JPH10114937A - 地盤の電気浸透脱水方法 - Google Patents

地盤の電気浸透脱水方法

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JPH10114937A
JPH10114937A JP27080096A JP27080096A JPH10114937A JP H10114937 A JPH10114937 A JP H10114937A JP 27080096 A JP27080096 A JP 27080096A JP 27080096 A JP27080096 A JP 27080096A JP H10114937 A JPH10114937 A JP H10114937A
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JP
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ground
electrode
electrodes
pair
groundwater
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JP27080096A
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English (en)
Inventor
Tateo Kobayashi
健郎 小林
Kazuo Takahashi
和夫 高橋
Shigeru Hayashibara
茂 林原
Yoshinori Yamamoto
義徳 山元
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Maeda Corp
Original Assignee
Maeda Corp
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  • Investigation Of Foundation Soil And Reinforcement Of Foundation Soil By Compacting Or Drainage (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 軟弱な粘性土地盤等から地下水を従来に比し
短時間で大量に脱水し、地盤の含水比を平均的に低下さ
せて地盤の強度を平均的に向上させる地盤の電気浸透脱
水方法を提供すること。 【解決手段】 地盤19に打設された一対の電極14、
15間に、可能な限り高圧の直流を通電する。すると、
地下水が陽極側の電極14に集水され、電極14から脱
水される。この電極14からの脱水速度が低下する時期
に、電極14、15の極性を変換する。すると、地下水
が電極15に集水され、電極15から脱水される。これ
によって、短時間で大量の地下水が地盤19から脱水さ
れるとともに、地盤19の含水比が平均して低下し、こ
れに伴い地盤の強度が平均的に向上する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は地盤の電気浸透脱水
方法に関し、さらに詳細には、例えばシルト又は粘土質
の地盤中に、間隔をあけて設置された一対の電極に直流
電流を通電し、集水側の電極に地盤中の地下水を移動さ
せて排水することにより地盤の強度向上を図る、あるい
は土質材料の含水比低下を図る地盤の電気浸透脱水方法
に関する。
【0002】
【従来の技術】地盤の脱水を図るための脱水工法には複
数の種類があり、どの脱水工法を採用するかに当たって
は土粒子の粒径加積曲線から判断されている。
【0003】一般に、砂や砂礫等から形成された比較的
透水性の良い地盤には、ディープウェル等の重力排水工
法が用いられている。また、シルトや粘土等の透水性の
悪い地盤にはウェルポイント等の吸引排水工法が用いら
れている。そして、さらに透水性の悪い粘性土により地
盤が形成されている場合には、いわゆる電気浸透脱水工
法が採用されている。この電気浸透脱水工法とは、脱水
を図ろうとする軟弱なシルト又は粘土質地盤中に一対の
電極を打設し、両極間に直流を通電して電気浸透を発生
させ、この電気浸透により集水側の電極に集められた地
下水を排水して地盤の強度向上を図ったり、土質材料の
含水比の低下を図ったりするものである。
【0004】なお、一般に地盤の土粒子の表面における
帯電状態(界面電位)は負である。このため、陰極にす
る電極が集水側の電極になる。もっとも、土粒子表面の
帯電状態は、地盤中における粘土鉱物やph等の外的条
件により正になる場合がある。この場合には、陽極にす
る電極が集水側の電極になる。
【0005】電気浸透脱水工法では、地盤の土粒子表面
の帯電状態が負の場合には、一般に図9に示されるよう
な地盤の電気浸透脱水装置1が用いられている。この電
気浸透脱水装置1は陽極2、陰極3、電源7及び真空ポ
ンプ8を有している。
【0006】陽極2には鉄筋棒が用いられ、陰極3には
一端側に排水孔4を有する金属製管が用いられている。
この陽極2は地盤5に直接打設され、陰極3は地盤5に
形成された砂杭6に一端側を下方に向けて打設され、他
端側が真空ポンプ8に接続されている。これらの陽極2
及び陰極3は、電源7にそれぞれ接続されている。
【0007】このような電気浸透脱水装置1によれば、
電源7により陽極2と陰極3との間に直流を通電する
と、地盤5中の地下水が電気浸透により陽極2から陰極
3側の砂杭6内に移動し、陰極3の排水孔4を通じて陰
極3内にたまり、真空ポンプ8により揚水される。この
ようにして地盤5の脱水が図られている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前述し
た従来の地盤の電気浸透脱水装置1は以下のような問題
点を有していた。すなわち、電気浸透脱水装置1の作動
により地盤5に存する地下水が脱水されると、地盤5中
における含水比は、図10に示されるように、陽極3周
辺では脱水前の状態よりも低下し、陰極3周辺では脱水
前の状態よりも向上する特性を示す。
【0009】従って、図11に示されるように、地盤5
の強度は、陽極2周辺では脱水前の状態よりも向上する
が、陰極3周辺では地盤5の強度が脱水前の状態よりも
低下してしまうという問題があった。
【0010】また、陰極3側に移動し、砂杭6に集めら
れた地下水は、排水性の高い砂により下方に流れ、陰極
3の下部にある排水孔4から陰極3内部に流入する。こ
のため、砂杭6の地下水位より上方に位置する部位は乾
燥して絶縁体となる。これによって、陽極2及び陰極3
の電極機能が低下し、陰極3側への集水効果が低下する
という問題もあった。
【0011】さらに、地盤が軟弱な粘性土である場合等
では、地盤中の地下水の移動速度は比較的遅いものであ
るため、上述した電気浸透脱水装置1による地盤の脱水
には長時間を要するという問題もあった。
【0012】本発明の目的は、従来に比し短時間で地盤
の含水比を平均的に低下させて地盤の強度を平均的に向
上させる地盤の電気浸透脱水方法を提供することにあ
る。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明は、地盤中に間隔
をあけて設置された一対の電極に直流を通電し、集水側
の電極に前記地盤中の地下水を移動させて排水すること
により前記地盤の強度向上を図る地盤の電気浸透脱水方
法であり、前述した技術的課題を解決するために以下の
ように構成されている。
【0014】すなわち、本発明による地盤の電気浸透脱
水方法は、前記一対の電極を外周面に地下水流入用の穴
を有する筒状体で構成し、この筒状体の外周面が前記地
盤に密着する状態で打設すること、前記一対の電極間に
直流を通電し、前記地下水を前記集水側の電極へ移動さ
せ、前記集水側の電極内部に集まった前記地下水を排水
すること、前記一対の電極間へ直流の通電を開始してか
ら脱水速度が低下する時期に前記一対の電極の極性を変
換し、極性が変換された一対の電極間に再び直流を通電
し、前記一対の電極間における前記地盤の地下水位レベ
ルを平均的に低下させることからなる。
【0015】以下、本発明の構成要素を個別に説明す
る。電極として用いる筒状体の地下水流入用の穴の数は
問わないが、複数の穴を電極の外周面に散在させて設け
るのが好ましい。なお、この場合には電極には外径5〜
6インチ、肉厚3〜5mmのものを用い、2〜5mの打
設間隔をおき、地盤上に配置された電極内をオーガーに
より内堀りしながら電極を押し込むことによりそれぞれ
打設するのが好ましい。筒状体の材質は導電体であれば
良いが、鋼や鉄等の金属であることが好ましい。
【0016】一対の電極間に通電する直流は、直流発電
機等の直流源から供給されるものであっても良く、商用
電源と整流器との組合せや交流発電機と整流器との組合
せによる直流電源装置から供給されるものであっても良
い。また、一対の電極間に直流を通電する際に、可能な
限り高電圧の直流を通電するようにすれば、地盤から脱
水される地下水の量を増加させることが可能となる点で
好ましい。具体的には、一対の電極の打設間隔を2〜5
mに設定した場合には、一対の電極間に電圧傾度0.5
V/cm〜5V/cmの直流を通電することが望まし
い。
【0017】また、上述した脱水速度とは、単位時間あ
たりにおける地下水の流出量である。また、一対の電極
間への直流の通電を開始してから脱水速度が低下する時
期は、以下のように定義する。すなわち、一対の電極間
を通電することによって脱水が開始されるが、この脱水
開始(通電開始)時からある時間までの間における各脱
水速度は、急激に上昇し、ある時間で最大となり、その
後徐々に下降する特性を有している。この特性における
最大の脱水速度を100%ととした場合に、その最大の
脱水速度が70%から50%に低下する時期を、脱水速
度が低下する時期とする。
【0018】地下水を排水する手段は、集められた地下
水を地上に汲み上げる等して排水するようにされていれ
ば良く、その配置位置や設置数を問わない。この排水手
段には例えばポンプを挙げることができる。ポンプを用
いる場合には、例えば真空ポンプ、水中ポンプまたは手
押しポンプのいずれかを用いるのが好ましい。もっと
も、地盤脱水工法に用いられるものであれば、どの種類
のポンプを用いても良い。
【0019】一対の電極の極性変換は、電源と電極とを
接続する導線を付け替えることにより行っても良いが、
極性変換装置を用いてこのオン/オフにより電極の極性
が変換されるようにすると作業省力化の面で好ましい。
【0020】極性変換装置は電極の極性を変換させるこ
とができれば、機械式、電気式または電子式等のいかな
る構造のものであっても良い。また極性変換装置が所定
時間毎に自動的にオン/オフして電極の極性を変換する
ようにしても良い。
【0021】本発明の地盤の電気浸透脱水方法は、シル
ト又は粘土質の地盤について用いるのが好ましいもので
ある。特に、含水比の高い軟弱な粘土地盤の脱水を図る
際に用いるのが好ましい。
【0022】また、地盤の電気浸透脱水方法は、地盤の
含水状態、粘土鉱物、phまたは目標とする改良状況等
に応じ、電極の間隔、電極のピッチ、電圧傾度、電流通
電時間または改良効果等を適宜設定又は適宜変更するこ
とができる。
【0023】このような地盤の電気浸透脱水方法によれ
ば、最初に、一対の電極となる外周面に地下水流入用の
穴を有する筒状体を、その外周面が前記地盤に密着する
状態でそれぞれ打設する。次に、例えば一対の電極のう
ち、一方の電極を陽極とし他方の電極を陰極として一方
の電極から他方の電極に向かう高圧の直流を一対の電極
間に通電させる。このとき、地盤の土粒子表面における
帯電状態が例えば負である場合には、一方の電極が非集
水側の電極となり、他方の電極が集水側の電極になる。
すなわち、電気浸透により地盤中に他方の電極から一方
の電極へ向けて流れる水流が発生し、他方の電極へ向け
て地盤中の地下水が移動する。この地下水は、地下水流
入用の穴から他方の電極内部に流入することにより集め
られ、例えば真空ポンプ等の地下水排水手段により排水
される。このようにして他方の電極から地下水を脱水す
る。これによって、一方の電極周辺における地盤の含水
比は脱水開始時に比し低くなる。
【0024】そして、他方の電極からの脱水速度が低下
する時期に、例えば極性切換装置を切り換えて電極の極
性を変換すると、一対の電極間を通電する直流の向きが
他方の電極から一方の電極に向かう方向に逆転する。こ
れに伴い、地盤中における水流の向きも他方の電極から
一方の電極に向かう方向に逆転する。これにより、一方
の電極側に地盤中の地下水が移動するとともに、一方の
電極内部に集められ、例えば真空ポンプ等により汲み上
げられて排水される。
【0025】この際における一方の電極からの地下水の
脱水速度は、ある程度の時間が経過するまで他方の電極
側における地下水の脱水速度が低下する前の脱水速度と
ほぼ同じ脱水速度を維持する。従って、比較的短時間で
多量の地下水が地盤から脱水されることとなる。
【0026】そして、最終的には、他方の電極周辺にお
ける地盤の含水比も低下して一対の電極間の地盤の地下
水位レベルが平均して低下した状態になり、これに伴い
地盤の強度が均一に向上した状態になる。
【0027】また、一対の電極の外周面が地盤に密接す
る状態で打設されていることから、地盤が例えば粘土地
盤である場合には、電気浸透脱水方法による地盤の脱水
によっては、遊離水(自由水)と吸着水の一部が脱水さ
れるだけであり、電極周辺の地盤は湿潤状態にある。こ
のため電極の機能低下が生じない。
【0028】
【発明の実施の形態】本発明における地盤の電気浸透脱
水方法を図に示される好適な実施の形態について更に詳
細に説明する。図1には本発明の電気浸透脱水方法に用
いる電気浸透脱水装置が符号10で示されている。
【0029】この地盤の電気浸透脱水装置10は、電源
11と、整流器12と、極性切換装置13と、一対の電
極14,15と、真空ポンプ17と、ライザー管16
と、貯水槽18とを備えており、高含水で軟弱な粘性土
の地盤19における脱水に使用されるものである。
【0030】電源11は交流電流を直流電流に変換する
整流器12に接続されている。整流器12は極性切換装
置13に接続されており、極性切換装置13は一対の電
極14,15にそれぞれ接続されている。
【0031】極性切換装置13は、整流器12と一対の
電極14,15との結線状態を切り換えることにより一
対の電極14,15の極性を逆転させるようになってい
る。すなわち、極性切換装置13が「切」状態の場合に
は、電極15が陽極として機能するとともに電極14が
陰極として機能し、電極15から電極14へ向かう方向
に直流電流が流れるようにされている。
【0032】これに対し、極性切換装置13が「入」状
態の場合には、電極14が陽極として機能するとともに
電極15が陰極として機能し、電極14から電極15へ
向かう方向に直流電流が流れるようにされている。
【0033】一対の電極14,15は同じ構成を有して
いる。ここに、電極14を例として説明すると、電極1
4は鋼製の筒状体で構成されており、その側壁には、図
2に示されるように、地盤19中に存する地下水の流入
用の穴であるスリット20が複数設けられている。各ス
リット20は電極14の軸方向に沿って散在する状態で
設けられている。
【0034】一対の電極14,15は、地盤19中の所
定位置に間隔を置いてほぼ鉛直方向で打設され、一対の
電極14,15の外周面と地盤19とが密着する状態に
されている。一対の電極14,15の上部はシール部材
22により閉塞されている。
【0035】なお、電極14,15は、これらを地盤1
9上に軸方向で配置し、電極14,15にオーガーを挿
入して地盤19を内堀りしながら電極14,15を地盤
19に押し込むことにより打設されている。
【0036】ライザー管16の一端には、図示しないウ
ェルポイントが設けられている。このウェルポイントは
地下水の吸入孔及び球状のバルブを有している。また、
このウェルポイントには、その周囲を覆うストレーナ2
3が設けられ、電極14,15に流入した地下水が濾過
され、このウェルポイントを介してライザー管16内部
に流入するようにされている。
【0037】ライザー管16は、一対の電極14,15
内部にその軸方向に沿ってそれぞれ配置されている。各
ライザー管16の一端は、電極14,15の底面よりや
や上方に配置されるとともに、各ライザー管16の他端
は、シール部材22を貫通して地面より上方に位置する
状態とされている。
【0038】各ライザー管16の他端は、スイングホー
ス24及びヘッダーパイプ25を介して真空ポンプ17
にそれぞれ接続され、各真空ポンプ17は、貯水槽18
にそれぞれ接続されている。
【0039】これにより、真空ポンプ17を駆動させる
と、真空圧力により図示しないウェルポイントの球状バ
ルブが吸い上げられ、これにより電極14又は電極15
内に集められた地下水が図示しないウェルポイントの吸
入孔からライザー管16内部に流入し、このライザー管
16を通じて汲み上げられ、貯水槽18に貯水される。
これによって、地盤19の地下水が脱水される。
【0040】このような電気浸透脱水装置10の極性切
換装置13の初期状態が「切」状態にあり、且つ地盤1
9の土粒子表面の帯電状態が負である場合の電気浸透脱
水方法の例を以下に説明する。
【0041】電気浸透脱水装置10を作動させると、電
源11から交流が流れ、この交流は整流器12により直
流に変換されて極性切換装置13に流れる。すると、極
性切換装置13が「切」状態であるため、電極15が陽
極の極性を示すとともに電極14が陰極の極性を示し、
電極15から電極14へ向かう方向に直流が流れる。な
お、電極14,15間に通電する直流の電圧傾度は、比
較的高圧とし、具体的には、5V/cmとした。
【0042】このとき、地盤19の土粒子表面の帯電状
態は負であるため、地盤19中に電気浸透による電極1
5から電極14へ向かう方向の水流が発生する(図1中
実線矢印参照)。これにより、電極15周辺に存してい
た地下水が電極14周辺に移動する。すなわち、電極1
4が集水側の電極になり、電極15が非集水側の電極に
なる。移動した地下水は、電極14のスリット20から
電極14内部に流入し、電極14に収容される。
【0043】電極14内に収容された地下水は、真空ポ
ンプ17による真空圧力により、図示しないウェルポイ
ントの吸入孔からライザー管16内部に流入し、このラ
イザー管16を通じて地上に汲み上げられる。そして、
地下水は、スイングホース24、ヘッダーパイプ25及
び真空ポンプ17を介して貯水槽18に送られる。これ
により、電極14内の地下水が排水される。
【0044】上述のようにして電極14に地下水を集め
て排水し、地盤19からの脱水を行う。この際における
地下水の脱水速度は、ほぼ一定の勾配をもって上昇し、
最大となり、その後徐々に低下する。そして、脱水速度
がその最大の脱水速度の70%となった時期に極性切換
装置13を「入」状態に切り替える。すると、整流器1
2と電極14,15との結線状態が切り換えられ、電極
14が陰極から陽極に極性変換するとともに電極15が
陽極から陰極に極性変換し、電極14から電極15へ向
けて直流が通電する状態となる。なお、本実施形態で
は、電極14,15に通電を開始してから72時間後に
脱水速度が最大の脱水速度の70%に低下した。
【0045】一対の電極14,15の極性が変換するこ
とによって、電気浸透による水流の向きは、極性切換装
置13を「入」状態にする前とは逆方向、すなわち電極
14から電極15へ向かう方向(図1中破線矢印参照)
となる。これによって、電極14周辺に存していた地下
水が電極15周辺に移動し、電極15のスリット20か
ら電極15内部に流入する。そして、流入した地下水は
真空ポンプ17によりライザー管16を通じて汲み上げ
られ貯水槽18に貯水される。
【0046】この電極15からの脱水速度は、極性変換
によって再び上昇し、そして、ある程度の時間が経過す
ると、徐々に低下する。このようにして電極15から地
下水を脱水し、一対の電極14,15間へ通電を開始し
てから240時間が経過すると、通電を停止して地盤1
9からの脱水を終了させる。
【0047】この地盤の電気浸透脱水方法によって、脱
水後における地盤19の含水比は、図4に示されるよう
に、脱水前の含水比に比し平均的に低下する。これに伴
い脱水後における地盤19の強度も、図5に示されるよ
うに、脱水前における地盤19の強度よりもほぼ均一に
向上する。 〔実験例〕以下、上述した本実施形態による地盤の電気
浸透脱水方法の効果を裏付ける実験例を示す。 1.本実験例では、含水比の高いロームを用いた実験土
槽内で脱水実験を行って電極間の電圧、脱水速度及び含
水比低下状況等と電気的条件との関係を把握し、これに
よって、本発明による地盤の電気浸透脱水方法の効果を
確認するとともに、本方法を適正に使用するための条件
を求めた。 2.実験装置 本実験例にて用いた実験装置を図6の装置概略図を用い
て説明する。図6に示されるように、幅B=200m
m、長さL=400mm、高さH=300mmの実験土
槽30に、高さ250mmまでローム31が入れられて
いる。このローム31に、深さ約100mm、径約30
mmの穴が200mmの間隔をおいて二つ設けられ、そ
れぞれの穴に、外径φ0=30mm、内径φ1=9mmの
炭素製の円筒状部材が一対の電極32a、32bとして
挿入されている。各電極32a、32bの外周壁には、
ローム31に含まれる水を各電極32a、32b内部に
流入させるための流入穴(図示略)が形成されている。
この流入穴を通じて各電極32a、32b内に流入した
水はバキューム装置(図示略)によって吸上げられ、ロ
ーム31中から脱水されるようになっている。また、各
電極32a、32bには、導線を介して電源装置33が
それぞれ接続されており、この電源装置33によって、
両電極32a、32b間には直流が通電される。
【0048】本実験にて使用したローム31のデータは
以下の通りである。 ・含水比w=約100% ・粒度:礫分(2mm)14%、砂分19%、シルト分
43%、粘土分(5μm以下)24% ・コンシステンシー(緊硬度):液性限界WL=12
1.6%、塑性限界WP=72% ・ph=7.3〜5.6 3.実験方法 実験1:両電極32a、32b間に直流を10日間
(240時間)通電し、これによってローム31から脱
水された水の流出量を計測した。これを、通電時におけ
る電極32a、32b間の電圧傾度(定電圧)が0.5
V/cm(=10V)の場合(実験1-1),1V/c
m(=20V)の場合(実験1-2),2V/cm(=
40V)の場合(実験1-3)についてそれぞれ行っ
た。 実験2:両電極32a、32bの間における電圧傾度
を1V/cmに設定して両電極32a、32b間に直流
を9日間(216時間)通電し、これによってローム3
1から脱水された水の流出量を計測した。但し、実験開
始から24時間経過後に各電極32a、32bの極性を
変換し、実験開始から96時間経過後に各電極32a、
32bの極性を再び変換させた。なお、実験開始時にお
いて電極32aを陽極として設定し、電極32bを陰極
として設定して実験を行った。 実験3:両電極32a、32bの間における電圧傾度
を5V/cmに設定して両者32a、32b間に直流を
72時間通電する。続いて、電圧傾度を1V/cmに再
設定して168時間通電する。このようにして計240
時間通電を行い、これによってローム31から脱水され
た水の流出量を計測した。但し、通電開始から約7時間
が経過した時に、電極32a、32bの極性を変換し
た。 4.実験結果 上述した実験1〜3の実験結果を図7及び図8を用いて
説明する。
【0049】図7は、電気条件の違いによる水の流出量
の経時変化を示すグラフであり、実験1〜3の実験結果
がそれぞれ示されている。この図7によれば、実験終了
時における水の流出量は、実験3の結果が1350ml
で最も多く、以下、実験1-3では約1220ml、実
験2では1000ml、実験1-2では620ml、実
験1ー1では600mlであった。
【0050】図7に示される実験3の結果より、一対の
電極32a、32bの間に印加される電圧傾度(定電
圧)が大きい程水の流出量が大きくなる(より多くの水
を脱水することができる)ことが分かった。
【0051】また、実験1の結果を示す各グラフの勾配
(=脱水速度)より、脱水速度は、実験開始から実験開
始から60〜80時間経過時までの間に上昇し、最大と
なり、それ以後は勾配が徐々に緩和する(脱水速度が徐
々に低下する)特性を有し、実験開始から実験終了まで
継続して脱水を行うことが分かった。
【0052】また、実験1-2の結果と実験2の結果と
の比較より、一対の電極32a、32bの極性を変換す
ると、一対の電極32a、32bの極性を変換しない場
合に比し、短時間で多量の水を脱水することができるこ
とが分かった。また、実験2の結果より、電極32a、
32bの極性の変換によって、低下する傾向にあった脱
水速度が再び上昇することも分かった。
【0053】図8は、実験終了後の実験土槽30内にお
ける含水比分布状況を示す図である。そして、図8
(a)には実験1ー2の結果が示されており、図8
(b)には実験2の結果が示されている。
【0054】図8(a)によれば、ローム31内の水は
電極32a(陽極)から脱水され、電極32a周辺の平
均含水比w1は89.78%(86.0%、92.6
%、92.2%、88.3%)であった。これに対し、
電極32b側周辺の含水比は電極32a周辺よりも低下
しており、その平均含水比w2は78.08%(77.
4%、79.9%、79.4%、75.6%)であっ
た。そして平均含水比の差(w1−w2)は、11.7%
であった。
【0055】一方、図8(b)によれば、ローム31内
の水は電極32a、32bの双方から脱水され、電極3
2a周辺の平均含水比w1は82.08%(81.7
%、82.8%、82.8%、81.0%)であった。
これに対し、電極32b側周辺の含水比は電極32a周
辺よりもやや低下しており、その平均含水比w2は7
7.78%(80.4%、79.6%、78.0%、7
3.1%)であった。そして平均含水比の差(w1
2)は、4.30%であった。
【0056】図8(a)及び図8(b)に示される実験結果
より、実験2の方法は、実験1-2の方法に比し、含水
比を平均化して低下させることが分かる。また、実験2
の結果における平均含水比(w1+w2/2=79.93
%)は、実験1-2の結果における平均含水比(w1+w
2/2=83.93%)よりも小さく、このことから実
験2の方法がより多くの水を脱水できることが分かる。
【0057】このように、実験2の方法、すなわち、本
発明による地盤の電気浸透脱水方法によれば、従来にお
ける地盤の電気浸透脱水方法に比し、含水比を平均化し
て低下させ、且つ短時間で多くの水を脱水できることが
分かる。 5.まとめ 上述した実験結果より本発明による地盤の電気浸透脱水
方法を適正に使用するための条件は、以下の通りとな
る。 (1) 両電極32a,32b間に印加する電圧傾度が高
い程水の流出量は多くなるため、両電極32a,32b
間に印加する電圧傾度は、可能な限り高い方が望まし
い。 (2) 水の流出量の経時変化(脱水速度)は、通電開始
から数十時間の間が大きく、その後徐々に低下する傾向
にあるため、この数十時間が経過して脱水速度が低下し
始めた際に、電極32a,32bの極性を変換すること
が望ましい。 (3) (1)及び(2)より、通電開始時には、可能な限り
高圧の直流を電極32a、32bに通電し、脱水速度が
低下する時期に電極32a,32bの極性を変換すれ
ば、短時間で多量の水を脱水できるとともに、ローム3
1の含水比をほぼ平均化して低下させることが可能とな
る。
【0058】本実施形態による地盤の電気浸透脱水方法
によれば、一対の電極14,15の極性を変換して電気
浸透による水流の方向を逆転させることにより、地盤1
9中の含水比が電極14周辺又は電極15周辺に偏るこ
となく均一に低下する。
【0059】また、一対の電極14,15を従来のよう
に砂杭に打設することなく粘性土の地盤19に直接打設
してあるため、従来のように砂杭の地下水位より上方に
位置する部位が乾燥して電極機能が低下することがな
い。
【0060】このように、地盤の電気浸透脱水方法によ
り、一対の電極14,15間における地盤19の地下水
位レベル(含水比)を平均的に低下させることができ、
これに伴い平均的な地盤強度向上を図ることができる。
また、土質材料の含水比低下を図ることもできる。ま
た、一対の電極14,15の間に比較的高電圧の直流を
通電させ、且つ電極14における脱水速度が低下する時
期に電極14,15の極性を逆転することとしたため、
従来に比し短時間で多くの地下水を地盤19から脱水す
ることができる。
【0061】なお、本実施形態による電気浸透脱水装置
10は、図3に示されるように、一対の電極の14,1
5における一方又は双方の底部に水中ポンプ26を配置
し、この水中ポンプ26にライザー管16が接続された
構成とされても良い。また、この水中ポンプ26により
電極14又は電極15内部に集水される地下水を十分に
排水することができる場合には、地上に真空ポンプ17
を設けずに、水中ポンプ26により揚水される地下水が
スイングホース24、ヘッダーパイプ25を介して貯水
槽18に送られる構成としても良い。また、極性変換装
置13によって電極14,15の極性を変換する際に、
一旦電極14,15への通電を停止するようにしても良
い。
【0062】
【発明の効果】以上説明したように、本発明における地
盤の電気浸透脱水方法によれば、一対の電極の極性を変
換することによって、地盤の地下水位レベル(含水比)
を平均的に低下させ、且つ地盤の強度を平均的に向上さ
せることが可能となる。また、電極の外周面が地盤に密
接する状態で電極が打設されているため、電極の機能低
下を防止することが可能となる。
【0063】また、一対の電極間に直流を通電する際
に、可能な限り高電圧を印加することによって、地盤中
の地下水をより多量に脱水することが可能となる。ま
た、通電を開始してから脱水速度が低下する時期に一対
の電極の極性を変換することにより、従来に比し短時間
で多量の地下水を地盤から脱水することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態における地盤の電気浸透脱
水方法に使用する装置を一部破砕して示す説明図であ
る。
【図2】図1に示した地盤の電気浸透脱水装置における
電極を示す斜視図である。
【図3】他の実施形態における地盤の電気浸透脱水装置
の一部を示す説明図である。
【図4】本実施形態における地盤の電気浸透脱水方法に
よる地盤脱水前の含水比と地盤脱水後の含水比とを対比
して示す図である。
【図5】本実施形態における地盤の電気浸透脱水方法に
よる地盤脱水前の地盤強度と地盤脱水後の地盤強度とを
対比して示す図である。
【図6】実験例に用いた実験装置の説明図である。
【図7】実験例の実験結果を示すグラフである。
【図8】実験例の実験結果を示す説明図である。
【図9】従来における地盤の電気浸透脱水装置を一部破
砕して示す説明図である。
【図10】従来における地盤の電気浸透脱水装置による
地盤脱水前の含水比と地盤脱水後の含水比とを対比して
示す図である。
【図11】従来における地盤の電気浸透脱水装置による
地盤脱水前の地盤強度と地盤脱水後の地盤強度とを対比
して示す図である。
【符号の説明】
10 地盤の電気浸透脱水装置 13 極性切換装置 14 電極 15 電極 17 真空ポンプ 18 貯水槽 19 地盤 20 スリット(地下水流入用の穴) 26 水中ポンプ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 山元 義徳 東京都千代田区富士見二丁目10番26号 前 田建設工業株式会社内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】地盤中に所定の間隔をあけて設置された一
    対の電極間に直流を通電して集水側の電極に前記地盤中
    の地下水を移動させて排水する地盤の電気浸透脱水方法
    において、 前記一対の電極を、外周面に地下水流入用の穴を有する
    筒状体で構成し、この筒状体の外周面が前記地盤に密着
    する状態で打設すること、 前記一対の電極間に直流を通電し、前記地下水を前記集
    水側の電極へ移動させ、前記集水側の電極内部に集まっ
    た前記地下水を排水すること、 前記一対の電極間へ直流の通電を開始してから脱水速度
    が低下する時期に前記一対の電極の極性を変換し、極性
    が変換された一対の電極間に直流を通電し、前記一対の
    電極間における前記地盤の地下水位レベルを平均的に低
    下させることからなる地盤の電気浸透脱水方法。
  2. 【請求項2】前記一対の電極間に直流を通電する際に、
    可能な限り高電圧の直流を通電することを特徴とする請
    求項1に記載の地盤の電気浸透脱水方法。
JP27080096A 1996-10-14 1996-10-14 地盤の電気浸透脱水方法 Pending JPH10114937A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2015001491A (ja) * 2013-06-18 2015-01-05 石川島建材工業株式会社 放射性物質抽出装置及び放射性物質抽出システム
CN111827257A (zh) * 2020-06-28 2020-10-27 河海大学 一种自排水固化土路基结构及施工方法

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JP2015001491A (ja) * 2013-06-18 2015-01-05 石川島建材工業株式会社 放射性物質抽出装置及び放射性物質抽出システム
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