JPH0991949A - 磁性薄膜メモリ素子及び磁性薄膜メモリ - Google Patents

磁性薄膜メモリ素子及び磁性薄膜メモリ

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JPH0991949A
JPH0991949A JP7244991A JP24499195A JPH0991949A JP H0991949 A JPH0991949 A JP H0991949A JP 7244991 A JP7244991 A JP 7244991A JP 24499195 A JP24499195 A JP 24499195A JP H0991949 A JPH0991949 A JP H0991949A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 構造が単純な3層構造からなり、低抵抗でパ
ワ−ロスが少なく、大容量化が可能な磁性薄膜メモリ素
子および磁性薄膜メモリを提供することを目的とする。 【解決手段】 絶縁層を挟んで積層された、磁化容易軸
が平行な第1磁性層及び第2磁性層を有し、該第2磁性
層の保磁力は、該第1磁性層の保磁力より大きく、該第
1磁性層と該第2磁性層との間で、トンネル効果が得ら
れる部分があることを特徴とする磁性薄膜メモリ素子。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は磁化方向の違いによって
情報を記憶する磁性薄膜メモリにかかり、特に、磁気記
録された情報を磁気トンネリング効果により再生する磁
性薄膜メモリに関する。
【0002】
【従来の技術】現在、情報処理装置に使用されている不
揮発性メモリとしては、フラッシュEEPROMやハー
ドディスク装置などがある。これら不揮発性メモリに於
いては、情報処理装置の高速化に伴い、書き込み時間及
び読み出し時間の短くすることが、重要な課題になって
いる。
【0003】かかる、不揮発性メモリの高速化に有効な
技術として、巨大磁気抵抗効果(GMR)を利用した磁
性薄膜メモリ素子が知られている。この巨大磁気抵抗効
果は、異方性磁気抵抗効果(AMR)を上回る磁気抵抗
変化率を示すものであり、AMRと異なり、抵抗値は電
流と磁界の角度に依存せず、磁化容易軸が平行な2つの
磁性層の磁化方向が同一方向の場合、抵抗値が最小にな
り、逆方向(180°逆方向)の場合、最大になる現象
である。
【0004】上記巨大磁気抵抗効果を利用した不揮発性
メモリでは、非磁性層を挟んで対向する2つの磁性層の
磁化方向により、情報を記憶する。かかる、巨大磁気抵
抗効果を利用した不揮発性メモリとしては、弱い磁界を
加えるだけで磁化方向が変化する磁性層に情報を書き込
むスピンバルブ型と、強い磁界を加えなければ磁化方向
が変化しない磁性層に情報を書き込む誘導フェリ型があ
る。
【0005】[スピンバルブ型について]弱い磁界を加
えるだけで磁化方向が変化する磁性層に情報を記憶する
ものとして、スピンバルブといわれるものがある。スピ
ンバルブは磁化方向が固定された磁性層(以下、ピン層
という)と、外部磁界で磁化方向が自由に変化する磁性
層(以下、フリ−層という)を組み合わせた多層膜であ
り、ピン層とフリ−の磁化方向が同一方向の場合と逆方
向の場合で抵抗値が異なるという特性を有する。例え
ば、Phys.Rev.B,43,1297(1991)には、磁性層NiFe/
非磁性層Cu/磁性層NiFe/反強磁性層FeMnを
積層した磁性薄膜の例が示されている。この磁性薄膜に
於いては、反強磁性層に隣接した磁性層(ピン層)の磁
化方向はNiFe/FeMn界面での交換異方性により
固定され、他方の磁性層(フリ−層)の磁化方向は適当
な外部磁界を加えることにより自由に変えることができ
る。従って、外部磁界を加えてフリー層の磁化方向だけ
を変えれば、2つの磁性層の磁化方向を同一方向又は逆
方向にすることができる。
【0006】このスピンバルブ膜を利用した磁性薄膜メ
モリ素子として、USP-5,343,422に示されたものが知ら
れている。この磁性薄膜メモリ素子では、2値の
「0」、「1」を、2つの磁性層の磁化方向が同一方向
又は逆方向という2つの状態として書き込み、両状態に
於ける抵抗値の差異を検出することにより、書き込まれ
た情報を読み出している。このタイプの場合、上記両状
態に於ける抵抗値の差異を読み出す際に、磁性薄膜メモ
リ素子に電流を流すと共に、外部磁界を加える必要があ
り、この外部磁界により、書き込まれていた情報(フリ
ー層の磁化方向)が読み出した後に変化することがあ
り、非破壊で書き込まれている情報を読み出すことが難
しかった。
【0007】[誘導フェリ型について]Jpn.J.Appl.Phy
s.33(1994)L1668には、CoPtからなる保磁力の高い
硬磁性層(ハ−ド層)とNiFeCoからなる軟磁性層
(ソフト層)を非磁性層Cuを介して積層した誘導フェ
リ型の磁性薄膜の例が示されている。この磁性薄膜で
は、ハ−ド層とソフト層の磁化方向が同一方向の場合と
逆方向の場合に、その抵抗値が変化する。
【0008】この磁性薄膜を利用した磁性薄膜メモリ素
子として、Jpn.J.Appl.Phys.Part2,34(1994)L415に示さ
れたものが知られている。この磁性薄膜メモリ素子で
は、ハード層に情報を書き込むため、書き込まれている
情報を破壊することなく読み出すことができる。
【0009】ここで、この磁性薄膜メモリ素子に情報を
書き込む場合と読み出す場合について、図12から図1
4に示した薄膜断面の模式図を参照して説明する。
【0010】図12は、この磁性薄膜メモリ素子に、情
報を書き込む場合を示す。同図に示したように、この磁
性薄膜メモリ素子は、非磁性層43を介して積層された
ソフト層(磁性層)41とハード層(磁性層)42から
なる。又、10は外部磁界を発生させる書き込み線であ
り、書き込み線10を流れる電流により発生した外部磁
界の方向に、ソフト層41及びハード層42は磁化され
る。そして、ハード層42の2つの磁化方向に、2値の
「0」、「1」が割り当てられる 図12(a)の場合、反時計回りの外部磁界10aが発
生し、その結果、ソフト層41の磁化方向は41a、ハ
ード層42の磁化方向は42aになり、(b)の場合、
時計回りの外部磁界10bが発生し、その結果、ソフト
層41の磁化方向は41b、ハード層42の磁化方向は
42bになる。尚、書き込みの場合は、ソフト層41だ
けでなくハード層42の磁化方向を変えるのに十分な強
度の外部磁界を加える必要がある。
【0011】図13は、図12(a)に示した反時計回
りの外部磁界10aで書き込まれた情報を、読み出す場
合を示す。通常、磁性薄膜メモリ素子に書き込まれた情
報を、読み出す場合には図13(a)に示したような反
時計回りの弱い(ソフト層41の磁化方向だけが変化す
る磁界強度)外部磁界10aと、(b)に示したような
時計回りの弱い外部磁界10bが、この順で、磁性薄膜
メモリ素子に加えられるように書き込み線10に電流を
流す。この際、磁性薄膜メモリ素子と接続する読み出し
線5には電流Irを流しておく。
【0012】ここで、反時計回りの弱い外部磁界10a
を加えた場合には、ソフト層41の磁化方向41aと、
ハード層42の磁化方向42aが同一方向になり、時計
回りの弱い外部磁界10aを加えた場合には、ソフト層
41の磁化方向41bと、ハード層42の磁化方向42
aが逆方向になるため、この外部磁界の変化により、磁
性薄膜メモリ素子の抵抗値は、低抵抗から高抵抗に変化
する。従って、外部磁界の変化時、磁性薄膜メモリ素子
の出力側の電圧Vが降下する。
【0013】図14は、図8(b)に示した時計回りの
外部磁界10bで書き込まれた情報を、読み出す場合を
示す。
【0014】ここで、(a)に示したような反時計回り
の弱い外部磁界10aを加えた場合には、ソフト層41
の磁化方向41aと、ハード層42の磁化方向42bが
逆方向になり、(b)に示したような時計回りの弱い外
部磁界10aを加えた場合には、ソフト層41の磁化方
向41bと、ハード層42の磁化方向42bが同一方向
になるため、この外部磁界の変化により、磁性薄膜メモ
リ素子の抵抗値は、高抵抗から低抵抗に変化する。従っ
て、外部磁界の変化時、磁性薄膜メモリ素子の出力側の
電圧Vが上昇する。
【0015】上述のように、書き込み線10を流れる電
流を変化させるにより、磁性薄膜メモリ素子に加えられ
る外部磁界を変化させた場合、ハード層42の磁化方向
により、磁性薄膜メモリ素子の出力側の電圧Vの変動
(上昇、又は降下)に差異が生じる。従って、この電圧
Vの変動を検出することにより、ハード層42の磁化方
向として記憶されている情報を読み出すことができる。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、巨大磁
気抵抗効果が得られる磁性薄膜メモリ素子は、層厚10
〜200Aの非常に薄い磁性層や、Cuなどの導電性非
磁性層を4層以上積層するため構造および作製プロセス
が複雑になり、製造コストが高かった。
【0017】又、通常の磁性薄膜メモリでは、メモリ素
子がマトリックス状に配置され、縦又は横方向に並ぶメ
モリ素子が読み出し線により直列に接続さている。この
メモリ素子の厚みは数百Aと非常に薄く、その抵抗値が
高いため、磁性薄膜メモリを構成し、読み出し線に電流
を流した場合、発熱及び発熱によるパワ−損失が大きく
なる。従って、素子数を多くしてメモリの容量を大きく
することが難しかった。
【0018】そこで、本発明は、かかる従来の実情に鑑
みて提案されたものであって、構造が単純な3層構造か
らなり、低抵抗でパワ−ロスが少なく、大容量化が可能
な磁性薄膜メモリ素子および磁性薄膜メモリを提供する
ことを目的とするものである。
【0019】
【課題を解決するための手段】本発明にかかる磁性薄膜
メモリ素子は、絶縁層を挟んで積層された、磁化容易軸
が平行な第1磁性層及び第2磁性層を有し、該第2磁性
層の保磁力は、該第1磁性層の保磁力より大きく、該第
1磁性層と該第2磁性層との間で、トンネル効果が得ら
れる部分があることを特徴とするものである。
【0020】又、本発明にかかる磁性薄膜メモリ素子
は、上記第1磁性層及び第2磁性層に挟まれた絶縁層の
材料としてダイヤモンドライクカーボンを用いたことを
特徴とするものである。
【0021】又、本発明にかかる磁性薄膜メモリ素子
は、上記第1磁性層及び第2磁性層に挟まれた絶縁層の
材料としてポリパラキシレンを用いたことを特徴とする
ものである。
【0022】又、本発明にかかる磁性薄膜メモリ素子
は、上記第1磁性層及び第2磁性層に挟まれた絶縁層の
材料としてアルミニウムを含有する酸化物を用いたこと
を特徴とするものである。
【0023】又、本発明にかかる磁性薄膜メモリは、上
記いずれかの磁性薄膜メモリ素子が、マトリックス状に
配列された記憶素子部分と、縦又は横方向に並べられた
前記磁性薄膜素子が、直列に接続された読み出し線と、
該読み出し線に平行な方向と垂直な方向に絶縁材を介し
て設けられた2本の書き込み線を有することを特徴とす
るものである。
【0024】
【作用】本発明にかかる磁性薄膜メモリ素子によれば、
単純な3層構造により、大きな磁気抵抗変化率(MR変
化率)を得ることができる。
【0025】又、トンネル効果によって絶縁層を流れる
電流は、絶縁層の層面に垂直な方向に流れるので、磁性
薄膜メモリ素子の抵抗を小さくすることができる。
【0026】又、絶縁層の材料として、ダイアモンドラ
イクカ−ボン、ポリパラキシリレン又はアルミニウムを
主成分とする酸化物を用いた場合には、トンネル効果の
得られるトンネル接合を容易に形成することができる。
【0027】又、本発明にかかる磁性薄膜メモリ素子を
用いた磁性薄膜メモリによれば、メモリ素子が単純な3
層構造であるため、単純な製造工程で、磁性薄膜メモリ
を製造することができる。
【0028】又、本発明にかかる磁性薄膜メモリ素子を
用いた磁性薄膜メモリによれば、素子の抵抗が小さく、
磁界を印加しない状態では、素子が低抵抗状態になるの
で、メモリの大容量化が可能になると共に、低消費電力
の磁性薄膜メモリを提供することができる。
【0029】
【実施例】
[本発明にかかる磁性薄膜メモリ素子の構成について]
本発明に係る磁性薄膜メモリ素子は、第1磁性層と第2
磁性層を、絶縁層を介してトンネル接合した3層構造を
有し、上記第1磁性層と第2磁性層間に現れる磁気トン
ネリング効果を利用したものである。一般に、金属や半
導体を薄い絶縁層で隔ててポテンシャルバリアを作って
も、伝導電子はトンネル効果によりある程度絶縁層を通
過する。又、強磁性体金属の電子状態はスピンに依存し
ているため、上記第1磁性層と第2磁性層間に現れるト
ンネル効果は、これらの磁性層の磁化方向の相対角度に
依存することが知られている(J.Magn.Mag
n.Mater.98(1991)L7−L9)。そし
て、このようなトンネル接合された部分に於ける磁気抵
抗効果を、磁気トンネリング効果という。
【0030】又、上記磁気トンネリング効果に寄与す
る、第1磁性層と第2磁性層の磁化容易軸は平行で、第
2磁性層の保磁力は第1磁性層の保磁力より大きい。従
って、第1磁性層及び第2磁性層に加える外部磁界の強
度を調整することにより、第1磁性層のみ、又は第1磁
性層と第2磁性層の双方の磁化方向を変えることができ
る。
【0031】そして、上記磁気トンネリング効果により
第1磁性層と第2磁性層の磁化方向が、同一方向のとき
に電気抵抗が低くなり、逆方向(180°逆方向)のと
きに高くなる。従って、外部磁界により第1磁性層のみ
の磁化方向を一定の順序で変化させた場合(例えば、磁
化方向を左方向から右方向に変えた場合)、第2磁性層
の磁化方向に応じて、電気抵抗が、低抵抗から高抵抗
に、又は高抵抗から低抵抗に変化する。
【0032】ここで、第1磁性層はできるだけ弱い外部
磁界で磁化方向が変化する必要があるため、保磁力は小
さい方がよく、好ましくは50[Oe]以下、より好ましく
は10[Oe]以下である。ここで保磁力の範囲を50[Oe]
以下としたのは、50[Oe]より大きいと磁化方向を変え
るときに、強い外部磁界を発生させる電流が必要になる
ため、磁性薄膜メモリを構成したときに発熱やノイズが
増加し、誤動作をすることがあるからである。尚、磁性
層の保磁力の大きさは、組成、層厚や成膜条件を調整す
ることにより所定の大きさに設定することができるが、
層厚は、5〜100nmであることが好ましい。5nmより
薄いと膜がアイランド状になるため、電気抵抗が高くな
り好ましくないからである。又、第1磁性層の材料とし
ては、Fe、NiFe、NiFeCo等を用いることが
できる。
【0033】一方、第2磁性層の保磁力は、第1磁性層
の保磁力より大きくする必要があり、好ましくは50[O
e]以上、より好ましくは100[Oe]以上である。ここで
保磁力の範囲を50[Oe]以上としたのは、50[Oe]より
小さいと、磁化方向が外部擾乱磁界などの影響で乱さ
れ、メモリが破壊されてしまうことがあるからである。
尚、第2磁性層の保磁力の大きさも、第1磁性層と同様
に、組成、層厚や成膜条件を調整することにより所定の
大きさに設定することができ、層厚については、5〜1
00nmであることが好ましい。又、第2磁性層の材料と
しては、Co、CoFe、CoPt、MnSb等を用い
ることができる。
【0034】上記第1磁性層と第2磁性層の保磁力の差
は20[Oe]以上は必要で、好ましくは50[Oe]以上、よ
り好ましくは100[Oe]以上である。ここで保磁力の差
を20[Oe]以上としたのは、保磁力の差が20[Oe]より
小さいと、情報を読み出すときに、第1磁性層の磁化方
向だけを変化させるために加える外部磁界の許容変動範
囲、つまり、この外部磁界を発生させるための電流の許
容変動範囲が小さくなるからである。
【0035】又、上記磁気トンネリング効果を得るため
には、上記第1磁性層と第2磁性層に挟まれた絶縁層の
層厚は、均一に薄くする必要があり、好ましくは1〜2
0nm、より好ましくは1〜10nmの範囲である。ここ
で、絶縁層の層厚の範囲を1〜20nmとしたのは、1nm
より薄いとピンホ−ルが多くなり均一なポテンシャルバ
リアが形成されず、20nmより厚いとトンネリング効果
が起こらなくなるからである。従って、絶縁層の材料と
しては、薄い層厚でもピンホ−ルなどの発生が少ない材
料が必要とされ、これに適した材料としては、ダイアモ
ンドライクカ−ボン(以下、DLCという)、ポリパラ
キシリレン、アルミニウムを主成分とする酸化物が挙げ
られるが、DLC、又はポリパラキシリレンを用いるこ
とが好ましい。
【0036】[本発明にかかる磁性薄膜メモリ素子の動
作原理について]本発明にかかる磁性薄膜メモリ素子に
情報を書き込む場合と、磁性薄膜メモリ素子から読み出
す場合について、図1から図3に示した薄膜断面の模式
図を参照して説明する。
【0037】図1は、この磁性薄膜メモリ素子に、情報
を書き込む場合を示す。同図に示したように、この磁性
薄膜メモリ素子は、絶縁層3を介して積層された第1磁
性層1と第2磁性層2からなる。又、10は外部磁界を
発生させる書き込み線であり、書き込み線10を流れる
電流により発生した外部磁界の方向に、第1磁性層1及
び第2磁性層2は磁化される。そして、第2磁性層2の
磁化方向に、2値の「0」、「1」が割り当てられる。
【0038】図1(a)の場合、書き込み線10を流れ
る電流により、反時計回りの外部磁界10aが発生し、
その結果、第1磁性層1の磁化方向は1a、第2磁性層
2の磁化方向は2aになり、(b)の場合、時計回りの
外部磁界10bが発生し、その結果、第1磁性層1の磁
化方向は1b、第2磁性層2の磁化方向は2bになる。
尚、書き込みの場合は、第1磁性層1だけでなく第2磁
性層2の磁化方向を変えるのに十分な強度の外部磁界を
加える必要がある。
【0039】図2は、図1(a)に示した反時計回りの
外部磁界10aで書き込まれた情報を、読み出す場合を
示す。通常、磁性薄膜メモリ素子に書き込まれた情報
を、読み出す場合には図2(a)に示したような反時計
回りの弱い(第1磁性層1の磁化方向だけが変化する磁
界強度)外部磁界10aと、(b)に示したような時計
回りの弱い外部磁界10bが、この順で、磁性薄膜メモ
リ素子に加えられるように書き込み線10に電流を流
す。この際、磁性薄膜メモリ素子と接続する読み出し線
5には電流Irを流しておく。
【0040】ここで、反時計回りの弱い外部磁界10a
を加えた場合には、第1磁性層1の磁化方向1aと、第
2磁性層2の磁化方向2aが同一方向になり、時計回り
の弱い外部磁界10aを加えた場合には、第1磁性層1
の磁化方向1bと、第2磁性層2の磁化方向2aが逆方
向になるため、この外部磁界の変化により、磁性薄膜メ
モリ素子の抵抗値は、低抵抗から高抵抗に変化する。従
って、外部磁界の変化時、つまり、書き込み線10を流
れる電流を変化させたときに、磁性薄膜メモリ素子の出
力側の電圧Vが降下する。
【0041】図3は、図1(b)に示した時計回りの外
部磁界10bで書き込まれた情報を、読み出す場合を示
す。
【0042】ここで、反時計回りの弱い外部磁界10a
を加えた場合には、第1磁性層1の磁化方向1aと、第
2磁性層2の磁化方向2bが逆方向になり、時計回りの
弱い外部磁界10aを加えた場合には、第1磁性層1の
磁化方向1bと、第2磁性層2の磁化方向2bが同一方
向になるため、この外部磁界の変化により、磁性薄膜メ
モリ素子の抵抗値は、高抵抗から低抵抗に変化する。従
って、外部磁界の変化時、磁性薄膜メモリ素子の出力側
の電圧Vが上昇する。
【0043】上述のように、書き込み線10を流れる電
流を変化させるにより、磁性薄膜メモリ素子に加えられ
る外部磁界を変化させた場合、第2磁性層2の磁化方向
により、磁性薄膜メモリ素子の出力側の電圧Vの変動に
差異が生じる。
【0044】尚、外部磁界を取り去ったときに、第1磁
性層の磁化方向と第2磁性層の磁化方向が異なる場合
は、第1磁性層の磁化方向は、第1磁性層より保磁力の
大きい第2磁性層の磁化方向と同一の方向に戻る。従っ
て、マトリックス状に磁性薄膜メモリ素子を配列して磁
性薄膜メモリを構成した場合に、外部磁界を加えていな
い素子は、全て低抵抗になるため、発熱及び発熱による
パワ−損失を小さくすることができる。
【0045】図4(a)は、情報を読み出すときに、書
き込み線を流れる+側から−側に変化する電流(以下、
再生パルス電流という)を、(b)、(c)は、(a)
に示した再生パルス電流を流したときの磁性薄膜メモリ
素子の出力側の電圧Vの変動を示す。ここで、同図の
(a)に示したように、書き込み線を流れる電流が+側
から−側に変化したとき、磁性薄膜メモリ素子に加えら
れる外部磁界が変化する。つまり、+側のとき、図2、
3に示した反時計回りの磁界が発生し、−側のとき、図
2、3に示した反時計回りの磁界が発生する。そして、
この変化時に磁性薄膜メモリ素子の出力側の電圧Vは、
第2磁性層の磁化方向に応じて、(b)に示したように
上昇するか、又は(c)に示したように降下する。従っ
て、情報を読み出すときには、書き込み線に再生パルス
電流を流し、そのときに磁性薄膜メモリ素子の出力側と
接続する読み出し線に生じる電圧変動を検出することに
より、第2磁性層の磁化方向を判断することができる。
【0046】又、情報を読み出すときに、図4(d)に
示したような+側の電流だけを流しても第2磁性層の磁
化方向を判断することができる。この場合、情報を読み
出すときに、磁性薄膜メモリ素子には、+側の電流によ
る磁界(図2、3に示した反時計回りの磁界)だけが印
加される。そして、この電流を流したときに磁性薄膜メ
モリ素子の出力側の電圧Vは、第2磁性層の磁化方向に
応じて、(e)に示したように変動しないか、又は
(c)に示したように変動する(低下する)。従って、
電流を流したときに電圧変動が生じるか否かを検出する
ことにより、第2磁性層の磁化方向を判断することがで
きる。
【0047】尚、第2磁性層の2つの磁化方向は、2値
の「0」、「1」に割り当てられているため、第2磁性
層の磁化方向の設定は、磁性薄膜メモリ素子への情報の
書き込みに対応し、第2磁性層の磁化方向の検出は、磁
性薄膜メモリ素子からの情報の読み出しに対応する。
【0048】[本発明にかかる磁性薄膜メモリについ
て]本発明にかかる磁性薄膜メモリについて、図5から
図8を参照して説明する。
【0049】図5は、磁性薄膜メモリに於ける1素子部
分の平面図(a)とそのAA’断面図(b)を示し、読
み出し線5と接続する第1磁性層1と第2磁性層2が、
絶縁層3を介して積層されている。ここで、第1磁性層
1と第2磁性層2はトンネル接合されていて、第1磁性
層1と第2磁性層2が重なり合った部分がトンネル接合
部になる。又、第2磁性層2の保磁力は、第1磁性層1
の保磁力より大きくしてある。
【0050】尚、本発明の磁性薄膜メモリ素子に於いて
は、トンネル接合部を流れる読み出し電流は、矢印8に
示したように絶縁層3の膜面に垂直な方向に電流が流れ
るため素子の抵抗が小さくなり、素子の発熱が少なくす
ることができる。又、サブミクロンオ−ダ−の素子が形
成可能となり、メモリを大容量化することができる。
【0051】又、上記磁性薄膜メモリ素子の磁化容易軸
4と垂直な方向に、書き込み線10が設けられ、平行な
方向に、書き込み補助線20が設けられている。そし
て、上記磁性薄膜メモリ素子、書き込み線10、書き込
み補助線20は絶縁膜7、絶縁膜6で絶縁されている。
【0052】図6は、磁性薄膜メモリの平面図(a)と
そのBB’断面図(b)を示し、書き込み線11、1
2、13と書き込み補助線21、22、23が直交する
部分に、磁性薄膜メモリ素子がマトリックス状に配列さ
れている。ここで、磁性薄膜メモリ素子は、読み出し補
助線方向に直列に接続され、読み出し線を形成してい
る。例えば、BB’断面に示した部分では、磁性薄膜メ
モリ素子31、32、33が直列に接続された部分が、
読み出し線5になる。
【0053】このように、磁性薄膜メモリ素子がマトリ
ックス状に配列されている場合に、書き込み線に、磁性
薄膜メモリ素子の第2磁性層の磁化方向を変化させるの
に十分な書き込み電流を流した場合、書き込み電流を流
した書き込み線に沿って配列された磁性薄膜メモリの第
1磁性層及び第2磁性層は、全て書き込み電流により発
生した磁界の方向に磁化されてしまう。つまり、書き込
み電流を流した書き込み線に沿って配列された磁性薄膜
メモリには、全て書き込みが行われる。従って、磁性薄
膜メモリ素子をマトリックス状に配列した場合には、1
本の書き込み線を流れる電流だけでは、磁性薄膜メモリ
素子の一部の素子の磁化方向だけを所望の磁化方向に向
かせること、つまり、一部の素子だけに情報を書き込む
ことができない。
【0054】ここで、書き込み線と書き込み補助線の双
方に電流を流すことにより、マトリックス状に配列され
た磁性薄膜メモリ素子の一部の素子の磁化方向だけを所
望の磁化方向に向かせる場合、つまり、一部の素子だけ
に情報を書き込む場合について、図7、図8を参照して
説明する。
【0055】図7(a)に於いて、Iw1は書き込み線
10を流れる書き込み電流を示し、Iwは書き込み補助
線20を流れる書き込み補助電流を示す。そして、Hw
1は、書き込み電流Iw1により発生した書き込み磁界
を示し、Hwは、書き込み補助電流Iwにより発生した
書き込み補助磁界を示す。ここで、書き込み磁界Hw1
及び書き込み補助磁界Hwは、共に磁性薄膜メモリ素子
の第2磁性層の保磁力より小さいため、一方の磁界だけ
では、第2磁性層の磁化方向を変えることができない。
しかし、書き込み磁界Hw1と書き込み補助磁界Hwの
合成磁界H1は、第2磁性層の保磁力より大きいため、
書き込み電流Iw1と書き込み補助電流Iwの双方を流
した場合には、第2磁性層の磁化方向を変えることがで
きる。
【0056】図7(b)は、書き込み磁界Hw1、書き
込み補助磁界Hw、合成磁界H1及び第2磁性層2の磁
化容易軸4を示す。ここで、合成磁界H1は、第2磁性
層2の保磁力より大きいため、第2磁性層2は、合成磁
界H1により磁化され、その磁化方向B1は、合成磁界
H1の磁化容易軸4に平行な成分の方向になる。尚、書
き込み電流Iw1により発生する書き込み磁界Hw1
は、第2磁性層2の磁化容易軸4にほぼ平行で、書き込
み補助電流Iwにより発生する書き込み補助磁界Hw
は、第2磁性層2の磁化容易軸4にほぼ垂直なので、磁
化方向B1は、書き込み磁界Hw1つまり書き込み電流
Iw1により決まる。
【0057】図8(a)は、図7の書き込み電流Iw1
と逆の方向に書き込み電流Iw2を流している。従っ
て、発生する書き込み磁界Hw2の方向も図7の書き込
み磁界Hw1と逆の方向になる。従って、(b)に示し
たように第2磁性層の磁化方向B2も図7の磁化方向B
1と逆の方向になる。
【0058】上述のように、マトリックス状に、磁性薄
膜メモリ素子を配列した場合には、磁化方向を変化させ
たい磁性薄膜メモリ素子の部分を通る書き込み線及び書
き込み補助線だけに電流を流すことにより、その部分の
磁性薄膜メモリ素子の磁化方向だけを変えることができ
る。又、磁性薄膜メモリ素子の磁化方向は、書き込み線
を流れる電流の方向により、所望の方向に向けることが
できる。
【0059】一方、マトリックス状に配列された磁性薄
膜メモリ素子に、書き込まれた情報を読み出す場合に
は、読み出したい磁性薄膜メモリ素子が接続された読み
出し線に読み出し電流を流すと共に、その磁性薄膜メモ
リ素子の部分を通る書き込み線に再生パルス電流を流
し、再生パルス電流を流したときの、読み出し線の電圧
変動を検出することにより、書き込まれた情報である第
2磁性層の磁化方向を判別することができる。
【0060】(実施例1)保磁力の小さい第1磁性層1
としてFe、保磁力の大きい第2磁性層2としてCo、
絶縁層3としてDLCを用い、Fe(50nm)/DLC
(2nm)/Co(50nm)の強磁性トンネル接合と磁性
薄膜メモリ素子を作製した。図9は、強磁性トンネル接
合9の磁気抵抗曲線を調べるために作製した試料の斜視
図(a)と平面模式図(b)を示す。尚、磁気抵抗曲線
は直流4端子法で印加磁場500[Oe]のもとで測定し
た。また、10mm角の大きさのFe/DLC/Co3層
膜も作製し、VSMで磁化曲線を調べた。
【0061】以下に、強磁性トンネル接合を形成する工
程を説明する。
【0062】まず、ガラス基板上にDCスパッタ法によ
り以下に示す成膜条件でFe層を層厚50nmで形成し
た。
【0063】 到達圧力 5×10−5 Pa Arガス 10 SCCM 成膜圧力 0.5 Pa 投入パワ− 100 W 成膜レ−ト 0.5 nm/sec こうして得られたFe層を、微細加工技術を用いて1mm
×10mmの長方形にパタ−ニングし、第1磁性層1とし
た。
【0064】次に、第1磁性層1の上にプラズマCVD
法により以下に示す成膜条件でDLC膜を膜厚2nmで形
成した。
【0065】 到達圧力 3×10−3 Pa エチレンガス 10 SCCM 成膜圧力 3 Pa 投入パワ− 100 W 成膜レ−ト 10 nm/min こうして得られたDLC膜を、φ3mmに微細加工し、絶
縁層3とした。
【0066】続いて、これを再度DCスパッタ装置に移
し、以下の成膜条件でCo層を層厚50nmで形成した。
【0067】 到達圧力 5×10−5 Pa Arガス 10 SCCM 成膜圧力 0.5 Pa 投入パワ− 100 W 成膜レ−ト 0.5 nm/sec こうして得られたCo層を、第1磁性層と同様に微細加
工技術により1mm×10mmのストライプ状にパタ−ニン
グし、接合面積が1mm×1mmのFe/DLC/Coの強
磁性トンネル接合9を形成し、磁気抵抗曲線を調べた。
【0068】又、同様の方法で10mm×10mmのトンネ
ル接合を形成し、磁化曲線も調べた。その結果、図10
に示した磁気抵抗曲線と、図11に示したVSMによる
磁化曲線が得られた。ここで、図10に示したMR変化
率は(ΔR/R)×100(R:抵抗値、ΔR:抵抗値
の変化量)で与えられ、本実施例の試料では、印加磁場
100[Oe]以下で12%のMR変化率が得られた。
【0069】このFe/DLC/Co強磁性トンネル接
合を用いて図5に示したような磁性薄膜メモリ素子を、
以下のよう工程で作製した。
【0070】まず、ガラス基板上の読み出し線を形成す
る方向に500[Oe]の磁場を印加しながらFe層を層
厚50nmで形成した後、微細加工技術を用いて2μm×
10μmの長方形にパタ−ニングし、第1磁性層1とし
た。このように、磁場を印加しながら成膜することによ
り、形成された磁性層の磁化容易軸が、印加した磁場の
方向に平行になる。
【0071】次に、第1磁性層1の上にダイアモンドラ
イクカ−ボン(DLC)膜を膜厚2nm形成し、微細加工
し、絶縁層3とした。
【0072】続いて、再度これをDCスパッタ装置に移
し、Fe層の場合と同様の磁場を印加しながら、Co層
を層厚50nmで形成した後、微細加工技術により1μm
×10μmのストライプ状にパタ−ニングし、第2磁性
層2とした。以上の工程により接合面積が1μm×3μm
のFe/DLC/Coのトンネル接合を形成した。
【0073】次に、第1磁性層1及び第2磁性層2に接
続するようにCr(5nm)/Au(200nm)/Cr
(5nm)膜を読み出し線5として形成した。
【0074】続いて、アルミナからなる絶縁膜7をRF
スパッタ法で膜厚200nm形成した後、再度Cr(5n
m)/Au(200nm)/Cr(5nm)膜を成膜し、ト
ンネル接合部の上部に読み出し線5と平行な方向に帯状
にパタ−ニングして書き込み補助線20を形成した。更
に、同様な方法で、膜厚200nmのアルミナからなる絶
縁膜6と書き込み補助線20と直角する方向に帯状にパ
ターニングされた書き込み線10を形成し、磁性薄膜メ
モリ素子とした。
【0075】こうして得られた磁性薄膜メモリの動作確
認を行ったところ、書き込みと読み出しを正常に行うこ
とができた。つまり、書き込み時には、書き込み電流に
よって発生した磁界の方向に、磁性薄膜メモリ素子の第
1磁性層1及び第2磁性層2が磁化し、読み出し時に
は、再生パルス電流を流すことにより、読み出し線から
所望の電圧変動を得ることができた。
【0076】(実施例2)実施例1と同様の方法で、表
1に記載の膜構成の強磁性トンネル接合を作製し、磁気
抵抗曲線を調べ、得られた磁気抵抗変化率を表1に示し
た。同表に示したように、いずれの試料についても5〜
25%のMR変化率が得られることを確認できた。
【0077】次に、これらの強磁性トンネル接合を用い
た磁性薄膜メモリ素子を作製し、実施例1と同様に動作
確認を行ったところ、書き込みと読み出しを正常に行う
ことができた。
【0078】比較試料についても同様の方法で、表1に
記載の膜構成でダイアモンドライクカ−ボン膜を絶縁層
とした強磁性トンネル接合を作製し、磁気抵抗曲線を調
べ、得られた磁気抵抗変化率を表1に示した。同表に示
したように、いずれの比較試料も0.1〜0.2%のM
R変化率しか得られなかった。この理由としては、絶縁
層厚が1nmと薄い場合は均一な絶縁層が形成されないた
めピンホ−ルが多くなり、2つの磁性層間で電気的なブ
リッジが形成されてしまうためと考えられる。また、絶
縁層厚が30nmと厚い場合はトンネル電流が散乱されて
しまうためと考えられる。
【0079】次に、比較試料の強磁性トンネル接合を用
いた磁性薄膜メモリ素子を作製し、上記試料と同様に動
作確認を行ったところ、正常に動作しなかった。
【0080】
【表1】
【0081】(実施例3)実施例1と同様の方法で、表
2に記載の膜構成で、ポリパラキシリレンを絶縁層とし
た強磁性トンネル接合を作製し、磁気抵抗曲線を調べ、
得られた磁気抵抗変化率を表2に示した。同表に示した
ように、いずれの試料についても6〜13%のMR変化
率が得られることが確認できた。
【0082】尚、ここでは、ポリパラキシリレン膜は以
下の方法で作製した。まず、原料のジパラキシリレンを
真空下で約150℃で気化したのち、炉の中で600℃
で熱分解し、成膜室で反応圧力20mTorrでポリパラキ
シリレン膜を作製した。ポリパラキシリレンとしてユニ
オンカ−バイド社のパリレンNおよびパリレンCを、成
膜速度は10nm/minで成膜した。
【0083】次に、これらの強磁性トンネル接合を用い
た磁性薄膜メモリ素子を作製し、実施例1と同様に動作
確認を行ったところ、書き込みと読み出しを正常に行う
ことができた。
【0084】比較試料についても同様の方法で、表2に
記載の膜構成でポリパラキシリレンまたはポロモノクロ
パラキシリレンを絶縁層とした強磁性トンネル接合を作
製し、磁気抵抗曲線を調べ、得られた磁気抵抗変化率を
表2に示した。同表に示したように、いずれの比較試料
も0.1〜0.3%のMR変化率しか得られなかった。
この理由としては、絶縁層厚が1nmと薄い場合は均一な
絶縁層が形成されないためピンホ−ルが多くなり、2つ
の磁性層間で電気的なブリッジが形成されてしまうため
と考えられる。また、絶縁層厚が25nmと厚い場合はト
ンネル電流が散乱されてしまうためと考えられる。
【0085】次に、比較試料の強磁性トンネル接合を用
いた磁性薄膜メモリ素子を作製し、上記試料と同様に動
作確認を行ったところ、正常に動作しなかった。
【0086】
【表2】
【0087】(実施例4)実施例1と同様の方法で、表
3に記載の膜構成で、Alを絶縁層とした強磁性
トンネル接合を作製し、磁気抵抗曲線を調べ、得られた
磁気抵抗変化率を表3に示した。同表に示したように、
いずれの試料についても13〜20%のMR変化率が得
られることが確認できた。
【0088】尚、ここでは、Al絶縁層はAl金
属膜をスパッタ法で作製したのち、大気中で24時間自
然酸化させ、形成した。
【0089】次に、これらの強磁性トンネル接合を用い
た磁性薄膜メモリ素子を作製し、実施例1と同様に動作
確認を行ったところ、書き込みと読み出しを正常に行う
ことができた。
【0090】比較試料についても同様の方法で、表3に
記載の膜構成でAlを絶縁層とした強磁性トンネ
ル接合を作製し、磁気抵抗曲線を調べ、得られた磁気抵
抗変化率を表3に示した。同表に示したように、比較試
料では0.2%のMR変化率しか得られなかった。この
理由としては、絶縁層が1nmと薄いためピンホ−ルが多
くなり、上下の磁性層間で電気的にブリッジができるた
めと考えられる。
【0091】次に、比較試料の強磁性トンネル接合を用
いた磁性薄膜メモリ素子を作製し、上記試料と同様に動
作確認を行ったところ、正常に動作しなかった。
【0092】
【表3】
【0093】又、実施例1〜3で作製した磁性薄膜メモ
リ素子の抵抗を調べた結果、1〜5Ωと非常に低かっ
た。この値は同じ大きさのスピンバルブ構造GMRメモ
リ素子の抵抗の1/10以下と低い。
【0094】以上から明瞭なように、本発明によれば、
非常に単純な、磁性層/絶縁層/磁性層の3層構造を有
し、かつ低抵抗な磁性薄膜メモリ素子を提供することが
できる。
【0095】
【発明の効果】本発明にかかる磁性薄膜メモリ素子は、
以上で説明したように、単純な3層構造で大きなMR変
化率を得ることができるため、低コストで磁性薄膜メモ
リ素子を形成することができる。
【0096】又、磁性薄膜メモリ素子の抵抗を小さく
し、素子に於ける発熱を少なくすることができる。
【0097】又、絶縁層の材料として、ダイアモンドラ
イクカ−ボン、ポリパラキシリレン又はアルミニウムを
主成分とする酸化物を用いた場合には、トンネル効果の
得られるトンネル接合を容易に形成することができる。
【0098】又、非常に薄い磁性層や導電非磁性層等を
形成することなく、単純な製造工程だけで、磁性薄膜メ
モリを製造することができるので、製造歩留を向上させ
ることができる。
【0099】又、本発明にかかる磁性薄膜メモリ素子は
抵抗が小さく、磁界を印加しない状態では、低抵抗状態
になるので、メモリの大容量化が可能になると共に、低
消費電力の磁性薄膜メモリを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる磁性薄膜メモリ素子に対する書
き込み操作を説明するための断面図である。
【図2】本発明にかかる磁性薄膜メモリ素子に対する読
み出し操作を説明するための断面図である。
【図3】本発明にかかる磁性薄膜メモリ素子に対する読
み出し操作を説明するための断面図である。
【図4】再生パルス電流の電流波形と再生パルス電流に
より読み出し線に生じる電圧変動を示した波形図であ
る。
【図5】本発明にかかる磁性薄膜メモリ素子の構造を示
した、平面図と断面図である。
【図6】本発明にかかる磁性薄膜メモリの構成を示し
た、平面図と断面図である。
【図7】本発明にかかる磁性薄膜メモリを構成する素子
に対する書き込み操作を説明するための説明図である。
【図8】本発明にかかる磁性薄膜メモリを構成する素子
に対する書き込み操作を説明するための説明図である。
【図9】トンネル接合の試料を示した斜視図と平面図で
ある。
【図10】実施例1のトンネル接合に於ける磁気抵抗曲
線を示したグラフである。
【図11】実施例1のトンネル接合に於ける磁化曲線を
示したグラフである。
【図12】従来の磁性薄膜メモリ素子に対する書き込み
操作を説明するための断面図である。
【図13】従来の磁性薄膜メモリ素子に対する読み出し
操作を説明するための断面図である。
【図14】従来の磁性薄膜メモリ素子に対する読み出し
操作を説明するための断面図である。
【符号の説明】
1 第1磁性層 2 第2磁性層 3 絶縁層 4 磁化容易軸 5 読み出し線 6、7 絶縁膜 10、11、12、13 書き込み線 20、21、22、23 書き込み補助線
フロントページの続き (72)発明者 荒木 悟 東京都中央区日本橋一丁目13番1号ティー ディーケイ株式会社内 (72)発明者 篠浦 治 東京都中央区日本橋一丁目13番1号ティー ディーケイ株式会社内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 絶縁層を挟んで積層された、磁化容易軸
    が平行な第1磁性層及び第2磁性層を有し、該第2磁性
    層の保磁力は、該第1磁性層の保磁力より大きく、該第
    1磁性層と該第2磁性層との間で、トンネル効果が得ら
    れる部分があることを特徴とする磁性薄膜メモリ素子。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の磁性薄膜メモリ素子に於
    いて、絶縁層の材料としてダイヤモンドライクカーボン
    を用いたことを特徴とする磁性薄膜メモリ素子。
  3. 【請求項3】 請求項1記載の磁性薄膜メモリ素子に於
    いて、絶縁層の材料としてポリパラキシレンを用いたこ
    とを特徴とする磁性薄膜メモリ素子。
  4. 【請求項4】 請求項1記載の磁性薄膜メモリ素子に於
    いて、絶縁層の材料としてアルミニウムを含有する酸化
    物を用いたことを特徴とする磁性薄膜メモリ素子。
  5. 【請求項5】 請求項1乃至4記載のいずれかの磁性薄
    膜メモリ素子が、マトリックス状に配列された記憶素子
    部分と、縦又は横方向に並べられた前記磁性薄膜素子
    が、直列に接続された読み出し線と、該読み出し線に平
    行な方向と垂直な方向に絶縁材を介して設けられた2本
    の書き込み線を有することを特徴とする磁性薄膜メモ
    リ。
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