JPH10121131A - 脆性破壊伝播停止特性と溶接性に優れた厚肉高張力鋼板の製造方法 - Google Patents
脆性破壊伝播停止特性と溶接性に優れた厚肉高張力鋼板の製造方法Info
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- JPH10121131A JPH10121131A JP26999996A JP26999996A JPH10121131A JP H10121131 A JPH10121131 A JP H10121131A JP 26999996 A JP26999996 A JP 26999996A JP 26999996 A JP26999996 A JP 26999996A JP H10121131 A JPH10121131 A JP H10121131A
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Abstract
下、−30℃で使用されても脆性破壊伝播を阻止できる
溶接性の優れた厚肉高張力鋼板の製造方法の提供。 【解決手段】重量割合にて、C:0.07〜0.18
%、Mn:0.4〜1.5%、Si:0.2%以下、N
i:3.5〜6.5%、Cr:0.1〜1%、Mo:
0.1〜1%、Cu:1.5%以下、V:0.01〜
0.1%、Nb:0.03%以下、N:0.006%以
下、solAl:0.05%以下および B:0.00
03〜0.002%を含み、C(%)+Si(%)+
1.5solAl(%)なる指標が0.1〜0.25%
の範囲の鋼を900〜1100℃の温度域に加熱して熱
間圧延するとき、850〜700℃の温度域にて仕上げ
圧延を行った後、そのまま焼入れし、続いて700℃以
下にて焼戻し水冷することを特徴とする脆性破壊伝播停
止特性と溶接性に優れた厚肉高張力鋼板の製造方法。
Description
特性と溶接性に優れた厚さ100mm以上、引張強さ8
80MPa以上の厚肉高張力鋼板の製造方法に関する。
になってきており、それに対応してこれら構造物に使用
される鋼板への高強度化および厚肉化の要求が高まって
いる。例えば揚水型発電所の水圧鉄管や、海洋構造物の
ジャッキアップ型掘削リグのラック材等に厚肉の780
MPa級高張力鋼板が使用されるに至っている。
強さを有する高張力鋼の供給が望まれるようになってい
る。厚鋼板の高強度化は、単に構造物の重量低減にとど
まらず、溶接施工費用の大幅な低減をもたらすので、そ
の要求には根強いものがある。しかし、このような高強
度、高靭性、優れた脆性破壊伝播停止特性および溶接性
を具備した厚さ100mm以上の高張力鋼板を安定多量
に供給できる技術が確立されていないのが現状である。
物に使用されることが多いので、市民生活に影響する大
事故の発生を防止するため、潜在的な亀裂(例えば溶接
欠陥)から脆性破壊が発生しても、伝播してきた脆性破
壊をその厚肉高張力鋼板において停止させる脆性破壊伝
播停止特性をもつことを要求される。この脆性破壊伝播
停止特性は、いわゆる靭性と同じとみなすことができる
場合もあるが、脆性破壊の伝播が問題となる場合には、
脆性破壊伝播停止特性にとくに注目して、靭性は、脆性
破壊発生特性と脆性破壊伝播停止特性とに分けて論じら
れるべきである。
験(主に脆性破壊発生特性を評価する)が簡便に多く用
いられてきたので、通常、靭性または低温靭性というと
きにはシャルピー試験による評価、すなわち、大略、脆
性破壊発生の傾向に対応する特性を指す。本説明におい
ても、靭性または低温靭性というときはシャルピー試験
に基づく評価を指す。大抵の場合、脆性破壊伝播停止特
性の良好な鋼は発生特性も良好であり、両者は同じ傾向
を示す。しかし、シャルピー試験における遷移温度(v
Ts)が数十℃も改善されているのに、脆性破壊伝播停
止特性は全く改善されない場合もあり、上記のような重
要構造物に使用される厚肉高張力鋼板においては両者は
別の性質として論じられなければならない。
に組み込まれた鋼板を模擬して脆性破壊を一旦発生させ
伝播させ、それを停止させることが必要なので、厚肉鋼
板を原厚のまま用いる二重引張試験またはESSO試験
などの大型試験が用いられるのが普通である。
性を評価するESSO試験の試験片形状と試験状況を模
式的に示す図面である。
停止特性を評価する二重引張試験の試験片と試験状況を
示す図面である。
亀裂を発生させるのに対して、二重引張試験においては
脆性亀裂発生専用の引張荷重により脆性亀裂が発生する
違いはあるが、本質的に相違する試験法ではない。どち
らの試験においても、一旦発生した脆性亀裂は、脆性亀
裂を進展させる応力と温度上昇勾配がついた部分を進行
して、ある温度位置で停止する。このとき、脆性破壊伝
播停止特性の指標である脆性破壊伝播停止における破壊
靭性値Kca(MPa・m0.5 )は、下記の式により
表される。
c:停止亀裂長さ(m)、f(a/W)は試験片の幅や
厚さに関係する試験片形状によって変化する形状因子で
ある。このKcaは停止した温度ごとに求められ、Kc
aを絶対温度の逆数に対してプロットすると大略直線に
なる。この直線より、目的の温度でのKcaを知ること
ができる。
停止特性を改善する製造方法は、従来より提案されてい
る。例えば、特公平6−4889号公報では0.2〜
0.35%Cを含むMn−Ni−Cr−Mo鋼において
Mn/Cr比を1.5以下とすることによって、厚さ4
0mmの引張強さ90kgf/mm2 (880MPa)を超え
る高張力鋼板の製造法が提案されているが、厚さ100
mmを超える鋼板に対しては靭性や溶接性が十分ではな
い。
100mmを超える100kgf/mm2(980MPa)級
鋼板の高靭化法として、Nbを添加したNi−Cr−M
o−B−Nb鋼の二回焼入れ処理が開示されている。こ
れは、二回焼入れ処理によって細粒のオーステナイト粒
を経て極めて微細なマルテンサイト組織が厚肉鋼板の表
層部から中心部まで得られるので、厚さ150mmの鋼
板においても高強度と高靭性(シャルピー衝撃試験にお
ける遷移温度−60℃以下)が得られるという提案であ
る。しかしながら、マルテンサイト組織の微細化だけで
は厚肉鋼板の靭性は十分良好とならず、また脆性破壊伝
播停止特性も不十分なだけでなく、溶接部の靭性につい
ても改善の必要がある。
80MPa以上(特に950MPa以上)、良好な耐脆
性破壊発生特性と卓越した脆性破壊伝播停止性能を有す
る厚さ100mm以上の溶接性の優れた厚肉高張力鋼板
の製造方法の提供を目的とする。具体的には、下記の性
能を有する厚肉高張力鋼板の製造方法の提供を目的とす
る。
験の遷移温度(vTs)−80℃以下、 (c)−30℃にて脆性破壊の伝播を阻止する。
s −80℃以下 (b)溶接予熱温度100℃以下 上記シャルピー衝撃試験の遷移温度vTsが−80℃以下
とは、通常の超音波探傷で発見されにくい寸法の溶接欠
陥などからは脆性破壊がきわめて発生しにくい、少なく
とも−30℃では発生することは殆ど考えられないこと
を意味する。 vTsは、低いほど脆性破壊発生特性が良好
な傾向にある。
は、確率的には非常に低いが−30℃で万一脆性破壊が
発生しても、母材で脆性破壊を停止させることができる
ことを意味する。脆性破壊が−30℃で停止されるため
には、通常、破壊靭性値Kcaが−30℃において200
MPa・m0.5 以上あればよいとされている。−30℃
以上という温度は地球上で市民生活が営まれている地域
の殆どを網羅する。
属”、“溶接金属に接するHAZ”および“HAZ”に
より構成されるものとする。通常、HAZというときは
“溶接金属に接するHAZ”を含むが、“溶接金属に接
するHAZ”を“ボンド(bond)”といって区別する場合
がある。
Pa以上の引張強さを有する厚さ100mm以上の厚肉
鋼板に、溶接性を損わずに良好な低温靭性および優れた
脆性亀裂伝播停止特性を付与するには、下記の事項が必
要であることを確認した。
テナイト粒の微細化とマルテンサイトとベイナイトの比
率の最適化だけでは十分ではない。このようなミクロ組
織に加えて、微細な安定残留オーステナイトを均一に分
散させる必要がある。特に引張強さ880MPa以上の
厚肉鋼板で所定の脆性破壊伝播停止性能を得るための必
要条件として、この残留オーステナイトを10%以下、
好ましくは1〜5%に制御しなければならない。
を超える増加は、同部分へのNiなどのオーステナイト
安定化元素の濃縮の低下を招き、脆性破壊発生前に生じ
る塑性変形によりまたは伝播時の衝撃波により高硬度の
マルテンサイトに変態しやすくなり、低温靭性と脆性破
壊伝播停止特性の両方に悪影響を及ぼす。
に向上させる(表層部の優れた同特性により鋼板全体
(原厚)としての同特性を向上させる)ために、低温加熱
によるオーステナイト粒の細粒化と未再結晶オーステナ
イト域の加工を組み合わせることも同時に行う。具体的
には、3.5〜6.5%Niを含有するCu−Ni−C
r−Mo−Nb−Ti−B鋼に対し、低温加熱−低温仕
上げ圧延後に直接焼入処理を行う必要がある。
て得るためには、上記に加えて、C(%)+Si(%)
+1.5solAl(%)なる指標を0.1〜0.25
%の範囲にに制御し、母材およびHAZの靭性および脆
性破壊伝播停止特性に悪影響を及ぼす硬質相(マルテン
サイト)の生成を抑制する必要がある。
量Ti処理を行うことにより、Bの効果を生かし厚肉鋼
板の板厚全般にわたって適正な焼入性を付与する事がで
きる。
下記の化学組成、圧延および熱処理方法をその要旨とす
る。
%、Mn:0.4〜1.5%、Si:0.2%以下、N
i:3.5〜6.5%、Cr:0.1〜1%、Mo:
0.1〜1%、Cu:1.5%以下、V:0.01〜
0.1%、Nb:0.03%以下、N:0.006%以
下、solAl:0.05%以下およびB:0.000
3〜0.002%を含み、C(%)+Si(%)+1.
5solAl(%)なる指標が0.1〜0.25%の範
囲にある鋼に対して、熱間圧延前の加熱温度を900〜
1100℃の温度域として、熱間圧延の仕上げ圧延を8
50〜700℃の温度域にておこなった後、そのまま焼
入れし、続いて700℃以下にて焼戻し水冷することを
特徴とする脆性破壊伝播停止特性と溶接性に優れた厚肉
高張力鋼板の製造方法。』 上記の本発明の対象とする鋼の組成は、上記の組成と指
標を満たす低合金鋼〜中合金鋼であればすべて該当す
る。ただし、微量元素以外の主要な元素は上記のものに
限られる。
00℃の温度域にておこなった後、そのまま焼入れ」と
は、仕上げ圧延後に直接焼入れを行うことをいう。仕上
げ圧延後直接焼入れまでの間に、脱スケール、歪矯正、
温度均一化加熱、焼入れ設備までの搬入、その他必要な
処理が施されてもよい。
定時間保定した後、焼戻し脆性の防止および残留オース
テナイトの安定化を目的に550℃以下の温度域を水冷
することをいう。
加されるが、含有率が0.07%未満では焼入性不足と
なり、引張強さ880MPaを確保することが難しく、
また靭性も十分ではない。一方、0.18%を超えると
母材の靭性および脆性亀裂伝播停止性能が低下するだけ
でなく、HAZの硬さが上昇し、溶接低温割れ感受性が
高くなるので、0.07〜0.18%とする。
を高めるために添加するが、0.4%未満では、強度を
確保することが困難であり、一方、1.5%を超える
と、母材およびHAZともに靭性が低下するので0.4
〜1.5%とする。
脱酸におけるAlの歩留まり向上を目的として添加され
る。本説明において鋼中に含まれるSiというとき、脱
酸に働いた量を超えるSiが鋼中に残存したものを指す
が、意図的に残存させなくてもよい。すなわち実質的に
Siを含まなくてもよい。鋼中に残存したSiは強度上
昇に有効であるが、0.2%を超えると、母材およびH
AZの靭性低下をもたらすので、意図的に残存させる場
合でも0.2%以下とする。
および脆性破壊伝播停止性能および溶接性の改善に不可
欠の元素である。とくに、脆性破壊伝播停止性能の向上
に効果的で、3.5%以上含むことにより目標とする脆
性破壊伝播停止性能を得ることができる。3.5%以上
含むとき、微細マルテンサイトとベイナイトの混合組織
中に数%の安定残留オーステナイトが混在した組織にな
り、低温靭性および脆性破壊伝播停止性能が飛躍的に向
上する。一方、6.5%を超えるとコスト上昇の割に効
果の向上代が小さくなるだけでなく、二回焼入れ−焼戻
し処理によって生成する残留オーステナイトの量も増加
して降伏強さが低下する場合が生ずるので、3.5〜
6.5%とする。
際の析出硬化によって強度と靭性を向上させる。0.1
%未満ではその効果は十分ではなく、一方1%を超える
と強度を過度に高め母材とHAZの靭性を損なうので、
0.1〜1%とする。
も焼入性向上効果および析出硬化が大きく、とくにBと
共存した場合、焼入性向上効果が顕著に現れる。0.1
%未満では厚肉鋼板の中心部まで“焼き”を入れ、かつ
880MPa以上の引張強さを得るには不十分であり、
一方、1%を超えると表層部で“焼き”が入りすぎ表層
部の靭性が劣化するので0.1〜1%とする。
し添加すると焼入性を向上し、とくに0.3%を超える
場合には焼戻し時の析出硬化によって、母材を強化させ
るので、880MPaより高い引張強さ、例えば950
MPa以上とする場合には添加することが望ましい。し
かし、1.5%を超えると、母材およびHAZの靭性を
損なうだけでなく、熱間延性も大きく低下させるので、
1.5%以下とする。
により焼戻し軟化抵抗を増加させるので、高温での焼戻
しを可能とし、強度と靭性のバランスを向上させる。
0.01%未満では、その効果は十分ではなく、一方、
0.1%を超えると強度が過度に高くなり靭性が損なわ
れるので0.01〜0.1%とする。
し、微量添加すると、オーステナイトの低温域で微細な
Nb炭窒化物を形成することにより、オーステナイト粒
を微細化し、微細なマルテンサイト組織を厚肉鋼板の表
層部から中心部にわたって形成させるので、厚肉高張力
鋼板の靭性、とりわけ表層部の低温靭性および脆性破壊
伝播停止特性を向上させる。したがって、特に表層部の
これら性能を向上させる場合には添加することが望まし
い。しかし、0.03%を超えると溶接時に溶接金属に
横割れを発生させるだけでなく、母材の低温靭性および
脆性破壊伝播停止特性をかえって低下させるので、添加
する場合でも0.03%以下とする。溶接金属の横割れ
を防止して、上記の効果を安定して得るためには0.0
05〜0.02%とするのが望ましい。
ほど良い。0.006%を超える場合には母材およびH
AZの靭性低下が著しくなるため0.006%以下とす
る。
は、脱酸に働いた量を超えるAlが溶鋼中に残存したも
ので、意図的に残存させる場合と脱酸のみを目的として
添加した余剰分が残存する場合の両方がある。本発明で
は両方の場合を含む。したがって、solAlを実質的
に含まなくてもよい。solAlは、凝固後にNと結合
してAlNを形成するか、または固溶Alとなる。Al
Nはオーステナイト粒を微細化して靭性を向上させる
が、固溶Alは後記するように硬質相を母材およびHA
Zに生成し靭性を劣化させる。Nが比較的高い場合(低
くできない場合)には、solAlを意図的に含ませる
ことが望ましい。しかし、その場合でも、0.05%を
超えると、固溶AlのためにHAZの特性が劣化するだ
けでなく、低温加熱−低温仕上げ圧延−直接焼入処理を
実施して組織を微細化しても、母材の靭性および脆制破
壊伝播停止特性が劣化するので0.05%以下とする。
で、厚肉鋼板の板厚中心部でマルテンサイトまたはマル
テンサイトとベイナイト混合組織を得る場合必要であ
り、とくにMoと共存させることが必要である。0.0
003%未満ではその効果は十分ではなく、一方、0.
003%を超えると、母材および溶接部の靭性、とくに
溶接部の靭性を損なうので0.0003〜0.003%
とする。
(%):上記の成分限定に加え、母材とHAZの靭性向
上および母材の脆性破壊伝播停止特性を向上させるため
に、C(%)+Si(%)+1.5solAl(%)な
る指標を限定する必要がある。すなわち、この指標が
0.1%未満では、必要な引張強さを得ることはでき
ず、また0.25%を超えると母材およびHAZに微細
であるが硬質で脆い組織(硬質のマルテンサイト)が混
入するようになり、母材と溶接部の靭性および母材の脆
性破壊伝播停止特性を低下させる。したがって、C
(%)+Si(%)+1.5solAl(%)の値を
0.1〜0.25%の範囲に、望ましくは0.13〜
0.20%の範囲に限定する必要がある。
標を満たせばどのような鋼でもよい。ただし、低合金鋼
〜中合金鋼の範疇に入るもので、微量元素以外の主要な
元素は上記の範囲にあるものが対象になる。
を含ませることが望ましい。Tiは、NをTiNとして
安定に固定することを通じて連続鋳造スラブ表面の割れ
を抑制し、HAZの靭性を向上させる。また、Bの焼入
性向上効果を安定化させることにより、厚肉鋼板の板厚
方向の強度の均一性、すなわち厚さ方向の硬さ分布をU
字型でなくフラットにするのに著効を有する。0.00
5%未満ではこのような効果は明確に現れず、一方、
0.02%を超えると、逆に母材およびHAZの靭性が
劣化するので、含ませる場合には0.005〜0.02
%とすることが望ましい。
など)は、できるだけ低いことが望ましい。
す。
ナイト化が不十分なため、後に圧延および熱処理条件を
変化させても十分な特性改善が得られない。また、加熱
温度が1100℃を超えるとオ−ステナイト粒が細粒化
せず、鋼板の母材靭性は著しく低下するだけでなく、N
bを含む場合には、Nbの固溶量が増加するため圧延中
にNb炭窒化物が析出し再結晶しにくくなり強い集合組
織が形成されるので、強度、靭性などにも異方性が生ず
るようになる。したがって、圧延前のスラブ加熱温度
は、900〜1100℃とする。
表層部の脆性破壊伝播停止性能を向上させるために限定
する。仕上げ温度を850〜700℃の温度域に限定す
ることにより、表層部の組織を微細な未再結晶オ−ステ
ナイトにすると共に、その後に行う直接焼入れの焼入開
始温度を適度に低下させることにより表層部の焼きの入
りすぎを防止し脆性破壊伝播停止性能および靭性を向上
させる。このような効果を十分得るためには未再結晶オ
ーステナイト域の累積圧下率を25〜75%とし、焼入
開始温度を650〜800℃の範囲に制御することが望
ましい。ここで、「未再結晶オーステナイト域の累積圧
下率」とは、Nbを含む場合は975℃〜圧延仕上げ温
度の温度域での全圧下率をいい、Nbを含まない場合は
900℃〜圧延仕上げ温度の温度域での全圧下率をい
う。
ケール、歪矯正、温度均一化加熱および焼入れ装置まで
の搬入などが挿入されてもよいことは上記したとおりで
ある。
は、一般の焼戻しと同様に焼入れによって生じた歪を取
り除き微細な炭化物を析出させることによって強度と靭
性のバランスを改善させることに加えて適正量の残留オ
ーステナイトを微細分散させることを目的とする。3.
5〜6.5%Niを含有する鋼に700℃以下、望まし
くは550〜650℃の温度域の焼戻しを施し、10%
以下、望ましくは1〜5%の安定な残留オーステナイト
をマルテンサイト中に微細分散させると、母材の靭性お
よび脆性破壊伝播停止性能は、飛躍的に向上する。70
0℃を超える温度域へ加熱すると、オーステナイトが不
安定化し、上記効果が低下するため焼戻し温度は700
℃以下とする。オーステナイト量が10%を超えて不安
定になった場合に低温靭性および脆性破壊発生特性が劣
化する理由は、前記したとおりである。
る。これは、475〜550℃の焼戻し脆化が進行する
温度域を急冷し焼戻し脆性を抑制し、同時に、より低温
域まで含めて急冷し残留オーステナイトを安定化するた
めである。
の化学組成を表す一覧表である。また、表2は、これら
鋼の不純物のうちPおよびSを示す一覧表である。Pお
よびSは低く制御されている。これらの鋼を70トン転
炉にて溶製し、Ar雰囲気中で鋳込み、600mm厚さ
×1000mm幅×2500mm高さの鋼塊とした。
の欄は、これら鋼塊に施した圧延および熱処理の条件を
示すものである。これら表に示す圧延および熱処理によ
り厚さ150〜200mmの厚肉鋼板を作製し、各鋼板
から試験片を切り出し、機械的性質および溶接性の評価
を行った。
試験片 JIS Z 2202 4号試験片 )における遷移温度
(vTs:JIS Z 2242)により、また脆性破壊伝播停止特
性は二重引張試験における0℃および−30℃における
破壊靭性値(Kca)により評価した。母材の引張および
シャルピー衝撃試験は、板厚の表層部、(1/4)t部
および(1/2)t部にて評価した。表層部は、シャル
ピー試験の場合は、表面から6mmの位置を試験片の中
心線に、また引張試験(JIS Z 2241:試験片 JISZ 2201
4号試験片 )の場合は表面から10mmの位置を試験
片の中心線に合わせた。
(1/4)t部を中心とする板厚40mmの鋼板を切り
出し、レ型開先にて入熱45kJ/cmにて片面6層の
サブマージアーク溶接(SAW)を行い、試験に供し
た。また、溶接割れ性を評価するために、100kg/
mm2 級の溶接棒を用いた手溶接によりy開先拘束割れ
試験片(JIS Z 3158)に予熱温度100℃にて溶接ビー
ドを置き、所定時間経過後に断面を切り出し割れの有無
を調査した。この溶接ビード置きは、溶接材料を気温3
0℃、湿度80%の環境下で1時間放置し、加湿させた
後、気温30℃、湿度80%の環境下で実施した。
験により評価したが、ノッチを溶接金属とHAZの界面
(bond)に入れた試験と同界面から母材側に3mm入っ
た個所(HAZ)に入れた試験の両方で評価した。
試験におけるKca、溶接継手部靭性およびy開先拘束割
れ試験の各欄は、これらの結果を表すものである。表3
および表5に示すように、本発明法により製造された厚
肉鋼板は所望の引張強さ(880MPa以上)を有する
と同時に良好な靭性(板厚各位置でvTs−80℃以
下)、卓越した脆性破壊伝播停止特性(−30℃にてK
caが200MPa・m0.5以上)および優れた継手部靭性(v
Ts−80℃以下)および耐溶接割れ性(予熱温度10
0℃以下)の全てを備えていることが分かる。これに対
して、試験番号6〜9(表4)は、鋼の組成(鋼A)は
本発明の範囲内にあるが、圧延熱処理条件が範囲外であ
るため、母材の靭性および脆性破壊伝播停止特性が大幅
に劣ることが分かる。また、表6に示すように、鋼の組
成が本発明の範囲外の試験番号14〜19では、母材の
性能のみならず溶接性においても、本発明例の性能に比
較して格段に劣ることが分かる。
で、溶接性良好な、引張強さ880MPa以上、シャル
ピー衝撃遷移温度−80℃以下および−30℃で脆性亀
裂伝播を停止させることができる厚肉高張力鋼板の安定
的な供給が可能となる。その結果、溶接施工費用を低減
したうえ信頼性の高い水圧鉄管、海洋構造物等の大型構
造物が製作可能となり、産業上非常に有益である。
模式図である。(b)は二重引張試験片と試験状況をあ
らわす模式図である。
Claims (1)
- 【請求項1】重量割合にて、C:0.07〜0.18
%、Mn:0.4〜1.5%、Si:0.2%以下、N
i:3.5〜6.5%、Cr:0.1〜1%、Mo:
0.1〜1%、Cu:1.5%以下、V:0.01〜
0.1%、Nb:0.03%以下、N:0.006%以
下、solAl:0.05%以下およびB:0.000
3〜0.002%を含み、C(%)+Si(%)+1.
5solAl(%)なる指標が0.1〜0.25%の範
囲にある鋼に対して、熱間圧延前の加熱温度を900〜
1100℃の温度域として、熱間圧延の仕上げ圧延を8
50〜700℃の温度域にておこなった後、そのまま焼
入れし、続いて700℃以下にて焼戻し水冷することを
特徴とする脆性破壊伝播停止特性と溶接性に優れた厚肉
高張力鋼板の製造方法。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP26999996A JP3336877B2 (ja) | 1996-10-11 | 1996-10-11 | 脆性破壊伝播停止特性と溶接性に優れた厚肉高張力鋼板の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP26999996A JP3336877B2 (ja) | 1996-10-11 | 1996-10-11 | 脆性破壊伝播停止特性と溶接性に優れた厚肉高張力鋼板の製造方法 |
Publications (2)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPH10121131A true JPH10121131A (ja) | 1998-05-12 |
| JP3336877B2 JP3336877B2 (ja) | 2002-10-21 |
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ID=17480151
Family Applications (1)
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1996
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