JPH0975442A - 生体内分解吸収性セル構造体 - Google Patents

生体内分解吸収性セル構造体

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JPH0975442A
JPH0975442A JP7260769A JP26076995A JPH0975442A JP H0975442 A JPH0975442 A JP H0975442A JP 7260769 A JP7260769 A JP 7260769A JP 26076995 A JP26076995 A JP 26076995A JP H0975442 A JPH0975442 A JP H0975442A
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保夫 敷波
Hiroyuki Kawarada
裕之 川原田
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 硬度や強度があり、生体内で数ヶ月のあいだ
強度を維持することができ、生体内での安全性に優れ、
溶液沈殿法(SPT)により簡単に製造できる、生体材
料として有用な生体内分解吸収性セル構造体を提供す
る。 【解決手段】 ポリ乳酸、又は乳酸とグリコール酸との
共重合体、又は乳酸とカプロラクトンとの共重合体を、
これらのポリマーを溶解する溶剤と該溶剤より高沸点の
非溶剤との混合溶媒に溶解し、このポリマー溶液から混
合溶媒を溶剤の沸点より低温で気散させることにより、
ポリマーを沈殿させて形成した連続気孔を有するセル構
造体であって、ポリマーが60万より高い重量平均分子
量を有するセル構造体とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、医療用途に適した
生体内分解吸収性セル構造体に関する。
【0002】
【従来の技術】医療用途を目的とする生体内分解吸収性
のセル構造体(多孔体)としては、特公昭63−649
88号に開示された生体内分解吸収性スポンジや、特開
平2−63465号に開示された歯周組織再建用素材な
どが知られている。
【0003】前者の生体内分解吸収性スポンジは、手術
時の止血や生体の軟組織(例えば肝臓等の臓器)の縫合
時の補綴材料として使用されるもので、分子量(重量平
均分子量)が2千〜60万のポリ乳酸等から形成された
連続気泡構造を有する柔軟なスポンジである。このスポ
ンジは、上記のポリ乳酸等をベンゼン又はジオキサンに
溶解させ、そのポリマー溶液を凍結乾燥する方法によっ
て製造される。
【0004】また、後者の歯周組織再建用素材は、重量
平均分子量が4万〜50万の乳酸−カプロラクトン共重
合体等から形成された多孔質の柔軟なフィルム状もしく
はシート状の肉薄の素材であり、この素材も上記と同様
の溶剤を用いて凍結乾燥法により製造されるものであ
る。
【0005】両者の方法の主な目的の一つは、フロロカ
ーボン系の溶剤(フレオン)やヘキサフルオロイソプロ
パノール、ヘキサフルオロアセトンセスキヒドラートの
ようなフッ素系の特殊であり、生体に対して毒性があ
り、地球のオゾン層を破壊するような公害の恐れのある
溶剤を使わないことにある。しかし、上記のベンゼンや
ジオキサンなどの溶剤もまた完全に気泡体から除去する
ことは容易でなく、残留溶剤の毒性の危惧は否定できな
い。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】前記のスポンジ状の補
綴材や組織の再建用素材のように重量平均分子量が60
万以下のポリ乳酸や乳酸−カプロラクトン共重合体から
形成された多孔体は、柔軟で硬度や強度(引張強度、曲
げ強度等)が低く、脆いこと、および加水分解により低
分子量に早くなるため、生体内で数ケ月に亘って保形性
と相当の硬度及び強度が要求される医療用途には使用で
きないという問題がある。
【0007】加うるに生体内に埋入して使う医療材料
は、使用以前に必ず滅菌しなければならない。代表的な
滅菌方法は放射線(電子線)、エチレンオキサイドガス
(EOG)および加圧蒸気による滅菌である。然るにセ
ル構造体の如き表面積の極めて大きな多孔体は、ガス滅
菌時にガスが完全に微孔内に拡散されているかどうか、
セル壁のポリマー内部まで滅菌できているかどうかが不
明であり、そのために分解過程で感染の恐れを常に危惧
しなければならない。ガス滅菌した多孔体では、まれに
感染が報告されることがある。そのために有効であり安
心できる方法は、材料の内部まで完全に滅菌できる放射
線あるいは加熱蒸気による滅菌である。しかるにポリ乳
酸などの生体内分解吸収性のα−ポリエステル系のポリ
マーは放射線により劣化し、加熱蒸気によっては加熱分
解、加水分解する。従って初期分子量の低いポリマーで
は、これらの滅菌により更に低い分子量のセル構造体に
変化するので、生体内での分解・吸収が早いものしか得
られない。実際の臨床の場では生体内での分解・吸収の
早さが種々異なるセル構造体が要望されているので、初
期重量平均分子量が60万程度までの低いものはそのニ
ーズに応えるものではない。
【0008】また、前記のスポンジや再建用素材のよう
に凍結乾燥法によって製造される多孔体は、せいぜい1
mm以下、普通には数100μm以下の薄いフィルム状
ないしシート状の多孔体であり、これより厚いものを得
ようと試みても、凝固点以下の低温にて結晶化したベン
ゼン、ジオキサン等の溶剤の昇華に時間がかかり、長時
間昇華させてもなお溶剤が一部残留するので、生体内で
の安全性を損なう恐れがあるために、1mm以上の厚い
毒性のない多孔体を得ることは困難である。このような
薄いフィルム又はシート状の多孔体は、例えば生体内の
損傷部位の複雑な三次元空間に形状的にあてはめて、一
時的な補綴材としての機能を発揮させながら立体的な損
傷部位の再建を図るような場合には使用に値しないとい
う問題がある。
【0009】この問題をより詳しく述べる。組織再生
(regenerate organs)や細胞移植(cell transplantat
ion)のための足場(scaffold)が現在種々検討されて
いる。それには細胞の植付け(cell seeding)と細胞の
付着(cell attachment) に効率の良い、高い多孔度と
大きな表面積をもつセル構造体が有用であるとみなされ
ている。基材が生体内分解吸収生ポリマーである場合は
自らが徐々に消滅するので、新しい細胞が完全に再生
し、組織機能を復帰する可能性が大きいので、現在、こ
の種のポリマーのセル構造体の開発が真に要望されるわ
けである。失われた器官の機能を復元できるような生体
の組織をつくり出すことを目的とする組織工学(Tissue
Engineering)においては、例えば皮膚(Skin)、神経
(Nerve)、食道(Esophagus)、前十字靱帯(Anterior
Cruciate Ligament)、骨(Bone)、あるいは血管新生
などへの組織誘導(Tissue Induction)と軟骨(Cartil
age)、骨、尿道(Urothelium)、腸(Intestine)、神
経、肝臓(Liver)などの再生のために足場への細胞の
植付けが検討されている。そして、多孔質の生体内分解
吸収性ポリマーの足場をつくる方法には、繊維不織布
あるいは複数本の繊維の交差点で繊維を結合させた(Fib
er Bonding)メッシュ状の繊維、ポリマー溶液をキャ
スティング(casting) して蒸散した溶剤の空隙孔をつ
くり、多孔質とする溶液キャスティング(Solvent−Cas
ting)法、あるいは溶解性の粒径を選んだ微粒状の充填
材(食塩、クエン酸ソーダなど)をポリマーに混合分散
してキャスティングによりフィルム、シートをつくり、
この微粒子を浸出−溶出(Particulate-Leaching)する
方法、およびこれら両者の併用法がある。しかしの方
法の欠点は空隙率と孔のサイズを自由にコントロールす
ることが技術的に容易ではないこと、の方法は、孔の
大きさが充填粒子の大きさに依存するので比較的制御で
きるが、せいぜい2mm厚さの薄いウエファース(Wafe
rs)や膜(Menbranes) しかつくれないこと、である。
また、完全に微粒子を浸出−溶出することは容易でない
ので、充填粒子の毒性に配慮が必要である。そこでの
方法として、でつくった膜の表面を少量のクロロホル
ムに溶かして貼り合わせして厚い多孔体を得る膜ラミネ
ート(Membrane Lamination) 法により三次元の形状物
を得る方法が考案されているが、この方法は煩雑であ
り、ラミネート面で孔が不連続になるという欠点があ
る。
【0010】また、先記の凍結乾燥法によって製造され
るポリ乳酸等の多孔体は、発泡倍率を高くする目的で大
量溶剤を含ませると、乾燥時に多孔体が歪曲する。特
に、重量平均分子量が60万以下で厚さが1mm以上の
肉厚の場合は歪曲が顕著となるので、実際には高い発泡
倍率のものを得ることができない。また発泡倍率の低い
多孔体は、高倍率の多孔体に比べて材料の比率が高いの
で、生体内での加水分解の進行に伴って一時期に20〜
30μm程度の分解細片を局所に多量に発生する機会が
高発泡倍率と比較して多いため、その異物反応によって
一過性の炎症を起こしやすいという問題がある。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明は上記の問題を全
て解決している。本発明の生体内分解吸収性セル構造体
は、ポリ乳酸、又は乳酸とグリコール酸との共重合体、
又は乳酸とカプロラクトンとの共重合体から形成された
連続気孔を有するセル構造体であって、その重量平均分
子量が60万より高いことを特徴とするものである。こ
こに、セル構造体とは、気孔を取り囲む一つの構造単位
であるセルの壁が相互につながったネットワークからな
る固体のことであり、多孔体や発泡体と表現しても本質
的な差異がないものである。
【0012】本発明のセル構造体は、上記のポリマー
を、ポリマーを溶解する溶剤と該溶剤より高沸点のポリ
マーを溶解しない非溶剤との混合溶媒に溶解し、このポ
リマー溶液から混合溶媒を溶剤の沸点より低温で気散さ
せることによってポリマーを沈殿させる方法(Solution
Precipitating Technique:SPT)により得られるも
のである。そのセル構造形成の原理は以下のように考察
される。
【0013】すなわち、上記のポリマー溶液から混合溶
媒を溶剤の沸点より低温で気散させると、沸点の低い溶
剤が優先的に気散して沸点の高い非溶剤の比率が次第に
上昇し、遂には、溶剤と非溶剤がある比率に達すると、
溶媒はポリマーを溶解できなくなる。そして、ある時
期、ある高い濃度に達するとポリマーが急激に沈殿し、
濃度の高くなった非溶剤のために沈殿したポリマーが収
縮、固化して固定化され、連結したポリマーの薄いセル
壁に混合溶媒が内包された状態のセル構造が形成され
る。その後は残りの溶剤がセル壁の一部分を破壊しなが
ら細孔をつくって気散し、沸点の高い非溶剤もまた徐々
に気散して、遂には非溶剤も完全に気散する。その結
果、セル壁に包まれていた溶媒の溜め跡が気孔として残
り、基本的に気孔が連続した連続気孔のセル構造体が得
られる。但し、これらの現象は条件により逐次、あるい
は同時に併行すると考えられる。
【0014】本発明のように重量平均分子量が60万よ
り高いポリ乳酸又は上記の共重合体から形成された連続
気孔を有するセル構造体は、三次元的に連続するセル壁
が高分子量のポリマーからなるため、後述の実施例に示
すように低分子量のものより比較的強度(引張強度や曲
げ強度)があり、しかも、分子量が高いものほど生体内
での加水分解による低分子化が遅くなるので、生体内で
の強度持続の期間を長くすることができる。
【0015】また、本発明のように材料ポリマー(ポリ
乳酸又は上記の共重合体)が60万より高い重量平均分
子量を有するものであれば、SPTの方法によればポリ
マー溶液の濃度を調整することにより、発泡倍率が2〜
30倍と広範囲に、しかも歪みのないセル構造体を容易
に得ることができる。その場合、ポリマー溶液を型内に
充填して混合溶媒を気散させる速さをコントロールする
と、厚さが1mm以上である所望の立体的な異形状のセ
ル構造体を容易に成形することができる。上記のような
高発泡倍率のセル構造体は、材料が量的に稀薄であるか
ら、生体内で加水分解して強度と形状を失って吸収され
る過程で、一時的に急激に多くの量の細片を生成するこ
とがないため、細片が惹起する異物反応による一過性の
炎症を起こす心配が殆どない。更に、上記のように成形
された肉厚のセル構造体は、生体内の損傷部位の複雑な
三次元空間に形状的にあてはめて埋入することにより、
一時的な補綴材(Prosthesis)や足場(Scaffold)とし
ての機能を発揮させることができる。
【0016】斯かる重量平均分子量が60万よりも遥か
に大きい高分子量のセル構造体は、放射線(γ線)や電
子線あるいは蒸気滅菌のような、ポリマー材料の内部ま
でも完全に滅菌できるような方法で滅菌したときに、そ
の分子量が低下してもなお、重量平均分子量が60万以
上を維持することができる。これは、滅菌後でさえも高
い強度と分解して吸収されるまでのかなりの長い時間を
維持できるものである。
【0017】ただし、初期の重量平均分子量Mwが60
万以上の高分子量であっても、Mw:60万以下の任意
の低分子量のセル構造体をつくる場合は滅菌時間を長く
したり、滅菌回数を増せばよい。特に低分子量のポリマ
ー(Mv≒10万以下、Mw≒30万以下)を使って約
10倍以上の高倍率のセル構造体をつくることは、本発
明法に限らず、他の方法においても実際は困難であるか
ら、高分子量で高倍率のセル構造体をつくって後に滅菌
を長時間行ったり、繰り返すことにより厚物、低分子
量、高倍率のセル構造体に変化させることは新規にして
且つ有効である。
【0018】凍結乾燥法によって得たMw:60万のス
ポンジは、上記の過酷な滅菌法では分子量の低下により
60万よりもかなり低い、低分子量(例えばMw:60
万はMw:30万程度に低下する)の低倍率スポンジに
変化するので、30万から60万の間は空白となり、こ
の間の分子量を欲する用途に対応できない。
【0019】
【発明の実施の形態】本発明のセル構造体に用いる材料
のポリ乳酸としては、L−乳酸のホモポリマーや、L−
乳酸とD−乳酸のランダムコポリマーが使用され、ま
た、共重合体としては、乳酸とグリコール酸、あるいは
乳酸とカプロラクトンのモル比が99:1〜75:25
の範囲にあるものが使用される。グリコール酸やカプロ
ラクトンの比率が上記範囲より高くなると、得られるセ
ル構造体の耐加水分解性が低下し、早期に強度劣化を招
く恐れがあるので好ましくない。また高倍率体を得るこ
とが難しい。また、これらの共重合体以外にも、ポリ乳
酸とポリエチレングリコールの共重合体や、ポリ乳酸と
ポリプロピレングリコールとの共重合体も使用できる。
【0020】これらのポリ乳酸や共重合体は、重量平均
分子量が60万より高いものを使用することが必要であ
り、このような高分子量のポリ乳酸や共重合体を用いる
と、強度(引張強度や曲げ強度)があり、且つ、生体内
での強度維持期間が数ケ月以上と長い高発泡倍率のセル
構造体を得ることができる。ポリ乳酸や共重合体の重量
平均分子量が高くなればなるほど、セル構造体の硬度や
強度、強度保持期間等は向上するが、分子量があまり高
すぎるとポリマーが溶剤に溶け難くなるので、高発泡倍
率のセル構造体を得ることが難くなるから、重量平均分
子量が300万以下のポリ乳酸や共重合体を使用するこ
とが望ましい。ポリ乳酸等の更に望ましい重量平均分子
量は60万〜200万の範囲である。また、場合によっ
ては、これらのポリ乳酸や共重合体に、重量平均分子量
が60万以下とならない範囲内で、低分子量のものを適
量配合してもよい。このように低分子量のものを配合す
ると、セル構造体の初期の加水分解速度を適度に速める
ことが可能となる。
【0021】ここで、分子量及び分子量分布について記
述する。一般に、高分子の分子量は重量平均分子量M
w、数平均分子量Mnおよび粘度平均分子量Mvのいず
れかを用いて表される。Mnを求めるには末端基定量、
電子顕微鏡、浸透圧、蒸気圧、氷点降下および沸点上昇
などの方法があり、Mwを求めるには光散乱、X線小角
散乱、沈降平衡、融液粘度による方法がある。しかし、
現在、最も簡便であり、一般に行われているのはGPC
(Gel Permeation Chromatography) による方法であ
る。そして、分子量分布を求めるには濁り度滴定法、超
遠心法、拡散法、あるいはGPCによる方法等がある。
現在、最も簡便な方法であるGPC法によって測定した
Mw/Mn=αを分子量分布として用いることが多い。
GPC法で得られる平均分子量、分子量分布、αは使用
する分子篩いとしてのカラム内のゲルの種類によってそ
の値にかなりの幅がある。従って、ポリマーを実際に溶
液に溶かした粘度から測定した粘度平均分子量Mvと対
比することにより、分子量の実際の大きさと分布を把握
することが肝要である。
【0022】本発明のポリ乳酸あるいはその共重合体の
場合は、実際に使用するGPCのカラムの種類、その連
結の数により異なるが、この種のポリマーの一般的な合
成法によって得たポリマーは経験的にはαはおよそ2〜
4の範囲であり、また、MwとMvの比率Mw/Mvは
およそ3〜4である。従って、Mwが60万以下の該ポ
リマーは、実際のMvは経験的に15〜20万以下に相
当する。この程度のMvのポリマーは、高い強度を要求
され、その強度を骨癒合に必要な3〜4ケ月間維持する
ことが必要な骨折固定材の原料ポリマーに使うには低き
に過ぎるので、高い強度が得られないことは周知であ
る。従って、本発明のセル構造体にあっても、高い強度
と適切な長期間の強度の維持は得られるものでない。ま
た、この程度までの分子量は低→中程度の分子量域であ
るから、分解・吸収の早さを調節するためにはあまり余
裕のあるものではない。
【0023】本発明のセル構造体は、上記のような高分
子量のポリ乳酸又は共重合体を、その溶剤とその溶剤よ
り高沸点の非溶剤との混合溶媒に溶解し、このポリマー
溶液から混合溶媒を溶剤の沸点より低温で気散させるこ
とによって、ポリ乳酸又は共重合体を沈殿させる溶液沈
殿法(Solution Precipitating Technique:SPT)に
より得られるものであり、溶剤や非溶剤として以下のも
のが使用される。
【0024】即ち、溶剤としては、ポリ乳酸や共重合体
を溶解でき、常温よりやや高い温度で気散しやすい低沸
点の溶剤、例えば塩化メチレン(CH2Cl2)、クロロ
ホルム(CHCl3)、1,1−ジクロルエタン(CH3
CHCl2)などが使用される。この中では最も低い沸
点と最も高い蒸気圧を示す低毒性の塩化メチレンが最適
であり、クロロホルムも好適である。
【0025】一方、非溶剤は、その沸点が上記の溶剤よ
り高く、且つ、上記の溶剤と相溶性があるものを使用す
る必要があり、相溶性に劣る非溶剤を用いると、発泡倍
率が高く均一で微細な気孔を有するセル構造体を得るこ
とが困難になる。この非溶剤の沸点は上限が110℃付
近(1気圧)までであり、溶剤と非溶剤との組合わせを
決める場合、溶剤の沸点よりもかなり高い沸点の非溶剤
を選ぶことが望ましい。非溶剤が110℃より高い沸点
を有するものであると、常温での蒸気圧が低く常温での
気散が遅すぎるために、セル構造体の製造に時間がかか
り、非溶剤がセル内に残留しやすくなる。また、非溶剤
と溶剤の沸点差が約15℃より小さい場合は、溶剤が非
溶剤と共に気散し易くなるので、非溶剤の沈殿剤として
の働きが低下する。好ましい非溶剤としては、前記の塩
化メチレン等の溶剤と相溶性があり、沸点が60℃〜1
10℃(1気圧下)の範囲内にある一価アルコール、例
えばメタノール、エタノール、1−プロパノール、2−
プロパノール(イソプロピルアルコール)、2−ブタノ
ール、ter−ブタノール、ter−ペンタノールなど
が挙げられるが、毒性、臭などを考慮すると、エタノー
ル、1−プロパノール、2−プロパノールが特に好適に
使用される。また、これらの一価アルコールに少量の水
を加えた非溶剤も好適に使用される。水はアルコールよ
りもより強い沈殿剤としての働きを有し、ポリ乳酸や共
重合体の沈殿を促進するからである。
【0026】表1に、好ましい溶剤と非溶剤を列挙し、
それぞれの沸点と20℃における蒸気圧を示す。また、
表2に、塩化メチレン、クロロホルムと各非溶剤との沸
点差及び蒸気圧差を示す。溶剤と非溶剤の組合わせは、
この表1の沸点と蒸気圧を勘案して適宜選択すればよ
く、溶剤に塩化メチレンやクロロホルムを選んだとき
は、表2に示す沸点差と蒸気圧差を勘案して非溶剤を選
択すればよい。
【表1】
【表2】
【0027】ポリ乳酸や共重合体を溶解する混合溶媒
は、前記の溶剤と非溶剤の体積比率が一般に10:1〜
10:10であればセル構造体を得ることができる。こ
れよりも溶剤の比率が大きいと、溶媒の気散終了時まで
ポリマーの溶解が続き、セル壁の沈殿が生ぜず、溶媒の
気散後に気泡を介在しない透明なポリマー塊ができるの
みである。一方、溶剤の比率が上記よりも小さい場合
は、僅かの溶剤が気散しただけでポリ乳酸等が一挙に沈
殿するため、セル間の溶着が不完全となり、セル間の物
理的つながりのない脆いセル構造体が出来上がったり、
型の形状とは全く異なる収縮、変形したセル構造体がで
きるので良くない。三次元空間的にセルが連結してしっ
かりした形状の安定なセル構造体が形成されるにふさわ
しい比率の範囲は、溶媒組成によって異なるが、10:
1〜10:7である。
【0028】上記の混合溶媒にポリ乳酸や共重合体を溶
解して調製したポリマー溶液は、型内に充填した後、溶
剤の沸点より低い温度、好ましくは20℃以下の温度で
常圧又は減圧下に溶媒を気散させることが重要である。
溶剤の沸点以上の温度で溶媒を気散させると、溶剤が沸
騰してセル壁を破壊し、溶着するので、良質のセル構造
体を得ることはできない。この気散の工程を、気散した
溶媒を回収することのできる密閉された装置の中で行う
と、回収された溶媒を何度も繰り返して使用することが
でき、操作中に吸入することもないので安全かつ省資源
的である。また、ポリマー溶液の粘度を上げてセル壁の
固定化を図る目的で、溶媒を気散させる前に約10℃以
下の低温に冷却して増粘し、減圧下に気散させる操作を
採用することも望ましい。この操作は肉厚のシート状や
異形状のセル構造体をつくる場合に有効である。
【0029】このようにポリマー溶液から混合溶媒を気
散させると、数100μm以下の薄いフィルム状やシー
ト状のセル構造体であれば、見ている間の短時間に製造
することができる。そして、1mm以上の厚肉のプレー
ト状又は異形状のセル構造体の場合も、型の深さや形状
を変えてポリマー溶液の充填量を増加させるだけで、少
し長い時間を要するが、同様に簡単に製造することがで
きる。このとき溶剤が型の全面から均等に気散できるよ
うに、型として、ポリ乳酸や共重合体を通過させないが
溶媒を通過させる微細な通気孔を無数に有する多孔質の
型、例えば素焼きの陶器製の型などを使用することも一
つの方法である。また、溶媒の気散を速めることと、構
造体内部のポリマー溶液の未沈殿部分への陥没と変形を
避けて形状を保つことを目的として、ポリマー溶液を約
10℃以下の低温にて増粘し、減圧下に溶媒を強制的に
気散させる操作を採ることも望ましい一つの方法であ
る。ただし、溶媒の気散速度はポリマーの分子量、種
類、濃度、求めるセル構造体の厚さ、形状、倍率によっ
て微妙に調節する必要がある。このようにすれば、5c
m以上の厚さをもつブロック状あるいは異形状に成形さ
れたセル構造体を容易に製造することができる。
【0030】セル構造体の発泡倍率は2〜30倍の発泡
倍率、好ましくは5〜30倍の高発泡倍率であることが
望ましく、このような発泡倍率のセル構造体は、生体内
での加水分解による細片の生成量が少ないため、異物反
応による一過性の炎症を起こす心配が殆どないという利
点を有する。
【0031】セル構造体の発泡倍率を決定する要因に
は、ポリマー溶液の粘度、ポリマー濃度、ポリマーの分
子量、混合溶媒の組成比、溶媒の気散速度等が挙げられ
るが、ポリマー溶液が沈殿してセル構造体を形成する原
理からすれば、ポリマー濃度が最も重要な要因の一つで
ある。ポリマー濃度と発泡倍率は反比例の関係にあり、
ポリマー濃度が高くなるほど発泡倍率は低くなる。そし
て、ポリマー濃度が10重量%より高くなると、5倍以
上の発泡倍率を有するセル構造体を得ることが難しくな
る。従って、高発泡倍率のセル構造体を得るためには、
ポリマー濃度を下げる必要があり、ポリマー濃度を2重
量%程度まで下げると、混合溶媒の組成比によって差異
はあるが、30倍前後の発泡倍率を有するセル構造体を
得ることができる。しかし、ポリマー濃度を更に下げて
1重量%以下にすると、満足なセル構造体を得ることが
困難となる。
【0032】また、ポリマーの分子量と発泡倍率の関係
は、ある分子量領域で発泡倍率が最も高くなり、分子量
がその領域より大きくなっても小さくなっても発泡倍率
は低下する傾向がある。後述の実施例のデーターから分
かるように、発泡倍率が最も高くなるポリマー(ポリ乳
酸又は共重合体)の重量平均分子量の領域は、Mw/M
vを3〜4とすると、75〜140万ないし105〜1
40万程度(粘度平均分子量では25万〜35万程度)
であり、ポリマーの重量平均分子量が60万(粘度平均
分子量15〜20万)以下であり、特に45万以下のと
きは発泡倍率の高いものを得難くなる。
【0033】また、混合溶媒の組成比と発泡倍率の関係
については、後述の実施例のデーターから分かるよう
に、適当な溶媒の混合比の範囲内で非溶剤の比率が高く
なるほど、発泡倍率が高くなる関係にある。
【0034】従って、ポリマー濃度、ポリマーの分子
量、混合溶媒の組成比等を種々変化させれば、セル構造
体の発泡倍率を自由にコントロールすることができ、2
〜30倍の発泡倍率を有するセル構造体を容易に製造す
ることができる。このような発泡倍率のセル構造体は、
連続気孔の平均孔径が3〜300μm程度であり、この
範囲の中で150〜300μm程度の孔径を選択すれ
ば、生体内の損傷部位に埋入したとき、体液や周囲の組
織細胞の侵入が容易であるので、組織再生や細胞移植の
ための生体内分解吸収性の基材として有用である。
【0035】
【実施例】以下、本発明の実施例を説明する。
【0036】[実施例1]溶剤に塩化メチレン(CH2
Cl2)、非溶剤(沈殿剤)にエタノール(C25
H)を使用し、溶剤と非溶剤の体積比(溶剤/非溶剤)
を10/0、10/1、10/3、10/5、10/
7、10/9に変化させた6種類の混合溶媒に、重量平
均分子量が約105万(粘度平均分子量は約30万、分
子量分布;分散度Mw/Mn=2.5)のポリ−L−乳
酸を4g/dlの濃度に溶解してポリマー溶液を調製し
た。
【0037】これらのポリマー溶液を、直径が10cm
のシャーレに液面が13mmの高さとなるように注入
し、そのまま蓋をして室温(10〜20℃)で大気圧下
に静置してセル構造体をつくった。24時間後にはポリ
マー溶液の溶媒は蒸散しており、溶媒の組成比(溶剤/
非溶剤)が10/7と10/9のもののみが僅かにエタ
ノール臭を残しているに過ぎなかった。その後、減圧乾
燥すると、ガスクロマトグラフで溶媒を検知できなくな
った。得られたセル構造体の性状等を下記の表3にまと
めて示す。
【0038】また、得られたセル構造体の硬度、曲げ強
度、引張強度を測定したところ、表3に示す結果が得ら
れた。なお、硬度はデュロメータ硬さの試験方法(JI
SK 7215)により、曲げ強度は3点曲げ試験方法
(JIS K 7221)により、引張強度は万能試験
機により測定した(JIS K 7113)ものであ
る。
【表3】
【0039】さらに、10/0及び10/5の溶媒組成
比のものから得たセル構造体の37℃のリン酸緩衝液中
における加水分解実験を行った結果は図1のようになっ
た。
【0040】以上の結果からすれば、塩化メチレンとエ
タノールの混合溶媒の場合は、溶媒の組成比(塩化メチ
レン/エタノール)が10/1〜10/6で比較的良好
なセル構造体が得られる。溶媒組成比が10/5で発泡
倍率10.0倍という高い値のセル構造体が得られ、発
泡倍率とともにセル構造体が厚くなった。これは溶液の
外気と接触している表面からポリマーが溶剤の気散によ
り直ちに沈殿、固化し、セル壁を形成して固定化したた
めに厚みが維持されたためと考えられる。この事実は、
ある発泡倍率のある厚みのセル構造体を要求するとき
は、溶媒の組成比とポリマー溶液の濃度を調節すればよ
いことを示唆している。
【0041】溶剤のみの場合は、溶剤が気散完了するま
でポリマーを溶解しながら気散するので、溶剤の抜けが
らの孔は溶着して孔として残らない。そのために、ポリ
マー本来の透明なシートが形成された。
【0042】溶剤の比率が高い場合は、溶剤の気散によ
り体積が減少し、その分だけ厚みが低下したところで沈
殿、固化してセル壁の固定化がなされるために、セル構
造体の厚みと発泡倍率が低下したと考えられる。逆に初
期の非溶剤(沈殿剤)の比率が高い場合は、溶剤のわず
かな気散によって直ちに非溶剤の沈殿剤としての効果が
発現され、沈殿が一気に生成する。このとき、ポリマー
を溶解して連続したセル壁を形成するだけの量の溶剤が
残っていないので、孔が生成するときに大きく収縮した
り、沈殿したポリマーの粒子が単に溶着して連結体を形
成し、それが気孔を介在したような一種の焼結体のごと
きセル構造体を形成すると考えられる。実際に、溶媒組
成比が10/7では沈殿、固化するときの収縮が厳し
く、表面に多くの皺のある変形したセル構造体が得ら
れ、溶媒組成比が10/9では脆くて粒子が容易に脱落
するセル構造体が得られた。しかし、セル構造体を形成
する比率の上限は10/10と考えられる。この事実は
本発明のセル構造の生成機構を良く裏付けている。
【0043】また、溶媒の組成比が10/1、10/
3、10/5となるに従って発泡倍率は大きくなる。そ
れにともなって硬度、強度ともに小さくなっている。こ
れは、発泡倍率が大きくなると、気孔の数あるいはその
大きさが大きくなるために、セルの壁の厚さが薄くなっ
て強度が低下したと考えられる。
【0044】更に、37℃リン酸緩衝液中における加水
分解実験では、溶媒の組成比が10/0のものから得た
非セル構造の均質な固体と比較して、溶媒の組成比が1
0/5のものから得た発泡倍率の高いセル構造体は、水
が表面の細孔から内部に容易に浸透し水との接触面積が
拡がるために、分解が速くなったと考えられる。
【0045】[実施例2]溶媒の組成比(CH2Cl2
25OH)を10/5に固定し、実施例1のポリ−L
−乳酸の濃度を1.0、2.0、3.0、4.0、5.
0、7.0g/dlに変えてポリマー溶液を調製した。
そして、これらのポリマー溶液を実施例1と同形のシャ
ーレに充填し、同様にしてセル構造体を得た。得られた
セル構造体の性状と、硬度、曲げ強度、引張強度を下記
表4にまとめて示す。
【表4】
【0046】この結果から、発泡倍率が濃度に逆比例的
に依存することが明らかである。実施例1と同様にポリ
マー濃度が小さくなると、セル構造体の発泡倍率は大き
くなるが、それに伴って硬度、曲げ強度、引張強度は小
さくなった。これはセル構造体の気孔の数と大きさがポ
リマー濃度の減少に伴って増加し、セル壁の強度が脆く
なったためと考えられる。
【0047】[実施例3]実施例1で用いたポリ−L−
乳酸を、塩化メチレンとエタノールと水の混合溶媒(C
2Cl2/C25OH/H2O=10/5/0.3)に
4g/dlの濃度で溶解してポリマー溶液を調製した。
【0048】このポリマー溶液を、型内に液面が8cm
の高さとなるまで充填し、5日間、室温、常圧下に静置
した。その結果、厚さが3.1mm、発泡倍率が約10
倍のセル構造体が得られた。このセル構造体は実施例1
の溶媒組成比が10/1の場合のそれよりも硬かった。
これは水の影響によりポリマーの沈殿、固化が急激であ
り、結晶化度がやや高くなったこと、およびセル壁の固
定が強固になったためと考えられる。
【0049】[実施例4]溶媒の組成比(CH2Cl2/
C2H5OH)を10/5、ポリマー濃度を2g/dlに
固定し、Mwが約140万(Mv:約40万)、Mwが
約105万(Mv:約30万)、Mwが約65万(M
v:約18.5万)のポリ−L−乳酸をそれぞれ用い
て、実施例1と同様の方法でセル構造体を得た。得られ
たセル構造体の硬度、曲げ強度、引張強度を表5に示
す。
【表5】
【0050】その結果、重量平均分子量が大きくなる
と、セル構造体の硬度、強度とも大きくなった。また、
Mwが約105万のものとMwが約65万のものを比較
すれば、Mwが約65万のセル構造体の方が発泡倍率が
小さいにもかかわらず、硬度、強度とも小さな値を示し
た。これは、平均分子量の違いがセル構造体の形成の難
易と関係し、Mwが60万より高いときのポリマー粘度
が本法によってセル構造体を容易に形成しやすいことの
裏付けである。そして良質のセル構造体の物性がセルの
均質さ、気孔の大きさ、数、セル壁の硬さにより影響を
受けたためと考えられる。
【0051】[比較例1]Mwが約60万(Mv:約1
5万)、Mwが約40万(Mv:約11.5万)のポリ
−L−乳酸をそれぞれ使用し、実施例4と同様にして溶
液沈殿法によりセル構造体を得た。このものは、実施例
4のセル構造体とは異なり、多孔質粒子が集合したよう
なセル構造体であった。この構造体の硬度、曲げ強度、
引張強度は表6に示すように、Mwが60万より高い表
5のセル構造体の値と比較すると小さく、脆弱な物質で
あった。
【表6】
【0052】この事実により、Mwが60万より高いも
は、溶液沈殿法によって高倍率、肉厚、均一な気泡を有
して機械的強度にも優れたセル構造体を形成することが
明らかである。
【0053】[比較例2]Mwが約140万(Mv:約
40万)、Mwが約105万(Mv:約30万)、Mw
が約65万(Mv:約18.5万)、Mwが約60万
(Mv:約15万)、Mwが約40万(Mv:約11.
5万)のポリ−L−乳酸をそれぞれ用いて溶液沈殿法に
よりセル構造体を得た。そして、これらのセル構造体を
加圧蒸気で滅菌した後の重量平均分子量を測定した。そ
の結果を表7に示す。
【表7】
【0054】この表7から判るように、Mwが60万
(Mv:15万)より大きい分子量のポリ−L−乳酸を
用いたセル構造体は、蒸気滅菌により分子量が低下して
も尚かなりの大きさの重量平均分子量を残しており、生
体内でかなりの時間、分解せずに残存する可能性がある
のに比べ、Mwが60万(Mv:15万)以下のポリ−
L−乳酸を用いたセル構造体は、1回の滅菌後にMwが
40万以下の低分子量となる。従って、生体内の補綴材
や足場として利用するには、前者は分解して低分子量に
なるまでに要する時間が適度であるから実用的である
が、後者は本来その強度が不足しているが、加えて分解
してより低分子になり吸収されるのが早すぎるので実用
的でないと言える。
【0055】[実施例5]重量平均分子量Mwが105
万(粘度平均分子量Mv:30万)のポリ−L−乳酸を
用いて、溶媒の組成比(CH2Cl2/C25OH)を1
0/1〜10/6、濃度を1〜4g/dlの範囲となる
ようにポリマー溶液を調製し、実施例1と同様の方法で
セル構造体を得た。
【0056】このセル構造体の断面を走査電子顕微鏡
(SEM)を用いて観察し、セル構造体の気孔の大きさ
を測定した。その結果を表8に示す。
【表8】
【0057】[実施例6]グリコール酸(GA)とL−
乳酸(LA)の共重合体(GA/LAのモル比:10/
90、重量平均分子量Mw:73万)を、溶媒の組成比
(CH2Cl2/C25OH)が10/3、10/5であ
る混合溶媒に、4g/dlのポリマー濃度となるように
溶解し、実施例1と同様の方法によりセル構造体を得
た。このセル構造体の性状、硬度、強度等を表9に示
す。
【表9】
【0058】この結果、グリコール酸が10%モル比結
合することにより、L−乳酸単体のセル構造体よりも発
泡倍率、強度は小さくなるが、硬度はほとんど同等であ
った。しかし、PLLAのセル構造体と比較すると、や
や軟らかいセル構造体であった。
【0059】なお、乳酸−カプロラクトン共重合体も同
様にしてセル構造体をつくることができる。
【0060】
【発明の効果】以上の説明から理解できるように、本発
明のセル構造体は、硬度や強度(曲げ強度、引張強度)
があり、加水分解により強度を失う期間が早くないの
で、生体内で数ケ月のあいだ強度を維持することがで
き、しかも、製造が簡単で有害なベンゼン等の溶剤が全
く含有、残存しないため安全であり、生体材料として極
めて有用である。そして、1mm以上の厚肉のセル構造
体は、生体内の損傷部位の複雑な三次元空間に形状的に
あてはめて埋入することにより、一時的な補綴材や足場
として、或は移植細胞の増殖用基材として機能を発揮さ
せることができる。また、この2〜30倍の発泡倍率の
セル構造体は、生体内での加水分解によって生ずる細片
の量が少ないため、異物反応による一過性の炎症を起こ
す心配が殆どなく、更に、3〜300μmの平均孔径を
任意に有するようにすることのできるセル構造体は、体
液、周囲組織細胞の侵入やフィブリン糊、ゼラチン糊等
の生体接着剤の含浸もまた容易である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例のセル構造体についての加水分
解期間と粘度平均分子量との関係を示すグラフである。

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ポリ乳酸、又は乳酸とグリコール酸との共
    重合体、又は乳酸とカプロラクトンとの共重合体から形
    成された連続気孔を有するセル構造体であって、上記の
    ポリ乳酸又は共重合体の重量平均分子量が60万より高
    いことを特徴とする生体内分解吸収性セル構造体。
  2. 【請求項2】重量平均分子量が60万より高い前記のポ
    リ乳酸又は共重合体を、その溶剤とその溶剤より高沸点
    の非溶剤との混合溶媒に溶解し、このポリマー溶液から
    混合溶媒を溶剤の沸点より低温で気散させることによ
    り、前記のポリ乳酸又は共重合体を沈殿させて形成した
    請求項1に記載の生体内分解吸収性セル構造体。
  3. 【請求項3】厚さが1mm以上である請求項1又は請求
    項2に記載の生体内分解吸収性セル構造体。
  4. 【請求項4】発泡倍率が2〜30倍である請求項1ない
    し請求項3のいずれかに記載の生体内分解吸収性セル構
    造体。
  5. 【請求項5】連続気孔の平均孔径が3〜300μm程度
    である請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の生体
    内分解吸収性セル構造体。
  6. 【請求項6】溶剤が塩化メチレン又はクロロホルムであ
    り、非溶剤が60〜110℃(1気圧下)の範囲内で沸
    点を有する一価アルコール又は該アルコールと少量の水
    である請求項2に記載の生体内分解吸収性セル構造体。
  7. 【請求項7】請求項1ないし請求項6のいずれかに記載
    のセル構造体を放射線滅菌又は蒸気滅菌した重量平均分
    子量が60万以下の生体内分解吸収性セル構造体。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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