JPH10121088A - 金属の高温加工用潤滑剤組成物およびその使用方法 - Google Patents

金属の高温加工用潤滑剤組成物およびその使用方法

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JPH10121088A
JPH10121088A JP8272288A JP27228896A JPH10121088A JP H10121088 A JPH10121088 A JP H10121088A JP 8272288 A JP8272288 A JP 8272288A JP 27228896 A JP27228896 A JP 27228896A JP H10121088 A JPH10121088 A JP H10121088A
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group
weight
parts
lubricant composition
temperature processing
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JP8272288A
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English (en)
Inventor
Sumio Iida
純生 飯田
Tetsuya Nakanishi
哲也 中西
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Nippon Steel Corp
Original Assignee
Sumitomo Metal Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】黒鉛系潤滑剤組成物の使用に引き続いて用いて
も、被加工材料に浸炭を発生させることがなく、かつ引
っ掻き疵や焼付き疵を発生させることのない金属の高温
加工用潤滑剤組成物とその使用方法を提供する。 【解決手段】(1)下記A群のうちの1種以上を5〜3
0重量部、B群のうちの1種以上を30〜90重量部、
C群のうちの1種以上を5〜40重量部の割合で配合し
てなる金属の高温加工用潤滑剤組成物。 A群:カリウム四珪素マイカ、ナトリウム四珪素マイ
カ、天然金マイカ、ベントナイト、モンモリロナイト、
バーミキュライト。 B群:酸化硼素、硼酸、アルカリ金属硼酸塩、炭酸ナト
リウム、炭酸カリウム、融点が1000℃以下の珪酸ナ
トリウムおよび珪酸カリウム。 C群:平均粒径が0.01〜20μmのチタン、マグネ
シウム、珪素、錫、鉛、亜鉛、カルシウム、銅およびア
ルミニウムの各酸化物、マグネシウムの水酸化物。 (2)上記の高温加工用潤滑剤組成物を、水100重量
部に対して20〜80重量部分散溶解させて用いるその
使用方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、金属の高温加工用
潤滑剤組成物、特にマンドレルミルによる継目無鋼管圧
延時に用いて好適な金属の高温加工用潤滑剤組成物とそ
の使用方法に関する。
【0002】
【従来の技術】マンネスマン−マンドレルミル方式によ
る継目無鋼管の製造は、一般に、次のようにして行われ
る。
【0003】先ず、回転炉床式などの適宜な加熱炉で加
熱された中実の丸鋼片をピアサーと称される穿孔圧延機
で穿孔圧延して中空のホローシェルに成形する。次い
で、このホローシェルを、その内部に潤滑剤が外周面に
塗布されたマンドレルバーを串刺し状に挿入した状態で
7〜9スタンドからなるマンドレルミルと称される延伸
圧延機に供して1パスで圧延し、所定の外径と肉厚を有
する仕上げ用素管に成形する。そして、圧延後の仕上げ
用素管からマンドレルバーを引き抜き、形状の悪化した
管端部分をホットソーで切断除去した後、再加熱炉に装
入して所定の温度に再加熱し、その表面に生成した酸化
スケールを高圧水でデスケーリングする。しかる後、再
加熱デスケール処理された仕上げ用素管をストレッチレ
デューサーと称される仕上げ圧延機に供して外径圧下と
若干の肉厚圧下を付与して1パスで圧延し、所定の外径
と肉厚を有する製品管に仕上げる。その後、製品管を冷
却床で冷却してからコールドソーにより所要の長さに切
断し、精整ラインに送る。
【0004】上記のマンドレルバーは、通常、温度が1
100〜1200℃のホローシェルの内部に挿入され、
ホローシェルと焼付きやすい状態にあるが、その外周面
に塗布された潤滑剤が焼付き防止皮膜として作用する。
【0005】一方、マンドレルミル圧延後の仕上げ用素
管の形状と肉厚は、マンドレルミルのロール回転数、ロ
ール孔型形状の影響を受けるとともに、マンドレルバー
と材料(ホローシェル)間の摩擦係数の影響を受ける。
具体的には、前記の摩擦係数が小さな潤滑剤を使用する
と、材料変形が円周方向と長手方向で均一になり、管軸
長方向で安定した形状と肉厚が得られる。
【0006】また、マンドレルバーは、延伸圧延後の仕
上げ用素管からバーストリッパーを用いて引き抜かれる
が、マンドレルバーの外面に塗布した潤滑剤の潤滑性が
悪いと、素管とマンドレルバーが焼付いてマンドレルバ
ーが引き抜けない状態となり、マンドレルバーの引き抜
き作業性が損なわれる。
【0007】このため、マンドレルバーの外周面には、
熱間での潤滑性能に優れた熱間圧延用潤滑剤を塗布する
必要があり、このような潤滑剤としては、安価で非常に
優れた潤滑性能を有するもの、具体的には黒鉛を主成分
とする水溶性潤滑剤(特公昭59−37317号公報参
照)が最もよく使用されている。
【0008】しかし、上記の黒鉛を主成分とする水溶性
潤滑剤は、これをマンドレルバーの外周面に塗布し、こ
のマンドレルバーをホローシェル内に挿入してマンドレ
ルミル圧延すると、圧延時に素管内面に浸炭が起こり、
管内表面側に炭素濃度が高い部分が発生する。この高炭
素濃度領域は、その後の再加熱、仕上げ圧延、さらには
圧延後の固溶化熱処理によって炭素が拡散し、炭素濃度
が低くなるとともに広がるものの、依然として炭素濃度
が高い部分が浸炭層として残存する。この浸炭層は、圧
延後の管内面に局部的な異常硬化部を発生させ、切削性
を低下させるとともに、製品の耐食性をも低下させる原
因となる。
【0009】従って、製品管の切削性や耐食性を確保す
るためには、圧延された製品管の内表面の浸炭層部分を
研磨などにより除去する工程が必要で生産性の低下を招
き、製品管の製造コストが著しく上昇するなどの問題が
あった。さらに、小径サイズの製品管の場合は、内径が
小さいために研磨用の砥石を管内に挿入することが不可
能な場合があり、事実上製造不能となることもあった。
【0010】このような問題点を解決するための潤滑剤
としては、次のようなものが提案されている。
【0011】例えば、特開平5−125386号公報に
は、主成分の黒鉛100重量部に対し、平均粒径が0.
01〜20μmの錫、鉛、亜鉛、カルシウム、銅および
アルミニウムの酸化物粉末を2〜100重量部添加する
ことによって黒鉛の浸炭性を抑制し、浸炭性を低下させ
た黒鉛系の潤滑剤が提案されている。
【0012】また、特開昭64−16894号公報に
は、マイカに代表される粒子状の酸化物系層状物質と硼
酸系の結合剤とを1:0.1〜0.5の重量比で混合し
てなる非黒鉛系の潤滑剤が提案されている。
【0013】しかし、上記特開平5−125386号公
報に示される潤滑剤は、主成分が黒鉛であるために、浸
炭を完全には防止できないという欠点を有している。
【0014】また、上記特開昭64−16894号公報
に示される潤滑剤は、固体である主成分の粒子状の酸化
物系層状物質が多すぎるために、これに起因して鋼管表
面に引っ掻き疵が多発しやすく、所望の表面性状を有す
る製品管が圧延のままで常に安定して得られないという
欠点を有している。
【0015】すなわち、炭素鋼などの普通鋼製の鋼管は
勿論、ステンレス鋼や合金鋼などの特殊鋼製の鋼管は、
通常、その表面が美麗であることが要求される。特に、
浸炭が大きな問題となるステンレス鋼や合金鋼などの特
殊鋼製の鋼管は、その用途によっては上記の引っ掻き疵
が軽微であっても不良品とされ、良品とするには研磨す
るなどの手直しが必要で、その分だけ製品の製造コスト
が上昇する。また、引っ掻き疵が深い場合には手直しも
できず、スクラップにされるので材料歩留まりが低下
し、製品の製造コストが上昇する。
【0016】そこで、本発明者らは、マイカに代表され
る粒子状の酸化物系層状物質に対する硼酸系に代表され
る結合剤の配合量を多くすることで上記引っ掻き疵が発
生するのを防止するようにした非黒鉛系の潤滑剤を開発
し、先に特許出願(特願平7−233639号)した。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らが開発し、
先に特許出願した上記の非黒鉛系潤滑剤を用いる場合に
は、ステンレス鋼および合金鋼などの特殊鋼製の鋼管を
マンドレルミルで圧延しても、浸炭は勿論、鋼管表面に
引っ掻き疵が発生することはない。しかし、この非黒鉛
系の潤滑剤は高価で、炭素鋼などの普通鋼製の鋼管を圧
延するのに用いると、経済的に引き合わないものであ
る。
【0018】このため、浸炭がさほど問題にならない炭
素鋼などの普通鋼製の鋼管を圧延する場合には黒鉛系の
潤滑剤を使用し、浸炭が大きな問題になるステンレス鋼
および合金鋼などの特殊鋼製の鋼管を圧延する場合に上
記の非黒鉛系潤滑剤を使用することとしていた。
【0019】ところが、上記のように圧延する鋼管の鋼
種に応じて用いる潤滑剤を変更する場合には、先行圧延
ロットが普通鋼製の鋼管でこれに引き続く後行圧延ロッ
トが特殊鋼製の鋼管であると、後行圧延ロットの特殊鋼
製の鋼管に浸炭が発生するという問題があった。これ
は、先行圧延ロットの普通鋼製鋼管の圧延時に黒鉛系潤
滑剤が塗布されたマンドレルバーの搬送路上に付着した
黒鉛が、非黒鉛系の潤滑剤を塗布したマンドレルバー表
面に付着するからである。
【0020】尤も、後行圧延ロットの特殊鋼製鋼管の圧
延に先だってマンドレルバー搬送路上に付着した黒鉛を
除去すれば上記の問題はなくなる。しかし、そのために
は特別な除去装置をマンドレルバー搬送路に設ける必要
があって設備費が嵩み、製品の製造コスト上昇を招くの
で、採用し難い。
【0021】従って、マンドレルバー搬送路上に付着し
た黒鉛がその表面に付着しても浸炭を生じさせることが
なく、かつ引っ掻き疵などの表面欠陥を発生させること
のないいわゆる造管潤滑性に優れた非黒鉛系の金属の高
温加工用潤滑剤組成物の開発が望まれていた。
【0022】本発明は、上記の実状に鑑みてなされたも
ので、その課題は、マンドレルバーに塗布後の潤滑剤皮
膜表面に黒鉛が付着した場合にあっても被圧延材の鋼管
に浸炭を生じさせることがなく、かつ造管潤滑性に優れ
た非黒鉛系の金属の高温加工用潤滑剤組成物とその使用
方法を提供することにある。
【0023】
【課題を解決するための手段】本発明の要旨は、次の
(1)および(2)の金属の高温加工用潤滑剤組成物と
その使用方法にある。
【0024】(1)下記のA群のうちから選ばれた1ま
たは2種以上の粒子状の物質5〜30重量部と、B群の
うちから選ばれた1または2種以上の物質30〜90重
量部と、C群のうちから選ばれた1または2種以上の粒
子状の物質5〜40重量部とからなることを特徴とする
金属の高温加工用潤滑剤組成物。
【0025】A群:カリウム四珪素マイカ、ナトリウム
四珪素マイカ、天然金マイカ、ベントナイト、モンモリ
ロナイト、バーミキュライト。
【0026】B群:酸化硼素、硼酸、アルカリ金属硼酸
塩、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、融点が1000℃
以下の珪酸ナトリウムおよび珪酸カリウム。
【0027】C群:平均粒径が0.01〜20μmのチ
タン、マグネシウム、珪素、錫、鉛、亜鉛、カルシウ
ム、銅およびアルミニウムの各酸化物、マグネシウムの
水酸化物。
【0028】(2)上記(1)の高温加工用潤滑剤組成
物の使用方法であって、水に前記高温加工用潤滑剤組成
物を20〜80重量部分散溶解させて用いることを特徴
とする高温加工用潤滑剤組成物の使用方法。
【0029】本発明者らは、鋭意実験研究の結果、次の
ことを知見して本発明をなすにいたった。
【0030】すなわち、本発明者らが開発し、先に特許
出願したマイカに代表される粒子状の酸化物系層状物質
と硼酸系に代表される結合剤とからなる非黒鉛系の潤滑
剤組成物に対し、上記C群に記載の特定粒度の粒子状物
質を特定量配合すると、その潤滑剤皮膜表面に黒鉛が付
着しても、被圧延材の鋼管に浸炭が生じることがなく、
かつ優れた造管潤滑性を発揮することを見いだした。
【0031】
【発明の実施の形態】本発明において金属の高温加工用
潤滑剤組成物の基材として使用する物質は、下記A群の
うちから選ばれた1種または2種以上の粒状物質であ
る。
【0032】A群:カリウム四珪素マイカ[KMg2.5
(Si410)F2 ]、ナトリウム四珪素マイカ[Na
Mg2.5 (Si410)F2 ]、天然金マイカ[KMg
3 (AlSi310)(OH)2 ]、ベントナイト[S
2 (Al3.34Mg0.44)O20(OH)4 Na0.44]、
モンモリロナイト[(Na,K,Mg,Ca)0.33Al
4 (Si7.33Al0.67)O20(OH)4 ・nH2 O]お
よびバーミキュライト[(Mg,Fe)3 (Si,A
l,Fe)410(OH)2 ・4H2 O]。
【0033】これらの物質は、いずれもせん断抵抗の小
さな天然もしくは人工の層状をなす酸化物系の鉱物(以
下、酸化物系層状物質という)であり、その粒状体は、
造管時に、特にホローシェルとマンドレルバーの焼付を
防止する役目を担っている。また、これらの酸化物系層
状物質は、固体潤滑剤として使用した場合、概ね同じよ
うな摩擦挙動を示す。従って、これらを2種以上混合使
用する場合の混合割合は特に制限されない。
【0034】これらの酸化物系層状物質は、平均粒径が
100μm以下、より好ましくは40μm以下で、かつ
純度が81%以上であることが望ましい。これは、粒径
が100μmを超えると水と混合した場合に分散性が悪
くなり、使用時における被潤滑面への供給性が劣るよう
になる。また、その純度が81%未満では夾雑物として
存在しているアルミナ(Al23 )やシリカ(SiO
2 )などの無機物を主体とする不純物によってその潤滑
性が阻害されるためである。
【0035】なお、平均粒径の下限は、特に定める必要
はない。しかし、その平均粒径が余り小さく加工用工具
の表面粗さより小さいと、工具表面の凹部に入り込んだ
ままとなり、加工時における被加工材料と工具の真実の
接触部に供給されなくなるので、1μm以上とするのが
好ましい。
【0036】また、他の類似の酸化物系層状物質、例え
ば白マイカ[KAl2(AlSi310)(OH)2 ]、
カオリン[Al23 ・4SiO2 ・H2 O]、パイロ
フィライト[Al23 ・4SiO2 ・H2 O]、タル
ク[3MgO・4SiO2 ・H2 O]などを使用した場
合には、本発明で達成されるような黒鉛系潤滑剤に匹敵
する高い潤滑性能を得ることはできない。これは、その
層間結合力が本発明で用いる酸化物系層状物質のそれよ
りも強いためと推定される。
【0037】上記A群の酸化物系層状物質からなる粒子
のみでは、黒鉛と同様、被潤滑面に強固に付着し難い。
よって、本発明では、結合剤として、低融点結合剤、す
なわち融点が1000℃以下の下記B群のうちから選ば
れた物質を混合する必要がある。
【0038】B群:酸化硼素、硼酸、アルカリ金属硼酸
塩、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、珪酸ナトリウムお
よび珪酸カリウム。
【0039】これらの結合剤物質は、高温の加工温度域
で溶融して粘性液体となり、主剤である上記A群の各酸
化物系層状物質粒子を工具および被加工材料の摩擦面に
均一に分散させて強固に付着させるとともに、それ自体
も潤滑皮膜として作用し、優れた造管潤滑性を発揮させ
る一因になる。
【0040】すなわち、マンネスマン−マンドレルミル
方式による継目無鋼管の製造においては、前述したよう
に1100〜1200℃の中空素管に潤滑剤を塗布した
マンドレルバーを挿入して潤滑する。この時、結合剤は
それ自身溶融して流体潤滑皮膜として作用すると共に、
層状酸化物粒子を摩擦面全体に円滑に供給する作用をす
る。しかし、その融点が1000℃を超えると熱間加工
の温度域(800〜1200℃)で十分に溶融しないた
め、層状酸化物粒子を被摩擦面全体に均一に分散できな
くなって潤滑性が著しく低下する。よって、その融点は
1000℃以下でなければならない。より好ましくは、
融点が500〜900℃の結合剤を用いるのが最適であ
る。
【0041】上記の結合剤として用いる物質は、いずれ
もその純度が85%以上であることが望ましい。これ
は、その純度が85%未満であると、アルミナ(Al2
3 )やシリカ(SiO2 )などの無機物を主体とする
不純物によってその潤滑性が阻害されるためである。
【0042】また、珪酸ナトリウムと珪酸カリウムは、
一般的には表1に示すように、そのモル比によって分類
され、それらの融点は表1示す通りである。従って、本
発明で使用できる珪酸ナトリウムと珪酸カリウムは、N
2 OとSiO2 のモル比が1:2であるNo. 2と、
1:3であるNo. 3、およびK2 OとSiO2 のモル比
が1:1であるNo. 5と、1:3であるNo. 7と、1:
4であるNo. 8である。
【0043】
【表1】
【0044】一方、炭酸ナトリウムの融点は849℃、
炭酸カリウムの融点は891℃であり、いずれも100
0℃以下である。
【0045】酸化硼素(B23 )の融点は約450℃
である。また、硼酸としては、正硼酸(H3 BO3 )、
メタ硼酸(HBO2 )、ピロ硼酸(H247 )が使
用でき、これらは加熱すると順次水分を失い、300℃
付近でB23 になる。さらに、アルカリ金属硼酸塩と
しては、硼酸リチウム、硼酸ナトリウム、硼酸カリウ
ム、硼砂(Na247 ・10H2 O)のようなメタ
硼酸塩もしくはピロ硼酸塩が使用でき、これらの融点は
それぞれ843℃、966℃、947℃、878℃であ
る。
【0046】結合剤として用いられる上記の各物質の大
きさは、いずれも規制されない。その理由は、使用時に
水に分散混合させた場合、水に溶解するからである。
【0047】ただし、本発明の潤滑剤組成物を水と混合
することなく使用する場合には、各物質の大きさは、平
均粒径で100μm以下のものを用いるのが他の混合物
との均一分散性を高める点で望ましい。
【0048】上記A群とB群に記載の物質のみでは、そ
の潤滑皮膜表面に黒鉛が付着した場合、被加工材料に浸
炭が生じるのを防止できない。よって、本発明では、平
均粒径が0.01〜20μmの下記C群のうちから選ば
れた1種または2種以上の物質を浸炭抑制剤として混合
する必要がある。
【0049】C群:チタン、マグネシウム、珪素、錫、
鉛、亜鉛、カルシウム、銅およびアルミニウムの酸化
物、並びにマグネシウムの水酸化物。
【0050】これら特定金属の酸化物およびマグネシウ
ムの水酸化物を混合すると、その潤滑皮膜表面に黒鉛が
付着した場合にあっても被加工材料に浸炭が生じること
がない。これは、その詳細な浸炭防止のメカニズムは不
明であるが、次のメカニズムによるものと推定される。
【0051】すなわち、マンドレルバーの外周面に形成
された潤滑剤皮膜表面に付着した黒鉛は、高温に加熱さ
れた被加工材料(ホローシェル)と接する造管時に大気
中の酸素と反応してCOガスを発生させる。そして、通
常は、このCOガスが被加工材料に浸炭を生じさせる原
因になる。しかし、潤滑皮膜中に上記C群のうちのいず
れか1種以上の金属酸化物または金属水酸化物からなる
物質が存在する場合には、その物質とCOガスとの間で
還元反応が生じてCOガスのほとんどが浸炭現象に寄与
しないCO2 ガスに変換されるとともに、C群物質が金
属単体を含む溶融物となり、これが被加工材料の表面に
被着してその表面を被覆し、この被着層が被加工材料へ
の残存COガスのバリヤー層となって被加工材料の浸炭
が防止されるものと推定される。
【0052】上記C群の各物質の大きさは、平均粒径が
0.01〜20μmのものでなければならない。これ
は、その平均粒径が0.01μm未満であると、昇温時
に発生ガスとともに揮散もしくは逃散してしまい、上記
の浸炭防止効果が得られなくなり、また、その平均粒径
が20μm超であると、上記の還元反応がほとんど生じ
ず、上記の浸炭防止効果が得られないばかりか、造管潤
滑性をも低下するからである。
【0053】なお、上記C群の各物質は、浸炭防止効果
の最も発揮される温度範囲がそれぞれ異なる。従って、
これらの物質は、被加工材料(ホローシェル)の温度に
応じて最も適したものを選択使用するのが好ましい。具
体的に例示すれば、上記C群物質のうち、チタンの酸化
物は、700〜1250℃の広い温度範囲で顕著な浸炭
防止効果を発揮し、汎用性があるのでこれを用いるのが
最も効果的である。また、マグネシウムの酸化物と水酸
化物は800〜1100℃の温度範囲で、珪素の酸化物
は800〜1000℃の温度範囲で、それぞれ顕著な浸
炭防止効果を発揮する。
【0054】上記A、BおよびC群の各物質は、基材と
してのA群物質5〜30重量部、結合剤としてのB群物
質30〜90重量部、浸炭抑制剤としてのC群物質5〜
40重量部の範囲内で混合配合する必要がある。その理
由は、以下の通りである。
【0055】A群物質の配合量が5重量部未満、B群物
質の配合量が90重量部超、およびC群物質の配合量が
40重量部超であると、いずれの場合も製管時にマンド
レルバーと被加工材料(ホローシェル)との間で焼付き
が発生する。
【0056】また、A群物質の配合量が30重量部超お
よびB群物質の配合量が5重量部未満であると、いずれ
の場合も十分に低い摩擦係数が得られないために満足す
べき潤滑性能が得られないのみならず、その使用中に層
状状態を破壊されたA群物質の粒子が凝集して被加工材
料表面に引っ掻き疵が発生する。
【0057】さらに、C群物質の配合量が5重量部未満
であると、本発明の潤滑剤組成物からなる潤滑皮膜上に
黒鉛が付着した場合における浸炭防止効果が得られな
い。
【0058】このようにして調合された本発明の潤滑剤
組成物は、水分散液として使用することが作業性などの
面から好ましい。
【0059】水に分散混合して用いる場合、水100重
量部に対して本発明の潤滑剤組成物を20〜80重量部
分散溶解させて使用する。これは、潤滑剤組成物が20
重量部未満であると潤滑剤組成物の安定性が劣り、潤滑
剤組成物が早期に沈降してしまう。逆に、潤滑剤組成物
が80重量部を超えると常温での粘度が増し、マンドレ
ルバーなどの工具表面に対して潤滑剤を均一に塗布でき
なくなるためである。
【0060】水に分散混合してスプレーまたはその他適
宜な方法によってマンドレルバーなどの工具表面に塗布
された潤滑剤組成物は、乾燥固化された後、製管作業な
どの熱間加工に供される。
【0061】
【実施例】表2に示す6種類のステンレス鋼製で、外径
181.0mm、肉厚16.0mm、長さ7000mm
の温度が1100℃のホローシェルを対象に、7スタン
ドからなるマンドレルミルを用いて外径151.0m
m、肉厚5.0mm、長さ25300mmの仕上げ圧延
用素管に延伸圧延するに当たり、次の条件で圧延を行っ
た。
【0062】
【表2】
【0063】先ず、マンドレルバーとしては、SKD6
1製で、外径が140.5mm、有効部長さが18mの
ものを準備する一方、潤滑剤組成物としては、表3〜表
5に示す24種類のものを調合準備した。なお、潤滑組
成物を構成するA群物質は、いずれも平均粒径が30μ
mのものを用いた。
【0064】
【表3】
【0065】
【表4】
【0066】
【表5】
【0067】次いで、これらの潤滑剤組成物を、水10
0重量部に対して50重量部分散溶解させ、これを刷毛
を用いて室温状態の上記マンドレルバーの外周面に塗布
した後に室温下で乾燥固化させ、マンドレルバー表面に
膜厚100μmのほぼ均一な潤滑皮膜を形成させた。
【0068】しかる後、この潤滑皮膜を形成させたマン
ドレルバーを、チタン酸化物粒子などの浸炭防止用物質
(上記C群物質)が配合されない黒鉛系潤滑剤を塗布し
たマンドレルバーを搬送した後のマンドレルバー搬送路
に通して上記の圧延に供した。
【0069】そして、マンドレルミル圧延時における摩
擦係数、圧延後の仕上げ用素管表面の引っ掻き疵と焼付
き疵の発生状況および内表面層の浸炭状況とその浸炭深
さを、それぞれ次に述べる方法によって調べた。
【0070】摩擦係数:マンドレルミル圧延中、全スタ
ンドに荷重がかかった定常状態の合計荷重ΣPiとマン
ドレルバーに働くスラスト力Fとを測定し、式「摩擦係
数=F/ΣPi」によって求めた。
【0071】引っ掻き疵と焼付き疵の発生状況:一方管
端に照明灯を配置して他方管端から管内面を目視観察し
する操作を両管端について行い、引っ掻き疵または焼付
き疵の合計長さが0.1m未満であった場合を「○」、
0.1m以上1m未満であった場合を「△」、1m以上
であった場合を「×」として評価した。
【0072】浸炭発生状況と浸炭深さ:圧延後の仕上げ
用素管の管軸長方向の中央部より試験片を採取し、管内
表面より所定の厚さピッチで成分分析試料を研磨除去
し、その成分分析試料の平均炭素濃度を化学分析すると
いう操作を繰り返して肉厚方向の炭素濃度を調べた。
【0073】そして、各供試鋼のC含有量を超える炭素
濃度の管内表面からの深さを求め、この深さを浸炭深さ
として評価した。なお、いずれの成分分析試料の平均炭
素濃度も各供試鋼のC含有量を超えなかったものについ
ては、浸炭深さを0(ゼロ)として評価した。
【0074】これらの結果を、表4および表5に併記し
て示した。
【0075】表3〜表5に示す結果から明らかなよう
に、本発明例(No. 1〜12)の潤滑剤組成物を用いた
場合には、いずれも良好な結果が得られた。
【0076】これに対し、比較例(No. 13〜24)の
潤滑剤組成物を用いた場合には、いずれの潤滑剤組成物
も多量の引っ掻き疵と焼付き疵または浸炭のいずれか発
生した。
【0077】すなわち、比較例のNo. 13は、本発明で
規定するA群物質の配合量が多すぎ、かつC群物質の配
合量が少ないために摩擦係数は低いものの、A群物質起
因の引っ掻き疵が多量に発生し、かつ浸炭も発生した。
比較例のNo. 14は、A群物質の配合量が少ないために
摩擦係数が高く、焼付が多量に発生した。比較例のNo.
15は、C群物質の配合量が多すぎるために摩擦係数が
高く、焼付き疵とC群物質起因の引っ掻き疵の両方が多
量に発生した。比較例のNo. 16〜19は、A群物質が
本発明で規定する以外の物質であるために摩擦係数が高
く、焼付き疵と引っ掻き疵の両方が多量に発生した。比
較例のNo. 20〜22は、B群物質が本発明で規定する
以外の融点の高い物質であるためにその圧延使用中にA
群物質が凝集し、焼付き疵と引っ掻き疵の両方が多量に
発生した。比較例のNo. 23は、C群物質の粒径が小さ
すぎるために浸炭が発生した。比較例のNo. 24は、C
群物質の粒径が大きすぎるために、浸炭が発生する一
方、このC群物質起因の焼付き疵と引っ掻き疵の両方が
多量に発生した。
【0078】なお、データの記載は省略するが、A群物
質の平均粒径が100μm超の潤滑剤組成物、および本
発明の潤滑組成物を水100重量部に対して分散溶解量
させたものでは、前者のものは水に分散混合する際に沈
殿が生じ、また後者のものは粘度が高すぎ、いずれもマ
ンドレルバーへの塗布が不可能であった。
【0079】
【発明の効果】本発明の高温加工用潤滑剤組成物は、黒
鉛系潤滑剤組成物の使用に引き続いて用いても、被加工
材料に浸炭を発生させることがないのみならず、引っ掻
き疵や焼付き疵を発生させることがない。従って、表面
品質の優れた製品が得られる。また、浸炭層や疵除去の
ための工程が不要であるので、その分だけ製品の製造コ
ストの低減が図れる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C10M 103:06) C10N 10:02 10:04 10:06 10:08 20:06 30:08 40:24 50:02

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下記のA群のうちから選ばれた1または2
    種以上の粒子状の物質5〜30重量部と、B群のうちか
    ら選ばれた1または2種以上の物質30〜90重量部
    と、C群のうちから選ばれた1または2種以上の粒子状
    の物質5〜40重量部とからなることを特徴とする金属
    の高温加工用潤滑剤組成物。 A群:カリウム四珪素マイカ、ナトリウム四珪素マイ
    カ、天然金マイカ、ベントナイト、モンモリロナイト、
    バーミキュライト。 B群:酸化硼素、硼酸、アルカリ金属硼酸塩、炭酸ナト
    リウム、炭酸カリウム、融点が1000℃以下の珪酸ナ
    トリウムおよび珪酸カリウム。 C群:平均粒径が0.01〜20μmのチタン、マグネ
    シウム、珪素、錫、鉛、亜鉛、カルシウム、銅およびア
    ルミニウムの各酸化物、マグネシウムの水酸化物。
  2. 【請求項2】請求項1に記載の高温加工用潤滑剤組成物
    の使用方法であって、水に前記高温加工用潤滑剤組成物
    を20〜80重量部分散溶解させて用いることを特徴と
    する高温加工用潤滑剤組成物の使用方法。
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