JPH0987227A - ケトンの製造方法 - Google Patents

ケトンの製造方法

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JPH0987227A
JPH0987227A JP26909395A JP26909395A JPH0987227A JP H0987227 A JPH0987227 A JP H0987227A JP 26909395 A JP26909395 A JP 26909395A JP 26909395 A JP26909395 A JP 26909395A JP H0987227 A JPH0987227 A JP H0987227A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 臭素酸又はその塩を用い、二級アルコールを
高い転化率および選択率で酸化し、対応するケトンを生
成させる。 【解決手段】 塩酸、硫酸、硝酸およびリン酸から選ば
れた少なくとも一種の無機酸又は有機酸(有機カルボン
酸など)による酸性条件下、二級アルコールのヒドロキ
シル基に対して、臭素酸又はその塩0.4〜1モル当量
を用いて二級アルコールを酸化することにより、対応す
るケトンを製造する。二級アルコールには、脂肪族アル
コール、脂環族アルコールなどが含まれ、一価又は多価
アルコールであってもよい。この反応では、前記ケトン
とともに臭素が生成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、二級アルコールを
酸化して対応するケトンを製造する方法、特に工業的に
入手が容易な二級アルコールを一段階でケトン類へ変換
する改良方法に関する。
【0002】
【従来の技術】アルコールを酸化によりケトンへ変換す
る反応として、種々の酸化反応、例えば、クロム酸によ
る酸化、二酸化マンガンによる酸化、スワン酸化に代表
されるジメチルスルホキシドによる酸化、次亜ハロゲン
酸塩やハロゲン酸塩による酸化、オペナウアー酸化に代
表されるカルボニル化合物による酸化、セレン化合物に
よる酸化、ルテニウムなどの遷移金属触媒による酸化な
どが知られている(日本化学会編,「実験化学講座 有
機合成III −アルデヒド・ケトン・キノン−」,第4
版,丸善(株),1991, 21巻, 196-240頁)。
【0003】これらの反応は、それぞれ酸化剤の種類に
応じた特色を有している。しかし、クロム酸、二酸化マ
ンガン、セレン化合物による酸化では、反応終了後、残
留する有害な金属化合物を処理する必要がある。さら
に、ジメチルスルホキシドによる酸化、オペナウアー酸
化では、共酸化剤を必要とし、遷移金属触媒を用いる方
法では、高価な触媒を用いる必要がある。
【0004】このような点から、酸化剤として次亜ハロ
ゲン酸塩やハロゲン酸塩を用いて酸化するのが有利であ
り、次亜ハロゲン酸、亜ハロゲン酸、ハロゲン酸又はこ
れらの塩を酸化剤として用いる反応が提案されている。
特に、次亜ハロゲン酸塩、中でも次亜塩素酸ナトリウム
(アンチホルミル)や次亜塩素酸カルシウム(サラシ
粉)は、安価であり工業的にも入手が容易であるため、
酸化剤として広く利用されている。例えば、特開平4−
59742号公報には、次亜塩素酸又はその塩により、
2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパ
ンを酸化し、対応するケトンである2,2−ビス(4−
オキシシクロヘキシル)プロパンを得ることが開示され
ている。しかし、次亜ハロゲン酸又はその塩を酸化剤と
する反応では、酸化されるアルコールのヒドロキシル基
に対して、次亜ハロゲン酸換算で、少なくとも等モル量
の次亜ハロゲン酸又はその塩が必要である。すなわち、
このような酸化反応を工業的に実施する場合、生成物1
モルに対して、少なくとも最低1グラム原子分のハロゲ
ンを含む化合物を処理し、無害化して排出する必要があ
る。
【0005】ハロゲン含有化合物の処理の負荷を軽減す
るためには、酸素/ハロゲン比が大きな亜ハロゲン酸、
ハロゲン酸又はそれらの塩を酸化剤として用いるのが有
利であると思われる。亜ハロゲン酸又はその塩を酸化剤
として用いる場合、二級アルコールの選択的酸化に有用
な亜臭素酸ナトリウムを用いる例が多い(日本化学会
編,「実験化学講座 有機合成III −アルデヒド・ケト
ン・キノン−」,第4版,丸善(株),1991, 21巻, 21
9頁、および「有機合成化学協会誌」42巻,751頁(198
4))。また、亜臭素酸ナトリウムを用いて種々の二級ア
ルコールをケトンへ変換する例も報告されている(影
山,Synthesis(シンセシス),815頁, (1984))。しか
し、高い収率でケトンを得るためには、基質アルコール
に対して、3モル当量という過剰量の亜臭素酸ナトリウ
ムが使用されている。
【0006】一方、ハロゲン酸又はその塩を酸化剤とし
て用いる場合、次亜ハロゲン酸、亜ハロゲン酸又はこれ
らの塩に比べて、その使用量が少量である。例えば、特
開平1−305053号公報には、ルテニウム触媒、オ
ニウム塩およびオルトリン酸塩の存在下、α−オキシエ
ステル類を臭素酸塩により酸化し、α−ケトエステルを
製造する方法が開示されている。しかし、この酸化系で
は、高価なルテニウム触媒を必要とするだけでなく、基
質に対して2モル倍量の臭素酸塩を用いている。特開平
2−157247号公報には、臭素酸塩とスルファミン
酸とを用いて、1−アシルオキシ−3−クロロ−2−プ
ロパノールを酸化し、1−アシルオキシ−3−クロロ−
2−プロパノンを製造する方法が開示されている。この
文献にも、基質に対して等モル以上の臭素酸塩の使用が
好適であると記載されている。
【0007】さらに、臭素酸ナトリウム−臭化水素酸系
を用いて、アルコールやエーテルからエステルの合成、
シオールからラクトンの合成、二級アルコールからケト
ンの合成についても報告されている(Bulletin of the
Chemical Society of Japan,59巻,77頁 (1986))。こ
の文献には、二級アルコールからケトンへの変換には、
二級アルコールのヒドロキシル基に対して0.5モル当
量の臭素酸ナトリウムを用いると、酸化反応がほぼ定量
的に進行することが記載されている。さら、この文献に
記載されている理論によると、理論的に最低必要な臭素
酸ナトリウムの量は、酸化されるアルコールのヒドロキ
シル基に対して、0.33モル当量である。しかし、こ
の文献に記載の経路を経て反応が進行するためには、触
媒量の臭化水素酸が必須である。さらに、この反応は水
が生成する反応であるだけでなく、溶媒の一部として水
が使用されている。そして、水の共存下では、臭化水素
酸が装置材料に対して高い腐食性を有するため、臭化水
素酸の使用は工業的に不利である。また、臭化水素酸は
高価であり、毒性も高い。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の目的
は、少量の臭素酸又はその塩を用い、高い転化率および
選択率で、二級アルコールから対応するケトン類を製造
する方法を提供することにある。本発明の他の目的は、
副生物の処理負荷を大きく低減できるとともに、装置材
料の腐食を抑制でき、工業的に有利にケトンを製造でき
る方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記目的
を達成するため鋭意検討の結果、特定の無機酸又は有機
酸で調整した酸性条件下、臭素酸又はその塩で二級アル
コールを酸化すると、臭素が生成するとともに、少量の
臭素酸又はその塩で効率よく定量的に酸化できることを
見いだし、さらに検討を重ねた結果、本発明を完成し
た。
【0010】すなわち、本発明の方法では、塩酸、硫
酸、硝酸およびリン酸から選ばれた少なくとも一種の無
機酸又は有機酸の存在下、二級アルコールのヒドロキシ
ル基に対して、臭素酸換算で、0.4モル当量以上1モ
ル当量未満の臭素酸又はその塩を用いて二級アルコール
を酸化することによりケトンを製造する。この反応にお
いて、臭素酸又はその塩の使用量は、二級アルコールの
ヒドロキシル基に対して0.4〜0.8モル当量程度で
あってもよく、二級アルコールは脂環族アルコールであ
ってもよい。前記有機酸には有機カルボン酸などが含ま
れる。さらに本発明の方法には、塩酸、硫酸、硝酸およ
びリン酸から選ばれた少なくとも一種の無機酸又は水溶
性有機カルボン酸で調整した酸性条件下、二級アルコー
ルのヒドロキシル基に対して、臭素酸アルカリ金属塩
0.4〜0.7モル当量を用いて二級アルコールを酸化
し、対応するケトンと臭素とを生成させる方法も含まれ
る。本明細書において、「二級アルコール」とは、少な
くとも1個の二級ヒドロキシル基を有するアルコールを
意味する。なお、二級アルコールを単に「アルコール」
と称する場合がある。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明の方法では、下記反応式で
表されるように、二級アルコール(1)から対応するケ
トン(2)を生成させる。
【0012】
【化1】 (式中、R1 及びR2 は、同一又は異なって、アルキル
基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、
アラルキル基を示し、R1 及びR2 は互いに結合して非
芳香族環を形成してもよい) 前記式において、R1 及びR2 で表されるアルキル基に
は、直鎖状又は分枝鎖状C1-20アルキル基(好ましくは
1-10アルキル基)が含まれ、アルケニル基には、例え
ば、ビニル、1−プロペニル、2−プロペニル、イソプ
ロペニル、ブテニル、ペンテニル基などのC2-10アルケ
ニル基が含まれ、アルキニル基には、例えば、エチニ
ル、プロピニル基などのC2-10アルキニル基が含まれ
る。R1 及びR2 で表されるシクロアルキル基として
は、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペ
ンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオク
チルなどのC3-20シクロアルキル基(好ましくはC4-10
シクロアルキル基)が含まれ、アラルキル基には、例え
ば、ベンジル、フェネチル基などのC6-12アリール−C
1-4アルキル基などが含まれる。
【0013】二級アルコールには、二級ヒドロキシル基
を有する一価アルコールや多価アルコールなどが含まれ
る。二級アルコールのうち一価アルコールには、例え
ば、2−プロパノール、2−ブタノール、2−ペンタノ
ール、3−ペンタノール、2−ヘキサノール、3−ヘキ
サノール、2−ヘプタノール、2−オクタノールなどの
炭素数1〜20程度の脂肪族アルコール;シクロペンタ
ノール、シクロヘキサノール、2−メチルシクロヘキサ
ノール、3−メチルシクロヘキサノール、4−メチルシ
クロヘキサノール、4−t−ブチルシクロヘキサノー
ル、シクロヘプタノール、シクロオクタノールなどの置
換基(アルキル基など)を有していてもよい炭素数3〜
12程度の脂環族アルコール;1,1−ジフェニルメタ
ノール、2−フェニル−2−エタノール、1,1−ジフ
ェニルエタノールなどの芳香族アルコール;乳酸、リン
ゴ酸、酒石酸、マンデル酸、2−ヒドロキシ−4−フェ
ニルブタン酸などのヒドロキシカルボン酸またはその塩
などが含まれる。ヒドロキシカルボン酸はα−ヒドロキ
シカルボン酸である場合が多い。ヒドロキシカルボン酸
の塩には、例えば、無機塩基との塩(アンモニウム塩、
ナトリウム塩、カリウム塩などのアルカリ金属塩な
ど)、有機塩基との塩(トリメチルアミン、トリエチル
アミンなどのアミン類との塩など)が含まれる。
【0014】多価アルコールには、例えば、1,2−プ
ロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブ
タンジオール、2,3−ブタンジオール、1,2−ペン
タンジオール、1,3−ペンタンジオール、2,3−ペ
ンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,3−
ヘキサンジオール、1,4−ヘキサンジオール、2,3
−ヘキサンジオール、2,4−ヘキサンジオール、2,
5−ヘキサンジオール、1,2−オクタンジオールなど
の炭素数3〜20程度の脂肪族多価アルコール;1,2
−シクロペンタンジオール、1,3−シクロペンタンジ
オール、1,2−シクロヘキサンジオール、1,3−シ
クロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオー
ル、1,2−シクロヘプタンジオール、1,3−シクロ
ヘプタンジオール、1,4−シクロヘプタンジオール、
1,2−シクロオクタンジオール、1,3−シクロオク
タンジオール、1,4−シクロオクタンジオール、1,
5−シクロオクタンジオール、ビス(4−ヒドロキシシ
クロヘキシル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ
シクロヘキシル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキ
シシクロヘキシル)プロパン、メントール、ボルネオー
ルなどの脂環族多価アルコール;単糖類(例えば、トレ
オース、アラビノース、リボース、キシロース、グルコ
ース、ガラクトース、マンノース、フルクトースな
ど)、2〜10の単糖単位を含むオリゴ糖類(例えば、
スクロース、マルトース、ラクトースなどの2糖類;ラ
フィノースなどの3糖類など)、11以上の単糖単位を
含む多糖類(デンプン、可溶性デンプンなど)などの糖
類;ペンタエリトリット、エリトリット、アラビット、
キシリット、ソルビット、マンニット、イノシットなど
の糖アルコール;ソルビットの分子内脱水縮合物(1,
4−ソルビタン、3,6−ソルビタン、1,5−ソルビ
タン、1,4,3,6−ソルビドなど)、マンニットの
分子内脱水縮合物(マンニタンなど)などの鎖状糖アル
コールの分子内脱水縮合生成物;およびコレステロー
ル、テストステロールなどのステロイド化合物などが含
まれる。
【0015】これらの二級アルコールは、二重結合など
の不飽和結合を有していてもよく、ハロゲン原子、アル
コキシ基(例えば、C1-6 低級アルコキシ基)、カルボ
ニル基、アシル基(例えば、C1-7 低級アシル基)、カ
ルボキシル基、アルコキシカルボニル基(例えば、C
1-6 低級アルコキシ−カルボニル基)、アミノ基、アル
キルアミノ基(例えば、モノ−又はジ−C1-4 アルキル
アミノ基)や、前記カルボキシル基などの官能基を有す
るアルコールであってもよい。
【0016】ケトンの生成反応において、二級アルコー
ルとしては、二級ヒドロキシル基を有する一価又は多価
の脂肪族アルコール(例えば、C3-10アルコール又はC
3-10ジオールなど)や、脂環族アルコール(例えば、C
4-10シクロアルカン環を有する脂環族アルコールな
ど)、特に脂環族アルコールを用いる場合が多い。
【0017】本発明の特色は、特定の酸で調整した酸性
条件下、前記臭素酸又はその塩とを組み合わせた反応系
で、二級アルコールを酸化し、対応するケトンを得る点
にある。前記酸としては、特定の無機酸、有機酸が使用
される。無機酸には、塩酸、硫酸、硝酸およびリン酸が
含まれる。有機酸には、有機カルボン酸(例えば、ギ
酸、酢酸、トリクロロ酢酸、トリフルオロ酢酸、プロピ
オン酸などの飽和カルボン酸、アクリル酸、メタクリル
酸などの不飽和カルボン酸、シュウ酸、マロン酸、コハ
ク酸などの飽和ジカルボン酸、マレイン酸などの不飽和
ジカルボン酸、グリコール酸、乳酸、リンゴ酸、酒石
酸、クエン酸などのなどのオキシカルボン酸など)、ス
ルホン酸(例えば、メタンスルホン酸、エタンスルホン
酸、p−トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸な
ど)が含まれる。有機酸のうち有機カルボン酸を用いる
場合が多い。また、有機酸のうち、水溶性有機酸(例え
ば、水溶性有機カルボン酸)、特に酢酸などの飽和カル
ボン酸などを用いる場合が多い。これらの酸成分は、単
独で又は二種以上組み合わせて使用でき、前記無機酸と
有機酸とを組み合わせて使用してもよい。
【0018】前記無機酸又は有機酸で調整される反応系
は、酸性であればよく、pH7未満(例えば、0.1〜
6程度)、好ましくはpH5以下(例えば、0.5〜4
程度)、さらに好ましくはpH4以下(例えば、0.5
〜3程度)である。なお、極度の強酸性条件では、基質
や反応生成物が分解するなどの悪影響を及ぼす虞があ
る。
【0019】前記無機酸又は有機酸の使用量は、酸化反
応を促進できる範囲で選択でき、例えば、臭素酸又はそ
の塩を臭素酸に換算したとき、臭素酸1モルに対して、
1〜10当量、好ましくは1〜5当量、さらに好ましく
は1〜2.5当量程度であり、1〜1.2当量程度であ
る場合が多い。ただし、これらの酸が反応条件下、液体
である場合には溶媒として用いることもできる。また、
遊離の臭素酸が存在し、反応系が十分に酸性である場合
には、他の酸を用いてもよく、用いなくてもよい。
【0020】本発明で用いる臭素酸又はその塩は、式
M(BrO3 n で表される。(式中、Mは水素原子又
は金属、nは1又は前記金属の価数を示す) Mで表される金属の種類は、臭素酸の活性を損わない限
り特に制限されず、例えば、Na,K,Liなどのアル
カリ金属(周期表1A族金属)、Mg,Ca,Sr,B
aなどのアルカリ土類金属(周期表2A族金属)、S
c,Yなどの周期表3A族金属、Ti,Zrなどの周期
表4A族金属、V、Nbなどの周期表5A族金属、C
r,Mo,Wなどの周期表6A族金属、Mn,Tcなど
の周期表7A族金属、Fe,Ru,Co,Rh,Ni,
Pd,Ptなどの遷移金属(周期表8族金属)、Cu,
Ag,Auなどの周期表1B族金属、Zn,Cdなどの
周期表2B族金属、Al,Gaなどの周期表3B族金
属、Sn,Pbなどの周期表4B族金属、Sb,Biな
どの周期表5B族金属などが含まれる。好ましい金属M
は、水溶性臭素酸塩を形成する場合が多い。
【0021】好ましいMには、水素原子又は1〜3価金
属、例えば、アルカリ金属(ナトリウム、カリウムな
ど)、アルカリ土類金属(マグネシウム、カルシウム、
バリウムなど)、アルミニウムなどの周期表3B族金
属、銀などの周期表1B族金属などが含まれる。経済性
および安全性などを考慮すると、前記Mはナトリウム、
カリウムなどのアルカリ金属である場合が多い。なお、
アルカリ土類金属塩、銀塩などの難溶性塩を形成しやす
い金属塩を用いると、反応溶媒から分離しやすく、分離
精製操作が容易となるなどの利点が生じる場合もある。
nは1又は前記金属Mの価数であり、1〜3程度である
場合が多い。
【0022】臭素酸又はその塩の具体例としては、例え
ば、臭素酸、臭素酸アルカリ金属塩(臭素酸ナトリウム
NaBrO3 、臭素酸カリウムKBrO3 、臭素酸リチ
ウムなど)、臭素酸アルカリ土類金属塩(臭素酸マグネ
シウム、臭素酸カルシウムなど)、臭素酸亜鉛、臭素酸
アルミニウム、臭素酸銀などが挙げられる。これらの臭
素酸又はその塩は単独で又は二種以上組み合わせて使用
できる。二級アルコールの酸化には臭素酸を用いてもよ
いが、安定で取扱いが容易な臭素酸塩、特に臭素酸アル
カリ金属を用いるのが有利である。なお、前記臭素酸又
はその塩は、反応系中で生成すればよく、例えば、臭素
酸アルカリ金属塩は、対応するアルカリ金属水酸化物を
含む水溶液に臭素を吹き込むことにより生成させてもよ
い。前記臭素酸又はその塩は、結晶などの固体、水溶
液、又は適当な有機溶媒溶液として使用でき、水溶液と
して使用する場合が多い。
【0023】前記酸による酸性条件下、臭素酸又はその
塩で二級アルコールを酸化すると、少量の臭素酸又はそ
の塩で効率よく酸化でき、対応するケトンを高い収率で
得ることができる。臭素酸又はその塩の使用量は、臭素
酸換算で、例えば、基質二級アルコールのうち酸化され
るべき二級ヒドロキシル基に対して0.4モル当量以上
であって1モル当量未満、好ましくは0.4〜0.8モ
ル当量、さらに好ましくは0.4〜0.7モル当量程度
であり、0.4〜0.6モル当量程度である場合が多
い。なお、一級ヒドロキシル基と二級ヒドロキシル基と
を有する基質アルコールや、複数の二級ヒドロキシル基
を有する基質アルコールにおいては、少なくとも酸化さ
れるべき二級アルコール基に対して、前記の量の臭素酸
又はその塩を使用すればよい。なお、反応系において基
質アルコールと臭素酸又はその塩の濃度は、反応操作性
などを損わない限り特に制限されない。工業的に実施す
る場合には、基質アルコールの濃度0.01〜10モル
/L、好ましくは0.05〜5モル/L、さらに好まし
くは0.05〜1モル/L程度である。ただし、基質ア
ルコールが反応条件下で液体である場合、基質アルコー
ルの一部又は全部を溶媒として用いることも可能であ
る。
【0024】このような反応では、前記二級アルコール
に対応するケトンとともに臭素が生成するようである。
そのため、本発明の方法は、従来の方法と異なり、次の
ような反応過程を経て進行するものと推測される。 M(BrO3)n + nHA ←→ nHBrO3 +nMA 2HBrO3 +5R12CHOH ←→ 5R12C=O +6H2O +Br2 (式中、Mは前記金属、nは金属の価数、HAは前記有
機酸又は無機酸(プロトン酸)、Aは共役塩基、R1
よびR2は前記に同じ) このような反応過程からすると、酸化されるべき二級ヒ
ドロキシル基に対して0.4モル当量の臭素酸を用いる
ことにより、酸化反応は、定量的に進行するはずであ
り、事実、少量の臭素酸又はその塩により酸化反応が高
い転化率および選択率で進行する。
【0025】二級アルコールの酸化反応は、通常、液相
で行なう場合が多く、溶媒の種類は反応に対して不活性
であれば特に制限されない。二級アルコールの液相酸化
は、臭素酸又はその塩が通常水溶性であるため、溶解性
や取り扱い性などの点から、溶媒の少なくとも一部に水
を用いるのが適当である。また、基質アルコールが水に
対して不溶、微溶又は難溶である場合には、適当な有機
溶媒を用いるのが好ましい。このような有機溶媒には、
水に対して混和性又は相溶性を有し、反応に不活性な有
機溶媒[例えば、アセトニトリル、ホルムミド、ジメチ
ルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ケトン類(ア
セトンなど)、エーテル類(ジオキサン、テトラヒドロ
フランなど)、低級カルボン酸(例えば、ギ酸、酢酸な
ど)、三級アルコール(t−ブタノールなど)またはこ
れらの混合溶媒]、水に対して非混和性であり、反応に
不活性な有機溶媒[例えば、脂肪族炭化水素(ペンタ
ン、ヘキサン、オクタンなど)、脂環族炭化水素(シク
ロヘキサンなど)、芳香族炭化水素(ベンゼン、トルエ
ン、キシレンなど)、ハロゲン化炭化水素(塩化メチレ
ン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタンなど)、ケ
トン類(メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン
など)、エステル類(酢酸メチル、酢酸エチルなど)、
エーテル類(ジエチルエーテルなど)又はこれらの混合
溶媒など]が含まれる。
【0026】溶媒として、水と有機溶媒とを併用する場
合、反応系が均一系又は不均一系(水相と有機溶媒相と
の二相系)のいずれであっても、反応は円滑に進行す
る。例えば、t−ブチルアルコール/水を溶媒として、
水に対して不溶な基質アルコール(例えば、2,2−ビ
ス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパンなど)を
酸化させると、反応が進行するにつれて、均一系から不
均一系に移行するものの、反応は円滑に進行する。不均
一系で反応させる場合、基質アルコールの溶解性などを
考慮して、相間移動触媒(例えば、四級アンモニウム塩
など)や界面活性剤などを併用してもよい。さらには、
基質アルコールを溶媒として利用することもできる。水
と有機溶媒とを併用する場合、水と有機溶媒との割合は
特に制限されない。臭素酸又はその塩、および基質アル
コールを溶解するためには、例えば、体積比で、水/有
機溶媒=1/100〜10000/100、好ましくは
10/100〜1000/100、さらに好ましくは2
0/100〜500/100程度である。
【0027】酸化反応において、基質アルコールと臭素
酸又はその塩の添加順序などは特に制限されず、全量の
基質アルコールと全量の臭素酸又はその塩とを含む混合
液系で反応させる方法、基質アルコールの溶液と、臭素
酸又はその塩を含む溶液とをそれぞれ滴下する方法など
であってもよいが、基質アルコールの溶液に臭素酸又は
臭素酸塩を添加するのが操作性などの点から有利であ
る。本発明の酸化反応において、基質アルコールの種類
にもよるが、反応系を特に加熱することなく比較的温和
な条件であっても、高い転化率および選択率で反応が円
滑に進行する場合が多いだけでなく、反応の進行に伴っ
て発熱する。反応温度は、溶媒の沸点以下であれば特に
制限されないが、反応系の除熱効率および加熱エネルギ
ー効率を考慮すると、例えば、−150℃〜250℃、
好ましくは−50℃〜150℃、さらに好ましくは−2
0℃〜120℃程度であり、20〜100℃程度である
場合が多い。反応は、常圧又は加圧(例えば、1〜10
atm程度)下で行なうことができるが、常圧下で反応
させると工業的に有利である。
【0028】反応終了後、慣用の分離精製手段、例え
ば、蒸留、濃縮、溶媒抽出、再結晶、クロマトグラフィ
ーなどにより、目的酸化生成物を容易に分離精製でき
る。なお、酸化反応による生成物が水に対して不溶性又
は難溶性である場合、溶媒によっては、反応終了後に、
相分離や沈殿物が生成する場合もあるが、本発明の方法
では、転化率及び選択率が高いので、殆どの場合、簡単
な抽出操作であっても目的生成物を高い純度で得ること
ができる。しかも、臭素酸又はその類の未反応物やこれ
らの分解物は、極めて高い水溶性を示すため、水洗など
により未反応物や不純物を簡単に除去できる。そのた
め、本発明の方法では、反応終了後、簡単な有機溶剤抽
出と水洗浄とを組み合わせるだけで副生物を処理でき、
目的とする生成物を高い収率及び高い純度で得ることが
できる。また、酸成分が特定の無機酸又は有機酸である
ため、臭化水素酸を用いる従来の方法に比べて、反応装
置などの腐食を抑制することもできる。このように、本
発明の方法では、温和な条件で、高い転化率及び選択率
で二級アルコールからケトンを生成できるとともに、分
離精製を含む後処理工程を極めて簡素化でき、簡単な操
作でケトンを高い収率で得ることができる。そのため、
工業的及び経済的に極めて有利にケトンを製造できる。
【0029】
【発明の効果】本発明の方法では、特定の酸成分の存在
下、臭素酸又はその塩で二級アルコールを酸化するた
め、少量の臭素酸又はその塩で、二級アルコールから対
応するケトン類を高い転化率および選択率で製造でき
る。また、臭素酸又はその塩を用いることに加えて、そ
の使用量が少量であるため、目的化合物の分離精製も容
易であり、副生物の処理負荷を大きく低減できるととも
に、装置材料の腐食を抑制でき、工業的および経済的に
有利にケトンを製造できる。
【0030】
【実施例】以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細
に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定され
るものではない。 実施例1 2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパ
ン2.40g(10ミリモル)と酢酸16mlとの溶液
に、撹拌下、臭素酸ナトリウム1.51g(10ミリモ
ル)と水12mlとの溶液を15分間に亘り滴下した。
前記溶液の滴下にともなって臭素が生成し、反応混合液
の温度が49℃まで上昇した。滴下終了後、滴下時間も
含めて4時間撹拌した。なお、反応系のpHは約4であ
った。反応終了後、反応混合液をクロロホルム約50m
lで3回抽出し、有機層を集めて、飽和チオ硫酸ナトリ
ウム水溶液で洗浄した後、硫酸マグネシウムで乾燥し、
濾過、濃縮したところ、2,2−ビス(4−オキシシク
ロヘキシル)プロパンが転化率100%、収率80%で
得られた。なお、生成物の同定はスペクトルデータと文
献値との対比により行ない、収率はNMRスペクトルか
ら算出した。
【0031】実施例2 2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパ
ン2.40g(10ミリモル)とt−ブタノール10m
lとの溶液に1.67N塩酸6ml(HClとして10
ミリモル)を添加し、この混合液に、撹拌下、臭素酸ナ
トリウム1.51g(10ミリモル)と水12mlとの
溶液を15分間に亘り滴下した。前記溶液の滴下にとも
なって臭素が生成し、反応混合液の温度が52℃まで上
昇した。滴下終了後、滴下時間も含めて4時間撹拌し
た。なお、反応系のpHは約4であった。反応終了後、
実施例1と同様にして反応生成物を分離し定量したとこ
ろ、2,2−ビス(4−オキシシクロヘキシル)プロパ
ンが転化率100%、収率97%で得られた。
【0032】実施例3 塩酸に代えて、1.67N硫酸6ml(H2SO4として
5ミリモル)を用いる以外、実施例2と同様にして反応
させたところ、臭素酸ナトリウム水溶液の滴下にともな
って臭素が生成し、反応混合液の温度が56℃まで上昇
した。なお、反応系のpHは約1〜3であった。そし
て、実施例1と同様にして反応生成物を分離し定量した
ところ、2,2−ビス(4−オキシシクロヘキシル)プ
ロパンが転化率100%、収率96%で得られた。
【0033】実施例4 2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパ
ンのt−ブタノール溶液に代えて、1,2−プロパンジ
オール0.76g(10ミリモル)とアセトニトリル
(16ml)との溶液を用いる以外、実施例2と同様に
して反応させた。滴下開始から反応終了時までの反応液
のpHは約1であった。反応終了後、反応混合物を飽和
チオ硫酸ナトリウム水溶液で処理し、ガスクロマトグラ
フィーにより分析したところ、ヒドロキシアセトンが収
率30%で得られた。
【0034】実施例5 2−ヒドロキシ−4−フェニルブタン酸カリウム塩(4
ミリモル)および他のカルボン酸カリウム塩の混合物
(合計24.5ミリモル)を含む水溶液38.1gと、
アセトニトリル(10ml)、35%塩酸3.23g
(HClとして31ミリモル)との混合液に、室温で、
撹拌しながら、臭素酸ナトリウム0.30g(2ミリモ
ル)および水(12ml)の溶液を15分間に亘り滴下
した。滴下終了後、滴下時間を含めて4時間撹拌した。
なお、反応系のpHは約2〜3であった。反応終了後、
反応混合物を実施例1と同様にして処理し、得られた濃
縮物を液体クロマトグラフィーにより分析したところ、
2−オキソ−4−フェニルブタン酸が収率49%で得ら
れた。
【0035】比較例 臭素酸ナトリウムに代えて、塩素酸ナトリウム1.06
g(10ミリモル)を用いる以外、実施例2と同様にし
て反応させたところ、反応系のpHが約1であったもの
の、反応が全く進行せず、原料の2,2−ビス(4−ヒ
ドロキシシクロヘキシル)プロパンの全量が回収され
た。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 柴田 光 兵庫県姫路市大津区大津町1−31−26F 101

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 塩酸、硫酸、硝酸およびリン酸から選ば
    れた少なくとも一種の無機酸又は有機酸の存在下、二級
    アルコールのヒドロキシル基に対して、臭素酸換算で、
    0.4モル当量以上1モル当量未満の臭素酸又はその塩
    を用いて二級アルコールを酸化するケトンの製造方法。
  2. 【請求項2】 臭素酸又はその塩の使用量が、二級アル
    コールのヒドロキシル基に対して0.4〜0.8モル当
    量である請求項1記載のケトンの製造方法。
  3. 【請求項3】 二級アルコールが脂環族アルコールであ
    る請求項1記載のケトンの製造方法。
  4. 【請求項4】 有機酸が有機カルボン酸である請求項1
    記載のケトンの製造方法。
  5. 【請求項5】 塩酸、硫酸、硝酸およびリン酸から選ば
    れた少なくとも一種の無機酸又は水溶性有機カルボン酸
    で調整した酸性条件下、二級アルコールのヒドロキシル
    基に対して、臭素酸アルカリ金属塩0.4〜0.7モル
    当量を用いて二級アルコールを酸化し、対応するケトン
    と臭素とを生成させる方法。
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