JPH0982254A - Rf電子銃、rf電子銃用のカソードおよびそのカソードの製造方法 - Google Patents
Rf電子銃、rf電子銃用のカソードおよびそのカソードの製造方法Info
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- JPH0982254A JPH0982254A JP7231207A JP23120795A JPH0982254A JP H0982254 A JPH0982254 A JP H0982254A JP 7231207 A JP7231207 A JP 7231207A JP 23120795 A JP23120795 A JP 23120795A JP H0982254 A JPH0982254 A JP H0982254A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 RF電子銃のカソード温度上昇を抑制する。
【解決手段】 カソード面に細線状の電子放出領域50
と電子非放出領域52を設ける。電子放出領域50の長
手方向はバックボンバードメント電子の偏向方向と垂直
になるよう、カソードを取り付ける。例えば、電子放出
領域50の幅は〜1mm、電子非放出領域52の幅は
0.5mm〜とする。この形状であれば、低エネルギー
のバックボンバードメント電子が電子放出領域50に衝
突しにくく、温度上昇が抑制される。
と電子非放出領域52を設ける。電子放出領域50の長
手方向はバックボンバードメント電子の偏向方向と垂直
になるよう、カソードを取り付ける。例えば、電子放出
領域50の幅は〜1mm、電子非放出領域52の幅は
0.5mm〜とする。この形状であれば、低エネルギー
のバックボンバードメント電子が電子放出領域50に衝
突しにくく、温度上昇が抑制される。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、RF波を導入し
て電子の加速するRF電子銃、RF電子銃において電子
放出源として使用されるカソード、およびそのカソード
の製造方法に関する。一例としてRF電子銃は、自由電
子レーザ(FEL)など電子線を利用する精密機器に電
子ビームを供給する電子加速器の入射部に用いられる。
て電子の加速するRF電子銃、RF電子銃において電子
放出源として使用されるカソード、およびそのカソード
の製造方法に関する。一例としてRF電子銃は、自由電
子レーザ(FEL)など電子線を利用する精密機器に電
子ビームを供給する電子加速器の入射部に用いられる。
【0002】
【従来の技術】RF電子銃は、RF波(例えばマイクロ
波)が導入される空洞筺体の壁面にカソードを取り付
け、ここから放出される電子をRF波によって加速し、
これを後段の装置に向けて射出する装置である。
波)が導入される空洞筺体の壁面にカソードを取り付
け、ここから放出される電子をRF波によって加速し、
これを後段の装置に向けて射出する装置である。
【0003】図1は従来一般的なRF電子銃の構造を示
す図である。同図において、電子の放出源となるカソー
ド2は空洞筺体(キャビティ)10の中央一端に設けら
れている。カソード2の両側には、小さな突起状のウェ
ネルト電極22がある。カソード2は熱によって電子を
放出する熱電子カソード、例えばタングステンをスポン
ジ状にしてバリウム酸化物等を滲み込ませたBIカソー
ドである。このため、カソード2付近に図示しないヒー
ターが設けられている。
す図である。同図において、電子の放出源となるカソー
ド2は空洞筺体(キャビティ)10の中央一端に設けら
れている。カソード2の両側には、小さな突起状のウェ
ネルト電極22がある。カソード2は熱によって電子を
放出する熱電子カソード、例えばタングステンをスポン
ジ状にしてバリウム酸化物等を滲み込ませたBIカソー
ドである。このため、カソード2付近に図示しないヒー
ターが設けられている。
【0004】カソード2と数cmの距離に、電子の引出
し電極であるアノード6が対向して設けられている。ア
ノード6は突起状のノーズコーン24を持つ。アノード
6はカソード2よりも高電位に保たれ、カソード2から
放出された電子(以下「放出電子」という)を引き寄せ
る。
し電極であるアノード6が対向して設けられている。ア
ノード6は突起状のノーズコーン24を持つ。アノード
6はカソード2よりも高電位に保たれ、カソード2から
放出された電子(以下「放出電子」という)を引き寄せ
る。
【0005】空洞筺体10には、RF波を導入するため
の導入口8が穿設されている。導入口8から導入された
RF波によって、空洞筺体10内に定在波が生じる。空
洞筺体10内はイオンポンプまたはターボポンプ等の真
空ポンプによって非常に高い真空度に保たれる。カソー
ド2から飛び出した電子は、空洞筺体10内に形成され
る電場により、真空の空間をアノード6へと飛行する。
カソード2とアノード6を結ぶ線の延長がビームライン
となる。
の導入口8が穿設されている。導入口8から導入された
RF波によって、空洞筺体10内に定在波が生じる。空
洞筺体10内はイオンポンプまたはターボポンプ等の真
空ポンプによって非常に高い真空度に保たれる。カソー
ド2から飛び出した電子は、空洞筺体10内に形成され
る電場により、真空の空間をアノード6へと飛行する。
カソード2とアノード6を結ぶ線の延長がビームライン
となる。
【0006】図2は図1の構造のうち、カソード2とア
ノード6付近を拡大した図である。この図ではr>0の
部分のみを示しているので、実際にはこれをz軸に回転
させた構造と考えればよい。カソード2とアノード6は
軸対象の空洞筺体10の中央に設けられ、ここでは両者
の距離を3.5cmとしている。同図ではビームライン
をz軸にとり、カソード2を原点においている。
ノード6付近を拡大した図である。この図ではr>0の
部分のみを示しているので、実際にはこれをz軸に回転
させた構造と考えればよい。カソード2とアノード6は
軸対象の空洞筺体10の中央に設けられ、ここでは両者
の距離を3.5cmとしている。同図ではビームライン
をz軸にとり、カソード2を原点においている。
【0007】空洞筺体10内では、RF波の一周期の前
半(位相角0〜180°)において電子を加速する方向
に電場が形成され、この間に電子がカソード2から放出
される。図3は図2のz軸上の電場の相対強度(z=0
の強度を1)を示す図である。同図に示すように、電場
は空洞筺体10中心付近で最大、アノード6付近で最小
となる。電子はカソード2〜アノード6間で一気に1M
eV(100万電子ボルト)以上に加速され、光速に近
い速度でアノード6から射出される。このように高い電
場を採用するのは、低エネルギーの荷電粒子束において
顕著に現れる空間電荷効果(互いのクーロン力によって
反発しあう効果)による粒子束の発散を防止し、高品質
ビームを得るためである。RF電子銃を従来の直流電圧
型の電子銃と比較すると、ビーム特性を示すエミッタン
ス(ビームの集束度、粒子の運動量の均一度)が約1/
10になり、レーザ発振に重要な条件である高指向性を
持つ電子ビームが生成される。
半(位相角0〜180°)において電子を加速する方向
に電場が形成され、この間に電子がカソード2から放出
される。図3は図2のz軸上の電場の相対強度(z=0
の強度を1)を示す図である。同図に示すように、電場
は空洞筺体10中心付近で最大、アノード6付近で最小
となる。電子はカソード2〜アノード6間で一気に1M
eV(100万電子ボルト)以上に加速され、光速に近
い速度でアノード6から射出される。このように高い電
場を採用するのは、低エネルギーの荷電粒子束において
顕著に現れる空間電荷効果(互いのクーロン力によって
反発しあう効果)による粒子束の発散を防止し、高品質
ビームを得るためである。RF電子銃を従来の直流電圧
型の電子銃と比較すると、ビーム特性を示すエミッタン
ス(ビームの集束度、粒子の運動量の均一度)が約1/
10になり、レーザ発振に重要な条件である高指向性を
持つ電子ビームが生成される。
【0008】以上がRF電子銃の概要であるが、RF電
子銃を運転する場合、RF波が交流である点に留意する
必要がある。なぜなら、RF波の位相角が180°を超
えた瞬間から逆向きの電場が形成され、電子が逆方向、
すなわちカソードに戻る方向に加速されるためである。
子銃を運転する場合、RF波が交流である点に留意する
必要がある。なぜなら、RF波の位相角が180°を超
えた瞬間から逆向きの電場が形成され、電子が逆方向、
すなわちカソードに戻る方向に加速されるためである。
【0009】図4は電子が放出される瞬間のRF波の位
相角と、いろいろな位相角において放出された電子の軌
道の関係を示す図である。同図横軸は位相角、縦軸は図
2のz軸上でカソード2からの距離を示し、3.5cm
に目標のアノード6がある。点線で示す位相角180°
から360°までが逆行加速期間である。
相角と、いろいろな位相角において放出された電子の軌
道の関係を示す図である。同図横軸は位相角、縦軸は図
2のz軸上でカソード2からの距離を示し、3.5cm
に目標のアノード6がある。点線で示す位相角180°
から360°までが逆行加速期間である。
【0010】同図に示すように、まず位相角0°のとき
に放出された電子aは、そのまま加速され、位相角約1
90°のときに3.5cmのギャップを飛び切り、アノ
ード6から射出される。しかし位相角100°で放出さ
れた電子bは、3.5cmの直前で方向を転じ、カソー
ド2に衝突する。この現象はバックボンバードメントと
呼ばれる。図2の構造、図3の電界強度のもとで計算す
ると、位相角0〜95°の電子(全体の55%)は正常
にアノード6に到達するが、95〜180°の電子(全
体の45%)はバックボンバードメント電子(逆行電
子)となる。
に放出された電子aは、そのまま加速され、位相角約1
90°のときに3.5cmのギャップを飛び切り、アノ
ード6から射出される。しかし位相角100°で放出さ
れた電子bは、3.5cmの直前で方向を転じ、カソー
ド2に衝突する。この現象はバックボンバードメントと
呼ばれる。図2の構造、図3の電界強度のもとで計算す
ると、位相角0〜95°の電子(全体の55%)は正常
にアノード6に到達するが、95〜180°の電子(全
体の45%)はバックボンバードメント電子(逆行電
子)となる。
【0011】RF電子銃の課題の1つは、バックボンバ
ードメント電子によるカソード温度の急上昇にある。R
F電子銃では、カソード2から電子を放出させるため
に、カソード2を動作温度に加熱する(これを「必要加
熱」と呼ぶことにする)が、バックボンバードメント電
子による加熱(「無用加熱」と呼ぶ)に起因する温度上
昇は、必要加熱による温度上昇を上回ることもある。こ
の結果、放出電子の量(放出電流)が制御不能な状態に
陥る場合もある。また、仮に制御できたとしても、無用
加熱の効果は容易に計算できず、高品質ビームをコンス
タントに生成するという要請を満たすことはできない。
ードメント電子によるカソード温度の急上昇にある。R
F電子銃では、カソード2から電子を放出させるため
に、カソード2を動作温度に加熱する(これを「必要加
熱」と呼ぶことにする)が、バックボンバードメント電
子による加熱(「無用加熱」と呼ぶ)に起因する温度上
昇は、必要加熱による温度上昇を上回ることもある。こ
の結果、放出電子の量(放出電流)が制御不能な状態に
陥る場合もある。また、仮に制御できたとしても、無用
加熱の効果は容易に計算できず、高品質ビームをコンス
タントに生成するという要請を満たすことはできない。
【0012】RF電子銃において無用加熱を避けるため
に、偏向磁場を加える技術が周知である。これは空洞筺
体10の外周に図示しない磁場生成装置をおき、バック
ボンバードメント電子の進路をローレンツ力によって偏
向し、カソード2への衝突を回避するというものであ
る。図5は偏向磁場によってバックボンバードメント電
子が偏向される様子を示す。電子の電荷をe、速度を
v、磁場をBとすると、ローレンツ力Fは、 F=ev×B となるため、同図に示す通り、速度の大きな電子ほど大
きく偏向される。従って速度の大きい電子、すなわちエ
ネルギーの大きい電子ほどカソードに衝突しなくなり、
カソードに与えられる無用のエネルギー(これを「無用
エネルギー」という)を大幅に低減することができる。
ここで、ローレンツ力を利用するのは、エネルギーの大
きな電子の偏向に主眼をおくためである。ただしこの偏
向磁場は、順方向へ飛ぶ電子に対しても偏向作用を及ぼ
すため、できるだけ弱い値に設定することが望ましい。
に、偏向磁場を加える技術が周知である。これは空洞筺
体10の外周に図示しない磁場生成装置をおき、バック
ボンバードメント電子の進路をローレンツ力によって偏
向し、カソード2への衝突を回避するというものであ
る。図5は偏向磁場によってバックボンバードメント電
子が偏向される様子を示す。電子の電荷をe、速度を
v、磁場をBとすると、ローレンツ力Fは、 F=ev×B となるため、同図に示す通り、速度の大きな電子ほど大
きく偏向される。従って速度の大きい電子、すなわちエ
ネルギーの大きい電子ほどカソードに衝突しなくなり、
カソードに与えられる無用のエネルギー(これを「無用
エネルギー」という)を大幅に低減することができる。
ここで、ローレンツ力を利用するのは、エネルギーの大
きな電子の偏向に主眼をおくためである。ただしこの偏
向磁場は、順方向へ飛ぶ電子に対しても偏向作用を及ぼ
すため、できるだけ弱い値に設定することが望ましい。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】後述するように、偏向
磁場によって計算上確かに無用エネルギーが大幅に低減
されている。しかし、この理論的な裏付けにも拘らず、
実際にRF電子銃を運転したとき、カソードの温度上昇
は相変わらず大きいことが観察されている。現在、この
現象を解明する取り組みはほとんどなされておらず、温
度上昇の抑制のために、デューティ・ファクターを極め
て低い値に設定することが甘受されている。デューティ
・ファクターとは、1秒当たりRF波が印加される実時
間で、この値は目下、高々2.5×10-5(25マイク
ロ秒)程度に過ぎない。この値を大きくすることができ
れば、当然電子ビームの大電流化が可能となり、RF電
子銃の用途と性能が飛躍的に改善される。
磁場によって計算上確かに無用エネルギーが大幅に低減
されている。しかし、この理論的な裏付けにも拘らず、
実際にRF電子銃を運転したとき、カソードの温度上昇
は相変わらず大きいことが観察されている。現在、この
現象を解明する取り組みはほとんどなされておらず、温
度上昇の抑制のために、デューティ・ファクターを極め
て低い値に設定することが甘受されている。デューティ
・ファクターとは、1秒当たりRF波が印加される実時
間で、この値は目下、高々2.5×10-5(25マイク
ロ秒)程度に過ぎない。この値を大きくすることができ
れば、当然電子ビームの大電流化が可能となり、RF電
子銃の用途と性能が飛躍的に改善される。
【0014】[本発明の目的]本発明は、温度上昇の抑
制が可能なカソードとその製造方法、およびこのカソー
ドを組み込んだRF電子銃を開示する。この際、カソー
ド温度上昇の現象解析によって得られた結果をもとに、
カソードのとるべき形状を理論面から明らかにする。
制が可能なカソードとその製造方法、およびこのカソー
ドを組み込んだRF電子銃を開示する。この際、カソー
ド温度上昇の現象解析によって得られた結果をもとに、
カソードのとるべき形状を理論面から明らかにする。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明のカソードは、R
F電子銃において電子放出源として使用されるものであ
り、カソード面が細線状の電子放出領域を有する。カソ
ード面とは、アノードに対向するカソードの面をいう。
細線とは幅の小さな線で、必ずしも直線である必要はな
い。細線の幅は偏向磁場の強さによるが、図2、3の構
造において磁場を150Gと仮定すれば、幅は1mm程
度までとすることが望ましい。電子放出領域とは、RF
波を印加したとき、実際に電子が放出される領域をい
う。仮に前記細線が直線の場合、この直線と偏向磁場に
よる電子の偏位方向を垂直にとれば、電子放出領域に衝
突する低エネルギーのバックボンバードメント電子によ
る影響が最小になる。
F電子銃において電子放出源として使用されるものであ
り、カソード面が細線状の電子放出領域を有する。カソ
ード面とは、アノードに対向するカソードの面をいう。
細線とは幅の小さな線で、必ずしも直線である必要はな
い。細線の幅は偏向磁場の強さによるが、図2、3の構
造において磁場を150Gと仮定すれば、幅は1mm程
度までとすることが望ましい。電子放出領域とは、RF
波を印加したとき、実際に電子が放出される領域をい
う。仮に前記細線が直線の場合、この直線と偏向磁場に
よる電子の偏位方向を垂直にとれば、電子放出領域に衝
突する低エネルギーのバックボンバードメント電子によ
る影響が最小になる。
【0016】本発明の別の態様では、カソード面は交互
に配置された細線状の電子放出領域と電子非放出領域と
を有する。最も単純な構造では、電子放出領域と電子非
放出領域をともに直線状とし、これらを交互に平行に配
置すればよい。電子非放出領域の幅も偏向磁場による
が、電子放出領域の幅よりも大きくとることが望まし
い。
に配置された細線状の電子放出領域と電子非放出領域と
を有する。最も単純な構造では、電子放出領域と電子非
放出領域をともに直線状とし、これらを交互に平行に配
置すればよい。電子非放出領域の幅も偏向磁場による
が、電子放出領域の幅よりも大きくとることが望まし
い。
【0017】この構成によれば、電子放出領域に衝突す
る低エネルギーのバックボンバードメント電子が減る。
電子非放出領域の幅をある程度持たせれば、ある電子放
出領域から放出された電子が隣の電子放出領域に衝突す
ることもない。
る低エネルギーのバックボンバードメント電子が減る。
電子非放出領域の幅をある程度持たせれば、ある電子放
出領域から放出された電子が隣の電子放出領域に衝突す
ることもない。
【0018】本発明の別の態様では、カソード面は、互
いに所定の距離をおいて設けられた複数の点状の電子放
出領域と、それらの電子放出領域を除き、カソード面全
体を形成する電子非放出領域とを有する。上述の磁場条
件の場合、電子放出領域の直径は1mm程度以下とする
ことが望ましく、前記「所定の距離」はこの直径以上と
することが望ましい。この場合も、電子放出領域に対す
る低エネルギーのバックボンバードメント電子の衝突が
減る。
いに所定の距離をおいて設けられた複数の点状の電子放
出領域と、それらの電子放出領域を除き、カソード面全
体を形成する電子非放出領域とを有する。上述の磁場条
件の場合、電子放出領域の直径は1mm程度以下とする
ことが望ましく、前記「所定の距離」はこの直径以上と
することが望ましい。この場合も、電子放出領域に対す
る低エネルギーのバックボンバードメント電子の衝突が
減る。
【0019】本発明の別の態様では、カソードが薄板状
の電子放出物質と電子非放出物質の交互積層構造を含
み、この積層の縦断面がカソード面とされる。この場
合、縦断面には電子放出物質と電子非放出物質が交互に
細線状に現れるため、上記各態様と同様の作用が生じ
る。
の電子放出物質と電子非放出物質の交互積層構造を含
み、この積層の縦断面がカソード面とされる。この場
合、縦断面には電子放出物質と電子非放出物質が交互に
細線状に現れるため、上記各態様と同様の作用が生じ
る。
【0020】本発明の別の態様では、電子放出物質をく
し形状に構成してカソードとする。くし形状とは、細棒
状または薄板状の電子放出物質がある間隔をおいて多数
平行に存在する状態をいい、例えば、前記した薄板状の
電子放出物質と電子非放出物質の交互積層構造のうち、
電子非放出物質の層をなくし、電子放出物質の層をカソ
ード面と逆の端で接続支持することで得られる。この態
様では、アノード側からカソード面を見たとき、電子放
出物質は点列または複数の細線をなす。
し形状に構成してカソードとする。くし形状とは、細棒
状または薄板状の電子放出物質がある間隔をおいて多数
平行に存在する状態をいい、例えば、前記した薄板状の
電子放出物質と電子非放出物質の交互積層構造のうち、
電子非放出物質の層をなくし、電子放出物質の層をカソ
ード面と逆の端で接続支持することで得られる。この態
様では、アノード側からカソード面を見たとき、電子放
出物質は点列または複数の細線をなす。
【0021】一方、本発明のRF電子銃は、RF波を導
入し、このRF波の電場によって電子の加速領域を形成
する空洞筺体と、前記空洞筺体内に配設され、電子放出
源となるカソードと、前記空洞筺体内に配設され、前記
カソードから放出された電子を引き寄せてこれを空洞筺
体外へ射出するためのアノードと、前記RF波の電場に
よってカソードへ戻る方向に加速された逆行電子を偏向
するための磁場を生成する磁場生成部とを有する。前記
カソードは電子放出領域と電子非放出領域とを持ち、こ
の電子非放出領域は、前記逆行電子のうち低エネルギー
の電子の大部分が到達するカソード領域の全域に形成さ
れる。
入し、このRF波の電場によって電子の加速領域を形成
する空洞筺体と、前記空洞筺体内に配設され、電子放出
源となるカソードと、前記空洞筺体内に配設され、前記
カソードから放出された電子を引き寄せてこれを空洞筺
体外へ射出するためのアノードと、前記RF波の電場に
よってカソードへ戻る方向に加速された逆行電子を偏向
するための磁場を生成する磁場生成部とを有する。前記
カソードは電子放出領域と電子非放出領域とを持ち、こ
の電子非放出領域は、前記逆行電子のうち低エネルギー
の電子の大部分が到達するカソード領域の全域に形成さ
れる。
【0022】この構成によれば、カソードから放出され
た電子がRF波の電場によって空洞筺体内で加速され、
アノードから射出される。バックボンバードメント電子
は偏向磁場によって偏向される。バックボンバードメン
ト電子のうち、特に低エネルギーの電子の大部分はカソ
ードの電子非放出領域に衝突する。ここで「大部分」と
は、例えば1個当たり衝突の際のエネルギーが160k
eV以下の電子の50%以上などと考えればよい。
た電子がRF波の電場によって空洞筺体内で加速され、
アノードから射出される。バックボンバードメント電子
は偏向磁場によって偏向される。バックボンバードメン
ト電子のうち、特に低エネルギーの電子の大部分はカソ
ードの電子非放出領域に衝突する。ここで「大部分」と
は、例えば1個当たり衝突の際のエネルギーが160k
eV以下の電子の50%以上などと考えればよい。
【0023】ここで前記カソード領域(電子放出領域お
よび電子非放出領域)は、前記バックボンバードメント
電子のエネルギーと前記磁場の強さから導出される、カ
ソード位置(z=0)における電子の偏位に基づいて決
定してもよい。バックボンバードメント電子のエネルギ
ーはその電子の速度で記述でき、この速度と磁場の強さ
からローレンツ力によるz=0における偏向の量(以下
単に「偏位」という)が判明する。そこで、この偏位か
ら電子放出領域と電子非放出領域の形状が決まる。
よび電子非放出領域)は、前記バックボンバードメント
電子のエネルギーと前記磁場の強さから導出される、カ
ソード位置(z=0)における電子の偏位に基づいて決
定してもよい。バックボンバードメント電子のエネルギ
ーはその電子の速度で記述でき、この速度と磁場の強さ
からローレンツ力によるz=0における偏向の量(以下
単に「偏位」という)が判明する。そこで、この偏位か
ら電子放出領域と電子非放出領域の形状が決まる。
【0024】他方、本発明のカソード製造方法では、ま
ず低エネルギーのバックボンバードメント電子の大部分
が到達するカソード領域を決定する。つづいて、この領
域の全域に電子非放出領域を形成する。この製造方法に
係るカソードがRF電子銃で使用されたとき、低エネル
ギーのバックボンバードメント電子の大部分が電子非放
出領域に衝突する。
ず低エネルギーのバックボンバードメント電子の大部分
が到達するカソード領域を決定する。つづいて、この領
域の全域に電子非放出領域を形成する。この製造方法に
係るカソードがRF電子銃で使用されたとき、低エネル
ギーのバックボンバードメント電子の大部分が電子非放
出領域に衝突する。
【0025】このときさらに、バックボンバードメント
電子のエネルギーと磁場の強さから電子の偏位を導出
し、この偏位に基づき、異なるエネルギーを持つ複数の
バックボンバードメント電子がカソードに到達(すなわ
ち衝突)する複数の個所を特定し、これら複数の個所の
分布に基づいて前記カソード領域を決定してもよい。エ
ネルギーが異なれば偏位が異なるため、衝突個所も異な
る。偏位は計算できるため、衝突個所も計算できる。こ
の計算から衝突個所の分布を求め、例えば1個当たり衝
突の際のエネルギーが160keV以下の電子の50%
以上が電子非放出領域に到達するようカソード領域の形
状等を決めればよい。
電子のエネルギーと磁場の強さから電子の偏位を導出
し、この偏位に基づき、異なるエネルギーを持つ複数の
バックボンバードメント電子がカソードに到達(すなわ
ち衝突)する複数の個所を特定し、これら複数の個所の
分布に基づいて前記カソード領域を決定してもよい。エ
ネルギーが異なれば偏位が異なるため、衝突個所も異な
る。偏位は計算できるため、衝突個所も計算できる。こ
の計算から衝突個所の分布を求め、例えば1個当たり衝
突の際のエネルギーが160keV以下の電子の50%
以上が電子非放出領域に到達するようカソード領域の形
状等を決めればよい。
【0026】
【発明の実施の形態】本発明の好適な実施形態を説明す
るために、バックボンバードメント電子によるカソード
の温度上昇に関し、今回行った解析の内容を説明する。
るために、バックボンバードメント電子によるカソード
の温度上昇に関し、今回行った解析の内容を説明する。
【0027】[解析の趣旨]従来、温度上昇の要因は高
エネルギーのバックボンバードメント電子による無用エ
ネルギーであると考えられた。しかし、この思想で偏向
磁場を設計しても、温度上昇の抑制効果が低かった。従
って本出願人はまず、無用エネルギーと無用加熱が必ず
しも対応しない点に着目し、温度上昇の別の要因をシミ
ュレーション実験によって探索することにした。
エネルギーのバックボンバードメント電子による無用エ
ネルギーであると考えられた。しかし、この思想で偏向
磁場を設計しても、温度上昇の抑制効果が低かった。従
って本出願人はまず、無用エネルギーと無用加熱が必ず
しも対応しない点に着目し、温度上昇の別の要因をシミ
ュレーション実験によって探索することにした。
【0028】[解析の条件] (1)カソードにはLa B6 を用いた。
【0029】(2)空洞筺体の構造とRF波による電場
はそれぞれ図2、3を仮定した。
はそれぞれ図2、3を仮定した。
【0030】(3)電場の平均強度は35MV/mとし
た。
た。
【0031】(4)RF波の周波数は2856MHzと
した。
した。
【0032】(5)カソードはz=0の位置に置き、電
子放出領域は2.5mmφとした。
子放出領域は2.5mmφとした。
【0033】(6)偏向磁場は150Gとした。
【0034】(7)RF波の1周期当たりの全電子数を
7×109 個(1.13nC)とした(平均電流は1.
13nC×2856MHz=3.2Aである)。
7×109 個(1.13nC)とした(平均電流は1.
13nC×2856MHz=3.2Aである)。
【0035】(8)デューティ・ファクターは2.5×
10-5(100mS毎に2.5μS投入)とした。
10-5(100mS毎に2.5μS投入)とした。
【0036】[解析の結果]解析の結果を示す。
【0037】
【表1】 初期位相φ 電子数n エネルギーE パワーP 変位d 飛程L 電離損失p deg. ×108 keV W mm cm W 100 5.0 690 3.9 6.4 1.0x10-1 813 110 4.8 490 2.6 4.2 6.6x10-2 821 120 4.7 310 1.7 2.6 3.3x10-2 1090 130 4.3 170 0.84 1.4 1.4x10-2 1250 140 4.0 85 0.39 0.6 4.6x10-3 1782 150 3.4 31 0.12 0.2 8.1x10-4 3075 160 2.7 6.7 0.02 0.04 5.4x10-5 7716 [表1] (1)初期位相φは電子が放出される瞬間のRF波の位
相角、電子数nはその位相角を中心に±5°に含まれる
電子の数を示す。この数はショットキー効果を含むリチ
ャードソン・ダッシュマン(Richardson-Dushman)の式
から算出した。第3項はバックボンバードメント電子が
z=0において持つエネルギーEを示す。
相角、電子数nはその位相角を中心に±5°に含まれる
電子の数を示す。この数はショットキー効果を含むリチ
ャードソン・ダッシュマン(Richardson-Dushman)の式
から算出した。第3項はバックボンバードメント電子が
z=0において持つエネルギーEを示す。
【0038】(2)第4項はそれぞれφ±5°に含まれ
る全電子によるパワーで、 W=n・E・f・D として求められる。ここでfはRF波の周波数、Dはデ
ューティ・ファクターである。全バックボンバードメン
ト電子のパワー合計は約9.6Wとなる。これは通常の
必要加熱の2倍にも及ぶ。ただし、カソードの電子放出
領域が2.5mmφであるため、第5項を参照すれば、
上表のφ<120°に含まれるバックボンバードメント
電子の大半は電子放出領域から外れることがわかる。従
って、この時点ですでに、前記9.6Wのうちの80%
程度が削減され、残りは20%の問題に見える。これは
従来の思想、つまり無用加熱が無用エネルギーの総量で
決まるとする見方である。
る全電子によるパワーで、 W=n・E・f・D として求められる。ここでfはRF波の周波数、Dはデ
ューティ・ファクターである。全バックボンバードメン
ト電子のパワー合計は約9.6Wとなる。これは通常の
必要加熱の2倍にも及ぶ。ただし、カソードの電子放出
領域が2.5mmφであるため、第5項を参照すれば、
上表のφ<120°に含まれるバックボンバードメント
電子の大半は電子放出領域から外れることがわかる。従
って、この時点ですでに、前記9.6Wのうちの80%
程度が削減され、残りは20%の問題に見える。これは
従来の思想、つまり無用加熱が無用エネルギーの総量で
決まるとする見方である。
【0039】(3)本出願人は新たに、第6、7項の算
出を行った。飛程Lとは、バックボンバードメント電子
がカソードに衝突して進入した後、静止するまでの平均
距離である。一方、電離損失pは、バックボンバードメ
ント電子が停止する際に1cm3 当たり落とすパワーで
あり、 p=P/(カソード表面積×L) で求められる。ここでは、カソードのLa B6 の密度を
4.61g/cm3 として電離損失pを求めた。第7項
から明かなように、電離損失pは低エネルギー電子のほ
うが大きい。なお、表中の電離損失の合計は16547
Wである。
出を行った。飛程Lとは、バックボンバードメント電子
がカソードに衝突して進入した後、静止するまでの平均
距離である。一方、電離損失pは、バックボンバードメ
ント電子が停止する際に1cm3 当たり落とすパワーで
あり、 p=P/(カソード表面積×L) で求められる。ここでは、カソードのLa B6 の密度を
4.61g/cm3 として電離損失pを求めた。第7項
から明かなように、電離損失pは低エネルギー電子のほ
うが大きい。なお、表中の電離損失の合計は16547
Wである。
【0040】(4)これらの解析を通して、無用加熱の
成分が次の2つに大別できることが判明した。
成分が次の2つに大別できることが判明した。
【0041】1.ロングレンジ成分 従来から考えられた通り、高エネルギーのバックボンバ
ードメント電子による成分である。カソードの電子放出
に影響する熱は、カソード表面またはごく浅い領域(〜
10-3cm)に与えられる熱に限られる。飛程の長い高
エネルギー電子による熱は、カソードの比較的深い領域
から熱伝導または熱輻射によってカソード表面に伝えら
れる成分のみである。従ってこの成分は、バックボンバ
ードメントからミリ秒〜秒のオーダーで発生する物理現
象となる。
ードメント電子による成分である。カソードの電子放出
に影響する熱は、カソード表面またはごく浅い領域(〜
10-3cm)に与えられる熱に限られる。飛程の長い高
エネルギー電子による熱は、カソードの比較的深い領域
から熱伝導または熱輻射によってカソード表面に伝えら
れる成分のみである。従ってこの成分は、バックボンバ
ードメントからミリ秒〜秒のオーダーで発生する物理現
象となる。
【0042】2.ショートレンジ成分 従来意識されなかった、低エネルギーのバックボンバー
ドメント電子による成分である。低エネルギー電子はカ
ソードの表面近くで静止し、この瞬間にエネルギーの大
部分を落とす。この電離損失は、電子が直接物質を通過
することによって生じ、高々マイクロ秒程度のオーダー
でカソードを加熱する。こうした短時間の加熱は外部か
ら制御することが極めて困難である。
ドメント電子による成分である。低エネルギー電子はカ
ソードの表面近くで静止し、この瞬間にエネルギーの大
部分を落とす。この電離損失は、電子が直接物質を通過
することによって生じ、高々マイクロ秒程度のオーダー
でカソードを加熱する。こうした短時間の加熱は外部か
ら制御することが極めて困難である。
【0043】(5)結論からいえば、カソードの温度上
昇に効くのは大きな電離損失を生むショートレンジ成分
である。ここでは100ミリ秒毎に2.5マイクロ秒R
F波を投入したが、ショートレンジ成分はこの2.5マ
イクロ秒の間にカソードの温度を瞬間的に上昇させる。
これがカソード電流の急激な上昇を生む。ところが、こ
うした低エネルギー電子は(低速であるため)ローレン
ツ力の作用を受けにくく、偏向磁場による解決は効果的
ではない。
昇に効くのは大きな電離損失を生むショートレンジ成分
である。ここでは100ミリ秒毎に2.5マイクロ秒R
F波を投入したが、ショートレンジ成分はこの2.5マ
イクロ秒の間にカソードの温度を瞬間的に上昇させる。
これがカソード電流の急激な上昇を生む。ところが、こ
うした低エネルギー電子は(低速であるため)ローレン
ツ力の作用を受けにくく、偏向磁場による解決は効果的
ではない。
【0044】実施の形態1.以上の解析結果をもとに、
本発明に係るカソードを説明する。本実施の形態のカソ
ードは、主に低エネルギーのバックボンバードメント電
子がカソードの電子放出領域に衝突しないよう、形状に
配慮がなされている。
本発明に係るカソードを説明する。本実施の形態のカソ
ードは、主に低エネルギーのバックボンバードメント電
子がカソードの電子放出領域に衝突しないよう、形状に
配慮がなされている。
【0045】図6は本発明に係るカソードの電子放出領
域50の最も単純な形状を示す図である。同図におい
て、細線状の電子放出領域50以外には電子非放出領域
を設けてもよいし、電子放出領域50以外が全く存在し
ない構造としてもよい。後者の場合、アノード側から見
たとき、カソード自体が細線状の構造をしていることに
なる。
域50の最も単純な形状を示す図である。同図におい
て、細線状の電子放出領域50以外には電子非放出領域
を設けてもよいし、電子放出領域50以外が全く存在し
ない構造としてもよい。後者の場合、アノード側から見
たとき、カソード自体が細線状の構造をしていることに
なる。
【0046】同図の電子放出領域50の幅は、例えば
0.1mmとする。カソードをRF電子銃に取り付ける
際、電子放出領域50の長手方向と電子の偏位方向が垂
直をなすよう設置する。こうした配慮をなせば、バック
ボンバードメント電子の大半が電子放出領域50からそ
れる。これは表1の偏位dから明らかである。
0.1mmとする。カソードをRF電子銃に取り付ける
際、電子放出領域50の長手方向と電子の偏位方向が垂
直をなすよう設置する。こうした配慮をなせば、バック
ボンバードメント電子の大半が電子放出領域50からそ
れる。これは表1の偏位dから明らかである。
【0047】ここで仮に、初期位相φ<150°の10
0%と、φ=160°の40%が電子放出領域50から
それるとすれば、電離損失の合計は16547Wから4
630Wへと減少する。これによる温度上昇抑制効果は
非常に大きく、デューティ・ファクターを数倍に拡大す
ることが可能となる。ただし、ここまで大幅な拡大が必
要ではない場合は、電子放出領域50の幅を〜1mm程
度とすることができる。
0%と、φ=160°の40%が電子放出領域50から
それるとすれば、電離損失の合計は16547Wから4
630Wへと減少する。これによる温度上昇抑制効果は
非常に大きく、デューティ・ファクターを数倍に拡大す
ることが可能となる。ただし、ここまで大幅な拡大が必
要ではない場合は、電子放出領域50の幅を〜1mm程
度とすることができる。
【0048】実施の形態2.実施の形態1では1本の細
線状の電子放出領域を考えたが、ここでは他の数種の態
様を説明する。
線状の電子放出領域を考えたが、ここでは他の数種の態
様を説明する。
【0049】[態様1]図7は態様1に係るカソードの
形状を示す。この図では外形が長方形であるが、これは
円など他の形でもよい。この態様の特徴は、カソード面
が交互に配置された細い直線状の電子放出領域50と電
子非放出領域52とを有する点である。実施の形態1同
様、電子放出領域50の幅は例えば0.1mmとすれば
よい。このとき、電子非放出領域52の幅はある程度大
きめ(0.5mm程度〜)とすることが望ましい。その
理由は、ある電子放出領域50から放出された電子が、
偏位の結果、隣の電子放出領域50へ衝突する事態を低
減するためである。
形状を示す。この図では外形が長方形であるが、これは
円など他の形でもよい。この態様の特徴は、カソード面
が交互に配置された細い直線状の電子放出領域50と電
子非放出領域52とを有する点である。実施の形態1同
様、電子放出領域50の幅は例えば0.1mmとすれば
よい。このとき、電子非放出領域52の幅はある程度大
きめ(0.5mm程度〜)とすることが望ましい。その
理由は、ある電子放出領域50から放出された電子が、
偏位の結果、隣の電子放出領域50へ衝突する事態を低
減するためである。
【0050】ここで、0.1mm幅の電子放出領域50
と0.5mmの電子非放出領域52を交互に10本並べ
た場合の電離損失を示す。その他の条件は表1の場合と
同様である。
と0.5mmの電子非放出領域52を交互に10本並べ
た場合の電離損失を示す。その他の条件は表1の場合と
同様である。
【0051】
【表2】 初期位相φ 当初の電離損失p 削減率 削減量Δp deg. W % W 100 813 100 813 110 821 70 575 120 1090 100 1090 130 1250 100 1250 140 1782 10 178 150 3075 100 3075 160 7716 40 3086 [表2] この表から、削減される電離損失(Δp)の総量は10
067Wとなり、当初の電離損失の約60%が取り除か
れることがわかる。ここでは計算の単純化のため、各電
子放出領域50の中央から、初期位相φごとにすべての
電子が表1の変位dだけ偏向されて戻ってくると考えて
いる。本来、電子の初期位相は表2に挙げるような離散
値をとらないため、この計算はあくまでも近似的なもの
であるが、実際にもこの程度の効果を期待することがで
きる。
067Wとなり、当初の電離損失の約60%が取り除か
れることがわかる。ここでは計算の単純化のため、各電
子放出領域50の中央から、初期位相φごとにすべての
電子が表1の変位dだけ偏向されて戻ってくると考えて
いる。本来、電子の初期位相は表2に挙げるような離散
値をとらないため、この計算はあくまでも近似的なもの
であるが、実際にもこの程度の効果を期待することがで
きる。
【0052】なお、本態様は以下の方法でも実現でき
る。
る。
【0053】(1)薄板状の電子放出物質と電子非放出
物質の交互積層構造の積層縦断面をカソード面とする。
物質の交互積層構造の積層縦断面をカソード面とする。
【0054】(2)電子放出物質をくし形状に構成す
る。すなわち(1)の電子非放出物質の層を単に空気層
とし、各電子放出物質をアノードに対向する端とは反対
の端でくしの柄のように支持するか、針のような細棒状
の電子放出物質を平行に多数並べ、これらを片端で支持
する。
る。すなわち(1)の電子非放出物質の層を単に空気層
とし、各電子放出物質をアノードに対向する端とは反対
の端でくしの柄のように支持するか、針のような細棒状
の電子放出物質を平行に多数並べ、これらを片端で支持
する。
【0055】(3)カソードの外形を円とし、電子放出
領域50と電子非放出領域52を同心円状に配置する。
この場合、電子の偏位方向と電子放出領域50の敷設方
向が一致する個所ができるため、その部分の無用加熱が
完全には落ちない。この意味では図7のほうが有利であ
るが、同心円構造は軸対象の空洞筺体内に配設する点で
好都合である。
領域50と電子非放出領域52を同心円状に配置する。
この場合、電子の偏位方向と電子放出領域50の敷設方
向が一致する個所ができるため、その部分の無用加熱が
完全には落ちない。この意味では図7のほうが有利であ
るが、同心円構造は軸対象の空洞筺体内に配設する点で
好都合である。
【0056】なお、本実施の形態で注意すべき点は、高
エネルギーのバックボンバードメント電子である。すな
わち、高エネルギーのバックボンバードメント電子はそ
の偏位が大きいため、ある電子放出領域50から放出さ
れた電子が、隣接する(またはさらに遠くの)電子放出
領域50に衝突しうる(表2の計算に当たっても、そう
した衝突が加味されている)。しかしながら、こうした
ロングレンジの成分は瞬時にカソードの温度上昇を招く
ものではないため、デューティ・ファクターの改善にさ
して悪影響を及ぼさない。ロングレンジ成分による温度
上昇は緩慢であるため、必要に応じて熱伝導等の物理現
象を生かす別の方途によって対処すればよい。
エネルギーのバックボンバードメント電子である。すな
わち、高エネルギーのバックボンバードメント電子はそ
の偏位が大きいため、ある電子放出領域50から放出さ
れた電子が、隣接する(またはさらに遠くの)電子放出
領域50に衝突しうる(表2の計算に当たっても、そう
した衝突が加味されている)。しかしながら、こうした
ロングレンジの成分は瞬時にカソードの温度上昇を招く
ものではないため、デューティ・ファクターの改善にさ
して悪影響を及ぼさない。ロングレンジ成分による温度
上昇は緩慢であるため、必要に応じて熱伝導等の物理現
象を生かす別の方途によって対処すればよい。
【0057】[態様2]図8は態様2に係るカソードの
形状を示す。この外形も円など任意の形を採用すること
ができる。この態様の特徴は、カソード面が、互いに距
離をおいて設けられた複数の点状の電子放出領域50を
持つ点にある。これ以外の領域は電子非放出領域52と
して形成する。この場合も、実施の形態1と同様の根拠
から、電子放出領域50の直径を1mm程度以下とする
ことが望ましい。電子放出領域50どうしの距離は大き
め(前記直径程度〜)にとるべきである。
形状を示す。この外形も円など任意の形を採用すること
ができる。この態様の特徴は、カソード面が、互いに距
離をおいて設けられた複数の点状の電子放出領域50を
持つ点にある。これ以外の領域は電子非放出領域52と
して形成する。この場合も、実施の形態1と同様の根拠
から、電子放出領域50の直径を1mm程度以下とする
ことが望ましい。電子放出領域50どうしの距離は大き
め(前記直径程度〜)にとるべきである。
【0058】実施の形態3.つづいて本発明に係るRF
電子銃の実施の形態を説明する。本実施の形態のRF電
子銃の概略構成は図1に示した通りである。ただし本実
施の形態では、図1の構成に加えて偏向磁場発生器が空
洞筺体10の周囲に追加されるものとする。また、カソ
ード2は実施の形態1、2で説明した本発明に係るカソ
ードであるとする。
電子銃の実施の形態を説明する。本実施の形態のRF電
子銃の概略構成は図1に示した通りである。ただし本実
施の形態では、図1の構成に加えて偏向磁場発生器が空
洞筺体10の周囲に追加されるものとする。また、カソ
ード2は実施の形態1、2で説明した本発明に係るカソ
ードであるとする。
【0059】本実施の形態でも特徴はカソード2にあ
る。すなわち、カソード2は電子放出領域と電子非放出
領域とを持ち、この電子非放出領域は、バックボンバー
ドメント電子のうち低エネルギーの電子の大部分が到達
する領域全域に形成されている。ここで、電子非放出領
域の条件として例えば、「バックボンバードメント電子
1個当たりの衝突エネルギーが160keV以下のもの
の50%以上が到達する領域」とし、表1などから電子
放出領域の幅を決め、これ以外の領域を電子非放出領域
とすればよい。表1に記載されていない初期位相につい
て考える場合には、原則通り、バックボンバードメント
電子のエネルギー(速度)と磁場の強さからローレンツ
力による偏位を算出すればよい。偏位をバックボンバー
ドメント電子のエネルギーの関数として表せば、電子が
到達する個所の分布が求まる。この分布をもとに、所期
の電子放出領域の幅、電子非放出領域がカバーすべき領
域が明らかとなる。
る。すなわち、カソード2は電子放出領域と電子非放出
領域とを持ち、この電子非放出領域は、バックボンバー
ドメント電子のうち低エネルギーの電子の大部分が到達
する領域全域に形成されている。ここで、電子非放出領
域の条件として例えば、「バックボンバードメント電子
1個当たりの衝突エネルギーが160keV以下のもの
の50%以上が到達する領域」とし、表1などから電子
放出領域の幅を決め、これ以外の領域を電子非放出領域
とすればよい。表1に記載されていない初期位相につい
て考える場合には、原則通り、バックボンバードメント
電子のエネルギー(速度)と磁場の強さからローレンツ
力による偏位を算出すればよい。偏位をバックボンバー
ドメント電子のエネルギーの関数として表せば、電子が
到達する個所の分布が求まる。この分布をもとに、所期
の電子放出領域の幅、電子非放出領域がカバーすべき領
域が明らかとなる。
【0060】以上本実施の形態によれば、本発明に係る
カソードの製造方法についても明らかである。
カソードの製造方法についても明らかである。
【0061】
【発明の効果】本発明は、従来認識されていなかったシ
ョートレンジ成分に対する適切な処置を開示するもので
ある。本発明のカソードによれば、低エネルギーのバッ
クボンバードメント電子が電子放出領域に衝突しにくい
形状であるため、ショートレンジの加熱成分を大幅に低
減できる。この結果、デューティ・ファクターを大きく
とることができ、例えばレーザの発振時間が延長できる
等、RF電子銃の性能改善、用途拡大が実現する。特
に、電子放出領域が複数存在する場合は、電子放出領域
の全面積が大きくなり、これによっても放出電流を増や
すことが可能となる。
ョートレンジ成分に対する適切な処置を開示するもので
ある。本発明のカソードによれば、低エネルギーのバッ
クボンバードメント電子が電子放出領域に衝突しにくい
形状であるため、ショートレンジの加熱成分を大幅に低
減できる。この結果、デューティ・ファクターを大きく
とることができ、例えばレーザの発振時間が延長できる
等、RF電子銃の性能改善、用途拡大が実現する。特
に、電子放出領域が複数存在する場合は、電子放出領域
の全面積が大きくなり、これによっても放出電流を増や
すことが可能となる。
【0062】一方、本発明のRF電子銃によれば、偏向
磁場の強さとカソードの形状の組合せにより、カソード
面の温度上昇を抑制することができる。これもRF電子
銃の性能改善等に寄与する。
磁場の強さとカソードの形状の組合せにより、カソード
面の温度上昇を抑制することができる。これもRF電子
銃の性能改善等に寄与する。
【0063】他方、本発明のカソードの製造方法によれ
ば、バックボンバードメント電子のエネルギーと磁場の
強さから決まる最適形状のカソードを製造することがで
きる。
ば、バックボンバードメント電子のエネルギーと磁場の
強さから決まる最適形状のカソードを製造することがで
きる。
【図1】 従来一般的なRF電子銃の構造を示す図であ
る。
る。
【図2】 図1の構造のうち、カソードとアノード付近
を拡大した図である。
を拡大した図である。
【図3】 図2のz軸上の電場の相対強度(z=0の強
度を1)を示す図である。
度を1)を示す図である。
【図4】 電子が放出される瞬間のRF波の位相角と、
いろいろな位相角において放出された電子の軌道の関係
を示す図である。
いろいろな位相角において放出された電子の軌道の関係
を示す図である。
【図5】 偏向磁場によってバックボンバードメント電
子が偏向される様子を示す図である。
子が偏向される様子を示す図である。
【図6】 本発明に係るカソードの電子放出領域の最も
単純な形状を示す図である。
単純な形状を示す図である。
【図7】 実施の形態2の態様1に係るカソードの形状
を示す図である。
を示す図である。
【図8】 実施の形態2の態様2に係るカソードの形状
を示す図である。
を示す図である。
2 カソード、6 アノード、10 空洞筺体、50
電子放出領域、52電子非放出領域。
電子放出領域、52電子非放出領域。
フロントページの続き (72)発明者 遠山 伸一 茨城県東茨城郡大洗町成田町4002 動力 炉・核燃料開発事業団大洗工学センター内
Claims (9)
- 【請求項1】 RF電子銃において電子放出源として使
用されるカソードであって、そのカソード面が細線状の
電子放出領域を有することを特徴とするカソード。 - 【請求項2】 RF電子銃において電子放出源として使
用されるカソードであって、そのカソード面は、 交互に配置された細線状の電子放出領域と電子非放出領
域とを有することを特徴とするカソード。 - 【請求項3】 RF電子銃において電子放出源として使
用されるカソードであって、そのカソード面は、 互いに所定の距離をおいて設けられた複数の点状の電子
放出領域と、 それらの電子放出領域を除き、カソード面全体を形成す
る電子非放出領域と、 を有することを特徴とするカソード。 - 【請求項4】 RF電子銃において電子放出源として使
用されるカソードであって、 薄板状の電子放出物質と電子非放出物質の交互積層構造
を含み、この積層の縦断面をカソード面とすることを特
徴とするカソード。 - 【請求項5】 RF電子銃において電子放出源として使
用されるカソードであって、電子放出物質をくし形状に
構成したことを特徴とするカソード。 - 【請求項6】 RF波を導入し、このRF波の電場によ
って電子の加速領域を形成する空洞筺体と、 前記空洞筺体内に配設され、電子放出源となるカソード
と、 前記空洞筺体内に配設され、前記カソードから放出され
た電子を引き寄せてこれを空洞筺体外へ射出するための
アノードと、 前記RF波の電場によってカソードへ戻る方向に加速さ
れた逆行電子を偏向するための磁場を生成する磁場生成
部と、 を有し、 前記カソードは電子放出領域と電子非放出領域とを持
ち、この電子非放出領域は、前記逆行電子のうち低エネ
ルギーの電子の大部分が到達するカソード領域の全域に
形成されることを特徴とするRF電子銃。 - 【請求項7】 請求項6に記載のRF電子銃において、 前記カソード領域は、前記逆行電子のエネルギーと前記
磁場の強さから導出される、カソード位置における電子
の偏位に基づいて決定されることを特徴とするRF電子
銃。 - 【請求項8】 RF波を導入し、このRF波の電場によ
って電子の加速領域を形成する空洞筺体と、 前記空洞筺体内に配設され、電子放出領域と電子非放出
領域を持つカソードと、 前記RF波の電場によってカソードに戻る方向に加速さ
れた逆行電子を偏向するための磁場を生成する磁場生成
部と、 を有するRF電子銃に使用される前記カソードを製造す
る方法において、 前記逆行電子のうち低エネルギーの電子の大部分が到達
するカソード領域を決定し、 このカソード領域の全域に前記電子非放出領域を形成す
ることを特徴とするカソードの製造方法。 - 【請求項9】 請求項8に記載のカソードの製造方法に
おいて、 前記逆行電子のエネルギーと前記磁場の強さからカソー
ド位置における電子の偏位を導出し、 この偏位に基づき、異なるエネルギーを持つ複数の逆行
電子がカソードに到達する複数の到達個所を特定し、 これら複数の到達個所の分布に基づいて前記カソード領
域を決定することを特徴とするカソードの製造方法。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP7231207A JPH0982254A (ja) | 1995-09-08 | 1995-09-08 | Rf電子銃、rf電子銃用のカソードおよびそのカソードの製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP7231207A JPH0982254A (ja) | 1995-09-08 | 1995-09-08 | Rf電子銃、rf電子銃用のカソードおよびそのカソードの製造方法 |
Publications (1)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPH0982254A true JPH0982254A (ja) | 1997-03-28 |
Family
ID=16920025
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP7231207A Pending JPH0982254A (ja) | 1995-09-08 | 1995-09-08 | Rf電子銃、rf電子銃用のカソードおよびそのカソードの製造方法 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JPH0982254A (ja) |
Cited By (2)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JP2009205884A (ja) * | 2008-02-27 | 2009-09-10 | Accuthera Inc | 小径の電子ビームを発生する加速器 |
| CN113192810A (zh) * | 2021-05-21 | 2021-07-30 | 中国科学技术大学 | 一种太赫兹电子枪 |
-
1995
- 1995-09-08 JP JP7231207A patent/JPH0982254A/ja active Pending
Cited By (2)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JP2009205884A (ja) * | 2008-02-27 | 2009-09-10 | Accuthera Inc | 小径の電子ビームを発生する加速器 |
| CN113192810A (zh) * | 2021-05-21 | 2021-07-30 | 中国科学技术大学 | 一种太赫兹电子枪 |
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