JPH0987309A - 分子量分布の狭いスチレン系共重合体およびその製造方法 - Google Patents

分子量分布の狭いスチレン系共重合体およびその製造方法

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JPH0987309A
JPH0987309A JP24189395A JP24189395A JPH0987309A JP H0987309 A JPH0987309 A JP H0987309A JP 24189395 A JP24189395 A JP 24189395A JP 24189395 A JP24189395 A JP 24189395A JP H0987309 A JPH0987309 A JP H0987309A
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正勝 大口
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Abstract

(57)【要約】 【課題】各種成形体及びそれらへの添加剤、各種情報記
録材、各種コーティング材などとして有用な分子量分布
の狭いスチレン系共重合体を得ること。 【解決手段】以下の要件を満足することを特徴とするス
チレン系共重合体および安定なニトロオキサイド系ラジ
カル化合物とラジカル重合用開始剤とから得られる化合
物存在下で、スチレンおよび他の不飽和単量体をラジカ
ル重合して前記スチレン系共重合体を得る方法。 (1) ゲルパーミェーションクロマトグラフ法(以下GP
Cという)により測定されるポリスチレン換算分子量に
おいて、重量平均分子量が3000〜100000の範囲である。 (2) GPCにより測定されるポリスチレン換算分子量に
おいて、重量平均分子量/数平均分子量が1.1 〜1.3 の
範囲である。 (3) 共重合体中に、スチレン及びスチレン誘導体を30〜
99モル%およびその他の不飽和単量体の中から選ばれる
1種または2種以上を1〜70モル%含む。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、分子量分布の狭い
スチレン系共重合体およびその製造方法に関するもので
あり、各種成形体及びそれらへの添加剤、各種情報記録
材、各種コーティング材などとして有用に利用される。
【0002】
【従来の技術】従来より、付加重合としての重合形態を
有するポリマーを製造するにあたり、分子量が制御さ
れ、かつ分子量分布が狭いポリマーを製造する場合、イ
オン重合法、配位重合法などの重合法が用いられてお
り、付加重合を行う際に一般に採用されているが、ラジ
カル重合法によっては、分子量と分子量分布の制御され
たポリマーを製造するのは困難とされてきた。そこで分
子量及び分子量分布を制御するためには、下記の要件が
必要であると考えられる。 全ての重合開始剤が同時に重合反応を開始すること ポリマー生長末端が停止反応、連鎖移動反応などを起
こさないこと 開始剤由来でない重合(熱重合など)を起こさないこ
【0003】一般に、イオン重合法などにおいては、開
始剤種の選択、反応系内の不純物の除去、低温での重合
の実施により、上記の要件を満たすことを条件として、
分子量及び分子量分布を制御することが可能である。し
かしながら、通常のラジカル重合法では、全ての開始剤
が同時に重合反応を開始しない(全ての開始剤が重合を
開始するまでに要する時間が生長反応に要する時間と比
較して充分に長い)、反応系内の不純物の除去を行って
も停止反応、連鎖移動反応を抑制できない(生長ポリマ
ー末端の、他の生長ポリマー末端との停止反応、連鎖移
動反応を抑制できない)などの点で上記の要件を満たす
ことができなかった。
【0004】ところが、近年、分子量分布の狭いポリマ
ーの製造方法が報告され関心を集めている。その製造方
法として、例えば、Commonwealth Sci. & Ind. Org. の
米国特許明細書4581429 号記載のラジカル重合性開始剤
とニトロオキサイド系の安定なラジカル性化合物を組み
合わせた特殊な開始剤系を用い、分子量分布の狭いポリ
マーを製造する方法が提案された。この方法では、ラジ
カル重合性開始剤が分解して生成した、モノマーを重合
させる程度の活性を有する、つまり不安定なフリーラジ
カル(X・)と、ニトロオキサイド系化合物のようなモ
ノマーを重合させる程度の活性を有しない、つまり安定
なフリーラジカル(Y・)を反応させた開始剤系(X−
Y)が使用される。この開始剤系は以下の式(1)に示
すような平衡を持ち、式中の左辺の状態(ラジカルでな
い状態)ではモノマーを重合させる程度の活性を有しな
いが、右辺の状態でのX・はモノマー(M)を重合させ
る程度の活性を有するためモノマーを重合し、その後速
やかに左辺の状態のようなモノマーを重合しない状態に
戻るものである。
【0005】
【化1】 前記式(1)において、X・とY・との反応が速いと、
停止反応及び連鎖移動反応が起こらず、また全ての開始
剤系が同程度のモノマー付加速度で下記式(2)に示す
反応を繰り返すこととなり、全てのポリマーが同程度の
分子量となり、つまり分子量分布の狭いポリマーが生成
することになる。
【0006】
【化2】 しかしながら、前述の先行特許記載の方法により得られ
る分子量分布の狭い(重量平均分子量/数平均分子量が
1.5 以下)ポリマーはポリスチレンといったホモポリマ
ーの場合のみであり、例えば、ポリマーのガラス転移温
度や溶剤溶解性や他の樹脂との相溶性の制御が困難であ
るという実用上の問題を有しており、また分子量分布の
狭さを維持したままで、ニトリル基、ヒドロキシル基や
カルボキシル基などの官能基の導入が困難である、など
の問題を有している。実際に、Commonwealth Sci. & In
d. Org. の米国特許明細書4581429号記載の実施例にお
いて、各種アクリル酸エステル及びメタクリル酸エステ
ルのホモオリゴマーやアクリル酸エステルとメタクリル
酸エステルのコオリゴマーでは、重量平均分子量/数平
均分子量がいずれも1.7以上もあり、分子量分布が狭い
とは言い難い。
【0007】なお本発明者らは以下の実験結果より、ア
クリル酸エステル及びメタクリル酸エステルの場合には
上記反応式(1)および(2)におけるY・が2,2,6,6-
テトラメチル-1-ピペリジニルオキシの場合にはM−Y
の結合が解裂しないという知見を得ている。 ラジカル重合開始剤としてベンゾイルパーオキサイ
ド、安定なフリーラジカル化合物として2,2,6,6
−テトラメチル−1−ピペリジニルオキシを用い、アク
リル酸エチルやアクリロニトリルなどの単独重合を重合
温度125℃において行った場合、ポリマーは得られず、
上記のM−Y結合の解裂が起こらないと推定された。 ラジカル重合開始剤としてベンゾイルパーオキサイ
ド、安定なフリーラジカル化合物として2,2,6,6
−テトラメチル−1−ピペリジニルオキシを用い、第一
段目の反応としてスチレンの単独重合を重合温度125 ℃
において行い、その後、反応系内にアクリル酸エチルを
添加しブロック化を検討したところ、重合時間の経過に
伴う重量平均分子量の増加分は初期にアクリル酸エステ
ル単位30〜40個程度を付加したところで停止してし
まうことを見いだした。これは、第一段目の反応後の分
子鎖末端である(スチレン)−Y間の結合が熱的に解裂
し、生成したポリマーラジカル末端にアクリル酸エチル
が一回の解裂の際に30〜40個付加し、その後Y・が
末端と再結合するが、(アクリル酸エチル)−Y間の結
合が解裂しないため、重合がそこで停止してしまうこと
によると推定された。
【0008】これに対して、Xerox corp. の米国特許明
細書5412047号によると、アクリル酸ブチルの分子量分
布の狭いホモポリマーの製造方法に関する技術が開示さ
れており、上記反応式(1)におけるY・を2,2,6,6-テ
トラメチル-1- ピペリジニルオキシ(以下TEMPO とい
う)から4-オキソ-2,2,6,6- テトラメチル-1- ピペリジ
ニルオキシ(以下4-oxo-TEMPO という)に変更すること
で(アクリル酸ブチル)−Yの結合を解裂し易くさせて
上記の問題を解決している。しかしながら、前記明細書
の実施例に示されているとおり、重合温度は165 ℃と高
温であり、4-oxo-TEMPO がTEMPO よりも更に高価である
などの問題点を有している。また、共重合を行わせるた
めにはモノマー種により開始剤の組み合わせをその度に
最適化する必要があるなどの問題も有している。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、分子量分布
の狭い共重合体を製造する際に、共重合によるTgや溶剤
溶解性や相溶性の制御、官能基の導入および開始剤系の
変更などを行うことなく重合して、分子量の狭い共重合
体を得ることを課題をするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するた
め、本発明者らは、生長末端制御を鋭意追求し、前末端
基効果を考慮した、ラジカル生長末端のラジカルとして
の反応性(ラジカルとしての安定性)に注目することで
解決する方法を見いだし、遂に本発明を完成するに到っ
た。すなわち本発明は、以下の要件を満足することを特
徴とするスチレン系共重合体および安定なニトロオキサ
イド系ラジカル化合物/ラジカル重合用開始剤がモル比
で0.9 〜1.3 の割合で混合・加熱して得られた化合物存
在下で、スチレンおよび他の不飽和単量体を重合温度10
0 〜180 ℃の範囲においてラジカル重合を行い得られる
ことを特徴とする前記スチレン系共重合体の製造方法で
ある。 (1) ゲルパーミェーションクロマトグラフ法(以下GP
Cという)により測定されるポリスチレン換算分子量に
おいて、重量平均分子量が3000〜100000の範囲である。 (2) GPCにより測定されるポリスチレン換算分子量に
おいて、重量平均分子量/数平均分子量が1.1 〜1.3 の
範囲である。 (3) 共重合体中に、スチレン及びスチレン誘導体を30〜
99モル%およびその他の不飽和単量体の中から選ばれる
1種または2種以上を1〜70モル%含む。
【0011】本発明者らは開始剤として過酸化ベンゾイ
ル−TEMPO 系について、先行技術における重合機構を詳
細に検討した結果、前述したように、重合を行うモノマ
ーにより以下に示す式(3)の平衡における平衡定数
(ka/kb )に違いがあり、スチレンを使用した際には、
X−M・の状態が存在すると推定できるのに対して、ア
クリル酸及びメタクリル酸のエステルを使用した場合に
はM−Yの結合が極めて安定であり(M−Yの結合が解
裂しにくく)、X−M・が生成しにくいため、目的とす
る重合形態では重合が進行しにくく、分子量分布の狭い
ポリマーは得られない。
【0012】
【化3】 しかしながら、アクリル酸及びメタクリル酸のエステル
について更に詳細に検討を行うと、スチレンと共重合さ
せる場合については比較的高分子量であり、かつ、分子
量分布が狭いコポリマーを得ることが可能であることを
見いだした。この原因については本発明者らは以下のよ
うに推定している。例えば、スチレンとアクリル酸エス
テルの共重合について、生長末端は以下の4種が存在す
ると考えられる。 −(スチレン)−(スチレン)−Y −(スチレン)−(アクリル酸エステル)−Y −(アクリル酸エステル)−(スチレン)−Y −(アクリル酸エステル)−(アクリル酸エステル)
−Y このうちの、については(スチレン)−Y間の結合
の解離が起こり、分子量分布の狭いポリマーが得られる
場合の生長末端と同一であり、目的とする重合形態で重
合が進むと考えられる。これに対してについては本来
は目的とする重合形態で重合が進まないと考えられる
が、実際には分子量分布の狭いコポリマーが生成してい
ることから、生長末端の一つ前のモノマーの影響(前末
端効果)を受け、、と同様な重合形態で重合が進ん
だものと推定される。については目的とする重合形態
で重合が進まないので分子量分布を狭くすることは困難
であるが、このような生長末端については、(末端スチ
レンポリマーラジカル数)/(全ラジカル数)>0.8を
満たすような条件下で重合を行うことにより生成を回避
できる。末端スチレンポリマーラジカル数及び全ラジカ
ル数は、スチレン(ST)とアクリル酸エステル(EA)の
共重合の場合、以下の式により得られる。 (末端スチレンポリマーラジカル数)=rST ・fST /k11 (全ラジカル数)=rST ・fST /k11 + rEA ・fEA /k22 (式中、rST, rEAはSTとEAの共重合の場合のそれぞれの
反応性比、fST, fEAはそれぞれの仕込み量、k11, k22は
それぞれの単独重合速度定数を指す)
【0013】以上のことから、目的とする重合形態で重
合を行うためには、−M−YのM−Y結合が解裂しやす
いことが必要であるが、特に、前末端効果を考慮した末
端のラジカルの生成のしやすさ及び解裂しにくい結合の
生成の起こりにくさの2点が重要であり、上記の点を考
慮した系においてのみ、分子量分布が狭い共重合体を得
ることが可能になる。さらに本発明者らは、発明の詳細
な説明の以下の各項について検討を重ね、本発明の目的
である、分子量分布が狭く、ガラス転移温度、溶剤溶解
性、他の樹脂との相溶性、官能基の導入といった従来の
問題点の解決された、共重合体を極めて高いレベルにお
いて満足し、同時に工業的実施にたえうる合理的な製造
プロセスとして本発明に到達した。以下に各項について
説明する。
【0014】
【発明の実施の形態】
(ポリマー分子量、分子量分布、組成)本発明における
共重合体は、ゲルパーミエーションクロマトグラフ法
(以下、GPC)により測定されるポリスチレン換算分
子量において重量平均分子量が3000〜100000の範囲であ
る。3000未満の場合、成形体として用いた場合に力学強
度が低い。一方100000を越えると、溶融粘度などが高
く、成形体として用いる場合には作業性が悪く、また、
添加剤として用いた場合には混和性が悪いので好ましく
ない。
【0015】本発明における共重合体は、GPCにより
測定されるポリスチレン換算分子量において、重量平均
分子量/数平均分子量が1.1 〜1.3 の範囲である。重量
平均分子量/数平均分子量が1.3 を越えると、分子量分
布が狭いことによる種々の特徴(力学物性の改善、耐熱
性の改善、配向度の上昇など)が失われるので好ましく
ない。
【0016】本発明における共重合体の組成は、スチレ
ン及びスチレン誘導体を30〜99モル%、好ましくは35〜
99モル%、更に好ましくは40〜99モル%である。30モル
%未満では、分子量分布が広くなるので好ましくない。
【0017】前記スチレン誘導体としては、α−メチル
スチレン、ビニルトルエン、t−ブチルスチレン、p−
ニトロスチレン、p−ヒドロキシスチレン、クロロメチ
ルスチレンなどが挙げられる。その他の本発明共重合体
を構成する共重合成分である不飽和単量体としては、ア
クリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アク
リル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリ
ル酸n−ヘキシル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸2
−ヒドロキシエチル、アクリル酸2−ヒドロキシプロピ
ル、アクリル酸フェノキシエチル、アクリル酸ベンジ
ル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸ジメチルア
ミノエチル、アクリル酸グリシジルなどのアクリル酸エ
ステル類、メタクリル酸、メタクリル酸メチル、メタク
リル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸2−
エチルヘキシル、メタクリル酸n−ヘキシル、メタクリ
ル酸ラウリル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、メ
タクリル酸2−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸フェ
ノキシエチル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸シ
クロヘキシル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メ
タクリル酸グリシジルなどのメタクリル酸エステル類、
マレイン酸及びその無水物、マレイン酸ジブチルなどの
マレイン酸モノエステル及びジエステル類、フマル酸、
フマル酸ジブチルなどのフマル酸モノエステル及びジエ
ステル類、イタコン酸及びイタコン酸モノエステル及び
ジエステル、シトラコン酸及びシトラコン酸エステル
類、アクリルアミド、N−メチロ−ルアクリルアミド、
ジアセトンアクリルアミド、ジメチルイソプロピルアク
リルアミド、ジメチルアクリルアミドなどのアクリルア
ミド類、メタクリルアミド、N−メチロ−ルメタクリル
アミド、ジアセトンメタクリルアミド、ジメチルイソプ
ロピルメタクリルアミド、ジメチルメタクリルアミドな
どのメタクリルアミド類、酢酸ビニルなどのビニルエス
テル類、ビニルエーテル類、N-ビニルピロリドン、N-ビ
ニルカルバゾールなどのビニル化合物、アクリロニトリ
ル、メタクリロニトリル、などを例示することができ、
これらの中から一種または複数種を選んで用いることが
できる。上記の共重合成分を共重合することにより、ガ
ラス転移温度、溶剤溶解性、他の樹脂との相溶性、各種
官能基及びその量などを制御することができる。
【0018】ポリマー組成は前項において述べたよう
に、モノマー反応性比、前末端基効果を考慮して決定す
る必要がある。例えば、共重合成分がスチレン及びスチ
レン誘導体と共重合性が悪い場合、重合の進行に伴い、
残存のモノマー組成においてスチレン誘導体が30モル%
未満になると、末端スチレンラジカル数の全ラジカル数
に対する割合の低下に伴い、ラジカル生長末端部の結合
の解裂が起こりにくくなり、分子量分布が広くなる場合
がある。そのような意味から、常に残存モノマー組成に
は注意が必要であり、スチレン及びスチレン誘導体が30
モル%未満にならないように、例えば、重合を行うモノ
マーを一括で反応系内に投入する場合は、仕込み組成が
ポリマー組成と一致する組成(アゼオトロピックな組
成)であることが好ましく、一括で投入せず反応の進行
と共にモノマーを添加する場合は、スチレン及びスチレ
ン誘導体が30モル%未満にならないようにモノマーを添
加する重合形態が望ましい。また、モノマーを重合の進
行に伴い添加する場合には、添加するモノマー組成を徐
々に変化させることで1本の分子鎖中で徐々にポリマー
組成が変化するポリマーを得ることができる。逆に、添
加するモノマー組成を大きく変化させることで、セグメ
ント長の揃った、ブロックポリマーを得ることもでき
る。
【0019】更に、上記の重合実施後のラジカル生長末
端部について検討を行った結果、以下の一般式(4)に
も示すとおり、−M−Y結合は熱的に解裂しやすく、モ
ノマーの重合を行うことができるが、この段階において
反応系内のモノマー組成をスチレン及びスチレン誘導体
が0〜30モル%になるようにモノマーを添加することで
重合を停止させることができる。また、その際に二官能
性ジアクリル酸エステルまたはジメタクリル酸エステル
を反応系内に添加した場合、二官能のうちの一官能のみ
が反応した二官能性ジアクリル酸エステルまたはジメタ
クリル酸エステルが片末端に付加したポリマーが生成
し、分子量分布の狭いマクロモノマーの合成に有用であ
る。二官能性ジアクリル酸エステルまたはジメタクリル
酸エステルとしては、各種二官能以上のアルコールのジ
アクリル酸エステルやジメタクリル酸エステルが挙げら
れ、例えば、エチレングリコールジアクリル酸エステ
ル、ジエチレングリコールジアクリル酸エステル、トリ
エチレングリコールジアクリル酸エステル、グリセリン
ジアクリル酸エステル、ペンタエリスリトールジアクリ
ル酸エステル、エチレングリコールジメタクリル酸エス
テル、ジエチレングリコールジメタクリル酸エステル、
トリエチレングリコールジメタクリル酸エステル、グリ
セリンジメタクリル酸エステル、ペンタエリスリトール
ジメタクリル酸エステルなどを挙げることができる。こ
の場合、アクリロイル基は単独重合速度が大きく、末端
解裂時に数十個のモノマーが付加するため、片末端にア
クリロイル基を1個のみ導入する場合は、系内の末端濃
度、モノマー濃度、モノマー組成を勘案して反応を行う
ことが必要である。このマクロモノマーを通常のラジカ
ル重合の手法を用い各種モノマーと共重合することによ
り側鎖長の揃った側鎖密度の高いグラフトポリマーやス
ターバーストポリマーを合成することが可能である。こ
の共重合の際に使用できるモノマーは前記の汎用のモノ
マーが挙げることができる。
【0020】
【化4】
【0021】(重合開始剤)本発明共重合体を得る際に
用いられる、安定なニトロオキサイド系ラジカル化合物
とラジカル重合用開始剤とから得られる化合物として
は、特公平5−6537号公報に記載の化合物を用いる
ことができ、ラジカル重合用開始剤として具体的には、
ベンゾイルパーオキサイドなどの過酸化物、2,2−ア
ゾビスイソブチロニトリルなどのアゾ化合物などが使用
できる。また、反応時に併用して使用される安定なニト
ロオキサイド系ラジカル化合物としては、2,2,6,
6−テトラメチル−1−ピペリジニルオキシ、4−ヒド
ロキシ−2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジ
ニルオキシなどのニトロオキサイド化合物などが使用で
きる。本発明における重合開始剤と安定なニロトオキサ
イド系フリーラジカル化合物の配合比は、安定なフリー
ラジカル化合物/重合開始剤=0.9 〜1.3 (モル比)が
好ましく、より好ましくは0.95〜1.25、更に好ましくは
1.0 〜1.2 の範囲でである。0.9 未満では目的とする重
合形態での重合反応と従来のラジカル重合反応が平衡し
て起きるため分子量分布がシャープにならず、1.3 を越
えると重合開始までの時間が大幅に長くなり好ましくな
い。また、開始剤種により開始剤効率も違うことも勘案
して比を決定することが必要である。なお安定なニトロ
オキサイド系ラジカル化合物とラジカル重合用開始剤と
は、予め反応させて化合物を得ておいてもよいが、本発
明共重合体を得る際に、反応系内に各々を配合してもよ
い。
【0022】(重合形態)本発明共重合体は、各種の重
合方法、例えば、塊状重合、溶液重合、懸濁重合、乳化
重合などにより得ることができる。例えば、溶液重合方
法を採用する場合に使用できる反応溶媒として、生成す
るポリマーを溶解する汎用の溶媒、例えば、芳香族炭化
水素、ケトン類、エステル類、エーテル類(環状エーテ
ル類、グリコールエーテル類など)、をN−置換アミド
類、アルコール類、カルボン酸類、アミン類などの有機
溶剤を用いることができる。また懸濁重合及び乳化重合
方法を採用する場合には、従来公知の界面活性剤、緩衝
剤などの各種添加剤を添加することができる。なお前記
重合温度は、100 〜180 ℃、好ましくは110 〜160 ℃、
特に110 〜140 ℃が望ましい。
【0023】(利用形態)本発明共重合体は、成形体な
どとして単独で使用可能であるが、必要に応じて各種の
添加剤を添加して、さらにその応用範囲を広げることが
でき、各種添加剤としては、フェノール類、クレゾール
類、エポキシ類、イソシアネート類などの各種の硬化
剤、顔料、染料などが挙げられる。また本発明共重合体
は、各種樹脂への添加剤、特に強化剤としても利用可能
である。添加される樹脂としては、ポリエステル樹脂、
ポリオレフィン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエーテル樹
脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂
など汎用の樹脂が挙げられる。さらに各種ポリマーアロ
イ用の相溶化剤や、相分離形成剤としても用いることが
できる。
【0024】
【実施例】以下に実施例によって本発明をさらに詳しく
説明するが、本発明はこれらによって限定されるもので
はない。実施例中、単に部とあるのは重量部を表し、%
とあるものは重量%を示す。各測定項目は以下の方法に
従った。 (1)数平均分子量、重量平均分子量、重量平均分子量
/数平均分子量:試料10mgをテトラヒドロフラン20ccに
溶解し、GPC-LALLS 装置低角度光散乱高度計LS-8000
(東ソー株式会社製、テトラヒドロフラン溶媒、リファ
レンス:ポリスチレン)で測定した。また、重量平均分
子量/数平均分子量(Mw/Mn )は、得られた数平均分子
量(Mn)と重量平均分子量(Mw)から求めた。 (2)重合率:GPCにより検量線を作成し、残存モノ
マー量を測定して求めた。 (3)共重合組成の決定:13C-NMR により組成を決定し
た。
【0025】実施例1 スチレン 7.12 ml、アクリロニトリル 2.49 ml、過酸化
ベンゾイル 0.000336モル、TEMPO 0.000672モルを試験
管に仕込み、減圧下において凍結・脱気を繰り返した
後、封管し、125 ℃にて重合を実施した。スチレンの全
モノマーに対するモル分率は、0.62である。各重合時間
における、重合率及びポリマー中の各モノマー組成を求
めた。結果を表1に示す。また、得られたポリマーの13
C-NMR チャートを図1〜3に示す。
【0026】
【表1】
【0027】実施例2 スチレンの全モノマーに対するモル分率が0.49である以
外は、実施例1と同様に重合を実施した。その結果を表
2に示す。
【0028】
【表2】
【0029】実施例3 アクリロニトリルの代わりにアクリル酸エチルを用い、
スチレンの全モノマーに対するモル分率が0.77である以
外は、実施例1と同様に重合を実施した。その結果を表
3に示す。
【0030】
【表3】
【0031】実施例4 アクリロニトリルの代わりにビニルカルバゾールを用
い、スチレンの全モノマーに対するモル分率が0.79であ
る以外は、実施例4と同様に重合を実施した。その結果
を表4に示す。
【0032】
【表4】
【0033】比較例1 スチレン 7.12 ml、アクリロニトリル 2.49 ml、過酸化
ベンゾイル 0.000336モルを試験管に仕込み、減圧下に
おいて凍結・脱気を繰り返した後、封管し、125 ℃にて
重合を実施した。スチレンの全モノマーに対するモル分
率は、0.62である。その後、重合を5時間継続しスチレ
ン−アクリロニトリル共重合体を得た。数平均分子量13
000 、重量平均分子量/数平均分子量 3.84 、重合率 8
1%、ポリマー中のSTモル分率 0.63 であった。
【0034】実施例5 スチレン 7.12 ml、過酸化ベンゾイル 0.000336 モル、
TEMPO 0.000672モルをガラス製反応器に仕込み、窒素置
換した後、125 ℃にて重合を実施した。24時間反応を継
続し、Mn 22000、Mw/Mn 1.18の分子量分布の狭い、片末
端にTEMPO が結合したポリスチレンを得た。次に得られ
たポリスチレンをスチレン・アクリロニトリル混合モノ
マー中(混合モノマー中のスチレンモル分率 0.63 )に
22重量%になるように溶解し、窒素雰囲気下で125 ℃に
加熱し、重合を開始した。その後、各重合時間におけ
る、重合率及びポリマー中の各モノマー組成を求めた。
その結果を表5に示す。なお5,10時間後のポリマーを
ウンデカンケトンに溶解したところ、室温では溶液が白
濁し、昇温することで透明になるのが観察された。ポリ
スチレンはウンデカンケトンには可溶、スチレン−アク
リロニトリルランダム共重合体は不溶であることから、
上記のポリマーはスチレン−アクリロニトリルランダム
共重合体セグメントとスチレン重合体セグメントが化学
的に結合しており、ウンデカンケトン中でミセルを形成
していることが示唆された。
【0035】
【表5】
【0036】実施例6 スチレン 7.12 ml、過酸化ベンゾイル 0.000336 モル、
TEMPO 0.000672モルをガラス製反応器に仕込み、窒素置
換した後、125 ℃にて重合を実施した。1時間反応を継
続し、Mn 2000 、Mw/Mn 1.20の分子量分布の狭い、片末
端にTEMPO が結合したポリスチレンを得た。次に反応系
内にアクリロニトリル 2.49 mlを5時間かけて添加し反
応を継続した。その際に、各重合時間における、重合率
及びポリマー中の各モノマー組成を求めた。その結果を
表6に示す。
【0037】
【表6】 前記表6より明らかなように、重合の進行に伴い、ポリ
マー中のSTのモル分率は連続的に低下していることが判
る。
【0038】実施例7 スチレン 7.12 ml、アクリロニトリル 2.49 ml、過酸化
ベンゾイル 0.000336モル、TEMPO 0.000672モルをガラ
ス製反応器に仕込み、窒素置換した後、125 ℃にて重合
を実施し、24時間反応を継続した。得られた共重合体は
Mn 22000、Mw/Mn 1.30であった。引き続き、反応系内に
アクリル酸エチル 5.42 ml、エチレングリコールジメタ
クリレート5.42 ml を添加し、重合温度140 ℃で反応を
5時間継続した。得られたポリマーはMn 25000、Mw/Mn
1.30であった。分子量の増加分は3000程度であり、各モ
ノマーの重合率はアクリル酸エチルが40% 、エチレング
リコールジメタクリレートが5%であることから、末端に
平均2個程度のメタクリロイル基が導入されたマクロモ
ノマーが生成していると推定された。
【0039】実施例8 実施例7で得られたマクロモノマーをスチレンモノマー
に溶解し、20重量%溶液にした後、過酸化ベンゾイルを
0.01 mol/Lの濃度になるように添加し、窒素雰囲気下、
80℃、5時間反応させ、グラフトポリマーを得た。得ら
れたポリマーは、Mn 32000、Mw/Mn 3.65であった。
【0040】
【発明の効果】以上かかる構成よりなる本発明は、従来
の方法では得られなかった分子量分布の狭いスチレン系
共重合体を得ることができ、その利用範囲が飛躍的に拡
大するものであり、産業界に寄与すること大である。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1(重合時間:2時間)で得られた本発
明スチレン系共重合体の13C−NMRチャートであ
る。
【図2】実施例1(重合時間:5時間)で得られた本発
明スチレン系共重合体の13C−NMRチャートであ
る。
【図3】実施例1(重合時間:15時間)で得られた本
発明スチレン系共重合体の13C−NMRチャートであ
る。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】以下の要件を満足することを特徴とするス
    チレン系共重合体。 (1) ゲルパーミェーションクロマトグラフ法(以下GP
    Cという)により測定されるポリスチレン換算分子量に
    おいて、重量平均分子量が3000〜100000の範囲である。 (2) GPCにより測定されるポリスチレン換算分子量に
    おいて、重量平均分子量/数平均分子量が1.1 〜1.3 の
    範囲である。 (3) 共重合体中に、スチレン及びスチレン誘導体を30〜
    99モル%およびその他の不飽和単量体の中から選ばれる
    1種または2種以上を1〜70モル%含む。
  2. 【請求項2】少なくとも一方の末端基が付加重合性不飽
    和基である請求項1記載のスチレン系共重合体。
  3. 【請求項3】安定なニトロオキサイド系ラジカル化合物
    /ラジカル重合用開始剤がモル比で0.9 〜1.3 の割合で
    混合・加熱して得られた化合物存在下で、スチレンおよ
    び他の不飽和単量体を重合温度100 〜180 ℃の範囲にお
    いてラジカル重合を行い得られることを特徴とする請求
    項1記載のスチレン系共重合体の製造方法。
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