JPH10130677A - 電気粘性流体用炭素質微粉末 - Google Patents
電気粘性流体用炭素質微粉末Info
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- JPH10130677A JPH10130677A JP8302514A JP30251496A JPH10130677A JP H10130677 A JPH10130677 A JP H10130677A JP 8302514 A JP8302514 A JP 8302514A JP 30251496 A JP30251496 A JP 30251496A JP H10130677 A JPH10130677 A JP H10130677A
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- Japan
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- electrorheological fluid
- carbon black
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 初期粘度が低く、印加電圧に対する優れた粘
性応答性と長期間の分散安定性を有する電気粘性流体用
炭素質微粉末を提供する。 【解決手段】 表面に電気絶縁性樹脂層を被覆形成した
カーボンブラックであって、アグリゲートのストークス
平均モード径が170nm以下、比誘電率が3.0以上、
電気比抵抗が15Ωcm以上の性状を有する電気粘性流体
用炭素質微粉末。好ましくは電気絶縁層の膜厚は0.5
〜2.5nmである。また、カーボンブラックは湿式酸化
処理したものであり、水分含有量が1wt%以下とするこ
とが好ましい。
性応答性と長期間の分散安定性を有する電気粘性流体用
炭素質微粉末を提供する。 【解決手段】 表面に電気絶縁性樹脂層を被覆形成した
カーボンブラックであって、アグリゲートのストークス
平均モード径が170nm以下、比誘電率が3.0以上、
電気比抵抗が15Ωcm以上の性状を有する電気粘性流体
用炭素質微粉末。好ましくは電気絶縁層の膜厚は0.5
〜2.5nmである。また、カーボンブラックは湿式酸化
処理したものであり、水分含有量が1wt%以下とするこ
とが好ましい。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、電気粘性流体の分散相
を形成する固体微粒子として用いられる炭素質微粉末で
あって、初期粘度が低く、印加電圧に対する優れた粘性
応答性と長期間に亘り安定した分散性を有する電気粘性
流体用炭素質微粉末に関する。
を形成する固体微粒子として用いられる炭素質微粉末で
あって、初期粘度が低く、印加電圧に対する優れた粘性
応答性と長期間に亘り安定した分散性を有する電気粘性
流体用炭素質微粉末に関する。
【0002】
【従来の技術】電気粘性流体は、誘電体微粒子を電気絶
縁性に優れる流体中に分散させて、電圧の印加により流
体の見掛け粘度が増大し、かつ可逆的に変化する独特の
電気粘性効果を示す流体である。このため、例えばダン
パー、ショックアブソーバー、エンジンマウント等のエ
ネルギー吸収材や防振材などとしての有用性が期待され
ている。
縁性に優れる流体中に分散させて、電圧の印加により流
体の見掛け粘度が増大し、かつ可逆的に変化する独特の
電気粘性効果を示す流体である。このため、例えばダン
パー、ショックアブソーバー、エンジンマウント等のエ
ネルギー吸収材や防振材などとしての有用性が期待され
ている。
【0003】従来、電気粘性流体の分散相を構成する固
体微粒子としては、セルロース、デンプン、シリカゲ
ル、イオン交換樹脂などが用いられており、これらを使
用した電気粘性流体は特開昭57−47234号公報、
特開昭61−259752号公報、特開平1−2073
95号公報等に開示されている。また、特開昭63−9
7694号公報には、前記のような固体微粒子の表面を
高分子物質で被覆する方法が記載されている。ところ
が、これらの固体微粒子は親水性である関係で、水分の
吸着により経時的に性能安定性が低下したり、温度によ
り特性変化を生じるなど実用面での問題が多い。
体微粒子としては、セルロース、デンプン、シリカゲ
ル、イオン交換樹脂などが用いられており、これらを使
用した電気粘性流体は特開昭57−47234号公報、
特開昭61−259752号公報、特開平1−2073
95号公報等に開示されている。また、特開昭63−9
7694号公報には、前記のような固体微粒子の表面を
高分子物質で被覆する方法が記載されている。ところ
が、これらの固体微粒子は親水性である関係で、水分の
吸着により経時的に性能安定性が低下したり、温度によ
り特性変化を生じるなど実用面での問題が多い。
【0004】こうした観点から、水分を含まない非親水
性の固体微粒子として炭素質粉末が注目されている。例
えば特開平3−47896号公報には電気絶縁性物質を
被覆して導電率を調整した炭素粉末が、特開平5−70
116号公報や特開平5−193919号公報にはター
ルや樹脂類のような原料を熱処理した特定のC/H比範
囲の炭素粉を低い酸素濃度ならびに水分濃度の雰囲気中
で粉砕、分級して得た炭素粉末またはこれを表面酸化し
た炭素粉末が、特開平5−186786号公報には炭素
質物質を繊維化後粉砕等の方法により得られる形状異方
性を有するカーボン質物質が、また特開平5−1939
19公報には石炭系または石油系のタール、ピッチ等を
焼成炭化して得られる炭素質粉末を湿式酸化処理する電
気粘性流体用炭素質粉末の製造方法が、それぞれ開示さ
れている。
性の固体微粒子として炭素質粉末が注目されている。例
えば特開平3−47896号公報には電気絶縁性物質を
被覆して導電率を調整した炭素粉末が、特開平5−70
116号公報や特開平5−193919号公報にはター
ルや樹脂類のような原料を熱処理した特定のC/H比範
囲の炭素粉を低い酸素濃度ならびに水分濃度の雰囲気中
で粉砕、分級して得た炭素粉末またはこれを表面酸化し
た炭素粉末が、特開平5−186786号公報には炭素
質物質を繊維化後粉砕等の方法により得られる形状異方
性を有するカーボン質物質が、また特開平5−1939
19公報には石炭系または石油系のタール、ピッチ等を
焼成炭化して得られる炭素質粉末を湿式酸化処理する電
気粘性流体用炭素質粉末の製造方法が、それぞれ開示さ
れている。
【0005】しかしながら、タール、ピッチ、樹脂など
の焼成炭化や炭素質物質の繊維化は組織変動の機構が非
常に複雑で、処理過程で電気比抵抗の調整をおこなうに
は厳密な制御を必要とするばかりでなく、粘性流体に安
定に分散させるための均一な微粒子を得るための工程負
担が少なくない。
の焼成炭化や炭素質物質の繊維化は組織変動の機構が非
常に複雑で、処理過程で電気比抵抗の調整をおこなうに
は厳密な制御を必要とするばかりでなく、粘性流体に安
定に分散させるための均一な微粒子を得るための工程負
担が少なくない。
【0006】本出願人は、このような問題点を解消した
新規の電気粘性流体用炭素質微粉として、電気比抵抗が
10〜108 Ωcmで、炭素含有率が99重量%以上の性
状を備えるカーボンクラスターを含むアモルファス質の
スート状微粉末、およびその製造技術として、炭素材料
を不活性雰囲気により20〜500Torrの圧力に保持さ
れた系内で加熱気化させ、気化した炭素蒸気を急速に冷
却再凝固する方法を先に提案した(特開平7−166183号
公報)。
新規の電気粘性流体用炭素質微粉として、電気比抵抗が
10〜108 Ωcmで、炭素含有率が99重量%以上の性
状を備えるカーボンクラスターを含むアモルファス質の
スート状微粉末、およびその製造技術として、炭素材料
を不活性雰囲気により20〜500Torrの圧力に保持さ
れた系内で加熱気化させ、気化した炭素蒸気を急速に冷
却再凝固する方法を先に提案した(特開平7−166183号
公報)。
【0007】更に、この特開平7−166183号公報
の技術を改良して、電気比抵抗が10〜108 Ωcmで、
炭素含有量が99重量%以上のフラーレン含有スート微
粉末を基材とし、該基材の表面に膜厚0.5〜2.5nm
の電気絶縁性樹脂層を被覆形成した電気粘性流体用炭素
微粉、および上記フラーレン含有スートを湿式酸化して
酸素含有率を20重量%まで増大させた微粉末を基材と
し、該基材の表面に膜厚0.5〜2.5nmの電気絶縁性
樹脂層を被覆形成した電気粘性流体用炭素微粉を開発
し、特願平7−120548号として提案した。
の技術を改良して、電気比抵抗が10〜108 Ωcmで、
炭素含有量が99重量%以上のフラーレン含有スート微
粉末を基材とし、該基材の表面に膜厚0.5〜2.5nm
の電気絶縁性樹脂層を被覆形成した電気粘性流体用炭素
微粉、および上記フラーレン含有スートを湿式酸化して
酸素含有率を20重量%まで増大させた微粉末を基材と
し、該基材の表面に膜厚0.5〜2.5nmの電気絶縁性
樹脂層を被覆形成した電気粘性流体用炭素微粉を開発
し、特願平7−120548号として提案した。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、フラー
レン含有スートは、炭素質材料をヘリウム等の不活性雰
囲気中で20〜500Torrの圧力に保持された系内で加
熱気化させ、気化した炭素蒸気を急速に冷却再凝固する
ことによって製造され、炭素質材料の気化は抵抗加熱
法、レーザー加熱法、アーク加熱法、高周波プラズマ
法、プラズマジェット法などの加熱手段により4000
℃以上の高温域で行われる。したがって、製造方法が装
置的、操作的に煩雑であり、製造コストも高くなる欠点
がある。
レン含有スートは、炭素質材料をヘリウム等の不活性雰
囲気中で20〜500Torrの圧力に保持された系内で加
熱気化させ、気化した炭素蒸気を急速に冷却再凝固する
ことによって製造され、炭素質材料の気化は抵抗加熱
法、レーザー加熱法、アーク加熱法、高周波プラズマ
法、プラズマジェット法などの加熱手段により4000
℃以上の高温域で行われる。したがって、製造方法が装
置的、操作的に煩雑であり、製造コストも高くなる欠点
がある。
【0009】そこで、本発明者は炭素質材料として安価
なカーボンブラックに着目し、電気粘性流体の分散粒子
として好適なカーボンブラックの特性性状について研究
を重ねた結果、カーボンブラックの比誘電率、電気比抵
抗、アグリゲートのストークス平均モード径などを特定
範囲に設定し、更にその表面に電気絶縁性の樹脂被覆層
の薄膜を被覆形成すると、長期に亘って分散安定性に優
れた電気粘性流体が得られることを見出した。
なカーボンブラックに着目し、電気粘性流体の分散粒子
として好適なカーボンブラックの特性性状について研究
を重ねた結果、カーボンブラックの比誘電率、電気比抵
抗、アグリゲートのストークス平均モード径などを特定
範囲に設定し、更にその表面に電気絶縁性の樹脂被覆層
の薄膜を被覆形成すると、長期に亘って分散安定性に優
れた電気粘性流体が得られることを見出した。
【0010】本発明はこの知見に基づいて開発されたも
ので、その目的とするところは、分散安定性や印加電圧
に対する粘性応答性に優れ、安価で容易な手段で得るこ
とのできる電気粘性流体用炭素質微粉末を提供すること
にある。
ので、その目的とするところは、分散安定性や印加電圧
に対する粘性応答性に優れ、安価で容易な手段で得るこ
とのできる電気粘性流体用炭素質微粉末を提供すること
にある。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めの本発明による電気粘性流体用炭素質微粉末は、表面
に電気絶縁性樹脂層を被覆形成したカーボンブラックで
あって、アグリゲートのストークス平均モード径が17
0nm以下、比誘電率が3.0以上、電気比抵抗が15Ω
cm以上の性状を有することを構成上の特徴とする。
めの本発明による電気粘性流体用炭素質微粉末は、表面
に電気絶縁性樹脂層を被覆形成したカーボンブラックで
あって、アグリゲートのストークス平均モード径が17
0nm以下、比誘電率が3.0以上、電気比抵抗が15Ω
cm以上の性状を有することを構成上の特徴とする。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明で対象とする炭素質微粉末
原料としては、ファーネスブラックをはじめサーマルブ
ラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック、ラ
ンプブラックなどのカーボンブラックに電気絶縁性樹脂
層を被覆形成したものを用いることができる。
原料としては、ファーネスブラックをはじめサーマルブ
ラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック、ラ
ンプブラックなどのカーボンブラックに電気絶縁性樹脂
層を被覆形成したものを用いることができる。
【0013】アグリゲートのストークス平均モード径
は、表面に電気絶縁性樹脂層を被覆形成したカーボンブ
ラックの粒子が凝集した粒子凝集体(アグリゲート)の
大きさを示すもので、ディスク・セントリフュージ装置
(Joyce Lobel 社製)に表面に電気絶縁性樹脂層を被覆
形成したカーボンブラック分散液を注入し、遠心沈降さ
せて光学的に凝集体のストークス相当径の分布曲線を作
成し、得られた分布曲線における最大頻度のストークス
相当径から、アグリゲートのストークス平均モード径が
求められる。この値が170nmを越えるとアグリゲート
が大きいために分散媒中において表面に電気絶縁性樹脂
層を被覆形成したカーボンブラックの沈降速度が早くな
り、電気粘性流体として長期間に亘って安定な分散状態
を維持することができなくなる。
は、表面に電気絶縁性樹脂層を被覆形成したカーボンブ
ラックの粒子が凝集した粒子凝集体(アグリゲート)の
大きさを示すもので、ディスク・セントリフュージ装置
(Joyce Lobel 社製)に表面に電気絶縁性樹脂層を被覆
形成したカーボンブラック分散液を注入し、遠心沈降さ
せて光学的に凝集体のストークス相当径の分布曲線を作
成し、得られた分布曲線における最大頻度のストークス
相当径から、アグリゲートのストークス平均モード径が
求められる。この値が170nmを越えるとアグリゲート
が大きいために分散媒中において表面に電気絶縁性樹脂
層を被覆形成したカーボンブラックの沈降速度が早くな
り、電気粘性流体として長期間に亘って安定な分散状態
を維持することができなくなる。
【0014】本発明で用いる表面に電気絶縁性樹脂層を
被覆形成したカーボンブラックは上記のアグリゲート特
性に加えて、比誘電率が3.0以上、電気比抵抗が15
Ωcm以上の電気的特性を備えたものが用いられる。比誘
電率が3.0を下回ると誘電分極が小さいために、電場
を印加した場合に表面に電気絶縁性樹脂層を被覆形成し
たカーボンブラック凝集体相互の電気的引力による繋が
りが小さくなり、充分な電気粘性効果を得ることができ
ない。また電気比抵抗が15Ωcm未満では電場印加時に
流れる電流が大きくなるために、エネルギー効率の低下
を招くこととなるためである。好ましくは、比誘電率は
3.0〜6.0、電気比抵抗は15〜10000Ωcmの
範囲に設定される。
被覆形成したカーボンブラックは上記のアグリゲート特
性に加えて、比誘電率が3.0以上、電気比抵抗が15
Ωcm以上の電気的特性を備えたものが用いられる。比誘
電率が3.0を下回ると誘電分極が小さいために、電場
を印加した場合に表面に電気絶縁性樹脂層を被覆形成し
たカーボンブラック凝集体相互の電気的引力による繋が
りが小さくなり、充分な電気粘性効果を得ることができ
ない。また電気比抵抗が15Ωcm未満では電場印加時に
流れる電流が大きくなるために、エネルギー効率の低下
を招くこととなるためである。好ましくは、比誘電率は
3.0〜6.0、電気比抵抗は15〜10000Ωcmの
範囲に設定される。
【0015】また、電気絶縁性樹脂層を被覆形成前のカ
ーボンブラックは、湿式酸化法により表面を適宜に酸化
処理して比表面積を1.5〜5.0倍にすることが好ま
しく、電気絶縁性樹脂層とカーボンブラックとの接合を
強固に保つことができる。湿式酸化は硝酸酸化、過酸化
水素酸化などによる公知の酸化方法が適用され、誘電
率、電気比抵抗は酸化剤の種類、濃度、および酸化処理
温度や時間を適宜設定することにより調整することがで
きる。湿式酸化処理は、硝酸水溶液や過酸化水素水溶液
などの液中にカーボンブラックを入れて撹拌混合し、常
温から120℃の温度において所定時間処理したのち、
濾過分離して充分に水洗、乾燥し、ついで適宜な粒度に
粉砕処理することにより行われる。この酸化処理は湿式
法で行うことが必要であり、空気酸化やオゾン酸化など
の乾式酸化法ではカーボンブラック粒子表面が局部的に
エッチングされて細孔が形成され、電気絶縁性樹脂が浸
透しないためカーボンブラックとの接合が低下すること
となる。
ーボンブラックは、湿式酸化法により表面を適宜に酸化
処理して比表面積を1.5〜5.0倍にすることが好ま
しく、電気絶縁性樹脂層とカーボンブラックとの接合を
強固に保つことができる。湿式酸化は硝酸酸化、過酸化
水素酸化などによる公知の酸化方法が適用され、誘電
率、電気比抵抗は酸化剤の種類、濃度、および酸化処理
温度や時間を適宜設定することにより調整することがで
きる。湿式酸化処理は、硝酸水溶液や過酸化水素水溶液
などの液中にカーボンブラックを入れて撹拌混合し、常
温から120℃の温度において所定時間処理したのち、
濾過分離して充分に水洗、乾燥し、ついで適宜な粒度に
粉砕処理することにより行われる。この酸化処理は湿式
法で行うことが必要であり、空気酸化やオゾン酸化など
の乾式酸化法ではカーボンブラック粒子表面が局部的に
エッチングされて細孔が形成され、電気絶縁性樹脂が浸
透しないためカーボンブラックとの接合が低下すること
となる。
【0016】カーボンブラックに被覆する樹脂の種類は
電気絶縁性であれば特に限定されないが、被覆処理が容
易で密着性に優れた被覆層を形成することのできる例え
ばフェノール系樹脂、エポキシ系樹脂、フッ素系樹脂な
どが好適に用いられる。カーボンブラック表面に被覆さ
れた電気絶縁性樹脂層によりカーボンブラックの電気的
性状を調整することができ、分散粒子の分極すなわち静
電引力を制御することができ、電気粘性流体として印加
電圧に対する粘性応答性を向上することが可能となる。
電気絶縁性であれば特に限定されないが、被覆処理が容
易で密着性に優れた被覆層を形成することのできる例え
ばフェノール系樹脂、エポキシ系樹脂、フッ素系樹脂な
どが好適に用いられる。カーボンブラック表面に被覆さ
れた電気絶縁性樹脂層によりカーボンブラックの電気的
性状を調整することができ、分散粒子の分極すなわち静
電引力を制御することができ、電気粘性流体として印加
電圧に対する粘性応答性を向上することが可能となる。
【0017】この電気絶縁性樹脂層の膜厚は0.5〜
2.5nmの範囲に設定することが好ましい。膜厚が0.
5nm未満では印加電圧に対する増粘性効果が不充分であ
り、一方膜厚が2.5nmを越えると被覆層の不均一化が
大きくなって電気粘性流体として安定性が損なわれ、更
に被覆層の形成時にカーボンブラック微粉末が二次粒子
を形成して粗大化し易くなるためである。
2.5nmの範囲に設定することが好ましい。膜厚が0.
5nm未満では印加電圧に対する増粘性効果が不充分であ
り、一方膜厚が2.5nmを越えると被覆層の不均一化が
大きくなって電気粘性流体として安定性が損なわれ、更
に被覆層の形成時にカーボンブラック微粉末が二次粒子
を形成して粗大化し易くなるためである。
【0018】これらの電気的特性を備えた表面に電気絶
縁性樹脂層を被覆形成したカーボンブラックは、水分含
有量が1wt%以下であることが好ましい。電気粘性流体
中の分散粒子に含まれる水分によって温度変化に対する
電気粘性特性の安定性が保持できなくなり、また長期間
に亘って使用した場合には水分が遊離水となり、電気粘
性特性の低下を招くためである。
縁性樹脂層を被覆形成したカーボンブラックは、水分含
有量が1wt%以下であることが好ましい。電気粘性流体
中の分散粒子に含まれる水分によって温度変化に対する
電気粘性特性の安定性が保持できなくなり、また長期間
に亘って使用した場合には水分が遊離水となり、電気粘
性特性の低下を招くためである。
【0019】
【実施例】以下、本発明の実施例を比較例と対比して具
体的に説明する。
体的に説明する。
【0020】実施例1〜3 アグリゲートのストークス平均モード径、比誘電率およ
び電気比抵抗の異なるカーボンブラックを、フェノール
樹脂〔群栄化学(株)製“レジトップPRG-4508”〕をエ
タノールに1wt%の濃度で分散した溶液中に浸漬し、充
分に撹拌混合したのち、室温での粘度0.15ポイズの
電気絶縁性油状媒体〔出光興産(株)製“ダフニースー
パーハイドロLW”〕にカーボンブラックが10wt%と
なるように加え、180℃の温度で2時間加熱処理して
異なる膜厚のフェノール樹脂層を被覆形成させたカーボ
ンブラックの分散した電気粘性流体を作製した。ここで
形成するフェノール樹脂層の膜厚はカーボンブラック1
g 当たりの樹脂量として、次式にしたがって調整した。 樹脂量=窒素比表面積×膜厚×樹脂の比重 なお、樹脂層を被覆形成したカーボンブラックの各特性
は、濾過により電気絶縁油中より分離したのち、樹脂を
溶解しない有機溶媒(クロロホルム)にて洗浄し、乾燥
して下記〜の方法により測定し、また水分量は電気
絶縁性油との混合物をそのままの方法により測定し
た。 ストークス平均モード径:ディスク・セントリフュー
ジ装置(Joyce Lobel 社製)により測定した。 比誘電率:カーボンブラック粉末のペレットを作成
後、LCRメーター(HEWLETT.PACKARD 社製)により静
電容量を測定して、比誘電率を算出した。 電気比抵抗:JIS K1469「アセチレンブラッ
クの電気抵抗率測定法」に準拠して測定した。 樹脂被覆層厚さ:透過型電子顕微鏡により観察した。 電気粘性流体の水分量:JIS K2275「水分試
験方法」に準拠して測定した。
び電気比抵抗の異なるカーボンブラックを、フェノール
樹脂〔群栄化学(株)製“レジトップPRG-4508”〕をエ
タノールに1wt%の濃度で分散した溶液中に浸漬し、充
分に撹拌混合したのち、室温での粘度0.15ポイズの
電気絶縁性油状媒体〔出光興産(株)製“ダフニースー
パーハイドロLW”〕にカーボンブラックが10wt%と
なるように加え、180℃の温度で2時間加熱処理して
異なる膜厚のフェノール樹脂層を被覆形成させたカーボ
ンブラックの分散した電気粘性流体を作製した。ここで
形成するフェノール樹脂層の膜厚はカーボンブラック1
g 当たりの樹脂量として、次式にしたがって調整した。 樹脂量=窒素比表面積×膜厚×樹脂の比重 なお、樹脂層を被覆形成したカーボンブラックの各特性
は、濾過により電気絶縁油中より分離したのち、樹脂を
溶解しない有機溶媒(クロロホルム)にて洗浄し、乾燥
して下記〜の方法により測定し、また水分量は電気
絶縁性油との混合物をそのままの方法により測定し
た。 ストークス平均モード径:ディスク・セントリフュー
ジ装置(Joyce Lobel 社製)により測定した。 比誘電率:カーボンブラック粉末のペレットを作成
後、LCRメーター(HEWLETT.PACKARD 社製)により静
電容量を測定して、比誘電率を算出した。 電気比抵抗:JIS K1469「アセチレンブラッ
クの電気抵抗率測定法」に準拠して測定した。 樹脂被覆層厚さ:透過型電子顕微鏡により観察した。 電気粘性流体の水分量:JIS K2275「水分試
験方法」に準拠して測定した。
【0021】この電気粘性流体に室温で2kV/mm の電圧
をかけ、流体の粘性変化と流体中を流れる電流値を測定
し、電気粘性流体としての性能を評価した。さらに、5
0日経過後の分散状態を観察した。なお、粘度の測定に
は二重円筒型回転粘度計を使用し、電極間に直流電流を
印加したときの粘度を計測した。得られた評価結果を表
1に示した。
をかけ、流体の粘性変化と流体中を流れる電流値を測定
し、電気粘性流体としての性能を評価した。さらに、5
0日経過後の分散状態を観察した。なお、粘度の測定に
は二重円筒型回転粘度計を使用し、電極間に直流電流を
印加したときの粘度を計測した。得られた評価結果を表
1に示した。
【0022】実施例4〜6 実施例1〜3と同一のカーボンブラックを濃度66%の
硝酸水溶液中に入れて常温で24時間撹拌処理して湿式
酸化処理したのち、濾過し、充分に水洗後、温度120
℃で乾燥し、粉砕してカーボンブラック微粉末試料を調
製した。このカーボンブラック微粉末を実施例1〜3と
同一の方法により電気粘性流体の作製、および性能評価
を行った。得られた結果を表1に併載した。
硝酸水溶液中に入れて常温で24時間撹拌処理して湿式
酸化処理したのち、濾過し、充分に水洗後、温度120
℃で乾燥し、粉砕してカーボンブラック微粉末試料を調
製した。このカーボンブラック微粉末を実施例1〜3と
同一の方法により電気粘性流体の作製、および性能評価
を行った。得られた結果を表1に併載した。
【0023】実施例7 実施例6の電気粘性流体に水分を添加して、水分含有量
1.0wt%の電気粘性流体を作製して、実施例1〜6と
同一の方法で電気粘性流体としての性能を評価し、その
結果を表1に併載した。
1.0wt%の電気粘性流体を作製して、実施例1〜6と
同一の方法で電気粘性流体としての性能を評価し、その
結果を表1に併載した。
【0024】比較例1〜4 実施例1、3、4、6のカーボンブラックに樹脂層を被
覆形成せずに、実施例と同一の方法により室温粘度が
0.15ポイズの電気絶縁性油状媒体〔出光興産(株)
製“ダフニースーパーハイドロLW”〕に10重量%の
割合で均一に分散させて電気粘性流体を作製した。この
電気粘性流体について、実施例と同一の方法により電気
粘性流体としての性能を評価して、その結果を表2に示
した。
覆形成せずに、実施例と同一の方法により室温粘度が
0.15ポイズの電気絶縁性油状媒体〔出光興産(株)
製“ダフニースーパーハイドロLW”〕に10重量%の
割合で均一に分散させて電気粘性流体を作製した。この
電気粘性流体について、実施例と同一の方法により電気
粘性流体としての性能を評価して、その結果を表2に示
した。
【0025】比較例5 カーボンブラックに被覆した樹脂層の厚さを3nmとした
以外は実施例6と同一の電気粘性流体を作製して、実施
例1〜6と同一の方法で電気粘性流体としての性能を評
価し、その結果を表2に併載した。
以外は実施例6と同一の電気粘性流体を作製して、実施
例1〜6と同一の方法で電気粘性流体としての性能を評
価し、その結果を表2に併載した。
【0026】比較例6 アグリゲートのストークス平均モード径が異なるカーボ
ンブラックを実施例4〜6と同一の方法により電気粘性
流体を作製し、実施例1〜6と同一の方法で電気粘性流
体としての性能を評価し、その結果を表2に併載した。
ンブラックを実施例4〜6と同一の方法により電気粘性
流体を作製し、実施例1〜6と同一の方法で電気粘性流
体としての性能を評価し、その結果を表2に併載した。
【0027】比較例7 実施例6の電気粘性流体に水分を添加して、水分含有量
1.8wt%の電気粘性流体を作製し、実施例1〜6と同
一の方法で電気粘性流体としての性能を評価して、その
結果を表2に併載した。
1.8wt%の電気粘性流体を作製し、実施例1〜6と同
一の方法で電気粘性流体としての性能を評価して、その
結果を表2に併載した。
【0028】
【表1】
【0029】
【表2】 (表注) *1 電流値が2mA を越えたため測定不能
【0030】表1、2の結果から、本発明の要件を具備
するカーボンブラック微粉末を用いて作製した実施例の
電気粘性流体は、電圧印加後の粘度の変化が大きく粘性
応答性に優れており、また流体中を流れる電流も安定し
た低電流であることが判る。更に50日経過後において
も粘度の変化は極めて僅かであり、長期に亘る分散安定
性に優れていることが判る。なお、水分含有量の多い実
施例7では50日経過後に、若干の粘度変化(低下)が
認められた。これに対して電気絶縁性樹脂層を被覆形成
しない比較例の電気粘性流体は、粘性応答性や分散安定
性が低いことが判明する。例えば、比較例1、2の比誘
電率および電気比抵抗が低い場合には、電圧印加時の粘
度変化が少なく、粘性応答性に劣る。また、電気絶縁性
樹脂層を被覆形成していない比較例3、4でも粘性応答
性に劣る。更に、電気絶縁性樹脂層が厚い比較例5では
粒子径が大きいために、またアグリゲートのストークス
平均モード径が大きい比較例6でも、分散安定性が不充
分となり長期に亘る分散安定性が得られない。更に、含
有水分量の多い比較例6では50日経過後に著しい粘度
変化(低下)が認められた。
するカーボンブラック微粉末を用いて作製した実施例の
電気粘性流体は、電圧印加後の粘度の変化が大きく粘性
応答性に優れており、また流体中を流れる電流も安定し
た低電流であることが判る。更に50日経過後において
も粘度の変化は極めて僅かであり、長期に亘る分散安定
性に優れていることが判る。なお、水分含有量の多い実
施例7では50日経過後に、若干の粘度変化(低下)が
認められた。これに対して電気絶縁性樹脂層を被覆形成
しない比較例の電気粘性流体は、粘性応答性や分散安定
性が低いことが判明する。例えば、比較例1、2の比誘
電率および電気比抵抗が低い場合には、電圧印加時の粘
度変化が少なく、粘性応答性に劣る。また、電気絶縁性
樹脂層を被覆形成していない比較例3、4でも粘性応答
性に劣る。更に、電気絶縁性樹脂層が厚い比較例5では
粒子径が大きいために、またアグリゲートのストークス
平均モード径が大きい比較例6でも、分散安定性が不充
分となり長期に亘る分散安定性が得られない。更に、含
有水分量の多い比較例6では50日経過後に著しい粘度
変化(低下)が認められた。
【0031】
【発明の効果】以上のとおり、本発明によればカーボン
ブラックのアグリゲートのストークス平均モード径、比
誘電率および電気比抵抗を特定範囲に設定するととも
に、その表面に電気絶縁性の樹脂層を被覆形成した炭素
質微粉末を分散微粒子とすることにより、初期粘度が低
く、印加電圧に対する粘性応答性が高く、また長期に亘
る分散安定性に優れた電気粘性流体を提供することがで
きる。したがって、この炭素質微粉末を分散させた電気
粘性流体は、例えばダンパー、ショックアブソーバー、
エンジンマウント等のエネルギー吸収材や防振材として
極めて高い実用性がある。
ブラックのアグリゲートのストークス平均モード径、比
誘電率および電気比抵抗を特定範囲に設定するととも
に、その表面に電気絶縁性の樹脂層を被覆形成した炭素
質微粉末を分散微粒子とすることにより、初期粘度が低
く、印加電圧に対する粘性応答性が高く、また長期に亘
る分散安定性に優れた電気粘性流体を提供することがで
きる。したがって、この炭素質微粉末を分散させた電気
粘性流体は、例えばダンパー、ショックアブソーバー、
エンジンマウント等のエネルギー吸収材や防振材として
極めて高い実用性がある。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C10N 70:00
Claims (4)
- 【請求項1】 表面に電気絶縁性樹脂層を被覆形成した
カーボンブラックであって、アグリゲートのストークス
平均モード径が170nm以下、比誘電率が3.0以上、
電気比抵抗が15Ωcm以上の性状を有することを特徴と
する電気粘性流体用炭素質微粉末。 - 【請求項2】 カーボンブラックが湿式酸化処理したも
のである請求項1記載の電気粘性流体用炭素質微粉末。 - 【請求項3】 電気絶縁性樹脂層の膜厚が0.5〜2.
5nmである請求項1又は2記載の電気粘性流体用炭素質
微粉末。 - 【請求項4】 カーボンブラックの水分含有量が1wt%
以下である請求項1、2又は3記載の電気粘性流体用炭
素質微粉末。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP8302514A JPH10130677A (ja) | 1996-10-28 | 1996-10-28 | 電気粘性流体用炭素質微粉末 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP8302514A JPH10130677A (ja) | 1996-10-28 | 1996-10-28 | 電気粘性流体用炭素質微粉末 |
Publications (1)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPH10130677A true JPH10130677A (ja) | 1998-05-19 |
Family
ID=17909890
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP8302514A Pending JPH10130677A (ja) | 1996-10-28 | 1996-10-28 | 電気粘性流体用炭素質微粉末 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JPH10130677A (ja) |
Cited By (1)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JP2001139841A (ja) * | 1999-11-17 | 2001-05-22 | Tokai Carbon Co Ltd | ソフト系カーボンブラック |
-
1996
- 1996-10-28 JP JP8302514A patent/JPH10130677A/ja active Pending
Cited By (1)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JP2001139841A (ja) * | 1999-11-17 | 2001-05-22 | Tokai Carbon Co Ltd | ソフト系カーボンブラック |
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