JPH0985874A - 光学薄膜およびその製造方法 - Google Patents

光学薄膜およびその製造方法

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JPH0985874A
JPH0985874A JP7273511A JP27351195A JPH0985874A JP H0985874 A JPH0985874 A JP H0985874A JP 7273511 A JP7273511 A JP 7273511A JP 27351195 A JP27351195 A JP 27351195A JP H0985874 A JPH0985874 A JP H0985874A
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JP
Japan
Prior art keywords
film
thin film
stress
refractive index
optical thin
Prior art date
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Pending
Application number
JP7273511A
Other languages
English (en)
Inventor
Akihiko Yokoyama
晃彦 横山
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Canon Inc
Original Assignee
Canon Inc
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Publication date
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Publication of JPH0985874A publication Critical patent/JPH0985874A/ja
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  • Optical Elements Other Than Lenses (AREA)
  • Surface Treatment Of Optical Elements (AREA)
  • Laminated Bodies (AREA)
  • Physical Vapour Deposition (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 光学薄膜の内部応力を低減して基板の曲がり
や膜剥れを防ぐ。 【解決手段】 光学薄膜は2は、基板1上に交互に積層
された複数層の高屈折率材料の薄膜10と低屈折率材料
の薄膜20を有し、各薄膜10,20は、その成膜中に
成膜方法を変えるかあるいは同じ成膜方法で成膜条件を
変えて成膜された下半部11,21と上半部12,22
を有し、各薄膜10,20内で上半部11,21の内部
応力と下半部12,22の内部応力が圧縮応力と引張応
力の組み合わせになるように成膜される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、基板上に成膜され
た単層あるいは多層の薄膜からなる高反射膜、フィル
タ、反射防止膜、ハーフミラー等の光学薄膜およびその
製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】基板上に真空蒸着法やスパッタ法等によ
って成膜された単層あるいは多層の薄膜からなる高反射
膜、フィルタ、反射防止膜、ハーフミラー等の光学薄膜
は、各薄膜の内部応力のために基板の表面に引張力ある
いは圧縮力が作用して基板が歪んだり、光学薄膜全体あ
るいはその一部分が剥がれる等のトラブルを発生する。
これを防ぐために、従来、基板の両面に薄膜を成膜する
ことでその内部応力によって基板に作用する力を釣り合
わせる方法(特公昭62−18881号公報、特開平5
−127018号公報参照)や、薄膜の内部応力によっ
て発生する基板の歪と逆向きで同量の歪を予め基板に与
えておく方法(特開昭58−113901号公報参照)
や、内部応力が圧縮応力である薄膜と内部応力が引張応
力である薄膜を組み合わせて多層膜全体の内部応力を低
減する方法(特開平2−127601号公報)等が開発
されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら上記従来
の技術によれば、基板の両面に成膜する方法は基板の片
面のみに光学薄膜を必要とする場合には不適であり、基
板に予め歪を与えておく方法は基板を変形させる工程が
付加されるために工程数が増えて生産性の低下を招く。
【0004】また、圧縮応力を内部応力とする薄膜と引
張応力を内部応力とする薄膜を組み合わせて多層膜を製
作する方法は、多層膜全体の内部応力が低減されるため
に基板の表面を歪ませるおそれはないが、基板とこれに
接する第1層の薄膜の間が該薄膜の内部応力のために剥
がれやすく、また、引張応力を内部応力とする薄膜と圧
縮応力を内部応力とする薄膜が接する部分においても応
力差のために膜剥がれが発生しやすい。加えて、この方
法は単層の光学薄膜には適用できないという不都合があ
る。
【0005】本発明は、上記従来の技術の有する問題点
に鑑みてなされたものであって、光学薄膜の内部応力を
該光学薄膜を構成する各薄膜内で相殺し、前記内部応力
のために基板等が歪んだり膜剥がれが発生する等のトラ
ブルを効果的に回避できる高性能でしかも安価な光学薄
膜およびその製造方法を提供することを目的とするもの
であるの。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明の光学薄膜は、基体に成膜された少なくとも
1層の薄膜を有し、該薄膜の内部応力が、その膜厚方向
に圧縮応力から引張応力またはこの逆に変化しているこ
とを特徴とする。
【0007】光学薄膜の平面度が干渉縞の変化量±10
本以下になるように前記光学薄膜全体の内部応力が低減
されているとよい。
【0008】光学薄膜の表面層が、DCアークプラズ
マ、RFイオンプレーティングまたはイオンアシストを
用いた成膜方法によって成膜されたものであるとよい。
【0009】本発明の光学薄膜の製造方法は、基体の表
面に少なくとも1層の薄膜を成膜する工程を有し、該工
程中に成膜方法および成膜条件の少なくとも一方を変え
ることで、前記薄膜の内部応力をその膜厚方向に圧縮応
力から引張応力またはこの逆に変化させることを特徴と
する。
【0010】
【作用】薄膜の成膜中に成膜方法および成膜条件の少な
くとも一方を変えることで薄膜の内部応力を膜厚方向に
圧縮応力から引張応力またはこの逆に変化させることが
できる。このように薄膜の内部応力をその膜厚方向に変
化させて薄膜内部で相殺し、光学薄膜全体の内部応力を
許容値以下に低減する。
【0011】光学薄膜が多層膜である場合には、各薄膜
の内部応力を膜厚方向に圧縮応力から引張応力またはこ
の逆に変化させて、各薄膜ごとの内部応力を許容値以下
に相殺する。このようにして光学薄膜全体の内部応力
を、例えば光学薄膜の平面度が干渉縞の変化量±10本
以下になるまで低減し、前記内部応力のために基板が歪
んだり膜剥がれが発生する等のトラブルを回避する。
【0012】光学薄膜を構成する各薄膜ごとに内部応力
が許容値以下に低減されているため、基体に接する薄膜
が基体から剥がれたり薄膜どうしが膜剥がれを起こすお
それがないうえに、基体の片面に成膜する場合にも適用
可能であり、また、基体を予め変形させておく必要もな
い。従って、薄膜の内部応力のために基体が歪んだり膜
剥がれを起こす等のトラブルを効果的に回避できるうえ
に製造コストが高騰することもなく、高性能で安価な光
学薄膜を実現できる。
【0013】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態を図面に基づ
いて説明する。
【0014】図1は一実施例による光学薄膜の膜構成を
示し、これは、基体である基板1上に高屈折率材料の薄
膜10と低屈折率材料の薄膜20を交互に所定数ずつ積
層して所定の光学特性を有する光学薄膜2を形成したも
のである。高屈折率材料の薄膜10は、それぞれ、所定
の成膜方法で所定の成膜条件のもとに内部応力が引張応
力になるように成膜された下半部11と、同じ成膜方法
で例えばイオンアシストを付加する等成膜条件を変える
ことで内部応力が圧縮応力になるように成膜された上半
部12からなり、同様に低屈折率材料の薄膜20も、そ
れぞれ、所定の成膜方法で所定の成膜条件のもとに内部
応力が引張応力になるように成膜された下半部21と、
同じ成膜方法で例えばイオンアシストを付加する等成膜
条件を変えることで内部応力が圧縮応力になるように成
膜された上半部22からなる。
【0015】このように、各薄膜10,20を成膜する
工程中に成膜条件を変えることで、各薄膜10,20の
下半部11,21と上半部12,22に互に逆向きの内
部応力を発生させてこれらを相殺し、各薄膜10,20
の内部応力が許容値以下になるように成膜する。各薄膜
10,20の内部応力の許容値は、光学薄膜2全体の内
部応力の許容値に基づいて設定される。例えば、レーザ
光を用いた干渉計によって光学薄膜2の表面の平面度を
測定した場合に干渉縞の変化量が±N本以下であるため
には、以下の式を用いて光学薄膜2全体の内部応力の許
容値σ0 を算出し、これを各薄膜10,20に割り当て
たものを各薄膜10,20の内部応力の許容値σとす
る。
【0016】
【数1】 E:基板のヤング率 D:基板の厚み ν:基板のポアソン比 L:基板の長さ λ:干渉計測定光の波長 N:干渉縞の変化量 式(1)によって、例えば、光学薄膜2の平面度が波長
633nmのレーザ光を用いた干渉縞の変化量±10本
以下であるための光学薄膜2全体の内部応力の許容値σ
0 を算出し、これを、光学薄膜2の層数で除したものが
各薄膜10,20の内部応力の許容値σとなる。
【0017】各薄膜10,20の下半部の膜厚d1 と上
半部の膜厚d2 は以下の連立方程式を解くことで求めら
れる。
【0018】 d=d1 +d2 ・・・・・(2) σ=(σ1 d1 +σ2 d2 )/(d1 +d2 )・・・・(3) ここで、d:各薄膜10,20の全体の膜厚 σ1 :各薄膜10,20の下半部の内部応力 σ2 :各薄膜10,20の上半部の内部応力 なお、内部応力σ0 ,σ,σ1 ,σ2 が引張応力である
ときは正の値、圧縮応力であるときは負の値で表わされ
る。
【0019】このように、基板に成膜される各薄膜ごと
に成膜中に成膜条件を変えるだけで各薄膜の内部で内部
応力を相殺するものであるため、基板を予め歪ませてお
く場合のように光学薄膜の製造工程数が増えて光学薄膜
が高コスト化するおそれはない。すなわち、薄膜の内部
応力のために基板が歪んだり、膜剥れを起す等のトラブ
ルを回避して高性能でしかも安価な光学薄膜を得ること
ができる。また、光学薄膜が単層である場合や、基板の
片面のみに光学薄膜を設ける場合に不都合を生じること
はない。
【0020】なお、各薄膜を成膜中に成膜条件を変える
替わりに成膜方法を変えてもよい。さらに、成膜条件や
成膜方法を変える回数は1回に限らず、何回でもよい。
【0021】また、各薄膜を成膜する材料としては、M
gF2 、ZrO2 、TiO2 、SiO2 、Al2 O3 、
Ta2 O5 、HfO2 、Y2 O3 、SnO2 、ZnS等
任意のものを用いることができる。
【0022】(第1具体例)基板として厚みが0.5m
mと薄い光学ガラスを用い、該ガラス基板上に高屈折率
材料として混合物質A(ZrO2 /TiO2 =6/1)
からなる層を高屈折率層とし、MgF2 からなる層を低
屈折率層とし、それぞれを交互に合計40層積層し、6
33nmを中心波長とする光学薄膜である誘電体高反射
積層膜を形成する。この光学薄膜の平面度を表す干渉縞
の変化量が、633nmのレーザ光を利用した干渉計に
おいて、完全平面を基準として、±10本以下であれ
ば、光学薄膜の内部応力が充分小さくて基板が歪んだり
膜剥がれを生じるおそれはない。
【0023】そこで、高屈折率層、低屈折率層それぞれ
の成膜時に、予め以下の要領で求めておいた2種類の成
膜方法でそれぞれ設定された膜厚に成膜した。これによ
って、誘電体高反射積層膜全体の応力による干渉縞の変
化量が9.6本で、薄膜の内部応力に起因する基板の変
形が極めて少なく、面精度の良好な誘電体高反射鏡が得
られた。
【0024】誘電体高反射積層膜全体で干渉縞の変化量
を±10本以下にするためには、式(1)から、誘電体
高反射積層膜全体の応力値を6.8×106 n/m2 以
下にしなければならない。各層の成膜時の条件のばらつ
き等を考慮すると、式(2)、式(3)から各層の応力
値をほぼ0n/m2 を目標とすればよいことが判る。
【0025】高屈折率層の下半部は、電子銃加熱の通常
の蒸着法(以下、「EB法」という。)によって成膜さ
れた部分であり、また、高屈折率層の上半部は、EB法
成膜中に上記基板に向けてArイオン照射を同時に行な
うイオンアシスト成膜方法(以下、「IAD法」とい
う。)によって成膜された部分であり、それぞれ成膜圧
力、成膜速度、成膜温度は以下の表1に示す通りであっ
た。この条件で成膜した混合物質Aの応力値を予め測定
したのが表1中の応力の数値である。
【0026】表1の条件ではEB法で成膜された混合物
質膜は引張応力+2.0×108 n/m2 、IAD法で
成膜された混合物質膜は圧縮応力−2.0×108 n/
m2であるので、高屈折率層の応力値をほぼσ=0n/
m2 とするには、高屈折率層においてEB法、IAD法
による下半部と上半部の膜厚比を概略1:1にすればよ
いことが判る。
【0027】同様に、低屈折率層の下半部はEB法によ
り成膜された部分であり、また、低屈折率層の上半部
は、IAD法で成膜された部分であり、それぞれ成膜圧
力、成膜速度、成膜温度は以下の表2に示す通りであっ
た。この条件で成膜したMgF2 の応力値を予め測定し
たものが表2の応力の数値である。
【0028】表2の条件ではEB法で成膜されたMgF
2 膜は引張応力+2.25×108n/m2 、IAD法
で成膜されたMgF2 膜は圧縮応力−1.5×108 n
/m2 であるので、式(2)および式(3)より、低屈
折率層の応力をほぼσ=0n/m2 とするには、低屈折
率層においてEB法、IAD法による下半部と上半部の
それぞれの膜厚比をほぼ2:3にすればよいことが判
る。
【0029】また上記規格の光学薄膜の、各層の成膜法
と膜厚は表3に示す通りである。
【0030】作成された光学薄膜の分光反射率曲線は図
2に示すように、波長633nmを中心とし、633n
mでの反射率99%以上、かつ、作成された誘電体高反
射積層膜全体の応力による干渉縞の変化量が9.6本と
なり、膜の応力により発生する基板の変形が極めて少な
く、面精度の良好な誘電体高反射鏡が得られた。
【0031】また、この誘電体高反射積層膜は空気と接
する最外層が、IAD法で成膜されているため、機械的
試験(こすり試験)、高温高湿試験、溶剤浴試験の結果
は表4に示すようにEB法のみにより成膜した場合より
良好な結果を示した。
【0032】
【表1】
【0033】
【表2】
【0034】
【表3】 層番号:基板側から1,2,3,....,38,39,40
【0035】
【表4】 EB法による膜:本具体例と同一材料、構成でEB法のみで作成 こすり試験:レンズクリーニング紙 300g荷重 10往復 高温高湿試験:70度 85% 500時間 溶剤浴試験:エタノール 100時間 (第2具体例)極めて薄い透明ガラス基板(厚み0.1
mm)上に高屈折率材料としてTiO2 からなる層を高
屈折率層Tとし、低屈折率材料としてSiO2 からなる
層を低屈折率層Sとして、TS(TS)8 TSの膜構成
で積層し、波長600nmにおいて透過率が60%、波
長620nm以上において透過率85%以上、波長45
0nm〜560nmにおいて透過率5%以下、波長63
3nmのレーザ光干渉計(分解能0.01本)による完
全平面を基準とした干渉縞の変化が無い光学薄膜である
赤透過フィルタ膜を形成する。
【0036】赤透過フィルタ膜全体で、干渉縞の変化量
±0本とするためには、干渉計の干渉縞分解能以下の応
力値、すなわち、赤透過フィルタ膜全体で応力値を3.
5×102 n/m2 以下にしなければならない。式
(2)および式(3)によって各層の応力値をほぼ0n
/m2 を目標とすればよいことが判る。
【0037】そこで、高屈折率層、低屈折率層それぞれ
の成膜時に、予め以下の要領で求めておいた2種類の成
膜方法、成膜条件でそれぞれ求めた膜厚に成膜すること
で、赤透過フィルタ膜全体の応力による干渉縞の変化
が、±0本となり、膜の応力により発生する基板の変形
がなく、面精度の変化のない赤透過フィルタが得られ
た。
【0038】高屈折率層の下半部はEB法により成膜さ
れ、高屈折率層の上半部は、EB法成膜中にRFプラズ
マを発生させることを同時に行なうRFイオンプテーテ
ィング成膜方法(以下、「RFIP法」という。)で成
膜された部分であり、それぞれ成膜圧力、成膜速度、成
膜温度は以下の表5に示した条件で成膜されている。こ
の条件で成膜したTiO2 の応力値を予め測定したのが
表5中の応力の数値である。
【0039】表5の条件ではEB法で成膜されたTiO
2 の下半部は引張応力+2.0×108 n/m2 、RF
IP法で成膜されたTiO2 の上半部は圧縮応力−2.
0×108 n/m2 である。高屈折率層の応力をσ=0
n/m2 とするには、高屈折率層においてEB法、RF
IP法によって成膜される部分のそれぞれの膜厚比を
1:1にすればよいことが判る。
【0040】同様に、低屈折率層の下半部はIAD法に
より成膜された部分であり、低屈折率層の上半部は、同
じIAD法で成膜速度を変えて成膜する。それぞれ成膜
圧力、成膜速度、成膜温度は以下の表6に示した条件で
成膜されている。この条件で成膜したSiO2 膜の応力
値を予め測定したのが表6中の応力の数値である。
【0041】表6の条件ではSiO2 の下半部は引張応
力+1×108 n/m2 、SiO2の上半部は圧縮応力
−1×108 n/m2 であるので、低屈折率層の応力を
σ=0n/m2 とするには、低屈折率層の下半部と上半
部の膜厚比を1:1にすればよいことが判る。
【0042】また、上記規格の赤透過フィルタ膜の、各
層の成膜方法と膜厚は表7のとおりである。
【0043】このように作成された赤外線フィルタ膜の
分光透過率曲線は図3のように、600nmでの透過率
が60%であり、620nm以上において透過率85%
以上、450nm〜560nmにおいて透過率5%以下
であり、また、赤透過フィルタ全体の応力による干渉縞
の変化がなく、従って、膜の応力により発生する基板の
変形のおそれがなくて、基板面精度に変化をきたさない
赤透過フィルタが得られた。
【0044】また、この赤外線フィルタ膜は空気と接す
る最外層がRFIP法で成膜されているため、機械的試
験(こすり試験)、高温高湿試験、溶剤浴試験の結果は
表8のようにEB法にのみにより成膜したものよりも良
好な結果を示した。
【0045】
【表5】
【0046】
【表6】
【0047】
【表7】 層番号:基板側から1,2,3,....,38,39,40
【0048】
【表8】 EB法による膜:本具体例と同一材料、構成でEB法のみで作成 こすり試験:レンズクリーニング紙 300g荷重 10往復 高温高湿試験:70度 85% 500時間 溶剤浴試験:エタノール 100時間 (第3具体例)透明樹脂基板(厚み0.2mm)にAl
2 O3 からなる中間屈折率層M、混合物質Aからなる高
屈折率層H、MgF2 からなる低屈折率層Lを基体側か
らM/H/Lの様に積層し、633nmレーザー光干渉
計による完全平面を基準とした干渉縞の変化が±5本以
下の光学薄膜である可視光反射防止膜を形成した。
【0049】このとき、中間屈折率層、高屈折率層、低
屈折率層それぞれの成膜時に、予め以下の要領で求めて
おいた2種類の成膜方法、成膜条件でそれぞれ求めた膜
厚に成膜することで、反射防止膜全体の応力による干渉
縞の変化が4.5本となり、膜の応力により発生する樹
脂基板の変形がなく、面精度の良好な反射防止の施され
た光学部品が得られた。
【0050】反射防止膜全体で干渉縞の変化量を±5本
以下とするためには、反射防止膜全体の応力値を3.4
×106 n/m2 以下にしなければならない。従って、
各層の応力値をほぼ0n/m2 にすることを目標とすれ
ばよい。
【0051】中間屈折率層の下半部はEB法により成膜
され、中間屈折率層の上半部は、EB法成膜中にDCア
ークプラズマを発生させることを同時に行なうDCイオ
ンプテーティング成膜方法(以下、「DCIP法」とい
う。)で成膜された部分であり、それぞれ成膜圧力、成
膜速度、成膜温度は以下の表9に示した条件で成膜され
る。この条件で成膜したAl2 O3 の応力値を予め測定
したのが表9中の応力の数値である。
【0052】表9の条件でEB法によって成膜されたA
l2 O3 の下半部は引張応力+1.0×108 n/m
2 、DCIP法で成膜されたAl2 O3 の上半部は圧縮
応力−2.0×108 n/m2 であるので、中間屈折率
層の応力をほぼσ=0n/m2とするには、中間屈折率
層における下半部と上半部のそれぞれの膜厚比を2:1
にすればよいことが判る。
【0053】高屈折率層の下半部はIAD法により成膜
され、高屈折率層の上半部は、同じIAD法で成膜速度
と成膜圧力を変えて成膜された部分であり、それぞれ成
膜圧力、成膜速度、成膜温度は以下の表10に示した条
件で成膜されている。この条件で成膜した混合物質Aの
応力値を予め測定したのが表10中の応力の数値であ
る。
【0054】表10の条件では、混合物質Aの下半部は
引張応力+5.0×107 n/m2、混合物質Aの上半
部は圧縮応力−1.5×108 n/m2 であるので、高
屈折率層の応力をほぼσ=0n/m2 とするには、高屈
折率層の下半部と上半部のそれぞれの膜厚比を3:1に
すればよいことが判る。
【0055】同様に低屈折率層の下半部は、IAD法に
より成膜された部分であり、また、低屈折率層の上半部
は、同じIAD法で成膜速度と成膜圧力を変えて成膜す
る。それぞれ成膜圧力、成膜速度、成膜温度は以下の表
11に示した条件で成膜されている。この条件で成膜し
たMgF2 膜の応力値を予め測定したのが表11中の応
力の数値である。
【0056】表11の条件では、MgF2 の下半部は引
張応力+3.0×108 n/m2 、上半部は圧縮応力−
1.5×108 n/m2 であるので、低屈折率層の応力
をほぼσ=0n/m2 とするには、低屈折率層の下半部
と上半部のそれぞれの膜厚比を2:1にすればよいこと
が判る。
【0057】また、上記規格の可視光反射防止膜の、各
層の成膜法と膜厚は表12のとおりである。
【0058】このようにして作成された可視光反射防止
膜の分光反射率曲線は図4のようになり、良好な反射防
止効果のある光学部品が得られることが判る。この反射
防止膜の応力による面変形からの干渉縞の変化量は4.
5本となり、膜の応力により発生する光学部品の面精度
の変化が極めて少ないものが得られた。
【0059】また、この反射防止膜は空気と接する最外
層がIAD法で成膜されているため、機械的試験(こす
り試験)、高温高湿試験、溶剤浴試験の結果は表13の
ようにEB法のみにより成膜したものよりも良好な結果
を示した。
【0060】
【表9】
【0061】
【表10】
【0062】
【表11】
【0063】
【表12】 層番号:基板側から1,2,3,4,5,6
【0064】
【表13】 EB法による膜:本具体例と同一材料、構成でEB法のみで作成 こすり試験:レンズクリーニング紙 300g荷重 10往復 高温高湿試験:70度 85% 500時間 溶剤浴試験:エタノール 100時間 (第4具体例)非常に薄い透明ガラス基板(厚み0.5
mm)に、MgF2 からなる低屈折率膜を成膜し、単層
反射防止膜全体で633nmレーザ光による完全平面を
基準とした干渉縞の変化量が±0本の光学薄膜である可
視光単層反射防止膜を形成した。
【0065】このとき、低屈折率層成膜時に、予め以下
の要領で求めておいた2種類の成膜方法、成膜条件でそ
れぞれ求めた膜厚に成膜することで、反射防止膜全体の
応力による干渉縞の変化量を±0本以下とするために
は、反射防止膜全体で応力値を1.2×103 n/m2
以下にしなければならない。式(2)および式(3)か
ら反射防止膜の応力値をほぼ0n/m2 を目標とすれば
よいことが判る。
【0066】低屈折率層の下半部はIAD法により成膜
され、また、低屈折率層の上半部は同じIAD法で成膜
温度を変えて成膜された部分であり、それぞれ成膜圧
力、成膜速度、成膜温度は以下の表14に示した条件で
成膜されている。この条件で成膜したMgF2 の応力値
を予め測定したのが表14中の応力の数値である。
【0067】表14の条件ではMgF2 の下半部は引張
応力+3.0×108 n/m2 、MgF2 の上半部は圧
縮応力−1.0×108 n/m2 であるので、低屈折率
層の下半部と上半部のそれぞれの膜厚比を1:3にすれ
ばよいことが判る。
【0068】このようにして作成された反射防止膜の分
光反射率曲線は図5のようになり、良好な反射防止効果
のある光学部品が得られた。作成された反射防止膜全体
の応力による干渉縞の変化が、±0本となり、膜の応力
により発生する基板面精度の変化がないものが得られ
た。
【0069】また、この反射防止膜は空気と接触する最
外層がIAD法で成膜されているため、機械的試験(こ
すり試験)、高温高湿試験、溶剤浴試験の結果は表16
のようにEB法のみにより成膜したものよりも良好な結
果を示した。
【0070】
【表14】
【0071】
【表15】
【0072】
【表16】 EB法による膜:本具体例と同一材料、構成でEB法のみで作成 こすり試験:レンズクリーニング紙 300g荷重 10往復 高温高湿試験:70度 85% 500時間 溶剤浴試験:エタノール 100時間 (第5具体例)極めて薄い透明ガラス基板(厚み0.1
mm)上に、Ta2 O5 からなる層を高屈折率層Tと
し、SiO2 からなる層を低屈折率層Sとし、TSTS
の膜構成で積層し、45度入射光において、波長450
〜650nmで反射率40〜60%の光学薄膜であるハ
ーフミラー膜で、633nmレーザ光干渉計による完全
平面を基準とした干渉縞の変化量が±1本以下のものを
形成した。
【0073】このとき、高屈折率層、低屈折率層それぞ
れの成膜時に、予め以下の要領で求めておいた2種類の
成膜方法、成膜条件でそれぞれ求めた膜厚に成膜するこ
とで、ハーフミラー膜全体の応力による干渉縞の変化量
を±1本以下とするためには、ハーフミラー膜全体で応
力値を1.2×103 n/m2 以下にしなければならな
い。式(2)および式(3)からハーフミラー膜の各層
の応力値をほぼ0n/m2 を目標とすればよいことが判
る。
【0074】高屈折率層の下半部はEB法により成膜さ
れ、また、高屈折率層の上半部はIAD法で成膜され
る。それぞれ成膜圧力、成膜速度、成膜温度は以下の表
17に示した条件で成膜されている。この条件で成膜し
たTa2 O5 の応力値を予め測定したのが表17中の応
力の数値である。
【0075】表17の条件ではTa2 O5 の下半部は引
張応力+2.0×108 n/m2 、Ta2 O5 の上半部
は圧縮応力−2.0×108 n/m2 であるので、高屈
折率層の応力をほぼσ=0n/m2 とするには、高屈折
率層の下半部と上半部のそれぞれの膜厚比を1:1にす
ればよいことが判る。
【0076】同様に、低屈折率層の下半部はIAD法に
より成膜された部分であり、また、低屈折率層の上半部
は同じIAD法で成膜速度を変えて成膜する。それぞれ
成膜圧力、成膜速度、成膜温度は以下の表20に示した
条件で成膜されている。この条件で成膜したSiO2 膜
の応力値を予め測定したのが表18中の応力の数値であ
る。
【0077】表18の条件では、SiO2 の下半部の引
張応力+1.5×108 n/m2 、上半部は圧縮応力−
2.5×108 n/m2 であるので、低屈折率層をほぼ
σ=0n/m2 とするには、低屈折率層の下半部と上半
部のそれぞれの膜厚比を5:3にすればよいことが判
る。
【0078】また、上記規格のハーフミラー膜の各層の
成膜方法と膜厚は表19のとおりである。
【0079】このようにして作成されたハーフミラー膜
の分光透過率曲線は図6に示す。この図から、上記規格
を満足するハーフミラー膜であることが判る。作成され
たハーフミラー膜全体の応力による干渉縞の変化は、±
0.7本であり、膜の応力により発生する基板の変形が
ほとんどなく、基板面精度の良好なハーフミラー膜が得
られた。
【0080】また、このハーフミラー膜は空気と接する
最外層がIAD法で成膜されているため、機械的試験
(こすり試験)、高温高湿試験、溶剤浴試験の結果は表
20のようにEB法のみにより成膜したものよりも良好
な結果を示した。
【0081】
【表17】
【0082】
【表18】
【0083】
【表19】 層番号:基板側から1,2,3,・・・,7,8
【0084】
【表20】 EB法による膜:本具体例と同一材料、構成でEB法のみで作成 こすり試験:レンズクリーニング紙 300g荷重 10往復 高温高湿試験:70度 85% 500時間 溶剤浴試験:エタノール 100時間
【0085】
【発明の効果】本発明は上述のとおり構成されているの
で、次に記載するような効果を奏する。
【0086】光学薄膜の内部応力を光学薄膜を構成する
各薄膜内で相殺し、前記内部応力のために基板等が歪ん
だり薄膜剥がれを起こすおそれのない高性能でしかも安
価な光学薄膜を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】一実施例による光学薄膜の膜構成を示すもので
ある。
【図2】第1具体例の光学特性を示すグラフである。
【図3】第2具体例の光学特性を示すグラフである。
【図4】第3具体例の光学特性を示すグラフである。
【図5】第4具体例の光学特性を示すグラフである。
【図6】第5具体例の光学特性を示すグラフである。
【符号の説明】
1 基板 2 光学薄膜 10 高屈折率層の薄膜 20 低屈折率層の薄膜
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 G02B 5/08 G02B 1/10 A

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基体に成膜された少なくとも1層の薄膜
    を有し、該薄膜の内部応力が、その膜厚方向に圧縮応力
    から引張応力またはこの逆に変化していることを特徴と
    する光学薄膜。
  2. 【請求項2】 基体に積層された複数層の薄膜を有し、
    各薄膜の内部応力が、その膜厚方向に圧縮応力から引張
    応力またはこの逆に変化していることを特徴とする光学
    薄膜。
  3. 【請求項3】 光学薄膜の平面度が干渉縞の変化量±1
    0本以下になるように前記光学薄膜全体の内部応力が低
    減されていることを特徴とする請求項1または2記載の
    光学薄膜。
  4. 【請求項4】 光学薄膜の表面層が、DCアークプラズ
    マ、RFイオンプレーティングまたはイオンアシストを
    用いた成膜方法によって成膜されたものであることを特
    徴とする請求項1ないし3いずれか1項記載の光学薄
    膜。
  5. 【請求項5】 基体の表面に少なくとも1層の薄膜を成
    膜する工程を有し、該工程中に成膜方法および成膜条件
    の少なくとも一方を変えることで、前記薄膜の内部応力
    をその膜厚方向に圧縮応力から引張応力またはこの逆に
    変化させることを特徴とする光学薄膜の製造方法。
  6. 【請求項6】 基体の表面に複数層の薄膜を積層する工
    程を有し、各薄膜の成膜中に成膜方法および成膜条件の
    少なくとも一方を変えることで、各薄膜の内部応力をそ
    の膜厚方向に圧縮応力から引張応力またはこの逆に変化
    させることを特徴とする光学薄膜の製造方法。
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