JPH10131087A - 中性・酸性両抄紙用サイズ剤、その製造方法、中性・酸性両抄紙用の抄紙サイジング方法、およびサイジング紙 - Google Patents

中性・酸性両抄紙用サイズ剤、その製造方法、中性・酸性両抄紙用の抄紙サイジング方法、およびサイジング紙

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JPH10131087A
JPH10131087A JP29787796A JP29787796A JPH10131087A JP H10131087 A JPH10131087 A JP H10131087A JP 29787796 A JP29787796 A JP 29787796A JP 29787796 A JP29787796 A JP 29787796A JP H10131087 A JPH10131087 A JP H10131087A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 酸性から中性までの広いpH領域において、
プレドライヤー出口までにサイズ効果が立ち上がる製紙
用サイズ剤とその製造方法、このサイズ剤の性能を発揮
するサイジング方法、およびサイズ紙を提供する。 【解決手段】 公知のロジンおよびその変性物を効果的
に分散する分散剤(低分子系、高分子系)を特定し、該
分散剤を使用した乳化処方によりサイズ剤を製造する。
本サイズ剤を用い、公知の填料および定着剤の添加場所
を特定することにより、効果的にサイズ効果を立ち上げ
ることのできるサイジング方法の適用が可能となり、該
サイジング方法で抄造して、加工性に優れたサイジング
紙を得る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、酸性から中性まで
の広いpH領域において安定したサイズ効果が得られる
中性・酸性両抄紙用サイズ剤、その製造方法、このサイ
ズ剤の有効な抄紙サイジング方法、およびその抄紙サイ
ジング方法で抄紙されたサイジング紙に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】近年、紙の保存性、抄紙機の劣化の問題
などにより、紙の中性紙化が急速に進んできている。中
性抄造用サイズ剤としては、アルキルケテンダイマー
(以下「AKD」という)、アルケニル無水コハク酸
(以下「ASA」という)、あるいはカチオン性ポリマ
ーサイズ剤などが一般に使用されている。
【0003】しかしながら、AKDについては、サイズ
効果の立ち上がりが悪いため、サイズ度の管理にはキュ
アリングが必要で、サイズ度の調製が困難となるばかり
か、サイズプレスなどの塗布装置での澱粉液の吸液量が
増えるため、アフタードライヤーの蒸気負荷が上昇す
る。また、該サイズ剤を使用した紙は、滑りなどが問題
となっている。
【0004】ASAについては、加水分解が速いので、
添加直前に乳化分散しなければならず、作業性が悪いば
かりでなく、加水分解したサイズ剤による抄紙機のウエ
ットパートの汚れが問題となっている。
【0005】カチオン性ポリマーサイズ剤については、
サイズ性、作業性などにおいて、AKDおよびASAの
欠点を改善したサイズ剤といえるが、蛍光染料の増白効
果阻害、毛布の損傷、紙の難離解性が問題となってい
る。
【0006】以上、中性サイズ剤および中性抄造におい
ては種々問題点があり、実操業現場では、中性サイズ剤
の弊害を少なくする手段として、サイズ剤の添加量をで
きるだけ下げて、不足するサイズ効果を表面サイズ剤で
カバーしているのが現状である。
【0007】一方、酸性抄造においては、従来より強化
ロジンをケン化して得られるケン化型ロジンサイズ剤、
あるいは強化ロジンを乳化分散して得られるエマルジョ
ン型サイズ剤が広く使用されている。これらの酸性用サ
イズ剤は、一般にサイズ効果の立ち上がりが良く、サイ
ズ効果の調整が容易で表面サイズ剤が少なく抑えられ、
また、抄紙機の汚れがないなど、ほぼ酸性用のサイズ剤
としては完成されたものである。しかしながら、これら
のサイズ剤を中性領域で使用した場合には、充分なサイ
ズ性が得られないばかりではなく、安価な填料として汎
用される炭酸カルシウムを使用すると、さらにサイズ性
が低下し、抄紙系の発泡、系内の汚れが起こるという問
題がある。
【0008】これらの問題点を解決すべく、適用pHの
広い中性用ロジン系エマルジョンサイズ剤が開示されて
いる。このサイズ剤の基本的な構成は、中性からアルカ
リ性領域において、ロジン成分の溶出を防ぐ目的で配合
するロジンエステル成分と、パルプとの定着成分として
の強化ロジン成分を配合してなる。例えば、ロジン類と
C、H、Oからなる3価または4価アルコールとのエス
テル化物を分散させた中性サイズ剤(特開昭62−25
0297号公報、特開昭62−223393号公報)
や、ロジン類と第3級アミノアルコールとのエステル化
物を分散させた中性サイズ剤(特公平2−36629号
公報、特開平6−294096号公報)などがある。し
かしながら、これらのものは、いずれも中性抄造を対象
としたサイズ剤であり、本発明者らが目的とする中性抄
造、酸性抄造において高サイズを得ることは難しく、ま
た、中性抄造であっても、填料として炭酸カルシウムを
10%以上高添加する抄物に対しては、充分なサイズ効
果が得られない。従って、実機抄紙機に応用した場合に
は、白水系の発泡によるトラブル、紙質の低下、あるい
は抄紙機の汚れが問題となる。
【0009】また、中性用ロジン系エマルジョンサイズ
剤は、主成分であるロジン類の組成だけでなく、これを
いかに乳化分散させるかがポイントであって、乳化分散
の良否がサイズ剤の性能、サイズ剤の定着などに大きく
寄与する。乳化分散剤に関する一例として、特開平6−
33395号公報、特開平6−294096号公報、特
公平7−88470号公報などに提案されているが、い
ずれも、高分子分散剤あるいは低分子分散剤のどちらか
一方を使用するものか、併用してもその添加方法に関す
る記述がない。また、効果として、主に中性からアルカ
リ性領域でのサイズ効果と安定性の改良を意図したもの
で、中性・酸性両抄紙系において安定したサイズ効果を
発現する目的で提案されたものではない。
【0010】ロジンおよびその変性物を乳化分散する低
分子分散剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアル
キルエーテルまたはポリオキシエチレンアルキルアリル
エーテルの硫酸半エステル塩(特開昭52−77206
号公報)、ポリオキシエチレンジスチリルフェニルエー
テル硫酸半エステル塩(特開昭55−106534号公
報)、ポリオキシエチレントリ(またはジ)スチリルフ
ェニルエーテルスルホコハク酸半エステル塩(特開昭5
3−133259号公報、または特開昭57−3415
6号公報)、ポリオキシエチレンアルキルエーテルスル
ホコハク酸半エステル(特開昭57−167349号公
報)などが挙げられる。
【0011】高分子分散剤としては、(メタ)アクリル
酸アルキルエステルおよび/またはスチレン化合物と
(メタ)アクリル酸アルキルアミノアルキルエステルま
たはアルキルアミノアルキルアミドの共重合体(特開昭
63−120198号公報)、スチレン/(メタ)アク
リル酸塩と(メタ)アクリルアミドのグラフト重合体
(特開平7−258994号公報)、スチレン−(メ
タ)アクリル酸系共重合体塩(特開平6−330496
号公報、特開平6−33395号公報)などが挙げられ
る。
【0012】また、酸性から炭酸カルシウムを含有する
中性領域の抄造に有効なサイズ剤の開示がなされている
ものについても、酸性抄造の場合は、ロジン系エマルジ
ョンサイズ剤、あるいはケン化型ロジンサイズ剤とのサ
イズ効果の比較が記載されてなく、中性抄造の場合も、
ASAあるいはAKDサイズ剤とのサイズ効果の比較が
記述されていないばかりか、本発明者らの追試実験によ
れば、既存のサイズ剤と比較した場合、まだサイズ効果
が低く、サイズ剤のコストアップとなる。
【0013】サイジング方法に関しては、最近、中性用
ロジン系エマルジョンサイズ剤を使用する中性紙の製造
方法として応用例が開示されているが(特開平6−29
9493号公報、特開平6−299500号公報)、い
ずれもサイズプレスで酸化澱粉が塗布されていること
と、アフタードライヤーでの加熱乾燥による相乗効果
で、サイズ剤だけの効果およびその立ち上がり性につい
ては不明である。すなわち、本発明者らが目的とするプ
レドライヤーでのサイズ効果の立ち上がり性と、リール
巻き取り紙でのサイズ効果を目的とするサイジング方法
とは基本的に異なる。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、酸性から中
性までのpH=4〜9の広いpH領域において、安定し
たサイズ効果が得られる中性・酸性両抄紙用サイズ剤、
その製造方法、該サイジング剤を用いた中性・酸性両抄
紙用の抄紙サイジング方法、およびその抄紙サイジング
方法で抄紙されたサイジング紙を提供することを目的と
する。従来は、リール巻き取り紙部以降でサイズ効果を
発現させる方法であり、本発明方法と異なる点である。
本発明のいま一つの目的は、中性・酸性両抄紙用サイズ
剤を使用し、製造ラインの特定の位置にそのサイズ剤を
添加することにより、抄紙原料系内の発泡や汚れの問題
やアフタードライヤーでの蒸気負荷増の問題、および紙
表面に塗布すべき塗布液の紙中へのしみ込む無駄の問
題、紙のコシの弱い問題を解決することにある。
【0015】
【発明が解決しようとする手段】本発明者らは、上記問
題を解決するために、プレドライヤー出口までサイズ効
果を立ち上げることに主眼を置き鋭意研究の結果、特定
のサイズ剤組成物が有効であることを見出し、中性・酸
性両抄紙用サイズ剤、その製造方法と、該サイズ剤を使
用する抄紙サイジング方法、およびそれから得られるサ
イジング紙を開発した。すなわち、サイズ剤は、中性・
酸性両抄紙用サイズ剤成分として、ロジンおよび/また
はその変性物に、分散剤として下記式(1)
【化2】 R−O(CH2 CH−O)n −SO3 M ・・・・・(1)
【0016】(式中、Rは炭素数8〜24の炭化水素
基、Mは1価のカチオン、nは5〜25の整数を示す)
で表されるポリオキシエチレンアルキルエーテルの硫酸
半エステル塩(1)およびスチレン−(メタ)アクリル
酸系共重合体塩(2)を、ロジンおよび/またはその変
性物100重量部に対し、(1)成分を1〜10重量
部、(2)成分を1〜20重量部の配合比率で含有する
ことを特徴とするものである。
【0017】しかして、本発明の中性・酸性両抄紙用サ
イズ剤は、ロジンおよび/またはその変性物100重量
部に対し、上記(1)成分を1〜10重量部、(2)成
分を1〜20重量部の配合比率で含有させ、かつ、ロジ
ンおよび/またはその変性物を加熱溶融したのち、攪拌
下に、まず(1)成分を添加して均質化し、次いで
(2)成分を添加して均質化したのち、反転水を加えて
O/W型エマルジョンに反転させることにより、好適に
製造することができる。
【0018】かかる中性・酸性両抄紙用サイズ剤の使用
に際しては、安定したサイズ効果を充分に発現させるた
めに、紙の製造ラインにおける添加時期が特に重要であ
る。すなわち、ミキシングチェスト(A)から、マシン
チェスト(B)、原料移送ポンプ(C)を経てヘッドボ
ックス(D)、ファンポンプ(G)から抄紙機(H)に
導かれる紙の製造ラインにおいて、カチオン化澱粉、填
料、硫酸バンドおよび該サイズ剤を添加するに際し、カ
チオン化澱粉は、ミキシングチェスト(A)へのヘッダ
ーからマシンチェスト(B)間の原料のパルプと良く混
合する場所で添加し、填料は、マシンチェスト(B)
と、ファンポンプ(G)サクション配管から抄紙機イン
レット(H)間にて分割添加し、硫酸バンドは、ヘッド
ボックス(D)送り原料ポンプ(C)のサクション配管
で添加し、該サイズ剤は、ヘッドボックス(D)とファ
ンポンプ(G)サクション管までのヘッドボックス原料
降下ライン(E)で添加しなければならない。
【0019】また、本発明の中性・酸性両抄紙用サイズ
剤を使用する抄紙サイジング方法をさらに効果あらしめ
るために、上記のミキシングチェスト(A)から、マシ
ンチェスト(B)、原料移送ポンプ(C)を経てヘッド
ボックス(D)、ファンポンプ(G)から抄紙機(H)
に導かれる紙の製造ラインにおいて、白水ピット(F)
からファンポンプ(G)サクション管部の間でアニオン
化剤を添加し、抄紙機(H)のインレット原料のゼータ
電位を調整するとよい。かくして、加工性に優れたサイ
ジング紙が得られるのである。
【0020】
【発明の実施の形態】本発明に使用するロジンとして
は、ガムロジン、トール油ロジン、ウッドロジンなどが
挙げられる。その変性物としては、ロジンが一部あるい
は完全に水素添加されたもの、不均化、二量化、ホルム
アルデヒド処理されたもの、およびロジン類にフマル
酸、マレイン酸、無水マレイン酸などのα,β−不飽和
カルボン酸および無水物を付加反応した強化ロジン類が
挙げられる。また、これらのロジン類およびロジン変性
物を、さらにグリセリン、ペンタエリスリトールなどの
多価アルコールによりエステル化したロジンエステル類
も含まれる。本発明に使用するロジンおよび/またはそ
の変性物としては、強化ロジン類とロジンエステル類の
混合したものが好ましい。混合物を得るには、強化した
のちエステル化したもの、エステル化したのち強化した
ものなど、加工が順次あるいは同時に行われたもの、ま
たは強化ロジン類とロジンエステル類のブレンドしたも
ののいずれもが使用可能である。
【0021】また、10重量%以内であれば、上記ロジ
ンおよびその変性物の疎水成分としてテルペン樹脂、芳
香族変性テルペン樹脂、テルペンフェノール樹脂、C5
系石油樹脂、C9系石油樹脂、C5/C9系石油樹脂、
マレイン化石油樹脂、ワックス類、AKD、ASAなど
が、また軟化点調整目的に、トール油脂肪酸、ステアリ
ン酸などの脂肪酸類、あるいは各種プロセスオイルなど
が混合された物質も含まれる。10重量%を超えると、
乳化性、およびサイズ効果が低下する。
【0022】従来、ロジン系エマルジョンサイズ剤のエ
マルジョン化は、低分子分散剤か高分子分散剤のいずれ
か一方を使用するのが一般的であるが、本発明において
は、低分子分散剤と高分子分散剤を併用することを特徴
とするものである。本発明で使用する低分子分散剤は、
式(1)で表されるポリオキシエチレンアルキルエーテ
ルの硫酸半エステル塩であって、市販品、合成品を問わ
ず該当する化学構造のものであればいかなるものでも使
用可能で、2種以上を混合して使用しても何ら差し支え
ない。具体的には、式(1)において、Rは、オクチル
基、ノニル基、ステアリル基などのアルキル基、ノニル
フェニル基、オクチルフェニル基などのアルキルフェニ
ル基、あるいは、スチリル化もしくはジスチリル化フェ
ニル基である。また、Mは、Na、K、アンモニウム基
などの一価のアルカリ金属類あるいはアミン類をさす。
また、その他の低分子分散剤を使用するに際しては、式
(1)のポリオキシエチレンアルキルエーテルの硫酸半
エステル塩を必須成分として使用すれば、その他のノニ
オン系およびアニオン系低分子分散剤を少量併用しても
差し支えない。
【0023】本発明で使用する高分子分散剤は、スチレ
ン−(メタ)アクリル酸系共重合体塩である。その製造
方法は、スチレン系単量体と(メタ)アクリル酸単量体
を重合しアルカリ成分で中和することにより得られる。
重合可能な単量体の具体例としては、スチレン、α−メ
チルスチレン、ビニルトルエン、スチレンスルフォン酸
などのスチレン系単量体と(メタ)アクリル酸単量体、
および必要に応じて、メチル(メタ)アクリレート、ブ
チル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メ
タ)アクリレートなどの(メタ)アクリル酸エステル
類、アクリロニトリル、(メタ)アクリルアミド、酢酸
ビニルなどの共重合可能なビニル系単量体であればいず
れも用いられる。本発明で用いる共重合体の組成比とし
ては、スチレン系単量体は30〜70重量%、好ましく
は40〜65重量%、(メタ)アクリル酸単量体は70
〜30重量%、好ましくは60〜35重量%である。ス
チレン系単量体が30重量%未満の場合は、疎水性が低
すぎるために、ロジンへの親和性に劣り、一方、70重
量%を超えると、逆に、疎水性が高すぎるために、水と
の親和性に欠け、安定なエマルジョンが得られないとい
う問題がある。
【0024】スチレン−(メタ)アクリル酸系共重合体
塩の重合方法としては、公知の溶液重合および乳化重合
などの方法で合成可能であるが、乳化重合法によって合
成するのが好ましい。その際に、乳化重合に使用する界
面活性剤は特に制限はなく、アニオン性界面活性剤、非
イオン界面活性剤、反応性界面活性剤などから選ばれた
少なくとも一種類を使用し、重合開始剤として、水溶性
の過硫酸塩類、アゾ化合物、ハイドロパーオキサイド、
レドックス系開始剤を使用することができる。また、分
子量を調整する目的で、連鎖移動剤である、イソプロピ
ルアルコール、アルキルメルカプタン類、α−メチルス
チレンダイマー、ターピノーレンの中から選ばれた少な
くとも一種類を、前述した単量体に混合し使用すること
ができる。
【0025】重合終了後、水酸化ナトリウム、水酸化カ
リウム、アンモニア、アルカノールアミンなどにより、
(メタ)アクリル酸に対し20〜120%の中和率とす
るのが好ましい。20%未満の場合には分散性、機械安
定性が劣り、一方、120%を超えると、余剰のアルカ
リ成分がロジン類をケン化する成分として働き、サイズ
性、発泡性の点から好ましくない。水酸化カリウム、水
酸化ナトリウム、アンモニア、アルカノールアミン以外
に、酢酸カリウム、酢酸ナトリウムなどの有機酸塩で中
和してもよい。中和率は、乳化分散性、サイズ性、発泡
性を考慮し任意に設定される。
【0026】本発明の中性・酸性両抄紙用サイズ剤にお
いて、乳化助剤として、従来より一般的に多用されるポ
リビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、ポ
リエチレンオキサイド、大豆タンパク、ミルクカゼイン
などの保護コロイドを添加することは何ら差し支えな
い。
【0027】次に、従来より、一般にロジン系エマルジ
ョンサイズ剤の製造方法としては、一旦、ロジン類をト
ルエンまたはキシレンなどに溶解し、高圧乳化機で乳化
したのち、脱溶剤する高圧乳化法と、ロジン類を溶融
し、撹拌下に乳化剤および水を順次添加し、相反転させ
る反転法がある。すでに工業的に生産されている酸性抄
紙用のロジン系エマルジョンサイズ剤についてみると、
設備コスト、製造コスト的には、反転法で得られたもの
が有利であるが、発泡性、機械安定性、サイズ性などの
性能には殆ど有意差はない。しかし、本発明による中性
・酸性両抄紙用サイズ剤を高圧乳化法で製造した場合、
本発明に記載された配合比率の分散剤を単に使用しても
充分な性能が得られず、反転法しか性能を満足するもの
が得られないことが明らかとなった。
【0028】本来的に、中性・酸性両抄紙用サイズ剤に
求められる基本性能は、まず、酸性から中性の広いpH
域において粒子が安定であること、特に高pH域でロジ
ン類の溶出がないことであり、また、填料の炭酸カルシ
ウム由来のカルシウムイオンに対する安定性と排除性、
あるいは他のイオン性薬品との相性など、強い化学的安
定性が要求される。そのためには、分散剤は、できるだ
け多くサイズ剤表面に吸着し、かつ規則正しく配列させ
る必要がある。しかるに、サイズ剤の製法としては、機
械的に分散する高圧乳化法よりは、分散剤の化学的作用
で分散する反転法が好ましい。また、低分子乳化剤と高
分子分散剤を併用することにより、分散剤吸着層を厚
く、強固にするのが好ましい。
【0029】本発明の反転乳化による中性・酸性両抄紙
用サイズ剤製造方法の具体例を挙げると、加圧乳化釜に
おいて、ロジンおよび/またはその変性物100重量部
を軟化点より20℃程度以上の温度で溶融し、まず、低
分子分散剤を添加し均一になるまでよく撹拌する。次い
で、高分子分散剤を添加し均一にする。均一化の時間
は、撹拌強度により任意に設定できる。このとき、添加
する低分子分散剤、高分子分散剤ともに有効成分は20
〜50重量%の水溶液とするのが好ましく、20重量%
未満の場合、粒子への吸着量が減り相反転しないか、相
反転しても均一な粒径のエマルジョンとならない。一
方、50重量%を超えると、粘度が高くなるので添加が
困難で、また、均質化に時間を要す。分散剤の添加量
は、ロジンおよび/またはその変性物100重量部に対
し、(1)成分を1〜10重量部、(2)成分を1〜2
0重量部の配合比率の範囲内であれば任意に設定できる
が、いずれも、添加量が少なすぎる場合には、分散性が
悪く、一方、多すぎる場合には、コストアップとなるば
かりか、粘度が上昇し高固形分のサイズ剤を得ることが
できない。
【0030】分散剤添加後は、ゆっくりと温水を添加
し、反転温度は80〜140℃に調整するのが好まし
い。特に好ましくは、90〜110℃である。反転温度
が80℃未満の場合は、内容物が堅くなり、攪拌が困難
になるために、相反転しにくい。一方、140℃を超え
ると、系のHLB(親水性親油性バランス)が変化し、
反転しないか、もしくは反転しても、細かい粒子のエマ
ルジョンが得られない。その後、反転水を添加し所定の
濃度に調整する。本発明の中性・酸性両抄紙用サイズ剤
を製造する際に使用する水は、イオン交換水、または緩
衝剤を添加したものが好ましい。
【0031】また、本発明は、上記中性・酸性両抄紙用
サイズ剤を使用して抄紙する抄紙サイジング方法に関す
るものである。該中性・酸性両抄紙用サイズ剤は、商業
的に入手可能な酸性用ロジン系エマルジョンサイズ剤が
使用されている抄紙系であれば、いかなる条件において
も安定的にサイズ効果を発現するが、本発明の抄紙サイ
ジング方法によると、中性でも酸性でも同じ添加処方
で、しかも同一の薬品構成で抄造することが可能とな
り、作業性、薬品管理が軽減されるばかりか、抄紙系の
汚れや発泡がなく、さらに、安定した高サイズが得られ
る。かくして、中性抄造と酸性抄造を行う混抄機にとっ
ては、特にその優位性が発揮される。
【0032】近年の抄紙現場は、紙の品質要求が高まり
数多くの薬品が使用されるようになり、また、白水のク
ローズド化が進んできたことから、ウエットエンドにお
けるリテンションの管理が重要となってきている。そこ
で、ウエットエンドの製紙用薬品としては、定着性が良
好なもの、他の薬品との相互作用のないもの、抄紙機に
汚れなどの悪影響与えないものが要求される。それゆ
え、本発明の中性・酸性両抄紙用サイズ剤およびその抄
紙サイジング方法に関する基本的な考えは、サイズ剤を
いかに原料のパルプに定着させるか、あるいは、いかに
プレドライヤー出口までサイズ効果を立ち上げるかに主
眼を置き、鋭意研究した結果、有効な抄紙サイジング方
法を見出したのである。
【0033】すなわち、本発明の抄紙サイジング方法
は、主原料系でサイズ剤、填料、および定着剤である硫
酸バンドとカチオン化澱粉の添加順序と添加場所を特定
することを特徴とする。さらに詳しくは、本発明のサイ
ジング方法は、ミキシングチェスト(A)、マシンチェ
スト(B)、原料移送ポンプ(C)を経てヘッドボック
ス(D)、ファンポンプ(G)から抄紙機インレット
(H)に導かれる紙の製造ラインにおいて、添加される
薬品の添加順と添加場所を特定する。
【0034】抄紙機のインレット、ワイヤーパート、プ
レスパート、ドライヤーパート、表面塗布装置、キャレ
ンダーパートの形式は、特に制限されない。本発明のプ
レドライヤーとは、表面塗布装置前の一次乾燥群をい
い、アフタードライヤーとは、表面塗布装置からキャレ
ンダーパートまでの最終乾燥群をさす。各薬品の具体的
な添加場所を、図1に示す。 カチオン化澱粉は、ミキシングチェスト(A)からマ
シンチェスト(B)間の原料パルプと良く混合するとこ
ろに添加する。図1の実線で囲んだ場所がよい。 填料は、マシンチェスト(B)と、ファンポンプ
(G)サクションから抄紙機インレット(H)間にて分
割添加する。図1中の点線の場所がよい。 硫酸バンドは、マシンヘッドボックス送り原料ポンプ
(C)のサクション配管において添加する。図1中の太
線で示した場所がよい。 サイズ剤は、ヘッドボックス(D)とファンポンプ
(G)サクション管までのヘッドボックス原料降下ライ
ンで添加する。図1中の鎖線で示した場所がよい。 また、インレット原料のゼータ電位を調整する手段とし
て、ファンポンプ(G)サクション管部(図1中の二重
線で示す)においてアニオン化剤を添加することを特徴
とする。
【0035】本発明における必須薬品は、硫酸バンド、
カチオン化澱粉およびロジン系サイズ剤で、必要に応じ
て、アニオン化剤を使用する。本発明のサイジング方法
において、サイズ剤の定着剤として作用する薬品は、カ
チオン化澱粉と硫酸バンドであるが、従来より一般に使
用される歩留まり剤、紙力剤、濾水剤、染料などの添加
は特に制限されない。また、サイズプレス、ゲートロー
ルコーター、ブレードコーターなどの塗布装置で、必要
に応じて、各種澱粉、ポリビニルアルコール、表面サイ
ズ剤、カラー液などを塗布してもよい。
【0036】本発明のカチオン化澱粉の添加場所は、サ
イズ剤を添加する前で、しかも、原料と良く混合される
場所が好ましい。カチオン化澱粉は、サイズ剤の定着剤
として作用するが、白水中に遊離するとアニオン性を有
するサイズ剤と反応して抄紙系の発泡と汚れの原因とな
る。そこで、カチオン化澱粉は、図1の実線で囲んだ部
位が好ましい。具体的には、ミキシングチェストかマシ
ンチェストへの原料仕込ヘッダー、あるいはミキシング
チェストが挙げられる。また、カチオン化澱粉は、一般
に使用されるものであれば、分子量、カチオン化度など
には特に制限はない。ただし、前述したように、カチオ
ン化澱粉が白水中に遊離すると、発泡の原因となるばか
りか、ワイヤーパートでの濾水性が悪化することから、
できるだけ低添加に抑えることが望ましい。具体的に
は、酸性抄造の場合、対パルプ0.05重量%から0.
3重量%、中性抄造の場合、対パルプ0.10重量%か
ら0.5重量%が好ましい。
【0037】酸性抄造の場合は、カチオン化澱粉の添加
が、対パルプ0.05重量%未満のとき、サイズ効果が
悪くなる。一方、0.3重量%を超えると、コストアッ
プになるばかりか、ワイヤーパートの濾水性が悪化す
る。同様に、中性抄造の場合には、対パルプ0.10重
量%未満のとき、酸性抄造の場合と同様、サイズ効果が
悪く、ゼータ電位がマイナス側にシフトし、総歩留まり
が低下する。一方、0.3重量%を超えると、コストア
ップになるのみならず、ゼータ電位がプラス側にシフト
するために、歩留まり低下の原因となり、また、発泡、
抄紙機の汚れの原因となる。
【0038】本発明における填料の添加場所は、図1中
の点線で示した場所、すなわち、マシンチェスト(B)
と、ファンポンプ(G)サクションから抄紙機インレッ
ト(H)間において分割添加するのが好ましい。分割添
加する場合には、灰分が7重量%以下の紙は、ファンポ
ンプに100%、8重量%以上の紙は、マシンチェスト
とファンポンプにおいて1対1で分割するとよい。本発
明における填料は、一般的に用いられる軽質および重質
炭酸カルシウム、タルク、カオリン、水酸化アルミニウ
ム、酸化チタンおよびその混合物などが挙げられ、その
種類、量は特に制限されない。
【0039】本発明における硫酸バンドの添加場所は、
図1の太線で示すマシンヘッドボックス送り原料ポンプ
(C)のサクション配管が好ましい。特開平6−225
00号公報に開示されている硫酸バンドの多段添加は、
良好なサイズ性を得るには効果的であるが、添加管理が
複雑となり作業性が悪い。本発明の添加場所は、一段添
加でサイズ剤の定着を高めることができる効果的な場所
である。また、原料に混ざった一部の硫酸バンドがヘッ
ドボックスからのリターンによりマシンチェストに戻さ
れ、マシンチェスト内で染料および填料などの定着剤と
し作用する。その他の定着剤として、必要に応じて、高
pH域でロジン系サイズ剤の定着剤として開示されてい
るポリ塩化アルミニウム、ゾル状水酸化アルミニウム、
ポリアミンサルフォンなども使用可能である。
【0040】本発明におけるサイズ剤の添加場所は、図
1中の鎖線で示すヘッドボックス(D)とファンポンプ
(C)サクション管までの降下ラインが好ましい。エマ
ルジョン系サイズ剤は、基本的に定着力が弱く、抄紙系
の動的剪断力により一旦定着しても脱離するため、一般
的には抄紙機に近い部位に添加される。中性抄造、特に
填料として炭酸カルシウムを添加する系においては、炭
酸カルシウム由来のカルシウムイオンの影響により定着
性とサイズ性を阻害され易いため、サイズ剤添加後はで
きるだけ速く抄造すべきである。それゆえ、特にサイズ
剤の添加場所は重要である。本発明の場所より前に添加
すると、動的剪断力による脱離、炭酸カルシウムとの接
触によるサイズ効果の失活により、サイズ効果がプレド
ライヤー出口までに立ち上がらず、また、後ろに添加す
ると、逆に定着時間が確保されず、定着不良で発泡の原
因となる。
【0041】また、本発明の抄紙サイジング方法は、サ
イズ剤およびカチオン化澱粉を有効に定着させる手段と
して、抄紙系のゼータ電位を調整することを特徴とす
る。抄紙系のゼータ電位の管理は、特に中性抄造の際に
重要視され、ゼータ電位を0近傍に調整することによ
り、ワンパスリテンションが向上するといわれている。
本発明のゼータ電位の測定方法は、抄紙機のインレット
から採取した原料を速やかに5A濾紙で濾過した濾液を
測定試料とし、電気泳動法を測定原理としたゼータ電位
測定装置〔大塚電子株式会社製、LEZA−600〕か
ら得られる値とした。例えば、該方法によれば、薬品未
添加の叩解パルプ原料は、LBKP:−13.7mV
(pH=7.1)、NBKP:−9.8mV(pH=
9.8)であった。
【0042】本発明のサイジング方法に基づく中性抄造
においては、抄紙系がカチオンサイドにシフトすること
が多く、特に炭酸カルシウムの添加量が多い程その傾向
は強いが、その場合は、カチオン化澱粉の添加量を下げ
るか、もしくは、アニオン化剤を図1の二重線で示すフ
ァンポンプサクション管部において添加すると効果的で
ある。アニオン化剤としては、例えば、栗田工業株式会
社製の「ハイホルダーD540」あるいは「ハイホルダ
ーD550」が推奨される。また、必要に応じて、種々
の歩留まり剤および歩留まりシステムを併用することは
何ら問題ない。
【0043】本発明の中性・酸性両抄紙用サイズ剤を使
用し、かつ本発明の抄紙サイジング方法により抄造され
たサイジング紙は、パルプ原料としては、(未)晒ケミ
カルパルプあるいは(未)晒サーモメカニカルパルプ、
砕木パルプ、機械パルプおよび古紙などが使用でき、上
質紙、中質紙、コート原紙、PPC用紙、情報用紙、ク
ラフト紙、再生紙などに応用される。本発明で抄造され
るサイジング紙は、中性紙、酸性紙に限らず、印刷適
正、インクジェット特性、表面強度、加工性に優れる。
その理由としては、プレドライヤー出口までにサイズが
立ち上がるため、サイズプレス、ゲートロール、コータ
ーなどのオンマシン塗布装置での塗布液のマイグレーシ
ョンが減少し、塗布液が紙の内部に浸透することなく、
紙表面に均一に塗布されることによる。また、サイズ剤
に使用されるロジンエステル成分により、繊維間結合強
度を強め、紙力増強剤では得られない破裂強度が向上
し、いわゆる紙のコシが向上する。結果的に、リール巻
き取り紙から平板へのカッター断裁、あるいは小判断裁
などの加工性が向上する。
【0044】
【実施例】以下、実施例を挙げ、本発明をさらに具体的
に説明するが、本発明はこれらにより限定されるもので
はない。なお、実施例中の部および%は、特に断らない
限り、重量基準である。
【0045】ロジン類およびその変性物の調製: 合成例1 撹拌機、温度計、窒素導入管、分水器付き冷却装置を付
したフラスコに、酸価170のトール油ロジン100部
を仕込み、窒素気流下250℃に加熱溶融し、撹拌下に
ペンタエリスリトール9部を約30分かけて滴下し、副
生する水を系外に排出しながら、同温度で5時間エステ
ル化反応させて、軟化点97℃、酸価18のロジンエス
テルを得た。
【0046】合成例2 撹拌機、温度計、窒素導入管および冷却装置を付したフ
ラスコに、酸価168のガムロジン100部と無水マレ
イン酸10部を一括仕込み、窒素気流下、220℃で3
時間反応撹拌し、軟化点110℃の強化ロジンを得た。
【0047】合成例3 撹拌機、温度計、窒素導入管および分水器付き冷却装置
を付したフラスコに、酸化165のガムロジン100
部、グリセリン10部、亜鉛粉1部を仕込み、副生する
水を系外に排出しながら、260℃の温度で5時間反応
した。反応終了後、一旦150℃まで冷却し、無水マレ
イン酸4部、フマル酸1部を加え、210℃で3時間反
応し、エステル強化ロジンを得た。
【0048】合成例4 撹拌機、温度計、窒素導入管および冷却装置を付したフ
ラスコに、単量体成分としてスチレン50部、メタアク
リル酸40部、メチルメタアクリレート10部、重合用
乳化剤として20%ポリオキシエチレンオクチルフェニ
ルエーテル硫酸エステルのアンモニウム塩(EO=12
モル)20部、連鎖移動剤としてターピノレン1.5
部、イオン交換水400部を仕込み、窒素気流下、撹拌
しながら80℃まで昇温し、過硫酸アンモニウム1部を
添加し、同温度で3時間反応した。60℃まで冷却した
ところで、20%水酸化カリウム104部を添加し、分
子量約1万、固形分20%、中和率80モル%のスチレ
ンメタクリル酸系共重合体塩を得た。
【0049】実施例1 加圧乳化釜に合成例1で得られたロジンエステル40部
と、合成例2で得られた強化ロジン60部を仕込み、1
80℃の温度で溶解し、150℃まで冷却した。この中
に、撹拌しながら、20%に調製したポリオキシエチレ
ンノニルフェニルエーテル硫酸エステルのNa塩(EO
10モル)15部(対ロジン物質3%)を定量ポンプに
て圧入した。120℃で約10分間撹拌均質化したの
ち、合成例4で得られた20%スチレン−メタアクリル
酸系共重合K塩25部(対ロジン物質5%)を同様にし
て圧入した。圧入後、100℃で約10分間均質化し、
90℃の一次温水25部を圧入し20分均質させたの
ち、さらに、二次水として水50部をすばやく添加して
相反転させ、直ちに40℃まで冷却した。固形分50.
5%のエマルジョンサイズ剤を得た。得られたサイズ剤
の性能比較試験を以下に示す方法で行った。その結果を
表1および表2に示す。
【0050】テーブル性能比較試験 平均粒子径 ;光散乱法粒度分布測定器〔大塚電子(株)
製、LPA−3000、3100〕により測定した。機械安定性 ;100メッシュの金網で濾過し、固形分5
0%に調製したサイズ剤50gを、マーロン安定度試験
器(熊谷理器製)を使用し、40℃、15kg荷重、
1,000rpm、5分間の条件で剪断力を加えた。そ
の後、凝固物を100メッシュの金網で濾過し、乾燥重
量を測定し次式(数1)より凝固率を求めた。
【0051】
【数1】
【0052】製品安定性;サイズ剤を固形分20%にな
るように希釈してガラス瓶に採り、40℃の恒温槽内に
静置し、経日安定性を目視評価した。
【0053】サイズ効果 酸性抄造試験:叩解LBKP/NBKP=8/2の割
合で混合しパルプ濃度が2.5%になるように調製し
た。この混合パルプの叩解度は400ミリリッターカナ
ディアンフリーネスであった。このパルプスラリーを撹
拌しながら、薬品は全て対パルプ換算で、カチオン化澱
粉を0.1%、タルクを10%、硫酸バンドを1.0
%、サイズ剤を0.3%、それぞれ1分間隔で添加し
た。このときの定着pHは、4.5であった。このpH
=4.5の希釈液に、対パルプ0.1%の歩留まり剤を
加え0.2%パルプスラリーを調製し、JISP820
9に準じて坪量70g/m2 の手抄きシートを作成し
た。なお、サイズ剤を添加してからウェットシートを作
成するまでの時間を3分間に統一した。24時間調湿
(23℃、60%相対湿度)したのち、JIS P81
22に準じて、ステキヒトサイズ度を測定した。 中性抄造試験:上記の酸性抄造試験におけるタルク
の代わりに、炭酸カルシウムを使用し、定着pHおよび
抄造pHを7.5にした以外は酸性抄造試験と同一条
件で行った。
【0054】発泡試験;0.25%パルプスラリー1リ
ッターに、対パルプ5%のカチオン化澱粉、50%の炭
酸カルシウム、10%の硫酸バンド、20%のサイズ剤
を順次添加したものを円筒容器にとり、30cmの落差
をつけて、20リッター/分のスピードで5分間循環さ
せたときの2分後の表面の発泡性を、パルプの沈降高さ
で評価した。
【0055】実施例2 実施例1において、20%ポリオキシエチレンノニルフ
ェニルエーテル硫酸エステルのNa塩(EO10モル)
の添加量を10部(対ロジン物質2%)、一次温水を4
5部、二次水を25部とした以外は、全て実施例1と同
様の操作で行った。得られたサイズ剤の性状および性能
を表1および表2に示す。
【0056】実施例3 実施例1において、20%スチレン−メタアクリル酸系
共重合体K塩の添加量を10部(対ロジン物質2%)、
一次温水を40部、二次水を43部とした以外は、全て
実施例1と同様の操作で行った。得られたサイズ剤の性
状および性能を表1および表2に示す。
【0057】実施例4 実施例1において、ロジンエステルと強化ロジンの代わ
りに、合成例3で得られたエステル強化ロジンとした以
外は、全て実施例1と同様の操作で行った。得られたサ
イズ剤の性状および性能を表1および表2に示す。
【0058】比較例1 実施例1において、20%ポリオキシエチレンノニルフ
ェニルエーテル硫酸エステルのNa塩と、20%スチレ
ン−メタアクリル酸系共重合体K塩の添加順を逆とした
以外は、全て実施例1と同様の操作で行った。得られた
サイズ剤の性状および性能を表1および表2に示す。
【0059】比較例2 実施例1において、20%ポリオキシエチレンノニルフ
ェニルエーテル硫酸エステルのNa塩と、20%スチレ
ン−メタアクリル酸系共重合体K塩の添加方法を混合し
て添加する以外は、全て実施例1と同様の操作で行っ
た。得られたサイズ剤の性状および性能を表1および表
2に示す。
【0060】比較例3 加圧乳化釜に合成例1で得られたロジンエステル30部
と、合成例2で得られた強化ロジン70部を仕込み、1
80℃で溶解し、150℃まで冷却した。この中に、撹
拌しながら、20%に調製したポリオキシエチレン(E
O13モル)トリスチレン化フェノールスルホコハク酸
エステルNa塩25部(対ロジン物質5%)を定量ポン
プにて圧入し、約10分間、110℃の温度で均質化し
た。その後、90℃の一次温水を35部圧入し、20分
間均質化させたのち、二次水48部をすばやく圧入し
て、相反転させ、直ちに40℃まで冷却した。得られた
サイズ剤の性状および性能を表1および表2に示す。
【0061】比較例4 合成例3で得られたエステル強化ロジン100部を75
部のトルエンに溶解させた。また、アルキルベンゼンス
ルフォン酸Na塩3部をイオン交換水150部に溶解さ
せた。ホモミキサー撹拌下、乳化剤/水溶液中にロジン
/トルエン溶液を滴下し、約10分プレ乳化したのち、
300kg/cm2 の圧力で2回、高圧ホモジナイザー
で処理した。このものをエバポレーターを用い、減圧蒸
留し、トルエンと一部の水を留去した。固形分50.1
%の溶剤法によるサイズ剤を得た。得られたサイズ剤の
性状および性能を表1および表2に示す。
【0062】
【表1】
【0063】
【表2】
【0064】次に、実施例1、実施例2および比較例4
で得られたサイズ剤を、実機抄紙機に添加した例を示
す。抄造条件を以下に示す。
【0065】実機抄造試験 抄幅3750mm、抄速750m/min、2ロールサ
イズプレス付設の長網多筒式抄紙機を使用し、450ミ
リリッターカナディアンフリーネスに叩解したLBKP
/NBKP=8/2に、対パルプ0.10%または0.
20%のカチオン化澱粉、対パルプ10%の填料(タル
クまたは炭酸カルシウム)、対パルプ1.0%または
1.2%の硫酸バンド、対パルプ0.25%のサイズ剤
を添加した。サイズプレスでの表面塗布液は6%酸化澱
粉であって、これにスチレンアクリル系表面サイズ剤が
紙1t当たり0.5kgになるように調合し、仕上がり
水分5%の紙を抄造した。効果の確認は、プレドライヤ
ー出口のサイズ度、リール巻紙のサイズ度、サイズプレ
スでの酸化澱粉のピックアップ量、アフタードライヤー
への蒸気吹き込み圧を測定することにより行った。
【0066】実施例5 抄紙pH7.5の中性上質紙64gにおいて、実施例1
で得られたサイズ剤を、図1の鎖線で示すヘッドボック
ス原料降下ラインで、硫酸バンドを図1の太線で示す原
料移送ポンプのサクション配管で、カチオン化澱粉を図
1の実線で囲んだマシンチェスト原料ヘッダーで、炭酸
カルシウムを図1の点線で囲んだマシンチェストと、フ
ァンポンプサクションの配管にて、1対1の割合で分割
添加した。各薬品の添加量は、サイズ剤0.25%(対
パルプ)、硫酸バンド1.0%(対パルプ)、カチオン
化澱粉0.2%(対パルプ)、炭酸カルシウム10%
(対パルプ)である。この抄造結果を表3および表4に
示す。
【0067】実施例6 実施例5において、抄紙系のゼータ電位を調整する目的
で図1の二重線で示すファンポンプサクション配管に
て、アニオン化剤〔栗田工業(株)製、商品名「ハイホ
ルダーD550」〕を対パルプ20ppm添加した他
は、実施例5と同様に行った。この結果を表3および表
4に示す。
【0068】実施例7 サイズ剤に実施例4で得られたものを使用した以外は、
実施例6と同様に行った。結果を表3および表4に示
す。
【0069】実施例8 填料を炭酸カルシウムからタルクに変更し、坪量50g
の酸性上質紙で実機添加試験を行った。実施例1で得ら
れたサイズ剤を図1の鎖線で示すヘッドボックス原料降
下ラインで、対パルプ0.25%添加し、硫酸バンドを
図1の太線で示す原料移送ポンプのサクション配管で、
対パルプ1.2%添加し、カチオン化澱粉を図1の実線
で囲んだマシンチェスト原料ヘッダーで、対パルプ0.
1%添加し、タルクを図1の点線で囲んだマシンチェス
トと、ファンポンプサクション配管にて、1対1の割合
で対パルプ計10%を分割添加した。この抄造結果を表
3および表4に示す。
【0070】比較例5 実施例6において、硫酸バンドの添加場所を、図1の太
線で示す原料移送ポンプのサクション配管から図1の
(B)で示すマシンチェストに変更した以外は、実施例
6と同様に行った。結果を表5および表6に示す。
【0071】比較例6 実施例において、サイズ剤を実施例1で得られたものか
ら比較例4で得られたものに変更した以外は、全て実施
例6と同様に行った。結果を表5および表6に示す。
【0072】比較例7 実施例8において、サイズ剤の添加場所を、図1の鎖線
で示すヘッドボックス原料降下ラインから図1の(B)
で示すマシンチェストに変更した以外は、実施例8と同
様に行った。結果を表5および表6に示す。
【0073】
【表3】
【0074】
【表4】
【0075】
【表5】
【0076】
【表6】
【0077】
【表7】
【0078】
【表8】
【0079】紙の紙質評価 実施例6、実施例8、参考例1および参考例3で得られ
た紙の剛度破裂度を測定した。結果を表9に示す。本発
明の酸性両抄紙用サイズ剤を使用し、本発明の抄紙サイ
ジング方法により得られた紙は、剛度の縦横比が小さ
く、かつ、破裂強度の高い紙であった。
【0080】
【表9】
【0081】
【発明の効果】本発明によると、以下に示す顕著な効果
が認められる。 (1)サイズ剤の粒子が安定で、しかも、サイズ効果の
立ち上がりが良好なため、中性・酸性両抄紙用サイズ剤
として有効である。 (2)サイズ剤のパルプへの定着が非常に良いので、ワ
イヤー、プレスロール、毛布などのウエットパートの汚
れが解消する。 (3)プレドライヤー出口までにサイズ効果が立ち上が
るため、サイズプレスやゲートロール、コーターなどの
塗布設備での澱粉やカラーなどの塗布液の紙中へのしみ
込みが少なくなるので、アフタードライヤーでの蒸気使
用量が減少する。その結果、抄速をアップすることが可
能となる。 (4)プレドライヤー出口までにサイズ効果が立ち上が
るため、オンマシン塗布装置での塗布液のマイグレーシ
ョンが減少し、塗布液が表面に塗布されるので、紙の印
刷特性、インクジェット特性、表面強度が向上する。 (5)本発明の中性・酸性両抄紙用サイズ剤が含有され
た紙は、剛度、破裂強度で示される紙のコシが向上し加
工性に優れる。 (6)中性・酸性両抄紙用のため、混抄紙機の抄替え時
にも連続抄紙が可能で、また、同色調の損紙、ブローク
であれば、中性、酸性問わず処理可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の抄紙サイジング方法を特定する紙の製
造ライン工程図である。
【符号の説明】 (A) ミキシングチェスト (B) マシンチェスト (C) 原料移送ポンプ (D) ヘッドボックス (E) ヘッドボックス原料降下ライン (F) 白水ピット (G) ファンポンプ (H) 抄紙マシン カチオン化澱粉添加部位 填料添加部位 硫酸バンド添加部位 サイズ剤添加部位 アニオン化剤添加部位
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 高橋 紳仁 広島県府中市高木町1080番地 ヤスハラケ ミカル株式会社内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 中性・酸性両抄紙用サイズ剤成分とし
    て、ロジンおよび/またはその変性物に、分散剤として
    下記式(1) 【化1】 R−O(CH2 CH−O)n −SO3 M ・・・・・(1) (式中、Rは炭素数8〜24の炭化水素基、Mは1価の
    カチオン、nは5〜25の整数を示す)で表されるポリ
    オキシエチレンアルキルエーテルの硫酸半エステル塩
    (1)およびスチレン−(メタ)アクリル酸系共重合体
    塩(2)を、ロジンおよび/またはその変性物100重
    量部に対し、(1)成分を1〜10重量部、(2)成分
    を1〜20重量部の配合比率で含有することを特徴とす
    る中性・酸性両抄紙用サイズ剤。
  2. 【請求項2】 中性・酸性両抄紙用サイズ剤としてロジ
    ンおよびその変性物100重量部に対し、分散剤として
    請求項1記載の、(1)成分を1〜10重量部、(2)
    成分を1〜20重量部の配合比率で含有させ、かつ、ロ
    ジンおよび/またはその変性物を加熱溶融したのち、攪
    拌下に、まず(1)成分を添加して均質化し、次いで
    (2)成分を添加して均質化したのち、反転水を加えて
    O/W型エマルジョンに反転させることを特徴とする請
    求項1記載の中性・酸性両抄紙用サイズ剤の製造方法。
  3. 【請求項3】 ミキシングチェスト(A)から、マシン
    チェスト(B)、原料移送ポンプ(C)を経てヘッドボ
    ックス(D)、ファンポンプ(G)から抄紙機(H)に
    導かれる紙の製造ラインにおいて、カチオン化澱粉、填
    料、硫酸バンドおよびサイズ剤を添加するに際し、カチ
    オン化澱粉は、ミキシングチェスト(A)へのヘッダー
    からマシンチェスト(B)間の原料のパルプと良く混合
    する場所で添加し、填料は、マシンチェスト(B)と、
    ファンポンプ(G)サクション配管から抄紙機インレッ
    ト(H)間にて分割添加し、硫酸バンドは、ヘッドボッ
    クス(D)送り原料ポンプ(C)のサクション配管で添
    加し、サイズ剤は、ヘッドボックス(D)とファンポン
    プ(G)サクション管までのヘッドボックス原料降下ラ
    イン(E)で添加し、かつ、サイズ剤として、請求項1
    記載の中性・酸性両抄紙用サイズ剤を使用することを特
    徴とする中性・酸性両抄紙用の抄紙サイジング方法。
  4. 【請求項4】 ミキシングチェスト(A)から、マシン
    チェスト(B)、原料移送ポンプ(C)を経てヘッドボ
    ックス(D)、ファンポンプ(G)から抄紙機(H)に
    導かれる紙の製造ラインにおいて、白水ピット(F)か
    らファンポンプ(G)サクション管部の間でアニオン化
    剤を添加し、抄紙機(H)のインレット原料のゼータ電
    位を調整する請求項3記載の中性・酸性両抄紙用の抄紙
    サイジング方法。
  5. 【請求項5】 請求項3または4記載の中性・酸性両抄
    紙用の抄紙サイジング方法で抄紙されたサイジング紙。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN114768705A (zh) * 2022-04-29 2022-07-22 江苏理文化工有限公司 一种高性能阴离子表面施胶剂的生产工艺

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