JPH10172573A - リチウム二次電池用負極とその製造方法及びこれを用いた二次電池 - Google Patents

リチウム二次電池用負極とその製造方法及びこれを用いた二次電池

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JPH10172573A
JPH10172573A JP8333543A JP33354396A JPH10172573A JP H10172573 A JPH10172573 A JP H10172573A JP 8333543 A JP8333543 A JP 8333543A JP 33354396 A JP33354396 A JP 33354396A JP H10172573 A JPH10172573 A JP H10172573A
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electrode
pvdf
negative electrode
binder
secondary battery
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Koji Hataya
耕二 幡谷
Haruhiko Ueda
晴彦 上田
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Furukawa Electric Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 リチウム二次電池における炭素負極の特性
(電極合剤と集電体との接着性、電極の柔軟性)を改良
して、電池製造時の歩止の向上、電池特性の向上をはか
る。 【解決手段】 リチウムの吸蔵放出が可能な炭素粉末と
結着剤との混合ペーストを集電体に塗布してなるリチウ
ム二次電池用負極であって、前記結着剤は、ポリフッ化
ビニリデン(PVDF)55〜80重量%とポリメタク
リル酸メチル(PMMA)20〜45重量%のポリマー
複合物からなり、かつ前記ポリマー複合物中のPVDF
が、X線回折においる回折角17.7度付近、18.5
度付近、20.1度付近でのPVDF結晶固有のピーク
を有しない非晶質又はピークが抑制された不完全結晶質
の状態にあることを特徴とするリチウム二次電池用負
極。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、炭素材料を負極と
するリチウム二次電池用負極とその製造方法及びこれを
用いた二次電池に関し、更に詳しくは、負極の結着剤と
してポリフッ化ビニリデンとポリメタクリル酸メチルの
2種類の高分子化合物を用い、この配合比と製造方法を
適正化することにより電極としての結着剤の状態を最適
化した、サイクル特性の極めて優れた負極及びその製造
方法、これを用いた二次電池に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、ポータブル電話機、ビデオカメ
ラ、ノート型パソコン等の小型化および携帯化、あるい
は電気自動車の実用化に向けて、より高エネルギー密度
の二次電池が要望されているが、その中でも、3V以上
の出力が可能な炭素材料を負極とし、比較的安全性の高
い非水電解液を使用したリチウム二次電池が期待されて
いる。これらの二次電池用炭素材料としては、天然に産
出される黒鉛もしくは有機原料を2000℃以上の高温
で焼成し、グラファイト構造が発達した平坦な電位特性
を有する黒鉛系炭素材料、あるいは有機原料を1000
℃以下の比較的低温で焼成し、黒鉛系材料よりも大きな
充放電容量が期待できるコークス系炭素材料等が用いら
れる。
【0003】また、これらリチウム二次電池の正極に
は、LiMn2 4 等のスピネル構造化合物や、一般的
にLiMO2 で表せられるα−NaFeO2 構造を有す
るリチウム遷移金属複合酸化物等が利用できる。ここで
MはCo,Ni,Al,Mn,Ti,Fe等から選ばれ
る単独もしくは2種以上の金属元素である。さらには、
リチウムの挿入可能なMnO2 やV2 5 等の金属酸化
物やTiS2 やZnS2 等の金属硫化物、電気化学的酸
化還元活性を有するポリアニリンやポリピロール等のπ
共役系高分子、分子内に硫黄結合を形成したり、硫黄結
合の開裂を利用するジスルフィド化合物等を用いること
も可能である。
【0004】また、非水電解液としては、リチウム塩を
有機溶媒に溶解したものが用いられる。リチウム塩とし
ては、主にLiClO4 、LiPF6 、LiBF4 、L
iCF3 SO3 等が使用され、有機溶媒としてはエチレ
ンカーボネート、プロピレンカーボネート、γ−ブチロ
ラクトン、スルホラン、ジエチルカーボネート、ジメチ
ルカーボネート、ジメトキシエタン、ジエトキシエタ
ン、2−メチル−テトラヒドロフラン、各種グライム類
等を単独若しくは2種類以上混合したものが用いられ
る。一方、電解液に代えて、ポリエチレンオキサイド構
造を含む高分子化合物にリチウム塩を溶解した固体電解
質、ポリアクリロニトリルやポリフッ化ビニリデン等の
高分子を有機溶媒で可塑化したゲル状電解質等を用いる
ことも可能である。
【0005】電極(正極、負極)の製造方法としては、
結着剤の役目をする少量のポリフッ化ビニリデン(以下
PVDFという)等の高分子化合物を有機溶剤に溶解し
たものに各種活物質、および適宜炭素や金属の微粉体か
らなる導電助剤を分散させてペースト状にした電極合剤
を電極芯材に塗布した後、有機溶剤を除去する方法が広
く行われている。その他では、高分子のラテックスやデ
イスパージョンを結着剤として利用する方法もある。
【0006】また、電極芯材としては、正極の場合はア
ルミ箔やフィルム状カーボン、負極の場合は銅箔が広く
用いられる。
【0007】電極の特性にとっては、使用する材料の種
類や配合比だけでなく、電極中での各構成成分の好まし
い状態、あるいはそれを実現するための製造方法が重要
となる。そのような例として、特開平4−249859
が上げられる。この中ではX線回折ピークによって関連
づけれれるPVDFの結晶状態が電池のサイクル特性に
与える影響が述べられている。
【0008】一方、電極合剤と電極芯材との接着性は、
電極特性、とりわけサイクル特性にとって極めて重要で
ある。即ち、接着性に劣る場合、充放電を繰り返すうち
に電極合剤の剥離が起こり、早期の劣化を招く。また、
接着性が向上した場合、電池製造工程での電極芯材(集
電体)からの電極合剤の剥離が少なくなり、歩留りの上
昇にもつながる。電極合剤と電極芯材との接着性の向上
を目的とした技術として、特開平6−52861の例が
挙げられる。この中では結着剤として、PVDFと金属
と良好な接着性を有するポリメタクリレート、特にポリ
メタクリル酸メチル(以下PMMAという)との混合物
が使用され、PMMA10〜90重量%(実施例では5
0重量%)を電極合剤中に加えることにより、サイクル
特性が向上することが述べられている。前記の混合物に
ついての本発明者らの種々の検討結果によると、PVD
FとPMMAの配合比と製造方法によっては、かならず
しもサイクル特性が向上しないという問題がある。
【0009】一般的に、二次電池の高性能化において
は、電池容量の増加と充放電サイクルに伴う容量の低下
をできるだけ抑制することが重要である。既に市販され
ているリチウムイオン電池に代表される非水電解質二次
電池についても例外ではなく、現在でも数多くの企業や
研究機関で検討され、より一層の高性能化が希求されて
いる。炭素電極を負極として用いるリチウム二次電池に
おいては、炭素負極の充放電サイクル特性は極めて重要
であるが、炭素負極に関しては充放電に伴う体積変化が
大きく、結着剤の変成や電極合剤の集電体からの剥離あ
るいは電極の割れによる劣化が問題となる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、炭素
材料を負極とするリチウム二次電池用負極の結着剤とし
て、PVDFとPMMAの2種類の高分子化合物を用い
てポリマー複合物とし、この両者の配合比と結着剤の状
態(ポリマー複合物の結晶質の状態)を最適化すること
により、電極合剤と集電体との接着性及び製造加工、使
用中に割れ等を生じない柔軟性に優れた負極、すなわち
電池サイクル特性に優れ、電池製造時の歩留りの上昇を
達成する負極を見出すことである。本発明の他の課題
は、前記の特性を有する負極の最適な製造方法を見出す
ことであり、また、このような負極を用いたリチウム二
次電池を提供することである。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記の課題を達成するた
めの請求項1の発明は、リチウムの吸蔵放出が可能な炭
素粉末と結着剤との混合ペーストを集電体に塗布してな
るリチウム二次電池用負極であって、前記結着剤はポリ
フッ化ビニリデン(PVDF)55〜80重量%とポリ
メタクリル酸メチル(PMMA)20〜45重量%のポ
リマー複合物からなり、かつ前記ポリマー複合物中のP
VDFが、X線回折における回折角17.7度付近、1
8.5度付近、20.1度付近でのPVDF結晶固有の
ピークを有しない非晶質又はピークが抑制された不完全
結晶質の状態にあることを特徴とするリチウム二次電池
用負極であり、
【0012】請求項2の発明は、前記結着剤が、PVD
F55〜65重量%とPMMA35〜45重量%のポリ
マー複合物からなることを特徴とする請求項1に記載の
リチウム二次電池用負極であり、
【0013】また、請求項3の発明は、前記請求項1に
記載の炭素粉末と溶剤に溶解した結着剤とからなる混合
ペーストを集電体に塗布し、次に前記の溶剤を散逸させ
た後、これを180〜250℃の温度に加熱し、前記の
範囲の温度から室温まで急冷して電極とすることを特徴
とするリチウム二次電池用負極の製造方法である。
【0014】更に、請求項4の発明は、前記請求項1に
記載の負極を用いたことを特徴とするリチウム二次電池
である。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、前記各発明について、詳細
に説明する。 (1)請求項1、2の発明について 請求項1の発明は、リチウムの吸蔵放出が可能な炭素粉
末と結着剤との混合ペーストを集電体に塗布してなるリ
チウム二次電池用負極であって、前記結着剤はPVDF
55〜80重量%とPMMA20〜45重量%のポリマ
ー複合物からなり、かつ前記ポリマー複合物中のPVD
Fが、X線回折における回折角17.7度付近、18.
5度付近、20.1度付近でのPVDF結晶固有のピー
クを有しない非晶質又はピークが抑制された不完全結晶
質の状態にあることを発明の要旨とするリチウム二次電
池用負極である。
【0016】本発明において、結着剤を構成するPVD
FとPMMAの配合比率は、各々55〜80重量%と2
0〜45重量%にする。結着剤中のPMMAを20〜4
5重量%に限定したのは、45重量%を越えると、PV
DFとPMMAとの複合物は硬質化し、電極としての柔
軟性を失ってしまうことと、充放電におけるサイクル特
性(例えば、放電容量維持率)が劣るためである。ま
た、20重量%未満では、やはり充放電におけるサイク
ル特性(例えば、放電容量維持率)が劣るためである。
【0017】図3は、結着剤中のPMMAの比率(重量
%)と充放電サイクル試験における放電容量維持率
(%)の関係を示したグラフである。これから明らかな
ごとく、前記結着剤中のPMMAは、20〜45重量%
(請求項1)が好ましく、さらに好ましくは35〜45
重量%(請求項2)である。
【0018】次に、本発明に係わる結着剤は、前記の組
成のポリマー複合物からなるものであるが、そのポリマ
ー複合物中のPVDFが、X線回折における回折角1
7.7度付近、18.5度付近、20.1度付近でのP
VDF結晶固有のピークを有しない非晶質又はピークが
抑制された不完全結晶質の状態にあることを特徴とする
ものである。
【0019】ここで、本発明におけるポリマー複合物に
ついて説明する。T.Nishiらが、Macromo
recules誌(Vol.8,No.6,1975
年,P909)に報告しているように、PVDFとPM
MAは、高分子化合物であるにもかかわらず、強い相互
作用のため、ある条件下では分子レベルで相溶するポリ
マーアロイとして知られている。例えば、200℃程度
の溶融状態では相溶状態にあるが、凝固させ150℃以
下にすると、PVDFとPMMAは相分離を起こす。し
かしながら、溶融させ相溶状態にあるPVDFとPMM
Aとの複合物を急冷した場合、相溶状態が凍結され相分
離を部分的若しくは完全に抑制することが可能となる。
また、このことにより、PVDFの結晶状態をコントロ
ールすることも可能となる。特にPMMAを一定以上の
割合に増加させた場合、PVDFの結晶化を実質的に完
全に抑制することも可能となる。本発明は、PVDFと
PMMAとからなるポリマーアロイの前記の知見に基づ
いて、これを炭素電極(負極)の結着剤に適用、検討す
ることにより、完成したものである。
【0020】上記のPVDFとPMMAの複合物を炭素
電極(負極)の結着剤として使用した場合、PVDF固
有の回折角17.7度付近、18.5度付近および2
0.1度付近に存在するピークが全く存在しない、即ち
結着剤(ポリマー複合物)中のPVDFを非晶質とする
必要がある。又は、PVDF固有の回折角17.7度付
近、18.5度付近および20.1度付近に存在するピ
ークが抑制されている、即ち結着剤(ポリマー複合物)
中のPVDFを不完全な結晶質とする必要がある。言い
換えると本発明は、結着剤(ポリマー複合物)中のPV
DFを非晶質とするか若しくは不完全結晶質とするもの
で、結晶質にしないことが重要である。
【0021】図1は、本発明に係わる電極A−1、B−
2の結着剤中のPVDFの結晶状態について、X線回折
による回折角2θの回折線強度を測定し、図示したもの
である。 また、比較のため、PVDFのみで結晶性の
もの及び本発明の範囲外の電極C−2、E−1について
も同様に測定して図示した。図1から明らかなごとく、
結晶性のPVDFは、回折角17.7度付近、18.5
度付近および20.1度付近に、PVDF固有の回折線
強度のピークが存在することがわかる。一方、本発明に
係わる電極A−1には、回折角17.7度付近、18.
5度付近および20.1度付近に存在するはずのPVD
F固有のピークが全く観測されず、結着剤中のPVDF
は、非晶質であることがわかる。また、本発明に係わる
電極B−2は、PVDF固有のピークが、回折角17.
7度付近、18.5度付近および20.1度付近におい
て、抑制されており、結着剤中のPVDFが、不完全な
結晶状態にあることがわかる。さらに、本発明の範囲外
の電極C−2、E−1については、PVDFのみで結晶
性のものの回折線強度と全く同様であり、回折角17.
7度付近、18.5度付近および20.1度付近におい
て、PVDF固有のピークが観測されるため、この結着
剤中のPVDFは、結晶質であることがわかる。
【0022】本発明の負極電極は、PVDFとPMMA
の複合物からなる結着剤の組成を前記のごとくし、且つ
結着剤(ポリマー複合物)中のPVDFを非晶質又は
不完全な結晶質とすることによって、電極としての柔軟
性に富み、且つ充放電におけるサイクル特性(例えば、
放電容量維持率)を向上することが可能となる。
【0023】なお、結着剤中のPVDFの結晶化の度合
いとサイクル特性としての放電容量維持率との間には、
相関関係があり、以下このことについて説明する。電極
の製造方法が同一な電極について、電極中のPMMAの
比率と放電容量維持率の関係を図3のグラフに示す。
【0024】図3からわかるように、結着剤中のPMM
Aの本発明の範囲20〜45重量%(請求項1)におい
て、その比率45重量%以下では、PMMAの配合比の
増大に伴い、放電容量維持率は上昇する。これは、先に
示したX線回折におけるPVDF固有のピークの発達が
抑制されたことに起因するものと考えられる。即ち、結
着剤中のPMMAが、45重量%以下の領域において
は、前記ピークが抑制されるほど、サイクル維持に伴う
電極の劣化は抑制されるが、PMMAの比率としては、
放電容量維持率が80%を越える20重量%以上が好ま
しい。さらには、前記PVDFのピークが完全に抑制さ
れ(ピーク無)、放電容量維持率が90%を越える35
重量%以上が非常に好ましいことは明らかである(PM
MA35〜45重量%、請求項2)。
【0025】しかしながら、PMMAの比率が45重量
%を越えた場合、急激な特性の低下をまねく。これは、
前記のようにPVDFとPMMAとの複合物の見かけの
ガラス転移温度が上昇し、電極が硬質化してしまい、大
きな体積変化を伴う炭素負極の充放電反応に悪影響を与
えるためと推測される。また、この場合、前記のよう
に、電池の製造過程等で電極の割れが生じやすくなり、
歩留りの低下をもまねく。
【0026】(2)請求項3の発明について 請求項3の発明は、請求項1の発明に係わるリチウム二
次電池用負極の製造方法である。即ち、前記請求項1に
記載の炭素粉末と溶剤に溶解した結着剤とからなる混合
ペーストを集電体に塗布し、次に前記の溶剤を散逸させ
た後、これを180〜250℃の温度に加熱し、前記の
範囲の温度から室温まで急冷して電極とするものであ
る。
【0027】本発明に係わる電極の製造においては、P
VDFとPMMAの複合体が溶融する180℃以上の温
度(180〜250℃)から、室温まで急冷処理(例え
ば、20℃の室温までに要する時間を1分以内とする)
する必要がある。加熱温度をこのように限定したのは、
180℃未満では、室温まで急冷しても、結着剤(ポリ
マー複合物)中のPVDFが非晶質又は不完全な結晶質
とならず、そのため充放電におけるサイクル特性が劣る
ためであり、また、250℃を越えると高分子成分の分
解をまねく恐れがあり、好ましくないからである。ま
た、加熱温度が180〜250℃の範囲であっても、徐
冷(例えば、20℃の室温までに要する時間が30分)
した場合は、前記と同様に、結着剤(ポリマー複合物)
中のPVDFが非晶質又は不完全な結晶質とならず、充
放電におけるサイクル特性が劣る。
【0028】なお、後に示す実施例からも明らかなごと
く、結着剤中のPMMAの比率が40重量%で同じ場合
でも、電極の製造方法の相違及びそれに起因する結着剤
の状態の違いから、サイクル特性に大きな差が生じるた
め、前記の電極の製造方法を採用することによって、結
着剤(ポリマー複合物)中のPVDFの結晶状態を前記
のように保つことが極めて重要である。
【0029】また、急冷処理の冷却の温度は、室温以下
なら良い。冷却方法としても、冷風の使用や液体窒素や
冷水等の冷媒に浸漬する方法等でもよい。なお、急冷処
理後の更なる加熱は、PVDFとPMMAの相分離およ
びPVDFの部分的な結晶化をまねくため、あまり好ま
しくないが、120℃以下の比較的低温による加熱であ
れば、かまわない。
【0030】(3)請求項4の発明について 請求項4の発明は、前記請求項1に記載の負極を用いた
ことを特徴とするリチウム二次電池である。本発明のリ
チウム二次電池においては、負極は当然のことながら前
記の本発明の負極を用いるものであるが、正極及び非水
電解質等は、前述の公知のものが使用できる。
【0031】本発明の炭素負極電極および当該負極に用
いたリチウム二次電池においては、負極の結着剤として
用いるPVDFとPMMAとの配合比を限定し、また負
極電極の製造方法を特化することにより、電極芯材と電
極合剤との接着性の向上および負極電極中の結着剤の結
晶状態をコントロールして、充放電のサイクル特性の向
上と柔軟性のある電極による電池製造時の歩留りの向上
を達成することができる。
【0032】
【実施例】次に、本発明の実施例(本発明例)を詳細に
説明する。また、適宜本発明の効果をより明確にするた
めの比較例も合わせて示す。 〔実施例1〕表1に示すように、PVDFとPMMAと
からなる種々の組成の結着剤10重量部を、1−メチル
−2−ピロリドンに溶解した溶液に、平均粒径が29μ
mで平均層間距離が0.343nmの無定形炭素材料粉
末90重量部を加え混練することにより電極合剤ペース
トを作製した。上記ペーストを厚さ35μmの銅箔上
に、炭素粉末が約0.01g/cm2 になるように塗布
し、200℃で加熱することにより、1−メチル−2−
ピロリドンを散逸させ乾燥させた。この際、電極の冷却
は200℃から迅速に室温(20℃)雰囲気に放置する
ことにより急冷した。なお、室温までに要した時間は2
5秒であった。その後1t/cm2 の圧力でプレス成形
することにより、電極を作成した。
【0033】
【表1】
【0034】表1に示すごとく、本発明例は、結着剤の
組成が発明の範囲内のもの(試験No.1〜6)で、そ
れぞれ電極名をA−1、A−2、A−3、B−1、B−
2、B−3とした。比較例は、結着剤の組成が発明の範
囲外のもの(試験No.7〜10)で、それぞれ電極名
をC−1、C−2、D−1、D−2とした。上述の条件
で作成した電極A群〜D群について、結着剤の結晶状態
を調べるために、X線回折により回折角2θの回折線強
度を測定した。測定には理学電機製RINT−2400
型X線測定装置を用い、光学系の測定条件は以下のごと
くした。 光学系の測定条件:X線源はCuをターゲットとし、波
長1.5405Å (CuKα線) X線強度は60kV×200mA 発散スリットは1° 受光スリットは0.30mm 散乱スリットは1° スキャンスピードは2.0°/min 湾曲モノクロメーターを使用
【0035】上記の電極A−1、B−2、C−2のX線
回折の測定結果を図1に示す。また、比較のため、PV
DFのみで結晶性のものについてのX線回折による回折
角2θの回折線強度も併せて記した。図1から明らかな
ように、結晶性のPVDFは、回折角17.7度付近、
18.5度付近および20.1度付近に、PVDF固有
の回折線強度のピークが存在することがわかる。一方、
本発明に係わる電極A−1には、回折角17.7度付
近、18.5度付近および20.1度付近に存在するは
ずのPVDF固有のピークが全く観測されなかった。即
ち、本発明に係わる結着剤中のPVDFは、非晶質であ
ること意味する。また、本発明に係わる電極B−2は、
PVDF固有のピークが、回折角17.7度付近、1
8.5度付近および20.1度付近において、抑制され
ていることがわかる。即ち、これは結着剤中のPVDF
が、不完全な結晶状態にあることを意味する。
【0036】さらに、本発明の範囲外の電極C−2につ
いては、回折角17.7度付近、18.5度付近および
20.1度付近において、PVDF固有のピークが観測
される。これは、結着剤のPVDFとPMMAの組成比
が本発明の範囲外であると、PVDFが結晶状態になる
ことを意味するものである。表1に、前記各電極につい
てのX線回折における各回折角(17.7度付近、1
8.5度付近および20.1度付近)のピークの程度を
示す。なお表において、無は固有のピークが全くない、
抑制は固有のピークが抑制されている、有は固有のピー
クがあることを意味する。
【0037】これらの各電極について、成形中(ここで
はプレス成形)での割れの有無を観察し、その結果を表
1に記した。
【0038】また、これらの各電極について、サイクル
特性としての放電容量維持率を測定した。この測定は、
対極および参照極にリチウム金属を用い、電解液にエチ
レンカーボネートとジメチルカーボネートを体積比1:
1の割合で混合した溶液にLiPF6 を1モル/リット
ルの割合で溶解した非水電解液を用いて、図2に示すよ
うな三極式の試験セルを組み立て、25℃の恒温槽中
で、0.5mA/cm2 の電流密度で、金属リチウム参
照極に対して、充電下限電圧を0V、また放電上限電圧
を3Vとし、充放電試験を行った。ただし、ここでは、
リチウムが炭素電極に吸蔵される反応を充電とし、炭素
電極からリチウムが放出される反応を放電とした。この
サイクル特性は、3サイクルの放電容量を100%とし
た時の、各電極の100サイクル目の放電容量維持率で
示した。これらの結果を表1に併記した。
【0039】表1から明らかなごとく、結着剤の組成
が、本発明の範囲(本発明例No.1〜6、電極A群〜
B群)のものについては、結着剤中のPVDFが非晶質
か又は不完全な結晶状態のもので、いずれも成形での割
れは認められなく、サイクル特性としての放電容量維持
率が高い。結着剤の組成が、本発明の範囲外(比較例N
o.7〜10)のものについては、No.7(電極C−
1)、No.8(電極C−2)は割れは認められない
が、PVDFが結晶質となり、サイクル特性としての放
電容量維持率が低い。また、No.9(電極D−1)、
No.10(電極D−2)は、成形での割れ(約10〜
25%の割合で割れ)が認められ、非晶質であるが放電
容量維持率が低いことがわかる。
【0040】〔実施例2〕実施例1、表1の試験No.
1と同一組成の結着剤(PVDF60重量%とPMMA
40重量%)を用いて、実施例1と同様に、電極合剤ペ
ーストを製造し、またこのペーストを集電体に塗布、乾
燥し、電極を作製した。なお、この電極の製造において
は、表2に示すごとく、混合ペーストを集電体に塗布し
て溶剤を散逸させた後に、表2に示すごとく、種々の温
度に再加熱し、室温までの急冷の条件を種々変えて電極
を製造した。
【0041】
【表2】
【0042】加熱温度200℃から室温まで徐冷したも
の(室温20℃までに要した時間、30分のもの)を比
較例No.16(電極E−1、基準)とした。また、本
発明例は、180〜250℃に加熱後急冷したもので、
No.11〜13(電極E−1〜3)であり、比較例
は、この条件をはずれるもので、No.14〜16(電
極E−1−4、E−1−5、E−1)である。
【0043】これらの各電極について、実施例1と同様
にX線回折による測定を行い、結着剤中のPVDFにつ
いて、回折角17.7度付近、18.5度付近および2
0.1度付近のPVDF固有のピークの程度を測定し、
その結果を表2に記した。また、これらの各電極につい
て、実施例1と同様に、成形中(ここではプレス成形)
での割れの有無を観察し、その結果を表2に記した。更
に、各電極について、実施例1と同様に、試験セルを組
み立て、同一の試験条件で充放電試験を行い、サイクル
特性としての放電容量維持率を測定し、その結果を表2
に併記した。
【0044】本発明例No.11〜13(電極E−1−
1〜3)のX線回折による測定の結果は、前記の電極A
群と同様、PVDF固有の回折ピークは全く観測されな
く(非晶質)、また、放電容量維持率も高い。
【0045】また、比較例No.16(電極E−1)の
X線回折による測定の結果を図1に併記した。図1、表
2から明らかなごとく、回折角17.7度付近、18.
5度付近および20.1度付近のピークは、PVDF単
独の場合と同程度まで発達していた。従って、No.1
6(電極E−1)の結着剤中のPVDFは、結晶質であ
り、放電容量維持率も低い。
【0046】また、比較例No.14(電極E−1−
4)、No.15(電極E−1−5)は、加熱温度の低
いものであるが、X線回折による測定結果は電極E−1
と同様で、PVDF固有の回折ピークを有し(結着剤中
のPVDFは、結晶質)、また容量維持率も低い。
【0047】なお、本発明において、結着剤を溶解する
のに使用する溶剤は1−メチル−2−ピロリドンに限ら
ず、PVDFとPMMAの両高分子成分に対して、溶解
性を有するものであればよい。そのような例として、
N,N−ジメチルホルムアミドやジメチルスルフォキシ
ド等があげられる。また、高分子成分を必ずしも有機溶
剤に溶解させる必要はなく、PVDFとPMMAの微粉
末を両方若しくは片方を単に分散させた状態で使用して
も良い。また、本発明において、炭素材料はその種類に
制限されるものではなく、黒鉛系若しくはコークス系の
どちらに対しても適用可能である。
【0048】
【発明の効果】以上詳述したごとく、本発明は、炭素材
料を負極とするリチウム二次電池用負極において、その
負極の結着剤としてポリフッ化ビニリデン(PVDF)
とポリメタクリル酸メチル(PMMA)の2種類の高分
子化合物を用い、この配合比と製造方法を適正化するこ
とにより、ポリマー複合物としての結着剤の状態を最適
化(PVDFの非結晶質化若しくは不完全結晶質化)
し、サイクル特性の極めて優れた負極及び二次電池を提
供することができる。また、前記電極は、電極製造の際
若しくは使用中に割れにくく、歩留りの向上に伴う低コ
スト化、特性の向上が可能となる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】X線回折による本発明例(A−1、B−2)及
び比較例(C−2、E−1)の負極電極、結晶性PVD
F単独の典型的な回折パターンである。
【図2】本発明例および比較例中の充放電サイクル試験
に使用した、三極式セルの概略図である。
【図3】電極A群〜D群に関する結着剤中のPMMAの
比率と、充放電サイクル試験における放電容量維持率の
関係を示したグラフである。
【符号の説明】
1 炭素試験電極 2 銅箔 3 ステンレスリード線 4 ポリプロピレン製不織布 5 ポリエチレン製セパレーター 6 金属リチウム参照極 7 白金リード線 8 金属リチウム対極 9 ステンレスリード線 10 電解液 11 電解槽 12 テフロン栓
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI H01M 10/40 H01M 10/40 Z //(C09D 127/16 133:12)

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 リチウムの吸蔵放出が可能な炭素粉末と
    結着剤との混合ペーストを集電体に塗布してなるリチウ
    ム二次電池用負極であって、前記結着剤はポリフッ化ビ
    ニリデン(PVDF)55〜80重量%とポリメタクリ
    ル酸メチル(PMMA)20〜45重量%のポリマー複
    合物からなり、かつ前記ポリマー複合物中のPVDF
    が、X線回折における回折角17.7度付近、18.5
    度付近、20.1度付近でのPVDF結晶固有のピーク
    を有しない非晶質又はピークが抑制された不完全結晶質
    の状態にあることを特徴とするリチウム二次電池用負
    極。
  2. 【請求項2】 前記結着剤が、PVDF55〜65重量
    %とPMMA35〜45重量%のポリマー複合物からな
    ることを特徴とする請求項1に記載のリチウム二次電池
    用負極。
  3. 【請求項3】 請求項1に記載の炭素粉末と溶剤に溶解
    した結着剤とからなる混合ペーストを集電体に塗布し、
    次に前記の溶剤を散逸させた後、これを180〜250
    ℃の温度に加熱し、前記の範囲の温度から室温まで急冷
    して電極とすることを特徴とするリチウム二次電池用負
    極の製造方法。
  4. 【請求項4】 請求項1に記載の負極を用いたことを特
    徴とするリチウム二次電池。
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