JPH10169855A - 大径油井管用ねじ継手 - Google Patents

大径油井管用ねじ継手

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JPH10169855A
JPH10169855A JP8324924A JP32492496A JPH10169855A JP H10169855 A JPH10169855 A JP H10169855A JP 8324924 A JP8324924 A JP 8324924A JP 32492496 A JP32492496 A JP 32492496A JP H10169855 A JPH10169855 A JP H10169855A
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JP
Japan
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screw
seal
country tubular
pin member
diameter
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JP8324924A
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English (en)
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Masaaki Sugino
正明 杉野
Mitsusachi Yamamoto
三幸 山本
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Nippon Steel Corp
Original Assignee
Sumitomo Metal Industries Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】大径油井管用ねじ継手を提供する。 【解決手段】雄ねじ12及びシール形成用ねじ無し部1
3を備えたピン部材11と、雌ねじ22及びシール形成
用ねじ無し部23を備えたボックス部材21を締結す
る。更に、管本体外径が219粍以上、ねじ形状が台
形、締結状態でねじ挿入面が接触または挿入面に小隙間
があり、ピン部材11側ねじ無し部13の外径がボック
ス部材21側ねじ無し部15の内径よりも大きく、メタ
ルタッチのシール面を両ねじ無部の接触嵌合で形成し、
溝33をピン部材の雄ねじ12とねじ無し部23との間
に円周方向に刻設する。なお、溝33の深さはピン部材
111の肉厚の1/4以内、溝33の底の曲率半径は
0.5粍以上とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、地下に存在する天
然ガスや原油の探査およびそれらの産出に用いられる油
井管用ねじ継手であって、特に大径でケーシング用に供
されるねじ継手に関するものである。
【0002】
【従来の技術】今日、深さ数千m にも及ぶ天然ガス田や
原油田などの探査および天然ガスや原油の産出をおこな
うための油井管を接続する方法として、ねじ継手が広く
用いられている。これらの井戸の深さは一般的なもので
2000〜3000m であり、深いものになると6000m を超え
る。このような井戸では、ねじ継手で接続された油井管
を地中深く竪て込んで埋設するが、ひとつの井戸に油井
管1本のみを通すことはない。通常は、まず大径の油井
管1本を或る深さまで竪て込んで埋設し、次いでその内
部に小径の油井管を順次同心円状に挿入する方法で多重
管構造を形成し、かつ内部の小径のものほど地中深く伸
ばしてゆく。
【0003】これらの油井管では単に外径が異なるだけ
ではなく、それぞれの目的も大きく異なる。外側の大径
油井管はケーシングと呼ばれ、地中深く掘った坑の壁が
崩れるのを防止し、さらに外部の土砂や地下水およびガ
スなどが坑井内への侵入するのを防止する役目を持つ。
一方、最も内側の小径油井管はチュービングと呼ばれ、
産出物の汲み上げに使用される。
【0004】油井管を接続するねじ継手においても、上
述の通り、その外径によって要求される性能が異なって
くるが、通常、共通して要求される性能としては、次の
1)〜4)などが挙げられる。
【0005】1)接続された油井管の自重による軸方向の
引張力、または継手を含む油井管を井戸に挿入する際に
作用する不測の軸方向の圧縮力に耐え得ること。
【0006】2)油井管内部の流体による内圧または外部
の流体による外圧に耐え得ること。
【0007】3)数十回の繰り返し使用ができること。
【0008】4)現場での螺合締結および解体が迅速かつ
容易に行えること。
【0009】ただし、ケーシング用油井管に供されるね
じ継手の場合には、下記1)および2)の要因から、チュー
ビング用油井管に供されるねじ継手に比べ、高い性能は
要求されなかった。
【0010】1)接続長さが短いため、耐引張および耐圧
縮荷重が小さくてもよい。
【0011】2)地中の表層部で使用されるため、耐内圧
および耐外圧性能が高くなくてもよい。
【0012】しかしながら、近年、井戸の深さが深くな
る傾向にあり、またねじ継手は海洋上や極地などの厳し
い環境下で使用される場合が多くなってきたため、その
性能要求はケーシング用油井管のねじ継手においてもま
すます厳しくなり、前記1)〜4)の性能に関しても、チュ
ービング用油井管のねじ継手と同等の性能を満たすこと
が必要になってきた。
【0013】このような状況に対応するため、さまざま
な構造のねじ継手が提案され、用いられている。図5に
その一例を示す。
【0014】図5は、カップリング方式、かつ内面シー
ル方式の従来のねじ継手の例を示す図である。図5(a)
は継手構造の要部を示す一部縦断面図および一部正面
図、図5(b) はねじ部、シール部およびトルクショルダ
部の要部を示す縦断面図である。
【0015】この例では、ピン部材11は油井管10本体の
端部の外周面に雄ねじ12を設けて形成される。さらにそ
の先端に雄ねじ12部に隣接して、テーパ状または大きな
曲率半径からなる回転体面状のシール形成用のねじ無し
部13が設けられている。一方、ボックス部材21は、別の
カップリング20の端部の内周面に雌ねじ22を設けて形成
される。さらにその最内方(最深部)に、雌ねじ22部と
隣接し、かつ上記ねじ無し部13と対応するように、テー
パ状のシール形成用のねじ無し部23が設けられている。
【0016】図5(b) に示すように、シール部15は、螺
合締結によりピン部材11とボックス部材21とを接続し、
上記二つのねじ無し部13、23の対応する面を互いに接触
嵌合させることにより形成される。このようにしてシー
ル部15でメタルタッチのシールを構成させることによ
り、油井管10内部の流体による内圧負荷または油井管10
外部の流体による外圧負荷に対するシール性能を向上さ
せる。
【0017】さらに、図5(b) に示すように、ピン部材
11のシール形成用のねじ無し部13の先端にトルクショル
ダ形成用のねじ無し部14、およびボックス部材21のシー
ル形成用のねじ無し部23の最内方(最深部)にトルクシ
ョルダ形成用のねじ無し部24が設けられている。これら
のトルクショルダ形成用のねじ無し部14、24が突き合わ
され、トルクショルダ部16が形成されることによって、
螺合締結が完了する。
【0018】このようにして突き合わせる際に、螺合締
結トルクは、過度な塑性変形が生じるほどの高い接触圧
が前記のシール部15に発生しないように適正な値にコン
トロールされる。
【0019】油井管用ねじ継手のねじ部およびシール部
には、通常、嵌合代が設けられている(後述する図6
(a) 参照)。手動で継手を螺合締結した後、さらに専用
の締結機で嵌合代分だけねじ込むことにより、ねじ結
合、すなわち、ねじの噛み合いを強固なものにするとと
もに、接触嵌合によりシール性能が発揮され得るだけの
接触圧をシール部に生じさせている。
【0020】ねじ部の嵌合代は大径になってもそれ程変
わらないが、シール部の嵌合代は大径になる程大きくな
り、ねじ部の嵌合代との差が大きくなる。大径の場合
に、ねじ部に比べてのシール部の嵌合代を大きくしなけ
ればならない理由は、次の2点である。その一つは、シ
ール部はピン部材の先端部にあるため、大径薄肉になれ
ばなるほどシール部の曲げ剛性が小さくなるので、小さ
な力でもたわみ易くなる。そのためシール部の接触圧力
を小径厚肉のものと同程度に確保するため、嵌合代を大
きくする。他の理由は、大径になるほど製造誤差による
シール部の偏心や楕円状になる等の形状誤差が生じやす
くなる。このため、これらの形状誤差をある程度許容し
て、さらにシール部の周面全体にわたって十分な接触圧
力を確保できるよう、嵌合代を大きくするからである。
【0021】特に大径油井管用ねじ継手に限られたこと
ではないが、油井管用継手の基本性能である軸方向の耐
引張、耐圧縮およびシールの各性能を向上させるため
に、さまざまな工夫が講じられてきた。それらの主なも
のとしては次のa)〜c)などが挙げられる。
【0022】a)特開昭60−241596号公報に示されるよう
に、フックねじを採用してねじ結合を緊締状態とし、耐
引張およびシール性能を向上させたもの。
【0023】b)特開平6−281061号公報に示されるよう
に、ねじ挿入面を接触させた台形ねじ、または特開平6
−281059号公報に示されるように、ねじ挿入面の隙間を
非常に小さくした台形ねじを適用し、耐圧縮およびシー
ル性能を向上させたもの。
【0024】c)特開昭59−170591号公報に示されるよう
に、螺合の開始端域のねじ山高さを規定高さよりも高く
し、この開始端域のねじの噛み合いを強固にすることで
耐引張性能を向上させたもの。
【0025】
【発明が解決しようとする課題】上記の先行技術におけ
るねじに関しては、雌ねじと雄ねじとが強固に噛み合っ
てはじめて優れた性能が発揮されることは言うまでもな
い。いわゆる小径のチュービングサイズおよび中径のプ
ロダクトラインサイズでは、ねじ部の嵌合代とシール部
の嵌合代とは比較的近似する値であり、ねじの噛み合い
に関しては特に問題は生じない。しかし、大径のケーシ
ングサイズでは、前述の理由によりシール部の嵌合代が
ねじ部の嵌合代に比べて非常に大きくなるため、後述す
る図6(b)に示すようにシール部近傍のねじの噛み合い
が著しく悪化し、その結果、継手の軸方向の耐荷重性能
を大きく低下させることになる。そのため、上記のよう
な嵌合代の差に起因するねじの噛み合い不良を解消する
ことができる有効な手段は、まだ開示されていない。
【0026】本発明の目的は、ねじの噛み合い不良に係
わる上記のような課題を解決し、取扱いが容易で軸方向
の耐荷重性能に優れ、かつ安定したシール性能を発揮す
る高性能な大径油井管用ねじ継手を提供することにあ
る。
【0027】
【課題を解決するための手段】本発明の要旨は次の大径
油井管用ねじ継手にある。
【0028】ピン部材とボックス部材とを螺合締結(以
下、単に締結という)してなる大径油井管用ねじ継手で
あって、ピン部材は管端の外周面に雄ねじとシール形成
用のねじ無し部とを備え、ボックス部材は別の管端の内
周面に雌ねじとシール形成用のねじ無し部とを備え、さ
らに下記〜の条件を満たすことを特徴とする大径油
井管用ねじ継手。
【0029】油井管本体の外径が8−5/8インチ
( 219mm)以上の大径であること。
【0030】ねじ形状が台形で、かつ螺合締結した状
態でねじ挿入面が接触しもしくはねじ挿入面に小さな隙
間があること。
【0031】ピン部材側のシール形成用のねじ無し部
の外径はボックス部材側のシール形成用のねじ無し部の
内径よりも大きく、メタルタッチのシール面が両ねじ無
し部の接触嵌合により形成されていること。
【0032】溝が、ピン部材の管端の外周面に備えた
雄ねじとシール形成用のねじ無し部との間に円周方向に
刻設されていること。
【0033】さらに、上記においては、刻設する溝の
深さは刻設部位のピン部材の肉厚の1/4以内、かつ溝
底の形状は0.5mm 以上の曲率半径を有する滑らかな円弧
状とするのが望ましい。
【0034】上記の外径の望ましい上限は、実用に供
されている範囲を考慮して14インチ程度ある。また、上
記の「接触」とはねじ挿入面に隙間がないこと、「小
さな隙間」とはねじ挿入面の隙間が0.06mm以下程度で非
常に小さいことを意味する。
【0035】さらに、上記の「外径」は、上記の
「内径」よりも 0.4〜 1.5mm程度の範囲で大きくするの
が望ましい。
【0036】本発明の継手は、カップリング方式および
インテグラル方式を問わず、内面シール方式の場合に適
用することができる。
【0037】本発明者らは、ケーシング用途の油井管用
ねじ継手を締結したとき、軸力負荷時の継手内部のねじ
の噛み合いの実態について詳細に基礎的な検討を行い、
下記(イ)および(ロ)の新たな知見を得た。
【0038】(イ)図5に示すような構成のカップリン
グ方式の大径油井管用ねじ継手であって、ねじ形状を下
記 (a)および(b) の2種類、さらにこの2種類について
それぞれ、ねじ部の嵌合代とシール部の嵌合代との組み
合わせを製造公差において、下記 (1)および(2) の2条
件とした計4種類のものを準備した。
【0039】(a) 締結したときにねじ挿入面に隙間を有
し、かつ、ねじ荷重面および底面がいずれも接触してい
る台形ねじ。
【0040】(b) 締結したときにねじ頂面および底面に
隙間を有し、かつ、ねじ荷重面および挿入面がいずれも
接触している台形ねじ。
【0041】(1) ねじ嵌合代およびシール嵌合代がそれ
ぞれ最大および最小。
【0042】(2) ねじ嵌合代およびシール嵌合代がそれ
ぞれ最小および最大。
【0043】これらの4種類のねじ継手を対象として、
所定のトルクで締結した後、油井管本体の降伏強さの80
%に相当する軸力を負荷する引張試験および圧縮試験を
おこない、次いで継手を解体して解体に要するトルクを
比較するとともに、トルクショルダ部の塑性変形の状況
を観察した。
【0044】その結果、解体に要するトルクは、前記
(a) および(b) のいずれの種類の台形ねじにおいても、
製造公差条件において前記(1) のときの方が前記(2) の
ときよりも大きく、すなわち緩みにくく、かつトルクシ
ョルダ部の塑性変形量が少なかった。
【0045】(ロ)次に、弾塑性有限要素法を用い、大
径油井管用ねじ継手の締結に関するシミュレーション解
析をおこなった。この結果、ピン部材先端側のシール部
近傍のねじ数山の底部、頂部および荷重面が接触してい
ない、すなわち噛み合っていないことがわかった。
【0046】図6は、前記のような従来のねじ継手にお
けるシール部およびその近傍のねじ部での嵌合の状態を
示す要部の縦断面図である。図6(a) は締結する前、す
なわち設計に基づいて加工したときの状態で、図6(b)
は締結した後の状態である。
【0047】設計に基づいて加工したときの状態では、
図6(a) に示すように、シール形成用のねじ無し部13、
23の嵌合代31が、ねじ12、22部の嵌合代32よりもかなり
大きい。
【0048】締結する際には、シール性能を確保するた
めに両ねじ無し部13、23のシール面の接触嵌合が達成さ
れるようにおこなう。しかし、嵌合代31が大きいため、
図6(b) に示すように、シール部15には変形方向25で示
す方向に大きな接触反力が発生し、ピン部材11の先端側
は油井管10の内側方向に大きく押し込まれて縮径し、一
方ボックス部材24側は同じく外側方向に押し広げられて
拡径する。このとき、ピン部材11の縮径変形とボックス
部材24の拡径変形の絶対量が大きくなるので、シール部
近傍のねじ部12、22に影響が及んで、雄ねじ12と雌ねじ
22とを引き剥がす方向に作用し、シール部15近傍のねじ
数山の底部、頂部および荷重面に隙間が発生して接触し
なくなる。
【0049】シール部15に大きな嵌合代31が設けられて
いるねじ継手を締結したときのこのような現象が、前記
のようにねじが噛み合わない原因であることがわかっ
た。
【0050】本発明者らは、大径油井管用ねじ継手のシ
ール部近傍におけるねじの噛み合いの実態に関する上記
の新知見を考慮し、次のような技術的思想に基づいて本
発明をなした。
【0051】ねじの噛み合いに不良が発生するのは、前
述のようにシール部の大きな嵌合代の影響を受けるから
である。したがって、この嵌合代の影響がねじ部に伝播
するのを何らかの構造的な改善により防止または低減す
ることによって、ねじの噛み合い不良を低減できる。
【0052】図1はシール部近傍の変形状態を説明する
図であり、そのうち図1(a) は、従来の大径油井管用ね
じ継手を締結した後におけるピン部材側のシール近傍の
変形状態を示す模式図である。同図に示すように、ピン
部材11の先端部は大きなシール嵌合代によりシール部1
5' が変形料36だけ強制的に縮径される。そして、この
シール部15' に隣接しているねじ部のねじ始端域17で
は、その曲げ剛性がシール部と連続しているため、シー
ル部の縮径に起因する曲げ変形によりこのねじ始端域17
の変形は大きくなる。
【0053】図1(b) は、本発明の構成であってピン部
材の先端側の外面に溝が円周方向に刻設されている場合
のシール部近傍の変形状態を示す模式図である。同図か
ら明らかなように、シール部の大きな嵌合代によってシ
ール部15' が縮径する変形量36' は、図1(a) に示す溝
のない場合のシール部15' の変形量36とほぼ同じであ
る。しかし、溝33を設けることによりシール部15' とね
じ始端域17との間に曲げ剛性の不連続部分が形成され、
それによりシール部15' の大きな縮径変形の影響がねじ
始端域17まで伝播することが低減される。このため、シ
ール部の縮径に起因するねじ始端域17の変形量が、図1
(a) に示す従来のものに比べ飛躍的に小さくなる。この
結果、前記の図6(b) に示すような、ねじ部が引き剥が
され、ねじの嵌合不良が生じる方向の変形量も軽減さ
れ、噛み合い不足のねじ山数も減少する。
【0054】ピン部材の雄ねじとねじ無し部との間に上
記のような作用を有する溝を刻設することにより、シー
ル部に大きな嵌合代が設けられているねじ継手の場合に
おいても、締結をおこなうときのピン部材先端側の大き
な嵌合代に起因する縮径変形がねじ部に与える影響を軽
減することができ、ねじの噛み合い状態を向上させるこ
とが可能になる。
【0055】
【発明の実施の形態】図2を用いて、本発明のねじ継手
の構成例を説明する。図2は本発明のねじ継手の構成例
を示す要部の縦断面図である。この図2の例は、カップ
リング方式、かつ内面シール方式の継手であって、刻設
する溝の数が1個の場合を示している。図2(a) は溝の
形状がU字状、図2(b) は同じくやや浅い深さを有する
円弧状の場合である。
【0056】図2のねじ継手は、図5の場合と同様にピ
ン部材11とボックス部材21とからなり、締結して接続す
るものである。ピン部材11は、油井管10端の外周面に雄
ねじ12と、この雄ねじ12の先端側にシール形成用のねじ
無し部13とを備えている。ボックス部材21は、別の管、
すなわちカップリング20の端の内周面に、雌ねじ22とこ
の雌ねじ22の最内方(最深部)側にシール形成用のねじ
無し部23とを備えている。
【0057】油井管10本体の外径は8−5/8インチ以
上の大径である。外径が8−5/8インチ未満の中径、
小径の油井管ではねじ嵌合代とシール嵌合代とが比較的
近似しているので、シール嵌合代によるねじ始端域17で
の噛み合い不良は実用上問題とならない。したがって、
本発明を適用してもそれ程効果が期待できないからであ
る。この外径の望ましい上限は、前述の通り、14インチ
程度である。
【0058】シール部15は、締結によりピン部材11とボ
ックス部材21とを接続し、前記ふたつのねじ無し部13、
23の対応するシール面を互いに接触嵌合させることによ
り形成される。形成されたシール面はいわゆるメタルタ
ッチである。シール性能を確保するために、ピン部材11
側のシール形成用のねじ無し部13の外径は、ボックス部
材21側のシール形成用のねじ無し部23の内径よりも大き
くする。
【0059】上記の「外径」は、上記「内径」よりも0.
4 〜1.5mm 程度の範囲で大きくするのが望ましい。
【0060】ピン部材11のシール形成用のねじ無し部13
の先端にトルクショルダ形成用のねじ無し部14、および
ボックス部材21のシール形成用のねじ無し部23の最内方
(最深部)側にトルクショルダ形成用のねじ無し部24が
設けられている。トルクショルダ部16は、上記のねじ無
し部14と同じく24との対応する面を互いに突き合わせる
ことにより形成され、かつトルクショルダの形成によっ
て締結を完了する。
【0061】さらに溝33が、ピン部材11の管10端の外周
面に備えた雄ねじ12とシール形成用のねじ無し部13との
間に円周方向に刻設されている。溝33の刻設位置をこの
ように限定するのは、次の理由による。
【0062】すなわち、前記の図1(b) の説明のとお
り、本発明の意図が、大径油井管用ねじ継手の場合に大
きな嵌合代に起因してシール部近傍のねじ数山が噛み合
い不良となるのを、溝33の作用効果により防止すること
にあるからである。反対の考え方をすれば、油井管の外
径が前記の範囲のような大径ではなく、シール部とねじ
部との嵌合代の差がさほど大きくない場合、またはねじ
部とシール部とが隣接していない場合などにおいては、
上記のような溝を刻設することによる効果はあまり期待
できないことになるからである。前述のような溝の効果
は、本発明で定める刻設位置において飛躍的なものとな
る。
【0063】図1(b) で説明したようにピン部材11の先
端部におけるたわみ角度35′は、溝33がある場合には、
ない場合に比べて大きくなる。そのため、シール面の接
触圧分布が変化する。すなわち、ピーク面圧は若干上昇
し、逆に平均面圧は若干減少する。このシール面の接触
圧分布の変化の度合いは、溝の大きさ、刻設位置および
嵌合代によって左右されるが、本発明で定める条件およ
び望ましい条件の範囲内では実用上、シール性能の劣化
は起こらない。
【0064】シール部に大きな嵌合代を設けるような場
合ではこのように、溝の作用によりシール部近傍のねじ
の噛み合い状態が向上することで、耐引張および耐圧縮
性能が著しく上昇し、同時に安定したシール性能を確保
することができる。
【0065】溝の効果や本発明の継手における性能を十
分に発揮させ、かつ溝を刻設することによる副次的な弊
害を避けるためには、実用上望ましい溝の大きさや形状
が自ずと決まる。
【0066】図2に示す溝33の望ましい深さは、刻設部
位のピン部材11の肉厚の1/4以内とするのが望まし
い。溝33深さの望ましい上限を刻設部位のピン部材11の
肉厚の1/4とするのは、次の理由による。すなわち、
通常、ピン部材11の先端およびボックス部材21の最内方
(最深部)のねじ無し部14、24の間においてトルクショ
ルダ部16が形成され、締結するときにこのトルクショル
ダ部16の反力が締め付け力となってねじ12部に伝達され
ることにより、ねじの結合がおこなわれる。したがっ
て、溝33深さが望ましい上限を超えると、刻設部位の肉
厚が薄くなり、刻設部位の断面を通過する応力値が高く
なり、また溝33はシール部15の直近に刻設するため、シ
ール面の接触圧が著しく低下する。深さの望ましい下限
は刻設部位のピン部材11の肉厚の1/8程度であるが、
本発明の効果を十分に発揮するには溝の深さはできるだ
け深くするのが良い。
【0067】溝33底の望ましい形状は、0.5mm 以上の曲
率半径を有する滑らかな円弧状、すなわち溝33の側壁か
ら滑らかにつながる曲率を有する曲面である。この理由
は、溝底の形状が0.5mm 未満の曲率半径の小さなRまた
は鋭角であると溝底に応力集中が発生し、溝底が疲労や
腐食によるき裂の発生起点となる可能性が高くなるから
である。この曲率半径の望ましい上限は特に限定しな
い。
【0068】溝33の軸方向の幅は特に限定しないが、望
ましい最小幅は当然、上記の曲率半径の最小値によって
決まり、最大幅は当然、雄ねじ12部とシール形成用のね
じ無し部13との間の距離となる。
【0069】溝33の個数は、雄ねじとシール形成用のね
じ無し部とが対をなし、それらの間に溝を刻設できる図
2のような構成の内面シール方式の継手であれば特に限
定しない。しかし、前述の溝の効果および本発明の継手
の所期性能を得るには、ねじ部とシール部との間毎に1
個で十分である。
【0070】本発明の継手においては、ねじ形状は台
形、かつ締結した状態でねじ挿入面は接触もしくは小さ
な隙間があることに限定する。この「接触」とはねじ挿
入面の隙間がないこと、「小さな隙間がある」とはねじ
挿入面の隙間の範囲が0.02〜0.06mm程度と非常に小さい
ことを意味する。
【0071】本来、高性能ねじは、ねじが十分に噛み合
ってこそ優れた性能を発揮するのであって、噛み合い不
良が発生すると、その機能は著しく低下する。本発明の
構成からなるねじを有する継手によれば、ねじの噛み合
いが強固になり、ねじ本来の優れた性能が遺憾なく発揮
されることになる。
【0072】図3は、本発明の継手におけるねじ形状お
よび接触状態の例を示す要部の縦断面図である。図3
(a) はねじ挿入面に小さな隙間があり、非接触の場合、
図3(b) はねじ挿入面が接触の場合である。
【0073】図3(a) の場合、雄ねじ12の形状は台形、
その挿入面43側には隙間45があり、挿入面43は非接触状
態である。さらにねじ頂部42には隙間45があり、ねじ荷
重面41および底部44は接触状態である。図3(b) の場
合、雄ねじ12の形状は台形、その挿入面43側には隙間が
なく、挿入面43は接触状態である。さらにねじ頂部42お
よび底部44には隙間45があり、ねじ荷重面41は接触状態
である。
【0074】本発明の継手はカップリング方式のほか
に、インテグラル方式、かつ図2に示すような内面シー
ル方式の場合に適用することができる。インテグラル方
式の場合にも、上記カップリング方式の場合の考え方お
よび実施の形態を基本とすればよい。
【0075】以上のような本発明の継手により、大径油
井管用ねじ継手においてもシール部近傍のねじの噛み合
い不良状態が改善され、耐引張および耐圧縮性能が向上
し、かつ大径油井管の場合の大きなシール部の嵌合代を
有効に生かすことができるため、安定したシール性能を
達成することが可能となる。
【0076】
【実施例】比較例と対比するために、供試継手は全て図
5に示すような構成のカップリング方式、かつ内面シー
ル方式のものとした。表1に、本発明例および比較例の
供試継手の条件を示す。
【0077】
【表1】
【0078】このとき、下記の締結まで条件は全ての供
試継手で等しくした。
【0079】〔サイズ〕 油井管本体の外径:273.05mm(10−3/4インチ) 油井管本体の肉厚:12.57mm カップリングの外径:293.54mm 溝の刻設位置のピン部材の肉厚:8.57mm 〔供試継手の材料〕 炭素鋼(降伏強さ:56.2 kgf/mm2 ) 〔シール部の形状〕 シールテーパ:1/10 シール長さ:6.5mm シール嵌合代(径方向):0.8mm 〔締結条件〕 トルク:3500 kgf・m ねじ形状は次のタイプ1および2の2種類とした。
【0080】〔タイプ1〕 ねじ形状:図3(a) に同じ ねじピッチ:6.35mm(インチ4山) ねじ山高さ:1.982mm ねじテーパ:1/18 ねじ嵌合代(径方向):0.272mm ねじ挿入面の隙間量:0.06mm 〔タイプ2〕 ねじ形状:図3(b) に同じ ねじピッチ:タイプ1に同じ ねじ山高さ:タイプ1に同じ ねじテーパ:タイプ1に同じ ねじ嵌合代(径方向):タイプ1に同じ これらの供試継手を対象として次の複合荷重試験を行
い、継手からの漏れ発生時点およびトルクショルダ部の
塑性変形状況により、性能を評価した。
【0081】〔複合荷重試験〕図4は複合荷重条件を示
す等応力線図である。締結を行った後、図4にしたがっ
て次の (1)〜(4) の手順で繰り返し荷重を負荷した。
【0082】(1) 継手を含む試験体全体に、油井管本体
の降伏強さの80%に相当する応力が生じるような軸方向
の引張力を負荷した後、上記と同じ応力が生じるような
内圧を負荷し、15分間保持する(図4に示す(o) →(a)
→(b))。
【0083】(2) 継手を含む試験体全体に、油井管本体
の降伏強さの80%に相当する応力が常に作用するように
内圧を負荷したまま、その降伏強さの50%に相当する応
力が生じるような軸方向の圧縮力を負荷し、15分間保持
する(図4に示す(b) →(c))。
【0084】(3) さらに、継手を含む試験体全体
に、油井管本体の降伏強さの80%に相当する応力が常に
作用するように内圧を負荷したまま、80%引張・15分間
保持および50%圧縮・15分間保持を計5回繰り返し負荷
する(図4に示す(c) ←→(b))。
【0085】(4) 最後に、圧縮力と内圧とを同時に除荷
する(図4に示す(c) →(o))。
【0086】上記試験において、漏れが発生した時点を
記録し、かつ試験を終了した後、継手を解体してトルク
ショルダ部の塑性変形状況を観察した。表2に結果を示
す。
【0087】
【表2】
【0088】表2に示すとおり、本発明例はいずれも、
耐引張および耐圧縮性能に優れていることがわかる。
【0089】上記の結果から、本発明の継手をインテグ
ラル方式、かつ内面シール方式の場合に適用しても、同
様の効果を得ることができるのは明らかである。
【0090】
【発明の効果】本発明によれば、ねじの噛み合いが強固
で、耐引張および耐圧縮性能に優れ、かつ安定したシー
ル性能を有する高性能の大径油井管用ねじ継手を得るこ
とができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】シール部近傍の変形状態を説明する図である。
(a) は従来の大径油井管用ねじ継手を締結した後におけ
るピン部材側のシール近傍の変形状態を示す模式図、
(b) は本発明の構成でピン部材の先端側の外面に溝が円
周方向に刻設されている場合のシール部近傍の変形状態
を示す模式図である。
【図2】本発明のねじ継手の構成例を示す要部の縦断面
図である。(a) は溝の形状がU字状、(b) は同じく円弧
状の場合である。
【図3】本発明の継手におけるねじ形状および接触状態
の例を示す要部の縦断面図である。(a) はねじ挿入面が
非接触の場合、(b) は同じく接触の場合である。
【図4】実施例における複合荷重条件を示す等応力線図
である。
【図5】カップリング方式の従来のねじ継手の例を示す
図である。(a) は継手構造の要部を示す一部縦断面図お
よび一部正面図、(b) はねじ部の要部を示す縦断面図で
ある。
【図6】従来のねじ継手におけるシール部およびその近
傍のねじ部での嵌合の状態を示す要部の縦断面図であ
る。(a) は締結おこなう前、(b) は締結した後の状態で
ある。
【符号の説明】
10:油井管、 11:ピン部材、12:雄ねじ、1
3,23:シール形成用のねじ無し部、14、24:トルクシ
ョルダ形成用のねじ無し部、15、15′:シール部、 1
6:トルクショルダ部、17:ねじ始端域、20:カップリ
ング、 21:ボックス部材、22:雌ねじ、
25:シール嵌合代による変形方向、31:シール部の嵌合
代、32:ねじ部の嵌合代、33:溝、35,35′:たわみ角
度、36、36′:シール嵌合代による変形量、41:ねじ荷
重面、 42:ねじ頂部、43:ねじ挿入面、 4
4:ねじ底部、45:ねじ隙間

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ピン部材とボックス部材とを螺合締結して
    なる大径油井管用ねじ継手であって、ピン部材は管端の
    外周面に雄ねじとシール形成用のねじ無し部とを備え、
    ボックス部材は別の管端の内周面に雌ねじとシール形成
    用のねじ無し部とを備え、さらに下記〜の条件を満
    たすことを特徴とする大径油井管用ねじ継手。 油井管本体の外径が8−5/8インチ( 219mm)以上
    の大径であること。 ねじ形状が台形で、かつ螺合締結した状態でねじ挿入
    面が接触しもしくはねじ挿入面に小さな隙間があるこ
    と。 ピン部材側のシール形成用のねじ無し部の外径はボッ
    クス部材側のシール形成用のねじ無し部の内径よりも大
    きく、メタルタッチのシール面が両ねじ無し部の接触嵌
    合により形成されていること。 溝が、ピン部材の管端の外周面に備えた雄ねじとシー
    ル形成用のねじ無し部との間に円周方向に刻設されてい
    ること。
  2. 【請求項2】上記の条件において、刻設する溝の深さ
    は刻設部位のピン部材の肉厚の1/4以内、かつ溝底の
    形状は0.5mm 以上の曲率半径を有する滑らかな円弧状に
    することを特徴とする請求項1記載の大径油井管用ねじ
    継手。
JP8324924A 1996-12-05 1996-12-05 大径油井管用ねじ継手 Pending JPH10169855A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2014013077A (ja) * 2007-03-14 2014-01-23 Vallourec Mannesmann Oil & Gas France 内部及び外部連続的圧力荷重の下でリークプルーフである螺子管継手
WO2021145161A1 (ja) * 2020-01-17 2021-07-22 日本製鉄株式会社 管用ねじ継手

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