JPH10121193A - 冷間鍛造用鋼 - Google Patents

冷間鍛造用鋼

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JPH10121193A
JPH10121193A JP29811096A JP29811096A JPH10121193A JP H10121193 A JPH10121193 A JP H10121193A JP 29811096 A JP29811096 A JP 29811096A JP 29811096 A JP29811096 A JP 29811096A JP H10121193 A JPH10121193 A JP H10121193A
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一衛 野村
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 変形抵抗および変形能に代表される冷間鍛造
性を、S45C等の従来の構造用炭素鋼に比べて大幅に向上
させ、例えば据込加工率が85% を越えるような大変形冷
間鍛造をも可能とし、さらに良好な高周波焼入性が確保
できる冷間鍛造用鋼を提供する。 【解決手段】 重量比にしてC:0.30% を超え0.65% 以
下、Si:0.15%未満、Mn: 0.50% 以下、P:0.030%以下、S:
0.035%以下、Al:0.10%を超え0.3%以下、N:0.015%以下、
O:0.003%以下を含有し、残部がFe及び不純物元素からな
ることを特徴とする冷間鍛造用鋼。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、S45C等の機械構造
用炭素鋼に比べ冷間鍛造性に優れ、冷間鍛造により成形
される部品への使用に適した冷間鍛造用鋼に関する。
【0002】
【従来の技術】自動車等に使用されるスピンドル、ジョ
イント、ヨーク、シャフト、スリーブ、フランジ類等の
機械構造部品の多くは、熱間鍛造あるいは冷間鍛造にて
所定の形状に成形された後、機械加工にて部品が製造さ
れる。この中で冷間鍛造は熱間鍛造に比べて、材料歩留
りが高く、さらに寸法精度が良いことから、材料費およ
び機械加工費の低減が可能となる。そのため最近では部
品コスト低減のために冷間鍛造の採用が増加してきてい
る。
【0003】これら機械構造部品のうち、特に優れた強
靱性、耐摩耗性が要求される部品についてはS45C等の機
械構造用鋼を冷間鍛造した後、焼入焼きもどし処理を行
って必要な強度が確保されている。さらに強化が必要な
場合は高周波焼入処理が行われる。
【0004】そして、S45C等のC 含有量が比較的高い炭
素鋼は熱間圧延のままでは硬さが高く冷間加工性が悪い
ため、冷間鍛造する場合には、球状化焼鈍等の熱処理に
よって硬さを低下させてから冷間鍛造を行うのが通常で
あった。しかしながら、熱処理によって硬さを低下させ
た後の素材を使用しても、その後の冷間鍛造条件によっ
ては十分な冷間鍛造性が確保できない場合があり、冷間
鍛造時に鍛造品に割れが発生したり、型寿命が短い等の
問題が発生していた。さらに冷間鍛造での加工度が大き
い場合には、これらの問題が一層顕著となるために冷間
鍛造工程間に中間熱処理を行うの通常であるが、それに
より生産性の低下あるいは熱処理コストの増加といった
問題も発生している。
【0005】またS15C等のC 含有量が比較的低い炭素鋼
を使用すれば、冷間鍛造性は改善され、これら問題の発
生を防ぐことができるが、部品として要求される強度の
確保が困難となり、さらに高周波焼入処理が必要な場合
の焼入硬さの確保も困難となる。そこで必要な部品強度
および高周波焼入硬さが確保でき、かつ冷間鍛造性の優
れた冷間鍛造用鋼の開発が強く望まれていた。
【0006】これらの課題を解決するために、これまで
に多くの研究開発が行われている。例えば、特開昭49-6
2318号、特開昭53-125216 号、特公平1-38847 号、特公
平5-57350 号、特公平5-76522 号、特公平7-45695 号、
特開平1-225750号、特開平2-特開平2-129341号、特開平
2-145744号、特開平2-274836号、特開平5-59486 号、特
開平7-97656 号、特開平7-242989号公報記載の発明が開
示されている。これら公報に記載の鋼は、主にSiおよび
Mnを低減して変形抵抗を低減させ、不純物として含有さ
れるS 、P 、N 、O 等を極力低減して変形能を向上させ
ることにより冷間鍛造性の向上を図ったものである。
【0007】さらに、SiおよびMnの低減により焼入性が
不足する場合があり、それに対して特公平5-57350 号、
特開平1-225750号ではCrを、特開昭53-125216 号、特公
平1-38847 号、特開平2-274836号、特公平7-45695 号で
はCr、B を、特開平2-145744号ではMoを、特開平2-1293
41号ではMo、B を、特開平5-59486 号ではCr、Mo、B
を、特開昭49-62318、特開平7-242989号ではNi、Cr、M
o、B を、特公平5-76522号、特開平7-97656 号ではCu、
Ni、Cr、Mo、B を添加して必要な焼入性を確保してい
る。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】前記公報に記載の発明
は、S45C等の中炭素鋼に比べて、優れた冷間鍛造性を有
しているが、例えば据込加工率が85% を超えるような大
変形冷間鍛造を考えると変形能の向上が十分とは言え
ず、鍛造割れの発生の懸念がある。また変形抵抗の低減
にはSiおよびMnの低減が有効であるが、いずれの元素も
鋼の製鋼時において脱酸補助材として有用な元素であ
る。したがって単なるSiおよびMnの低減は製鋼時におけ
る脱酸不良を招き、介在物が増加することにより変形能
が低下する可能性がある。
【0009】さらに中炭素鋼を冷間鍛造に使用する場合
には冷間鍛造性を向上させるために球状化焼鈍等の熱処
理が一般的に行われるが、これら球状化焼鈍された鋼は
高周波焼入における短時間の急速加熱では、均一なオー
ステナイト化が不十分となり、高周波焼入組織中にフェ
ライトあるいは炭化物が残存しやすい。そのためCu、N
i、Cr、Mo、B 等の添加により焼入性を向上させても、
それらの効果が十分に発揮されずに、所定の高周波焼入
硬さあるいは焼入深さが得られない可能性がある。
【0010】本発明は、変形抵抗および変形能に代表さ
れる冷間鍛造性を、S45C等の従来の構造用炭素鋼に比べ
て大幅に向上させ、例えば据込加工率が85% を超えるよ
うな大変形冷間鍛造をも可能とし、さらに良好な高周波
焼入性が確保できる冷間鍛造用鋼を提供することを目的
とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者らは前記目的の
下に、優れた冷間鍛造性と高周波焼入性の得られる鋼を
開発するため、鋭意研究を重ねた結果、以下の知見を得
ることにより本発明を完成した。
【0012】N は侵入型元素として鋼を強化すること
は、例えば「F. B. Pickering and T.Gladman:Iron and
Steel Inst. Spec. Rep., 81(1963),p.10」に示されて
いるように周知の事実であり、冷間鍛造性の改善のため
にN の低減が有効である。しかし通常の製鋼方法ではそ
の低減に限界があるため、鋼中のN を窒化物として固定
することにより固溶N を低減することが考えられる。窒
化物生成能力の高い元素としてTiあるいはZr等がある
が、これらの元素が炭化物生成能力も高いため、TiC あ
るいはZrC の生成による析出強化によりかえって、鋼を
強化してしまう恐れがあり、N 固定元素としては望まし
いとは言えない。それに対してAlは窒化物生成能力はTi
あるいはZr等に比べて劣るが、炭化物を生成しない特徴
がある。この窒化物生成能力を詳細に調査した結果、0.
10% を超えるAlの含有により固溶N を十分に固定され、
変形抵抗が低減されることを知見した。
【0013】またAlを0.10% を超えて添加することによ
り、SiおよびMnの低減による脱酸不足を補うばかりでな
く、通常のSiおよびMnを含有する鋼に比べても酸素量お
よび有害介在物が低減できる。このことにより変形能が
大幅に改善され、例えば据込加工率が85% を超えるよう
な大変形冷間鍛造も可能となる。
【0014】さらに0.10% を超えるAlの含有によって、
球状化焼鈍された鋼の高周波焼入の短時間加熱における
均一オーステナイト化が促進されることがわかった。こ
れについて詳細な機構は不明であるが、Alは炭化物の安
定度を低減する効果があるため、球状炭化物のオーステ
ナイト組織への固溶が容易となるためと推測される。
【0015】以上説明した新しい知見を得ることにより
完成した本発明鋼は、重量比にしてC:0.30% を超え0.65
% 以下、Si:0.15%未満、Mn: 0.50% 以下、P:0.030%以
下、S:0.035%以下、Al:0.10%を超え0.30% 以下、N:0.01
5%以下、O:0.003%以下を含有し、残部Feならびに不純物
元素からなることを特徴とする冷間鍛造用鋼であり、高
周波焼入性を改善するために、さらにCr:0.50%以下、M
o:0.13%以下、B:0.0100%以下の1種または2種以上を含
有させる。また冷鍛性を改善するために、さらにTi:0.0
5%以下、Zr:0.05%以下の1種または2種を含有させる。
また被削性を改善するために、さらにPb:0.15%以下、B
i:0.15%以下、Ca:0.01%以下の1種または2種以上を含
有させる。
【0016】以下に本発明の冷間鍛造用鋼における成分
組成限定理由について、以下に説明する。 C:0.30% を超え0.65% 以下 C は必要な強度および高周波焼入硬さを確保するために
必要な元素であり、0.30% を超える含有が必要である。
C 含有量の増加は冷間鍛造性を損なう恐れがあるが、さ
らに高い高周波焼入硬さが必要とされる場合は0.35% 以
上の含有が好ましい。しかし0.65% を超えて含有させる
と変形抵抗が増加しすぎて、前記した冷間鍛造性改善の
ための対策を行っても、冷間鍛造が困難になるため上限
を0.65% とした。高周波焼入硬さの必要性が小さい場合
は、0.60% 以下の含有が好ましい。
【0017】Si:0.15%未満 Siの低減は変形抵抗を低減することにより、冷間鍛造性
が向上するため、極力低減することが必要であり、0.15
% 未満とした。従来Siは脱酸補助元素としてある程度の
含有が必要であったが、本発明においては前記に述べた
ように、Alを多く含有するため、特に下限の限定はな
い。
【0018】Mn:0.50%以下 Mnの低減は変形抵抗を低減することにより、冷間鍛造性
が向上するため、極力低減することが必要であるが、焼
入性が低下するため必要に応じて調整する必要があるた
め、0.50% を上限とした。従来MnはSiと同様に脱酸補助
元素としてある程度の含有が必要であったが、本発明に
おいては前記に述べたように、Alを多く含有するため、
特に下限の限定はない。
【0019】P :0.030% 以下 P は不可避的に不純物として含有する元素であるが、微
量の含有によってフェライト硬さを増加させ、球状化焼
鈍硬さを高め、冷間鍛造性に悪影響を及ぼす元素であ
る。従って冷間鍛造性のみ考慮すれば極力低減すること
が好ましいが、極端な低減は製鋼コストの増加を招くた
め、工程能力を考慮して、上限を0.030%とした。好まし
くは0.015%以下とするのが良い。
【0020】S :0.035% 以下 S は不可避的に不純物として含有する元素であるが、Mn
S の介在物を生成し、それらが冷間鍛造割れの起点とな
ることにより、冷間鍛造性に悪影響を及ぼす。従って冷
間鍛造性のみ考慮すれば極力低減することが好ましい。
しかし、S は被削性の向上に対しては効果的な元素であ
り、極端な低減は被削性の悪化をもたらす恐れがあるた
め、上限を0.035%としたが、被削性があまり問題となら
ない場合は0.015%以下が好ましい。
【0021】Al:0.10%を超え、0.30% 以下 Alは前記に示したように、N 固定による変形抵抗の低
減、O および有害介在物の低減による変形能の向上およ
び高周波焼入時の炭化物のオーステナイトへの固溶促進
に効果のある元素である。その十分な効果を得るため
に、0.10% を超える含有が必要であるが、過剰の含有は
Alによる固溶強化が無視できなくなり、かえって変形抵
抗を増加させるため、上限を0.30% とした。
【0022】N :0.015% 以下 N は固溶N として存在すると球状化焼鈍硬さが増加し、
変形抵抗が大きくなるため少ない方が好ましい。本発明
においては所定のAlの含有により固溶N を窒化物として
固定しているため、N の極端な低減は不要であるが、N
含有量が過度に多いと窒化物として固定されない固溶N
の量が増加する恐れがあるため、0.015%を上限とした。
【0023】0 :0.003% 以下 O は不可避的に不純物として含有する元素であるが、微
量の含有によって酸化物系介在物を生成し、冷間鍛造性
に悪影響を及ぼす元素である。したがって冷間鍛造性を
確保するために極力低減することが必要であるが、製鋼
コストの上昇を招く恐れがあるため、0.003%を上限とし
た。冷間鍛造性のみを考慮するならば、さらに低減をは
かり0.002%以下が好ましい。なお、本発明においては所
定のAlを含有しているため通常の鋼に比べるとO の低減
は比較的容易となる。
【0024】Cr:0.50%以下 Crは焼入性向上に効果のある元素であるが、変形抵抗を
増加させ、また高周波焼入時の炭化物の固溶を阻害する
ため、可能な限り添加しないのが好ましい。しかしなが
ら、部品形状あるいは高周波焼入条件によっては焼入性
の向上が必要な場合があり、必要に応じて0.50% 以下の
範囲内で添加できるものとした。
【0025】Mo:0.13%以下 Moは焼入性向上に効果のある元素であるが、変形抵抗を
増加させ、また高周波焼入時の炭化物の固溶を阻害する
ため、可能な限り添加しないのが好ましい。しかしなが
ら、部品形状あるいは高周波焼入条件によっては焼入性
の向上が必要な場合があり、必要に応じて0.13% 以下の
範囲内で添加できるものとした。
【0026】B :0.0100%以下 B は焼入性向上に効果のあり、さらに過剰のB の含有は
固溶N の固定にも効果のある元素である。したがって焼
入性の向上あるいは冷間鍛造性の向上が必要な場合、0.
0100% 以下の範囲内で添加できるものとした。なお、0.
0100% を超えるB の含有は、B 炭素化合物を過剰に生成
し、かえって焼入性および冷間鍛造性を低下させる恐れ
があるため、0.0100% を上限とした。
【0027】Ti:0.05%以下 TiはN の固定に効果のある元素であるが、炭化物の析出
強化により冷間鍛造性を阻害するため、可能な限り添加
しないのが好ましい。しかしながら、N 固定効果を安定
させるために、必要に応じて0.05% 以下の範囲内で添加
できるものとした。
【0028】Zr:0.05%以下 ZrはN の固定に効果のある元素であるが、炭化物の析出
強化により冷間鍛造性を阻害するため、可能な限り添加
しないのが好ましい。しかしながら、N 固定効果を安定
させるために、必要に応じて0.05% 以下の範囲内で添加
できるものとした。
【0029】Pb:0.15%以下 Pbは被削性を向上させるのに効果のある元素であるが、
過度の添加は冷間鍛造性を損なう恐れがあり、可能な限
り添加しないのが好ましい。しかしながら、被削性の確
保が重要な場合も多々あることから、必要に応じて0.15
% 以下の範囲内で添加できるものとした。
【0030】Bi:0.15%以下 Biは被削性を向上させるのに効果のある元素であるが、
過度の添加は冷間鍛造性を損なう恐れがあり、可能な限
り添加しないのが好ましい。しかしながら、被削性の確
保が重要な場合も多々あることから、必要に応じて0.15
% 以下の範囲内で添加できるものとした。
【0031】Ca:0.01%以下 Caは被削性を向上させるのに効果のある元素であるが、
過度の添加は冷間鍛造性を損なう恐れがあり、可能な限
り添加しないのが好ましい。しかしながら、被削性の確
保が重要な場合も多々あることから、必要に応じて0.01
% 以下の範囲内で添加できるものとした。
【0032】
【発明の実施の形態】本発明の冷間鍛造用鋼は、所定量
の炭素を含有し、SiおよびMn含有量を低減することに加
えて、さらに所定量のAlの含有により、N 固定による変
形抵抗の低減、O および有害介在物の低減による変形能
の向上および高周波焼入時の炭化物のオーステナイトへ
の固溶を促進させることにより、従来鋼に比べ優れた冷
間鍛造性と高周波焼入性を得ることができる。以下に本
発明の冷間鍛造用鋼の特徴を比較鋼および従来鋼と比較
し、実施例でもって明らかにする。
【0033】
【実施例】以下に本発明の特徴を比較鋼および従来鋼と
比較し、実施例でもって明らかにする。表1は実施例に
用いた供試材の化学成分を示すものである。
【0034】
【表1】
【0035】表1に示した成分を有する鋼を電気炉にて
溶製し、熱間圧延によって直径38mmの丸棒を製造して、
供試材とした。表1に示す鋼のうち、1〜13鋼は本発明
鋼であり、14〜16鋼は一部の元素が本発明の条件を満足
しない比較鋼であり、17、18鋼は従来鋼であるS45Cおよ
びS55C相当鋼である。
【0036】表1に示す成分を有する直径38mmの丸棒を
740 ℃の温度で4時間加熱した後、640 ℃まで10℃/hr
の冷却速度で徐冷する球状化焼鈍を施し、冷間鍛造性、
高周波焼入性および被削性試験に供した。
【0037】冷間鍛造性試験は上記、球状化焼鈍を施し
た供試材より直径20mm、高さ40mmの丸棒形状の試験片W
1を機械加工し、図1(a)および(b)に示す要領
で、据込冷間鍛造(ダイス11、12からなる凹状の下
金型内へ試験片W1を上金型10にて加圧する)を行
い、試験材W2への変形に伴う変形荷重および割れ発生
限界加工率を求めた。なお試験片はボンデ処理を行い、
冷間鍛造には800T油圧鍛造プレス機を用いた。変形荷重
は据込加工率70% および90% における成形荷重を用い
た。
【0038】高周波焼入性試験は上記、球状化焼鈍を施
した供試材より直径18mm、高さ30mmの丸棒形状の試験片
を機械加工し、周波数100kHzにて定置焼入コイルを用い
て高周波焼入を行い、高周波焼入硬さおよび焼入深さを
求めた。高周波焼入は加熱電力を調整することにより、
熱影響深さを2.5mm および4mm とした2条件にて行っ
た。また高周波焼入硬さは表面から0.1mm 深さの硬さと
し、焼入深さはHV450 の硬さの得られる限界深さとし
た。
【0039】被削性試験は上記、球状化焼鈍を施した供
試材より、矩形断面の棒材を機械加工し、それらを厚さ
3mm の平板形状に据込冷間鍛造したものを試験片とし
て、ドリル切削を行い、その工具寿命を求めた。なお被
削性は硬さの影響を強く受けることから、いずれの供試
材もHV230 〜270 の硬さ範囲に入るように、供試材に応
じて矩形断面の形状を種々変化させることにより据込加
工率を変化させて、硬さを調整した。被削性試験にはSK
H51 製の3mm φストレートドリルを用い、厚さ3mmの平
板に貫通穴を明け、ドリル刃先の摩耗量が0.2mm に達す
るまでの穴明け数を工具寿命とした。各供試材の性能評
価結果を表2に示す。
【0040】
【表2】
【0041】表2に示すように、本発明鋼である1、2
鋼および4〜13鋼は同一炭素量の従来鋼である17鋼に比
べて、あるいは本発明鋼である3鋼は同一炭素量の従来
鋼で18鋼に比べて変形荷重が低減しており、また割れ発
生限界加工率が著しく改善している。特に本発明鋼の割
れ発生限界加工率は92% 以上の特性を示しており、例え
ば据込加工率が85% を超えるような大変形冷間鍛造も可
能となることがわかる。さらにTiあるいはZrにてN 固定
効果を安定させ7〜9鋼および13鋼は、他の発明鋼に比
べて、特に加工率90% における変形荷重の低減に効果が
見られる。また従来鋼においては変形荷重測定時に変形
能の不足により割れが発生するものがあったが、比較の
ためそのまま変形荷重とした。
【0042】Al含有量が低い比較鋼14鋼は、本発明鋼と
同様にSi、Mn等を低減しているためため従来鋼17鋼に比
べて、冷間鍛造性は向上しているものの、N 固定効果が
不足しているため、本発明鋼(炭素量の異なる3鋼を除
く)に比べると、変形荷重が増加し、また割れ発生限界
加工率が低い。Al含有量が過剰である比較鋼15鋼はAlの
固溶強化が顕著となり、本発明鋼(炭素量の異なる3鋼
を除く)に比べると、変形荷重が増加し、また割れ発生
限界加工率が低い。すなわち優れた冷間鍛造性を得るた
めには、Al含有量を本発明の請求範囲に限定する必要が
あることがわかる。
【0043】高周波焼入硬さは、本発明鋼である1、2
鋼および4〜13鋼は同一炭素量の従来鋼である17鋼に比
べて、あるいは本発明鋼である3鋼は同一炭素量の従来
鋼で18鋼に比べて同等の値が得られており、また熱影響
深さ2.5mm の焼入条件においては同等の焼入深さが得ら
れている。部品によってはさらに深い高周波焼入深さが
要求される場合があるため熱影響深さ4 mmの焼入条件で
の評価も実施したが、焼入性向上元素であるCr、Moある
いはB を含有する本発明鋼4〜6鋼、8鋼、9鋼および
11〜13鋼は、冷間鍛造性を損なうことなく高周波焼入性
が改善され、従来鋼17鋼と同等の焼入深さが得られてい
る。
【0044】比較鋼14鋼はAl含有量が低いため、高周波
焼入時の炭化物のオーステナイトへの固溶が不十分であ
り、本発明鋼(炭素量の異なる3鋼を除く)に比べると
高周波焼入硬さおよび高周波焼入深さが低下している。
比較鋼16鋼はC 含有量が低いため、高周波焼入硬さがHV
600 以下となっており、通常の高周波焼入れ部品に要求
される硬さが満足できない。
【0045】また、被削性についても被削性元素を添加
した10〜13鋼は、1 〜3 鋼に比べると冷間鍛造性を損な
うことなく、優れた被削性を示すことが確認できた。
【0046】
【発明の効果】本発明は、変形抵抗および変形能に代表
される冷間鍛造性を、S45C等の従来の構造用炭素鋼に比
べて大幅に向上させ、例えば据込加工率が85% を超える
ような大変形冷間鍛造をも可能とし、さらに良好な高周
波焼入性が確保できる冷間鍛造用鋼を提供するものであ
り、金型寿命の向上、仕掛プレスの小型化等による冷間
鍛造部品のコスト低減、および部品成形限界の拡大によ
る冷間鍛造部品のネットシェイプ化に大きく貢献するも
ので、工業的意義の大きいものである。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成8年12月20日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】図面の簡単な説明
【補正方法】追加
【補正内容】
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る据込冷間鍛造工程の金型および
試験材の関係を示す断面図である。
【符号の説明】 W1、W2:試験材、 10:上金型、 11、12:ダイス

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重量比にして、C:0.30% を超え0.65% 以
    下、Si:0.15%未満、Mn: 0.50% 以下、P:0.030%以下、S:
    0.035%以下、Al:0.10%を超え0.3%以下、N:0.015%以下、
    O:0.003%以下を含有し、残部がFe及び不純物元素からな
    ることを特徴とする冷間鍛造用鋼。
  2. 【請求項2】 重量比にして、C:0.30% を超え0.65% 以
    下、Si:0.15%未満、Mn: 0.50% 以下、P:0.030%以下、S:
    0.035%以下、Al:0.10%を超え0.3%以下、N:0.015%以下、
    O:0.003%以下と、Cr:0.50%以下、Mo:0.13%以下、B:0.01
    00% 以下の1種または2種以上を含有し、残部がFe及び
    不純物元素からなることを特徴とする冷間鍛造用鋼。
  3. 【請求項3】 重量比にして、C:0.30% を超え0.65% 以
    下、Si:0.15%未満、Mn: 0.50% 以下、P:0.030%以下、S:
    0.035%以下、Al:0.10%を超え0.3%以下、N:0.015%以下、
    O:0.003%以下と、Ti:0.05%以下、Zr:0.05%以下の1種ま
    たは2種を含有し、残部がFe及び不純物元素からなるこ
    とを特徴とする冷間鍛造用鋼。
  4. 【請求項4】 重量比にして、C:0.30% を超え0.65% 以
    下、Si:0.15%未満、Mn: 0.50% 以下、P:0.030%以下、S:
    0.035%以下、Al:0.10%を超え0.3%以下、N:0.015%以下、
    O:0.003%以下と、Cr:0.50%以下、Mo:0.13%以下、B:0.01
    00% 以下の1種または2種以上と、さらにTi:0.05%以
    下、Zr:0.05%以下の1種または2種を含有し、残部がFe
    及び不純物元素からなることを特徴とする冷間鍛造用
    鋼。
  5. 【請求項5】 請求項1〜4のいづれか1つにおいて、
    重量比にして、さらにPb:0.15%以下、Bi:0.15%以下、C
    a:0.01%以下の1種または2種以上を含有し、残部がFe
    及び不純物元素からなることを特徴とする冷間鍛造用
    鋼。
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