JPH0967663A - アルミニウム押出し加工用ダイス及びその窒化方法 - Google Patents
アルミニウム押出し加工用ダイス及びその窒化方法Info
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- JPH0967663A JPH0967663A JP24072795A JP24072795A JPH0967663A JP H0967663 A JPH0967663 A JP H0967663A JP 24072795 A JP24072795 A JP 24072795A JP 24072795 A JP24072795 A JP 24072795A JP H0967663 A JPH0967663 A JP H0967663A
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 厚みが特定された白層及び窒素拡散層を形成
することにより、押出し加工時に破損のない押出し加工
用ダイスを得る。 【構成】 このダイスは、被押出し材であるアルミニウ
ム合金が接触する押出し加工用ダイス鋼の表面に厚さ1
00〜150μmの窒素拡散層を介して厚さ4〜8μm
の白層が形成されている。(白層+窒素拡散層の面積)
/(断面の全面積)の比は、押出し方向に垂直なダイス
部品の断面に関して70%以下にすることが好ましい。
窒化処理では、フッ素系ガス雰囲気でダイス鋼を300
〜520℃に保持し、次いでNH3 −RX混合ガス雰囲
気で450〜520℃に保持する。また、白層が摩耗に
よって消滅したとき、同様な条件下で再窒化処理を施
す。 【効果】 ダイス鋼の靭性を確保した状態で、硬質の耐
摩耗性窒化層をダイ表面に形成できるため、断面積の小
さなマンドレル部等の断面積が小さい部分の破損が防止
され、ダイス寿命の延命が図られる。
することにより、押出し加工時に破損のない押出し加工
用ダイスを得る。 【構成】 このダイスは、被押出し材であるアルミニウ
ム合金が接触する押出し加工用ダイス鋼の表面に厚さ1
00〜150μmの窒素拡散層を介して厚さ4〜8μm
の白層が形成されている。(白層+窒素拡散層の面積)
/(断面の全面積)の比は、押出し方向に垂直なダイス
部品の断面に関して70%以下にすることが好ましい。
窒化処理では、フッ素系ガス雰囲気でダイス鋼を300
〜520℃に保持し、次いでNH3 −RX混合ガス雰囲
気で450〜520℃に保持する。また、白層が摩耗に
よって消滅したとき、同様な条件下で再窒化処理を施
す。 【効果】 ダイス鋼の靭性を確保した状態で、硬質の耐
摩耗性窒化層をダイ表面に形成できるため、断面積の小
さなマンドレル部等の断面積が小さい部分の破損が防止
され、ダイス寿命の延命が図られる。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、耐久性に優れたアルミ
押出し加工用ダイス及びその製造方法に関する。
押出し加工用ダイス及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】自動車用ラジエータや空調用エアコン等
のアルミニウム製熱交換器には、押出し成形によって製
造された超薄肉の中空材が使用されている。この種の押
出しに使用されるダイスは、押出し用ダイスも複雑でし
かも形状精度の高いものが要求されるようになってきて
いる。この傾向は、薄肉中空材の押出しに限らず、他の
押出し成形品を製造する分野においても同様である。中
実押出し材製造に使用される押出し用ダイスは、図1に
示すようにダイ本体1にダイ孔を区画するベアリング面
2が形成されている。被押出し材であるアルミニウム合
金は、矢印で示す流れ3となってダイ孔を通過し、ダイ
孔に対応した断面をもつ押出し材4となる。また、中空
の押出し材を製造する場合には、図2に示すように雌型
ダイ5と雄型ダイ6とを組み合わせて使用する。雄型ダ
イ6には雌型ダイ5のダイ孔に送入されるマンドレル7
が形成されており、被押出し材であるアルミニウム合金
は、マンドレル7を取り囲む流れ3となって押出され
る。その結果、図示するような中空断面をもつ押出し形
材4が得られる。このような押出し用加工に使用される
ダイスは、塩浴窒化,ガス窒化等で窒化処理されてい
る。また、窒化層の耐摩耗性を向上させるため、特開平
3−44457号公報では、ダイス表面にフッ化物皮膜
を形成した後で窒化層を形成している。
のアルミニウム製熱交換器には、押出し成形によって製
造された超薄肉の中空材が使用されている。この種の押
出しに使用されるダイスは、押出し用ダイスも複雑でし
かも形状精度の高いものが要求されるようになってきて
いる。この傾向は、薄肉中空材の押出しに限らず、他の
押出し成形品を製造する分野においても同様である。中
実押出し材製造に使用される押出し用ダイスは、図1に
示すようにダイ本体1にダイ孔を区画するベアリング面
2が形成されている。被押出し材であるアルミニウム合
金は、矢印で示す流れ3となってダイ孔を通過し、ダイ
孔に対応した断面をもつ押出し材4となる。また、中空
の押出し材を製造する場合には、図2に示すように雌型
ダイ5と雄型ダイ6とを組み合わせて使用する。雄型ダ
イ6には雌型ダイ5のダイ孔に送入されるマンドレル7
が形成されており、被押出し材であるアルミニウム合金
は、マンドレル7を取り囲む流れ3となって押出され
る。その結果、図示するような中空断面をもつ押出し形
材4が得られる。このような押出し用加工に使用される
ダイスは、塩浴窒化,ガス窒化等で窒化処理されてい
る。また、窒化層の耐摩耗性を向上させるため、特開平
3−44457号公報では、ダイス表面にフッ化物皮膜
を形成した後で窒化層を形成している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】押出し加工において、
ベアリング面2等のダイス表面は、得られる押出し形材
の表面性状に大きな影響を及ぼすものであるが、押出し
中のアルミニウム合金が接触し、ダイス表面は、アルミ
ニウム合金の流れによって摩耗し易い箇所である。その
ため、ダイス表面を押出し開始時と同じ状態に如何に保
っておくかが押出し材の品質を安定化させる上で重要で
ある。たとえば、押出しの継続に伴ってベアリング面が
摩耗し、表面硬質層が部分的に脱落する。その結果、押
出し形材の寸法が変動し、表面品質を低下させるストリ
ーク等の欠陥が押出し形材の表面に現れ易くなる。そこ
で、実際の操業では、ある一定量を押し出た後でベアリ
ング面を研磨により形状修正し、再窒化処理を施し、次
の押出しに繰返し使用される。
ベアリング面2等のダイス表面は、得られる押出し形材
の表面性状に大きな影響を及ぼすものであるが、押出し
中のアルミニウム合金が接触し、ダイス表面は、アルミ
ニウム合金の流れによって摩耗し易い箇所である。その
ため、ダイス表面を押出し開始時と同じ状態に如何に保
っておくかが押出し材の品質を安定化させる上で重要で
ある。たとえば、押出しの継続に伴ってベアリング面が
摩耗し、表面硬質層が部分的に脱落する。その結果、押
出し形材の寸法が変動し、表面品質を低下させるストリ
ーク等の欠陥が押出し形材の表面に現れ易くなる。そこ
で、実際の操業では、ある一定量を押し出た後でベアリ
ング面を研磨により形状修正し、再窒化処理を施し、次
の押出しに繰返し使用される。
【0004】繰り返されるダイス表面の形状修正によっ
てダイスが痩せ細り、ついには廃棄処分される。しか
し、ダイスは高価なものであるから、廃棄されるまでに
再窒化によって繰返し使用可能な回数が大きいほど、生
産コストの低減につながる。特に超薄肉中空材の押出し
に使用される雄型ダイのマンドレルのように、微細押出
しに応じて精密で小さな断面形状をもつダイス部品で
は、繰返し使用回数を挙げることがダイスのコストを相
殺する上で重要になる。ところが、精密で小さな断面形
状をもつダイス部品では、表面に形成される硬質の窒化
層が脆いため、押出し加工中にしばしば破損する事故が
発生している。そのため、実操業では、破損事故を未然
に回避するため再窒化によって十分使用可能な状態であ
っても、所定の再窒化処理回数に達すると廃棄処分に回
されており、製造コストを低減する上でのネックになっ
ていた。本発明は、このような問題を解消すべく案出さ
れたものであり、窒化処理されたダイス表面の層構成を
制御することにより、1回の窒化処理による押出し量が
増加し、しかも押出し加工中におけるダイス部品の破損
を防止し、表面品質の良好な押出し形材を得ることを目
的とする。
てダイスが痩せ細り、ついには廃棄処分される。しか
し、ダイスは高価なものであるから、廃棄されるまでに
再窒化によって繰返し使用可能な回数が大きいほど、生
産コストの低減につながる。特に超薄肉中空材の押出し
に使用される雄型ダイのマンドレルのように、微細押出
しに応じて精密で小さな断面形状をもつダイス部品で
は、繰返し使用回数を挙げることがダイスのコストを相
殺する上で重要になる。ところが、精密で小さな断面形
状をもつダイス部品では、表面に形成される硬質の窒化
層が脆いため、押出し加工中にしばしば破損する事故が
発生している。そのため、実操業では、破損事故を未然
に回避するため再窒化によって十分使用可能な状態であ
っても、所定の再窒化処理回数に達すると廃棄処分に回
されており、製造コストを低減する上でのネックになっ
ていた。本発明は、このような問題を解消すべく案出さ
れたものであり、窒化処理されたダイス表面の層構成を
制御することにより、1回の窒化処理による押出し量が
増加し、しかも押出し加工中におけるダイス部品の破損
を防止し、表面品質の良好な押出し形材を得ることを目
的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明の押出し加工用ダ
イスは、その目的を達成するため、被押出し材であるア
ルミニウム合金が接触する押出し加工用ダイス鋼の表面
に厚さ100〜150μmの窒素拡散層を介して厚さ4
〜8μmの白層が形成されていることを特徴とする。特
にマンドレルのように押出し方向に垂直な断面が小さな
ダイス部品にあっては、押出し方向に垂直なダイス部品
の断面において(白層+窒素拡散層の面積)/(断面の
全面積)の比を70%以下にすることが好ましい。この
窒化層をもつ押出し加工用ダイスは、フッ素系ガス雰囲
気でダイス鋼を300〜520℃に間保持し、次いでN
H3 ガス又はNH3 ガスと他の非窒化性ガスとの混合ガ
ス或いはカーボン源を含むガスとNH3 ガスとの混合ガ
ス雰囲気で450〜520℃に保持することにより製造
される。フッ素系ガスとしては、NF3 ,CF4 ,SF
6 ,C2 F6 ,BF3 等のF分を含有する化合物ガス及
びF2 のうち、1種又は2種以上が使用される。NH3
ガス単独に替え、N2 やH2等の非窒化性ガスを配合し
たNH3 ガスを使用することもできる。押出し加工に使
用された後、白層が摩耗によって消滅したとき、同じ条
件下で再窒化処理を施すことにより次回の押出しに再使
用することができる。
イスは、その目的を達成するため、被押出し材であるア
ルミニウム合金が接触する押出し加工用ダイス鋼の表面
に厚さ100〜150μmの窒素拡散層を介して厚さ4
〜8μmの白層が形成されていることを特徴とする。特
にマンドレルのように押出し方向に垂直な断面が小さな
ダイス部品にあっては、押出し方向に垂直なダイス部品
の断面において(白層+窒素拡散層の面積)/(断面の
全面積)の比を70%以下にすることが好ましい。この
窒化層をもつ押出し加工用ダイスは、フッ素系ガス雰囲
気でダイス鋼を300〜520℃に間保持し、次いでN
H3 ガス又はNH3 ガスと他の非窒化性ガスとの混合ガ
ス或いはカーボン源を含むガスとNH3 ガスとの混合ガ
ス雰囲気で450〜520℃に保持することにより製造
される。フッ素系ガスとしては、NF3 ,CF4 ,SF
6 ,C2 F6 ,BF3 等のF分を含有する化合物ガス及
びF2 のうち、1種又は2種以上が使用される。NH3
ガス単独に替え、N2 やH2等の非窒化性ガスを配合し
たNH3 ガスを使用することもできる。押出し加工に使
用された後、白層が摩耗によって消滅したとき、同じ条
件下で再窒化処理を施すことにより次回の押出しに再使
用することができる。
【0006】窒化処理されたベアリング面近傍のダイ表
面層は、図3に示すように、下地鋼8に窒素が拡散した
窒素拡散層9と、最表面にある白層10からなる層構造
をもっている。白層10は、NとFeが結合したε−F
e2-3 Nやγ’−Fe4 N,Fe3 N等を含んでおり、
硬度はHV1000以上もある非常に硬い層である。こ
の白層10がアルミニウム金属の流れ3に曝されると
き、ダイス鋼を保護し、摩耗を防ぐ。本発明者等の研究
によるとき、厚みが4〜8μmのときに白層10の作用
・効果が顕著になることが判明した。白層10の厚みが
4μmに達しないと、摩耗による損傷が激しく、再窒化
までの押出し量が少ないことから生産性が低下する。し
かし、8μmを超える厚い白層10では、逆に押出し加
工中に部分的な白層10の剥離が生じ易く、得られた押
出し材に表面欠陥を発生させる原因となる。これは、白
層10が厚くなるに従って白層10と窒素拡散層9との
密着性が劣化し、白層10が窒素拡散層9から剥れ易く
なることに原因がある。また、白層10を厚くするため
には窒化処理の時間と温度を挙げる必要がある。長時間
の処理は経済的でなく、高温度での処理はダイス鋼が組
織変化を起こして軟化するため、ダイスとしての十分な
強度が確保できなくなる。
面層は、図3に示すように、下地鋼8に窒素が拡散した
窒素拡散層9と、最表面にある白層10からなる層構造
をもっている。白層10は、NとFeが結合したε−F
e2-3 Nやγ’−Fe4 N,Fe3 N等を含んでおり、
硬度はHV1000以上もある非常に硬い層である。こ
の白層10がアルミニウム金属の流れ3に曝されると
き、ダイス鋼を保護し、摩耗を防ぐ。本発明者等の研究
によるとき、厚みが4〜8μmのときに白層10の作用
・効果が顕著になることが判明した。白層10の厚みが
4μmに達しないと、摩耗による損傷が激しく、再窒化
までの押出し量が少ないことから生産性が低下する。し
かし、8μmを超える厚い白層10では、逆に押出し加
工中に部分的な白層10の剥離が生じ易く、得られた押
出し材に表面欠陥を発生させる原因となる。これは、白
層10が厚くなるに従って白層10と窒素拡散層9との
密着性が劣化し、白層10が窒素拡散層9から剥れ易く
なることに原因がある。また、白層10を厚くするため
には窒化処理の時間と温度を挙げる必要がある。長時間
の処理は経済的でなく、高温度での処理はダイス鋼が組
織変化を起こして軟化するため、ダイスとしての十分な
強度が確保できなくなる。
【0007】白層10の下にある窒素拡散層9は、10
0〜150μmの厚みをもつことが必要である。窒素拡
散層9は、NがFeと化合物を生成することなく固溶し
ている層であり、下地鋼8よりも大きな硬度をもつ。し
かし、Nの拡散量は表面からダイス内部に向かうに従っ
て小さくなるため、厚み方向の硬度分布は、図4に示す
ように下地鋼の硬度に近付く。他方、表面近傍では、白
層10の硬さに近い硬度をもっている。このような傾斜
した硬度分布をもつ窒素拡散層9は、硬質の白層10を
バックアップする作用を呈する。白層10及び窒素拡散
層9は、窒化処理条件によって厚みが決まる。押出し加
工の継続に従って白層10が薄くなるが、白層10が摩
耗によって無くなったとき再窒化処理が施される。この
時点は、押出し加工により製造された押出し形材の寸法
変化によってキャッチできる。再窒化処理によりN原子
が鉄の結晶格子中に押し込まれるため、白層は生成した
厚さの約70%の割合で白層生成のスタート面より膨ら
むと見積もられるので、ベアリング面の実際の寸法の減
少は、図6に示すように再窒化前のスタート時より片面
当り(4〜8)μm×30%=1.2〜2.4μm程度
である。すなわち、押出し材の断面で約2〜6μmだけ
厚くなる。
0〜150μmの厚みをもつことが必要である。窒素拡
散層9は、NがFeと化合物を生成することなく固溶し
ている層であり、下地鋼8よりも大きな硬度をもつ。し
かし、Nの拡散量は表面からダイス内部に向かうに従っ
て小さくなるため、厚み方向の硬度分布は、図4に示す
ように下地鋼の硬度に近付く。他方、表面近傍では、白
層10の硬さに近い硬度をもっている。このような傾斜
した硬度分布をもつ窒素拡散層9は、硬質の白層10を
バックアップする作用を呈する。白層10及び窒素拡散
層9は、窒化処理条件によって厚みが決まる。押出し加
工の継続に従って白層10が薄くなるが、白層10が摩
耗によって無くなったとき再窒化処理が施される。この
時点は、押出し加工により製造された押出し形材の寸法
変化によってキャッチできる。再窒化処理によりN原子
が鉄の結晶格子中に押し込まれるため、白層は生成した
厚さの約70%の割合で白層生成のスタート面より膨ら
むと見積もられるので、ベアリング面の実際の寸法の減
少は、図6に示すように再窒化前のスタート時より片面
当り(4〜8)μm×30%=1.2〜2.4μm程度
である。すなわち、押出し材の断面で約2〜6μmだけ
厚くなる。
【0008】ダイス鋼の窒化処理に先立って、前述した
フッ素系ガス雰囲気中で300〜520℃(好ましく
は、300〜350℃)に5〜60分間(好ましくは、
15〜45分間)保持することが有効である。なお、こ
の保持時間は、ダイス表面の酸化状況やフッ素ガスの濃
度或いは時間当りの質量流量によって変化するが、通常
は10〜30分間で十分である。この前処理により、鋼
材表面にある不動態皮膜が除去されるクリーニングが施
され、フッ素によって鋼材表面が活性化される。そのた
め、後続する窒化工程で窒素の拡散が促進され、前処理
しない場合に比較して窒化処理時間が短縮される。フッ
化処理温度は300〜400℃が好ましく、250℃以
下では窒化温度との差が多きすぎるため、また520℃
を超える高温ではフッ化膜が不安定になるため、何れも
フッ化処理の効果が相対的に小さくなる。フッ素系ガス
によって活性化された表面をもつダイス鋼は、引き続い
てNH3及び炭素源をもつブタン,プロパン等のRXを
含む混合ガス雰囲気中で、450〜520℃(好ましく
は、480〜520℃)の温度に2〜10時間(好まし
くは、2〜4時間)加熱保持される。このとき、活性化
された鋼材表面が窒化処理されることから、従来法に比
較して比較的低い温度で窒化反応が進行し、ダイス鋼の
焼戻し現象(組織変化)が抑制されることも本発明の特
徴の一つである。すなわち、窒化処理後においても、炭
化物が成長することなく、ダイス鋼の下地鋼は当初の硬
質で耐撓み性に優れた組織を保持する。
フッ素系ガス雰囲気中で300〜520℃(好ましく
は、300〜350℃)に5〜60分間(好ましくは、
15〜45分間)保持することが有効である。なお、こ
の保持時間は、ダイス表面の酸化状況やフッ素ガスの濃
度或いは時間当りの質量流量によって変化するが、通常
は10〜30分間で十分である。この前処理により、鋼
材表面にある不動態皮膜が除去されるクリーニングが施
され、フッ素によって鋼材表面が活性化される。そのた
め、後続する窒化工程で窒素の拡散が促進され、前処理
しない場合に比較して窒化処理時間が短縮される。フッ
化処理温度は300〜400℃が好ましく、250℃以
下では窒化温度との差が多きすぎるため、また520℃
を超える高温ではフッ化膜が不安定になるため、何れも
フッ化処理の効果が相対的に小さくなる。フッ素系ガス
によって活性化された表面をもつダイス鋼は、引き続い
てNH3及び炭素源をもつブタン,プロパン等のRXを
含む混合ガス雰囲気中で、450〜520℃(好ましく
は、480〜520℃)の温度に2〜10時間(好まし
くは、2〜4時間)加熱保持される。このとき、活性化
された鋼材表面が窒化処理されることから、従来法に比
較して比較的低い温度で窒化反応が進行し、ダイス鋼の
焼戻し現象(組織変化)が抑制されることも本発明の特
徴の一つである。すなわち、窒化処理後においても、炭
化物が成長することなく、ダイス鋼の下地鋼は当初の硬
質で耐撓み性に優れた組織を保持する。
【0009】本発明の要点である、加工用ダイスの表面
に形成される100〜150μmの窒素拡散層と4〜8
μmの白層を確保する上において、窒化処理温度と処理
時間との間に密接な相関関係がある。また、窒化処理温
度が高すぎたり、処理時間が短すぎると、所望の硬化層
が得られない。上記の相関関係を満足する温度と時間の
組合せが重要である。たとえば、520℃を超える処理
温度では、ダイス鋼の金属組織の変化、特に炭化物系析
出物の成長がみられ、軟化によってダイス鋼全体として
の強度が確保できない。その結果、押出し時にダイスが
撓み易くなり、操業が不安定になる。また、長時間の窒
化処理では、白層が過度に成長し、押出し加工中に部分
的な剥離が生じ易く、得られる押出し材の表面欠陥を増
加させる傾向を呈する。本発明では、ガス窒化を採用し
ている。ガス窒化は、細い多数のマンドレルを備えた中
空材押出し材用ダイスのように、特に断面積の小さな部
分をもつダイの窒化処理に有効である。すなわち、ガス
窒化は、塩浴法に比較して窒化反応が均一に進行し、細
部まで窒化層が形成される。また、処理時間が短く、処
理温度も低いため、ダイス鋼自体の軟化も抑制される。
この点、塩浴法では、ダイス鋼を550〜570℃に加
熱する必要があり、ダイス鋼の軟化が避けられない。
に形成される100〜150μmの窒素拡散層と4〜8
μmの白層を確保する上において、窒化処理温度と処理
時間との間に密接な相関関係がある。また、窒化処理温
度が高すぎたり、処理時間が短すぎると、所望の硬化層
が得られない。上記の相関関係を満足する温度と時間の
組合せが重要である。たとえば、520℃を超える処理
温度では、ダイス鋼の金属組織の変化、特に炭化物系析
出物の成長がみられ、軟化によってダイス鋼全体として
の強度が確保できない。その結果、押出し時にダイスが
撓み易くなり、操業が不安定になる。また、長時間の窒
化処理では、白層が過度に成長し、押出し加工中に部分
的な剥離が生じ易く、得られる押出し材の表面欠陥を増
加させる傾向を呈する。本発明では、ガス窒化を採用し
ている。ガス窒化は、細い多数のマンドレルを備えた中
空材押出し材用ダイスのように、特に断面積の小さな部
分をもつダイの窒化処理に有効である。すなわち、ガス
窒化は、塩浴法に比較して窒化反応が均一に進行し、細
部まで窒化層が形成される。また、処理時間が短く、処
理温度も低いため、ダイス鋼自体の軟化も抑制される。
この点、塩浴法では、ダイス鋼を550〜570℃に加
熱する必要があり、ダイス鋼の軟化が避けられない。
【0010】本発明で規定した白層及び拡散層の厚み
は、特に細いマンドレルをもつダイの窒化に有効であ
る。太いマンドレルでは、中央部に厚い下地鋼があるた
め問題がない。しかし、図5に示すように厚みAが1m
m程度のマンドレル11では、表面窒化層の深さBがマ
ンドレル11全体の靭性に影響を及ぼす。すなわち、表
面窒化層が深くなるに従って下地鋼8が少なくなり、マ
ンドレル11全体が硬度は十分であるが脆くなり、押出
し中に破損し易くなる。本発明者等に実験によるとき、
(白層10+窒素拡散層9の面積)/(マンドレル11
の押出し方向に直交する全断面積)の比を70%以下に
規制することにより、押出し中にマンドレル11の破損
が抑制されることが判った。たとえば、図5において押
出し方向に直交するマンドレル11の断面が一辺の長さ
を2C(C=500μm)とする正四角形であるとき、
白層10の厚みを8μm,窒素拡散層9の厚みを150
μmにすると、(白層10+窒素拡散層9)の面積は
5.3×105 μm2 となり、マンドレル11の全断面
積の70%、すなわち1000μm×1000μm×7
0%=7×105 μm2 以下になる。このような条件の
とき、マンドレル部の破損がない。また、マンドレル1
1の全断面積の70%に相当する(白層10+窒素拡散
層9)の厚みは225μmであり、これ以上厚く表面窒
化層を生成すると破損し易くなる。したがって、マンド
レルの断面積を考慮して温度,時間等の窒化処理条件を
設定する必要があり、特に再窒化処理時の条件設定には
注意を要する。他方、窒化層の厚みが150μmを超え
るようになると、白層10も必然的に8μm以上に厚く
成長するため、白層の割れ,剥離等に起因した表面欠陥
が押出し材に発生し易くなる。そのため、マンドレル断
面の小さなものでは白層10の厚みが8μmを超えない
ように、且つ断面の表面窒化層の面積が70%を超えな
いように窒化処理条件を設定することが重要である。
は、特に細いマンドレルをもつダイの窒化に有効であ
る。太いマンドレルでは、中央部に厚い下地鋼があるた
め問題がない。しかし、図5に示すように厚みAが1m
m程度のマンドレル11では、表面窒化層の深さBがマ
ンドレル11全体の靭性に影響を及ぼす。すなわち、表
面窒化層が深くなるに従って下地鋼8が少なくなり、マ
ンドレル11全体が硬度は十分であるが脆くなり、押出
し中に破損し易くなる。本発明者等に実験によるとき、
(白層10+窒素拡散層9の面積)/(マンドレル11
の押出し方向に直交する全断面積)の比を70%以下に
規制することにより、押出し中にマンドレル11の破損
が抑制されることが判った。たとえば、図5において押
出し方向に直交するマンドレル11の断面が一辺の長さ
を2C(C=500μm)とする正四角形であるとき、
白層10の厚みを8μm,窒素拡散層9の厚みを150
μmにすると、(白層10+窒素拡散層9)の面積は
5.3×105 μm2 となり、マンドレル11の全断面
積の70%、すなわち1000μm×1000μm×7
0%=7×105 μm2 以下になる。このような条件の
とき、マンドレル部の破損がない。また、マンドレル1
1の全断面積の70%に相当する(白層10+窒素拡散
層9)の厚みは225μmであり、これ以上厚く表面窒
化層を生成すると破損し易くなる。したがって、マンド
レルの断面積を考慮して温度,時間等の窒化処理条件を
設定する必要があり、特に再窒化処理時の条件設定には
注意を要する。他方、窒化層の厚みが150μmを超え
るようになると、白層10も必然的に8μm以上に厚く
成長するため、白層の割れ,剥離等に起因した表面欠陥
が押出し材に発生し易くなる。そのため、マンドレル断
面の小さなものでは白層10の厚みが8μmを超えない
ように、且つ断面の表面窒化層の面積が70%を超えな
いように窒化処理条件を設定することが重要である。
【0011】再窒化処理と押出し形材の断面寸法との関
係は、次の通りである。押出し開始時点では、図6
(a)に示すように白層10及び窒素拡散層9の厚みが
それぞれ8μm及び150μmあった窒化層は、押出し
の継続に伴って、図6(b)に示すように白層が摩耗に
より消失する。そのため、白層消失時点で再窒化処理す
る必要がある。再窒化が必要な時点は、押出し材の断面
寸法が片側当り4〜8μm増加していることから判定さ
れる。再窒化により、図6(c)に示すように窒化層が
膨らみ、当初より高さが2.4μm低い窒化層となる。
具体的には、(4〜8)μm×70%の厚みが回復し、
再び4〜8μmの白層が形成される。再窒化はこの繰返
しであり、再窒化ごとに押出し形材の断面が最大2.4
μmづつ片側の寸法が増加するので、同じ重量のビレッ
トを押出しても押出し長さが短くなる。再窒化を10回
施した段階では、片側当り2.4μm×10回=24μ
mだけ押出し材が厚くなり、矩形断面をもつ押出し材で
は24μm×2=48μmだけ当初の厚みより大きくな
る。そのため、設計仕様によって定まる厚みの許容範囲
を超える寸前まで再窒化してダイスを繰返し使用する
が、1回の窒化処理で従来よりも押出し量が多いため、
結果的にダイスコストが安くなる。
係は、次の通りである。押出し開始時点では、図6
(a)に示すように白層10及び窒素拡散層9の厚みが
それぞれ8μm及び150μmあった窒化層は、押出し
の継続に伴って、図6(b)に示すように白層が摩耗に
より消失する。そのため、白層消失時点で再窒化処理す
る必要がある。再窒化が必要な時点は、押出し材の断面
寸法が片側当り4〜8μm増加していることから判定さ
れる。再窒化により、図6(c)に示すように窒化層が
膨らみ、当初より高さが2.4μm低い窒化層となる。
具体的には、(4〜8)μm×70%の厚みが回復し、
再び4〜8μmの白層が形成される。再窒化はこの繰返
しであり、再窒化ごとに押出し形材の断面が最大2.4
μmづつ片側の寸法が増加するので、同じ重量のビレッ
トを押出しても押出し長さが短くなる。再窒化を10回
施した段階では、片側当り2.4μm×10回=24μ
mだけ押出し材が厚くなり、矩形断面をもつ押出し材で
は24μm×2=48μmだけ当初の厚みより大きくな
る。そのため、設計仕様によって定まる厚みの許容範囲
を超える寸前まで再窒化してダイスを繰返し使用する
が、1回の窒化処理で従来よりも押出し量が多いため、
結果的にダイスコストが安くなる。
【0012】
実施例1:中空押出し材製造用ダイスの雄型ダイを熱間
工具鋼SKD61で作製した。この雄型ダイは、図7に
示すように、高さ3mm,三角形の一辺の長さ1.5m
m及びスリット幅0.3mmのマンドレル11を16本
セットしている。このダイス鋼にフッ化処理及び窒化処
理を施して、窒化層をダイス表面に形成した。フッ化処
理は、300〜520℃に加熱した炉にNF3 ガスを導
入し、5〜60分間ダイス鋼表面を活性化させた。次い
で、N2 雰囲気中で450〜520℃まで昇温し、NH
3 に30〜35%のRXガスを混合した雰囲気中で2〜
10時間処理することにより、図8(a)に示すように
4〜8μmの白層及び100〜150μmの窒素拡散層
が形成された。また、押出し加工への繰返し使用によっ
て白層が消失したダイスを同様な条件下で再窒化したも
のでは、数回の再窒化処理後にあっても健全なマトリッ
クスの上に窒素拡散層及び白層が形成されていた。これ
に対し、570℃×2時間の塩浴窒化を施したもので
は、図8(b)に示すように炭化物系析出物の成長がみ
られ、マトリックスが軟化した。そこで、本実施例にお
いては、フッ化処理及びガス窒化を採用した。
工具鋼SKD61で作製した。この雄型ダイは、図7に
示すように、高さ3mm,三角形の一辺の長さ1.5m
m及びスリット幅0.3mmのマンドレル11を16本
セットしている。このダイス鋼にフッ化処理及び窒化処
理を施して、窒化層をダイス表面に形成した。フッ化処
理は、300〜520℃に加熱した炉にNF3 ガスを導
入し、5〜60分間ダイス鋼表面を活性化させた。次い
で、N2 雰囲気中で450〜520℃まで昇温し、NH
3 に30〜35%のRXガスを混合した雰囲気中で2〜
10時間処理することにより、図8(a)に示すように
4〜8μmの白層及び100〜150μmの窒素拡散層
が形成された。また、押出し加工への繰返し使用によっ
て白層が消失したダイスを同様な条件下で再窒化したも
のでは、数回の再窒化処理後にあっても健全なマトリッ
クスの上に窒素拡散層及び白層が形成されていた。これ
に対し、570℃×2時間の塩浴窒化を施したもので
は、図8(b)に示すように炭化物系析出物の成長がみ
られ、マトリックスが軟化した。そこで、本実施例にお
いては、フッ化処理及びガス窒化を採用した。
【0013】温度及び時間を種々変更した窒化処理を雄
型ダイに施し、断面積率に対する窒化層の割合がマンド
レル破損に及ぼす影響を調査した。実際の操業では一回
の押出しでマンドレル16本をもった複数個の雄型をダ
イスにセットして使用するが、そのうちマンドレルが一
本でも破損すれば、その雄型が破損したものと評価し
た。このようなダイスを使用して直径152mm,長さ
331mmのアルミ合金JIS A1050のビレット
を偏平管に押し出したときの、窒化層比率と破損率との
関係を図9に示す。破損率は、1回の押出しでセットし
た複数個の雄型ダイスに対してマンドレル部が破損した
雄型ダイスの割合を示す。図9にみられるように、窒化
比率が50%では約数%の雄型ダイスが破損するが、窒
化比率が90%になるとマンドレル部が極めて破損し易
くなり、約80%の窒化比率では約60%の雄型ダイス
においてマンドレル部が破損した。破損は、押出し初期
の押出し量が少ないとき発生し易かった。これは、窒化
比率が大きすぎるため、押出し初期の急激な圧力の付加
によりマンドレル部が破損したものと考えられる。
型ダイに施し、断面積率に対する窒化層の割合がマンド
レル破損に及ぼす影響を調査した。実際の操業では一回
の押出しでマンドレル16本をもった複数個の雄型をダ
イスにセットして使用するが、そのうちマンドレルが一
本でも破損すれば、その雄型が破損したものと評価し
た。このようなダイスを使用して直径152mm,長さ
331mmのアルミ合金JIS A1050のビレット
を偏平管に押し出したときの、窒化層比率と破損率との
関係を図9に示す。破損率は、1回の押出しでセットし
た複数個の雄型ダイスに対してマンドレル部が破損した
雄型ダイスの割合を示す。図9にみられるように、窒化
比率が50%では約数%の雄型ダイスが破損するが、窒
化比率が90%になるとマンドレル部が極めて破損し易
くなり、約80%の窒化比率では約60%の雄型ダイス
においてマンドレル部が破損した。破損は、押出し初期
の押出し量が少ないとき発生し易かった。これは、窒化
比率が大きすぎるため、押出し初期の急激な圧力の付加
によりマンドレル部が破損したものと考えられる。
【0014】これに対し、窒化比率が50〜70%の範
囲にある場合、破損率が十数%以下となり、破損発生の
割合が減少した。また、破損発生時期も、押出し初期で
はなく、平均押出し量を超えた時点に変わった。したが
って、この場合の破損率は、摩耗等による本来のダイス
寿命に起因するものであり、50〜70%の窒化比率で
も破損が発生するのはこのためである。この場合、平均
押出し量を超えていることから、操業上許容される破損
率である。また、破損した雄型ダイを取り替えるだけ
で、健全な雄型ダイスは次の押出し工程に再使用でき
る。更に窒化が面積率40%以下になると、破損に起因
するトラブルは実質的に生じないとみてよい。このよう
にして、窒化層の厚みを断面積比率でコントロールし、
且つ再窒化処理においてもその断面積比率を維持するこ
とにより、従来の窒化サイクルよりも長いサイクルでの
窒化が可能となり、1回の窒化で押出し量が従来よりも
多くなる。そのため、ダイスを長期間にわたって使用で
き、生産性の向上及び処理コストの低減が図られる。
囲にある場合、破損率が十数%以下となり、破損発生の
割合が減少した。また、破損発生時期も、押出し初期で
はなく、平均押出し量を超えた時点に変わった。したが
って、この場合の破損率は、摩耗等による本来のダイス
寿命に起因するものであり、50〜70%の窒化比率で
も破損が発生するのはこのためである。この場合、平均
押出し量を超えていることから、操業上許容される破損
率である。また、破損した雄型ダイを取り替えるだけ
で、健全な雄型ダイスは次の押出し工程に再使用でき
る。更に窒化が面積率40%以下になると、破損に起因
するトラブルは実質的に生じないとみてよい。このよう
にして、窒化層の厚みを断面積比率でコントロールし、
且つ再窒化処理においてもその断面積比率を維持するこ
とにより、従来の窒化サイクルよりも長いサイクルでの
窒化が可能となり、1回の窒化で押出し量が従来よりも
多くなる。そのため、ダイスを長期間にわたって使用で
き、生産性の向上及び処理コストの低減が図られる。
【0015】実施例2:熱交換器用偏平管の押出し量
を、本発明に従った窒化法と従来の塩浴窒化法とで比較
した。押出し長さと押出し量の推移は、図10に示すよ
うに、窒化法に応じて異なっていた。なお、図10中の
数値は、従来法では窒化処理の回数を示す。本発明法で
は、3回までは再窒化し、それ以降の4〜8回では再窒
化することなく洗浄のみを施した。図10から、従来の
塩浴窒化では10回の窒化処理で約3.2トンのビレッ
トが押出されたのに対し、本発明に従った窒化処理では
3回の窒化でほぼ同じ押出し量が得られたことが判る。
また、本発明に従った窒化処理では、押出し長さの低下
率が小さい、すなわちダイスの摩耗が従来品より少ない
ことが判る。このことからも、本発明によるとき、少な
い窒化処理回数で従来法に比較して多量の押出しが可能
になり、ダイス寿命の延命による生産効率の改善,ダイ
ス製作費の削減及び窒化処理コストの削減等の効果が得
られることが確認された。
を、本発明に従った窒化法と従来の塩浴窒化法とで比較
した。押出し長さと押出し量の推移は、図10に示すよ
うに、窒化法に応じて異なっていた。なお、図10中の
数値は、従来法では窒化処理の回数を示す。本発明法で
は、3回までは再窒化し、それ以降の4〜8回では再窒
化することなく洗浄のみを施した。図10から、従来の
塩浴窒化では10回の窒化処理で約3.2トンのビレッ
トが押出されたのに対し、本発明に従った窒化処理では
3回の窒化でほぼ同じ押出し量が得られたことが判る。
また、本発明に従った窒化処理では、押出し長さの低下
率が小さい、すなわちダイスの摩耗が従来品より少ない
ことが判る。このことからも、本発明によるとき、少な
い窒化処理回数で従来法に比較して多量の押出しが可能
になり、ダイス寿命の延命による生産効率の改善,ダイ
ス製作費の削減及び窒化処理コストの削減等の効果が得
られることが確認された。
【0016】実施例3:実施例1と同じ熱間工具鋼SK
D61を塩浴窒化し、ダイス表面に白層及び窒素拡散層
を形成した。塩浴窒化では、窒化処理時の温度及び時間
に応じて白層及び窒素拡散層の厚みが決まってしまうこ
とから、それぞれの厚みを独立してコントロールできな
い。8μmの白層及び150μmの窒素拡散層を形成す
る窒化処理条件は、570℃×3時間であった。また、
570℃×1.5時間の塩浴窒化では、厚み4μmの白
層及び厚み100μmの窒素拡散層が生成した。しか
も、窒化処理時に鋼材が高温に加熱されるため、ダイス
鋼のマトリックスが軟化する傾向がみられた。本発明に
従ったフッ化処理及びガス窒化でダイス鋼を窒化処理す
るとき、8μmの白層及び150μmの窒素拡散層を得
るために、500℃×4時間の処理が必要であった。5
00℃×6時間の処理で白層及び窒素拡散層の厚みがそ
れぞれ13μm及び200μmまで厚くなった。これ以
上白層が厚くなると、押出し材に生じる表面欠陥が押出
し量の増加に伴って多量に発生し、良品の押出し量が操
業上で許容できないほど少なくなった。また、500℃
×2時間の窒化処理では、厚み4μmの白層及び厚み1
00μmの窒素拡散層が生成した。500℃×1時間の
窒化処理では、厚み2μmの白層及び厚み50μmの窒
素拡散層が生成したが、押出し材の表面欠陥は発生しな
かったものの、押出し開始後、早期に押出し材の断面寸
法が厚くなり、良品としての押出し量が生産上で許容で
きないほど少なくなった。このように、本発明に従った
方法では、窒化処理の条件を制御することによって白層
及び窒素拡散層の厚みを高い自由度で調整でき、少ない
窒化処理回数で押出し量を大きくすることが可能になっ
た。
D61を塩浴窒化し、ダイス表面に白層及び窒素拡散層
を形成した。塩浴窒化では、窒化処理時の温度及び時間
に応じて白層及び窒素拡散層の厚みが決まってしまうこ
とから、それぞれの厚みを独立してコントロールできな
い。8μmの白層及び150μmの窒素拡散層を形成す
る窒化処理条件は、570℃×3時間であった。また、
570℃×1.5時間の塩浴窒化では、厚み4μmの白
層及び厚み100μmの窒素拡散層が生成した。しか
も、窒化処理時に鋼材が高温に加熱されるため、ダイス
鋼のマトリックスが軟化する傾向がみられた。本発明に
従ったフッ化処理及びガス窒化でダイス鋼を窒化処理す
るとき、8μmの白層及び150μmの窒素拡散層を得
るために、500℃×4時間の処理が必要であった。5
00℃×6時間の処理で白層及び窒素拡散層の厚みがそ
れぞれ13μm及び200μmまで厚くなった。これ以
上白層が厚くなると、押出し材に生じる表面欠陥が押出
し量の増加に伴って多量に発生し、良品の押出し量が操
業上で許容できないほど少なくなった。また、500℃
×2時間の窒化処理では、厚み4μmの白層及び厚み1
00μmの窒素拡散層が生成した。500℃×1時間の
窒化処理では、厚み2μmの白層及び厚み50μmの窒
素拡散層が生成したが、押出し材の表面欠陥は発生しな
かったものの、押出し開始後、早期に押出し材の断面寸
法が厚くなり、良品としての押出し量が生産上で許容で
きないほど少なくなった。このように、本発明に従った
方法では、窒化処理の条件を制御することによって白層
及び窒素拡散層の厚みを高い自由度で調整でき、少ない
窒化処理回数で押出し量を大きくすることが可能になっ
た。
【0017】
【発明の効果】以上に説明したように、本発明は、窒化
処理によって鋼材表面に形成される白層及び窒素拡散層
の厚みを制御することにより、ダイスの靭性を確保しな
がら、押出し加工に必要な耐摩耗性をダイス表面に付与
することを可能にしている。その結果、特にマンドレル
部のように断面積の小さなダイス部分において、押出し
時の圧力に対する摩耗や破損が抑制され、従来法に比較
して長い再窒化サイクルで多量の押出しに使用できるダ
イスが得られ、生産性の向上,処理コストの低減,ダイ
ス寿命の延命が図られる。
処理によって鋼材表面に形成される白層及び窒素拡散層
の厚みを制御することにより、ダイスの靭性を確保しな
がら、押出し加工に必要な耐摩耗性をダイス表面に付与
することを可能にしている。その結果、特にマンドレル
部のように断面積の小さなダイス部分において、押出し
時の圧力に対する摩耗や破損が抑制され、従来法に比較
して長い再窒化サイクルで多量の押出しに使用できるダ
イスが得られ、生産性の向上,処理コストの低減,ダイ
ス寿命の延命が図られる。
【図1】 矩形断面をもつ中実の押出し材を押出し加工
している状態
している状態
【図2】 矩形断面をもつ中空の押出し材を押出し加工
している状態
している状態
【図3】 押出し加工用ダイのベアリング面に形成され
た窒化層
た窒化層
【図4】 窒化層をもつダイスの厚み方向に関する硬度
分布
分布
【図5】 マンドレル部に形成された窒化層
【図6】 窒化処理したダイ表面(a),押出し加工に
よって白層が消失したダイ表面(b)及び再窒化によっ
て白層を形成したダイ表面(c)
よって白層が消失したダイ表面(b)及び再窒化によっ
て白層を形成したダイ表面(c)
【図7】 実施例で使用した多数のマンドレルをもつ雄
型ダイ
型ダイ
【図8】 本発明に従ってダイス表面に形成された窒化
層(a)及び塩浴窒化によって形成した窒化層(b)を
示すダイ表面近傍の断面の金属組織写真
層(a)及び塩浴窒化によって形成した窒化層(b)を
示すダイ表面近傍の断面の金属組織写真
【図9】 マンドレル部の窒化比率と破損率との関係を
示したグラフ
示したグラフ
【図10】 再窒化処理したダイスを使用して押出し加
工したときの押出し長さと押出し量との関係を示したグ
ラフ
工したときの押出し長さと押出し量との関係を示したグ
ラフ
1:ダイ本体 2:ベアリング面 3:メタルの流
れ 4:押出し材断面 5:雌型ダイ 6:雄型ダイ 7:マンドレル
8:下地鋼 9:窒素拡散層 10:白層 1
1:マンドレル A:マンドレル部の厚み B:表面窒化層の厚み
C:断面の長さの半分
れ 4:押出し材断面 5:雌型ダイ 6:雄型ダイ 7:マンドレル
8:下地鋼 9:窒素拡散層 10:白層 1
1:マンドレル A:マンドレル部の厚み B:表面窒化層の厚み
C:断面の長さの半分
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成8年7月10日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】特許請求の範囲
【補正方法】変更
【補正内容】
【特許請求の範囲】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 高澤 令子 静岡県庵原郡蒲原町蒲原1丁目34番1号 日本軽金属株式会社グループ技術センター 内 (72)発明者 川合 利雄 静岡県庵原郡蒲原町蒲原1丁目34番1号 日本軽金属株式会社グループ技術センター 内 (72)発明者 臼井 健治 大阪府堺市下田町20番1号 日本軽金属株 式会社大阪工場内 (72)発明者 花岡 照彦 大阪府堺市下田町20番1号 日本軽金属株 式会社大阪工場内 (72)発明者 青山 茂樹 大阪府堺市下田町20番1号 日本軽金属株 式会社大阪工場内 (72)発明者 北野 憲三 兵庫県尼崎市中浜町1番8号 大同ほくさ ん株式会社尼崎研究所内 (72)発明者 森 剛士 兵庫県尼崎市中浜町1番8号 大同ほくさ ん株式会社尼崎研究所内 (72)発明者 島田 尚久 兵庫県尼崎市中浜町1番8号 大同ほくさ ん株式会社尼崎研究所内 (72)発明者 横山 とし子 兵庫県尼崎市中浜町1番8号 大同ほくさ ん株式会社尼崎研究所内
Claims (5)
- 【請求項1】 被押出し材であるアルミニウム合金が接
触する押出し加工用ダイス鋼の表面に厚さ100〜15
0μmの窒素拡散層を介して厚さ4〜8μmの白層が形
成されているアルミニウム押出し加工用ダイス。 - 【請求項2】 押出し方向に垂直なダイス部品の断面に
おいて(白層+窒素拡散層の面積)/(断面の全面積)
の比が70%以下である請求項1記載のアルミニウム押
出し加工用ダイス。 - 【請求項3】 フッ素系ガス雰囲気でダイス鋼を300
〜520℃に保持し、次いで[N]源を有する窒化用ガ
ス雰囲気で450〜520℃に保持することにより請求
項1又は2記載の白層及び窒素拡散層を形成するアルミ
ニウム押出し加工用ダイスの窒化方法。 - 【請求項4】 窒化用ガスがNH3 単独又はNH3 と他
の非窒化性ガスとの混合ガス或いはNH3 とカーボン源
を有するガスとの混合ガスである請求項1〜3の何れか
に記載のアルミニウム押出し加工用ダイスの窒化方法。 - 【請求項5】 白層が摩耗によって消滅したとき、請求
項3〜5の何れかに記載の再窒化処理が施されるアルミ
ニウム押出し加工用ダイスの窒化方法。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP24072795A JPH0967663A (ja) | 1995-08-25 | 1995-08-25 | アルミニウム押出し加工用ダイス及びその窒化方法 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP24072795A JPH0967663A (ja) | 1995-08-25 | 1995-08-25 | アルミニウム押出し加工用ダイス及びその窒化方法 |
Publications (1)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPH0967663A true JPH0967663A (ja) | 1997-03-11 |
Family
ID=17063812
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP24072795A Pending JPH0967663A (ja) | 1995-08-25 | 1995-08-25 | アルミニウム押出し加工用ダイス及びその窒化方法 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JPH0967663A (ja) |
Cited By (2)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| WO2007013683A1 (en) * | 2005-07-29 | 2007-02-01 | Showa Dendo K.K. | Surface treatment method of aluminum extruding die, and aluminum extruding die |
| JP2007056368A (ja) * | 2005-07-29 | 2007-03-08 | Showa Denko Kk | アルミニウム押出し加工用ダイスの表面処理方法及びアルミニウム押出し加工用ダイス |
-
1995
- 1995-08-25 JP JP24072795A patent/JPH0967663A/ja active Pending
Cited By (2)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| WO2007013683A1 (en) * | 2005-07-29 | 2007-02-01 | Showa Dendo K.K. | Surface treatment method of aluminum extruding die, and aluminum extruding die |
| JP2007056368A (ja) * | 2005-07-29 | 2007-03-08 | Showa Denko Kk | アルミニウム押出し加工用ダイスの表面処理方法及びアルミニウム押出し加工用ダイス |
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Legal Events
| Date | Code | Title | Description |
|---|---|---|---|
| A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20030304 |