042】この様に、Mn含有量が0.5%以下で、
ビッカース硬さで表面部がHv530〜560,芯部が
Hv340〜380である本発明鋼は、遅れ破壊強さが
130kgf/mm2 以上であり耐遅れ破壊性に優れて
いると共に、変形抵抗が50kgf/mm2 以下であ
り、特に冷間鍛造性に優れていることが分かる。
【0043】実施例2 表2に示す成分の鋼を用いて、実施例1と同様にして、
変形抵抗及び耐遅れ破壊性を調べた。結果は表3に示
す。
【0044】
【表2】
【0045】
【表3】
【0046】No.1は本発明の条件をすべて満足する
発明鋼であり、変形抵抗が小さく、耐遅れ破壊性に優れ
ている。No.2はCが高過ぎる場合の比較鋼であり、
変形抵抗が高く、遅れ破壊強さは低くなる。No.3は
Cが低過ぎる場合の比較鋼であり、芯部の硬度が低く、
十分な強度が得られていない。No.4はSiが高過ぎ
る場合の比較鋼であり、変形抵抗が高く、浸炭焼入れ焼
戻し後の表面硬度が低い。No.5はMnが高過ぎる場
合の比較鋼であり、変形抵抗が高いと共に、遅れ破壊強
さも小さい。No.6はMnが少な過ぎる場合の比較鋼
であり、芯部の硬度が低く所要の強度が得られない。N
o.7はSが高過ぎる場合の比較鋼であり、遅れ破壊強
さも小さい。No.8はPが多過ぎる場合の比較鋼であ
り、遅れ破壊強さが小さい。No.9はAlが少な過ぎ
る場合の比較鋼であり、結晶粒が粗大化し、その結果遅
れ破壊強さが小さくなっている。No.10はAlが高
過ぎる場合の比較鋼であり、アルミナ系の介在物が増大
しその結果、破壊起点が増加するため耐遅れ破壊性が乏
しい。
【0047】No.11はTiを添加した場合の本発明
鋼であり、Ti添加により結晶粒が微細化し、その結果
遅れ破壊強さが向上している。一方No.12はTiが
多過ぎる場合の比較鋼であり、変形抵抗が高くなり、冷
間圧造性が低下する。No.13はCrを添加した場合
の本発明鋼であり、優れた遅れ破壊強さを示す。一方N
o.14はCrが多過ぎる場合の比較鋼であり、変形抵
抗が高くなり、冷間圧造性が低下する。
【0048】No.15はMoを添加した場合の比較鋼
であり、優れた遅れ破壊強さを示す。一方No.16は
Moが多過ぎる場合の比較鋼であり、変形抵抗が高くな
り、冷間圧造性が低下する。No.17はCrとMoを
含有する本発明鋼の例であり、優れた遅れ破壊強さを示
す。No.18はCr,Mo及びTiを含有する本発明
鋼の例であり、非常に優れた遅れ破壊強さを示す。
【0049】比較鋼No.19は本発明鋼No.1と同
じ化学成分の材料を燐酸亜鉛皮膜処理してからボルト成
形した後、浸炭焼入れ焼戻し処理したものであるが、潤
滑皮膜に起因する燐が鋼中に浸入し、いわゆる浸燐が発
生しており、その結果遅れ破壊強さが低下する。本発明
鋼No.20,21,22は本発明鋼No.1と同じ化
学成分の材料を使用して潤滑皮膜剤として燐を含まない
石灰,二硫化モリブデン,黒鉛を使用した例であるが、
いずれも浸燐は発生しておらず遅れ破壊強さも高い。
【0050】この様に、Mn含有量が0.5〜1.6%
であると共に、ビッカース硬さで表面部がHv560〜
600,芯部がHv320〜360である本発明鋼は、
変形抵抗が70kgf/mm2 以下であり、冷間鍛造性
に優れていると共に、遅れ破壊強さが170kgf/m
2 以上であり耐遅れ破壊性が非常に優れていることが
分かる。
【0051】
【発明の効果】本発明は以上の様に構成されているの
で、優れた冷間鍛造性を発揮すると共に、耐遅れ破壊性
に非常に優れた浸炭高強度ねじの製造方法が提供できる
こととなった。
【図面の簡単な説明】
【図1】変形抵抗の測定に用いた拘束圧縮試験片を示す
概略図である。
【図2】促進式遅れ破壊試験片を示す概略図である。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】C :0.05〜0.15%(重量%の意
    味、以下同じ) Si:0.10%以下 Mn:1.6%以下 P :0.010%以下 S :0.010%以下 Al:0.01〜0.05% を含有し、残部Fe及び不純物からなる鋼を、 燐を含まない潤滑皮膜形成剤で処理した後、ねじ形状に
    成形加工し、次いで浸炭焼入れ焼戻し処理を行うことを
    特徴とする耐遅れ破壊性に優れた浸炭高強度ネジの製造
    方法。
  2. 【請求項2】 鋼成分として更に、Ti:0.10%以
    下を含有する鋼を用いる請求項1に記載の浸炭高強度ネ
    ジの製造方法。
  3. 【請求項3】 鋼成分として更に、Cr:0.5%以
    下、Mo:0.25%以下のうち1種または2種を含有
    する鋼を用いる請求項1または2に記載の浸炭高強度ネ
    ジの製造方法。
  4. 【請求項4】 Mn含有量が0.5%以下である鋼を用
    いて、浸炭焼入れ焼戻し後の表面硬さをHv530〜5
    60、芯部硬さをHv340〜380に形成する請求項
    1〜3のいずれかに記載の浸炭高強度ネジの製造方法。
  5. 【請求項5】 Mn含有量が0.5〜1.6%である鋼
    を用いて、浸炭焼入れ焼戻し後の表面硬さをHv560
    〜600、芯部硬さをHv320〜360に形成する請
    求項1〜4のいずれかに記載の浸炭高強度ネジの製造方
    法。
JP22228895A 1995-08-30 1995-08-30 耐遅れ破壊性に優れた浸炭高強度ネジの製造方法 Withdrawn JPH0967625A (ja)

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JP22228895A Withdrawn JPH0967625A (ja) 1995-08-30 1995-08-30 耐遅れ破壊性に優れた浸炭高強度ネジの製造方法

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6558484B1 (en) 2001-04-23 2003-05-06 Hiroshi Onoe High strength screw
EP1342800A1 (en) * 2002-03-04 2003-09-10 Hiroshi Onoe Steel for high-strength screws and high-strength screw
CN114317901A (zh) * 2021-12-20 2022-04-12 贵阳华丰航空科技有限公司 一种十字槽盘头螺钉加工方法

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