JPH10160930A - ペリクル光学素子 - Google Patents
ペリクル光学素子Info
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- JPH10160930A JPH10160930A JP33636596A JP33636596A JPH10160930A JP H10160930 A JPH10160930 A JP H10160930A JP 33636596 A JP33636596 A JP 33636596A JP 33636596 A JP33636596 A JP 33636596A JP H10160930 A JPH10160930 A JP H10160930A
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- film
- optical element
- pellicle
- multilayer film
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 多層膜の膜応力による歪みがなく、高精度な
平面を有するペリクル光学素子を得る。 【解決手段】 高分子基体1は樹脂をフィルム状に引き
延ばして形成したもので、高分子基体1をペリクル枠2
に接着剤3を用いて接着する。このペリクル枠2に高い
面精度を保って固定された高分子基体1の表面に、薄膜
形成装置により、高屈折率の薄膜と低屈折率の薄膜とが
交互に積層された多層膜を形成し、その膜応力を、1.
5×105dyn/cm2よりも小さくする。多層膜の膜
応力を1.5×105dyn/cm2よりも小さく抑える
と、薄い高分子基体上に多層膜を形成しても、ペリクル
光学素子には膜応力による歪みが発生せず、高精度な平
面が保たれる。
平面を有するペリクル光学素子を得る。 【解決手段】 高分子基体1は樹脂をフィルム状に引き
延ばして形成したもので、高分子基体1をペリクル枠2
に接着剤3を用いて接着する。このペリクル枠2に高い
面精度を保って固定された高分子基体1の表面に、薄膜
形成装置により、高屈折率の薄膜と低屈折率の薄膜とが
交互に積層された多層膜を形成し、その膜応力を、1.
5×105dyn/cm2よりも小さくする。多層膜の膜
応力を1.5×105dyn/cm2よりも小さく抑える
と、薄い高分子基体上に多層膜を形成しても、ペリクル
光学素子には膜応力による歪みが発生せず、高精度な平
面が保たれる。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ビームスプリッタ
やダイクロイックミラーなどに用いられるペリクル光学
素子に係り、特に平面性の高いペリクル光学素子に関す
る。
やダイクロイックミラーなどに用いられるペリクル光学
素子に係り、特に平面性の高いペリクル光学素子に関す
る。
【0002】
【従来の技術】従来、ビームスプリッタやダイクロイッ
クミラーには、所定のコーティングを表面に施したガラ
ス製のものや、所定のコーティングを表面に施した樹脂
フィルム(ペリクルと呼ばれる。)製のものがある。ビ
ームスプリッタ、ダイクロイックミラーなど光学素子上
に成膜される薄膜には、高屈折率を有する物質と低屈折
率を有する物質とを交互に積層した多層膜が知られてい
る。高屈折率物質としては、酸化チタン、酸化ジルコニ
ウム、五酸化タンタルなどが挙げられ、また、低屈折率
物質としては、酸化珪素、弗化マグネシウムなどが挙げ
られる。これらの物質は、通常、電子線蒸着(EB蒸
着)、スパッタリング、イオンプレーティングなどの方
法により基材に成膜される。
クミラーには、所定のコーティングを表面に施したガラ
ス製のものや、所定のコーティングを表面に施した樹脂
フィルム(ペリクルと呼ばれる。)製のものがある。ビ
ームスプリッタ、ダイクロイックミラーなど光学素子上
に成膜される薄膜には、高屈折率を有する物質と低屈折
率を有する物質とを交互に積層した多層膜が知られてい
る。高屈折率物質としては、酸化チタン、酸化ジルコニ
ウム、五酸化タンタルなどが挙げられ、また、低屈折率
物質としては、酸化珪素、弗化マグネシウムなどが挙げ
られる。これらの物質は、通常、電子線蒸着(EB蒸
着)、スパッタリング、イオンプレーティングなどの方
法により基材に成膜される。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ビームスプリッタは入
射光線束を二分割して一部を透過し、もう一部を反射す
る光学素子であり、ダイクロイックミラーは入射する可
視光の一部の波長範囲を反射し、残りを透過する光学素
子である。つまり、ビームスプリッタも、ダイクロイッ
クミラーも共に透過と反射の機能を持った光学素子であ
る。反射機能の観点から、これらの光学素子の表面に
は、高精度の平面が要求される。殊に、一度光学素子で
分離した光を再び合成する光学系(シュリーレン光学系
など)に用いる場合、高い平面性が要求される。
射光線束を二分割して一部を透過し、もう一部を反射す
る光学素子であり、ダイクロイックミラーは入射する可
視光の一部の波長範囲を反射し、残りを透過する光学素
子である。つまり、ビームスプリッタも、ダイクロイッ
クミラーも共に透過と反射の機能を持った光学素子であ
る。反射機能の観点から、これらの光学素子の表面に
は、高精度の平面が要求される。殊に、一度光学素子で
分離した光を再び合成する光学系(シュリーレン光学系
など)に用いる場合、高い平面性が要求される。
【0004】高精度の平面を形成するには、光学素子の
基体として、ガラスが有利である。しかし、ガラスの基
体は、フィルムのように薄く製作するのは困難であり、
どうしても厚くなるため、材質の屈折率による光路長の
変化が大きく、問題となる。一方、ペリクルを用いた光
学素子(以下ペリクル光学素子という。)は、厚さを非
常に薄くできる点で有利であり、ビームスプリッタなど
を多数用いる光学系では、全体の光学設計を簡略化する
ためにも高精度の平面を有するペリクル光学素子が求め
られている。
基体として、ガラスが有利である。しかし、ガラスの基
体は、フィルムのように薄く製作するのは困難であり、
どうしても厚くなるため、材質の屈折率による光路長の
変化が大きく、問題となる。一方、ペリクルを用いた光
学素子(以下ペリクル光学素子という。)は、厚さを非
常に薄くできる点で有利であり、ビームスプリッタなど
を多数用いる光学系では、全体の光学設計を簡略化する
ためにも高精度の平面を有するペリクル光学素子が求め
られている。
【0005】しかしながら、上記EB蒸着等の成膜法で
多層膜を形成したペリクル光学素子には、歪みが発生
し、面精度がでなかった。これは、ペリクル光学素子の
場合、成膜する基体(ペリクル)の厚さが薄いため、多
層膜の膜応力によって面精度が悪化するからである。一
般的に、酸化チタンは引っ張りの膜応力を持ち、酸化珪
素は圧縮の膜応力を有する。例えば、従来のEB蒸着法
による薄膜の膜応力の値は、酸化チタンで1〜3×10
9dyn/cm2の引っ張り応力、酸化珪素で1〜2×1
09dyn/cm2の圧縮応力である。このとき、これら
の膜応力を相殺して膜応力の小さい多層膜を製作するこ
とが試みられたが、109dyn/cm2のオーダーの膜
応力が残ってしまい、歪みが発生した。
多層膜を形成したペリクル光学素子には、歪みが発生
し、面精度がでなかった。これは、ペリクル光学素子の
場合、成膜する基体(ペリクル)の厚さが薄いため、多
層膜の膜応力によって面精度が悪化するからである。一
般的に、酸化チタンは引っ張りの膜応力を持ち、酸化珪
素は圧縮の膜応力を有する。例えば、従来のEB蒸着法
による薄膜の膜応力の値は、酸化チタンで1〜3×10
9dyn/cm2の引っ張り応力、酸化珪素で1〜2×1
09dyn/cm2の圧縮応力である。このとき、これら
の膜応力を相殺して膜応力の小さい多層膜を製作するこ
とが試みられたが、109dyn/cm2のオーダーの膜
応力が残ってしまい、歪みが発生した。
【0006】本発明は、このような従来技術の問題点に
鑑みてなされたもので、高精度な平面を有するペリクル
光学素子を提供することを目的とする。
鑑みてなされたもので、高精度な平面を有するペリクル
光学素子を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明は、高分子基体上に形成される多層膜の膜応
力を、1.5×105dyn/cm2以下としたペリクル
光学素子である。
に、本発明は、高分子基体上に形成される多層膜の膜応
力を、1.5×105dyn/cm2以下としたペリクル
光学素子である。
【0008】多層膜の膜応力を1.5×105dyn/
cm2よりも小さく抑えると、薄い高分子基体上に多層
膜を形成しても、ペリクル光学素子には膜応力による歪
みが発生せず、高精度な平面が保たれる。例えば、面精
度が干渉縞10本程度に保たれた薄い高分子基体上に1
×105dyn/cm2程度の膜応力の多層膜を成膜し、
成膜後のペリクル光学素子の干渉縞をフィゾー干渉法に
より測定しても、成膜前と同等の面精度が得られる。従
って、一度分離した光を再び合成して像を得るようなシ
ュリーレン光学系などに好適である。
cm2よりも小さく抑えると、薄い高分子基体上に多層
膜を形成しても、ペリクル光学素子には膜応力による歪
みが発生せず、高精度な平面が保たれる。例えば、面精
度が干渉縞10本程度に保たれた薄い高分子基体上に1
×105dyn/cm2程度の膜応力の多層膜を成膜し、
成膜後のペリクル光学素子の干渉縞をフィゾー干渉法に
より測定しても、成膜前と同等の面精度が得られる。従
って、一度分離した光を再び合成して像を得るようなシ
ュリーレン光学系などに好適である。
【0009】また本発明は、上記多層膜が、波長500
nmで2.10〜2.20の屈折率を有した酸化チタン
と1.49〜1.51の屈折率を有した酸化珪素とを交
互に積層した多層膜であるペリクル光学素子である。
nmで2.10〜2.20の屈折率を有した酸化チタン
と1.49〜1.51の屈折率を有した酸化珪素とを交
互に積層した多層膜であるペリクル光学素子である。
【0010】高精度の面精度を有した高分子基体上の光
学膜においては、その膜応力と屈折率に相関があるとの
知見が得られた。すなわち、EB蒸着法やイオンプレー
ティング法で成膜された従来の酸化チタン(Ti
O2)、酸化珪素(SiO2)の屈折率はそれぞれ、波長
500nmで2.48,1.47であり、また、膜応力
の値は、酸化チタンで1〜3×109dyn/cm2の引
っ張り応力、酸化珪素で1〜2×109dyn/cm2の
圧縮応力であった。これに対し、本発明では、波長50
0nmで2.10〜2.20の屈折率を有した酸化チタ
ンと1.49〜1.51の屈折率を有した酸化珪素の多
層膜の膜応力は、約0.5〜1.5×105dyn/c
m2の引っ張り応力であり、従来の膜応力と比べて極め
て小さく、概ね従来の1/10000以下であることが
わかった。この理由は、現状では明確ではないが、高分
子基体を加熱せず極めて低い温度にて成膜したこと、さ
らに酸素分圧を成膜中に変化させたことにより、膜応力
が極めて低い多層膜が得られたと考えられる。なお、本
発明の薄膜の屈折率が従来と大きく異なるので、光学特
性を持たせるために、多層膜の層数は13層以上とする
のが好ましい。
学膜においては、その膜応力と屈折率に相関があるとの
知見が得られた。すなわち、EB蒸着法やイオンプレー
ティング法で成膜された従来の酸化チタン(Ti
O2)、酸化珪素(SiO2)の屈折率はそれぞれ、波長
500nmで2.48,1.47であり、また、膜応力
の値は、酸化チタンで1〜3×109dyn/cm2の引
っ張り応力、酸化珪素で1〜2×109dyn/cm2の
圧縮応力であった。これに対し、本発明では、波長50
0nmで2.10〜2.20の屈折率を有した酸化チタ
ンと1.49〜1.51の屈折率を有した酸化珪素の多
層膜の膜応力は、約0.5〜1.5×105dyn/c
m2の引っ張り応力であり、従来の膜応力と比べて極め
て小さく、概ね従来の1/10000以下であることが
わかった。この理由は、現状では明確ではないが、高分
子基体を加熱せず極めて低い温度にて成膜したこと、さ
らに酸素分圧を成膜中に変化させたことにより、膜応力
が極めて低い多層膜が得られたと考えられる。なお、本
発明の薄膜の屈折率が従来と大きく異なるので、光学特
性を持たせるために、多層膜の層数は13層以上とする
のが好ましい。
【0011】
【発明の実施の形態】以下に本発明の実施の形態を図面
を用いて説明する。図1は、本発明のペリクル光学素子
の一実施形態を示す断面図である。高分子基体1は樹脂
をフィルム状に引き延ばして形成したもので、高分子基
体1は高い面精度を保ってペリクル枠2に接着剤3を用
いて接着固定される。このペリクル枠2に固定された高
分子基体1の表面に、薄膜形成装置により、高屈折率の
薄膜と低屈折率の薄膜とが交互に積層された多層膜を形
成し、その膜応力を、1.5×105dyn/cm2より
も小さくなるように設定する。
を用いて説明する。図1は、本発明のペリクル光学素子
の一実施形態を示す断面図である。高分子基体1は樹脂
をフィルム状に引き延ばして形成したもので、高分子基
体1は高い面精度を保ってペリクル枠2に接着剤3を用
いて接着固定される。このペリクル枠2に固定された高
分子基体1の表面に、薄膜形成装置により、高屈折率の
薄膜と低屈折率の薄膜とが交互に積層された多層膜を形
成し、その膜応力を、1.5×105dyn/cm2より
も小さくなるように設定する。
【0012】図2は、ペリクル光学素子に多層膜を成膜
するための薄膜形成装置を示す概略構成図である。この
薄膜形成装置は、蒸発源を載置する蒸発源保持手段4
と、基板5を支持する回転可能な基板ホルダー6と、基
板5の上に形成された薄膜の膜厚を測定する水晶振動子
からなる膜厚モニター7と、蒸発源からの蒸発粒子が基
板5に到達するのを防ぐシャッター8と、蒸発源を加熱
する電子銃9と、これらの構成要素が設置される空間を
真空状態にするための真空容器10とを備えている。
するための薄膜形成装置を示す概略構成図である。この
薄膜形成装置は、蒸発源を載置する蒸発源保持手段4
と、基板5を支持する回転可能な基板ホルダー6と、基
板5の上に形成された薄膜の膜厚を測定する水晶振動子
からなる膜厚モニター7と、蒸発源からの蒸発粒子が基
板5に到達するのを防ぐシャッター8と、蒸発源を加熱
する電子銃9と、これらの構成要素が設置される空間を
真空状態にするための真空容器10とを備えている。
【0013】蒸発源保持手段4は図示省略の水冷機構を
有し、複数種類の蒸発物を載置できるように複数の凹部
11からなる蒸発源保持部と、各凹部11の蒸発物に選
択的に電子線14が照射されるように保持部を回転させ
る選択手段とが設けられている。真空容器10には、容
器内に反応ガスを供給する反応ガス供給口12と、容器
内を所望の真空状態にするための排気手段が接続される
排気口13とが設けられている。反応ガス供給口12に
は反応ガスを真空容器10内に導くための反応ガス供給
手段が接続されている。また、排気口13に接続される
排気手段は、油拡散ポンプ、油回転ポンプ、補助バル
ブ、粗引きバルブ、メインバルブ等から構成される。
有し、複数種類の蒸発物を載置できるように複数の凹部
11からなる蒸発源保持部と、各凹部11の蒸発物に選
択的に電子線14が照射されるように保持部を回転させ
る選択手段とが設けられている。真空容器10には、容
器内に反応ガスを供給する反応ガス供給口12と、容器
内を所望の真空状態にするための排気手段が接続される
排気口13とが設けられている。反応ガス供給口12に
は反応ガスを真空容器10内に導くための反応ガス供給
手段が接続されている。また、排気口13に接続される
排気手段は、油拡散ポンプ、油回転ポンプ、補助バル
ブ、粗引きバルブ、メインバルブ等から構成される。
【0014】成膜に際しては、基板5として、高分子基
体1を保持したペリクル枠2を基板ホルダー6に取り付
け、各凹部11に収容された高屈折率物質と低屈折率物
質とに交互に選択的に電子線14を照射して加熱蒸発さ
せ、高分子基体1上に薄膜を蒸着させて多層膜を形成す
る。なお、成膜方法としては、上記実施形態の電子線加
熱蒸着に限らず、抵抗加熱蒸着、スパッタリング、イオ
ンプレーティングなどを用いてもよい。
体1を保持したペリクル枠2を基板ホルダー6に取り付
け、各凹部11に収容された高屈折率物質と低屈折率物
質とに交互に選択的に電子線14を照射して加熱蒸発さ
せ、高分子基体1上に薄膜を蒸着させて多層膜を形成す
る。なお、成膜方法としては、上記実施形態の電子線加
熱蒸着に限らず、抵抗加熱蒸着、スパッタリング、イオ
ンプレーティングなどを用いてもよい。
【0015】
【実施例】次に、本発明の具体的な実施例を述べる。 (実施例1)図2の薄膜形成装置を用いてペリクル光学
素子上に多層膜(酸化珪素/酸化チタンの13層膜)を
成膜した実施例1について説明する。高分子基体1とし
て、図1に示すように、ペリクル枠2に接着剤3で保持
したポリエチレンテレフタレート(厚さ25μm、縞1
0本の面精度)を使用した。この高分子基体1を保持し
たペリクル枠2を基板ホルダー6に取り付ける。蒸発源
保持手段4の凹部11には、酸化チタン(TiO2)と
酸化珪素(SiO2)をそれぞれ載置する。排気手段に
よって真空容器10内の圧力が8×10-6Torrにな
るまで排気した後、反応ガス供給口12より酸素ガス
(O2)を導入し、真空容器10内の圧力を2×10-4
Torrにする。蒸発源保持手段4の凹部11の酸化チ
タンに電子銃9より発生させた電子線14を当てて蒸発
させ、高分子基体1に薄膜状の酸化チタンを形成させ
る。なお、薄膜の形成中は、膜厚モニター7によって薄
膜の膜厚と成膜レート(蒸発速度)を測定できるので、
所定の膜厚になった時点で成膜を止める。こうして多層
膜の第1層目が高分子基体1上に形成される。
素子上に多層膜(酸化珪素/酸化チタンの13層膜)を
成膜した実施例1について説明する。高分子基体1とし
て、図1に示すように、ペリクル枠2に接着剤3で保持
したポリエチレンテレフタレート(厚さ25μm、縞1
0本の面精度)を使用した。この高分子基体1を保持し
たペリクル枠2を基板ホルダー6に取り付ける。蒸発源
保持手段4の凹部11には、酸化チタン(TiO2)と
酸化珪素(SiO2)をそれぞれ載置する。排気手段に
よって真空容器10内の圧力が8×10-6Torrにな
るまで排気した後、反応ガス供給口12より酸素ガス
(O2)を導入し、真空容器10内の圧力を2×10-4
Torrにする。蒸発源保持手段4の凹部11の酸化チ
タンに電子銃9より発生させた電子線14を当てて蒸発
させ、高分子基体1に薄膜状の酸化チタンを形成させ
る。なお、薄膜の形成中は、膜厚モニター7によって薄
膜の膜厚と成膜レート(蒸発速度)を測定できるので、
所定の膜厚になった時点で成膜を止める。こうして多層
膜の第1層目が高分子基体1上に形成される。
【0016】次に、蒸発源保持手段4を回転させ、同様
にして、凹部11に収容された酸化珪素に電子線14を
照射して酸化珪素を蒸着する。この様にして、高分子基
体1上に、第1層と第13層に膜厚λ/8の酸化チタ
ン、第2層から第12層までは膜厚λ/4の酸化珪素と
酸化チタンとが交互に積層された、13層の多層膜を形
成した(ここで、λはペリクル光学素子の使用波長)。
成膜時の高分子基体1の温度は85℃以下(基体は無加
熱)、成膜速度は酸化チタンが0.3nm/秒、酸化珪
素が0.5nm/秒であった。
にして、凹部11に収容された酸化珪素に電子線14を
照射して酸化珪素を蒸着する。この様にして、高分子基
体1上に、第1層と第13層に膜厚λ/8の酸化チタ
ン、第2層から第12層までは膜厚λ/4の酸化珪素と
酸化チタンとが交互に積層された、13層の多層膜を形
成した(ここで、λはペリクル光学素子の使用波長)。
成膜時の高分子基体1の温度は85℃以下(基体は無加
熱)、成膜速度は酸化チタンが0.3nm/秒、酸化珪
素が0.5nm/秒であった。
【0017】多層膜の各層の屈折率(波長500nmの
光に対する)はそれぞれ酸化チタンが2.17、酸化珪
素が1.49であり、通常のものとは異なり、酸化チタ
ンはかなり低くなっていた。本実施例の膜応力は0.5
〜1.5×105dyn/cm2で、ペリクル光学素子の
面精度は1λ以下と、成膜前と同等、もしくはそれ以下
の値を示した。
光に対する)はそれぞれ酸化チタンが2.17、酸化珪
素が1.49であり、通常のものとは異なり、酸化チタ
ンはかなり低くなっていた。本実施例の膜応力は0.5
〜1.5×105dyn/cm2で、ペリクル光学素子の
面精度は1λ以下と、成膜前と同等、もしくはそれ以下
の値を示した。
【0018】さらに、本実施例では、高分子基体1を加
熱していないため、高分子基体1及び接着剤3の成膜時
の温度を熱変形温度以下に保持でき、高分子基体1自体
が変形し面精度を悪化させたり、接着剤3が面張力に耐
えられずペリクル光学素子の面精度を維持することがで
きなくなることを防止できる。また、高分子基体1を加
熱していないが、基体1と多層膜との密着性には問題が
なかった。
熱していないため、高分子基体1及び接着剤3の成膜時
の温度を熱変形温度以下に保持でき、高分子基体1自体
が変形し面精度を悪化させたり、接着剤3が面張力に耐
えられずペリクル光学素子の面精度を維持することがで
きなくなることを防止できる。また、高分子基体1を加
熱していないが、基体1と多層膜との密着性には問題が
なかった。
【0019】この実施例1の成膜条件で得られたペリク
ル光学素子(ダイクロイックミラー)の分光特性を図3
に示す。図中、Aは青色光を反射し、緑色光を透過する
光学素子として作製したダイクロイックミラーの分光特
性であり、Bは緑色光を反射し、赤色光を透過する光学
素子として作製したダイクロイックミラーの分光特性で
ある。
ル光学素子(ダイクロイックミラー)の分光特性を図3
に示す。図中、Aは青色光を反射し、緑色光を透過する
光学素子として作製したダイクロイックミラーの分光特
性であり、Bは緑色光を反射し、赤色光を透過する光学
素子として作製したダイクロイックミラーの分光特性で
ある。
【0020】また、実施例1の多層膜の環境試験を行っ
た。環境試験としては、耐熱試験(温度60℃で1時間
加熱)、耐湿試験(温度60℃,湿度100HR%の下
で1時間放置)および耐寒試験(温度−10℃,湿度3
0HR%の下で3時間放置)を行った。環境試験の前後
での面精度に大きな変化はないことがわかった。
た。環境試験としては、耐熱試験(温度60℃で1時間
加熱)、耐湿試験(温度60℃,湿度100HR%の下
で1時間放置)および耐寒試験(温度−10℃,湿度3
0HR%の下で3時間放置)を行った。環境試験の前後
での面精度に大きな変化はないことがわかった。
【0021】更に、実施例1で作製したペリクル光学素
子を液晶プロジェクターのシュリーレン光学系に組み込
み、従来のガラス製のものと比較したところ、同様の光
学性能を示した。本実施例のペリクル光学素子と従来の
ガラス製光学素子の解像度を、上記光学系における反射
率解像度チャートを用い比較した。その結果、RGB各
色調においても従来のガラス製のものと同等の解像度
(約70lp/mm)を示した。さらに、ガラス製の光
学素子は、光の入射角を45°とした場合、縦解像度と
横解像度に非点収差の影響と思われる大きな差が確認さ
れたが、一方、本実施例のペリクル光学素子には、入射
角度による解像度の差は確認されなかった。さらに、本
実施例のペリクル光学素子の耐光性(1kWのXeラン
プで10分間照射)を調べた結果、照射前後での変化は
ほとんどなく、良好な結果が得られた。
子を液晶プロジェクターのシュリーレン光学系に組み込
み、従来のガラス製のものと比較したところ、同様の光
学性能を示した。本実施例のペリクル光学素子と従来の
ガラス製光学素子の解像度を、上記光学系における反射
率解像度チャートを用い比較した。その結果、RGB各
色調においても従来のガラス製のものと同等の解像度
(約70lp/mm)を示した。さらに、ガラス製の光
学素子は、光の入射角を45°とした場合、縦解像度と
横解像度に非点収差の影響と思われる大きな差が確認さ
れたが、一方、本実施例のペリクル光学素子には、入射
角度による解像度の差は確認されなかった。さらに、本
実施例のペリクル光学素子の耐光性(1kWのXeラン
プで10分間照射)を調べた結果、照射前後での変化は
ほとんどなく、良好な結果が得られた。
【0022】(比較例1)実施例1と同一の高分子基体
1、薄膜形成装置を用い、13層の酸化チタン/酸化珪
素の多層膜を成膜した。この時の酸化チタン、酸化珪素
の屈折率はそれぞれ波長500nmで2.40、1.4
7であった。上記多層膜を積層したペリクル光学素子の
面精度をフィゾー干渉法で測定したところ、成膜前の面
精度とは大きく異なり、縞50本(P‐V値)であっ
た。このペリクル光学素子を実施例1と同様に液晶プロ
ジェクターのシュリーレン光学系に組み込み、反射型解
像度チャートにて評価したところ、縦・横方向解像度と
も30(1p/mm)以下と悪く、上記液晶プロジェク
ターに使用することはできなかった。
1、薄膜形成装置を用い、13層の酸化チタン/酸化珪
素の多層膜を成膜した。この時の酸化チタン、酸化珪素
の屈折率はそれぞれ波長500nmで2.40、1.4
7であった。上記多層膜を積層したペリクル光学素子の
面精度をフィゾー干渉法で測定したところ、成膜前の面
精度とは大きく異なり、縞50本(P‐V値)であっ
た。このペリクル光学素子を実施例1と同様に液晶プロ
ジェクターのシュリーレン光学系に組み込み、反射型解
像度チャートにて評価したところ、縦・横方向解像度と
も30(1p/mm)以下と悪く、上記液晶プロジェク
ターに使用することはできなかった。
【0023】(比較例2)実施例1と同一の高分子基体
1、薄膜形成装置を用い、13層の酸化チタン/酸化珪
素の多層膜を成膜した。この時の基体温度は130℃で
あった。上記多層膜を積層したペリクル光学素子の面精
度を測定したところ、成膜前の面精度とは大きく異な
り、干渉縞の本数が測定できないほどであった。このペ
リクル光学素子を実施例1と同様に液晶プロジェクター
のシュリーレン光学系に組み込み、反射型解像度チャー
トにて評価したところ、縦・横方向解像度とも極めて悪
く(測定不可能)、上記液晶プロジェクターに使用する
ことはできなかった。さらに、ペリクル枠に保持されて
いたポリエチレンテレフタレートのフィルムが―部剥離
するなど問題が生じた。
1、薄膜形成装置を用い、13層の酸化チタン/酸化珪
素の多層膜を成膜した。この時の基体温度は130℃で
あった。上記多層膜を積層したペリクル光学素子の面精
度を測定したところ、成膜前の面精度とは大きく異な
り、干渉縞の本数が測定できないほどであった。このペ
リクル光学素子を実施例1と同様に液晶プロジェクター
のシュリーレン光学系に組み込み、反射型解像度チャー
トにて評価したところ、縦・横方向解像度とも極めて悪
く(測定不可能)、上記液晶プロジェクターに使用する
ことはできなかった。さらに、ペリクル枠に保持されて
いたポリエチレンテレフタレートのフィルムが―部剥離
するなど問題が生じた。
【0024】
【発明の効果】以上に述べたように、本発明によれば、
多層膜の膜応力を1.5×105dyn/cm2以下に小
さく抑えているため、薄い高分子基体上に多層膜を形成
しても、ペリクル光学素子には膜応力による歪みが発生
せず、高精度の平面を有し、所望の光学特性を備えたペ
リクル光学素子が得られる。
多層膜の膜応力を1.5×105dyn/cm2以下に小
さく抑えているため、薄い高分子基体上に多層膜を形成
しても、ペリクル光学素子には膜応力による歪みが発生
せず、高精度の平面を有し、所望の光学特性を備えたペ
リクル光学素子が得られる。
【図1】本発明に係るペリクル光学素子の一実施形態を
示す概略断面図である。
示す概略断面図である。
【図2】図1のペリクル光学素子の高分子基体に多層膜
を成膜する際に使用した薄膜形成装置の概略構成図であ
る。
を成膜する際に使用した薄膜形成装置の概略構成図であ
る。
【図3】実施例1で作成した13層多層膜の分光特性を
示すグラフである。
示すグラフである。
1 高分子基体 2 ペリクル枠 3 接着剤 4 蒸発源保持手段 5 基板 6 基板ホルダー 7 膜厚モニター 8 シャッター 9 電子銃 10 真空容器 11 凹部 12 反応ガス供給口 13 排気口 14 電子線
Claims (2)
- 【請求項1】 高分子基体上に多層膜を形成したペリク
ル光学素子において、前記多層膜の膜応力が1.5×1
05dyn/cm2以下であることを特徴とするペリクル
光学素子。 - 【請求項2】 前記多層膜が、波長500nmで2.1
0〜2.20の屈折率を有した酸化チタンと1.49〜
1.51の屈折率を有した酸化珪素とを交互に積層した
多層膜であることを特徴とする請求項1記載のペリクル
光学素子。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP33636596A JPH10160930A (ja) | 1996-12-02 | 1996-12-02 | ペリクル光学素子 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP33636596A JPH10160930A (ja) | 1996-12-02 | 1996-12-02 | ペリクル光学素子 |
Publications (1)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPH10160930A true JPH10160930A (ja) | 1998-06-19 |
Family
ID=18298389
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP33636596A Pending JPH10160930A (ja) | 1996-12-02 | 1996-12-02 | ペリクル光学素子 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JPH10160930A (ja) |
Cited By (3)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JP2007163311A (ja) * | 2005-12-14 | 2007-06-28 | Japan Science & Technology Agency | 光学素子及び光学素子製造方法 |
| WO2013065715A1 (ja) * | 2011-10-31 | 2013-05-10 | Hoya株式会社 | 眼鏡レンズ |
| JP2013097159A (ja) * | 2011-10-31 | 2013-05-20 | Hoya Corp | 眼鏡レンズ |
-
1996
- 1996-12-02 JP JP33636596A patent/JPH10160930A/ja active Pending
Cited By (3)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JP2007163311A (ja) * | 2005-12-14 | 2007-06-28 | Japan Science & Technology Agency | 光学素子及び光学素子製造方法 |
| WO2013065715A1 (ja) * | 2011-10-31 | 2013-05-10 | Hoya株式会社 | 眼鏡レンズ |
| JP2013097159A (ja) * | 2011-10-31 | 2013-05-20 | Hoya Corp | 眼鏡レンズ |
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