JPH10168478A - パワーステアリングフルード組成物 - Google Patents

パワーステアリングフルード組成物

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JPH10168478A
JPH10168478A JP33072396A JP33072396A JPH10168478A JP H10168478 A JPH10168478 A JP H10168478A JP 33072396 A JP33072396 A JP 33072396A JP 33072396 A JP33072396 A JP 33072396A JP H10168478 A JPH10168478 A JP H10168478A
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JP
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alkyl
alkaline earth
power steering
earth metal
acid
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JP33072396A
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English (en)
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Hiroshi Tochigi
弘 栃木
Toshio Kunugi
俊夫 功刀
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COSMO SOGO KENKYUSHO KK
Cosmo Oil Co Ltd
Cosmo Research Institute
Original Assignee
COSMO SOGO KENKYUSHO KK
Cosmo Oil Co Ltd
Cosmo Research Institute
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 パワーステアリングフルード組成物におい
て、軸受メタルの腐食防止性能を向上させるとともに、
フリクションを低く抑えたものを提供する。 【解決手段】 鉱油または合成油を基油とし、これに、
特定の量の(A)アルキル−またはフェニル−リン酸系
化合物、アルキル−またはフェニル−チオリン酸系化合
物、アルキル−またはフェニル−ジチオリン酸系化合物
から選んだ少なくとも1種のリン化合物、(B)一般式 【化1】 で表されるチアジアゾール誘導体、および(C)ヒドロ
キシアルキル安息香酸およびアルキルフェノールのアル
カリ土類金属塩硫化混合物を添加する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、油圧系に使用され
るパワーステアリング作動用フルード組成物に関する。
詳しくは、エンジンによってオイルポンプを駆動し、
運転者が操舵することによってコントロールバルブおよ
びアクチュエーターとしてのパワーシリンダーを作動さ
せる機構において、この操舵出力を倍化するための作動
用フルード組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】自動車のパワーステアリング装置は、ハ
ンドル操作に要する力を軽減して運転を容易にするため
の機構で、今日では乗用車の90%以上に装着されてい
る。パワーステアリング装置は、通常、エンジンの回転
をベルトで伝えて駆動する油圧ポンプ、運転者が操舵す
ることによって作動するコントロールバルブ、油圧力に
よりパワーアシストするパワーシリンダー等から構成さ
れている。 これに用いられる油圧作動油をパワーステ
アリングフルードといい、車をスクラップにするまで交
換せず使用されることが多い。 作動用フルードは、ス
ムーズなハンドル操作性を与えることが要求される。
また寒冷地では、始動性をよくするための低温特性が問
題にされる。
【0003】こうした要因に基づき作動流体に要求され
る性能としては、摩耗防止性、低温流動性、熱酸化安定
性、低摩擦特性あるいはシール適合性などが挙げられ
る。これらの性能を確保し、さらに高めるために、現在
のところ、選定された基油に種々の添加剤を配合して、
パワーステアリング作動用フルード組成物として供給し
ている。
【0004】上記のようなフルード組成物は、通常の走
行時には油温60〜100℃程度で使用されるが、真夏
の走行時には油温が120〜140℃程度まで上昇する
ことがある。 このような高温環境下では、フルードは
熱酸化による劣化を受け、パワーステアリング装置各部
の軸受メタルの腐食を進行させることがある。 腐食を
抑制するために、通常、フルード組成物には金属型清浄
剤を配合することが行なわれている。 しかし、金属型
清浄剤の添加は、パワーステアリングのフリクションを
増加させ、ハンドル操作時に、いわゆる「グー音」と呼
ばれる不快な音を運転者に与える可能性がある。
【0005】本発明者らは、上記の問題を解決すること
を意図して研究を重ねた結果、特定のリン化合物と特定
のチアジアゾールに、ヒドロキシアルキル安息香酸およ
びアルキルフェノールのアルカリ土類金属塩硫化混合物
を特定量、清浄剤として配合したところ、この清浄剤
は、軸受メタルの腐食に対する防止性能を向上させると
ともに、フリクション特性も良好であることを見出し
た。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、軸受
メタルの腐食を効果的に抑制し得るとともに、フリクシ
ョンの低いパワーステアリング作動用のフルード組成物
を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明のパワーステアリ
ング作動用フルード組成物は、鉱油または合成油からえ
らんだ少なくとも1種からなる基油に、(A)アルキル
リン酸系化合物およびアルキル置換または非置換フェニ
ルリン酸系化合物、アルキルチオリン酸系化合物および
アルキル置換または非置換フェニルチオリン酸系化合
物、ならびにアルキルジチオリン酸系化合物およびアル
キル置換または非置換フェニルジチオリン酸系化合物か
らなるグループから選んだ少なくとも1種を、リン分と
して0.005〜2.0質量%、(B)下記の一般式
(I)で表されるチアジアゾール誘導体
【0008】
【化1】
【0009】[式中、R1およびR2は、それぞれ炭素原
子数1〜12の直鎖または分岐鎖アルキル基を表す。]
の少なくとも1種を、0.05〜1.0質量%、そして
(C)ヒドロキシアルキル安息香酸およびアルキルフェ
ノールのアルカリ土類金属塩硫化混合物を0.1〜6.
0質量%添加してなることを特徴とする。
【0010】本発明で基油に添加する(A)成分中のア
ルキルリン酸系化合物またはアルキル置換もしくは非置
換フェニルリン酸系化合物の例としては、亜リン酸エス
テル、ホスフォン酸エステル、正リン酸エステル、ピロ
リン酸エステル、酸性リン酸エステル、酸性リン酸エス
テルアミン塩などの、アルキルリン酸エステル類および
フェニルリン酸エステル類が挙げられる。
【0011】アルキルチオリン酸系化合物またはアルキ
ル置換もしくは非置換フェニルチオリン酸系化合物の例
としては、チオホスフェート、酸性チオリン酸エステル
などのチオリン酸エステル化合物、およびこれら酸性チ
オリン酸エステルのアルキルアミン完全中和塩または部
分中和塩などが挙げられる。
【0012】アルキルジチオリン酸系化合物またはアル
キル置換もしくは非置換フェニルジチオリン酸系化合物
としては、ジチオホスフェート、酸性ジチオリン酸エス
テルなどのジチオリン酸エステル化合物、およびこれら
酸性ジチオリン酸エステルのアルキルアミン完全中和塩
または部分中和塩などが挙げられる。
【0013】以上の(A)成分のリン化合物が有するア
ルキル基(アルキル置換フェニル基のアルキル基を含
む)は、炭素原子数1〜18の直鎖または分岐鎖アルキ
ル基であって、その具体例は、メチル、エチル、プロピ
ル、ブチル、ヘキシル、オクチル、ノニル、ヘキサデシ
ル、オクタデシルなどの基である。
【0014】(A)成分のリン化合物は、単独で使用し
てもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0015】本発明のフルード組成物において、(A)
成分は摩擦特性に寄与する。 その配合量が少なすぎれ
ば所期の摩擦特性が得られず、多すぎると効果が飽和し
て不経済となるのみならず、腐食防止特性が低下する。
リン分として、基油に対し0.005〜2.0質量
%、好ましくは0.05〜1.5質量%、さらに好まし
くは0.1〜1.0質量%を添加する。
【0016】(B)成分のチアゾール誘導体は、前記の
一般式(I)で示される化合物の少なくとも1種であ
り、それらは、たとえばアメリカ特許No.2,71
9,125号や同No.2,719,126号の明細書
に開示された製造法により、得ることができる。 好ま
しいチアゾール誘導体は、一般式(I)中のR1および
2が、それぞれ、炭素原子数1〜12、好ましくは1
〜8の直鎖または分岐鎖のアルキル基、具体的には、メ
チル、エチル、プロピル、ブチル、ヘキシル、オクチル
などの基である化合物である。 とくに、2,5−ビス
(第3オクチルジチオ)−1,3,4−チアジアゾールが
適している。
【0017】上記(B)成分は、金属(とくに、配管内
面にメッキされている銅など)の腐食防止に寄与する。
配合量が少なすぎれば所期の腐食防止効果を得ること
ができず、多すぎると効果が飽和して不経済となるのみ
ならず、耐摩耗性を低下させるため、基油に対し、0.
05〜1.0質量%、好ましくは0.05〜0.5質量
%、さらに好ましくは0.05〜0.15質量%の範囲
で添加する。
【0018】(C)成分のヒドロキシアルキル安息香酸
およびアルキルフェノールのアルカリ土類金属塩硫化混
合物は、たとえば次のようにして製造されたものであ
る。すなわち、フェノール類および二価アルコールと、
アルカリ土類金属の酸化物もしくは水酸化物またはそれ
らの混合物(以下「アルカリ土類金属試薬」)とを、フ
ェノール類に対するアルカリ土類金属試薬のグラム当量
比が0.99以下で反応させ、次いで二価アルコール
を、水およびアルカリ土類金属試薬1モル当たり0.6
モル以下になるまで留去し、蒸留塔底物に二酸化炭素を
反応させ、得られた生成物にアルカリ土類金属試薬1モ
ル当たり0.1〜4モルの元素イオウを反応させる工程
である。 この製造方法の詳細は、特開平1−2935
4号公報に示してある。 上記の工程の別法として、硫
化反応の際に二価アルコール類を添加して行なう方法も
あり、詳しいことは、特開平6−211779号公報に
記載されている。
【0019】上記のヒドロキシアルキル安息香酸および
アルキルフェノールのアルカリ土類金属塩硫化混合物を
製造する際に使用されるフェノール類の例としては、炭
素数4〜36、好ましくは炭素数8〜32の炭化水素側
鎖、たとえばアルキル基、アルケニル基、アラルキル基
などを有する、モノ−またはジ−置換フェノール類を挙
げることができる。 詳しくは、ブチル、アミル、オク
チル、ノニル、ドデシル、セチル、エチルへキシル、ト
リアコンチル等の炭化水素基を有するフェノール類、ま
た、流動パラフィン、ワックス、オレフィン重合体(ポ
リエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン)等の石油炭
化水素から誘導される基を有するフェノール類である。
通常、約130℃、好ましくは約120℃においては
液状となっているものが望ましい。 そのようなフェノ
ール類の具体例としては、ブチルフェノール、オクチル
フェノール、ノニルフェノール、ドデシルフェノール、
セチルフェノール、ポリブテンでアルキル化したアルキ
ルフェノール、ジノニルフェノール、ジドデシルフェノ
ール等が挙げられる。 好ましいものは、ノニルフェノ
ールおよびドデシルフェノールである。 これらのフェ
ノール類は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組
合せて用いてもよい。
【0020】アルカリ土類金属試薬としては、通常、ア
ルカリ土類金属の酸化物または水酸化物を用いる。 カ
ルシウム、バリウム、ストロンチウム、マグネシウム等
の酸化物および水酸化物がそれらであり、好ましくはカ
ルシウムの酸化物または水酸化物を使用する。 とくに
好ましいのは、カルシウムの酸化物である。 このアル
カリ土類金属試薬は、使用フェノール類にたいし約0.
99当量以下の量で使用することが適当であり、好まし
くは約0.01〜0.98当量を使用する。
【0021】二価アルコールとしては、比較的低沸点か
つ低粘度で反応性に富むもの、たとえば炭素数が2〜6
のものが使用できる。 とくに、エチレングリコール、
プロピレングリコールなどが好ましい。 二価アルコー
ルの使用量は、アルカリ土類金属試薬1モル当たり約
0.15〜3モル、とりわけ約0.3〜1.7モルが適
当である。 二価アルコールは、フェノール類とアルカ
リ土類金属試薬との反応により、これらが油溶性物質に
転化することを助ける作用がある。 したがって、使用
量が少な過ぎると反応原料とくにアルカリ土類金属試薬
の製品転化率が低下する。
【0022】フェノール類とアルカリ土類金属試薬を反
応させる工程において、必要であれば、水を反応系へ添
加してもよい。 この水は、蒸留水はもちろん、缶水や
工業用水、金属付加反応で生成する水等が使用できる。
添加する水の量は、アルカリ土類金属試薬1モル当た
り約10以下モル、とくに約0.05〜2モルが好まし
い。 水を添加すると、金属付加反応が円滑に進む。
【0023】イオウは、ごく少量から多大量までの広い
範囲にわたって使用できる。 通常の使用量は、使用す
るアルカリ土類金属試薬1モル当たり約0.1〜4モ
ル、好ましくは約0.2〜3モルである。
【0024】ヒドロキシアルキル安息香酸およびアルキ
ルフェノールのアルカリ土類金属塩硫化混合物を製造す
る際には、反応物、反応中間体、さらには製品の取扱い
を容易にするために、適当な粘度を有する希釈剤または
溶剤(以下、「希釈剤」で代表させる)を、いずれの工
程においても使用することができる。 たとえば、硫化
反応を終えた後の反応生成物中から過剰の未反応フェノ
ール類を蒸留により回収する際、高沸点でかつ適当な粘
度を有する希釈剤の存在下で蒸留を行なうことによっ
て、蒸留塔底物を液状の望ましい状態で得ることができ
る。 なお、通常は、未反応フェノール類の留出に伴っ
て希釈剤の一部も留出する。 従って、回収フェノール
類を繰り返し反応に供する場合には、希釈剤としては反
応に悪影響を与えないものを使用すべきである。 反応
を、希釈剤の存在下に行なうこともできる。
【0025】好ましい希釈剤としては、パラフィン系、
ナフテン系、芳香族系、あるいは混合系の基油等の適当
な粘度の石油留分、たとえば沸点約220〜550℃で
粘度が約0.5〜40mm2/s(100℃)の潤滑油留分
を挙げることができる。 その他の有機溶媒であって
も、疎水性かつ親油性を示し、反応時や製品の用途面に
おいて無害であれば、希釈剤として用いることができ
る。
【0026】ヒドロキシアルキル安息香酸およびアルキ
ルフェノールのアルカリ土類金属塩硫化混合物の主な製
造工程および運転条件は、下記のとおりである。
【0027】(イ)金属付加工程 フェノール類、二価アルコール、このフェノール類に対
するグラム当量比が約0.99以下、好ましくは約0.
01〜0.98のアルカリ土類金属試薬、および必要で
あれば前記したアルカリ土類金属試薬、ならびに、さら
に必要であれば前記したアルカリ土類金属試薬1モル当
たり約2モル以下の水からなる反応原料混合物を、反応
温度約60〜200℃、好ましくは約90〜190℃の
範囲で反応させる。 その際、反応は常圧もしくは加圧
下、たとえば約1kPa 〜1.1Pa(以下、特記しない限
り圧力の単位は絶対圧である)の圧力下で行なう。 上
記の金属付加反応工程において、生成する水および添加
水は、次のカルボキシル化工程前に全量の約95%以
上、好ましくは約99.9%以上、とくに好ましくは全
量を留去し、二価アルコールは、系内に残存する量がア
ルカリ土類金属試薬1モル当たり通常約0.6以下、好
ましくは約0.3モル以下になるように留去する。 水
および二価アルコールが系内に大量に残存すると、次の
カルボキシル化工程においてカルボキシル化率が低下
し、ヒドロキシベンゾエート生成量が減少する。 この
反応は、通常約1〜9時間でほぼ終了する。
【0028】(ロ)カルボキシル化工程 この工程は、前記の金属付加反応生成物をカルボキシル
化し、ヒドロキシベンゾエート成分を得る工程である。
すなわち、前記の金属付加反応生成物を反応温度約1
50〜240℃、好ましくは約160〜230℃、反応
圧力約5kPa 〜10MPa、好ましくは約10kPa〜5Mpa
の常圧、減圧もしくは加圧条件下に二酸化炭素と反応さ
せる。 この反応は、通常約1〜10時間でほぼ終了す
る。
【0029】(ハ)硫化工程 この硫化工程は、前記のカルボキシル化生成物の性質、
とくに油溶性、粘度特性、貯蔵安定性等の物性を改善す
る工程である。 すなわち、前記カルボキシル化生成物
と、アルカリ土類金属試薬1モル当たり約0.1〜4モ
ル、好ましくは約0.2〜3モルの元素状のイオウを、
不活性ガスまたは炭酸ガス雰囲気下、常圧または加圧
下、好ましくは約1kPa〜2MPaの圧力下に、反応温度約
140〜230℃、好ましくは約150〜200℃の温
度条件下で反応させる。 この反応は、通常約1〜20
時間で終了する。 この硫化工程を実施するに当たっ
て、二価アルコールを使用してもよい。 使用量は、ア
ルカリ土類金属試薬1モル当たり約0.01〜10モ
ル、とくに約0.1〜5モルが好ましい。 この硫化反
応前または硫化反応中に二価アルコールを添加すること
により、製品の色相が明るくなる。 硫化工程で使用す
る二価アルコールとしては、金属付加工程で使用する二
価アルコールと同様のものが挙げられる。
【0030】このようにして製造されるヒドロキシアル
キル安息香酸およびアルキルフェノールのアルカリ土類
金属塩硫化混合物は、その反応生成物についての詳細は
不明であるが、フェネート骨格どうし、フェネート骨格
とヒドロキシベンゾエート骨格、ヒドロキシベンゾエー
ト骨格どうしをイオウで結合した化合物や、未硫化のフ
ェネートおよびヒドロキシベンゾエートの混合物である
と推定される。 硫化反応生成物中の未反応フェノール
類は、主として経済上の面から、これらの一部または大
部分を回収することが好ましく、回収したフェノール類
は、原料として再使用することもできる。 二価アルコ
ールの一部が残存していた場合は、未反応フェノール類
等とともに回収される。 なお、ここで未反応フェノー
ル類等の蒸留を高沸点の鉱油のような通常の希釈剤の存
在下に行なうと、蒸留残留物を液状の好ましい形で得る
ことができる。
【0031】ヒドロキシアルキル安息香酸およびアルキ
ルフェノールのアルカリ土類金属塩硫化混合物の配合量
は、これが軸受メタル(とくにPbなど)の腐食防止に
寄与するものであることから、配合量が少なすぎれば所
期の腐食防止効果を得ることができず、多すぎると効果
が飽和して不経済となるのみならず、摩擦係数が高まる
ため、基油に対し、0.1〜6.0質量%、好ましくは
0.25〜4.5質量%の範囲内とする。
【0032】なお、上記(A)、(B)、(C)成分の配合
量がそれぞれ上記した下限値を下回ると、本発明特有の
効果(すなわち、軸受メタルの腐食防止、低フリクショ
ン特性の維持、配管の銅メッキ部からの銅の溶解防止な
ど)を得ることができなくなる。
【0033】本発明のパワーステアリングフルード組成
物は、パワーステアリングフルードとしての基本的な性
能を維持するために、上記した(A)ないし(C)成分
のほかに、酸化防止剤、摩耗防止剤、分散剤、金属不活
性剤、摩擦調整剤、消泡剤、粘度指数向上剤などを配合
することができる。
【0034】酸化防止剤としては、フェノール系、フェ
ニルアミン系のものなど、また摩耗防止剤としては、ジ
オチリン酸亜鉛、リン系、イオウ系、塩素系のものなど
が挙げられる。
【0035】分散剤としては、アルケニルコハク酸イミ
ド、ポリオキシアルキレンアミノアミド、ベンジンアミ
ンなどが挙げられる。 金属不活性化剤としては、ベン
ゾトリアゾールなどが挙げられる。
【0036】摩擦調整剤としては、オレイン酸、ステア
リン酸、パルミチン酸などの高級脂肪酸、ラウリルアル
コール、オレイルアルコール、セチルアルコールなどの
高級アルコール類、オレイン酸エチル、ゾルビタンモノ
ステアレート、オレイン酸モノグリセライドなどのエス
テル類、セチルアミン、オクタデシルアミンなどのアミ
ン類およびリン酸エステルアミン塩などが挙げられる。
【0037】消泡剤としては、ジメチルポリシロキサ
ン、フェニルメチルシロキサンなどのシリコーン系化合
物、アルケニルコハク酸誘導体などのエステル系化合物
が挙げられる。
【0038】粘度指数向上剤としては、ポリメタクリレ
ート、ポリイソブチレン、エチレンプロピレン共重合
体、スチレン/ジエステル共重合体などが挙げられる。
【0039】これらの添加剤の配合量は、従来のパワー
ステアリングフルード組成物における各添加剤の配合量
を参考にして決定すればよい。
【0040】本発明において基油として使用する鉱油お
よび合成油は、溶剤精製あるいは水素化精製などの精製
を行なった後、さらにワックス分を取り除いて低温流動
性を改善したものが好ましい。 合成油としては、ポリ
−α−オレフィンオリゴマー類、ポリブテン類、ジエス
テル類、ポリオールエステル類などが挙げられるが、添
加剤の溶解性を考慮して、単独で使用するよりも、鉱油
と混合するか、または合成油どうしを混合して用いるこ
とが好ましい。
【0041】基油の粘度は、パワーステアリングポンプ
やパワーステアリングギヤ部の耐摩耗性や効率、あるい
は低温における流動性などを考慮して、100℃におい
て2.0〜10.0mm2/Sであることが好ましく、より好
ましくは2.5〜5.0mm2/Sである。
【0042】この基油に上記した各成分を配合してなる
本発明のパワーステアリングフルード組成物の粘度も、
これらポンプやギヤ部の耐摩耗性や効率、低温での流動
性などを考慮して、100℃において5〜10mm2/S、
−40℃において50,000センチポイズ以下とする
ことが好ましい。
【0043】
【実施例】次に、本発明を実施例によりさらに具体的に
説明する。 ただし本発明は、これらの例によって何ら
制限されるものではない。 以下の製造例において、圧
力は特記しない限りゲージ圧である。
【0044】[製造例] ヒドロキシアルキル安息香酸およびアルキルフェノール
のアルカリ土類金属塩硫化混合物(ヒドロキシベンゾエ
ート・フェネート硫化混合物)の製造 攪拌機、冷却管、窒素ガス導入管および温度計を装着し
た5リットルのオートクレーブに、純度94.4%のド
デシルフェノール2917.8g(10.5モル)、純
度93.2%の酸化カルシウム180.6g(3.0モ
ル)を装入し、攪拌した。 その結果生じた懸濁液に、
エチレングリコール251.5g(4.05モル)にイ
オン交換水5.4g(0.3モル)を混合した溶液を、
窒素気流中、152kPa の加圧下、130℃、30分間
で全量添加し、添加終了後これを304kPa まで窒素で
加圧し、130℃で3時間反応させた。 その後、反応
系を徐々に減圧しながら、生成水63.3g、添加した
大部分のエチレングリコールおよび少量のドデシルフェ
ノールの合計量321.6gを留去して、カラシ色の液
状の蒸留残留物2965.0gを得た。 その際の塔底
物の温度は173℃、留出物温度は109℃(400P
a)であった。
【0045】次に、上記の蒸留残留物2965.0g
に、173℃、400Paの状態から二酸化炭素を吹き込
んで507kPa まで昇圧し、昇圧後その状態のまま4時
間保持して、暗い灰黄赤色の液状反応生成物3085g
を得た。
【0046】このカルボキシル化反応生成物510.2
gを1リットルのオートクレーブに移し、イオウ17.
5g(0.546モル、アルカリ土類金属試薬1モル当
たり1.1モル)を100℃で添加し、次いでエチレン
グリコール61.6g(1.0モル、アルカリ土類金属
試薬1モル当たり2.0モル)を、常圧下に150℃、
30分間で全量添加し、窒素気流中(15ml/min)で
4時間攪拌した。
【0047】反応生成物に150ニュートラル油(10
0℃の粘度が5.27mm2/s のパラフィン系潤滑油)16
4.2gを添加し、攪拌した後、1リットルの三ツ口梨
型フラスコに659.8g移しとり、大部分のエチレン
グリコール、ドデシルフェノールおよび少量の潤滑油留
分の合計量361.7gを留去して、蒸留残留物289.
1gを得た。 その際の最終留出物温度は197℃(2
67Pa)であった。 この後、蒸留残留物中に含まれる
極少量の不溶解物を濾過により除去し、ごく暗い黄赤色
で透明粘稠な液状の最終製品285.9gを得た。 特
性は次のとおり: 粘度(100℃) 568.2mm2/g 塩基性 165mgKOH/g 溶解性*1 可溶 カルシウム 5.9質量% イオウ 2.9質量% 酸価 39mgKOH/g *1:中東パラフィン系50エンジン油に60℃で5分間
攪拌したときの溶解性。
【0048】上のようにして製造したフェネート硫化混
合物を使用して、表1〜表3に示す組成の、本発明のパ
ワーステアリングフルード組成物を調製した。 比較の
ため、表4および表5に示す組成の、本発明の範囲外の
パワーステアリングフルード組成物も調製した。 基油
としては、いずれも鉱油(3.5mm2/S,100℃)を使
用した。
【0049】各実施例および比較例で用意したフルード
組成物を評価するため、軸受メタル腐食試験、摩擦特性
試験および金属腐食試験を行なった。 それぞれの試験
法と試験条件を、下に示す。
【0050】[軸受メタル腐食試験]JIS−K251
3に規定する銅板腐食試験の装置および試料容器を用
い、下記の条件で軸受メタルを試料油中に浸漬した後、
試料油中のPb濃度を測定して、組成物の腐食防止性能
を評価した: 試料油量 20cc 軸受メタル 大同メタル工業社製「DUメタル」(寸
法8×40×1.5mm) 温度 135℃ 時間 144時間 [摩擦特性試験]図1ないし図3に示す装置(特開平4
−351942号公報参照)を用い、下記の条件で行な
った。
【0051】 鋼板 JIS−G3141 SPCC ゴム板 NBR(アクリロニトリルブタジエンラ
バー) 温度 80℃ 滑り速度 1.3mm/s 荷重 500g 図3に示すように、被試験材(ゴム板)10を把持具1
1の把持部12,12に把持し、図2に示すように、こ
の把持具11の軸13,13を、試験装置本体1のスリ
ット部3,3に差込み、軸13,13をスリット3,3
内をスライドさせ、ゴム板10が所定の伸び率(ここで
は100%)となる位置で、ゴム板10の一方の面が固
定手段2に接するように、ナット14,14で固定す
る。 この状態の試験装置本体1を、取付け部1dにお
いて、図示してない摩擦試験装置に取付け、ゴム板10
の固定手段2に接している面と反対面に被測定硬質材
(鋼板)20を接触させる。 次に、このゴム板10と鋼
板20との間に、実施例および比較例で得た組成物をそ
れぞれ50gずつ塗布する。 そして、図示してない荷
重負荷手段によりゴム板10と鋼板20とに所定の荷重
をかけ、かつ、やはり図示してないモータにより、ゴム
板10と鋼板20とに所定の相対速度を与える。
【0052】2枚の板10,20の間の摩擦力の検出
は、板バネ(バネ定数40±1g/mm,バネ振動数15±
1サイクル/秒程度のもの)の歪みを測定することので
きるストレインゲージおよびそれを記録する電磁オシロ
グラフに表示することによって行ない、検出された摩擦
力にもとづいて、摩擦係数等の摩擦特性を算出する。
【0053】[金属腐食試験]フルード組成物を用いて
ゴム配合剤を抽出する前処理段階(抽出試験)と、その抽
出液を用いた金属腐食試験との二段階からなり、腐食試
験後の油中の金属(板)の質量変化と外観状態とを評価す
る。
【0054】(抽出試験条件) 組成物使用量 800ml 温度 100℃ 撹拌方法 スターラー,約200rpm 時間 96時間 ゴム部品 油圧系統に使用されているゴム部品(ニ
トリル系ゴム)を剥し、長さ5cm、幅2cm、厚さ0.2
cmの矩形状にして使用。
【0055】(金属腐食試験条件) 試験機 インディアナ酸化安定度試験機(JIS
−K2514) 組成物使用量 300ml(抽出試験後の油) 温度 100℃ 回転数 1300rpm 時間 144時間 試験金属 銅板(75×180×0.8mm) 以上の評価試験の結果を、表1〜表5にあわせて示す。
【0056】[実施例1〜3] 表 1 (組成は質量%) 実施例1 実施例2 実施例3 基油:鉱油(3.5mm2/S, 100℃) 残部 残部 残部 (A)成分: トリラウリルホスフェート 0.4 − 0.4 トリアルキルチオホスフェート − 0.63 − (B)成分:2,5-ビス(第3オクチ 0.1 0.1 0.1 ルジチオ)1,3,4-チアジアゾール (C)成分:フェネート硫化混合物 0.2 2.0 0.4 その他の添加剤*2 8.8 8.8 8.8 軸受メタル試験(Pb, ppm) 49 27 42 摩耗特性試験(μ) 0.059 0.064 0.062 金属腐食試験(Cu, ppm) 22 13 24 *2:分散剤、粘度指数向上剤、酸化防止剤および消泡剤(以下同じ)。
【0057】[実施例4〜6] 表 2 (組成は質量%) 実施例4 実施例5 実施例6 基油:鉱油(3.5mm2/S, 100℃) 残部 残部 残部 (A)成分: トリラウリルホスフェート 0.4 0.4 − トリクレジルホスフェート − − 0.4 (B)成分:2,5-ビス(第3オクチ 0.1 0.1 0.1 ルジチオ)1,3,4-チアジアゾール (C)成分:フェネート硫化混合物 3.5 5.0 2.0 その他の添加剤*2 8.8 8.8 8.8 軸受メタル試験(Pb, ppm) 19 11 33 摩耗特性試験(μ) 0.069 0.091 0.059 金属腐食試験(Cu, ppm) 18 17 20 *2:表1に同じ。
【0058】[実施例7および8] 表 3 (組成は質量%) 実施例7 実施例8 基油:鉱油(3.5mm2/S, 100℃) 残部 残部 (A)成分: トリスノニルフェニルホスファイト 0.4 − ジ(2−エチルヘキシル)ジチオリン酸 − 0.34 (B)成分:2,5-ビス(第3オクチ 0.1 0.1 ルジチオ)1,3,4-チアジアゾール (C)成分:フェネート硫化混合物 2.0 2.0 その他の添加剤*2 8.8 8.8 軸受メタル試験(Pb, ppm) 41 65 摩耗特性試験(μ) 0.069 0.064 金属腐食試験(Cu, ppm) 29 71 *2:表1に同じ。
【0059】[比較例1および2] 表 4 (組成は質量%) 比較例1 比較例2 基油:鉱油(3.5mm2/S, 100℃) 残部 残部 (A)成分: トリラウリルホスフェート − 0.4 (B)成分:2,5-ビス(第3オクチ 0.1 − ルジチオ)1,3,4-チアジアゾール (C)成分:フェネート硫化混合物 5.0 1.0 その他の添加剤*2 8.8 8.8 軸受メタル試験(Pb, ppm) 19 34 摩耗特性試験(μ) 0.121 0.072 金属腐食試験(Cu, ppm) 28 210 *2:表1に同じ。
【0060】[比較例3および4] 表 5 (組成は質量%) 比較例3 比較例4 基油:鉱油(3.5mm2/S, 100℃) 残部 残部 (A)成分: トリラウリルホスフェート 0.4 0.4 (B)成分:2,5-ビス(第3オクチ 0.1 − ルジチオ)1,3,4-チアジアゾール 1,2,3−ベンゾントリアゾール − 0.1 (C)成分:フェネート硫化混合物 7.0 1.0 その他の添加剤*2 8.8 8.8 軸受メタル試験(Pb, ppm) 24 52 摩耗特性試験(μ) 0.121 0.058 金属腐食試験(Cu, ppm) 30 230 *2:表1に同じ。
【0061】表1〜表5のデータから明らかなように、
実施例のフルード組成物は、いずれも軸受メタル腐食防
止性、摩擦特性、金属腐食性が向上していることが分か
る。
【0062】
【発明の効果】本発明のパワーステアリングフルード組
成物は、ヒドロキシアルキル安息香酸およびアルキルフ
ェノールのアルカリ土類金属塩硫化混合物を特定量含有
させることにより、パワーステアリングフルードとして
の諸特性を損なうことなく、スムーズなハンドル操作性
と軸受メタル腐食防止性とをあわせて向上させることが
できる。 本発明のフルード組成物は高温使用環境下な
ど使用態様によってはかなり苛酷な条件に置かれるうえ
に、スクラップ化まで交換しないことを前提とする自動
車用のパワーステアリング用に使用したとき、とくに有
用であることが明らかである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明のパワーステアリングフルード組成物
の摩擦特性を評価する際に使用した試験装置を示す正面
図。
【図2】 図1の試験装置のI−I断面図。
【図3】 図1の試験装置に使用する被試験材把持具を
を示す図。
【符号の説明】
1 試験装置本体 1d 試験装置本体の摩擦試験装置への取付け部 2 ゴム板固定手段 3 スリット 10 ゴム板 11 ゴム板把持具 12 把持部 13 軸 14 ナット 20 鋼板
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C10M 129:54 129:10) C10N 10:04 40:08

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 鉱油または合成油からえらんだ少なくと
    も1種の基油に、(A)アルキルリン酸系化合物または
    アルキル置換もしくは非置換フェニルリン酸系化合物、
    アルキルチオリン酸系化合物またはアルキル置換もしく
    は非置換フェニルチオリン酸系化合物、ならびにアルキ
    ルジチオリン酸系化合物またはアルキル置換もしくは非
    置換フェニルジチオリン酸系化合物からなるグループか
    ら選ばれた少なくとも1種を、リン分として0.005
    〜2.0質量%、(B)一般式 【化1】 [式中、R1およびR2は、それぞれ炭素原子数1〜12
    の直鎖または分岐鎖アルキル基を表す。]で表されるチ
    アジアゾール誘導体の少なくとも1種を、0.05〜
    1.0質量%、および(C)ヒドロキシアルキル安息香
    酸およびアルキルフェノールのアルカリ土類金属塩硫化
    混合物を0.1〜6.0質量%添加したことを特徴とす
    るパワーステアリングフルード組成物。
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