JPH10139581A - 単結晶引上げ装置用高温部材 - Google Patents

単結晶引上げ装置用高温部材

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JPH10139581A
JPH10139581A JP9211704A JP21170497A JPH10139581A JP H10139581 A JPH10139581 A JP H10139581A JP 9211704 A JP9211704 A JP 9211704A JP 21170497 A JP21170497 A JP 21170497A JP H10139581 A JPH10139581 A JP H10139581A
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crucible
single crystal
shield
glassy carbon
high temperature
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JP9211704A
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Masatoshi Yamaji
雅俊 山地
Toshiji Hiraoka
利治 平岡
Akihiro Miura
章博 三浦
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Toyo Tanso Co Ltd
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Toyo Tanso Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 C/C材製高温部材の本来有する長所(軽量
かつ高強度という点)を生かしつつ、その短所である、
SiC化反応に起因した「くわれ」現象はシリコン付着
成長に起因した冷却後の変形現象が生じやすい点を解消
し得る長寿命の高温部材を提供する点にある。 【解決手段】 C/C材製の単結晶引上げ装置用高温部
材の表面に存在する多数の微小な窪みの内面又は全体を
埋めるようにガラス状炭素を被覆した。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、チョクラルスキー
(CZ)法等による単結晶引上げ装置内の高温雰囲気下
で使用される部材に関するものである。
【0002】
【従来の技術】この種の単結晶引上げ装置の主要部は、
図1に示すようにシリコン等の半導体材料を溶融するた
め石英ルツボ(以下単に「ルツボ」という。)1と、該
石英ルツボ1を装着して支持するためのルツボ10とし
ての部材と、このルツボ1の周囲に配置されるヒートシ
ールドとしての部材から構成される。ヒートシールドは
熱を遮蔽したり、幅射したり、シリコン蒸気を整流した
り、装置内温度の均熱性や保温性を良くしたりすること
を目的とした部材の総称であり、主にインナーシールド
2、アッパーリングシールド3、ロアーリングシールド
4、下部シールド5及び上部シールド6から構成され
る。
【0003】インナーシールド2は、ルツボ1を加熱す
るための黒鉛ヒーター8を包囲する円筒形状のものであ
り、アッパーリングシールド3やロアーリングシールド
4は、それぞれインナーシールド2の上下に位置し、い
ずれも中空円板形状のものである。また、下部シールド
5は、ルツボ1の下側に位置し、ルツボ支持回転軸7が
通過できる穴を中央部に有し、縦断面が円錐筒状のもの
が一般的である。さらに、上部シールド6は、ルツボ1
の上方に位置しており、シリコン単結晶9が通過できる
開口を中央部に有し、縦断面が逆円錐筒状のものであ
る。以下、これらの部材(図中符号2,3,4,5,
6)を特に峻別する必要がない場合は、「ヒートシール
ド」の総称で代表的に説明する。
【0004】上記したような、単結晶引上げ装置内の高
温雰囲気下で使用される部材(以下「高温部材」と略記
する。)としては、従来から機械的強度及び耐熱性に優
れた黒鉛製の高温部材が用いられてきた。そして、支持
ルツボ10が黒鉛製の場合には、内側の石英ルツボ1と
の熱膨張差に起因する割れを防ぐため、一般に分割型の
支持ルツボを用いている。このため、ルツボの製造や引
上げ装置のメンテナンスが煩雑になりやすいという事情
がある。また、最近では単結晶の大口径化に伴い、単結
晶引上げ装置も大型化の傾向にあり、支持ルツボ10を
はじめとする装置内の高温部材(図中2,3,4,5,
6など)の重量増加が問題とされている。このような重
量増加は装置内の自由空間の狭小化とも相まって、いき
おいハンドリング性能の低下につながるからである。
【0005】こうした状況下で、軽量でありながら高強
度かつ耐熱性を有し、石英ルツボ1との熱膨張差もあま
り変わらないC/C材が着目され、すでにC/C材から
なる支持ルツボ10については公知とされており(実公
平3−43250号公報)、また支持ルツボ10以外の
高温部材についてもより薄肉化(軽量化)が可能で装置
経済性を改善できるとして、その採用が検討されてい
る。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかし、C/C材の長
所である軽量という特性は、組織構造的に見れば黒鉛よ
りもはるかにポーラス(多孔質)ということであり、こ
のためC/C材を単結晶引上げ装置内という特殊の高温
雰囲気下における高温部材として用いた場合、C/C材
製高温部材自体が被るダメージが黒鉛製部材よりも大き
く、従って、寿命もむしろ短くなってしまうということ
が明らかとなってきた。即ち、単結晶引上げ装置の運転
中は、支持ルツボ10の上部付近が溶融した単結晶材料
11及び石英ルツボ1から発生するSiOガスで充満す
るため、支持ルツボ10自体や溶融単結晶材料11の上
部付近に直面するヒートシールド(図中では主として
2,3,6の部材が相当)にC/C材製を使用していれ
ば、その表面に存在する多くに微小気孔にSiOガスが
入り込み、裸の炭素原子Cと反応してSiC化が容易に
進行する。この結果、いわゆる「くわれ」と言われる表
層部が欠ける現象が急速に進み、短期間のうちに寿命が
尽き、新たな高温部材の交換を余儀なくさせられること
になる。
【0007】また、装置の構造上、温度が比較的低くな
る部分に位置するヒートシールド(図中では、主として
4の部材,2の部材の下側が相当)の内面には、特にそ
の表面の微小気孔を核としてその周辺でシリコン蒸気が
凝縮し、付着しやすくなる。そして、一旦付着すると、
シリコン固化物が徐々に堆積し、ヒートシールドの内面
全体又は一部をでこぼこ(凹凸)状態にしてしまう。こ
のようなでこぼこ(凹凸)状態が生じたヒートシールド
は、冷却後に変形し又は反りとなって現れるため、繰り
返して使用することができなくなり、結局寿命が尽きる
ことになる。
【0008】本発明は、上記の事情に鑑みてなされたも
のであり、その目的とするところは、C/C材製高温部
材の本来有する長所(軽量かつ高強度という点)を生か
しつつ、その短所である、SiC化反応に起因した「く
われ」現象はシリコン付着成長に起因した冷却後の変形
現象が生じやすい点を解消し得る高温部材を提供する点
にある。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成し得た本
発明のうち請求項1記載の発明は、C/C材からなる単
結晶引上げ装置用高温部材であって、該部材の表面の全
体又は一部にガラス状炭素を被覆してなることを特徴と
する。これにより、高温部材の表面に存在する多くの微
小気孔の内面がガラス状炭素で被覆されるため、又は微
小気孔全体がガラス状炭素で埋められるため、CとSi
Oガスとの反応が抑制され、SiC化の進行を阻止する
ことができる。しかも、シリコンの凝縮が起こりやすい
核としての微小気孔をなくせるので、シリコン付着の抑
制効果は大きく、従来の高温部材の内面に生じていた程
のシリコン付着層による著しいでこぼこ(凹凸)状態の
形成を回避することができ、この結果、冷却後の変形,
反りを防止することができる。
【0010】また、請求項2記載の発明は、請求項1記
載の発明の構成のうち、ガラス状炭素を被覆した部分に
おける高温部材の比表面積が4.0m2 /g以下である
ことを特徴とする。これにより、請求項1記載の発明の
効果をより確実に発揮させることができる。
【0011】また、請求項3記載の発明は、請求項1又
は請求項2記載の発明の構成のうち、C/C材の特性と
して、嵩密度が1.5(Mg/m3)以上、曲げ強度が100
MPa以上、シャルピー衝撃強さが40kgcm/cm2以上、弾
性係数が90GPa 以上であることを特徴とする。これに
より、請求項1又は請求項2記載の発明の効果に加え
て、機械的強度が向上する分、薄肉化が可能となり、装
置の軽量化に貢献することができ、ハンドリング性能の
向上に貢献することができる。
【0012】また、請求項4記載の発明は、請求項1乃
至請求項3のいずれか一項に記載の発明の構成のうち、
高温部材がルツボであることを特徴とする。これによ
り、軽量かつ高強度でありながらも、SiC化を阻止で
き、くわれが発生しにくく長寿命の単結晶引上げ装置用
ルツボを提供することができる。
【0013】また、請求項5記載の発明は、請求項1乃
至請求項3のいずれか一項に記載の発明の構成のうち、
高温部材がヒートシールドであることを特徴とする。こ
れにより、軽量かつ高強度でありながらも、SiC化を
阻止でき、くわれが発生しにくく又変形や反りの少ない
長寿命の単結晶引上げ装置用ヒートシールドを提供する
ことができる。
【0014】さらに、請求項6記載の発明は、請求項5
記載の発明の構成のうち、ヒートシールドが、インナー
シールド、アッパーリングシールド、ロアーリングシー
ルド、下部シールド又は上部シールドのいずれかである
ことを特徴とする。これにより、単結晶引上げ装置の少
なくとも主要なヒートシールドの延命化を可能として、
装置の運転コストの低減化を図ることができる。
【0015】上記において、C/C材とは、炭素繊維に
ピッチ又は樹脂を含浸させてプリプレグにして成形し、
炭素化処理、黒鉛化処理を施して得られたものであり、
黒鉛の特性を有しつつ機械的強度を向上させたものであ
る。製法としては、まず成形体の製作に際し、ピッチ系
又はPAN系の炭素繊維を出発物質とするUD又は2−
Dに樹脂を含浸させたプリプレグにして積層・硬化させ
たり、3−D又はn−D織物に樹脂を含浸させて加熱・
硬化させる等の方法が有効である。
【0016】また、高温部材がルツボの場合は、上記方
法以外にも、フィラメントワインディング(FW)法の
実施が可能であり、この方法により炭素繊維を巻き付け
た後加熱・硬化させることによりルツボ成形体を効率よ
く得ることができる。こうして製作された成形体に対し
て非酸化性雰囲気下で炭化を行い、炭素化C/Cにす
る。続いてピッチ又は樹脂の再含浸、炭化、又はCVD
処理を繰り返しながら緻密化を行う。次に高温熱処理を
行なって黒鉛化C/Cにする。最後に高純度化処理(ハ
ロゲンガスと反応させて金属不純物を除去する処理)を
行うことにより、単結晶引上げ装置用の高温部材に適し
たC/C材を得る。
【0017】このようにして得られたC/C材は内部に
炭素繊維を有する複合材であるがために、全体的にポー
ラスであり、特に表面には開気孔等に起因する微小な窪
みが多数散らばった状態で存在している。このような状
態の表面にSiOガスが接触すると、マトリックスたる
裸の炭素原子Cと容易に反応してSiC化し、つまり
「くわれ」が生じやすくなり、またシリコン蒸気が接触
すると、雰囲気温度の低下と共にシリコン蒸気の凝縮が
微小な窪みを中心として進み、シリコン付着層が形成さ
れやすくなる。
【0018】そこで、かかるSiC化の進行やシリコン
付着層の形成を阻止又は可能な限り遅らせるために、C
/C材の表面に存在する多数の微小な窪みの内面を埋め
るように、ガラス状炭素を被覆する手段が非常に有効と
なる。
【0019】ここで、ガラス状炭素とは、有機重合体か
らなる溶液、例えば、フェノール樹脂やポリアミドイミ
ド樹脂等の熱硬化性樹脂を有機溶媒により適宜希釈した
もの、又は、塩化ビニル樹脂等の熱可塑性樹脂を熱分解
したタール状物質とトリクロルエチレン等の溶剤に溶解
したものに、炭素からなる基材を浸漬する等の工程によ
り、該基材の表面に前記樹脂が化学的に転換されて析出
されるものであり、緻密質で硬く、気液不透過性に優れ
た炭素である。従って、このガラス状炭素を、C/C材
からなる成形体の表面に被覆し、上記のように多数の窪
みを埋めることによりSiOガスとC/C材の表面に現
れた炭素原子Cとの接触を断ち、またシリコン蒸気がC
/C材の表面に凝着しにくくして、SiC化の進行やシ
リコン付着層の形成を効果的に抑制することができる。
【0020】なお、ガラス状炭素の被覆は、SiC化が
進みやすい部分やシリコン蒸気の蒸着が進みやすい部分
のみに実施することも可能である。例えば、ルツボであ
れば、内面だけ全体的に被覆するとか、内面のうちわん
曲隅部のみに又はわん曲隅部と直胴部のみに被覆するこ
とも可能である。また、ヒートシールドについて言え
ば、例えばインナーシールドであれば上部内面のみ被覆
したり、ロアーリングシールドやアッパーリングシール
ドであればリングの内面側のみ被覆しても十分な効果を
発揮することができる。
【0021】なお、このようなガラス状炭素の被覆効果
が出やすくするためには、被覆後のC/C材の比表面積
が4.0m2 /g以下となるように被覆されたものであ
ることが望ましい。また、C/C材としては、その特性
として、嵩密度が1.5(Mg/m3)以上、曲げ強度が10
0MPa 以上、シャルピー衝撃強さが40kgcm/cm2以上、
弾性係数が90GPa 以上であるものが望ましい。機械的
強度が向上する分、薄肉化が可能となり、装置の軽量化
に貢献することができ、ハンドリング性能の向上にもつ
ながるからである。
【0022】
【発明の実施の形態】以下に、本発明に係る単結晶引き
上げ装置用高温部材の実施形態について、図面を参照し
つつ説明する。 (1)図2は、本発明に係るルツボの一例についての縦
断面図であり、C/C材製のルツボ本体22の表面の全
体に薄いガラス状炭素の被覆層23aが形成されたルツ
ボ21を示している。
【0023】図3に示すルツボ31は、図2に示される
ルツボ21と異なる構成例であり、ルツボ本体32の内
面の一部にガラス状炭素を被覆した例を示している。即
ち、図3のルツボ31では、わん曲隅部32bと直胴部
32aがC/C材により形成され、底部32cが黒鉛材
により形成されたルツボ本体32の内面のうち、わん曲
隅部32bと直胴部32aのみにガラス状炭素を被覆し
た例を示している。図中33aは、ガラス状炭素の被覆
層である。
【0024】なお、ルツボの形状は、図2や図3に示す
ように一般にコップ状をしており、具体的に図2につい
て言えば、底部22cと、該底部22cに連続してわん
曲しながら上方へ立ち上がる部分、つまりわん曲部22
bと、このわん曲隅部22bに連続して真っ直ぐ上方に
伸び上がる直胴部22aとによって構成される。
【0025】また、C/C材からなるルツボ本体22の
製造は、いわゆるフィラメントワインディング(FW)
法による以外に、例えば炭素繊維からなる2−Dクロス
に樹脂を含浸させて積層させる方法や短繊維を使用した
分散型C/Cの製造法等を用いることもできる。
【0026】上記のようにガラス状炭素は、ルツボ本体
22の表面に存在する微小な窪みの内面を埋めるように
被覆されるものである。従って、この被覆層23a、3
3aは、微小な窪みが埋まる程度にガラス状炭素の被覆
層23a,33aが形成できれば、その被覆層23a,
33aの厚みをを必要以上に厚くせずとも、十分実用的
に改善効果を発揮させることができる。もちろん、ガラ
ス状炭素の厚みを大きくとってさらに効果を高めようと
する構成も採用可能である。
【0027】図4は、C/C材製ルツボの表面の一部拡
大断面図であり、同図(a)は、C/C材のみからなる
ルツボの本体42の表面に、微小孔からなる窪み44が
存在する状況を模式的に示しており、同図(b)は、ル
ツボ本体42の表面の全体がガラス状炭素の被覆層43
で覆われ、この結果、ガラス状炭素の被覆層43が、微
小窪み44の内面又は全部を埋めるように形成されてい
る状況を模式的に示している。なお、図4における被覆
層43とは、図2における被覆層23a,図3における
33aの両者を含む意味である。
【0028】この被覆層43の形成は、C/C材からな
るルツボ本体42の表面の全体又は一部に、有機重合体
からなる溶液に浸漬または塗布させることを含む工程に
より行われる。これにより、ガラス状炭素をルツボ本体
42の表面に存在する多数の微小な窪み44の内面まで
被覆することができる。なお、有機重合体の浸漬又は塗
布に際しては、ガラス状炭素を被覆した後のルツボ本体
42の比表面積が4.0m2 /g以下となるように浸漬
又は塗布することが望ましい。
【0029】比表面積が4.0m2 /g以下となるよう
にガラス状炭素の被覆層43が形成されたルツボ本体4
2であれば、ガラス状炭素を被覆する基本的な目的であ
るSiC化の進行阻止及びシリコン付着層の形成抑制を
より確実に達成させることができるからである。
【0030】(2)図5は、本発明に係るC/C材製の
ヒートシールドの設置例を示す縦断面図であり、その内
面(ルツボ側空間に接触する表面)の全体に斜線で示す
ようにガラス状炭素の被覆層12を形成している。被覆
層12を生成するには、上述のルツボの場合と同様に実
施すればよく、この被覆によって図4で説明した作用効
果と同様、表面に存在する微小窪みの内面が埋められ
る。従って、ルツボの場合と同様、SiOガスとヒート
シールド内面の炭素原子Cとの接触を断ち、SiC化の
進行を阻止することができる。また、インナーシールド
2の下側は比較的低温になるので、この付近でシリコン
蒸気は凝縮しやすくなるが、インナーシールド2の内面
下側にもガラス状炭素の被覆層12を形成しておくこと
により、シリコン蒸気の凝縮,付着を有効に回避し、抑
制することができる。
【0031】図5は、ヒートシールドとして筒状のイン
ナーシールド2全体をロアーリングシールド4の内周側
上部で支えると共に、インナーシールド2の上端にはア
ッパーリングシールド3の内周側下部を直接取り付け、
さらにこのアッパーリングシールド3の内周側上部で上
部シールド6を支える構造例を示したものである。
【0032】ヒートシールドとしてインナーシールド
2,アッパーリングシールド3、ロアーリングシールド
4及び上部シールド6が離れて配置される場合は、基本
的に空間Sに対してむき出し状態となる表面にガラス状
炭素を被覆すればよいが、その場合でも、単結晶引上げ
時に発生するSiOガスやシリコン蒸気の量又はこれら
がルツボを中心とする空間Sをただよう際の挙動によっ
ては、SiOガスやシリコン蒸気の影響を受けやすい部
分が比較的限定される場合もありうる。このような場合
は、その影響を受けやすい部分の表面にのみガラス状炭
素を被覆するだけでも、本発明の目的をほぼ有効に達成
することができる。さらに、通常は上部シールド6が最
も影響を受けやすいことを考慮し、もちろん上部シール
ド6に対しても本発明は有効であるが、経済的観点から
この上部シールド6だけを使い捨て部材として構成する
ことも可能であり、例えば黒鉛等の基材の上にSiCコ
ートを施したものを採用することも可能である。
【0033】次に本発明の高温部材を組み込んだ単結晶
引上げ装置の運転例について図6を参照しつつ説明す
る。図6において単結晶引上げ装置の主要部分は、本発
明に係るルツボ61と、ルツボ61によりその内側に支
持される石英ルツボ1と、ルツボ61の外側で一定距離
の位置にルツボ61を覆うように設けられるヒーター8
と、さらにその外側に配置されるヒートシールドによっ
て構成されている。ヒートシールドの構成は、図5と同
様であり、インナーシールド2,アッパーリングシール
ド3、ロアーリングシールド4,下部シールド5及び上
部シールド6により形成される。13は、インナーシー
ルド2の外周に装着された断熱材層である。
【0034】ヒータ8が高温に加熱されると、ルツボ6
1を通して石英ルツボ1の内部が加熱され、石英ルツボ
1の内部に蓄えられる結晶の原料が溶融される。ルツボ
61は、ルツボ受台14の上に支持されており、このル
ツボ受台14が図示しない駆動機構により回転軸7を介
して回転することで、その内側の石英ルツボ1と一体と
なって回転する。
【0035】単結晶の製造は、ヒータ8の加熱によって
石英ルツボ1内の結晶原料を溶融しつつルツボ61を回
転させながら成長させることにより行うので、ヒーター
8の周囲は高温の環境となる。特にルツボ61の上部付
近、従って空間S内の上側は下側に比べてより高温雰囲
気となる。そのため、石英ルツボ1内で溶融した結晶原
料11の上部付近にはSiOガスが発生する。また、同
時にシリコン蒸気も立ち上がり、空間S内をヒートシー
ルドに沿って循環する。
【0036】しかし、ルツボ61は、前述のようにその
表面にガラス状炭素が被覆されているので、SiOガス
に晒されても、ルツボ本体を構成するC/C材表面の炭
素原子Cとの接触を効果的に遮断でき、SiC化の進行
を阻止することができる。また、インナーシールド2,
アッパーリングシールド3、ロアーリングシールド4,
下部シールド5及び上部シールド6で構成されるヒート
シールドの内面にもガラス状炭素が被覆されている(図
中、被覆層12と表記している)ので、ルツボの場合と
同様のSiC化進行抑制効果を発揮できると共に、比較
的低温となりやすい部分でのシリコンの凝縮,付着現象
の発生,進行を抑制することができる。
【0037】単結晶の製造が終了すると、ヒータ8の加
熱は終わり、ルツボ61および石英ルツボ1は冷却され
る。単結晶製造時における加熱により、ルツボ61およ
び石英ルツボ1は、それぞれの熱膨張係数に基づいて膨
張するが、加熱を終えた後の冷却工程では、これらのル
ツボは収縮する。石英ルツボ1の構成材であるSiO 2
とルツボ61の構成材であるC/C材とは、その熱膨張
差が少なく、膨張と収縮による変形差に伴うこれら二つ
のルツボ間で生ずる歪みは少なく、剥離等の問題は生じ
ない。また、ルツボ61は、機械強度の高いC/C材に
より構成されているので、冷却時のSi残渣のルツボ径
方向および高さ方向の膨張による応力に十分耐えること
ができる。
【0038】また、ヒートシールドであるインナーシー
ルド2,アッパーリングシールド3、ロアーリングシー
ルド4,下部シールド5及び上部シールド6の内面に
は、シリコン付着層がほとんど形成されないが、たとえ
形成されてもごくわずかであるため、冷却後にこれらの
ヒートシールドに変形や反りが生ずることはほとんどな
い。
【0039】
【実施例】まず、C/C材からなるルツボ本体(図2の
22相当)の製造工程の概略を説明する。PAN系12
K炭素繊維フィラメント(東邦レーヨン製HTA−12
K)に、フェノール樹脂(住友デュレス製PR−502
73)を含浸させ、別に用意したルツボ形状のマンドレ
ルにフィラメントワインディング法により巻き取った。
この時の巻き方は、マンドレルに備わる巻取り用回転軸
に対して若干の角度を持たせて巻き掛けるレベル巻き
と、前記回転軸に対して直交する方向に巻き掛けるパラ
レル巻きとを交互に行った。
【0040】次に、風乾後、成形硬化させて、かさ密度
1.3のルツボ形状の成形体を得た。そして、10℃/
minの昇温速度で約1000℃まで焼成した後に、ピ
ッチ含浸、焼成を繰り返して緻密化処理を行った。更に
2000℃で最終熱処理を行い、かさ密度1.65のル
ツボ成形体とした後、この成形体から試験片用の基材と
すべく、60×10×厚み3(mm)の小片を複数切り
出した。なお、ルツボ成形体自体は、上記の製造工程に
おいて原料炭素繊維の結束力および巻取り張力を調整す
る等により、C/C材として最大級の比表面積を持つも
のとして得られたものである。
【0041】次に、SiOガスとの反応試験に用いた6
つの試験片について説明する。 (1)実施例1 まず、本発明に係るルツボの試験片とすべく、以下の要
領でガラス状炭素の表面被覆を行った。上記で得られた
60×10×厚み3(mm)の試験片用基材を、有機重
合体からなる溶液としてのポリアミドイミド樹脂(小原
化工製AI−10)のN−メチル−2−ピロリドン20
%溶液に1時間浸漬した後、取り出して乾燥させ、30
0℃で硬化させた。その後、不活性雰囲気下で約800
℃で焼成し、さらに高純度化処理を行った。 (2)実施例2 実施例1と同じ試験片用基材を使用して実施例1と同じ
有機重合体溶液中に30分間浸漬した。溶液から取り出
した後は、実施例1と同様な条件で硬化、焼成、高純度
化処理を行った。 (3)実施例3 実施例1と同じ試験片用基材を使用してその表面に実施
例1と同じ有機重合体溶液を1回塗布し、乾燥させの後
は、実施例1と同様な条件で硬化、焼成、高純度化処理
を行った。 (4)実施例4 実施例3の処理条件と基本的に同様であるが、有機重合
体溶液の塗布回数を2回とした。 (5)比較例1 上記で得られた60×10×厚み3(mm)の試験片用
基材そのものつまりC/C材のみからなる基材を高純度
化処理を行い、従来型C/C材ルツボの試験片としたも
のである。 (6)比較例2 東洋炭素製の等方性黒鉛材を、60×10×厚み3(m
m)の大きさに加工した後に高純度化処理を行った従来
型ルツボとしての試験片である。
【0042】上記の各試験片について、SiOガスとの
反応試験を行い、物性との関係及びSiC化率を調べ
た。物性は、まず反応試験前の比表面積(m2 /g)を
調べた。比表面積の測定は、φ5×20mmサンプルを
用いてCARLO ERBAINSTRUMENTS製
SORPTOMATIC 1900で窒素吸着法(B
ET法)により行った。また、反応前後の嵩密度(g/c
m3)を調べた。さらに、SiOガスとの反応に伴う試験
片の重量増加率(%)及びSiC化率(%)は、下記の
算出式により求めた。SiOガスとの反応試験は、各試
験片を真空炉内にセットし、温度1800℃、圧力10
0torrの条件下でSiOガス雰囲気中に5時間さら
した。
【0043】SiOガスが炭素原子Cに接触すると、以
下の式で表される反応が進行する。 SiO + 2C → SiC + CO↑ 従って、試験前の質量であるCの質量をW1 、試験後の
質量であるSiCの質量をW2 と表すと、重量増加率
(%)は、 重量増加率=(W2 /W1 −1)×100 で計算され、またSiC化率(%)は、モル比に換算し
て総重量からSiCの重量%を決定し、 SiC化率=(W2 −W1 )/((40/24)・W1 −W1 ))× 100 =(3/2)(W2 /W1 −1)×100 で求めることができる。上記で得られた各試験片(実施
例1〜4,比較例1,2)について物性と重量増加率
(%)、SiC化率(%)の結果との関係をまとめて表
1に示す。なお、表1中、d1 は試験を行う前における
各試料のかさ密度(g/cm3)を、d2 は試験を行った後に
おける各試料のかさ密度(g/cm3)を表している。
【0044】
【表1】
【0045】表1から明らかなように、本発明ルツボに
係る実施例1〜4のSiC化率はいずれも比較例1,2
に比べて低い結果となっており、ガラス状炭素被覆の形
成によるSiC化抑制効果が得られていることが分か
る。特に、比表面積が少ない実施例ほど表面に被覆され
たガラス状炭素のSiOガス不透過性能が高まり、その
分、SiC化抑制効果が高くなっていることが理解でき
る。
【0046】また、実施例3を比較例1と比べた場合、
比表面積そのものは0.4m2 /gと約10%少ない程
度にすぎないが、SiC化率は、比較例1よりも約23
%も低くなっている。実施例3は、有機重合体からなる
溶液を表面に1回塗布したものであり、従ってガラス状
炭素の被覆膜が比較的薄く形成されている場合でも、S
iOガスとの反応を抑制する効果は十分発揮できている
ことが分かる。
【0047】(7)実施例5 本発明に係るインナーシールドの試験片を製作すべく、
以下の要領で実施した。まず炭素繊維織布、いわゆるC
Fクロスとして6K平織り(トレカT−300)を使用
し、このCFクロスにフェノール樹脂(住友デュレス製
PR−50273)を含浸させた後、樹脂量及び揮発分
を調整してプリプレグを得た。
【0048】次に、このプリプレグを300×300
(mm)に裁断したものを、定盤の上に順々に積み重
ね、40枚(厚み12mm)になったところで、一番上
に耐熱ナイロンシートを掛けて真空パックし、真空引き
しながら160℃に設定したオーブン内に2時間放置し
て熱硬化させた。こうして300×300×厚み12
(mm)の大きさで嵩密度1.35の炭素繊維強化樹脂
複合材(CFRP)を得た。
【0049】得られたCFRPを電気炉にセットし、N
2 ガスを流しながら10℃/hの昇温速度で800℃ま
で昇温し、C/C材を得た。この後、ピッチ含浸,焼成
を3回繰り返して緻密化処理を行った。さらに、最終熱
処理としてはN2 ガスを流しながら2000℃まで加熱
し、嵩密度1.6(g/cm3),曲げ強さ155MPa,シ
ャルピー衝撃強さ45kgcm/cm2 ,弾性係数10
5GPaの物性からなる2D−C/C材を得た。この2
D−C/C材から60×10×厚み3(mm)の試験片
を切り出し、そのうち1つに対して以下の要領でガラス
状炭素の表面被覆を行い、さらに高純度化処理を行っ
た。
【0050】即ち、上記の試験片にフェノール樹脂(住
友デュレス製PR−50273)を含浸させて表面コー
トした後、室温を20℃/hの昇温速度で200℃まで
上げて2時間保持した。その後、電気炉にセットし、N
2 ガスを流しながら50℃/hの昇温速度で800℃ま
で昇温し、2時間保持した。この後、さらにN2 ガスを
流しながら2000℃の最終熱処理を行った。
【0051】得られたインナーシールド用試験片につい
ても物性を調べた後、実施例1〜4及び比較例1,2に
おけるルツボ試験片の場合と同様にSiOガスとの反応
試験を行って、重量増加率(%)及びSiC化率(%)
を調べた。但し、反応時間は1時間とした。その結果を
表2に示す。
【0052】(8)比較例3 実施例5で得られた60×10×厚み3(mm)の2D
−C/C材を従来型C/C材インナーシールドの試験片
とし、高純度化したものを準備しこれについても実施例
5と同様にSiOガスとの反応試験を行った。その結果
を表2に併せて示す。
【0053】
【表2】
【0054】表2から明らかなように、本発明インナー
シールドに係る実施例5のSiC化率は比較例3に比べ
て約1/2となっており、ガラス状炭素によりSiC化
抑制効果が得られていることが分かる。
【0055】
【発明の効果】以上説明したように、本発明のうち請求
項1記載の発明は、C/C材からなる単結晶引上げ装置
用高温部材であって、該部材の表面の全体又は一部にガ
ラス状炭素を被覆したものである。従って、高温部材の
表面に存在する多くの微小気孔の内面がガラス状炭素で
被覆されるため、又は微小気孔全体がガラス状炭素で埋
められるため、CとSiOガスとの反応が抑制され、S
iC化の進行を阻止することができる。しかも、シリコ
ンの凝縮が起こりやすい核としての微小気孔をなくせる
ので、シリコン付着の抑制効果は大きく、従来の高温部
材の内面に生じていた程のシリコン付着層による著しい
でこぼこ(凹凸)状態の形成を回避することができ、こ
の結果、冷却後の変形,反りを防止することができる。
【0056】また、請求項2記載の発明は、請求項1記
載の発明の構成のうち、ガラス状炭素の被覆の程度が、
被覆後の高温部材の比表面積にして4.0m2 /g以下
となるようにしたものである。従って、請求項1記載の
発明の効果をより確実に発揮させることができる。
【0057】また、請求項3記載の発明は、請求項1又
は請求項2記載の発明の構成のうち、高温部材の本体た
るC/C材として、嵩密度が1.5(Mg/m3)以上、曲げ
強度が100MPa 以上、シャルピー衝撃強さが40kgcm
/cm2以上、弾性係数が90GPa 以上の物性を有するもの
を採用したものである。従って、請求項1又は請求項2
記載の発明の効果に加えて、機械的強度が向上する分、
薄肉化が可能となり、装置の軽量化に貢献することがで
き、ハンドリング性能の向上に貢献することができる。
【0058】また、請求項4記載の発明によれば、単結
晶引上げ装置用ルツボとして、軽量かつ高強度でありな
がらも、SiC化を阻止でき、くわれが発生しにくもの
とすることができる。
【0059】また、請求項5記載の発明によれば、単結
晶引上げ装置用ヒートシールドとして、軽量かつ高強度
でありながらも、SiC化を阻止でき、くわれが発生し
にくく又変形や反りの少ないものとすることができる。
【0060】さらに、請求項6記載の発明によれば、単
結晶引上げ装置の少なくとも主要なヒートシールドの延
命化を可能として、装置の運転コストの低減化を図るこ
とができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】代表的な単結晶引上げ装置の要部断面概略説明
図である。
【図2】本発明に係るルツボの縦断面図である。
【図3】本発明に係る他のルツボの縦断面図である。
【図4】ルツボを構成するC/C材の表面状態を示す図
であり、(a)はC/C材のみのルツボ、(b)はガラ
ス状炭素を被覆したC/C材ルツボを示している。
【図5】本発明に係るヒートシールドを配置した単結晶
引上げ装置の要部断面概略説明図である。
【図6】本発明に係る高温部材を配置した単結晶引上げ
装置の運転状況を示す概略断面説明図である。
【符号の説明】
1 石英ルツボ 2 インナーシールド 3 アッパーリングシールド 4 ロアーリングシールド 5 下部シールド 6 上部シールド 7 回転軸 8 ヒーター 9 シリコン単結晶 10 支持ルツボ 11 溶融結晶原料 12,23a,33a,43 ガラス状炭素被覆層 13 断熱材層 14 ルツボ受台 21,31,61 ガラス状炭素を被覆したルツボ 22,32,42 ルツボ本体 44 微小窪み

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 C/C材からなる単結晶引上げ装置用高
    温部材であって、該部材の表面の全体又は一部にガラス
    状炭素を被覆してなることを特徴とする単結晶引上げ装
    置用高温部材。
  2. 【請求項2】 ガラス状炭素を被覆した部分における高
    温部材の比表面積が4.0m2 /g以下である請求項1
    記載の単結晶引上げ装置用高温部材。
  3. 【請求項3】 C/C材の特性として、嵩密度が1.5
    (Mg/m3)以上、曲げ強度が100MPa 以上、シャルピー
    衝撃強さが40kgcm/cm2以上、弾性係数が90GPa 以上
    である請求項1又は請求項2に記載の単結晶引上げ装置
    用高温部材。
  4. 【請求項4】 高温部材がルツボである請求項1乃至請
    求項3のいずれか一項に記載の単結晶引上げ装置用高温
    部材。
  5. 【請求項5】 高温部材がヒートシールドである請求項
    1乃至請求項3のいずれか一項に記載の単結晶引上げ装
    置用高温部材。
  6. 【請求項6】 ヒートシールドが、インナーシールド、
    アッパーリングシールド、ロアーリングシールド、下部
    シールド又は上部シールドのいずれかである請求項5記
    載の単結晶引上げ装置用高温部材。
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