JPH101752A - 耐孔食性に優れたマルテンサイト系ステンレス鋼およびマルテンサイト系ステンレス鋼管 - Google Patents
耐孔食性に優れたマルテンサイト系ステンレス鋼およびマルテンサイト系ステンレス鋼管Info
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- JPH101752A JPH101752A JP15361196A JP15361196A JPH101752A JP H101752 A JPH101752 A JP H101752A JP 15361196 A JP15361196 A JP 15361196A JP 15361196 A JP15361196 A JP 15361196A JP H101752 A JPH101752 A JP H101752A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 炭酸ガスおよび塩化物を含有する環境におい
ても、耐孔食性に優れたマルテンサイト系ステンレス鋼
および鋼管を提供する。 【解決手段】 単量で、Cr:10.0〜14.0%、Ni:0.2 〜
2.0 %、Cu:0.2 〜1.0%を含有するマルテンサイト系
ステンレス鋼および鋼管で、Cを0.02%以下に低減し、
Nを0.03〜0.07%とすることにより耐孔食性、耐全面腐
食性が向上する。さらに、Ti、Nb、V、Zr、Taの1 種ま
たは2 種以上を合計で0.3 %以下含有してもよい。
ても、耐孔食性に優れたマルテンサイト系ステンレス鋼
および鋼管を提供する。 【解決手段】 単量で、Cr:10.0〜14.0%、Ni:0.2 〜
2.0 %、Cu:0.2 〜1.0%を含有するマルテンサイト系
ステンレス鋼および鋼管で、Cを0.02%以下に低減し、
Nを0.03〜0.07%とすることにより耐孔食性、耐全面腐
食性が向上する。さらに、Ti、Nb、V、Zr、Taの1 種ま
たは2 種以上を合計で0.3 %以下含有してもよい。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、石油や天然ガスを
輸送するラインパイプに用いて好適なマルテンサイト系
ステンレス鋼およびマルテンサイト系ステンレス鋼管に
関する。
輸送するラインパイプに用いて好適なマルテンサイト系
ステンレス鋼およびマルテンサイト系ステンレス鋼管に
関する。
【0002】
【従来の技術】近年、石油・天然ガスは、掘削が容易な
ものは掘り尽くされ、腐食が厳しい、深度が深い、寒冷
地や海底といった掘削環境が厳しい坑井にも手をつけざ
るを得なくなっている。このような坑井から生産される
石油・天然ガスの中には、炭酸ガスを多量に含む場合が
多く、このような環境では、炭素鋼あるいは低合金鋼で
は著しく腐食されるので、従来、その防食手段としてイ
ンヒビタを添加することが行われてきた。しかし、イン
ヒビタの使用は、高コストとなることや、高温では効果
が不十分なことから、近年ではインヒビタを用いる必要
のない耐食材料を用いる傾向にある。このような耐食材
料として油井管では、Crを13%含有するマルテンサイト
系ステンレス鋼が広く用いられている。
ものは掘り尽くされ、腐食が厳しい、深度が深い、寒冷
地や海底といった掘削環境が厳しい坑井にも手をつけざ
るを得なくなっている。このような坑井から生産される
石油・天然ガスの中には、炭酸ガスを多量に含む場合が
多く、このような環境では、炭素鋼あるいは低合金鋼で
は著しく腐食されるので、従来、その防食手段としてイ
ンヒビタを添加することが行われてきた。しかし、イン
ヒビタの使用は、高コストとなることや、高温では効果
が不十分なことから、近年ではインヒビタを用いる必要
のない耐食材料を用いる傾向にある。このような耐食材
料として油井管では、Crを13%含有するマルテンサイト
系ステンレス鋼が広く用いられている。
【0003】一方、ラインパイプでは、API規格中に
C量を低減した12%Cr系マルテンサイト系ステンレス鋼
が規定されているが、この鋼は、円周溶接に予熱、後熱
が必要であり高コストとなることや、溶接部の靱性に劣
るという欠点があることから、ラインパイプとして一般
にはほとんど採用されていない。そのため、耐食性ライ
ンパイプ用材料としては、溶接性と耐食性に優れている
との理由で、Crを高めNi、Moを含有する二相ステンレス
鋼が用いられてきた。しかし、二相ステンレス鋼は坑井
によっては過剰品質であったり、高コストとなるという
問題があった。
C量を低減した12%Cr系マルテンサイト系ステンレス鋼
が規定されているが、この鋼は、円周溶接に予熱、後熱
が必要であり高コストとなることや、溶接部の靱性に劣
るという欠点があることから、ラインパイプとして一般
にはほとんど採用されていない。そのため、耐食性ライ
ンパイプ用材料としては、溶接性と耐食性に優れている
との理由で、Crを高めNi、Moを含有する二相ステンレス
鋼が用いられてきた。しかし、二相ステンレス鋼は坑井
によっては過剰品質であったり、高コストとなるという
問題があった。
【0004】上記問題を克服する技術として、例えば特
開平4-99128 号公報にはマルテンサイト系ステンレス鋼
ラインパイプの製造方法が提案されている。同公報に
は、13%Cr系ステンレス鋼において、CおよびNを低減
し、さらにCuを 1.2〜 4.5%添加し、造管後の焼入れ冷
却速度を水冷以上の冷却速度で冷却することにより、炭
酸ガスを含む腐食環境においても優れた耐食性を示し、
溶接熱影響部の硬さが低く、かつ、焼割れの問題がな
く、生産性にも優れた高強度ラインパイプの製造方法が
示されている。しかしながら、この方法によってもな
お、溶接熱影響部(HAZ部)の靱性が十分でないとい
う問題を残していた。
開平4-99128 号公報にはマルテンサイト系ステンレス鋼
ラインパイプの製造方法が提案されている。同公報に
は、13%Cr系ステンレス鋼において、CおよびNを低減
し、さらにCuを 1.2〜 4.5%添加し、造管後の焼入れ冷
却速度を水冷以上の冷却速度で冷却することにより、炭
酸ガスを含む腐食環境においても優れた耐食性を示し、
溶接熱影響部の硬さが低く、かつ、焼割れの問題がな
く、生産性にも優れた高強度ラインパイプの製造方法が
示されている。しかしながら、この方法によってもな
お、溶接熱影響部(HAZ部)の靱性が十分でないとい
う問題を残していた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記問題点
を解決し、炭酸ガスおよび塩化物を含有する腐食環境に
おいても高い耐全面腐食性、耐孔食性を有し、かつ、溶
接割れ性および溶接部の靱性に優れたマルテンサイト系
ステンレス鋼およびマルテンサイト系ステンレス鋼管を
提供することを目的とするものである。
を解決し、炭酸ガスおよび塩化物を含有する腐食環境に
おいても高い耐全面腐食性、耐孔食性を有し、かつ、溶
接割れ性および溶接部の靱性に優れたマルテンサイト系
ステンレス鋼およびマルテンサイト系ステンレス鋼管を
提供することを目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を達成するため鋭意検討した結果、C量を0.02%以下に
低減し、Cuを添加し、さらにN量を0.03〜0.07%とする
ことにより、炭酸ガスおよび塩化物を含有する腐食環境
でもマルテンサイト系ステンレス鋼の耐孔食性が著しく
向上することを新たに見いだし、本発明を構成した。
を達成するため鋭意検討した結果、C量を0.02%以下に
低減し、Cuを添加し、さらにN量を0.03〜0.07%とする
ことにより、炭酸ガスおよび塩化物を含有する腐食環境
でもマルテンサイト系ステンレス鋼の耐孔食性が著しく
向上することを新たに見いだし、本発明を構成した。
【0007】すなわち、本発明は、重量%で、C:0.02
%以下、Si:0.5 %以下、Mn:0.8〜3.0 %、Cr:10.0
〜14.0%、Ni:0.2 〜2.0 %、Cu:0.2 〜1.0 %、N:
0.03〜0.07%を含有し、残部Feおよび不可避的不純物か
らなることを特徴とする耐孔食性に優れたマルテンサイ
ト系ステンレス鋼である。また、本発明は、重量%で、
C:0.02%以下、Si:0.5 %以下、Mn:0.8 〜3.0 %、
Cr:10.0〜14.0%、Ni:0.2 〜2.0 %、Cu:0.2 〜1.0
%、N:0.03〜0.07%を含み、さらにTi、V、Zr、Nb、
Taのうちから選ばれた1種または2種以上を合計で 0.3
%以下含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなるこ
とを特徴とする耐孔食性に優れたマルテンサイト系ステ
ンレス鋼である。
%以下、Si:0.5 %以下、Mn:0.8〜3.0 %、Cr:10.0
〜14.0%、Ni:0.2 〜2.0 %、Cu:0.2 〜1.0 %、N:
0.03〜0.07%を含有し、残部Feおよび不可避的不純物か
らなることを特徴とする耐孔食性に優れたマルテンサイ
ト系ステンレス鋼である。また、本発明は、重量%で、
C:0.02%以下、Si:0.5 %以下、Mn:0.8 〜3.0 %、
Cr:10.0〜14.0%、Ni:0.2 〜2.0 %、Cu:0.2 〜1.0
%、N:0.03〜0.07%を含み、さらにTi、V、Zr、Nb、
Taのうちから選ばれた1種または2種以上を合計で 0.3
%以下含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなるこ
とを特徴とする耐孔食性に優れたマルテンサイト系ステ
ンレス鋼である。
【0008】さらに、本発明は、重量%で、C:0.02%
以下、Si:0.5 %以下、Mn:0.8 〜3.0 %、Cr:10.0〜
14.0%、Ni:0.2 〜2.0 %、Cu:0.2 〜1.0 %、N:0.
03〜0.07%を含有し、残部Feおよび不可避的不純物から
なることを特徴とする耐孔食性に優れたマルテンサイト
系ステンレス鋼管である。また、本発明は、重量%で、
C:0.02%以下、Si:0.5 %以下、Mn:0.8 〜3.0 %、
Cr:10.0〜14.0%、Ni:0.2 〜2.0 %、Cu:0.2 〜1.0
%、N:0.03〜0.07%を含み、さらにTi、V、Zr、Nb、
Taのうちから選ばれた1種または2種以上を合計で 0.3
%以下含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなるこ
とを特徴とする耐孔食性に優れたマルテンサイト系ステ
ンレス鋼管である。
以下、Si:0.5 %以下、Mn:0.8 〜3.0 %、Cr:10.0〜
14.0%、Ni:0.2 〜2.0 %、Cu:0.2 〜1.0 %、N:0.
03〜0.07%を含有し、残部Feおよび不可避的不純物から
なることを特徴とする耐孔食性に優れたマルテンサイト
系ステンレス鋼管である。また、本発明は、重量%で、
C:0.02%以下、Si:0.5 %以下、Mn:0.8 〜3.0 %、
Cr:10.0〜14.0%、Ni:0.2 〜2.0 %、Cu:0.2 〜1.0
%、N:0.03〜0.07%を含み、さらにTi、V、Zr、Nb、
Taのうちから選ばれた1種または2種以上を合計で 0.3
%以下含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなるこ
とを特徴とする耐孔食性に優れたマルテンサイト系ステ
ンレス鋼管である。
【0009】
【発明の実施の形態】まず、本発明鋼の成分組成の限定
理由について説明する。 C:0.02%以下 Cは、溶接熱影響部の硬さ低減、靱性向上、耐溶接割れ
性の向上、炭酸ガスおよび塩化物を含む環境下での耐全
面腐食性、耐孔食性の向上などの点からできるだけ低減
することが望ましい。とくに、予熱なしで溶接ができる
ためには、Cは0.02%以下とすることが必要となり、C
量の上限は0.02%とした。なお、より良好な溶接性確保
の点から0.015 %以下が好ましい。
理由について説明する。 C:0.02%以下 Cは、溶接熱影響部の硬さ低減、靱性向上、耐溶接割れ
性の向上、炭酸ガスおよび塩化物を含む環境下での耐全
面腐食性、耐孔食性の向上などの点からできるだけ低減
することが望ましい。とくに、予熱なしで溶接ができる
ためには、Cは0.02%以下とすることが必要となり、C
量の上限は0.02%とした。なお、より良好な溶接性確保
の点から0.015 %以下が好ましい。
【0010】Si: 0.5%以下 Siは脱酸剤として添加されるが、フェライト生成元素で
あるので、多量に含有するとフェライトが生成しやすく
なり、母材および溶接熱影響部の靱性を劣化させる。ま
た、継目無鋼管においてはフェライトが存在すると、熱
間加工性が低下し、製造に支障をきたす恐れがある。し
たがって、Si量は 0.5%以下に限定する。好ましくは
0.3%以下である。
あるので、多量に含有するとフェライトが生成しやすく
なり、母材および溶接熱影響部の靱性を劣化させる。ま
た、継目無鋼管においてはフェライトが存在すると、熱
間加工性が低下し、製造に支障をきたす恐れがある。し
たがって、Si量は 0.5%以下に限定する。好ましくは
0.3%以下である。
【0011】Mn: 0.8〜 3.0% Mnは、脱酸剤として作用し、さらに強度を増加させる元
素である。さらにオーステナイト生成元素であるため、
フェライト生成を抑制し、母材および溶接熱影響部の靱
性を向上させる働きも有している。このような効果を得
るためには、 0.8%以上必要であるが、 3.0%を超えて
添加しても効果は飽和するため、Mn量は0.8〜 3.0%、
好ましくは 1.1〜 2.7%とする。
素である。さらにオーステナイト生成元素であるため、
フェライト生成を抑制し、母材および溶接熱影響部の靱
性を向上させる働きも有している。このような効果を得
るためには、 0.8%以上必要であるが、 3.0%を超えて
添加しても効果は飽和するため、Mn量は0.8〜 3.0%、
好ましくは 1.1〜 2.7%とする。
【0012】Cr:10.0〜14.0% Crはマルテンサイト組織を確保し、かつ炭酸ガスを含む
腐食環境における耐食性および耐孔食性を高めるために
必要な基本元素である。これらの効果を得るためには1
0.0%以上の添加が必要である。また、14.0%を超えて
含有するとフェライトの生成が容易となり、マルテンサ
イト組織を安定して得るため、または熱間加工性の低下
を防止するためには、多量のオーステナイト生成元素の
添加が必要となり、コスト高となる。よって、Cr量は1
0.0〜14.0%とする。
腐食環境における耐食性および耐孔食性を高めるために
必要な基本元素である。これらの効果を得るためには1
0.0%以上の添加が必要である。また、14.0%を超えて
含有するとフェライトの生成が容易となり、マルテンサ
イト組織を安定して得るため、または熱間加工性の低下
を防止するためには、多量のオーステナイト生成元素の
添加が必要となり、コスト高となる。よって、Cr量は1
0.0〜14.0%とする。
【0013】Ni: 0.2〜 2.0% Niはオーステナイト生成元素であり、フェライトの生成
を抑制し、母材および溶接熱影響部の靱性を向上させ、
熱間加工性の低下を抑制する働きがある。また、炭酸ガ
スを含む腐食環境下における耐食性、耐孔食性を向上さ
せる。このような効果を得るためには 0.2%以上の添加
が必要であるが、 2.0%を超えて添加すると変態点が低
下し、焼戻し温度が低くなり、所定の強度・靱性を得る
ために長時間の焼戻しを必要とする。したがって、Ni量
は 0.2〜 2.0%の範囲とした。なお、好ましくは、より
安定な耐食性および焼戻し特性の確保の点から 0.5〜
1.7%である。
を抑制し、母材および溶接熱影響部の靱性を向上させ、
熱間加工性の低下を抑制する働きがある。また、炭酸ガ
スを含む腐食環境下における耐食性、耐孔食性を向上さ
せる。このような効果を得るためには 0.2%以上の添加
が必要であるが、 2.0%を超えて添加すると変態点が低
下し、焼戻し温度が低くなり、所定の強度・靱性を得る
ために長時間の焼戻しを必要とする。したがって、Ni量
は 0.2〜 2.0%の範囲とした。なお、好ましくは、より
安定な耐食性および焼戻し特性の確保の点から 0.5〜
1.7%である。
【0014】Cu: 0.2〜 1.0% CuはNi、Mnとともにオーステナイト生成元素であり、フ
ェライトの生成を抑制し、溶接熱影響部の靱性向上、耐
全面腐食性向上に効果があり、また、熱間加工性の低下
を抑制する効果もある。さらに、Cuは炭酸ガスおよび塩
化物を含有する環境で不動態皮膜を安定化する効果があ
り、耐孔食性の向上に寄与する。これらの効果を得るに
は 0.2%以上の添加が必要である。しかし、 1.0%を超
えて含有すると一部が固溶せず析出するようになり、溶
接熱影響部の靱性に悪影響を与える。よって、Cuは 0.2
〜 1.0%の範囲とした。なお、好ましくは 0.3〜 0.7%
である。
ェライトの生成を抑制し、溶接熱影響部の靱性向上、耐
全面腐食性向上に効果があり、また、熱間加工性の低下
を抑制する効果もある。さらに、Cuは炭酸ガスおよび塩
化物を含有する環境で不動態皮膜を安定化する効果があ
り、耐孔食性の向上に寄与する。これらの効果を得るに
は 0.2%以上の添加が必要である。しかし、 1.0%を超
えて含有すると一部が固溶せず析出するようになり、溶
接熱影響部の靱性に悪影響を与える。よって、Cuは 0.2
〜 1.0%の範囲とした。なお、好ましくは 0.3〜 0.7%
である。
【0015】N:0.03〜0.07% Nは、炭酸ガスおよび塩化物を含有する環境下での耐孔
食性を高める効果がある。また、オーステナイト生成元
素であるため、フェライトの生成を抑制し、溶接熱影響
ブラストの靱性向上に効果がある。さらに、熱間加工性
の低下を抑制する働きも有している。これらの効果を得
るためには、0.03%以上の添加を必要とするが、しか
し、0.07%を超えると溶接割れが発生し、溶接熱影響部
の靱性が劣化することから、N量は0.03〜0.07%の範囲
とした。なお、好ましくは0.04〜0.06%である。
食性を高める効果がある。また、オーステナイト生成元
素であるため、フェライトの生成を抑制し、溶接熱影響
ブラストの靱性向上に効果がある。さらに、熱間加工性
の低下を抑制する働きも有している。これらの効果を得
るためには、0.03%以上の添加を必要とするが、しか
し、0.07%を超えると溶接割れが発生し、溶接熱影響部
の靱性が劣化することから、N量は0.03〜0.07%の範囲
とした。なお、好ましくは0.04〜0.06%である。
【0016】Ti、V、Zr、Nb、Taのうちの1種または2
種以上の合計: 0.3%以下 Ti、V、Zr、Nb、TaはCとの親和力が強く、炭化物を形
成する傾向が強い。Ti、V、Zr、Nb、Taの1種または2
種以上を添加し、Cr炭化物をTi、V、Zr、Nb、Taの炭化
物に置換する。これによりCr炭化物量が減少し、耐食性
とくに耐孔食性に有効な有効Cr量を増加させることがで
きる。
種以上の合計: 0.3%以下 Ti、V、Zr、Nb、TaはCとの親和力が強く、炭化物を形
成する傾向が強い。Ti、V、Zr、Nb、Taの1種または2
種以上を添加し、Cr炭化物をTi、V、Zr、Nb、Taの炭化
物に置換する。これによりCr炭化物量が減少し、耐食性
とくに耐孔食性に有効な有効Cr量を増加させることがで
きる。
【0017】Ti、V、Zr、Nb、Taは母材、溶接熱影響部
の靱性向上に効果があるが、合計で0.3%を超えると溶
接割れ感受性が増加することや靱性を劣化させることか
ら、合計 0.3%を上限とした。なお、Ti単独では0.01〜
0.2 %、V単独では0.01〜0.1 %、Zr単独では0.01〜0.
1 %、Nb単独では0.01〜0.1 %、Ta単独では0.01〜0.1
%が好ましい。複合添加した場合には合計で0.03〜0.2
%が好ましい。
の靱性向上に効果があるが、合計で0.3%を超えると溶
接割れ感受性が増加することや靱性を劣化させることか
ら、合計 0.3%を上限とした。なお、Ti単独では0.01〜
0.2 %、V単独では0.01〜0.1 %、Zr単独では0.01〜0.
1 %、Nb単独では0.01〜0.1 %、Ta単独では0.01〜0.1
%が好ましい。複合添加した場合には合計で0.03〜0.2
%が好ましい。
【0018】その他元素は、不可避的に含有するが、で
きるだけ低減するのが望ましい。例えば、P、Sはそれ
ぞれ0.03%、0.01%までは許容できるが、できるだけ低
減する。Oは0.01%まで許容できる。上記した組成を有
するステンレス鋼は、転炉あるいは電気炉で溶製し、連
続鋳造法あるいは造塊法で凝固させる。溶鋼の取鍋精
錬、真空脱ガス等は必要に応じ実施してよい。
きるだけ低減するのが望ましい。例えば、P、Sはそれ
ぞれ0.03%、0.01%までは許容できるが、できるだけ低
減する。Oは0.01%まで許容できる。上記した組成を有
するステンレス鋼は、転炉あるいは電気炉で溶製し、連
続鋳造法あるいは造塊法で凝固させる。溶鋼の取鍋精
錬、真空脱ガス等は必要に応じ実施してよい。
【0019】凝固した鋼管素材は、プラグミル方式、マ
ンドレルミル方式などの熱間圧延によって継目無鋼管と
するか、あるいは熱間圧延により鋼板としたのち溶接に
よってUOE鋼管、電縫鋼管、スパイラル鋼管などにす
る。継目無鋼管製造方法、溶接鋼管製造方法いずれも本
発明に適用できる。造管後、熱処理を施す。
ンドレルミル方式などの熱間圧延によって継目無鋼管と
するか、あるいは熱間圧延により鋼板としたのち溶接に
よってUOE鋼管、電縫鋼管、スパイラル鋼管などにす
る。継目無鋼管製造方法、溶接鋼管製造方法いずれも本
発明に適用できる。造管後、熱処理を施す。
【0020】熱処理は、焼入れ焼戻しを基本とする。焼
入れはAc3点以上1000℃以下に加熱後、空冷以上の冷却
速度で 200℃以下まで冷却する。焼戻しは、 600℃以上
Ac1点以下で行うのが好ましい。上記温度に加熱保持後
水冷あるいは空冷する。
入れはAc3点以上1000℃以下に加熱後、空冷以上の冷却
速度で 200℃以下まで冷却する。焼戻しは、 600℃以上
Ac1点以下で行うのが好ましい。上記温度に加熱保持後
水冷あるいは空冷する。
【0021】
(実施例1)表1に示す組成の鋼を溶製し、造塊したの
ち、熱間圧延により板厚15mmの鋼板とした。ついで、A
c3点以上に加熱し空冷により焼入れたのち、Ac1点以下
で焼戻し、降伏強さ(YS)を550 〜600MPaとした。
ち、熱間圧延により板厚15mmの鋼板とした。ついで、A
c3点以上に加熱し空冷により焼入れたのち、Ac1点以下
で焼戻し、降伏強さ(YS)を550 〜600MPaとした。
【0022】これらの鋼板に対して、JIS Z 3158にした
がい予熱30℃で斜めY形溶接割れ試験を行い、溶接割れ
性を評価した。割れの発生したものを×、発生しなかっ
たものを○とした。この試験にて断面割れの発生しなか
ったものについては、TIG溶接法(予熱、後熱はとも
に行わず)により、入熱15kJ/cmで溶接して溶接継手を
作製し、溶接熱影響部のシャルピー衝撃試験を実施し
た。シャルピー衝撃試験は熱影響部(ノッチ位置:ボン
ド部から1mm)からJIS4号試験片を採取し、実施し
た。破面遷移温度が-40 ℃以下となった場合を○、-40
℃を超えた場合を×で表示した。
がい予熱30℃で斜めY形溶接割れ試験を行い、溶接割れ
性を評価した。割れの発生したものを×、発生しなかっ
たものを○とした。この試験にて断面割れの発生しなか
ったものについては、TIG溶接法(予熱、後熱はとも
に行わず)により、入熱15kJ/cmで溶接して溶接継手を
作製し、溶接熱影響部のシャルピー衝撃試験を実施し
た。シャルピー衝撃試験は熱影響部(ノッチ位置:ボン
ド部から1mm)からJIS4号試験片を採取し、実施し
た。破面遷移温度が-40 ℃以下となった場合を○、-40
℃を超えた場合を×で表示した。
【0023】また、全鋼板に対して、母材の炭酸ガス腐
食試験を実施し、耐孔食性と耐全面腐食性を評価した。
炭酸ガス腐食試験は、オートクレーブ中で3.0MPaの炭酸
ガスを飽和させた20%NaCl水溶液中に、母材から採取し
た 3.0mm×25mm×50mmの試験片を浸漬し、80℃で7日間
保持した。耐孔食性は、試験後、試験片を水洗、乾燥し
たのち肉眼で試験片表面を観察し、孔食の有無を調査し
た。1個以上孔食が発生したとき×、それ以外は○とし
て評価した。
食試験を実施し、耐孔食性と耐全面腐食性を評価した。
炭酸ガス腐食試験は、オートクレーブ中で3.0MPaの炭酸
ガスを飽和させた20%NaCl水溶液中に、母材から採取し
た 3.0mm×25mm×50mmの試験片を浸漬し、80℃で7日間
保持した。耐孔食性は、試験後、試験片を水洗、乾燥し
たのち肉眼で試験片表面を観察し、孔食の有無を調査し
た。1個以上孔食が発生したとき×、それ以外は○とし
て評価した。
【0024】耐全面腐食性は、試験後、試験片を水洗、
乾燥したのち重量を測定し、重量減少速度を1年間での
厚み減少量に換算して評価した。厚み減少量が0.1mm/年
未満の場合を○、0.1mm/年以上の場合を×で表示した。
これらの試験結果を表2に示す。
乾燥したのち重量を測定し、重量減少速度を1年間での
厚み減少量に換算して評価した。厚み減少量が0.1mm/年
未満の場合を○、0.1mm/年以上の場合を×で表示した。
これらの試験結果を表2に示す。
【0025】
【表1】
【0026】
【表2】
【0027】本発明例は、予熱30℃の斜めY形溶接割れ
試験においても断面割れの発生は認められず、優れた耐
溶接割れ性を有し、また、溶接熱影響部のシャルピー衝
撃試験破面遷移温度は、いずれも-40 ℃以下であり、優
れた溶接熱影響部靱性を有している。さらに、本発明例
は孔食の発生もみられず、厚み減少量も 0.1mm/年未満
と、実用的に使用可能なレベルであり、優れた耐孔食
性、耐全面腐食性を有している。
試験においても断面割れの発生は認められず、優れた耐
溶接割れ性を有し、また、溶接熱影響部のシャルピー衝
撃試験破面遷移温度は、いずれも-40 ℃以下であり、優
れた溶接熱影響部靱性を有している。さらに、本発明例
は孔食の発生もみられず、厚み減少量も 0.1mm/年未満
と、実用的に使用可能なレベルであり、優れた耐孔食
性、耐全面腐食性を有している。
【0028】本発明の範囲をはずれた鋼板は、溶接割れ
が発生し、溶接熱影響部靱性が低く、また孔食が発生
し、厚み減少量が大きいなど、本発明例に比較し特性は
劣化している。 (実施例2)表2に示す成分組成を有する溶鋼を転炉で
溶製し、連続鋳造により鋼管素材とした。この鋼管素材
をプラグミル圧延により 273mmφの鋼管とした。造管
後、A c3点以上に加熱たのち、水焼入れし、その後Ac1
点以下に加熱保持し空冷し、YSを580MPaとした。
が発生し、溶接熱影響部靱性が低く、また孔食が発生
し、厚み減少量が大きいなど、本発明例に比較し特性は
劣化している。 (実施例2)表2に示す成分組成を有する溶鋼を転炉で
溶製し、連続鋳造により鋼管素材とした。この鋼管素材
をプラグミル圧延により 273mmφの鋼管とした。造管
後、A c3点以上に加熱たのち、水焼入れし、その後Ac1
点以下に加熱保持し空冷し、YSを580MPaとした。
【0029】このように処理した鋼管から試片を採取
し、機械的特性および腐食試験を実施した。腐食試験条
件は実施例1と同様とした。TIG溶接(電圧:15V、
電流:200 A、溶接速度:10cm/min、入熱18kJ/cm)で鋼
管継手を作製し、溶接熱影響部部(ノッチ位置: ボンド
から1mm)シャルピー試験を-40 ℃で行い、吸収エネル
ギー VE-40(J)を求めた。
し、機械的特性および腐食試験を実施した。腐食試験条
件は実施例1と同様とした。TIG溶接(電圧:15V、
電流:200 A、溶接速度:10cm/min、入熱18kJ/cm)で鋼
管継手を作製し、溶接熱影響部部(ノッチ位置: ボンド
から1mm)シャルピー試験を-40 ℃で行い、吸収エネル
ギー VE-40(J)を求めた。
【0030】その結果を表3に示す。本発明例は孔食の
発生もみられず、厚み減少量も 0.1mm/年未満であり、
耐孔食性、耐全面腐食性に優れ、さらに、溶接熱影響部
の-40 ℃におけるシャルピー吸収エネルギーも高く、溶
接熱影響部靱性は優れており、ラインパイプ用として十
分な特性である。
発生もみられず、厚み減少量も 0.1mm/年未満であり、
耐孔食性、耐全面腐食性に優れ、さらに、溶接熱影響部
の-40 ℃におけるシャルピー吸収エネルギーも高く、溶
接熱影響部靱性は優れており、ラインパイプ用として十
分な特性である。
【0031】
【表3】
【0032】
【発明の効果】このように本発明によれば、炭酸ガスお
よび塩化物を含有する環境で優れた耐孔食性および耐全
面腐食性を示し、かつ溶接熱影響部の靱性、溶接性に優
れたマルテンサイト系ステンレス鋼が提供でき、さら
に、石油・天然ガスなどを輸送するためのラインパイプ
用鋼管が安価に提供でき、産業の発展に寄与するところ
が極めて大きい。
よび塩化物を含有する環境で優れた耐孔食性および耐全
面腐食性を示し、かつ溶接熱影響部の靱性、溶接性に優
れたマルテンサイト系ステンレス鋼が提供でき、さら
に、石油・天然ガスなどを輸送するためのラインパイプ
用鋼管が安価に提供でき、産業の発展に寄与するところ
が極めて大きい。
フロントページの続き (72)発明者 小関 智也 愛知県半田市川崎町1丁目1番地 川崎製 鉄株式会社知多製造所内 (72)発明者 豊岡 高明 愛知県半田市川崎町1丁目1番地 川崎製 鉄株式会社知多製造所内
Claims (4)
- 【請求項1】 重量%で、C:0.02%以下、Si:0.5 %
以下、Mn:0.8 〜3.0 %、Cr:10.0〜14.0%、Ni:0.2
〜2.0 %、Cu:0.2 〜1.0 %、N:0.03〜0.07%を含有
し、残部Feおよび不可避的不純物からなることを特徴と
する耐孔食性に優れたマルテンサイト系ステンレス鋼。 - 【請求項2】 重量%で、C:0.02%以下、Si:0.5 %
以下、Mn:0.8 〜3.0 %、Cr:10.0〜14.0%、Ni:0.2
〜2.0 %、Cu:0.2 〜1.0 %、N:0.03〜0.07%を含
み、さらにTi、V、Zr、Nb、Taのうちから選ばれた1種
または2種以上を合計で 0.3%以下含有し、残部Feおよ
び不可避的不純物からなることを特徴とする耐孔食性に
優れたマルテンサイト系ステンレス鋼。 - 【請求項3】 重量%で、C:0.02%以下、Si:0.5 %
以下、Mn:0.8 〜3.0 %、Cr:10.0〜14.0%、Ni:0.2
〜2.0 %、Cu:0.2 〜1.0 %、N:0.03〜0.07%を含有
し、残部Feおよび不可避的不純物からなることを特徴と
する耐孔食性に優れたマルテンサイト系ステンレス鋼
管。 - 【請求項4】 重量%で、C:0.02%以下、Si:0.5 %
以下、Mn:0.8 〜3.0 %、Cr:10.0〜14.0%、Ni:0.2
〜2.0 %、Cu:0.2 〜1.0 %、N:0.03〜0.07%を含
み、さらにTi、V、Zr、Nb、Taのうちから選ばれた1種
または2種以上を合計で 0.3%以下含有し、残部Feおよ
び不可避的不純物からなることを特徴とする耐孔食性に
優れたマルテンサイト系ステンレス鋼管。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP15361196A JPH101752A (ja) | 1996-06-14 | 1996-06-14 | 耐孔食性に優れたマルテンサイト系ステンレス鋼およびマルテンサイト系ステンレス鋼管 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP15361196A JPH101752A (ja) | 1996-06-14 | 1996-06-14 | 耐孔食性に優れたマルテンサイト系ステンレス鋼およびマルテンサイト系ステンレス鋼管 |
Publications (1)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPH101752A true JPH101752A (ja) | 1998-01-06 |
Family
ID=15566276
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP15361196A Pending JPH101752A (ja) | 1996-06-14 | 1996-06-14 | 耐孔食性に優れたマルテンサイト系ステンレス鋼およびマルテンサイト系ステンレス鋼管 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JPH101752A (ja) |
-
1996
- 1996-06-14 JP JP15361196A patent/JPH101752A/ja active Pending
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