JPH0984199A - 線型予測係数を用いた立体音響処理装置 - Google Patents

線型予測係数を用いた立体音響処理装置

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JPH0984199A
JPH0984199A JP7231705A JP23170595A JPH0984199A JP H0984199 A JPH0984199 A JP H0984199A JP 7231705 A JP7231705 A JP 7231705A JP 23170595 A JP23170595 A JP 23170595A JP H0984199 A JPH0984199 A JP H0984199A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 音響処理技術に関し、特にヘッドホン等を通
した再生音場において聴取者に立体的な音響効果を提供
することを目的とする。 【解決手段】 原信号に付加する所望の音響特性を、そ
の音響特性を表すインパスルレスポンスの線形予測解析
によって得られる線形予測係数をフィルタ係数とする線
形合成フィルタによって形成し、前記線形合成フィルタ
を通して前記原信号に所望の音響特性を付加する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は音響処理技術に関
し、特にヘッドホン等を通した再生音場において聴取者
に立体的な音響効果を提供する立体音響処理装置に関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】一般に、音像を正確に再現し若しくは定
位させるには、音源から聴取者までの原音場の音響特性
と、スピーカ又はヘッドホン等の音響出力機器から聴取
者までの再生音場の音響特性とを得ることが必要とな
る。実際の再生音場は、音源に前者の音響特性を付加
し、且つその音源から後者の音響特性を除去することに
よって、スピーカ又はヘッドホンを用いた場合でも原音
場の音像を聴取者に正確に再現することができ、また原
音像の位置も正確に定位させることができる。
【0003】図1は、従来の2チャンネルステレオ装置
から音像を聴取する場合を示している。図2は、ヘッド
ホンにより図1と等価な音響空間を実現するための基本
的な回路ブロック構成を示している。図1では、左右の
スピーカ(L,R)1,2から聴取者3の左右の耳
(l,r)までの各音響空間経路の伝達特性を、Ll,
Lr,Rr,及びRlと表している。図2では、さらに
図1に示す各音響空間経路の伝達特性11〜14に加え
て左右のヘッドホン(HL,HR)5,6から左右の耳
に至る各伝達特性の逆特性(Hl-1,Hr-1)15,1
6を付加している。
【0004】図2に示すように原信号(L信号、R信
号)に上記伝達特性11〜16を付加することによって
ヘッドホン5,6からの出力は、スピーカ1,2からの
信号を正確に再現することができ、聴取者にはあたかも
スピーカ1,2からの信号を聞いているかのような錯覚
を起こさせ得る。
【0005】図3は、上述した各伝達特性を実現するた
めの従来のFIRフィルタ(非巡回型フィルタ)の一回
路構成例を示したものである。一般に、図2に示す各音
響空間経路の伝達特性11〜14及びヘッドホンから耳
までの伝達特性の逆特性15,16を模擬するフィルタ
には、下式(1)に示す各音響空間経路のインパルスレ
スポンスを係数とするFIRフィルタ(非巡回型フィル
タ)が用いられる。
【数1】
【0006】音響空間経路の伝達特性11〜14を表す
フィルタ係数(a0,a1,a2,・・・,an)に
は、各経路毎の音響測定又は音響シュミレーション等に
よって得られたインパルスレスポンスによるフィルタ係
数が用いられる。原信号に所望の音響特性を付加するた
めには、これらのフィルタを通じて各経路毎の音響特性
を示すインパルスレスポンスが畳み込まれる。
【0007】図2に示すヘッドホンの逆特性(Hl-1
Hr-1)15,16のフィルタ係数(a0,a1,a
2,...,an)については、周波数領域で求められ
る。まず、ヘッドホンの周波数特性を測定してその逆特
性を求め、次にその結果を時間領域に戻して得られるイ
ンパルスレスポンスがフィルタの係数として用いられ
る。
【0008】次に、図4は、コンピュータグラフィクス
(CG)の画像に合わせて音像を動かす場合の一般的な
システム構成例を示したものである。図4において、ユ
ーザ/ソフトウェアによる操作によってCG表示装置2
4の制御器26は画像表示を行うCGアクセラレータ2
5を駆動し、そして立体音響装置27の制御器29に対
して画像に同期した音像の位置情報を与える。
【0009】音響特性付加器28は、前記位置情報に基
づく制御器29からの制御によってディスプレイ21の
表示画面内の画像表示位置に、又は表示画面外部の仮想
位置に音像が定位されるよう各チャネルのスピーカ22
及び23(又はヘッドホン)のオーディオ出力信号レベ
ルを制御する。
【0010】図5は、図4の音響特性付加器28の基本
構成を示している。音響特性付加器28は、図3のFI
Rフィルタを用いて音源Sから左右の耳に対する各音響
空間経路Sl,Srの伝達特性を与える音響特性付加フ
ィルタ35,37、及びヘッドホンL,Rチャネルの音
響特性除去フィルタ36,38、さらには上記位置情報
に基づいて各音響特性付加フィルタ35,37のフィル
タ係数を選択的に与えるフィルタ係数選択部39から構
成される。
【0011】図6〜8は、図4の音響特性付加器28で
用いられる従来の音像定位技術を説明するためのもので
ある。図6は、音源と聴取者との関係を一般的に示して
いる。音源30と聴取者31との間の音響空間の伝達特
性Sl,Srは、先に説明した図1と同様のものであ
る。
【0012】図7の(a)は、図4の音響特性付加器2
8において、1つの音源を定位させる場合の音源(S)
30と聴取者31との間の音響空間経路の音響特性付加
フィルタ(S→l)35,(S→r)37、及びヘッド
ホン33,34の伝達特性の逆特性(h-1)36,38
の例を示したものである。図7の(b)は、さらに音像
30をP〜Qの複数の音像位置に定位させる場合の音響
特性付加フィルタ35,37の構成を示している。
【0013】図8の(a)及び(b)は、図7の(b)
の音響特性付加フィルタ35,37のさらに具体的な回
路ブロック構成例を示したものである。図8の(a)
は、聴取者31の左耳に対する音響特性付加フィルタ3
5の構成を示しており、図7の(b)に示す複数の音像
位置P〜Qと聴取者31との間の各音響空間の伝達特性
を示すフィルタ(P→l),・・・,(Q→l)、それ
らの各出力ゲインを個別に制御する複数の増幅器gPl
・・・,gQl、及び各増幅器の出力を加算出力するため
の加算器から成る。
【0014】図8の(b)は、聴取者31の右耳に対す
る音響特性付加フィルタ37の構成を示している点を除
いては図8の(a)と同様である。音響特性付加フィル
タ35,37の各増幅器のゲインは、いずれかの音像位
置P〜Qを指示する位置情報によって制御され、それに
よって音像30は指示されたいずれかの音像位置P〜Q
に定位する。
【0015】図9は、サラウンドタイプの音像定位の一
例を示したものである。図9では、聴取者31の回りに
5個のスピーカ(L,C,R,SR,SL)を配置した
サラウンドシステムの例を示している。本例では、5個
の音源からの出力レベルを相対的に制御することによっ
て音像を聴取者31の周囲に定位させることができる。
【0016】例えば、図9に示すスピーカLとスピーカ
SLとの間のそれぞれの出力レベルを相対的に変化させ
ることによってその間に音像を定位させることができ
る。従って、このような音像定位の場合にも上述した従
来技術がそのまま適用できることが分かる。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来に
おいて図3のFIRフィルタの係数用に、通常の部屋で
インパルスレスポンスを測定する場合、各伝達特性L
l,Lr,Rr,及びRlを表すFIRフィルタのタッ
プ数は、オーディオ信号用のサンプリング周波数44.
1KHzを用いた場合に、数千タップ又はそれ以上必要
となる。また、ヘッドホンの伝達特性の逆特性HL-1
HR-1の場合にも数百タップ以上必要となる。
【0018】従って、図3のFIRフィルタを用いた場
合にはタップ数やその演算量が膨大なものとなり、現実
に回路を構成すると複数の汎用DSPや専用の畳み込み
演算プロセッサが必要になるなど低価格化や小型化等の
面で問題があった。さらに、音像を定位させる場合には
各音像位置分の複数のチャネルフィルタを並列に演算処
理しなけばならず、上記問題点の解決がさらに困難にな
るという問題があった。
【0019】また、一般に実時間によるCG等の画像処
理量は非常に大きく、画像処理装置の能力が小さかった
り同時に多くの画像を表示するような場合には、その処
理能力不足によって例えばコマ落としの映像のように連
続した画像を表示できない場合が生じ得る。このような
場合、音像の動きは画像の動きに同期して制御されるた
め音像の動きが不連続になるという問題があった。さら
に、ユーザの視聴位置等の視聴環境が予め予定していた
環境と異なるような場合には画像の見かけ上の動きと音
像の動きとが一致しなくなるという問題もあった。
【0020】そこで本発明の目的は、上記種々の問題点
に鑑み、音響特性を付加するために原信号に付加する音
響特性を表すインパルスレスポンスの線形予測解析を行
い、その線形予測係数を用いて合成フィルタを構成する
ことでフィルタのタップ係数を大幅に削減し、ハードウ
ェアの小型化、低コスト化そして演算処理の高速化等を
達成することにある。
【0021】また本発明の目的は、音像を定位させる複
数の位置から聴取者までの音響特性を各位置に共通な特
性とそこに固有な特性とに分け、それらを付加するフィ
ルタを直列に配列して音像の位置を制御することによっ
て演算処理量の削減することにある。
【0022】さらに本発明によれば、音像を移動させる
場合に、再生音場において1つの音像を複数の位置に定
位させ、各位置の間における音響出力のレベル差を制御
することによって音像をその間で滑らかに移動させ、ま
た不連続な動きを行う画像の位置を補間することによっ
てその補間した位置に合わせた音像の動きを実現するこ
とにある。
【0023】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、仮想音
源を用いて音像を定位させる立体音響処理装置であっ
て、原信号に付加する所望の音響特性を、その音響特性
を表すインパスルレスポンスの線形予測解析によって得
られる線形予測係数をフィルタ係数とする線形合成フィ
ルタによって形成し、前記線形合成フィルタを通して前
記原信号に所望の音響特性を付加する立体音響処理装置
が提供される。
【0024】前記線形合成フィルタは、前記線形予測係
数を用いたIIRフィルタ構成を有して前記原信号に所
望の音響特性の周波数特性を付加する短期合成フィル
タ、そして同じく線形予測係数を用いたIIRフィルタ
構成を有して前記原信号に所望の音響特性の時間特性を
付加するピッチ合成フィルタを含む。前記ピッチ合成フ
ィルタは、減衰率が大きな直接音に係るピッチ合成部
と、その後に続く減衰率が小さな反射音に係るピッチ合
成部及びその遅延時間を与える遅延部から構成される
【0025】さらに、ヘッドホンやスピーカ等の音響出
力機器の音響特性の逆特性を、その音響特性を表すイン
パスルレスポンスの線形予測解析から得られた線形予測
係数をフィルタ係数とする線形予測フィルタによって形
成し、前記線形予測フィルタを通して前記音響機器の音
響特性を除去する。前記線形予測フィルタは、前記線形
予測係数を用いたFIRフィルタで構成される。
【0026】また本発明によれば、仮想音源を用いて音
像を定位させる立体音響処理装置は:原信号に付加する
左耳への1つ又は複数の音響経路の各音響特性を表すイ
ンパスルレスポンスの線形予測解析によって得られる線
形予測係数を、そのフィルタ係数とする線形合成フィル
タから成る第1の音響特性付加フィルタ;前記第1の音
響特性付加フィルタに直列接続され、左耳への音響出力
機器の音響特性を表すインパスルレスポンスの線形予測
解析によって得られる線形予測係数を、前記音響出力機
器の音響特性を除去するための逆特性を与えるそのフィ
ルタ係数とする線形予測フィルタから成る第1の音響特
性除去フィルタ;
【0027】原信号に付加する右耳への1つ又は複数の
音響経路の各音響特性を表すインパスルレスポンスの線
形予測解析によって得られる線形予測係数を、そのフィ
ルタ係数とする線形合成フィルタから成る第2の音響特
性付加フィルタ;前記第2の音響特性付加フィルタに直
列接続され、右耳への音響出力機器の音響特性を表すイ
ンパスルレスポンスの線形予測解析によって得られる線
形予測係数を、前記音響出力機器の音響特性を除去する
ための逆特性を与えるそのフィルタ係数とする線形予測
フィルタから成る第2の音響特性除去フィルタ;
【0028】そして前記第1の音響特性付加フィルタ及
び第2の音響特性付加フィルタに対して音像の位置情報
に従って対応する所定のパラメータを選択的に設定する
選択設定部からなる立体音響処理装置が提供される。
【0029】前記第1及び第2の音響特性付加フィルタ
は、各音響経路の音響特性に共通の特性を付加する共通
部と、各音響経路の音響特性にそれぞれ固有な特性を付
加する固有部とに分けて構成され、前記共通部と固有部
とを直列接続することによって全体の音響特性を付加す
る。
【0030】さらに、所定の音源に対する前記共通部の
演算結果を記憶する蓄積媒体と前記記憶された演算結果
の読み出しを指示する読出指示部を有し、前記読出指示
部は、その指示によって読み出された演算結果を前記固
有部に直接与える。また、前記蓄積媒体には、前記所定
の音源に対する前記共通部の演算結果に加えて対応する
前記第1又は第2の音響特性除去フィルタの演算結果も
合わせて記憶するようにしてもよい。
【0031】また、前記第1の音響特性付加フィルタ及
び第2の音響特性付加フィルタは、さらに両耳間の遅延
時間を与える遅延部を有し、前記第1又は第2の音響特
性付加フィルタの遅延部のうち、両耳間の遅延時間のい
ずれか一方を基準(遅延時間ゼロ)とすることによっ
て、その基準となる遅延部を省略することもできる。
【0032】前記第1の音響特性付加フィルタ及び第2
の音響特性付加フィルタは、さらにそれらの出力信号レ
ベルを可変的に設定できる増幅部を有し、前記選択設定
部は前記音像の位置情報に従った前記増幅部のゲイン設
定により前記第1の音響特性付加フィルタと第2の音響
特性付加フィルタの各出力信号レベルを相対的に可変さ
せることにより音像の定位位置を移動させることができ
る。
【0033】前記第1及び第2の音響特性付加フィルタ
は、聴取者の前方を中心に左右対象に構成してもよく、
その場合には前記遅延部及び増幅部のパラメータが左右
の対応する位置間で共用される。
【0034】さらに本発明によれば、前記立体音響処理
装置は、過去及び未来の音像の位置情報からその中間の
位置情報を補間する位置情報補間部を有し、前記位置情
報補間部からの補間位置情報は前記選択設定部への位置
情報として与えられる。同様に、過去及び現在の音像の
位置情報からその未来の位置情報を予測補間する位置情
報予測部を有し、前記位置情報予測部からの未来位置情
報は前記選択設定部への位置情報として与えられる。
【0035】前記位置情報予測部は、さらに過去及び現
在の音像の位置情報からその移動方向に関する規則性の
有無を判断する規則性判断部を含み、前記位置情報予測
部は前記規則性判断部が規則性有りと判断した場合に前
記未来位置情報を与える。なお、前記音像の位置情報に
代えて、前記音像を発する画像が表示される画像表示装
置からの画像位置情報を用いることができる。前記選択
設定部は、さらに聴取者の良好な聴取環境を提供・維持
すべく、与えられた聴取者の位置情報に従って前記聴取
環境を移動させてもよい。
【0036】本発明によれば、原信号に付加する所望の
音響特性を表すインパルスレスポンスの線形予測解析に
よって得られた線形予測係数を有する線形合成フィルタ
が構成される。次に、この線形合成フィルタの時間領域
エンベロープ(時間特性)及びスペクトル(周波数特
性)が元のインパルスレスポンスと等しく又は近くなる
ように線形予測係数の補正を行う。この補正済みの線形
合成フィルタを用いて、原音に音響特性を付加する。時
間領域エンベロープとスペクトルが元のインパルスレス
ポンスと等しいか又は近いため、この線形合成フィルタ
を用いて所望の音響特性と等しいか又は近い音響特性を
付加することができる。
【0037】この場合、線形合成フィルタをIIRフィ
ルタ(巡回型フィルタ)のピッチ構成フィルタと短期合
成フィルタで構成することで、従来構成よりも大幅に少
ないタップ数の線形合成フィルタを構成することができ
る。ここで、時間領域エンベロープは前記ピッチ合成フ
ィルタで、またスペクトルは主に短期合成フィルタで制
御する。
【0038】また本発明によれば、入力信号に付加する
音響特性を音像定位を行う各位置に共通な特性と固有な
特性に分けてフィルタを構成する。音響特性を付加する
場合には、これらのフィルタを直列に接続して用いる。
これによって全体の演算処理量を削減することができ
る。この場合、固有な特性の数が多いほど前記削減の効
果は大となる。
【0039】また、上記共通な特性部分を処理した結果
を予めハードディスク等の蓄積媒体に記憶しておくこと
により、ゲームのように使用する音が決まっているよう
な用途に対しては、前記蓄積媒体から直接信号を読み出
すだけで実時間処理が必要な各位置に固有な音響特性を
付加するフィルタにそれを入力することができる。この
ため、演算量の削減はもとより単に全ての情報を蓄積媒
体に記憶させる場合よりも少ない蓄積容量で済ませられ
る。
【0040】さらに、各位置に共通な特性を付加するフ
ィルタの出力信号と伴に、音響特性除去フィルタに入力
して得られる出力信号を蓄積媒体に蓄えてもよい。この
場合には音響特性除去フィルタの処理を実時間で行う必
要がなくなる。このように、蓄積媒体を利用することに
より少ない処理量で音像を動かすことができる。
【0041】さらに本発明によれば、不連続な動きを行
う画像の位置を補間し、その補間した位置に合わせて音
像を動かすことで連続的に音像を動かすことができる。
また、ユーザの視聴環境を画像制御器と音像制御器に入
力し、その情報を用いて画像と音像の動きを制御するこ
とによって見かけの画像の動きと音像の動きとを一致さ
せることができる。
【0042】
【発明の実施の形態】図10は、本発明による音響特性
を付加するための線形合成フィルタを求めるための原理
構成を示したものである。本発明においては、図2で示
した各伝達特性Ll,Lr,Rl,Rrを表すフィルタ
を線形合成フィルタ40によって構成する。そのために
反射音や残留音等が除かれる無響室で上記各伝達特性を
表すそれぞれの音響空間経路のインパルスレスポンスを
測定し、それをもとに線形予測解析処理41をおこなっ
てインパルスレスポンスの線形予測係数を求める。
【0043】前記線形予測係数にはさらに補正処理42
が施され、その結果得られた係数を本発明によるIIR
フィルタ構成の線形合成フィルタ40の線形予測係数に
設定する。よって、前記線形合成フィルタ40を通過し
た原信号には上記音響空間経路の音響特性の一つである
周波数特性が付加されることになる。
【0044】図11は、本発明による音響特性を付加す
るための線形合成フィルタの構成例を示したものであ
る。図11において、線形合成フィルタ40は、短期合
成フィルタ44とピッチ合成フィルタ43とから構成さ
れ、それぞれ下式(2)及び(3)で表される。
【0045】
【数2】
【0046】前者の短期合成フィルタ44は、各伝達特
性を表すインパルスレスポンスの線形予測解析から得ら
れる線形予測係数を備えたIIRフィルタとして構成さ
れ、聴取者には方向感を与える。また、後者のピッチ合
成フィルタ43は、原音にさらに初期反射音や残音響を
与える。
【0047】図12は、短期合成フィルタ44の線形予
測係数(b1,b2,...,bm)、及びピッチ合成
フィルタ43のピッチ係数L,bLの求め方を示したも
のである。まず、無響室で測定したインパルスレスポン
スの自己相関係数処理45によって自己相関係数を求め
てから線形予測解析処理46を行う。この結果得られる
線形予測係数(b1,b2,...,bm)を用いて図
11の短期合成フイルタ44(IIRフィルタ)を構成
する。線形予測係数を用いたIIRフィルタ構成とする
ことによって、元のインパルスレスポンスのサンプル数
よりも大幅に少ないタップ数で、伝送特性の1つである
周波数特性を付加することができる。例えば、256タ
ップのものが約10タップ程度にまで大幅に削減でき
る。
【0048】その他の伝送特性である各経路を通って信
号が両耳まで到達する時間差とレベル差を表す遅延及び
ゲインは、図11の遅延(Z-d)とゲイン(g)によっ
て付加される。図12では、線形予測解析処理46で求
めた線形予測係数(b1,b2,...,bm)を短期
合成フイルタ44の逆特性を示す下式(4)からなる短
期予測フイルタ47(FIRフィルタ)の係数として用
いる。
【0049】
【数3】
【0050】式(2)と(4)から分かるように、前記
短期予測フイルタ47を通すことで短期合成フイルタ4
4で付加された音響特性と同等の周波数成分を反対に除
去することができる。その結果、次段のピッチ抽出処理
48で残った時間成分から上記遅延(Z-L)及びゲイン
(bL)を求めることができる。求められた値はピッチ
合成フィルタ43の遅延及び係数として与えられる。以
上のことから、周波数特性及び時間特性を兼ね備えた所
望の音響特性を表す伝達特性が図11の回路構成によっ
て実現できることが分かる。
【0051】図13は、ピッチ合成フィルタ43の一ブ
ロック構成例を示したものであり、いわゆる直接音と反
射音に分けて別々のピッチ合成フィルタを使用してい
る。音場を測定して得られるインパルスレスポンスは、
通常、減衰率が大きい部分(直接音)で始まり、その後
に減衰率の小さな部分(反射音)が続く。そのため、ピ
ッチ合成フィルタ43は、図12に示す前者の直接音に
係るピッチ合成フィルタ部49と、後者に係るピッチ合
成フィルタ部51及びその遅延時間を与える遅延部50
とに分けて構成することができる。なお、直接音の部分
をFIRフィルタで構成し、または直接音と反射音の部
分をオーバラップさせるようにしてもよい。
【0052】図14は、上記のようにして得られた線形
予測係数の補正処理の一例を示したものである。図14
の時間領域のエンベロープ、スペクトルの評価処理49
において、一旦得られた短期合成フイルタ54とピッチ
合成フィルタ53とを直列接続した状態で所望の音響特
性のインパルスレスポンスと比較し、それによって線形
合成フィルタのインパルスレスポンスの時間領域エンベ
ロープとスペクトルが元のインパルスレスポンスと等し
く、又はより近づくようにフィルタ係数の補正処理を行
う。
【0053】図15は、本発明によるヘッドホンの伝達
特性の逆特性Hl-1,Hr-1を表すフィルタ構成例を示
したものである。図15のフィルタ53は、図12で示
した短期予測フィルタ47と同一の構成を有しており、
ヘッドホンのインパルスレスポンスの自己相関係数を求
めて線形予測解析を行い、得られた線形予測係数(c
1,c2,...,cm)からその逆特性を示すFIR
型の線形予測フィルタを構成する。これにより、図3で
示した従来の逆特性のインパルスレスポンスの1/10
以下の少ないタップ数のフィルタによりヘッドホンの周
波数特性を除去することができる。なお、両耳間の特性
を互いに対象と仮定することにより、それらの間の時間
差やレベル差を考慮する必要は無くなる。
【0054】図16は、従来との比較における本発明に
よる音響付加フィルタの周波数特性の一例を示したもの
である。図16において、実線は図3に示す従来の25
6タップから成る音響特性付加フィルタの周波数特性の
場合を示し、点線は本発明による10タップからなる音
響特性付加フィルタ(短期合成フィルタのみを使用)の
周波数特性の場合を示している。本発明により従来より
も大幅に少ないタップ数でスペクトル近似がなされてい
ることが分かる。
【0055】次に、図17は、本発明による線形予測係
数を用いた音響フィルタによって音像定位を行わせるた
めの基本的なブロック構成が示されている。図17は、
先に説明した図4及び図5の音響付加装置28に相当
し、その音響特性付加フィルタ35及び37は、本発明
による線型予測係数を用いて周波数特性を付加したII
Rフィルタ54,55、それらの入力段でピッチや左右
の耳に到達するまでの時間差等を与える遅延部56,5
7、そして出力段でゲインを個別に制御する増幅器5
8,59で構成される。また、左右チャネルのヘッドホ
ンの音響特性を除去するフィルタ36,38は、本発明
による線型予測係数を用いたFIRフィルタによって構
成される。
【0056】ここで、前記音響特性付加フィルタ35及
び37のうち、IIRフィルタ53,54には図11で
説明した短期合成フィルタ44が使われ、同じく遅延部
55,56には図11の遅延回路(Z-d)が使われる。
また、ヘッドホンの音響特性を除去するフィルタ36,
38には、図15で説明したFIR形の線型予測フィル
タ53が使われる。従って、ここでは上記各フィルタつ
いてこれ以上説明しない。なお、フィルタ係数選択手段
39は、上記各フィルタパラメータの内のフィルタ係
数、ピッチ・遅延時間、そしてゲイン等の選択設定を行
う。
【0057】図18は、図17の本発明による音響付加
装置28を使って図9で説明した音像定位を実現した例
を示している。図9に示す5個のスピーカ(L,C,
R,SR,SL)に相当する5個の仮想音源が音響特性
付加フィルタ(Cl〜SRl及びCr〜SRr)54〜
57によって同様な位置に配置され、またヘッドホン3
3,34の音響特性はその除去フィルタ36,38によ
って取り除かれる。この環境は聴取者にとって図9と同
じものとなり、従って図9で説明したようにレベル調整
部39で増幅器58,59のゲインを変えることによっ
て各仮想音源(L,C,R,SR,SL)からの音量を
変化させ、それによって聴取者を取り囲むように音像を
定位させることができる。
【0058】図19は、本発明による音響付加装置の別
の構成例を示したものであり、基本的には上述した図1
7と同様な構成を有しているが、新たに位置情報の補間
/予測部60と規則性判断部61を設けている点が異な
る。図20〜図24は、図19の位置情報の補間/予測
部60及び規則性判断部61の機能に関する説明図であ
る。
【0059】図20〜22は位置情報の補間に関するも
のである。図20に示すように、画像制御器62(図4
のCG表示装置24に相当)から音像制御器63(図4
の立体音響装置27に相当)へ処理時間の長い画像処理
に先立ってそれに関する未来の位置情報が先送りされ
る。そして、図20では音像制御器63に含まれる前記
位置情報の補間/予測部60が図21に示すようにその
未来の画像位置と現在位置及び過去の位置を用いてディ
スプレイ21(図4参照)上の音像位置の補間を行う。
【0060】ここでは、図22を使って画像位置の直交
座標系(x,y,z)の内のx軸の値の補間方法につい
て述べる。なお、y軸とz軸の値についてもそれぞれ同
様に行うことができる。図22において、t0を現在の
時刻、t−1,...,t−mを過去の時刻、t+1を
未来の時刻とする。ここで、テイラー級数展開を用い
て、時刻t+1,...,t−mにおいて、x(t)が
次式で表されると仮定する。 x(t)=a0+a1*t+a2*t2 +... +an*tn (n≦m+1) ・・・(5.1)
【0061】値x(t+1),...,x(t−m)を
用いて、上式の係数a0,...,anを求めることに
より、時刻t’(t0<t’<t+1)におけるx軸の
値x(t’)を得ることができる。ここで、
【0062】
【数4】
【0063】なお、上記と同様に、x軸の値の補間によ
って未来の位置を予測することもできる。例えば、予測
係数b1,・・・,bnを用いて、次式で時刻t+1の
予測値x’(t+1)を求める。 x’(t+1)=b1*x(t)+b2*x(t−1)+... +bn*x(t−n+1) ・・・(5.4) 上式の予測係数b1,・・・,bnは、現在と過去の値
x(t),・・・,x(t−m)の自己相関係数より線
形予測解析を行って求まる。または、最大傾斜法等のア
ルゴリズムを用いて試行錯誤的に求めることができる。
【0064】図23及び図24は、画像の動きに規則性
が有るか否かを判断することによって未来の位置を予測
する方法について示している。例えば、図19の規則性
判断部61に相当する図23の規則性判断器64が上記
式(5.4)において、予測係数b1,・・・,bnを
線形予測解析を用いて求めるときに安定な予測系の係数
が求まる場合には画像の動きに規則が有ると判断する。
又は、同じ式(5.4)において、予測係数b1,・・
・,bnを所定の適応アルゴリズムを用いて試行錯誤的
に求めるときに係数の値がある値に収束する場合に画像
の動きに規則性があると判断する。そしてこのように判
断した場合にだけ式(5.4)から求められた係数を未
来の位置情報として採用する。
【0065】上記では、ユーザやソフトウェアによって
与えられる画像の位置情報に従ってディスプレイ上の音
像位置を補間/予測することについて述べてきたが、位
置情報は聴取者の位置情報であってもよい。図25及び
図26は、聴取者の位置情報によって音像を最適に定位
させる例について示している。
【0066】図25は、図4のシステムにおいて聴取者
31が斜線で囲まれた適切な視聴環境範囲を離れて移動
することにより聴取者31にとって音像位置と画像位置
の軌跡が合わなくなった一例を示している。このような
場合でも本発明により聴取者31の位置を位置センサ等
で常時監視することで、図26に示すように前記視聴環
境範囲を聴取者31の側へ自動的に移動させ、それによ
ってユーザの視聴環境に合わせて音像と画像を一致させ
ることができる。図20に視聴環境によって音像制御器
63を制御するようにしているのはこのためである。な
お、音像定位位置を移動させることに関しては、いまま
で述べてきた方法がそのまま使用される。すなわち、
L,Rの各チャネル信号を制御して、視聴環境範囲をユ
ーザの位置へ移動する。
【0067】図27は、本発明による演算処理の効率化
の一実施例を示したものである。図27は、図17又は
図19に示す各音響特性付加フィルタ35,37におけ
る音響特性の共通特性を抽出することで各フィルタに共
通の演算部(C→l)64及び(C→r)65と個々の
フィルタに固有の演算部(P→l)〜(Q→r)66〜
69とに分け、それらの間の重複した演算処理を回避す
ることによって図8で説明した従来例と比べてより一層
の演算処理の効率化/高速化を図ろうとしたものであ
る。
【0068】前記共通の演算部64,65は、それぞれ
の固有の演算部66〜69と直列に接続される。また、
各固有の演算部66〜69には両耳間のレベル差と音像
の位置とを制御するための増幅器gPl〜gQrが接続され
る。ここでは、音響特性の共通特性として2個若しくは
複数の実音源(P〜Q)の中間に位置する仮想音源
(C)から聴取者までの音響特性を用いる。
【0069】図28の(a)は、上記仮想音源Cから聴
取者までの音響特性を表すインパルスレスポンスを用い
て共通特性の線形予測係数を求める処理系を示してい
る。本例では、C→lの音響特性について示している
が、C→rの音響特性についても同様である。なお、よ
り一層の共通化のためには仮想音源Cが聴取者の正面に
あるとして、C→lとC→rの各音響特性を互いに等し
いと仮定することもできる。一般に、窓掛け処理70に
はハミングウインドウ等が用いられ、線形予測解析には
レビンソンダービン法が用いられる。
【0070】図28の(b)は、実音源P〜Qから聴取
者までの音響特性の固有特性を表す線形予測係数を求め
る処理系を示している。各音響特性を表すインパルスレ
スポンスを共通特性を除去するフィルタ(C→l)-1
2又は(C→r)-173に入力し、その出力を線形予測
解析することにより、各音響特性に固有な特性を表す線
形予測係数を求める。上記フィルタ72,73には、図
12で説明したのと同様な方法で共通特性の線形予測係
数が設定される。その結果、各固有のインパルスレスポ
ンスから予め共通特性部分を除去した状態で、各固有の
フィルタ特性(P→l)〜(Q→l)及び(P→r)〜
(Q→r)の線形予測係数が求まる。
【0071】図29及び図30は本発明により共通部と
固有部とを分離してそれらの間を直列接続した音響特性
付加フィルタ35,37の一実施例を示したものであ
る。図29の共通部64,65は、図11で説明した短
期合成フィルタ及びピッチ合成フィルタからなる線形合
成フィルタそのもので構成され、また固有部66〜69
は個々の周波数特性を表す短期合成フィルタの他に両耳
間の時間差を制御する遅延器Z-DP ,Z-DQ とレベル差
及び音像の位置とを制御するための増幅器g Pl〜gQl
構成される。
【0072】図30は、LとRの2つの音源と聴取者と
の間の音響特性付加フィルタの例を示している。ここで
は、以下で説明する図31〜図33の説明との整合性を
考慮して共通部64,65においてピッチ合成フィルタ
は使用していない。図31〜図33は、図30に示す音
響特性付加フィルタの周波数特性の一例を示したもので
ある。
【0073】図30のL及びRの2つの音源は、図31
の(a)及び(b)に示す音源S1及びS2にそれぞれ
対応し、聴取者からみて30度の開きをもって配置され
る。図31の(b)は、図30の音響特性付加フィルタ
を回路ブロック化したものであり、図32及び33の測
定系を示している。
【0074】図32の点線は図31の共通部(C→l)
の周波数特性を示し、また図33の点線は共通部と固有
部(s1→l)を直列接続したときの周波数特性を示し
ている。ここで、実線で示す従来フィルタのタップ数は
256であり、点線で示す本発明による短期合成フィル
タのタップ数は、C→1が6,s1→lが4の合計10
タップとしてある。なお、上述したようにピッチ合成フ
ィルタは使用していない。従って、固有部の数が増える
ほど演算量の削減効果は大きいことが分かる。
【0075】図34は、図30の共通部64,65の共
通特性を既に付加済みの原信号を音データとしてハード
ディスク等の蓄積媒体74に記憶することを示してい
る。図35は、共通特性の演算処理に代えて蓄積媒体7
4から既に共通特性付加済みの信号を読み出し、それを
固有部66〜69に与えることを示している。図35の
例では、聴取者は、必要な時に音像制御装置75を操作
することによって蓄積媒体74から共通特性演算済みの
信号を読み出すことができる。読み出された信号は、固
有特性の付加演算やその出力ゲインの調整処理が行われ
て所望の音像位置に定位する。この本発明によって共通
特性の実時間演算処理は不要となる。なお、蓄積媒体7
4に記憶される信号には、前記共通特性に加えて処理内
容が固定しているヘッドホンの逆特性演算処理までを含
めることができる。
【0076】図36は、聴取者に対して左右対象な処理
を行う例を示したものである。図36では、2つの仮想
音源A及びBを使い、その間のレベルgAl,gAr
Bl,gBrの差によって音像Sを定位させるものであ
る。ここでは、聴取者の中心線(一点鎖線)を基準に左
右対象な処理を行う。すなわち、中心線の左側の仮想音
源A及びBと、中心線に関してそれらと対象な位置にあ
る右側の仮想音源(A)及び(B)とは聴取者に対して
実質的に同様な音響空間を形成するものとする。
【0077】図37に示すように、聴取者の回りをn等
分して、各々の境界に仮想音源AとBを置き、各仮想音
源から両耳lとrまでの伝達経路に対応する音響特性を
図38に示すように左右対象とする。これにより、実際
には0,・・・,n/2−1の係数のみを持っておけば
よい。聴取者に対する音像位置を、図39に示すように
正面から例えば反時計回りの角度θで表す。次に、下式
(6)から図37のn等分した区間の内のどの区間に音
像が存在するかを前記角度θから求める。
【0078】 区間番号=(少数点未満切り捨て)θ/(2π/n) ・・・(6) また、仮想音源のレベルgAl,gAr,gBl,gBrを求め
る場合には左右対象の条件から角度θを式(7)のよう
に変換する。 θ=θ(0≦θ<π) ・・・(7) 又は2π−θ (π≦θ≦2π) このように左右対象とすることにより音響特性を表す遅
延やゲイン等の係数を左右で共用することができる。図
39において求めたθがπ≦θ≦2πの場合は、lch
とrchの出力信号を入れ換えて、ヘッドホンに出力す
る。これにより、聴取者の左側にあるとして計算した音
像を右側に定位させることができる。
【0079】図40は、上述した左右対象な系を処理す
るための音響特性付加フィルタの一例を示したものであ
る。この音響特性付加フィルタの特徴は、伝達経路A→
r B→rの遅延処理をそれぞれA→l,B→lの遅延
を基準に行うことによってA→l,B→lの遅延処理を
省略することができることである。従って、両耳間時間
差を表す遅延処理を半減させることができる。
【0080】
【発明の効果】以上述べたように、本発明によれば所望
の音像定位を複数の仮想音源で行うため、音像の数や位
置が変わった場合でも仮想音源から聴取者までの音響特
性を変更する必要が無く、従って線形合成フィルタの構
成を変える必要がない。また、少ないタップ数のフィル
タで原信号に所望の音響特性を付加することができる。
【0081】また本発明によれば、入力信号に付加する
音響特性を音像定位を行う各位置に共通な特性と固有な
特性に分けてフィルタを構成するため、各フィルタの共
通特性の演算は一度で済み、全体の演算処理量を削減す
ることができる。この場合には、固有な特性の数が多い
ほどその削減の効果は大となる。
【0082】さらに、上記共通な特性部分を処理した結
果を予めハードディスク等の蓄積媒体に記憶しておくこ
とにより、前記蓄積媒体から直接信号を読み出すだけで
実時間処理が必要な各位置に固有な音響特性を付加する
フィルタにそれを入力することができる。このため、演
算量の削減はもとより単に全ての情報を蓄積媒体に記憶
させる場合よりも少ない蓄積容量で済ませられる。
【0083】なお、各位置に共通な特性を付加するフィ
ルタの出力信号と伴に、音響特性除去フィルタに入力し
て得られる出力信号を蓄積媒体に蓄えてもよい。この場
合には音響特性除去フィルタの処理を実時間で行う必要
がなくなる。このように、蓄積媒体を利用することによ
り少ない処理量で音像を動かすことができる。
【0084】さらに本発明によれば、不連続な動きを行
う画像の位置を補間し、その補間した位置に合わせて音
像を動かすことで連続的に音像を動かすことができる。
また、ユーザの視聴環境を画像制御器と音像制御器に入
力し、その情報を用いて画像と音像の動きを制御するこ
とによって見かけの画像の動きと音像の動きとを一致さ
せることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】2チャンネルのステレオ装置から立体音像を聴
取する一例を示した図である。
【図2】ヘッドホンを使った図1と等価な音響空間の一
構成例を示した図である。
【図3】従来のFIRフィルタの一例を示した図であ
る。
【図4】CG表示装置と立体音響装置の一構成例を示し
た図である。
【図5】図4の音響特性付加器の基本的な構成例を示し
た図である。
【図6】従来の音像定位技術の説明図(1)である。
【図7】従来の音像定位技術の説明図(2)である。
【図8】従来の音像定位技術の説明図(3)である。
【図9】サラウンドタイプの音像定位の一例を示した図
である。
【図10】本発明による音響特性を付加する線形合成フ
ィルタを求めるための原理構成図である。
【図11】本発明による音響特性を付加する線形合成フ
ィルタの基本構成を示した図である。
【図12】線形予測係数及びピッチ係数の求め方の一例
を示した図である。
【図13】ピッチ合成フィルタの一構成例を示した図で
ある。
【図14】線形予測係数の補正処理の一例を示した図で
ある。
【図15】線形予測係数を用いて伝達特性の逆特性を実
現するFIRフィルタの一例を示した図である。
【図16】本発明による音響特性付加フィルタの周波数
特性の一例を示した図である。
【図17】本発明による音響付加装置の基本構成例を示
した図である。
【図18】図17の音響付加装置によるサラウンドタイ
プの音像定位の一例を示した図である。
【図19】本発明による音響付加装置の別の構成例を示
した図である。
【図20】位置情報の補間の説明図(1)である。
【図21】位置情報の補間の説明図(2)である。
【図22】位置情報の補間の説明図(3)である。
【図23】位置情報の予測の説明図(1)である。
【図24】位置情報の予測の説明図(2)である。
【図25】聴取者の位置情報によって音像を定位させる
説明図(1)である。
【図26】聴取者の位置情報によって音像を定位させる
説明図(2)である。
【図27】本発明による演算処理構成を示した図であ
る。
【図28】共通特性及び固有特性の求め方の一例を示し
た図である。
【図29】共通部と固有部とを分離した音響特性付加フ
ィルタの実施例(1)を示した図である。
【図30】共通部と固有部とを分離した音響特性付加フ
ィルタの実施例(2)を示した図である。
【図31】図32の周波数特性の測定系を示した図であ
る。
【図32】共通部C→lの周波数特性図である。
【図33】共通部C→lと固有部s1→lの直列接続時
の周波数特性図である。
【図34】共通特性記憶の一例を示した図である。
【図35】図34の一実施例を示した図である。
【図36】左右対象な処理の一例を示した図である。
【図37】仮想音源の位置の例を示した図である。
【図38】図37における左右対象な音響特性の一例を
示した図である。
【図39】音像位置を表す角度θの説明図である。
【図40】左右対象な音響特性付加フィルタの一例を示
した図である。
【符号の説明】
40…線形合成フィルタ 43…ピッチ合成フィルタ 44…短期合成フィルタ 35,37…音響特性付加フィルタ 36,38…音響特性除去フィルタ 39…選択設定部 60…位置情報の補間/予測部 61…規則性判断部 64,65…共通部 66〜69…固有部 74…ハードディスク
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 H04S 7/00 G10K 15/00 B

Claims (20)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 仮想音源を用いて音像を定位させる立体
    音響処理装置であって、 原信号に付加する所望の音響特性を、その音響特性を表
    すインパスルレスポンスの線形予測解析によって得られ
    る線形予測係数をフィルタ係数とする線形合成フィルタ
    によって形成し、前記線形合成フィルタを通して前記原
    信号に所望の音響特性を付加することを特徴とする立体
    音響処理装置。
  2. 【請求項2】 前記線形合成フィルタは、前記線形予測
    係数を用いたIIRフィルタ構成を有して前記原信号に
    所望の音響特性の周波数特性を付加する短期合成フィル
    タを含む請求項1記載の立体音響処理装置。
  3. 【請求項3】 前記線形合成フィルタは、さらに前記線
    形予測係数を用いたIIRフィルタ構成を有して前記原
    信号に所望の音響特性の時間特性を付加するピッチ合成
    フィルタを含む請求項2記載の立体音響処理装置。
  4. 【請求項4】 前記ピッチ合成フィルタは、減衰率が大
    きな直接音に係るピッチ合成部と、その後に続く減衰率
    が小さな反射音に係るピッチ合成部及びその遅延時間を
    与える遅延部から構成される請求項3記載の立体音響処
    理装置。
  5. 【請求項5】 さらに、音響出力機器の音響特性の逆特
    性を、その音響特性を表すインパスルレスポンスの線形
    予測解析から得られた線形予測係数をフィルタ係数とす
    る線形予測フィルタによって形成し、前記線形予測フィ
    ルタを通して前記音響機器の音響特性を除去する請求項
    1記載の立体音響処理装置。
  6. 【請求項6】 前記線形予測フィルタは、前記線形予測
    係数を用いたFIRフィルタ構成を有する請求項5記載
    の立体音響処理装置。
  7. 【請求項7】 仮想音源を用いて音像を定位させる立体
    音響処理装置であって、 原信号に付加する左耳への1つ又は複数の音響経路の各
    音響特性を表すインパスルレスポンスの線形予測解析に
    よって得られる線形予測係数を、そのフィルタ係数とす
    る線形合成フィルタから成る第1の音響特性付加フィル
    タ、 前記第1の音響特性付加フィルタに直列接続され、左耳
    への音響出力機器の音響特性を表すインパスルレスポン
    スの線形予測解析によって得られる線形予測係数を、前
    記音響出力機器の音響特性を除去するための逆特性を与
    えるそのフィルタ係数とする線形予測フィルタから成る
    第1の音響特性除去フィルタ、 原信号に付加する右耳への1つ又は複数の音響経路の各
    音響特性を表すインパスルレスポンスの線形予測解析に
    よって得られる線形予測係数を、そのフィルタ係数とす
    る線形合成フィルタから成る第2の音響特性付加フィル
    タ、 前記第2の音響特性付加フィルタに直列接続され、右耳
    への音響出力機器の音響特性を表すインパスルレスポン
    スの線形予測解析によって得られる線形予測係数を、前
    記音響出力機器の音響特性を除去するための逆特性を与
    えるそのフィルタ係数とする線形予測フィルタから成る
    第2の音響特性除去フィルタ、そして前記第1の音響特
    性付加フィルタ及び第2の音響特性付加フィルタに対し
    て音像の位置情報に従って対応する所定のパラメータを
    選択的に設定する選択設定部から構成することを特徴と
    する立体音響処理装置。
  8. 【請求項8】 前記第1及び第2の音響特性付加フィル
    タは、各音響経路の音響特性に共通の特性を付加する共
    通部と、各音響経路の音響特性にそれぞれ固有な特性を
    付加する固有部とに分けて構成され、前記共通部と固有
    部とを直列接続することによって全体の音響特性を付加
    する請求項7記載の立体音響処理装置。
  9. 【請求項9】 さらに、所定の音源に対する前記共通部
    の演算結果を記憶する蓄積媒体と前記記憶された演算結
    果の読み出しを指示する読出指示部を有し、前記読出指
    示部は、その指示によって読み出された演算結果を前記
    固有部に直接与える請求項8記載の立体音響処理装置。
  10. 【請求項10】 前記蓄積媒体は、前記所定の音源に対
    する前記共通部の演算結果に加えて対応する前記第1又
    は第2の音響特性除去フィルタの演算結果も合わせて記
    憶する請求項9記載の立体音響処理装置。
  11. 【請求項11】 前記第1の音響特性付加フィルタ及び
    第2の音響特性付加フィルタは、さらに両耳間の遅延時
    間を与える遅延部を有する請求項7記載の立体音響処理
    装置。
  12. 【請求項12】 前記第1又は第2の音響特性付加フィ
    ルタの遅延部のうち、両耳間の遅延時間のいずれか一方
    を基準(遅延時間ゼロ)とすることによって、その基準
    となる遅延部を省略することができる請求項11記載の
    立体音響処理装置。
  13. 【請求項13】 前記第1の音響特性付加フィルタ及び
    第2の音響特性付加フィルタは、さらにそれらの出力信
    号レベルを可変的に設定できる増幅部を有する請求項7
    記載の立体音響処理装置。
  14. 【請求項14】 前記選択設定部は、前記音像の位置情
    報に従った前記増幅部のゲイン設定により前記第1の音
    響特性付加フィルタと第2の音響特性付加フィルタの各
    出力信号レベルを相対的に可変させることによって音像
    の定位位置を移動させる請求項13記載の立体音響処理
    装置。
  15. 【請求項15】 前記第1及び第2の音響特性付加フィ
    ルタは、聴取者の前方を中心に左右対象に構成され、前
    記遅延部及び増幅部のパラメータが左右の対応する位置
    間で共用される請求項11又は13記載の立体音響処理
    装置。
  16. 【請求項16】 さらに、過去及び未来の音像の位置情
    報からその中間の位置情報を補間する位置情報補間部を
    有し、前記位置情報補間部からの補間位置情報は前記選
    択設定部への位置情報として与えられる請求項7記載の
    立体音響処理装置。
  17. 【請求項17】 さらに、過去及び現在の音像の位置情
    報からその未来の位置情報を予測補間する位置情報予測
    部を有し、前記位置情報予測部からの未来位置情報は前
    記選択設定部への位置情報として与えられる請求項7記
    載の立体音響処理装置。
  18. 【請求項18】 前記位置情報予測部は、さらに過去及
    び現在の音像の位置情報からその移動方向に関する規則
    性の有無を判断する規則性判断部を含み、前記位置情報
    予測部は前記規則性判断部が規則性有りと判断した場合
    に前記未来位置情報を与える請求項17記載の立体音響
    処理装置。
  19. 【請求項19】 前記音像の位置情報に代えて、前記音
    像を発する画像が表示される画像表示装置からの画像位
    置情報が使われる請求項16〜18のいずれか1つに記
    載の立体音響処理装置。
  20. 【請求項20】 前記選択設定部は、さらに聴取者の良
    好な聴取環境を提供・維持すべく、与えられた聴取者の
    位置情報に従って前記聴取環境を移動させる請求項7記
    載の立体音響処理装置。
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