JPH0973074A5 - - Google Patents
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- JPH0973074A5 JPH0973074A5 JP1996169965A JP16996596A JPH0973074A5 JP H0973074 A5 JPH0973074 A5 JP H0973074A5 JP 1996169965 A JP1996169965 A JP 1996169965A JP 16996596 A JP16996596 A JP 16996596A JP H0973074 A5 JPH0973074 A5 JP H0973074A5
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Description
【発明の名称】液晶光学素子、液晶表示素子、及び投射型液晶表示装置
【特許請求の範囲】
【請求項1】一対の電極付基板間に、液晶/樹脂複合体が挟持された液晶光学素子において、樹脂相を構成する樹脂が損失誘電率(測定周波数=100Hz)の温度特性における極大値が20℃以下とされ、樹脂を形成する材料としてヒドロキシアルキルアクリレートを含む光硬化性化合物が用いられてなることを特徴とする液晶光学素子。
【請求項2】一対の電極付基板間に、液晶/樹脂複合体が挟持された液晶光学素子において、樹脂相を構成する樹脂が損失誘電率(測定周波数=100Hz)の温度特性における極大値が20℃以下とされ、樹脂を形成する材料として2官能アクリルウレタンを含む光硬化性化合物が用いられてなることを特徴とする液晶光学素子。
【請求項3】樹脂相が、ヘキサメチレン構造、又は、側鎖を有するヘキサメチレン構造を含む光硬化性ビニル系化合物からなる請求項1又は2に記載の液晶光学素子。
【請求項4】樹脂が液晶により5〜20重量%膨潤されてなる請求項1、2又は3に記載の液晶光学素子。
【請求項5】樹脂が分子量の異なる2種以上の光硬化性ビニル系化合物の混合物の硬化物であり、それらの光硬化性ビニル系化合物の分子量の最大のものと最小のものとの分子量の比が1.5倍以上とされた請求項1、2、3又は4に記載の液晶光学素子。
【請求項6】電圧印加時又は非印加時に樹脂の屈折率が使用する液晶の常光屈折率(no )、又は異常光屈折率(ne )とほぼ一致せしめられた請求項1〜5のいずれか1項に記載の液晶光学素子。
【請求項7】外部信号によって液晶/樹脂複合体を通る電界が変化せしめられ、非飽和の電界値によって中間調表示が行われる請求項1〜6のいずれか1項に記載の液晶光学素子。
【請求項8】樹脂相が光硬化性ビニル系化合物の硬化物からなり、光硬化性化合物として、比較的高分子量と低分子量の化合物が用いられ、低分子量の化合物として、分子量が500以下のものが用いられてなる請求項1〜7のいずれか1項に記載の液晶光学素子。
【請求項9】アクティブマトリックス基板と対向電極基板との間に、請求項1〜8のいずれか1項に記載の液晶光学素子の液晶/樹脂複合体を挟持せしめて形成された液晶表示素子。
【請求項10】請求項9に記載の液晶表示素子と、投射用光源と、投射光学系とが組み合わされてなる投射型液晶表示装置。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、一対の電極付基板間に、液晶と樹脂とを含む複合体が挟持された液晶光学素子、液晶表示素子及びそれを用いた投射型液晶表示装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
液晶ディスプレイは、その低消費電力性、低電圧駆動等の特長を生かしてパーソナルワードプロセッサ、ハンドヘルドコンピュータ、ポケットTV等に近年広く利用されている。なかでも注目され、盛んに開発されているのが、視角性がよく、高速かつ高密度表示が可能な能動素子を備えた液晶表示素子である。
【0003】
当初、動的散乱型(DSM)の液晶表示素子(LCD)が提案されていた。しかし、DSM−LCDでは液晶中を流れる電流値が高いため、消費電流が大きいという欠点があった。現在では偏光板を用いたツイストネマチック型(TN)のLCDが主流となっており、ポケットTVや可搬型の情報機器の表示素子として市場で用いられている。TN−LCDでは、漏れ電流はきわめて小さく、消費電力が少ないので、電池を電源とする用途に適する。
【0004】
そこで、これらの課題を解決すべく、ネマチック液晶を樹脂などのマトリックス中に分散保持したり、連続の液晶相に網目状形態の樹脂を複合して形成せしめた液晶/樹脂複合体が提案された。そして、その散乱−透過特性を利用し、偏光板を用いずに直接光のオンとオフの制御を行いうる液晶表示素子が得られた。分散型液晶表示素子、高分子分散型液晶表示素子などと呼ばれている。その基本的構造や製造方法について以下に説明する。
【0005】
この液晶光学素子には、正の誘電異方性を有するネマチック液晶が用いられ、高分子相の屈折率が液晶の常光屈折率(no )とほぼ一致するように通常設けられる。そして、一対の電極付基板の間に液晶/樹脂複合体が挟持される。
【0006】
電極付基板とは、ガラス、プラスチック、セラミック等の基板上に透明な電極、たとえばITO(In2 O3 −SnO2 )やSnO2 等が形成されたものである。さらに必要に応じて、クロム、アルミニウム等の金属電極を併用してもよい。反射型の動作モードで用いられる場合には、反射電極としてもよい。
【0007】
この液晶/樹脂複合体は、電極基板間電圧の印加状態により、液晶/樹脂複合体中の液晶の屈折率が変化する。そして、その樹脂相の屈折率が、液晶の屈折率とほぼ一致した時に光が透過し、一致しない時に光が散乱する。この液晶光学素子は、偏光板を用いないので、基本的に明るい表示が得られる。
【0008】
電圧印加時には、液晶分子が電界方向に平行に配列するので、屈折率が制御しやすく、この液晶光学素子は透過時に高い透過率が得られる。
【0009】
次に、液晶/樹脂複合体を用いた液晶光学素子の従来例を説明する。
特開昭63−271233(従来例1)には高分子材料にビニル系化合物、具体的には、高分子量のアクリルウレタン化合物を含むアクリロイル系化合物を用いて液晶と高分子材料との混合物から光重合相分離のプロセスによって液晶相と樹脂相とを形成させ、高性能の液晶/樹脂複合体が形成できることが開示されている。そして、液晶/樹脂複合体の層を通過する光のオン・オフを外部の電気信号で制御し、外観性のよい高性能の調光体が得られると示している。
【0010】
また、特開昭61−196229(従来例2)には高分子と液晶からなる液晶/樹脂複合体層とアクティブマトリックス基板とが組み合わされた液晶表示素子についての一般的な記載がある。
【0011】
アクティブマトリックス基板とは、基板上に電極と、薄膜トランジスタ(TFT)、薄膜ダイオード、金属絶縁体金属非線形抵抗素子(MIM)等の能動素子が形成された基板である。各画素電極には夫々に1個又は複数個の能動素子が接続されている。対向電極基板には、共通電極やパターン化された電極が形成され、アクティブマトリックス基板と組み合わされて表示が行われる。
【0012】
能動素子としてTFT等の三端子素子を使用する場合、対向電極基板は全画素共通のベタ電極が設けられる。MIM素子、PINダイオード等の二端子素子を用いる場合には、対向電極基板はストライプ状のパターニングが施される。
【0013】
また、特開平1−33523(従来例3)に記載されているように、液晶/樹脂複合体を光重合によって形成せしめる際に、外部から電界を印加して、液晶/樹脂複合体中の液晶に一定の配向規制を行い、常透過部分や半透過部分をあらかじめ形成することも行われている。固定表示したいものがある場合には、そのような常透過部分を形成できる。
【0014】
また、特開平5−134238(従来例4)では用いる樹脂相の弾性率に着目し、その弾性率が20℃で3×107 N/m2 以下、40℃で1×103 N/m2 以上となるような樹脂材料を用いることが示されている。そして、樹脂相の弾性率の制御はヒステリシス低減に大きな寄与があり、動画表示であっても残像や焼付きのないきわめて美しい表示が得られるとの記載がある。
【0015】
また、これらの液晶/樹脂複合体は、エマルジョン法、ラテックス法(溶媒除去など)や、重合相分離法(光硬化、熱硬化など)によって製造される。なかでも光重合相分離法は、光硬化性化合物と液晶の混合物から樹脂を光重合で析出せしめ、短時間で樹脂相と液晶相とを分離形成し、液晶セル内の三次元的空間に複雑な界面を形成できる。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、従来の液晶/樹脂複合体を備えた液晶光学素子においては、画素を高速で駆動する際に重要となる電圧保持率が低いために、大きな補助容量を必要とし、開口率を高くできない問題があった。特に、高階調、高密度、高速度の画像表示を得ようとするアクティブマトリックス駆動の場合において、特に大きな問題となっていた。特に、光重合相分離法では用いる光硬化性化合物の選択に制限があり、一定の光学特性を獲得し、かつ、良好な電気的特性(電圧保持率)を同時に達成することが困難であった。
【0017】
【課題を解決するための手段】
本発明は、光学特性を維持しつつ、電気的特性を改良した液晶/樹脂複合体を備えた液晶光学素子、液晶表示素子、及び投射型液晶表示装置を提供する。
【0018】
すなわち、第1の発明は、一対の電極付基板間に、液晶/樹脂複合体が挟持された液晶光学素子において、樹脂相を構成する樹脂が損失誘電率(測定周波数=100Hz)の温度特性における極大値が20℃以下とされ、樹脂を形成する材料としてヒドロキシアルキルアクリレートを含む光硬化性化合物が用いられてな ることを特徴とする液晶光学素子である。
【0019】
第2の発明は、一対の電極付基板間に、液晶/樹脂複合体が挟持された液晶光学素子において、樹脂相を構成する樹脂が損失誘電率(測定周波数=100Hz)の温度特性における極大値が20℃以下とされ、樹脂を形成する材料として2官能アクリルウレタンを含む光硬化性化合物が用いられてなることを特徴とする液晶光学素子である。
【0020】
第3の発明は、第1の発明又は第2の発明において、樹脂相が、ヘキサメチレン構造、又は、側鎖を有するヘキサメチレン構造を含む光硬化性ビニル系化合物からなる液晶光学素子である。
【0021】
第4の発明は、第1〜第3の発明のいずれかにおいて、樹脂が液晶により5〜20重量%膨潤されてなる液晶光学素子である。
【0022】
第5の発明は、第1〜第4の発明のいずれかにおいて、樹脂が分子量の異なる2種以上の光硬化性ビニル系化合物の混合物の硬化物であり、それらの光硬化性ビニル系化合物の分子量の最大のものと最小のものとの分子量の比が1.5倍以上とされた液晶光学素子である。
【0023】
第6の発明は、第1〜第5の発明のいずれかにおいて、電圧印加時又は非印加時に樹脂の屈折率が使用する液晶の常光屈折率(no )、又は異常光屈折率(ne )とほぼ一致せしめられた液晶光学素子である。
【0024】
また、第7の発明は、第1〜第6の発明のいずれかにおいて、外部信号によって液晶/樹脂複合体を通る電界が変化せしめられ、非飽和の電界値によって中間調表示が行われる液晶光学素子である。
また、第8の発明は、樹脂相が光硬化性ビニル系化合物の硬化物からなり、光硬化性化合物として、比較的高分子量と低分子量の化合物が用いられ、低分子量 の化合物として、分子量が500以下のものが用いられてなる第1〜7の発明のいずれかに記載の液晶光学素子を提供する。
【0025】
第9の発明は、アクティブマトリックス基板と対向電極基板との間に、第1〜第8の発明のいずれかの液晶光学素子の液晶/樹脂複合体を挟持せしめて形成された液晶表示素子である。
【0026】
また、第9の発明の液晶表示素子と、投射用光源と、投射光学系とが組み合わされた投射型液晶表示装置を作成することができる。
【0027】
第10の発明は、第9の発明において、投射用光源の光源光をRGBの色光に分解せしめ、各色光毎に、液晶表示素子を配置せしめ、液晶表示素子によって変調された各色光を合成し、投射光学系からフルカラーの画像光を投射せしめる投射型液晶表示装置である。
【0028】
第11の発明は、一対の電極付基板間に、液晶と光硬化性の樹脂材料との混合物を挟持せしめ、重合相分離によって樹脂材料を硬化し、樹脂相と液晶相との液晶/樹脂複合体を形成する液晶光学素子の製造方法において、樹脂相を構成する樹脂の硬化物の損失誘電率(測定周波数=100Hz)の温度特性における極大値を20℃以下とした液晶光学素子の製造方法である。
【0029】
第12の発明は、第11の発明において、電圧印加時又は非印加時に樹脂の屈折率が使用する液晶の常光屈折率(no )、又は異常光屈折率(ne )とほぼ一致せしめられた液晶光学素子の製造方法である。
【0030】
第13の発明は、第11又は第12の発明において、光を用いて重合相分離を行う液晶光学素子の製造方法である。
【0031】
本発明によれば上記の構成をとることにより、電圧保持率の高い液晶光学素子、液晶表示素子、及び高性能の投射型液晶表示装置が得られる。
【0032】
本発明の液晶光学素子では、従来例と同様に一対の電極付基板間に、透過−散乱型の動作モードを有する液晶/樹脂複合体、たとえば液晶と樹脂(たとえば、光硬化性ビニル系化合物の硬化物)とからなる液晶/樹脂複合体を挟持する。
【0033】
具体的には、本発明では、液晶光学素子として、選択された樹脂材料と液晶材料とを用いる。そして、三次元的に相分離した構造を有する液晶/樹脂複合体を形成する。そして、この液晶/樹脂複合体を、一対の電極付基板間に挟持する。その電極間への電圧の印加状態により、その液晶の屈折率が変化し、高分子相の屈折率(np )と液晶の屈折率との関係が変化する。
【0034】
この、樹脂と液晶とが三次元的に相分離した構造としては、樹脂マトリックスに細かな孔が多数形成され、その孔の部分に液晶が充填された構造や、連続体の液晶相中に網目状形態の樹脂が形成された構造、又は樹脂マトリックスに液晶が含浸したような構造、又は、樹脂マトリックス中に液晶を内包したマイクロカプセルが多数分散したような構造や、粒子状に相分離した液晶相が三次元的に連結したような構造などが挙げられる。
【0035】
これらの三次元的相分離構造は、樹脂マトリックスを介して60〜100%の液晶が連続又は連通した連続液晶相構造と、連続又は連通した液晶相が30%以下である独立液晶相を呈する相分離構造に大別される。両者を比べると散乱状態でのヘイズ値が高くかつ高コントラスト比の液晶光学素子を得るには、相分離した液晶ドメイン間の光散乱効果を利用できる連続液晶相構造のものが好ましい。
【0036】
本発明では、樹脂として、損失誘電率(測定周波数=100Hz)の温度特性の極大値が20℃以下である樹脂を選択する。特に、使用最低温度以下になるものが好ましい。これにより、液晶光学素子としての高い電圧保持率を実現できる。さらに、損失誘電率の温度特性の極大値が−10℃以下である樹脂を選択する ことは、より低温域でも使用できるので、好ましい。
【0037】
この場合、樹脂として光硬化性化合物の硬化物を用いることは、密閉系内で樹脂相を形成でき、特に、熱による影響を受けなく、短時間で硬化でき、好ましい。
【0038】
液晶/樹脂複合体の具体的な製法としては、従来例と同様にシール材を用いて空セルを形成し、注入口から液晶と硬化性化合物との混合物を注入し、注入口を封止後、光照射をするか加熱して硬化させる。もちろん、その後、周辺にシール材を塗布して周辺をシールしてもよい。この製法によれば、単に液晶と硬化性化合物との混合物をロールコート、スピンコート、印刷、ディスペンサによる塗布等の供給をすればよいため、注入工程が簡便であり、生産性がきわめてよい。
【0039】
次に、本発明における電圧保持率と液晶/樹脂複合体、具体的には光硬化性化合物の硬化物を用いた液晶/樹脂複合体との関係について説明する。
【0040】
従来の液晶/樹脂複合体においては、アクティブマトリックス駆動を行う場合、電圧保持率が低いために、大きな補助容量を必要とし、パネル透過率を低下させていた。
【0041】
液晶/樹脂複合体の電圧保持率を低下させる要因は、残留イオン性不純物によるDC比抵抗の低下によるものと、樹脂を形成する高分子の誘電緩和によるものとに分けられる。高分子の誘電緩和による電圧保持率の低下は、液晶/樹脂複合体において特有の現象であり、これは高分子の主鎖のミクロブラウン運動/局所的運動、長い側鎖の運動によって生じると考えられる。
【0042】
したがって、実用的な温度範囲で高い電圧保持率を達成するには、樹脂相を構成する高分子の損失誘電率(測定周波数=100Hz)の極大値の位置が使用温度域より充分低いところにあることが好ましい。一般的には、20℃以下であることが好ましい。なお、ここでいう樹脂とは液晶を含まない樹脂そのものをさす。
【0043】
樹脂相の樹脂部分は、樹脂を構成する高分子のみで構成されていても、液晶で膨潤した高分子で構成されてもよい。液晶で膨潤している場合には、一般に、液晶/樹脂複合体としての損失誘電率の極大値は、高分子単体の場合よりも低温度域に移動する。したがって、液晶による膨潤を利用することにより、さらに、温度に対する損失誘電率の極大値の位置を低温側に下げることができる。樹脂相中に膨潤する液晶量は、用いる液晶材料や、樹脂の種類により異なり、樹脂に対して、0〜数10重量%の膨潤量をとることができる。
【0044】
一方、樹脂が、−(CH2 )6 −(ヘキサメチレン構造)や、−CH2 C(CH3 )2 CH2 CH(CH3 )CH2 CH2 −(側鎖を有するヘキサメチレン構造の一例)、−(Si(CH3 )2 −O−)n −(ポリシロキサン構造)等を含むことで、そのガラス転移温度を低下させること、すなわち損失誘電率の極大値の温度を低下させることができ、ここで用いる高分子の一部にこのような構造を設けてもよい。
【0045】
さらに、液晶/樹脂複合体の液晶ドメインのサイズや液晶粒子径、ドメインサイズ又は粒子径の分布、ドメイン密度又は粒子密度などを制御するには、分子量の異なる2種以上の硬化性化合物を混合して用いることが好ましく、それらの分子量の最大のものと最小のものとの比が、1.5倍以上であるものが好ましい。
【0046】
さらに、上記物性範囲の樹脂材料を用いることにより、従来例3に記載されているように、ヒステリシスの低減もあわせて達成できる。
【0047】
具体的な製造方法としては、硬化後に上記物性範囲を満たす光硬化性化合物を液晶材料と均一に溶解させ、樹脂材料の硬化により液晶相と樹脂相の相分離構造を形成させる手法などが挙げられる。この際、他の光硬化性化合物や反応開始剤等を適宜混合することにより硬化前後の系の相溶性のバランスと樹脂相の特性を制御できる。特に、光硬化性ビニル系化合物を用い、光照射により相分離構造を形成することは、液晶相と樹脂相の構造制御、生産性の両面から望ましい。この場合、光硬化性ビニル系化合物として、(メタ)アクリル系化合物、特に、硬化部位としてアクリロイル基を持つものが好ましい。
【0048】
また、無電界時の散乱性を向上させるには、液晶/樹脂複合体の動作可能な液晶の体積分率Φを増加させることが有効である。具体的にはΦ>40%が好ましい。一方Φがあまり大きくなると、液晶/樹脂複合体の構造安定性が悪くなるため、Φ≦90%が好ましい。上述した連続液晶相かつ連続樹脂相を形成するには、55%≦Φ≦75%が特に好ましい。
【0049】
本発明では、前述の液晶/樹脂複合体の樹脂を形成する材料として、光硬化性ビニル系化合物の使用が好ましい。具体的には、光硬化性アクリル系化合物が好ましい。たとえばアルキルアクリレート、アルキレングリコールジアクリレート、ポリエーテルポリオールのポリアクリレート、ポリエーテルポリオール使用アクリルウレタンなどが使用される。
【0050】
光硬化性ビニル系化合物としては比較的高分子量の化合物と低分子量の化合物を併用することが好ましい。低分子量の化合物としては、たとえばアルキルアクリレート、ヒドロキシアルキルアクリレート、アルキレングリコールジアクリレートなどがある。その分子量は特に限定されないが、500以下、特に300以下が好ましい。
【0051】
比較的高分子量の光硬化性化合物としては、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオールなどの比較的高分子量のポリオールを使用して得られるアクリルウレタンやアクリレートが好ましい。特に、アクリルウレタンが好ましく、その原料としてヘキサメチレンジイソシアネートやトリメチルヘキサメチレンジイソシアネートなどの前記ヘキサメチレン構造を有するイソシアネートを用いることにより、ヘキサメチレン構造を含むアクリルウレタンが得られる。
【0052】
比較的高分子量の光硬化性ビニル系化合物の分子量は特に限定されないが、600以上、特に1000以上が好ましい。また、比較的高分子量の化合物と低分子量の化合物を併用する場合、その分子量の最大のものと最小のものとの分子量の比は1.5倍以上が好ましく、特に3倍以上が好ましい。
【0053】
本発明の液晶は、光硬化性化合物を均一に溶解することが好ましい。そして、光露光後の硬化物は液晶に溶解しないか、もしくは溶解困難なものとされる。液晶の組成物を用いる場合は、個々の液晶の溶解度ができるだけ近いものが望ましい。
【0054】
本発明では、液晶/樹脂複合体の形成において、液晶を溶媒として使用し、光露光により光硬化性化合物を硬化させることにより、硬化時に不要となる単なる溶媒や水を蒸発させる必要がない。このため、密閉系で硬化できるため、従来技術と同様に、液晶セルへの注入という製造法がそのまま採用でき、信頼性が高くなる。さらに、光硬化性化合物の硬化で2枚の基板を接着する効果も有するため、より信頼性が高くなる。
【0055】
この液晶/樹脂複合体を備えた液晶光学素子は、人間が視認する表示素子として主に用いられる。全面ベタ電極や単純マトリックスなどの駆動方法を用いて調光窓や光シャッタとしても用いられている。また、この液晶光学素子は、直視型表示素子、投射型表示素子の両方で使用できる。直視型表示素子として用いる場合、得たい表示特性に応じて、バックライト、レンズ、プリズム、ミラー、拡散板、光吸収体、カラーフィルタなどを組み合わせて表示装置が構成される。
【0056】
また、このほか赤外線カットフィルタ、紫外線カットフィルタ等を積層したり、文字、図形等を印刷したりしてもよい。また、液晶光学素子を複数枚用いて構成できる。
【0057】
さらに、調光体として用いる場合、液晶光学素子の外側にガラス板、プラスチック板等の保護板を積層する。これにより、その表面を加圧しても、破損する危険性が低くなり、安全性が向上する。
【0058】
次に、本発明の液晶表示素子の構造について説明する。
図1は、アクティブマトリックス基板を使用した場合の本発明の液晶表示素子の例の断面図である。図1において、1は液晶表示素子、2はアクティブマトリックス基板用のガラス、プラスチック等の基板、3はITO、SnO2 等の透明な画素電極、4はTFT、ダイオード、非線形抵抗素子等の能動素子、5は対向電極基板用のガラス、プラスチック等の基板、6はITO、SnO2 等の透明対向電極、7は両基板間に挟持された液晶/樹脂複合体を示す。単板の液晶表示素子でフルカラー表示を行う場合には、さらにRGBのカラーフィルタやブラックマスクなどを設ける。
【0059】
図2は、図1の液晶表示素子を用いた投射型液晶表示装置の模式図である。図2において、11は投射用光源、12は液晶表示素子、13はレンズ、アパーチャ等を含む投射光学系、14は投射する投射スクリーンを示す。なお、投射光学系はこの例では、孔のあいた板であるアパーチャやスポット15、集光レンズ16、投射レンズ17を含んでいる。
【0060】
また、図2では単板構成のシステム構成の一例を示したが、本発明は特開平7−134295(透過型)や特開平7−5419(反射型)に示されたようなRGB3板構成のシステム構成にも適用できる。この場合、白色光源をRGBの色光に分離し、各色毎に液晶表示素子を設け、再び色合成するので光の利用効率が向上する。
【0061】
たとえば3個の液晶表示素子を用いて投射型液晶表示装置を構成し、RGB3色の光を各液晶表示素子に分けて透過させる場合には、各色毎に液晶の粒径又は液晶ドメインサイズ、基板間隙、液晶の屈折率等を調整して、各色毎にその特性を揃えておくことが可能となる。
【0062】
液晶/樹脂複合体に使用する液晶は、ネマチック液晶又はスメクチック液晶が使用でき、ネマチック液晶の使用が好ましい。また、その一部にコレステリック液晶を添加したり、2色性色素や単なる色素を添加したりしてもよい。さらに、これに粘度調整剤、アルミナ粒子やセラミック粒子、プラスチック粒子、ガラス繊維等のスペーサ、顔料、色素、粘度調整剤、その他本発明の性能に悪影響を与えない添加剤を添加してもよい。
【0063】
本発明では、電圧を印加している状態で、硬化せしめて形成された後の樹脂相の屈折率np が用いる液晶の常光屈折率no と一致するように設定される。これにより、樹脂相の屈折率と液晶相の屈折率とが一致した時に光が透過し、一致しない時に光が散乱(白濁)することになる。この液晶/樹脂複合体を使用した液晶光学素子の透過状態での透過率は高く、また、散乱状態でのヘイズ値は80%以上が得られる。
【0064】
【実施例】
(実施例1)
分子量約1000のポリプロピレングリコール、2,2,4−トリメチル−1,6−ジイソシアネートヘキサン、及び2−ヒドロキシエチルアクリレート(2−HEA)の反応生成物である2官能アクリルウレタン、2−エチルヘキシルアクリレート(2−EHA)、4−ヒドロキシブチルアクリレート(4−HBA)を重量比7:1:2で混合して光硬化性化合物の組成物を調製した。
【0065】
さらに、微量の光重合開始剤をこれに添加した。この混合物に、25℃での物性値がΔn=0.22、Δε=12、K33=1.3×10−11 N、η=25cSt、20℃、30Hzでの交流比抵抗が5×1011Ω・cmの誘電異方性が正のネマチック液晶を、液晶の比率が65重量%となるように均一に溶解した。
【0066】
一方、ITOベタ電極が形成された電極基板を、周辺部に配置したシール材でシールして、電極基板間隙13μmの空セルを形成した。なお空セル内には、ギャップを均一に保つため直径13μmのスペーサを散布した。
【0067】
この空セルに、前記の硬化性混合物を注入した後、紫外線露光により硬化させ、液晶/樹脂複合体とした。その後、注入口はエポキシ系接着剤で封止した。
【0068】
この液晶表示素子の電圧保持率を測定した。具体的には、30℃の恒温槽内で、液晶セルにパルス幅60μsec、5V(Vin)印加電圧を加え、液晶セルの電圧降下波形をデジタルオシロスコープで測定した。電圧保持率は、16.67msec後の保持電圧(Vend )と印加電圧との比を百分率で計算した。測定結果を表1に示す。
【0069】
また、前記の混合物から液晶を除いた混合物を作製し、同様のセルに注入した後、紫外線硬化させた。この液晶セルを恒温槽に入れ、インピーダンスアナライザ(ヒューレット・パッカード社製:4192A)を用いて、液晶セルのコンダクタンスGを測定してこの混合物の100Hzにおける損失誘電率ε″の温度特性を求めた。コンダクタンス(G)と損失誘電率ε″(又は、比誘電損率と呼ばれる。)の関係を数1に示す。
【0070】
【数1】
【0071】
ここで、dは液晶セルギャップ、fは周波数、ε0 は真空の誘電率、Sは電極の面積である。その結果、測定周波数=100Hzにおける誘電損失率の極大値の温度は約−10℃であった。
【0072】
(実施例2)
東亞合成化学社製2官能アクリルウレタン「M1200」、2−EHAを重量比1:1で混合して光硬化性混合物を調製した。さらに、実施例1と同様に微量の光重合開始剤をこれに添加した。この材料に、実施例1と同じ液晶材料を同一の比率で均一に溶解した。次に、実施例1と同様の方法で液晶/樹脂複合体を形成し、同様の方法で30℃での電圧保持率を測定した。
【0073】
次に、この未硬化の混合物から液晶を除いた未硬化の樹脂組成物を調製し、この組成物を同様のセルに注入し、紫外線硬化させ、実施例1と同様の方法で損失誘電率の極大値となる温度を測定したところ15℃であった。
【0074】
(比較例1)
東亞合成化学社製2官能アクリルウレタン「M1200」、2−EHA、4−HBAを重量比7:1:2で混合して光硬化性混合物を調製した。さらに、実施例1と同様の材料と方法で液晶/樹脂複合体を形成した。次に、実施例1と同様の方法で30℃での電圧保持率を測定した。
【0075】
次に、この光硬化性化合物の混合物から液晶を除いた未硬化の組成物を調製し、この組成物を同様のセルに注入し、紫外線硬化させ、実施例1と同様の方法で損失誘電率の極大値となる温度を測定したところ43℃であった。
【0076】
表1に示す実施例1、実施例2、比較例1の測定結果から、液晶/樹脂複合体において、樹脂相を形成する樹脂材料の損失誘電率の極大値を使用温度域より低温側にシフトさせうるようになり、電圧保持率を向上させうることがわかる。また、実験結果を図3のグラフに示す。
【0077】
【表1】
【0078】
【発明の効果】
本発明によって、従来の液晶/樹脂複合体では得られなかった高い電圧保持率が得られるようになった。そのため、実用性のある液晶光学素子、液晶表示素子、及び投射型液晶表示装置を提供できる。具体的には従来のブラウン管TVの代替が可能な液晶TVプロジェクタや、データプロジェクタを提供できる。
【0079】
言い換えれば、本発明においては高速かつ高密度の表示画像であっても、所望の動作を達成し、明るく高コントラストの画像を投射し、かつ連続動作させることができる。
【0080】
また、本発明によって、高速の光シャッタ素子を提供できる。また、広い使用温度域が求められる屋外用電子機器の表示素子として使用できる。
【0081】
たとえば、携帯情報端末や車載用の表示装置として使用できる。また、本発明の液晶表示素子では、TFTの設計に余裕が生じ、表示領域の開口率を大きくでき、光の透過率を従来に増して高く設定できる。
【0082】
特に、光重合相分離法で形成した液晶/樹脂複合体を備えた液晶光学素子における、良好な光学特性と電気的特性との両立が達成できる。また、本発明は、このほか本発明の効果を損しない範囲内で種々応用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の液晶表示素子の基本的な構成を示す断面図。
【図2】本発明の投射型液晶表示装置の基本的な構成を示す模式図。
【図3】損失誘電率の温度特性を示すグラフ。
【符号の説明】
1:液晶表示素子
2、5:基板
3:画素電極
4:能動素子
6:対向電極
7:液晶/樹脂複合体
【特許請求の範囲】
【請求項1】一対の電極付基板間に、液晶/樹脂複合体が挟持された液晶光学素子において、樹脂相を構成する樹脂が損失誘電率(測定周波数=100Hz)の温度特性における極大値が20℃以下とされ、樹脂を形成する材料としてヒドロキシアルキルアクリレートを含む光硬化性化合物が用いられてなることを特徴とする液晶光学素子。
【請求項2】一対の電極付基板間に、液晶/樹脂複合体が挟持された液晶光学素子において、樹脂相を構成する樹脂が損失誘電率(測定周波数=100Hz)の温度特性における極大値が20℃以下とされ、樹脂を形成する材料として2官能アクリルウレタンを含む光硬化性化合物が用いられてなることを特徴とする液晶光学素子。
【請求項3】樹脂相が、ヘキサメチレン構造、又は、側鎖を有するヘキサメチレン構造を含む光硬化性ビニル系化合物からなる請求項1又は2に記載の液晶光学素子。
【請求項4】樹脂が液晶により5〜20重量%膨潤されてなる請求項1、2又は3に記載の液晶光学素子。
【請求項5】樹脂が分子量の異なる2種以上の光硬化性ビニル系化合物の混合物の硬化物であり、それらの光硬化性ビニル系化合物の分子量の最大のものと最小のものとの分子量の比が1.5倍以上とされた請求項1、2、3又は4に記載の液晶光学素子。
【請求項6】電圧印加時又は非印加時に樹脂の屈折率が使用する液晶の常光屈折率(no )、又は異常光屈折率(ne )とほぼ一致せしめられた請求項1〜5のいずれか1項に記載の液晶光学素子。
【請求項7】外部信号によって液晶/樹脂複合体を通る電界が変化せしめられ、非飽和の電界値によって中間調表示が行われる請求項1〜6のいずれか1項に記載の液晶光学素子。
【請求項8】樹脂相が光硬化性ビニル系化合物の硬化物からなり、光硬化性化合物として、比較的高分子量と低分子量の化合物が用いられ、低分子量の化合物として、分子量が500以下のものが用いられてなる請求項1〜7のいずれか1項に記載の液晶光学素子。
【請求項9】アクティブマトリックス基板と対向電極基板との間に、請求項1〜8のいずれか1項に記載の液晶光学素子の液晶/樹脂複合体を挟持せしめて形成された液晶表示素子。
【請求項10】請求項9に記載の液晶表示素子と、投射用光源と、投射光学系とが組み合わされてなる投射型液晶表示装置。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、一対の電極付基板間に、液晶と樹脂とを含む複合体が挟持された液晶光学素子、液晶表示素子及びそれを用いた投射型液晶表示装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
液晶ディスプレイは、その低消費電力性、低電圧駆動等の特長を生かしてパーソナルワードプロセッサ、ハンドヘルドコンピュータ、ポケットTV等に近年広く利用されている。なかでも注目され、盛んに開発されているのが、視角性がよく、高速かつ高密度表示が可能な能動素子を備えた液晶表示素子である。
【0003】
当初、動的散乱型(DSM)の液晶表示素子(LCD)が提案されていた。しかし、DSM−LCDでは液晶中を流れる電流値が高いため、消費電流が大きいという欠点があった。現在では偏光板を用いたツイストネマチック型(TN)のLCDが主流となっており、ポケットTVや可搬型の情報機器の表示素子として市場で用いられている。TN−LCDでは、漏れ電流はきわめて小さく、消費電力が少ないので、電池を電源とする用途に適する。
【0004】
そこで、これらの課題を解決すべく、ネマチック液晶を樹脂などのマトリックス中に分散保持したり、連続の液晶相に網目状形態の樹脂を複合して形成せしめた液晶/樹脂複合体が提案された。そして、その散乱−透過特性を利用し、偏光板を用いずに直接光のオンとオフの制御を行いうる液晶表示素子が得られた。分散型液晶表示素子、高分子分散型液晶表示素子などと呼ばれている。その基本的構造や製造方法について以下に説明する。
【0005】
この液晶光学素子には、正の誘電異方性を有するネマチック液晶が用いられ、高分子相の屈折率が液晶の常光屈折率(no )とほぼ一致するように通常設けられる。そして、一対の電極付基板の間に液晶/樹脂複合体が挟持される。
【0006】
電極付基板とは、ガラス、プラスチック、セラミック等の基板上に透明な電極、たとえばITO(In2 O3 −SnO2 )やSnO2 等が形成されたものである。さらに必要に応じて、クロム、アルミニウム等の金属電極を併用してもよい。反射型の動作モードで用いられる場合には、反射電極としてもよい。
【0007】
この液晶/樹脂複合体は、電極基板間電圧の印加状態により、液晶/樹脂複合体中の液晶の屈折率が変化する。そして、その樹脂相の屈折率が、液晶の屈折率とほぼ一致した時に光が透過し、一致しない時に光が散乱する。この液晶光学素子は、偏光板を用いないので、基本的に明るい表示が得られる。
【0008】
電圧印加時には、液晶分子が電界方向に平行に配列するので、屈折率が制御しやすく、この液晶光学素子は透過時に高い透過率が得られる。
【0009】
次に、液晶/樹脂複合体を用いた液晶光学素子の従来例を説明する。
特開昭63−271233(従来例1)には高分子材料にビニル系化合物、具体的には、高分子量のアクリルウレタン化合物を含むアクリロイル系化合物を用いて液晶と高分子材料との混合物から光重合相分離のプロセスによって液晶相と樹脂相とを形成させ、高性能の液晶/樹脂複合体が形成できることが開示されている。そして、液晶/樹脂複合体の層を通過する光のオン・オフを外部の電気信号で制御し、外観性のよい高性能の調光体が得られると示している。
【0010】
また、特開昭61−196229(従来例2)には高分子と液晶からなる液晶/樹脂複合体層とアクティブマトリックス基板とが組み合わされた液晶表示素子についての一般的な記載がある。
【0011】
アクティブマトリックス基板とは、基板上に電極と、薄膜トランジスタ(TFT)、薄膜ダイオード、金属絶縁体金属非線形抵抗素子(MIM)等の能動素子が形成された基板である。各画素電極には夫々に1個又は複数個の能動素子が接続されている。対向電極基板には、共通電極やパターン化された電極が形成され、アクティブマトリックス基板と組み合わされて表示が行われる。
【0012】
能動素子としてTFT等の三端子素子を使用する場合、対向電極基板は全画素共通のベタ電極が設けられる。MIM素子、PINダイオード等の二端子素子を用いる場合には、対向電極基板はストライプ状のパターニングが施される。
【0013】
また、特開平1−33523(従来例3)に記載されているように、液晶/樹脂複合体を光重合によって形成せしめる際に、外部から電界を印加して、液晶/樹脂複合体中の液晶に一定の配向規制を行い、常透過部分や半透過部分をあらかじめ形成することも行われている。固定表示したいものがある場合には、そのような常透過部分を形成できる。
【0014】
また、特開平5−134238(従来例4)では用いる樹脂相の弾性率に着目し、その弾性率が20℃で3×107 N/m2 以下、40℃で1×103 N/m2 以上となるような樹脂材料を用いることが示されている。そして、樹脂相の弾性率の制御はヒステリシス低減に大きな寄与があり、動画表示であっても残像や焼付きのないきわめて美しい表示が得られるとの記載がある。
【0015】
また、これらの液晶/樹脂複合体は、エマルジョン法、ラテックス法(溶媒除去など)や、重合相分離法(光硬化、熱硬化など)によって製造される。なかでも光重合相分離法は、光硬化性化合物と液晶の混合物から樹脂を光重合で析出せしめ、短時間で樹脂相と液晶相とを分離形成し、液晶セル内の三次元的空間に複雑な界面を形成できる。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、従来の液晶/樹脂複合体を備えた液晶光学素子においては、画素を高速で駆動する際に重要となる電圧保持率が低いために、大きな補助容量を必要とし、開口率を高くできない問題があった。特に、高階調、高密度、高速度の画像表示を得ようとするアクティブマトリックス駆動の場合において、特に大きな問題となっていた。特に、光重合相分離法では用いる光硬化性化合物の選択に制限があり、一定の光学特性を獲得し、かつ、良好な電気的特性(電圧保持率)を同時に達成することが困難であった。
【0017】
【課題を解決するための手段】
本発明は、光学特性を維持しつつ、電気的特性を改良した液晶/樹脂複合体を備えた液晶光学素子、液晶表示素子、及び投射型液晶表示装置を提供する。
【0018】
すなわち、第1の発明は、一対の電極付基板間に、液晶/樹脂複合体が挟持された液晶光学素子において、樹脂相を構成する樹脂が損失誘電率(測定周波数=100Hz)の温度特性における極大値が20℃以下とされ、樹脂を形成する材料としてヒドロキシアルキルアクリレートを含む光硬化性化合物が用いられてな ることを特徴とする液晶光学素子である。
【0019】
第2の発明は、一対の電極付基板間に、液晶/樹脂複合体が挟持された液晶光学素子において、樹脂相を構成する樹脂が損失誘電率(測定周波数=100Hz)の温度特性における極大値が20℃以下とされ、樹脂を形成する材料として2官能アクリルウレタンを含む光硬化性化合物が用いられてなることを特徴とする液晶光学素子である。
【0020】
第3の発明は、第1の発明又は第2の発明において、樹脂相が、ヘキサメチレン構造、又は、側鎖を有するヘキサメチレン構造を含む光硬化性ビニル系化合物からなる液晶光学素子である。
【0021】
第4の発明は、第1〜第3の発明のいずれかにおいて、樹脂が液晶により5〜20重量%膨潤されてなる液晶光学素子である。
【0022】
第5の発明は、第1〜第4の発明のいずれかにおいて、樹脂が分子量の異なる2種以上の光硬化性ビニル系化合物の混合物の硬化物であり、それらの光硬化性ビニル系化合物の分子量の最大のものと最小のものとの分子量の比が1.5倍以上とされた液晶光学素子である。
【0023】
第6の発明は、第1〜第5の発明のいずれかにおいて、電圧印加時又は非印加時に樹脂の屈折率が使用する液晶の常光屈折率(no )、又は異常光屈折率(ne )とほぼ一致せしめられた液晶光学素子である。
【0024】
また、第7の発明は、第1〜第6の発明のいずれかにおいて、外部信号によって液晶/樹脂複合体を通る電界が変化せしめられ、非飽和の電界値によって中間調表示が行われる液晶光学素子である。
また、第8の発明は、樹脂相が光硬化性ビニル系化合物の硬化物からなり、光硬化性化合物として、比較的高分子量と低分子量の化合物が用いられ、低分子量 の化合物として、分子量が500以下のものが用いられてなる第1〜7の発明のいずれかに記載の液晶光学素子を提供する。
【0025】
第9の発明は、アクティブマトリックス基板と対向電極基板との間に、第1〜第8の発明のいずれかの液晶光学素子の液晶/樹脂複合体を挟持せしめて形成された液晶表示素子である。
【0026】
また、第9の発明の液晶表示素子と、投射用光源と、投射光学系とが組み合わされた投射型液晶表示装置を作成することができる。
【0027】
第10の発明は、第9の発明において、投射用光源の光源光をRGBの色光に分解せしめ、各色光毎に、液晶表示素子を配置せしめ、液晶表示素子によって変調された各色光を合成し、投射光学系からフルカラーの画像光を投射せしめる投射型液晶表示装置である。
【0028】
第11の発明は、一対の電極付基板間に、液晶と光硬化性の樹脂材料との混合物を挟持せしめ、重合相分離によって樹脂材料を硬化し、樹脂相と液晶相との液晶/樹脂複合体を形成する液晶光学素子の製造方法において、樹脂相を構成する樹脂の硬化物の損失誘電率(測定周波数=100Hz)の温度特性における極大値を20℃以下とした液晶光学素子の製造方法である。
【0029】
第12の発明は、第11の発明において、電圧印加時又は非印加時に樹脂の屈折率が使用する液晶の常光屈折率(no )、又は異常光屈折率(ne )とほぼ一致せしめられた液晶光学素子の製造方法である。
【0030】
第13の発明は、第11又は第12の発明において、光を用いて重合相分離を行う液晶光学素子の製造方法である。
【0031】
本発明によれば上記の構成をとることにより、電圧保持率の高い液晶光学素子、液晶表示素子、及び高性能の投射型液晶表示装置が得られる。
【0032】
本発明の液晶光学素子では、従来例と同様に一対の電極付基板間に、透過−散乱型の動作モードを有する液晶/樹脂複合体、たとえば液晶と樹脂(たとえば、光硬化性ビニル系化合物の硬化物)とからなる液晶/樹脂複合体を挟持する。
【0033】
具体的には、本発明では、液晶光学素子として、選択された樹脂材料と液晶材料とを用いる。そして、三次元的に相分離した構造を有する液晶/樹脂複合体を形成する。そして、この液晶/樹脂複合体を、一対の電極付基板間に挟持する。その電極間への電圧の印加状態により、その液晶の屈折率が変化し、高分子相の屈折率(np )と液晶の屈折率との関係が変化する。
【0034】
この、樹脂と液晶とが三次元的に相分離した構造としては、樹脂マトリックスに細かな孔が多数形成され、その孔の部分に液晶が充填された構造や、連続体の液晶相中に網目状形態の樹脂が形成された構造、又は樹脂マトリックスに液晶が含浸したような構造、又は、樹脂マトリックス中に液晶を内包したマイクロカプセルが多数分散したような構造や、粒子状に相分離した液晶相が三次元的に連結したような構造などが挙げられる。
【0035】
これらの三次元的相分離構造は、樹脂マトリックスを介して60〜100%の液晶が連続又は連通した連続液晶相構造と、連続又は連通した液晶相が30%以下である独立液晶相を呈する相分離構造に大別される。両者を比べると散乱状態でのヘイズ値が高くかつ高コントラスト比の液晶光学素子を得るには、相分離した液晶ドメイン間の光散乱効果を利用できる連続液晶相構造のものが好ましい。
【0036】
本発明では、樹脂として、損失誘電率(測定周波数=100Hz)の温度特性の極大値が20℃以下である樹脂を選択する。特に、使用最低温度以下になるものが好ましい。これにより、液晶光学素子としての高い電圧保持率を実現できる。さらに、損失誘電率の温度特性の極大値が−10℃以下である樹脂を選択する ことは、より低温域でも使用できるので、好ましい。
【0037】
この場合、樹脂として光硬化性化合物の硬化物を用いることは、密閉系内で樹脂相を形成でき、特に、熱による影響を受けなく、短時間で硬化でき、好ましい。
【0038】
液晶/樹脂複合体の具体的な製法としては、従来例と同様にシール材を用いて空セルを形成し、注入口から液晶と硬化性化合物との混合物を注入し、注入口を封止後、光照射をするか加熱して硬化させる。もちろん、その後、周辺にシール材を塗布して周辺をシールしてもよい。この製法によれば、単に液晶と硬化性化合物との混合物をロールコート、スピンコート、印刷、ディスペンサによる塗布等の供給をすればよいため、注入工程が簡便であり、生産性がきわめてよい。
【0039】
次に、本発明における電圧保持率と液晶/樹脂複合体、具体的には光硬化性化合物の硬化物を用いた液晶/樹脂複合体との関係について説明する。
【0040】
従来の液晶/樹脂複合体においては、アクティブマトリックス駆動を行う場合、電圧保持率が低いために、大きな補助容量を必要とし、パネル透過率を低下させていた。
【0041】
液晶/樹脂複合体の電圧保持率を低下させる要因は、残留イオン性不純物によるDC比抵抗の低下によるものと、樹脂を形成する高分子の誘電緩和によるものとに分けられる。高分子の誘電緩和による電圧保持率の低下は、液晶/樹脂複合体において特有の現象であり、これは高分子の主鎖のミクロブラウン運動/局所的運動、長い側鎖の運動によって生じると考えられる。
【0042】
したがって、実用的な温度範囲で高い電圧保持率を達成するには、樹脂相を構成する高分子の損失誘電率(測定周波数=100Hz)の極大値の位置が使用温度域より充分低いところにあることが好ましい。一般的には、20℃以下であることが好ましい。なお、ここでいう樹脂とは液晶を含まない樹脂そのものをさす。
【0043】
樹脂相の樹脂部分は、樹脂を構成する高分子のみで構成されていても、液晶で膨潤した高分子で構成されてもよい。液晶で膨潤している場合には、一般に、液晶/樹脂複合体としての損失誘電率の極大値は、高分子単体の場合よりも低温度域に移動する。したがって、液晶による膨潤を利用することにより、さらに、温度に対する損失誘電率の極大値の位置を低温側に下げることができる。樹脂相中に膨潤する液晶量は、用いる液晶材料や、樹脂の種類により異なり、樹脂に対して、0〜数10重量%の膨潤量をとることができる。
【0044】
一方、樹脂が、−(CH2 )6 −(ヘキサメチレン構造)や、−CH2 C(CH3 )2 CH2 CH(CH3 )CH2 CH2 −(側鎖を有するヘキサメチレン構造の一例)、−(Si(CH3 )2 −O−)n −(ポリシロキサン構造)等を含むことで、そのガラス転移温度を低下させること、すなわち損失誘電率の極大値の温度を低下させることができ、ここで用いる高分子の一部にこのような構造を設けてもよい。
【0045】
さらに、液晶/樹脂複合体の液晶ドメインのサイズや液晶粒子径、ドメインサイズ又は粒子径の分布、ドメイン密度又は粒子密度などを制御するには、分子量の異なる2種以上の硬化性化合物を混合して用いることが好ましく、それらの分子量の最大のものと最小のものとの比が、1.5倍以上であるものが好ましい。
【0046】
さらに、上記物性範囲の樹脂材料を用いることにより、従来例3に記載されているように、ヒステリシスの低減もあわせて達成できる。
【0047】
具体的な製造方法としては、硬化後に上記物性範囲を満たす光硬化性化合物を液晶材料と均一に溶解させ、樹脂材料の硬化により液晶相と樹脂相の相分離構造を形成させる手法などが挙げられる。この際、他の光硬化性化合物や反応開始剤等を適宜混合することにより硬化前後の系の相溶性のバランスと樹脂相の特性を制御できる。特に、光硬化性ビニル系化合物を用い、光照射により相分離構造を形成することは、液晶相と樹脂相の構造制御、生産性の両面から望ましい。この場合、光硬化性ビニル系化合物として、(メタ)アクリル系化合物、特に、硬化部位としてアクリロイル基を持つものが好ましい。
【0048】
また、無電界時の散乱性を向上させるには、液晶/樹脂複合体の動作可能な液晶の体積分率Φを増加させることが有効である。具体的にはΦ>40%が好ましい。一方Φがあまり大きくなると、液晶/樹脂複合体の構造安定性が悪くなるため、Φ≦90%が好ましい。上述した連続液晶相かつ連続樹脂相を形成するには、55%≦Φ≦75%が特に好ましい。
【0049】
本発明では、前述の液晶/樹脂複合体の樹脂を形成する材料として、光硬化性ビニル系化合物の使用が好ましい。具体的には、光硬化性アクリル系化合物が好ましい。たとえばアルキルアクリレート、アルキレングリコールジアクリレート、ポリエーテルポリオールのポリアクリレート、ポリエーテルポリオール使用アクリルウレタンなどが使用される。
【0050】
光硬化性ビニル系化合物としては比較的高分子量の化合物と低分子量の化合物を併用することが好ましい。低分子量の化合物としては、たとえばアルキルアクリレート、ヒドロキシアルキルアクリレート、アルキレングリコールジアクリレートなどがある。その分子量は特に限定されないが、500以下、特に300以下が好ましい。
【0051】
比較的高分子量の光硬化性化合物としては、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオールなどの比較的高分子量のポリオールを使用して得られるアクリルウレタンやアクリレートが好ましい。特に、アクリルウレタンが好ましく、その原料としてヘキサメチレンジイソシアネートやトリメチルヘキサメチレンジイソシアネートなどの前記ヘキサメチレン構造を有するイソシアネートを用いることにより、ヘキサメチレン構造を含むアクリルウレタンが得られる。
【0052】
比較的高分子量の光硬化性ビニル系化合物の分子量は特に限定されないが、600以上、特に1000以上が好ましい。また、比較的高分子量の化合物と低分子量の化合物を併用する場合、その分子量の最大のものと最小のものとの分子量の比は1.5倍以上が好ましく、特に3倍以上が好ましい。
【0053】
本発明の液晶は、光硬化性化合物を均一に溶解することが好ましい。そして、光露光後の硬化物は液晶に溶解しないか、もしくは溶解困難なものとされる。液晶の組成物を用いる場合は、個々の液晶の溶解度ができるだけ近いものが望ましい。
【0054】
本発明では、液晶/樹脂複合体の形成において、液晶を溶媒として使用し、光露光により光硬化性化合物を硬化させることにより、硬化時に不要となる単なる溶媒や水を蒸発させる必要がない。このため、密閉系で硬化できるため、従来技術と同様に、液晶セルへの注入という製造法がそのまま採用でき、信頼性が高くなる。さらに、光硬化性化合物の硬化で2枚の基板を接着する効果も有するため、より信頼性が高くなる。
【0055】
この液晶/樹脂複合体を備えた液晶光学素子は、人間が視認する表示素子として主に用いられる。全面ベタ電極や単純マトリックスなどの駆動方法を用いて調光窓や光シャッタとしても用いられている。また、この液晶光学素子は、直視型表示素子、投射型表示素子の両方で使用できる。直視型表示素子として用いる場合、得たい表示特性に応じて、バックライト、レンズ、プリズム、ミラー、拡散板、光吸収体、カラーフィルタなどを組み合わせて表示装置が構成される。
【0056】
また、このほか赤外線カットフィルタ、紫外線カットフィルタ等を積層したり、文字、図形等を印刷したりしてもよい。また、液晶光学素子を複数枚用いて構成できる。
【0057】
さらに、調光体として用いる場合、液晶光学素子の外側にガラス板、プラスチック板等の保護板を積層する。これにより、その表面を加圧しても、破損する危険性が低くなり、安全性が向上する。
【0058】
次に、本発明の液晶表示素子の構造について説明する。
図1は、アクティブマトリックス基板を使用した場合の本発明の液晶表示素子の例の断面図である。図1において、1は液晶表示素子、2はアクティブマトリックス基板用のガラス、プラスチック等の基板、3はITO、SnO2 等の透明な画素電極、4はTFT、ダイオード、非線形抵抗素子等の能動素子、5は対向電極基板用のガラス、プラスチック等の基板、6はITO、SnO2 等の透明対向電極、7は両基板間に挟持された液晶/樹脂複合体を示す。単板の液晶表示素子でフルカラー表示を行う場合には、さらにRGBのカラーフィルタやブラックマスクなどを設ける。
【0059】
図2は、図1の液晶表示素子を用いた投射型液晶表示装置の模式図である。図2において、11は投射用光源、12は液晶表示素子、13はレンズ、アパーチャ等を含む投射光学系、14は投射する投射スクリーンを示す。なお、投射光学系はこの例では、孔のあいた板であるアパーチャやスポット15、集光レンズ16、投射レンズ17を含んでいる。
【0060】
また、図2では単板構成のシステム構成の一例を示したが、本発明は特開平7−134295(透過型)や特開平7−5419(反射型)に示されたようなRGB3板構成のシステム構成にも適用できる。この場合、白色光源をRGBの色光に分離し、各色毎に液晶表示素子を設け、再び色合成するので光の利用効率が向上する。
【0061】
たとえば3個の液晶表示素子を用いて投射型液晶表示装置を構成し、RGB3色の光を各液晶表示素子に分けて透過させる場合には、各色毎に液晶の粒径又は液晶ドメインサイズ、基板間隙、液晶の屈折率等を調整して、各色毎にその特性を揃えておくことが可能となる。
【0062】
液晶/樹脂複合体に使用する液晶は、ネマチック液晶又はスメクチック液晶が使用でき、ネマチック液晶の使用が好ましい。また、その一部にコレステリック液晶を添加したり、2色性色素や単なる色素を添加したりしてもよい。さらに、これに粘度調整剤、アルミナ粒子やセラミック粒子、プラスチック粒子、ガラス繊維等のスペーサ、顔料、色素、粘度調整剤、その他本発明の性能に悪影響を与えない添加剤を添加してもよい。
【0063】
本発明では、電圧を印加している状態で、硬化せしめて形成された後の樹脂相の屈折率np が用いる液晶の常光屈折率no と一致するように設定される。これにより、樹脂相の屈折率と液晶相の屈折率とが一致した時に光が透過し、一致しない時に光が散乱(白濁)することになる。この液晶/樹脂複合体を使用した液晶光学素子の透過状態での透過率は高く、また、散乱状態でのヘイズ値は80%以上が得られる。
【0064】
【実施例】
(実施例1)
分子量約1000のポリプロピレングリコール、2,2,4−トリメチル−1,6−ジイソシアネートヘキサン、及び2−ヒドロキシエチルアクリレート(2−HEA)の反応生成物である2官能アクリルウレタン、2−エチルヘキシルアクリレート(2−EHA)、4−ヒドロキシブチルアクリレート(4−HBA)を重量比7:1:2で混合して光硬化性化合物の組成物を調製した。
【0065】
さらに、微量の光重合開始剤をこれに添加した。この混合物に、25℃での物性値がΔn=0.22、Δε=12、K33=1.3×10−11 N、η=25cSt、20℃、30Hzでの交流比抵抗が5×1011Ω・cmの誘電異方性が正のネマチック液晶を、液晶の比率が65重量%となるように均一に溶解した。
【0066】
一方、ITOベタ電極が形成された電極基板を、周辺部に配置したシール材でシールして、電極基板間隙13μmの空セルを形成した。なお空セル内には、ギャップを均一に保つため直径13μmのスペーサを散布した。
【0067】
この空セルに、前記の硬化性混合物を注入した後、紫外線露光により硬化させ、液晶/樹脂複合体とした。その後、注入口はエポキシ系接着剤で封止した。
【0068】
この液晶表示素子の電圧保持率を測定した。具体的には、30℃の恒温槽内で、液晶セルにパルス幅60μsec、5V(Vin)印加電圧を加え、液晶セルの電圧降下波形をデジタルオシロスコープで測定した。電圧保持率は、16.67msec後の保持電圧(Vend )と印加電圧との比を百分率で計算した。測定結果を表1に示す。
【0069】
また、前記の混合物から液晶を除いた混合物を作製し、同様のセルに注入した後、紫外線硬化させた。この液晶セルを恒温槽に入れ、インピーダンスアナライザ(ヒューレット・パッカード社製:4192A)を用いて、液晶セルのコンダクタンスGを測定してこの混合物の100Hzにおける損失誘電率ε″の温度特性を求めた。コンダクタンス(G)と損失誘電率ε″(又は、比誘電損率と呼ばれる。)の関係を数1に示す。
【0070】
【数1】
【0071】
ここで、dは液晶セルギャップ、fは周波数、ε0 は真空の誘電率、Sは電極の面積である。その結果、測定周波数=100Hzにおける誘電損失率の極大値の温度は約−10℃であった。
【0072】
(実施例2)
東亞合成化学社製2官能アクリルウレタン「M1200」、2−EHAを重量比1:1で混合して光硬化性混合物を調製した。さらに、実施例1と同様に微量の光重合開始剤をこれに添加した。この材料に、実施例1と同じ液晶材料を同一の比率で均一に溶解した。次に、実施例1と同様の方法で液晶/樹脂複合体を形成し、同様の方法で30℃での電圧保持率を測定した。
【0073】
次に、この未硬化の混合物から液晶を除いた未硬化の樹脂組成物を調製し、この組成物を同様のセルに注入し、紫外線硬化させ、実施例1と同様の方法で損失誘電率の極大値となる温度を測定したところ15℃であった。
【0074】
(比較例1)
東亞合成化学社製2官能アクリルウレタン「M1200」、2−EHA、4−HBAを重量比7:1:2で混合して光硬化性混合物を調製した。さらに、実施例1と同様の材料と方法で液晶/樹脂複合体を形成した。次に、実施例1と同様の方法で30℃での電圧保持率を測定した。
【0075】
次に、この光硬化性化合物の混合物から液晶を除いた未硬化の組成物を調製し、この組成物を同様のセルに注入し、紫外線硬化させ、実施例1と同様の方法で損失誘電率の極大値となる温度を測定したところ43℃であった。
【0076】
表1に示す実施例1、実施例2、比較例1の測定結果から、液晶/樹脂複合体において、樹脂相を形成する樹脂材料の損失誘電率の極大値を使用温度域より低温側にシフトさせうるようになり、電圧保持率を向上させうることがわかる。また、実験結果を図3のグラフに示す。
【0077】
【表1】
【0078】
【発明の効果】
本発明によって、従来の液晶/樹脂複合体では得られなかった高い電圧保持率が得られるようになった。そのため、実用性のある液晶光学素子、液晶表示素子、及び投射型液晶表示装置を提供できる。具体的には従来のブラウン管TVの代替が可能な液晶TVプロジェクタや、データプロジェクタを提供できる。
【0079】
言い換えれば、本発明においては高速かつ高密度の表示画像であっても、所望の動作を達成し、明るく高コントラストの画像を投射し、かつ連続動作させることができる。
【0080】
また、本発明によって、高速の光シャッタ素子を提供できる。また、広い使用温度域が求められる屋外用電子機器の表示素子として使用できる。
【0081】
たとえば、携帯情報端末や車載用の表示装置として使用できる。また、本発明の液晶表示素子では、TFTの設計に余裕が生じ、表示領域の開口率を大きくでき、光の透過率を従来に増して高く設定できる。
【0082】
特に、光重合相分離法で形成した液晶/樹脂複合体を備えた液晶光学素子における、良好な光学特性と電気的特性との両立が達成できる。また、本発明は、このほか本発明の効果を損しない範囲内で種々応用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の液晶表示素子の基本的な構成を示す断面図。
【図2】本発明の投射型液晶表示装置の基本的な構成を示す模式図。
【図3】損失誘電率の温度特性を示すグラフ。
【符号の説明】
1:液晶表示素子
2、5:基板
3:画素電極
4:能動素子
6:対向電極
7:液晶/樹脂複合体
Priority Applications (1)
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|---|---|---|---|
| JP8169965A JPH0973074A (ja) | 1995-06-30 | 1996-06-28 | 液晶光学素子、液晶表示素子、及び投射型液晶表示装置 |
Applications Claiming Priority (3)
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|---|---|---|---|
| JP16605395 | 1995-06-30 | ||
| JP8169965A JPH0973074A (ja) | 1995-06-30 | 1996-06-28 | 液晶光学素子、液晶表示素子、及び投射型液晶表示装置 |
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Publications (2)
| Publication Number | Publication Date |
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| JPH0973074A JPH0973074A (ja) | 1997-03-18 |
| JPH0973074A5 true JPH0973074A5 (ja) | 2004-07-22 |
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| CN121634635A (zh) * | 2025-12-17 | 2026-03-10 | 江苏熠动科技有限公司 | 一种集成加热功能的调光膜及其制备方法 |
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1996
- 1996-06-28 JP JP8169965A patent/JPH0973074A/ja active Pending
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