JPH0978559A - 起伏堰 - Google Patents

起伏堰

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JPH0978559A
JPH0978559A JP7231453A JP23145395A JPH0978559A JP H0978559 A JPH0978559 A JP H0978559A JP 7231453 A JP7231453 A JP 7231453A JP 23145395 A JP23145395 A JP 23145395A JP H0978559 A JPH0978559 A JP H0978559A
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    • Y02ATECHNOLOGIES FOR ADAPTATION TO CLIMATE CHANGE
    • Y02A40/00Adaptation technologies in agriculture, forestry, livestock or agroalimentary production
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 簡単な構造で上流側又は下流側への魚の移動
を容易とする。 【解決手段】 河床2の幅方向に固定された支軸2aに
上流縁を回動自在に取り付けられた上流側堰板2と、該
上流側堰板2の下流縁に設けた支軸3aに上流縁を回動
自在に連結され、その下流縁が河床2を摺動する下流側
堰板3と、前記両堰板3,4を起立又は転倒させる駆動
手段4とを備え、前記下流側堰板3の上流縁から下流縁
にかけて、流下方向に対して傾斜する魚道11を形成し
たものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、河川、排水路等を
堰止めると共に、魚等(蟹、泥鰌、鰻等を含む。)の上
流側(あるいは下流側)への移動を可能とする魚道を備
え、高さ15mを越えるダムタイプのものから通常の
堰、あるいは、水門やバルブとして使用することのでき
る起伏堰に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、河川に設けられる堰には、ゲート
堰、転倒堰、ゴム堰等があるが、これらはいずれも種々
の問題を有している。すなわち、前記各堰では、上流側
(あるいは下流側)に魚等が移動できるようにするた
め、堰を迂回するように魚道を設けたり、エレベータ等
で適宜上流側(あるいは下流側)に搬送したりする等、
大掛かりな構造とする必要があった。
【0003】本願発明者はこれらの問題点を解決すべく
起伏堰を発明し、既に出願を行っている(特開平6─1
80009号公報)。この起伏堰は、河床の幅方向に固
定した支軸に一端縁部を回動自在に取り付けられた上流
側堰板と、該上流側堰板の他端縁部に設けた支軸に一端
縁部を回動自在に連結され、その他端縁部が河床を摺動
する下流側堰板と、前記両堰板を起立又は転倒させる駆
動手段とを設けたものである。そして、この構成によ
り、魚等が下流側堰板上を直接上流側(あるいは下流
側)に移動できるようになっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記起
伏堰では、どのような魚でも上流側(あるいは下流側)
に向かってスムーズに移動できるように下流側堰板の勾
配を1/10以下に維持する必要がある。このため、堰
止め量を多くすべく、上流側堰板の起立高さを高くすれ
ば、それだけ下流側堰板の下流側への寸法が増大し、設
置費用、占有スペース等の点で実用化に適さない場合が
ある。
【0005】また、流量が減少すれば、下流側堰板の上
面で魚等が上流側に移動できないような流れとなる。つ
まり、所望の越流高さが得られないという問題が発生す
る。逆に、所望の越流高さを確保しようとすれば堰とし
ての役割を果さないことになる。このような越流高さの
問題は河川の流動状態が変化して流量に偏りが出た場合
にも発生する。
【0006】そこで、本発明は前記問題点に鑑み、簡単
な構造で上流側又は下流側への魚等の移動を容易とする
起伏堰を提供することを課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】前記課題を達成するた
め、本発明は、河床の幅方向に上流縁を回動自在に取り
付けられた上流側堰板と、該上流側堰板の下流縁に設け
た支軸に上流縁を回動自在に連結され、その下流縁が河
床を摺動する下流側堰板とを備えた起伏堰において、前
記下流側堰板の上流縁から下流縁にかけて、流下方向に
対して傾斜する魚道を形成したものである。これによれ
ば、下流側堰板に比べて魚道の勾配を小さくすることが
でき、両堰板の起立位置に拘わらず、上流側(あるいは
下流側)への魚等(蟹や泥鰌、鰻等を含む。)の移動が
可能となる。また、下流側堰板に直接魚道を設けるよう
にしたので、魚道長さを最小限に抑制することができ、
上流側(あるいは下流側)への魚等の移動をスムーズに
行わせることが可能である。(請求項1)
【0008】前記魚道は、前記両堰板の起立位置に拘わ
らず、勾配が1/10以下となるように形成されている
のが好ましい。(請求項2)
【0009】また、前記魚道は凹溝で構成するのが好ま
しい。前記凹溝の断面形状は、半円、矩形、逆三角形等
の種々のものが採用可能である。前記凹溝では、両堰板
を平坦に転倒した場合であっても、魚道が流水の妨げと
なることはなく、ゴミが引っ掛かったり、砂が堆積する
等の心配もない。しかも、凹溝内では水の流動抵抗が大
きい等の理由から、他の下流側堰板の表面に比べて流速
が遅く、魚等は上流側に移動しやすいという利点があ
る。(請求項3)
【0010】前記下流側堰板に、前記凹溝の上方開口を
上流側から閉塞し、かつ、その閉塞寸法を調整可能な蓋
体を設けるのが好ましい。これによれば、魚等は、凹溝
がそれ程深くなくても流水抵抗を受けにくく、鳥等の外
敵からも適切に保護される。前記蓋体の閉塞寸法の調整
は、蓋体に長穴を形成し、この長穴を介して下流側堰板
にねじ止めする構成としたり、前記蓋体と下流側堰板と
を複数の連結棒により回動可能に連結し、川岸側に延設
した操作部を川幅方向に操作して前記連結棒の回動位置
を変更する構成等とすればよい。(請求項4)
【0011】前記魚道は複数の凹溝で形成され、各凹溝
の中間部は互いに連通するように交差させてもよい。前
記各凹溝の端部は、下流側堰板の上流縁及び下流縁の両
側部や中間部等、種々の位置に開口するようにすればよ
く、河川の流水状況に応じて任意に設計すればよい。こ
れによれば、魚等が上流側(あるいは下流側)へと移動
する場合、水量や流速の違いに応じて移動容易な、ある
いは、移動可能なルートを選択することができる。(請
求項5)
【0012】前記魚道は、下流側堰板と、該下流側堰板
から突設した仕切壁とで、該仕切壁の上流側に形成され
る溝状部で構成してもよい。両堰板を所定高さに起立さ
せた状態では、上流側からの流水の一部は前記溝状部を
流下し、残りは仕切壁を乗り越えて下流側堰板上を流下
する。前記溝状部は、下流方向に対して傾斜して所定の
勾配を有しているので、魚等が上流側に向かって移動可
能である。しかも、前記溝状部では、流速が遅いため、
魚等は移動容易でもある。また、前記仕切壁は、河川の
流水状況に応じて適切に魚道位置を設計できると共に、
たとえ流水状況が変化しても、確実に魚道に流水できる
ように柔軟に対応することが可能である。つまり、前記
仕切壁は下流側堰板から突設しただけの簡単な構成であ
るため、その後、魚道となる溝状部の位置を容易に変更
可能である。(請求項6)
【0013】前記仕切壁は、下流側堰板との間に溝状部
を形成する位置と、該下流側堰板に折り畳まれる位置と
の間で回動可能に設けるようにするのが好ましい。これ
によれば、両堰板を転倒させたとしても、仕切壁が上方
に突出しないように折り畳んでおくことができ、ゴミ等
が引っ掛かったり、流動の妨げとなることがない。(請
求項7)
【0014】前記魚道は、下流側堰板の上流縁側を中心
としてその上面に沿って回動自在に設けられる溝部材で
構成するようにしてもよい。溝部材としては、断面略C
字形、断面略コ字形、断面略V字形等、種々の断面形状
の長尺材を使用すればよく、中間部で屈曲可能な構成と
してもよい。これによれば、両堰板の起立位置に応じて
溝部材を所望の勾配とすることができ、魚を常に上流側
に向かって移動させることができるようにすることが可
能である。(請求項8)
【0015】前記魚道は、前記凹溝に設けた筒状体で構
成してもよい。これによれば、魚道内を流動する魚が完
全に周囲を保護されるので、魚は外敵の心配なく上流側
に移動できる。この場合、必要に応じて前記筒状体に貫
通孔を穿設することにより下流側堰板の上面を流下する
流水をも筒状体内に供給できるようにしてもよい。(請
求項9)
【0016】また、前記魚道の最上流位置は、上流側堰
板に沿ってさらに上流側に延設されているのが好まし
い。これによれば、河川の水位が低くなった場合や、川
底を移動する鰻や蟹等を移動可能とする場合であって
も、両堰板の起立位置を変更することなく対応すること
ができる。また、前記魚道が筒状体で形成されていれ
ば、上流水位が下がって越流しない場合であっても、サ
イフォンの原理により、前記筒状体を介して下流側に流
下するので、両堰板の起立位置を変更することなく、魚
を上流側及び下流側に移動可能とすることができる。
(請求項10)
【0017】前記魚道は、少なくとも1箇所に屈曲部を
有する構成としてもよい。これによれば、たとえ川幅が
狭く、前述のように、魚道を傾斜させるだけでは所望の
勾配を得ることができない場合であっても十分に対処可
能である。(請求項11)
【0018】前記魚道の途中に滞留部を形成するように
すれば、魚が滞留部で休息しながら無理なく上流側へと
移動して行くことができ好ましい。この場合、滞留部を
設ける位置は前記屈曲部であってもよいし、傾斜部の途
中に設けるようにしてもよいことは勿論である。(請求
項12)
【0019】前記魚道の少なくともいずれか一方の端部
には、下流方向に沿う直線部を形成するのが好ましい。
これによれば、魚が上流側あるいは下流側に向かって移
動する場合、前記直線部を介して容易に魚道内に進入す
ることができる。なお、直線部と傾斜部との接続部分に
は、魚がスムーズに移動して行けるように、円弧状に形
成しておくのがさらに好ましい。(請求項13)
【0020】前記魚道の内面には複数の突出部を形成す
るのが好ましい。これによれば、魚道内の流水を突出部
に沿った滑らかなものとすることができ、魚の上流側へ
の移動を容易なものとする。前記突出部は、半球状に膨
出したものだけでなく、傾斜する複数の突条を並設した
もの等、種々の形状とすることができる。そして、前記
突出部は、魚道の内面に粒子を吹き付けて付着させた
り、魚道を構成する板材自身にプレス加工により形成し
たり、突出部を有するシートを張り付る等、種々の方法
により形成することができる。(請求項14)
【0021】前記下流側堰板の下流縁が摺動する河床に
は前記魚道の下流端部に連続して下流側に向かう溝部を
形成するのが好ましい。これによれば、下流側堰板の下
流縁の摺動位置に拘わらず、常に魚道の下流端部からの
流水を溝部に導くことができ、魚は上流側(あるいは下
流側)に自由に移動することが可能である。また、たと
え河川の水位が減少しても前記溝部には最後まで魚の移
動可能な水位を維持することができる。(請求項15)
【0022】前記下流側堰板の下流縁には、前記溝部内
を摺接する摺接部材を設けるのが好ましい。前記摺接部
材としては、弾性を有する複数の紐状材で構成したもの
や、硬質な棒状体等が使用可能である。これによれば、
前記溝部内に、砂、砂利等の粒状物を配設するようにし
ても、前記摺接部材によって粒状物から藻やゴミ等を除
去することができ、魚等が移動しやすい環境を維持する
ことができる。(請求項16)
【0023】前記上流側堰板には、前記魚道の最上流位
置を除いて、下流側斜め上方への突出寸法を調整可能な
補助板を取り付けるのが好ましい。これによれば、補助
板の突出寸法を調整することにより、両堰板の起立位置
よりも高い位置で流水を堰止めることができる。この場
合、前記補助板は、魚道の最上流位置には設けられてい
ないため、魚道を上ってきた魚はスムーズに上流側へと
移動して行くことができる。特に、魚道内は流れの遅い
下層領域に該当するため、魚が上流側へと移動するには
都合がよい。また、水量が少なくなった場合でも、下流
側堰板の魚道には水が流れるので、下流側堰板が日射に
より温度上昇し過ぎず、下流側堰板の変形を阻止可能と
なる。(請求項17)
【0024】前記補助板は、前記魚道の最下流部の上流
位置にも位置しないように取り付けるのが好ましい。こ
れによれば、魚道の最下流部の水量が他の部分に比べて
多くなり、水しぶきが上がるので、魚がこの音に反応し
て集まりやすくなる。また、水量が多くなった分、魚は
上流側へと移動しやすくなる。(請求項18)
【0025】前記各堰板のいずれか一方の連結部分近傍
には、屈曲により平坦面が形成されていてもよく、前記
平坦面の両縁は面取りがされているのが好ましい。これ
によれば、前記平坦面を介して魚が上流側(あるいは下
流側)に向かってスムーズに移動することができる。し
かも、増水時に魚が下流側に押し流されたとしても怪我
をしたり、死傷に至ることはない。また、前記平坦面が
水平となるように両堰板を所定起立位置とした場合、前
記平坦面を歩道としても利用することができる上、平坦
面を歩行することにより、損傷箇所等の不具合のある部
分まで簡単に移動して行くことも可能である。(請求項
19)
【0026】前記堰板は、平板を複数のリブを介して所
定間隔で対向一体化してなる構成としてもよい。これに
よれば、堰板を軽量であるにも拘わらず、剛性の高いも
のとすることができ、大きな水圧にも十分に耐えること
ができる。(請求項20)
【0027】前記両堰板にはさらに水量を調整可能な略
同一構成の上流側補助堰板、下流側補助堰板及び補助駆
動手段からなる自動補助起伏堰を設けてもよい。これに
よれば、前記補助板を設ける場合に比べて広い範囲で水
位を調整することができるだけでなく、魚道内を流下す
る水量の調整も簡単である。(請求項21)
【0028】河床の幅方向に固定された支軸に一端縁部
を回動自在に取り付けられた上流側堰板と、該上流側堰
板の他端側縁部に設けた支軸に一端縁部を回動自在に連
結され、その他端縁部が河床を摺動する下流側堰板とを
備えた起伏堰において、前記両堰板には、開閉手段を有
すると共に、魚等が移動可能な貫通孔をそれぞれ穿設し
たものである。これによれば、まず、上流側堰板に形成
した貫通孔を開口し、両堰板と河床とで形成される内部
空間内に上流側の流水を導入する。そして、開閉手段に
より一旦上流側堰板の貫通孔を閉塞した後、下流側堰板
の貫通孔を開放し、前記内部空間内への魚の移動を可能
とする。その後、前記下流側堰板の貫通孔を閉塞すると
共に、前記上流側堰板の貫通孔を開放することにより、
前記内部空間内の魚を上流側へと移動可能とする。な
お、前記上流側堰板の貫通孔を開放した際、下流側堰板
に作用する水圧が大きくなるので、下流側堰板も上流側
堰板と同様にこの水圧に耐えることができるような構成
としておくのが好ましい。(請求項22)
【0029】河床の幅方向に固定された支軸に上流縁を
回動自在に取り付けられた上流側堰板と、該上流側堰板
の下流縁に設けた支軸に上流縁を回動自在に連結され、
その下流縁が河床を摺動する下流側堰板とを備えた起伏
堰を川幅方向に複数並設し、各起伏堰の間には隙間が生
じないように河床からガイド壁を立設し、各起伏堰には
起立位置を同じにした場合、同一直線上に位置する魚道
を形成すると共に、前記ガイド壁には各起伏堰の起立位
置を変更しても、魚道が同一直線上に位置すれば、それ
らを連通する逃がし凹部を形成することにより、前記魚
道及び逃がし凹部で上流側と下流側とを連通してもよ
い。これによれば、河川の幅寸法が大きい場合であって
も、前記起伏堰によって対応できると共に、魚道の勾配
を十分に小さく設定することが可能である。しかも、ガ
イド壁によって両堰板がガイドされるので、強度面でも
優れている上、両堰板の起立位置が多少変更しても、ガ
イド壁に形成した逃がし凹部により適切に魚道が連通す
る。(請求項23)
【0030】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を添付
図面に従って説明する。
【0031】(第1の実施の形態)図1は、第1の実施
の形態に係る起伏堰1を示し、下記する下流側堰板4に
形成した魚道11以外は従来例に係る起伏堰とほぼ同様
な構成である。すなわち、この起伏堰1は、コンクリー
ト等の河床2上に支軸2aを中心として上流縁を回動自
在に設けた上流側堰板3と、この上流側堰板3の下流縁
に設けた支軸3aを中心として上流縁を回動自在に連結
され、その下流縁が河床2を摺動する下流側堰板4と、
前記両堰板3,4を起立又は転倒させる駆動手段5とを
備えたものである。
【0032】前記両堰板3,4には、錆止め処理が施さ
れた鋼板や、強化プラスチックボード、鋼板の両面に樹
脂板を配設したサンドイッチ構造の板、鋼板を所定間隔
で配設して複数のリブで連結したハニカム構造の板等が
使用でき、両側部には防水性を有するゴム、プラスチッ
ク等の封止部材6(図中、手前側の縁には図示せず。)
が一体化されている。
【0033】前記両堰板3,4が配設される河川の両岸
は、前記河床2に連続してコンクリート等で側壁7(図
中、手前側は省略)が形成され、前記封止部材6が摺接
する部分にはメタル8が一体化されている。メタル8に
使用できる材料としては、例えば、ステンレス(SUS
304)、炭素鋼(SS400)等がある。勿論、炭素
鋼を使用する場合には、その表面は塗装により錆止めし
ておく必要がある。
【0034】また、前記駆動手段5には、上流側堰板3
をシリンダにより回動させる、モータの駆動によりワイ
ヤ等を介して下流側堰板4の下流縁を引っ張る等の機構
が採用可能で(本実施の形態ではシリンダを採用)、起
伏堰1の重量等に応じて適切な数を配置すればよい。た
だし、起伏堰1を安価に形成する場合には、前記駆動手
段5は必ずしも必要ではなく、起立堰1が転倒しないよ
うに所定の起立位置に維持可能な構造を設け、必要に応
じてクレーン等により起立位置を変更できるようにすれ
ばよい。前記起伏堰1の起立位置を維持するための構造
としては、例えば、支軸3aの両端部をワイヤ等で両岸
に固定したり、下流側堰板4の下流縁を河床2から適宜
立設させた支持部材により支持する構造等が採用可能で
ある。
【0035】前記下流側堰板4の下流縁が摺動する河床
2には溝部9が形成されている。この溝部9は、魚等
(蟹や泥鰌、鰻等を含む。)がよく移動する河川の両岸
近傍に設けられる。そして、下流側堰板4の下流縁の摺
動位置に拘わらず、下記する下流側堰板4の凹溝12に
連通するようになっている。但し、前記溝部9は、流水
状態の違いや変化に応じて河川の中央部等、種々の場所
に設けることができるのは言うまでもない。前記下流側
堰板4の下流縁が摺動する河床2には溝部9が形成され
ている。この溝部9は、魚等(蟹や泥鰌、鰻等を含
む。)がよく移動する河川の両岸近傍に設けられる。そ
して、下流側堰板4の下流縁の摺動位置に拘わらず、下
記する下流側堰板4の凹溝12に連通するようになって
いる。但し、前記溝部9は、流水状態の違いや変化に応
じて河川の中央部等、種々の場所に設けることができる
のは言うまでもない。
【0036】前記下流側堰板4の下流縁には、図2に示
すように、前記溝部9内を摺接する摺接部材10を設け
るようにするのが好ましい。この摺接部材10は、例え
ば、弾性を有する複数の紐状材で構成したものや、硬質
な棒状体等が使用可能で、前記溝部内に配設した砂、砂
利等の粒状物から藻等を除去し、苔の発生しやすい状態
とすることにより魚等が好んで移動しやすい環境を形成
する。
【0037】前記下流側堰板4には魚道11が形成され
ている。この魚道11は、下流側堰板4に形成される凹
溝12と、この凹溝12を覆う蓋体13とで構成され
る。凹溝12は下流側堰板4の上流縁から下流縁にかけ
て流下方向に対して傾斜するように設けられる傾斜部1
4と下流端部に流下方向に沿うように設けられる直線部
15とからなり、断面半円状で、プレス加工等により形
成される。前記凹溝12の傾斜部14の傾斜角度は、両
堰板3,4を最大起立位置まで起立させたとしても、魚
道11の勾配が1/10以下となるような値とされてい
る。
【0038】前記蓋体13は、下流側堰板4の上流側か
ら前記凹溝12を覆うように取り付けられる。詳しく
は、蓋体13には幅方向に長穴13aが穿設され、この
長穴13aを介して下流側堰板4にねじ止めされてい
る。したがって、長穴13aに対するねじの位置を変更
することにより、凹溝12を覆う蓋体13の突出(閉
塞)寸法を調整することができる。これにより、凹溝1
2内に、光を多く取り入れたり(魚は暗い場所への移動
を嫌う場合が多いため有効である。)、ゴミ等が溜まら
ないようにする場合には、蓋体13による突出寸法を少
なくすればよく、外敵(例えば、鳥等)から保護する場
合には、閉塞寸法を多くすればよい(例えば、全閉とし
てもよい。)。この場合、前記蓋体13を透明なアクリ
ル板等の透光性を有する材料で構成するようにすれば、
魚道11内の光量不足の問題は発生しない。なお、前記
蓋体13は必ずしも必要なものではなく、起伏堰1の設
置場所、流速等の諸条件により、凹溝12内の流れが下
流側堰板4の上面を流れる流水の影響を大きく受けない
場合には不要である。
【0039】前記構成の魚道11を備えた起伏堰1は、
河川の複数箇所に設けられ、流水を順次堰き止める。そ
して、河川の水量に合わせて両堰板3,4の起立位置を
変更して使用する。両堰板3,4の起立位置は、水位よ
りも若干低い位置とするのが好ましい。このようにして
使用される起伏堰1では、魚は次のようにして上流側に
移動可能である。
【0040】すなわち、魚は、主に両岸近傍の溝部9を
上流側(あるいは下流側)に向かって移動する。両岸近
傍では前記溝部9のために他の部分に比べて水量が多
く、流速も遅いため、魚が移動しやすい。また、河川の
水位が低下しても、前記溝部9により所定の水量が保証
され、前記下流側堰板4に形成した凹溝12からも上流
側の流水が流れ込んでくるので、魚の移動が妨げられる
ことはない。
【0041】こうして、起伏堰1に至った魚は、水位が
十分に高く、かつ、両堰板3,4の起立位置が低くて下
流側堰板4の勾配が1/10以下である場合には、下流
側堰板4の魚道11のみならず、他の部分をも通過して
上流側(あるいは下流側)へと向かうことができる。
【0042】一方、水位が低いか、あるいは、両堰板
3,4の起立位置が高く、下流側堰板4の勾配が1/1
0を越える場合には、傾斜部14を上流側へと移動する
ことができる。この場合、下流側から移動してきた魚
は、河床2での移動方向と同じ方向に形成した直線部1
5に進入した後、傾斜部14へと移動して行ける。ま
た、魚道11は凹溝12を蓋体13で覆った構成である
ので、流速が遅く、上流側への移動は容易である。
【0043】なお、前記第1の実施の形態では、蓋体1
3は、図3に示すように、下流側堰板4の凹溝12の上
流側に回動可能に設けた複数の連結棒16に連結し、こ
れら連結棒16の回動位置を変更することにより、蓋体
13の凹溝12に対する突出寸法を調整可能としてもよ
い。これによれば、蓋体13自身に操作部材17を連結
して、河川の岸から凹溝12に対する突出寸法を調整す
ることができ、前記長穴13aを利用するものに比べて
調整作業が容易である。
【0044】また、前記凹溝12は半円状としたが、四
角形や逆三角形等の種々の形状に形成してもよく、要は
起伏堰1の起立位置に拘わらず、凹溝12内に所定水位
を維持できる形状とすればよい。但し、ゴミ等が溜まり
にくく、水をスムーズに流下させるという点で半円状等
の滑らかに形状変化する構成とするのが好ましい。
【0045】また、前記凹溝12の下流端部のみに直線
部15を形成するようにしたが、上流端部のみに形成し
たり、あるいは、両端部に形成するようにしてもよい。
直線部15を上流端部にも形成するようにしたのは、魚
が下流側へも魚道11を介して移動しやすくするためで
ある。つまり、下流側堰板4の勾配が大きい場合(1/
10を越える場合)、この下流側堰板4での魚の移動速
度が速く、傷付く危険が高くなるため、前記直線部15
を上流側端部に設けることにより、魚道11への進入を
容易として下流側に傷付く心配なくスムーズに移動させ
ることが可能となる。
【0046】また、前記凹溝12の底面に複数の突出部
を設けて流水を突出部に沿った滑らかな流れとすれば、
魚等が上流側に向かってスムーズに移動して行くことが
できる。
【0047】前記突出部としては、図4(a)に示す無
数の突起18aからなるものや、図4(b)に示す流下
方向に傾斜して並設される複数の突条18bからなるも
のや、図4(c)に示す流下方向に直交して並設される
複数の突条18cからなるもの等、種々の形状のものが
適用可能である。そして、前記各突出部18a,18
b,18cは、魚道11の内面に粒子を吹き付けて付着
させたり、板材を溶接等により一体化したり、魚道11
を構成する板材自身にプレス加工により形成したり、突
出部を有するシートを張り付る等、種々の方法により形
成すればよい。
【0048】この外、前記突出部を、図15に示すよう
に、中空空間100aを有すると共に、複数の貫通孔1
00bを備えたブロック100で構成するようにしても
よい。このブロック100は、コンクリートや強化プラ
スチック等の強度の高い種々の材料で形成できる。ブロ
ック100は、魚道11のみならず、コンクリート等で
形成された河床2に固定あるいは載置するようにしても
よい。ただし、増水時に流されないように固定しておく
方が好ましい。また、ブロック100の突出方向、長さ
も自由に設定すればよく、要はより自然に近い状態でブ
ロック100の下流側に魚等が流れを避けることのでき
るような領域を形成できるものであればよい。前記中空
空間100a内には水草等の種を入れておくのが好まし
い。成長した水草等は前記貫通孔100bを介してブロ
ック100の外に伸び、単にブロックの表面から伸びた
もののようにはがれ落ちて流されるといったことがな
く、常に自然に近い状態を維持することができる。ま
た、前記貫通孔100bには、水草等が成長することに
よりブロック100が亀裂等の損傷を受けないように、
貫通孔100bに金属製等のリングをはめ込んだり、外
表面に鉄板等の保護枠を設けるようにしてもよい。
【0049】また、前記魚道11は凹溝12と蓋体13
とで構成するようにしたが、筒状体や、断面U字形ある
いは断面コ字形等の溝部材で構成するようにしてもよ
い。これらは、下流側堰板4に直接、溶接、ボルト止め
等で固定してもよいが、下流側堰板4の上流縁に回動可
能に連結するのが好ましい。これによれば、下流側堰板
4の勾配に拘わらず、魚道11の勾配を自由に調整でき
る。前記筒状体や溝部材は、流水がスムーズに流れるよ
うに、流下方向に対して滑らかに変化する形状とするの
が好ましい。前記筒状体や溝状部は中間部に蛇腹部を形
成して屈曲可能としたり、全体を可撓性を有する構成と
してもよいが、この場合には前記筒状体等を任意の位置
で位置決めできるようにする必要がある。なお、筒状体
の場合、透明材料で構成して内部に光を取り入れること
ができるようにしたり、複数の貫通孔を穿設して下流側
堰板4上面の流水や、この流水が少ない場合には空気
(酸素)を内部に取り入れることができるようにするの
が好ましい。
【0050】(第2の実施の形態)図5は第2の実施の
形態に係る起伏堰20を示す。この起伏堰20は、前記
第1の実施の形態とは、上流側堰板21、下流側堰板2
2及び駆動手段23を備えている点等では共通している
が、魚道24が下流側に向かって傾斜方向の異なる2本
の凹溝25a,25bで形成され、凹溝25a,25b
の中間部は互いに連通するように交差している点では相
違している。
【0051】前記各凹溝25a,25bの下流端部は河
川の両岸側にそれぞれ位置している。これは、通常、河
川の両岸近傍では流速が遅く、魚はこの流速の遅い部分
を好んで上流側に移動することから、魚が魚道24に進
入しやすいようにするためである。
【0052】前記構成の起伏堰20によれば、河川を上
流側に移動する魚が好んで通過する両岸近傍に魚道24
の下流端部を位置させて魚道24内に魚が進入しやすい
ようにしたので、魚道24を有効利用できる構成とする
ことが可能である。
【0053】なお、前記第2の実施の形態に係る起伏堰
20では、魚道24を2本の凹溝25a,25bを設け
て両者を中間部で連通させる構成としたが、さらに枝分
かれさせるようにしてもよい。例えば、水位が低くなっ
た場合、河川の中央部のみで流下することが多いため、
魚道24の下流端部をその位置に開口する必要があるか
らである(図中、2点鎖線で示す。)。また、前記第1
の実施の形態と同様に、凹溝25a又は25bの端部に
直線部を形成したり、凹溝25a又は25bに蓋体を設
けたり、凹溝25a又は25bの内面に複数の突出部を
設けたり、あるいは、凹溝25a,25b内に筒状体を
配設するようにしてもよいことは勿論である。さらに、
前記各凹溝25a,25bは移動する魚の種類等に応じ
て幅や深さ等を変更するようにしてもよい。
【0054】(第3の実施の形態)図6は第3の実施の
形態に係る起伏堰30を示す。この起伏堰30は、前記
第1及び第2の実施の形態とは、上流側堰板31、下流
側堰板32及び駆動手段33を備えている点等では共通
しているが、魚道34が中間部分で屈曲し、その屈曲部
分に魚が休息することのできる滞留部35が形成されて
いる点では相違している。
【0055】前記起伏堰30によれば、起立位置が高
く、かつ、河川(下流側堰板3)の幅が狭いことによ
り、前記各実施の形態のような構成では下流方向に対す
る魚道の勾配を1/10以下にできない場合であって
も、前述のように、魚道34の中間部分を屈曲させ、各
傾斜部34a,34bの勾配を抑えることにより、上流
側(あるいは下流側)に魚が移動可能である。
【0056】また、前記魚道34には滞留部35が形成
され、そこでは水はある程度澱んだ状態となっているた
め、魚が押し流されることがない。したがって、魚道3
4の傾斜部34aを上ってきた魚は、一旦滞留部35で
休憩して方向変換した後、さらに魚道34の傾斜部34
bを上って行けばよく、スムーズに上流側へと移動可能
である。
【0057】なお、前記魚道34には滞留部35を形成
するようにしたが、魚道34の全長がそれ程長くなく、
魚が十分に上流側に移動できる場合等には不要である。
また、前記魚道34は、必ずしも直線的に形成する必要
はなく、所定の勾配(例えば、1/10以下の勾配)を
維持できるのであれば、蛇行するように形成してもよい
ことは勿論である。
【0058】また、前記滞留部35は、必ずしも魚道3
4の屈曲部分に設ける必要はなく、傾斜部34a,34
bが長い場合や、傾斜部34a,34bが短くても上っ
て行くことのできない魚が移動する場合には、傾斜部3
4a,34bの途中に滞留部35を形成してもよいこと
は勿論である。
【0059】(第4の実施の形態)図7は第4の実施の
形態に係る起伏堰40を示す。この起伏堰40は、前記
各実施の形態とは、下流側堰板41、上流側堰板42及
び駆動手段43を備えている点等では共通しているが、
下流側堰板3の表面に魚道44を構成する仕切壁45を
支軸45aを中心として回動可能に設けた点では相違し
ている。
【0060】前記仕切壁45は起伏堰40を起立させて
いる状態では、その下流側表面を下流側堰板3から突設
させた複数のリブ46(図8参照)によって支持され、
上流側に下流側堰板42の表面とで溝状部47を形成で
きるようになっている。そして、起立堰40を平坦に転
倒させた状態では、前記仕切壁45をリブ46に対して
反対側に回動させることにより、下流側堰板42から突
出しないようにする。これにより、前記仕切壁45が流
下の邪魔となることがなく、常にスムーズな流れが確保
される。
【0061】なお、前記仕切壁45は下流側表面をリブ
46で支持することにより、水圧に耐えて下流側堰板4
3との間に溝状部47を形成可能な構成としたが、リブ
46を設けることなく、仕切壁45をシリンダ(図示せ
ず)によって回動可能とする等、種々の構成を採用可能
である。つまり、前記溝状部47を魚道44として利用
する際には所定の水圧に耐えることができ、かつ、折り
畳むことのできる構成であればよい。そして、折り畳ん
だ際、下流側堰板43と略面一となるように下流側堰板
43に凹部(図示せず)を形成するのがさらに好まし
い。
【0062】また、前記仕切壁45は、必ずしも回動可
能な構成とする必要はなく、溶接等で下流側堰板43に
一体化するようにしてもよい。この場合、例えば、河川
の流水状況が変化する等により魚道位置を変更する必要
が生じれば、仕切壁45の一部を切断し、新たに仕切壁
45を接続する等により比較的簡単に対応することがで
きる。
【0063】(第5の実施の形態)図9は第5の実施の
形態に係る起伏堰50を示す。この起伏堰50は、前記
各実施の形態とは、上流側堰板51、下流側堰板52及
び駆動手段53を備えている点等では共通しているが、
上流側堰板51には上流縁に沿って鋼板等からなる複数
の補助板54が長穴54aを介してねじ止め固定されて
いる点では相違している。
【0064】前記各補助板54は、上流側堰板51から
下流側に向かって斜め上方に突出するように固定され、
その突出寸法は前記長穴54aを利用することにより調
整可能となっている。前記補助板54は、1箇所あるい
は必要に応じて複数箇所で上流側堰板52からの突出寸
法をゼロとされる。具体的に、魚道55の上流開口が位
置する部分には、魚の移動のために補助板54の突出寸
法をゼロとする(図9では、この位置に補助板54を設
けないようにしている。)。また、前記補助板54を1
枚物で構成してもよいが、河川の流水状態の経時変化
(中央を流れていたものが、地形の変化等により一方の
岸近傍を流れる場合等)を考慮すれば、複数枚で構成す
る方が柔軟に対応することができる。
【0065】前記補助板54によれば、上流側堰板51
からの突出寸法を調整することにより堰止め水位を調整
可能であり、駆動手段53により起伏堰50の起立高さ
を調整する場合に比べて簡単に対応することができる。
しかも、水圧に逆らって起立堰50を起立させる場合の
ように多大なエネルギーを必要としない。ただし、前記
補助板54は上流側堰板51にねじ止めしただけの構造
であるため、堰き止めることができる水量には限界があ
り、水位の上昇寸法が、例えば、20cm以内である場
合にのみ利用可能である。したがって、水位の上昇寸法
が20cmを越えれば、起伏堰50の起立位置を調整す
ることにより対処する必要がある。
【0066】なお、前記補助板54は、図10に示すよ
うに、魚道55の下流側端部の上流位置でも、突出寸法
をゼロとしたり、設けないようにするのが好ましい。す
なわち、この位置に補助板54を突出させないことによ
り、魚道55の下流側端部には他の部分に比べて多くの
流水を供給できる。魚道55の下流側端部では、水しぶ
き等に基づく音が発生し、魚がこの音に反応して集まる
と共に、水量が多くなることにより魚道55内へと進入
しやすくなる。また、この第5の実施の形態でも、前記
各実施の形態で採用したのと同様な魚道を採用可能であ
る。
【0067】(第6の実施の形態)図11は第6の実施
の形態に係る起伏堰60を示す。この起伏堰60は、前
記各実施の形態とは、上流側堰板61、下流側堰板62
及び駆動手段63を備えている点等では共通している
が、前記下流側堰板62を、上流側堰板61との連結部
分である支軸61aの近傍で内方に折り曲げられること
により形成された平坦部64を有している点では相違し
ている。
【0068】前記平坦部64の両縁は角張らないように
面取りを施したり円弧状とされている。これにより、勾
配の変化が滑らかになるので、魚が上流側(あるいは下
流側)へとスムーズに移動して行くことができ、傷付く
こともない。また、前記平坦部64により起伏堰全体の
機械的強度が向上する上、前述のように、魚道を凹溝で
構成する場合には上流側との接続構造が簡単となる(図
11中、2点鎖線で示すように、凹溝を形成するだけで
よい。)。しかも、前記平坦部64は、水位が低い場合
に歩道等としても利用することができ、修理箇所が発生
した場合には、この平坦部64を移動すればよく便利で
ある。なお、前記平坦部64は下流側堰板62に限ら
ず、上流側堰板61に形成してもよい。
【0069】(第7の実施の形態)図12は第7の実施
の形態に係る起伏堰70を示す。この起伏堰70は、前
記各実施の形態とは、上流側堰板71、下流側堰板72
及び駆動手段73を備えている点等では共通している
が、起伏堰70の上部にさらに小型の補助起伏堰74が
設けられている点では相違している。
【0070】前記補助起伏堰74は、上流側補助堰板7
5、下流側補助堰板76及び補助駆動手段77を備えて
いる。上流側補助堰板75の上流縁は、前記両堰板7
1,72を連結する支軸71aに回動自在に連結されて
いる。上流側補助堰板75の下流縁には支軸75aを中
心として下流側補助堰板76の上流縁が回動自在に連結
されている。下流側補助堰板76の下流縁は下流側堰板
76の上面を摺動するようになっており、そこに連結さ
れるシリンダ等の補助駆動手段77によって起伏堰70
の起立位置が調整される。
【0071】前記構成の起伏堰では、通常の少ない水位
の変化であれば、前記両補助堰板75,76の起立位置
を調整することにより対応する。例えば、1年間での河
川の水位変化の統計をとることにより、前記補助起伏堰
74で最大限カバーできるようにすればよい。前記補助
起伏堰74によれば、前記起伏堰70の起立位置を調整
する場合に比べて消費エネルギーが少なくて済み、迅速
に対応することが可能である。つまり、起伏堰70の上
流側堰板71に作用する水圧は大きいため、その起立位
置を変更する場合には制約があるからである。
【0072】なお、前記両補助堰板75,76は、前記
両堰板71,72を平坦に転倒する場合には、同様に平
坦に転倒させておくことにより流動の妨げとなることは
ない。また、前記上流側補助堰板75の上流縁は支軸7
1aに設けるようにしたが、他の部分、例えば、上流側
堰板71や下流側堰板72に別途支軸(図示せず)を固
定し、この支軸に連結するようにしてもよいことは勿論
である。
【0073】(第8の実施の形態)図13は第8の実施
の形態に係る起伏堰80を示す。この起伏堰80は、前
記各実施の形態とは、上流側堰板81、下流側堰板82
及び駆動手段83を備えている点等では共通している
が、前記両堰板81,82に開閉手段84a,84bを
有すると共に、魚等が移動可能な貫通孔85a,85b
がそれぞれ穿設されることにより、両堰板81,82の
内面と河床86の上面とで形成される内部空間87内に
流水が導入可能となっている点で相違している。
【0074】前記開閉手段84a,84bとしては、バ
ルブやスライド式の板材等が使用可能である(図13に
示す開閉手段84a,84bはスライド式の開閉板で構
成されている。この場合、各開閉板は流下方向の上流側
で各貫通孔85a,85bを閉塞するようにするのが好
ましい。また、各開閉板と堰板81,82とはパッキン
等で水密状態とするのが好ましい。)。また、前記貫通
孔85a,85bの数は幾つであってもよいが、上流側
堰板81に設ける貫通孔85aの数を多くする場合に
は、水圧との関係で下流側堰板82には前記上流側堰板
81と同様な高い強度を有する構造が要求される。
【0075】このような構成の起伏堰80では、まず、
上流側堰板81の貫通孔85aを開放し、内部空間87
内に上流側の流水を取り込む。そして、前記上流側堰板
81の貫通孔85aを一旦閉塞し、下流側堰板82の貫
通孔85bを開放する。これにより、下流側の魚等は前
記内部空間87内に移動可能となる。こうして内部空間
87内に魚等が移動すれば、一旦下流側堰板82の貫通
孔85bを閉塞し、上流側堰板81の貫通孔85aを開
放することにより、魚等を上流側に移動可能とする。
【0076】この場合、前記各開閉手段84a,84b
は前記順序で所定時間周期で自動的に貫通孔85a,8
5bを開閉するような構成とするのが好ましい。また、
下流側堰板82に貫通孔85bを穿設する代わりに、そ
の下流縁が摺動する河床86に前記内部空間87と下流
側とを連通する溝等を形成するようにしても構わない。
さらに、前記各開閉手段84a,84b及び貫通孔85
a,85bは魚道として利用するだけでなく、上流側水
位が高いために水圧が大きく、起伏堰80の起立位置を
変更できない場合に放水用として利用してもよい。すな
わち、両貫通孔85a,85bを開口することにより、
上流側に堰き止めていた水を下流側に流下させて水位を
低下させた後、起伏堰80の起立位置を変更するもので
ある。
【0077】(第9の実施の形態)図14は第9の実施
の形態に係る起伏堰90を示す。この起伏堰90は、前
記各実施の形態で説明したのと同様な起伏堰91a、9
1bを河川の幅方向に並設したもので、各起伏堰91
a,91bの間には、河床92から立設させたガイド壁
93が位置している。各起伏堰91a,91bは、上流
側堰板94a,94b、下流側堰板95a,95b及び
駆動手段96a,96bを備え、前記各起伏堰91a,
91bの下流側堰板94a,94bには凹溝97a,9
7bがそれぞれ形成されている。下流側堰板95aに形
成された凹溝97aの一端部は下流縁に位置し、他端部
は側縁に位置する。一方、下流側堰板95bに形成され
た凹溝97bの一端部は側縁に位置し、他端部は上流縁
に位置する。また、前記ガイド壁93には、前記両凹溝
97a,97bを連通する逃がし凹部98が形成されて
いる。この逃がし凹部98は、前記各起伏堰92a,9
1bの起立位置が多少変化しても、前記両凹溝97a,
97b同士を連通可能なように幅及び深さが大きめに形
成されている。
【0078】このように、起伏堰91a,91bを並設
するようにしたので、河川の幅寸法が大きい場合でも対
応することができると共に、1つの起伏堰では起立位置
が高くて魚道に所望の勾配を得られない場合であって
も、魚道を途中で屈曲させることなく、対応することが
できる。
【0079】なお、前記第9の実施の形態では、2つの
起伏堰91a,91bを並設する場合について説明した
が、河川の幅寸法に応じて3以上としてもよいことは勿
論である。この場合、魚道は全ての下流側堰板に形成し
た凹溝によって形成されるようにしなくてもよく、通常
使用される起伏堰の起立位置に応じて適切な構成とすれ
ばよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】 第1の実施の形態に係る起伏堰の斜視図であ
る。
【図2】 図1の部分拡大図である。
【図3】 図1の蓋体の突出寸法を調整可能とする機構
を示す部分拡大図である。
【図4】 (a)〜(c)は、図1の凹溝に形成する突
出部の種々の形態を示す部分正面図である。
【図5】 第2の実施の形態に係る起伏堰の斜視図であ
る。
【図6】 第3の実施の形態に係る起伏堰の斜視図であ
る。
【図7】 第4の実施の形態に係る起伏堰の斜視図であ
る。
【図8】 図7の部分側面図である。
【図9】 第5の実施の形態に係る起伏堰の斜視図であ
る。
【図10】 第6の実施の形態に係る起伏堰の斜視図で
ある。
【図11】 第7の実施の形態に係る起伏堰の斜視図で
ある。
【図12】 第8の実施の形態に係る起伏堰の斜視図で
ある。
【図13】 第9の実施の形態に係る起伏堰の斜視図で
ある。
【図14】 第10実施の形態に係る起伏堰の斜視図で
ある。
【図15】 突出部の一態様を示す断面図である。
【符号の説明】
2 河床 3 上流側堰板 4 下流側堰板 2a,3a 支軸 5 駆動手段 11 魚道

Claims (23)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 河床の幅方向に上流縁を回動自在に取り
    付けられた上流側堰板と、該上流側堰板の下流縁に設け
    た支軸に上流縁を回動自在に連結され、その下流縁が河
    床を摺動する下流側堰板とを備えた起伏堰において、 前記下流側堰板の上流縁から下流縁にかけて、流下方向
    に対して傾斜する魚道を形成したことを特徴とする起伏
    堰。
  2. 【請求項2】 前記魚道は、前記両堰板の起立位置に拘
    わらず、勾配が1/10以下となるように形成されてい
    ることを特徴とする請求項1に記載の起伏堰。
  3. 【請求項3】 前記魚道は凹溝からなることを特徴とす
    る請求項1又は2に記載の起伏堰。
  4. 【請求項4】 前記下流側堰板には、前記凹溝の上方開
    口を上流側から閉塞し、かつ、その閉塞寸法を調整可能
    な蓋体が設けられていることを特徴とする請求項3に記
    載の起伏堰。
  5. 【請求項5】 前記魚道は、複数の凹溝で形成され、各
    凹溝の中間部は互いに連通するように交差していること
    を特徴とする請求項1又は2に記載の起伏堰。
  6. 【請求項6】 前記魚道は、下流側堰板と、該下流側堰
    板から突設した仕切壁とで、該仕切壁の上流側に形成さ
    れる溝状部で構成したことを特徴とする請求項1又は2
    に記載の起伏堰。
  7. 【請求項7】 前記仕切壁は、下流側堰板との間に溝状
    部を形成する位置と、該下流側堰板に折り畳まれる位置
    との間で回動可能であることを特徴とする請求項6に記
    載の起伏堰。
  8. 【請求項8】 前記魚道は、下流側堰板の上流縁側を中
    心としてその上面に沿って回動自在に設けられる溝部材
    で構成されていることを特徴とする請求項1又は2に記
    載の起伏堰。
  9. 【請求項9】 前記魚道は、前記下流側堰板に設けた筒
    状体で構成されていることを特徴とする請求項1又は2
    に記載の起伏堰。
  10. 【請求項10】 前記魚道の最上流位置は、上流側堰板
    の上面に沿ってさらに上流側に延設されていることを特
    徴とする請求項1ないし9のいずれかに記載の起伏堰。
  11. 【請求項11】 前記魚道は、少なくとも1箇所に屈曲
    部を有していることを特徴とする請求項1ないし10の
    いずれかに記載の起伏堰。
  12. 【請求項12】 前記魚道の途中には、魚が休息するこ
    とのできる滞留部が形成されていることを特徴とする請
    求項1ないし11のいずれかに記載の起伏堰。
  13. 【請求項13】 前記魚道の少なくともいずれか一方の
    端部には、下流方向に沿う直線部が形成されていること
    を特徴とする請求項1ないし12のいずれかに記載の起
    伏堰。
  14. 【請求項14】 前記魚道の内面には複数の突出部が形
    成されていることを特徴とする請求項1ないし13のい
    ずれかに記載の起伏堰。
  15. 【請求項15】 前記下流側堰板の下流縁が摺動する河
    床には前記魚道の下流端部に連続して下流側に向かう溝
    部が形成されていることを特徴とする請求項1ないし1
    4のいずれかに記載の起伏堰。
  16. 【請求項16】 前記下流側堰板の下流縁には、前記溝
    部内を摺接する摺接部材が設けられていることを特徴と
    する請求項15に記載の起伏堰。
  17. 【請求項17】 前記上流側堰板には、前記魚道の上流
    端部を除いて、下流側斜め上方への突出寸法を調整可能
    な補助板が取り付けられていることを特徴とする請求項
    1ないし16のいずれかに記載の起伏堰。
  18. 【請求項18】 前記補助板は、前記魚道の下流端部の
    上流位置をも除いて取り付けられていることを特徴とす
    る請求項17に記載の起伏堰。
  19. 【請求項19】 前記各堰板のいずれか一方には、両堰
    板を連結する支軸の近傍部分を屈曲することにより、両
    堰板の所定起立位置で水平面を構成する平坦部が形成さ
    れていることを特徴とする請求項1ないし18のいずれ
    かに記載の起伏堰。
  20. 【請求項20】 前記堰板は、平板を複数のリブを介し
    て所定間隔で対向一体化した構成であることを特徴とす
    る請求項1ないし19のいずれかに記載の起伏堰。
  21. 【請求項21】 前記両堰板には、堰止め位置のさらに
    上方側の水位を調整可能な略同一構成の上流側補助堰
    板、下流側補助堰板及び補助駆動手段からなる自動補助
    起伏堰が設けられていることを特徴とする請求項1ない
    し20のいずれかに記載の起伏堰。
  22. 【請求項22】 河床の幅方向に固定された支軸に一端
    縁部を回動自在に取り付けられた上流側堰板と、該上流
    側堰板の他端側縁部に設けた支軸に一端縁部を回動自在
    に連結され、その他端縁部が河床を摺動する下流側堰板
    とを備えた起伏堰において、 前記両堰板には、開閉手段を有すると共に、魚等が移動
    可能な貫通孔をそれぞれ穿設したことを特徴とする起伏
    堰。
  23. 【請求項23】 河床の幅方向に固定された支軸に一端
    縁部を回動自在に取り付けられた上流側堰板と、該上流
    側堰板の他端側縁部に設けた支軸に一端縁部を回動自在
    に連結され、その他端縁部が河床を摺動する下流側堰板
    とを備えた起伏堰を川幅方向に複数並設し、各起伏堰の
    間には隙間が生じないように河床からガイド壁を立設
    し、各起伏堰には起立位置を同じにした場合、同一直線
    上に位置する魚道を形成すると共に、前記ガイド壁には
    各起伏堰の起立位置を変更しても、魚道が同一直線上に
    位置すれば、それらを連通する逃がし凹部を形成するこ
    とにより、前記魚道及び逃がし凹部で上流側から下流側
    に流下するようにしたことを特徴とする起伏堰。
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