JPH099997A - 安定なプラスミン溶液 - Google Patents

安定なプラスミン溶液

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JPH099997A
JPH099997A JP15933095A JP15933095A JPH099997A JP H099997 A JPH099997 A JP H099997A JP 15933095 A JP15933095 A JP 15933095A JP 15933095 A JP15933095 A JP 15933095A JP H099997 A JPH099997 A JP H099997A
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弘和 矢後
Mari Toomi
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 プラスミン、並びにリジン、アルギニン、グ
リシン、アラニン、アスパラギン酸及びメチオニンから
選ばれるアミノ酸からなるオリゴペプチドを含有するプ
ラスミン溶液。 【効果】 長期間保存してもプラスミン活性及びα2P
Iとの結合活性が低下することなく、安定に維持され
る。α2PIの測定試薬等として有用であり、自動分析
機器にも適用することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、血液凝固線溶因子の測
定試薬等に有用な安定なプラスミン溶液に関する。
【0002】
【従来の技術】生体内における酵素反応は、その活性化
物質やその反応を阻害する阻害物質により制御・調整さ
れ、機能の調節が図られている。例えば、血液凝固機構
においては、血管損傷部位以外での血液凝固反応や、過
度の凝固亢進・線溶亢進を阻害する酵素阻害物質が存在
し、これにより血液凝固・線溶の制御・調節が行われて
いる。血栓形成の進展状態を検査する血液学的検査にお
いては、酵素阻害物質の測定は重要であり、凝固・線溶
の状態を示す良い指標となることから、アンチトロンビ
ンIII(ATIII)、α2−プラスミンインヒビター(α
2PI)などの酵素阻害物質の測定が行われている。
【0003】これらのうち、α2PIは、血液の線維素
溶解現象を調節する線溶阻止因子の中でも最も重要な因
子であることが明らかにされ、生体内の線溶亢進状態を
知るための指標として注目されている。また、その血液
中レベルは汎発性血管内血液凝固症(DIC)、肝疾患
で顕著に低下するなど種々の疾患、症状により変動する
ため、これら疾患のスクリーニング、病体解析、予後判
定及び線溶療法時の薬効判定の指標となっている。
【0004】従来、このような酵素阻害物質の測定法と
しては、測定対象である酵素阻害物質と過剰量の酵素と
を反応させ、残存する酵素を測定することにより酵素阻
害物質を測定することが行われている。例えば、生体試
料(検体)中のα2PI量を測定する場合には、α2P
Iが酵素プラスミンを阻害することを利用して、一定量
のプラスミンを検体中のα2PIと反応させた後、残存
するプラスミンの活性を測定することにより、α2PI
量を求めることが行われている。そして、この場合に、
プラスミンの活性は、発色性合成基質の加水分解速度を
吸光度変化をもって測定する方法などにより求められて
いる。
【0005】しかし、このような酵素阻害物質の多くは
セリンプロテアーゼインヒビターであり、このような酵
素阻害物質を測定するための酵素はセンリプロテアーゼ
である。セリンプロテアーゼ等のプロテアーゼの多く
は、自己の分子内に自己の基質となる部位が存在するた
め、溶液中で速やかに分解を起こし、プロテアーゼ活性
あるいはプロテアーゼインヒビターとの結合活性の低下
が認められることがある。例えば、α2PIの測定に用
いられるプラスミンは、ヒト由来のものでは、37℃に
1時間放置するとプロテアーゼ活性の72%が失活し、
H鎖、L鎖共に分解が生じる(K.N.N.Redd
y,Biochem.Biophys.Res.Com
mun.,92,1016−1022(1980))。
【0006】一方、プラスミンのプロテアーゼ活性は、
フィブリノーゲン、ε−アミノカプロン酸、高イオン強
度、グリセロールの添加(J.Jespersen,T
hromb.Res.,37,395−404(198
6))、更に、ε−アミノカプロン酸やリジンの添加
(K.N.N.Reddy,Progress inF
ibrinolysis,374−379(198
1))等により、安定性が向上することが知られてい
る。しかしながら、これらの方法では極めて短時間の安
定化が図れるのみであり、例えば37℃で1時間放置す
ると、活性は著しく低下してしまう。また、50%グリ
セロールのように、プロテアーゼ活性の安定性が比較的
保てるものであっても、プロテアーゼインヒビターとの
結合活性が低下するなどの問題があった(M.Shim
okawa,Analytical Science,
10,533−536(1994))。
【0007】このため、このような酵素阻害物質の測定
試薬は、プラスミンを溶液状態で保存できないことか
ら、凍結乾燥品として製造されており、測定の際には用
時調製が必要であり、経済性や操作性、迅速性などの点
で問題があった。また、従来用いられているプラスミン
溶液では、粘性が高いことや、プラスミン活性及びプラ
スミンのα2PI結合活性が著しく低下するため、α2
PIの測定試薬として自動分析機器に応用することは困
難であった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の目的
は、プラスミンを溶液状態で保存してもプラスミン活性
及びプラスミンのα2PIとの結合活性が、長期間安定
に維持できるプラスミン溶液を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】かかる実情において、本
発明者らは鋭意研究を行った結果、プラスミンが基質を
切断することにより生じる特定のアミノ酸からなるオリ
ゴペプチドを用いれば、プラスミンが長期間安定で、α
2PI測定用試薬等として有用なプラスミン溶液が得ら
れることを見出し、本発明を完成した。
【0010】すなわち、本発明は、プラスミン、並びに
リジン、アルギニン、グリシン、アラニン、アスパラギ
ン酸及びメチオニンから選ばれるアミノ酸からなるオリ
ゴペプチドを含有するプラスミン溶液を提供するもので
ある。
【0011】本発明で用いられるプラスミンとしては、
メチオニル型(そのN末がメチオニンである)、グルタ
ミル型(そのN末がグルタミン酸である)、リジル型
(そのN末がリジンである)などのいずれでも良く、ク
ロモジェニックス社などから市販されているものを使用
することができる。これらのプラスミンは単独又は混合
物として用いることができ、活性として0.1〜10nk
at/ml、特に0.3〜5nkat/mlとなるような範囲で用
いるのが好ましい。なお、1nkatは、1秒間に1nmolの
プラスミン合成基質(S−2251)を分解するプラス
ミン量をいう。
【0012】本発明で用いられるアミノ酸のオリゴペプ
チドとしては、リジン、アルギニン、グリシン、アラニ
ン、アスパラギン酸及びメチオニンから選ばれるアミノ
酸の1種又は2種以上を組合わせたジペプチド、トリペ
プチド等が挙げられる。これらのうち、1種のアミノ酸
からなるジペプチド又はトリペプチドが好ましく、特に
グリシルグリシン、グリシルグリシルグリシン、アラニ
ルアラニンが好ましい。
【0013】これらのオリゴペプチドは、1種又は2種
以上を組合わせて用いることができる。オリゴペプチド
は、全組成中に1〜20重量%(以下、単に%で示
す)、特に5〜20%配合するのが好ましい。また、溶
液中のプラスミンに対して1〜2000mg/nkat、特に
10〜700mg/nkatの範囲で配合するのが好ましい。
【0014】また、これらのオリゴペプチドと、リジ
ン、アルギニン、グリシン、アラニン、アスパラギン酸
及びメチオニンから選ばれる1種又は2種以上のアミノ
酸を組合わせて用いることができ、より安定なプラスミ
ン溶液を得ることができる。この場合には、これらのア
ミノ酸は全組成中に1〜20%、特に5〜20%配合す
るのが好ましい。
【0015】本発明のプラスミン溶液には、更に多価ア
ルコールを配合することができ、より安定なプラスミン
溶液を得ることができる。ここで、多価アルコールとし
ては、グリセロール、エチレングリコール、ポリエチレ
ングリコール等が好ましい。多価アルコールを配合する
場合には、全組成中に1〜50%、特に5〜30%配合
するのが好ましい。
【0016】本発明のプラスミン溶液は、α2PIの測
定試薬、プラスミンの標準液等として有用なものであ
る。測定試薬とする場合には、通常用いられる発色性合
成基質を使用することにより、検体中のα2PIを精度
良く定量することができる。発色性合成基質としては、
特に制限されず、例えばクロモジェニック社製のS−2
251(H−D−Val−Leu−Lys−パラニトロ
アニリン)、S−2403(Glu−Phe−Lys−
パラニトロアニリン)などを好適に使用することができ
る。
【0017】
【発明の効果】本発明のプラスミン溶液は、長期間保存
してもプラスミン活性及びα2PIとの結合活性が低下
することなく、安定に維持され、α2PIの測定試薬等
として有用である。また、溶液の状態で安定に保存する
ことができるため、測定時にそのまま使用することがで
き、経済性及び操作性に優れ、簡便かつ迅速に測定を行
うことができる。更に、粘性が低いため、自動分析機器
にも好適に使用することができる。
【0018】
【実施例】次に、実施例を挙げて本発明を更に説明する
が、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0019】実施例1 下記組成の第1試薬250μl に、正常血漿検体(所定
量のα2PIを含む)又は生理食塩液をそれぞれ3μl
加え、37℃で5分間反応させ、次いで下記組成の第2
試薬100μl を添加した後、波長405nmでの吸光度
の1分間当たりの変化量を測定した。生理食塩液を用い
た時の吸光度の変化量はプラスミン活性を示し、プラス
ミンの合成基質(S−2251)を加水分解する力価を
示している。また、生理食塩液のプラスミン活性から正
常血漿検体を反応させた時のプラスミンの残存活性を減
じた値がプラスミンのα2PI結合活性を示している。
なお、第2試薬のそれぞれのプラスミン溶解液は、表2
に示す添加物を添加した20%グリセロール溶液を用い
た。これら溶液は水酸化ナトリウム又は塩酸でpH7.4
に調整し、プラスミンを溶解した後、半分を用いて作成
当日に測定を行い、残り半分は密閉して37℃で4日間
放置した後測定を行った。なお、比較として、50%グ
リセロール及び20%グリセロールを用いた。結果を表
2に示す。
【0020】
【表1】 第1試薬: H−D−バリル−L−ロイシル−L−リジル−p−ニトロアニリン(S-2251) 1.2mM 25mM トリス緩衝液(pH7.4) 第2試薬: プラスミン 3nKat/ml それぞれのプラスミン溶液(pH7.4)
【0021】
【表2】
【0022】表2の結果から明らかなように、グリシル
グリシンを含有する本発明のプラスミン溶液は、プラス
ミン活性及びα2PI結合活性が低下することなく、安
定に維持された。また、プラスミン溶液の粘性も低いも
のであった。
【0023】実施例2 表3に示す組成の各種プラスミン溶液を用い、実施例1
と同様にして、製造時及び37℃で2日間保存した後の
プラスミン活性及びプラスミンのα2PI結合活性を測
定した。結果を表3に示す。
【0024】
【表3】
【0025】表3の結果から明らかなように、グリシル
グリシンを含有する本発明のプラスミン溶液は、プラス
ミン活性及びα2PI結合活性が低下することなく、安
定に維持された。また、プラスミン溶液の粘性も低いも
のであった。
【0026】実施例3 表4に示す組成の各種プラスミン溶液を用い、実施例1
と同様にして、製造時及び37℃で25日間保存した後
のプラスミン活性及びプラスミンのα2PI結合活性を
測定した。なお、生理食塩液及び正常血漿検体の液量は
5μl とした。結果を表4に示す。
【0027】
【表4】
【0028】表4の結果から明らかなように、グリシル
グリシンを含有する本発明のプラスミン溶液は、プラス
ミン活性及びα2PI結合活性が低下することなく、安
定に維持された。また、プラスミン溶液の粘性も低いも
のであった。
【0029】実施例4 表5に示す組成の各種プラスミン溶液を用い、実施例1
と同様にして、製造時及び37℃で9日間保存した後の
プラスミン活性及びプラスミンα2PI結合活性を測定
した。なお、生理食塩液及び正常血漿液検体の液量は5
μl とした。結果を表5に示す。
【0030】
【表5】
【0031】表5の結果から明らかなように、グリシル
グリシンを含有する本発明のプラスミン溶液は、プラス
ミン活性及びα2PI結合活性が低下することなく、安
定に維持された。また、No.2の10%グリシルグリ
シン及び10%グリセロールを含有するプラスミン溶液
の粘度は、VISCOMATE(ヤマイチ電機工業社
製)を用いて25℃において測定したときに1.89cp
であった。これに対し、50%グリセロールを含有する
プラスミン溶液の25℃における粘度は6.98cpであ
った。本発明のプラスミン溶液は粘性も低いものであ
り、自動分析機器にも使用可能である。
【0032】実施例5 10%グリセロールを含む10%グリシルグリシンのプ
ラスミン溶液を用い、実施例1と同様にして、0〜20
0%濃度のα2PI検体(n=2測定)及び50又は1
00%濃度のα2PI検体(n=10測定)の活性測定
を行い、検量線性及び再現性の検討をした。なお、検量
線性の検討では、正常血漿検体の原液を200%濃度に
α2PIとして設定したため、検体量は10μl とし
た。また、再現性の検討では、正常血漿検体の原液を1
00%濃度のα2PIとして設定したため、検体量は5
μl とした。その結果を図1及び表6に示す。
【0033】
【表6】
【0034】図1の結果より、検量線性は良好であり、
表6の結果より、再現性も良好であった。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例5において、検量線性を検討したとき
の、α2PI濃度と測定値(ΔAbs/min)の関係
を示す図である。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 プラスミン、並びにリジン、アルギニ
    ン、グリシン、アラニン、アスパラギン酸及びメチオニ
    ンから選ばれるアミノ酸からなるオリゴペプチドを含有
    するプラスミン溶液。
  2. 【請求項2】 更に、リジン、アルギニン、グリシン、
    アラニン、アスパラギン酸及びメチオニンから選ばれる
    1種以上のアミノ酸を含有する請求項1記載のプラスミ
    ン溶液。
  3. 【請求項3】 更に、多価アルコールを含有する請求項
    1又は2記載のプラスミン溶液。
  4. 【請求項4】 プラスミン溶液に、リジン、アルギニ
    ン、グリシン、アラニン、アスパラギン酸及びメチオニ
    ンから選ばれるアミノ酸からなるオリゴペプチドを添加
    することを特徴とするプラスミン溶液の安定化方法。
  5. 【請求項5】 更に、リジン、アルギニン、グリシン、
    アラニン、アスパラギン酸及びメチオニンから選ばれる
    1種以上のアミノ酸を添加する請求項4記載のプラスミ
    ン溶液の安定化方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2003514790A (ja) * 1999-11-13 2003-04-22 バイエル・コーポレーシヨン 可逆的に不活性化された酸性化プラスミンの局所送達による血栓溶解の方法

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003514790A (ja) * 1999-11-13 2003-04-22 バイエル・コーポレーシヨン 可逆的に不活性化された酸性化プラスミンの局所送達による血栓溶解の方法
JP2003514789A (ja) * 1999-11-13 2003-04-22 バイエル・コーポレーシヨン 可逆的不活性化酸性化プラスミン
JP4988115B2 (ja) * 1999-11-13 2012-08-01 グリフオルス・セラピユーテイクス・インコーポレーテツド 可逆的に不活性化された酸性化プラスミンの局所送達による血栓溶解の方法

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