JPH10175915A - 鉛の回収方法 - Google Patents

鉛の回収方法

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JPH10175915A
JPH10175915A JP33351896A JP33351896A JPH10175915A JP H10175915 A JPH10175915 A JP H10175915A JP 33351896 A JP33351896 A JP 33351896A JP 33351896 A JP33351896 A JP 33351896A JP H10175915 A JPH10175915 A JP H10175915A
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carboxylic acid
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修 永野
Toru Watabe
徹 渡部
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 カルボン酸エステルを製造するにあたって、
触媒から溶出する鉛成分を除去し、効果的に生成物及び
副生物の回収を行うことのできる方法を提供する。 【解決手段】 カルボン酸エステル溶液に硫酸及び/ま
たはリン酸イオンを発生する酸及び/または化合物を添
加し、鉄イオンの存在下、得られた水相に水酸化鉄を発
生させることによって鉛成分を分離回収する。 【効果】 触媒から一部剥離または溶出する極微量の鉛
イオンや鉛化合物を効率よく回収し、カルボン酸エステ
ルや反応系内で副生する有用なカルボン酸および有機化
合物を極めて効率よく回収できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、鉛を含む触媒を用
いて、アルデヒドとアルコ−ルと酸素を反応させ、対応
するカルボン酸エステルを製造する方法に於いて、触媒
から一部剥離または溶出する極微量の鉛イオンや鉛化合
物を効率よく回収すると共に、反応系内で副生する有用
なカルボン酸および有機化合物を効率よく回収する方法
に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、酸素の存在下にアルデヒドとアル
コ−ルを反応させてカルボン酸エステルを製造する技術
が知られている。例えば、特公昭57−35856号、
特公昭57−35857号、特公昭57−35859
号、特公昭58−4704号、特公昭62−7902号
にその技術が開示されており、パラジウムと鉛を含有す
る触媒に於いてその性能の卓越さが記載されている。し
かしこれらの技術開示は、主として反応に使用される触
媒の組成や性能に重きを置いたものであり、副反応によ
って生じる有用な副生成物の回収法や触媒から一部剥離
または溶出する極微量の鉛イオンや鉛化合物の回収方法
についての開示はない。
【0003】主反応により発生する水とアルデヒドが反
応して生じるカルボン酸は、たとえ少量であれ、効率良
く回収できれば資源の有効利用に繋がる。また、環境に
やさしい工業プロセスの重要性が唱えられている近年、
本反応系で使用される触媒から剥離または溶出によって
反応生成物系に漏洩する鉛分をほぼ完全に回収し、プロ
セス系外に鉛を漏出させない技術を確立させることは必
須の要件となる。
【0004】鉛を回収する技術に於いても多くの技術が
開示されており、例えば、特公昭54−22430号、
特公昭56−41646号、特公昭59−1090号、
特公平2−4353号、特開昭60−48139号、特
開昭49−9857号、特開昭52−91707号、特
開平58−68643号、特開平4−505639号、
特開平6−500822号、特公平7−100135号
などに報告されている。
【0005】また、丸善株式会社から出版されている分
析化学便覧にも分析手法の一つとして鉛の分離技術が記
載されている。しかし、これら従来の鉛回収技術を本反
応系に採用した場合、たとえ鉛を効率良く回収できたと
しても、高価な重金属吸着剤や有機キレ−ト剤が必要で
あったり、また、吸着剤やキレ−ト剤から鉛を脱離して
リサイクルして使用しようした場合、経済的に見合わな
かったりして実用面では難点があった。
【0006】また、単に硫化鉛の溶解度積が小さいから
と言って、硫化物イオンを発生する化合物を、二重結合
を有する化合物系に添加し、共存する極微量の鉛イオン
や鉛化合物の回収除去に利用しようとすると、重合反応
が促進しやすいという難点があった。反応生成物系か
ら、効率良く目的とするカルボン酸エステルを回収する
のみならず、有用な副生成物をも効率良く回収し、反応
系内に漏洩した鉛を簡便な方法で、しかも経済的に、ほ
ぼ完全に回収する技術の具現化が強く望まれていた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、鉛を含む触
媒を用いて、アルデヒドとアルコ−ルと酸素を反応さ
せ、対応するカルボン酸エステルを工業的に合成するに
あたって、経済面及び環境安全面に優れた、有効成分の
効率的回収方法と鉛回収法の両者を同時に満足する方法
を提供するものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記の問
題点を解決すべく鋭意検討した結果、鉛を含む触媒を用
いて、アルデヒドとアルコ−ルと酸素を反応させ、対応
するカルボン酸エステルを合成するにあたり、水を含む
粗カルボン酸エステル溶液に硫酸イオンまたは燐酸イオ
ン、あるいは両イオンを発生させ得る酸及び/または化
合物を添加することで、油水分離が促進し、油相には有
用な有機成分がより濃縮され、水相には鉛イオン及び鉛
化合物がほぼ完全に、抽出あるいは沈殿濃縮されること
を見出した。
【0009】また、この操作によって油相から鉛イオン
や鉛化合物をほぼ完全に除去できるため、二重結合を有
するカルボン酸エステルの場合、油相を加熱蒸留して精
製カルボン酸エステルを得る過程での重合物の生成が抑
制されるという利点が見出された。一方、水相側に沈殿
濃縮した鉛の形態は殆どが硫酸鉛及び/または燐酸鉛で
あるため、分離回収が容易である。これら硫酸鉛及び/
または燐酸鉛が析出するため、水相に残存溶解する鉛イ
オン濃度も低減する結果となり、更に、水酸化鉄を用い
た共同沈殿作用を利用することで水相から容易に鉛イオ
ンを回収除去することが可能であることを見出した。本
発明者は、これらの知見に基づいて本発明を完成するに
至った。
【0010】すなわち、本発明は、鉛を含む触媒を用い
て、アルデヒドとアルコ−ルと酸素を反応させ、対応す
るカルボン酸エステルを製造するにあたり、水を含む粗
カルボン酸エステル溶液に含まれる鉛イオンや鉛化合物
を除去する方法に於いて、 粗カルボン酸エステル溶液中で硫酸イオンまたは燐
酸イオン、あるいは両イオンを発生させ得る酸及び/ま
たは化合物、あるいはこれらの混合物を粗カルボン酸エ
ステル溶液に添加し、油水二層分離した時の水相側のp
Hを6以下に維持しつつ、水相側に鉛イオンや鉛化合物
を抽出あるいは沈殿移動させると共に、水相中の水溶性
有機物を油相に移動させ、 さらに水相と油相とを分離した後、鉄イオンの存在
下で水相のpHを7以上に調整して鉄の水酸化物を発生
させ、鉛イオンや鉛化合物を水相から共同沈殿分離して
回収する方法である。
【0011】以下、本発明を詳細に説明する。アルデヒ
ドとアルコ−ルと酸素を反応させる触媒としては、鉛を
含むものならば組成を特に規定する必要はないが、反応
特性の観点から見れば鉛の他にパラジウムを含み、パラ
ジウムと鉛の原子比Pd/Pbが0.1から10の範囲
にある組成を持つ触媒が好ましい。パラジウムと鉛の他
に異種元素として、例えば水銀、タリウム、ビスマス、
テルル、ニッケル、クロム、コバルト、インジウム、タ
ンタル、銅、亜鉛、ジルコニウム、ハフニウム、タング
ステン、マンガン、銀、レニウム、アンチモン、スズ、
ロジウム、ルテニウム、イリジウム、白金、金、チタ
ン、アルミニウム、硼素、珪素などを含んだ触媒につい
ても本回収方法の適用が可能である。また、触媒成分を
活性炭、シリカ、アルミナ、シリカアルミナ、ゼオライ
ト、マグネシア、水酸化マグネシウム、チタニア、炭酸
カルシウムなどに担持させた触媒にも本回収方法が適用
できる。
【0012】使用するアルデヒドとしては、例えば、ホ
ルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデ
ヒド、イソブチルアルデヒドなどの脂肪族アルデヒド;
アクロレン、メタクロレン、クロトンアルデヒドなどの
脂肪族α・β不飽和アルデヒド;ベンズアルデヒド、ベ
ンジルアルデヒド、フタルアルデヒドなどの芳香族アル
デヒド;並びにこれらの誘導体の使用が可能である。も
ちろん、これらのアルデヒド化合物は単独もしくは任意
の2種以上の混合物として用いることができる。
【0013】また、使用するアルコ−ルとしては、例え
ばメタノ−ル、エタノ−ル、イソプロパノ−ル、オクタ
ノ−ルなどの脂肪族飽和アルコ−ル;エチレングリコ−
ル、ブタンジオ−ルなどのジオ−ル;アリルアルコ−
ル、メタリルアルコ−ルなどの脂肪族不飽和アルコ−
ル;ベンジルアルコ−ルなどの芳香族アルコ−ルやフェ
ノ−ル類があげられる。もちろん、これらのアルコ−ル
化合物は単独もしくは任意の2種以上の混合物として用
いることができる。特に工業的に有用な炭素数8以下の
アルコ−ル類を用いることが好ましい。
【0014】粗カルボン酸エステル溶液に添加すべき硫
酸イオンまたは燐酸イオン、あるいは両イオンを発生さ
せ得る酸及び/または化合物としては、例えば硫酸、硫
酸水素化合物、硫酸塩またはそれらの水溶液;燐酸、燐
酸一水素化合物、燐酸二水素化合物、燐酸塩またはそれ
らの水溶液の使用が可能である。もちろん、これらの酸
や化合物を単独もしくは任意に混合して使用することも
可能であるが、使用時は水相のpHを6以下に保つ必要
があり、好ましくはpH0.5からpH4の範囲に保つ
のが良い。pHが6を越えると、有用なカルボン酸、例
えばメタクリル酸等が油相に濃縮されずらくなると言う
問題が生じる。
【0015】pH調整に際しては、前記の粗カルボン酸
エステル溶液に添加すべき酸や化合物を用いただけでは
pH6以下が達成できない場合は、塩酸、硝酸、酸性
塩、カルボン酸等の併用が可能である。水相のpHを6
以下に保ち、前記の粗カルボン酸エステル溶液に添加す
べき酸や化合物として、硫酸水素化合物、硫酸塩、燐酸
一水素化合物、燐酸二水素化合物、燐酸塩またはそれら
の水溶液を用いることは、油水分離を促進させ、油水界
面の分離を明確化する上で効果的である。
【0016】また、カルボン酸エステル合成反応系の安
定化のため、pH調整用に使用するアルカリ金属化合物
が、予め粗カルボン酸エステル中に含まれる場合は、こ
れらアルカリ金属化合物由来のアルカリ金属イオンが硫
酸および/または燐酸の使用によって水相に抽出される
ので、上記の硫酸塩や燐酸塩を使用したのと同じ効果が
得られる。この様な場合は、粗カルボン酸エステル溶液
に添加すべき酸や化合物として、硫酸および/または燐
酸を使用するだけで良い。
【0017】硫酸イオンまたは燐酸イオン、あるいは両
イオンを発生させ得る酸及び/または化合物を粗カルボ
ン酸エステル溶液に添加する際の添加量は、粗カルボン
酸エステル溶液中に含まれる全鉛量に対して、1倍当量
以上の前記の酸及び/または化合物を添加する必要があ
る。例えば、硫酸について言えば、全鉛量と等モル数以
上に、燐酸について言えば0.67モル数以上を添加す
る必要がある。尚、粗カルボン酸エステル溶液に添加す
べき酸や化合物を水溶液として使用する場合は、できる
だけ濃縮した状態とし、系内への水の持ち込みを最小限
にすることが好ましい。
【0018】硫酸イオンまたは燐酸イオン、あるいは両
イオンを発生させ得る酸及び/または化合物を粗カルボ
ン酸エステル溶液に添加する際の温度条件は、氷点から
150℃の範囲が好ましく、10℃から100℃の範囲
が更に好ましい。圧力条件としては減圧下、大気圧下、
加圧下の何れの条件でもかまわない。二重結合を有する
化合物含む系に於いては、本操作時にハイドロキノン、
メトキシキノン、その他の重合抑制剤を系内に存在させ
ておくことが効果的である。
【0019】このように、粗カルボン酸エステル溶液に
硫酸イオンまたは燐酸イオン、あるいは両イオンを発生
させ得る酸及び/または化合物を添加し、pHを6以下
に維持することによって、粗カルボン酸エステル溶液を
より二層に分離しやすくし、水相側に鉛イオンや鉛化合
物を抽出あるいは沈殿移動させ、水相中の水溶性有機物
を油相に移動させることができる。
【0020】水相中に沈殿した沈殿物は、この時点で回
収してもよいが、工程の簡略化を考慮すると、後述する
共同沈殿物と共に分離回収する方法が好ましい。本発明
では、更に、得られた水相中に鉄イオンを共存させた
後、水酸化鉄の共同沈殿作用を利用することによって、
水相中に残存溶解する微量の鉛イオンを除去することが
できる。
【0021】水相中に鉄イオンを共存させる方法として
は、先に示した粗カルボン酸エステル溶液に添加する酸
及び/または化合物として、鉄イオンを発生する化合物
またはその溶液を使用してもよいし、油水分離後の水相
のみに鉄イオンを発生する化合物またはその溶液を添加
してもかまわないが、鉄イオンの油相への混入を避ける
ことのできる後者の方法が好ましい。
【0022】使用する鉄化合物としては、硫酸鉄、燐酸
鉄、硝酸鉄、塩化鉄、カルボン酸鉄、シュウ酸鉄、クエ
ン酸鉄、酒石酸鉄等の水溶性の鉄化合物であれば鉄の価
数にはこだわる必要はない。鉄化合物を直接使用しても
良いし、鉄化合物の水溶液を使用しても良い。水相中の
鉄の存在量は水相に溶解している鉛に対して1倍当量以
上あれば良く、好ましくは2から10倍当量である。
【0023】水相中に水酸化鉄を発生させて、残存溶解
する微量の鉛イオンや鉛化合物を共同沈殿させるために
は、鉄イオンを含む水相だけに塩基性の水溶液を追加添
加し、pHを7以上にする必要がある。好ましくはpH
8からpH12の範囲に調整することが好ましく、使用
する塩基性水溶液としては水酸化アルカリやアンモニア
水溶液等が好ましい。pHを高めるに従って水酸化鉄が
生成し、鉛イオンや鉛化合物を共同沈殿させることが可
能となる。
【0024】得られた共同沈殿物は、濾過、遠心分離、
沈降分離等の通常の固液分離手法で水相から分離回収す
ることができるが、共同沈殿物が極微量の場合は濾過が
簡便である。
【0025】
【発明の実施の形態】以下、実施例により本発明をさら
に詳細に説明する。
【0026】
【実施例1】担体として富士シリシア社製のシリカゲル
(キャリアクト10 商品名)にパラジウム5重量%、
鉛5重量%、マグネシウム4重量%を担持した触媒15
0gを触媒分離器を備え、液相部が1.2リットルのス
テンレス製気泡塔反応器に仕込み、34重量%のメタク
ロレン/メタノ−ルを0.54リットル/hr、NaO
H/メタノ−ルを0.06リットル/hrで供給し、温
度80℃、圧力5.03kg/cm2 で空気を供給しな
がら反応を行った。反応液のpHが7.0から7.5と
なるようにNaOH濃度を調整し、また、反応液中の鉛
濃度が20ppmとなるように酢酸鉛をメタクロレン/
メタノ−ルに溶かして連続的に供給した。一方、反応器
出口酸素濃度が4容量%となるように空気を調整供給し
ながら反応を維持した。連続的に抜き出している反応液
の組成が定常になった時点から反応液を溜め始め、2℃
以下で冷蔵保存した。この時、メタクロレンの転化率は
60%から65%の幅で推移し、メタクリル酸メチルの
選択率は85%から90%の幅で推移した。
【0027】冷蔵保存した反応液には未反応のメタクロ
レンとメタノ−ルが存在するため、ヘリパックを充填し
た蒸留塔を用いて連続蒸留し、メタクロレンとメタノ−
ルを主として塔頂部より抜き出した。また、塔底部から
は粗メタクリル酸メチル溶液を連続的に抜き出して放置
したところ、油水2層分離した溶液が得られた。この粗
メタクリル酸メチル溶液をよく撹拌した状態で5kg分
取し、150gの濃硫酸をゆっくり撹拌しながら添加し
たところ、油水2層分離時間が著しく短くなり、油水界
面が明確になることが観察された。また、水溶性の有機
化合物が水相から油相に、より抽出されたため、油相の
体積が増大する現象が観察された。一方、水相には硫酸
鉛の微粒子が析出するのが観察された。また、この時の
水相のpHは1.9であった。
【0028】硫酸を添加する前後の油相及び水相中のメ
タクリル酸メチル、メタクリル酸、メタクロレン、鉛の
各濃度を測定した結果を表1に示した。表1中でMMA
はメタクリル酸メチルを、MAAはメタクリル酸を、M
acrはメタクロレンを、Pbは鉛を表している。表1
中の比較例1の値に対して、実施例のMMA、MAA、
Macrの濃度が低い値となっているのは、水相中の有
機物が油相に抽出され、油相の体積が増加したためであ
る。表1中の分配率で明らかなように、硫酸添加後の油
相中には絶対量としてMMA、MAA、Macrが濃縮
されていることがわかる。また、硫酸添加後、共同沈殿
処理した水相中の鉛濃度は0.1ppm以下であり、鉛
の油相及び水相への分配率からわかるように、ほぼ全量
の鉛成分が水相に抽出または沈殿移動したことがわか
る。
【0029】つぎに、油相と水相をデカンテ−ションに
より分離し、水相中の溶存鉛濃度に対して、2.5倍モ
ルの鉄濃度になるように硫酸第二鉄水溶液を水相に添加
した。ついで水酸化ナトリウム水溶液を加え、pHを
9.1に調整した後、ブフナ−ロ−ト内に厚み約3cm
に堆積させた珪藻土層を通過させ、硫酸鉛と共同沈殿物
を含む水相500gを濾過した。濾液をICP測定装置
(理学電気グル−プ製JY−138機種)で分析したが
鉛は0.1ppm以下であった。結果を表2に示した。
【0030】一方、鉛を除去した油相に関しては、重合
抑制剤としてハイドロキノンを1000ppm添加した
後、ヘリパックを充填した蒸留塔2塔を用いて、メタク
リル酸メチルより低沸点化合物と高沸点化合物をそれぞ
れの塔で分離除去し、精製メタクリル酸メチルを得た。
両蒸留塔での重合物の発生は極めて僅少であり、メタク
リル酸メチルの重合ロスは1%以下であった。粗メタク
リル酸メチル溶液中に含まれるMAA、MMA量を基準
とした粗メタクリル酸及び精製メタクリル酸メチルの回
収率を表3に示した。
【0031】
【実施例2】実施例1に於いて、粗メタクリル酸メチル
溶液5kgに対して濃硫酸を添加する代わりに、85%
濃度の燐酸120gをゆっくり撹拌しながら添加した以
外は実施例1と同様な操作を行った。その結果、実施例
1で観察された現象と同様に燐酸鉛の析出現象と油水分
離時間の短縮化が観察された。実施例1と同様にデカン
テ−ションにより油相と水相を分離した。この時の水相
のpHは2.0であった。
【0032】水相中に析出している燐酸鉛を濾別した
後、濾液中の溶存鉛濃度に対して5倍モルの鉄濃度にな
るように硫酸第一鉄水溶液をこの濾液に添加した。その
後は実施例1と同様な操作を施した結果、最終的に得ら
れた濾液中の鉛濃度は0.1ppm以下であった。ま
た、鉛を除去した後の油相を実施例1で用いた蒸留塔を
使用し、同様の操作で蒸留精製した結果、蒸留過程で生
じたメタクリル酸メチルの重合ロスは1%以下であっ
た。
【0033】燐酸添加後の油相および水相中のMMA、
MAA、Macr、Pbの分析値を表1に、水酸化鉄を
用いた共同沈殿処理後の水相中のPb濃度を表2に、鉛
分を除去した油相の蒸留精製過程に於ける重合ロスと粗
メタクリル酸メチル溶液中に含まれるMAA、MMA量
を基準とした粗メタクリル酸及び精製メタクリル酸メチ
ルの回収率を表3に示した。
【0034】
【実施例3】実施例1に於いて、粗メタクリル酸メチル
溶液5kgに対して濃硫酸を添加する代わりに、硫酸水
素ナトリウム100gと燐酸二水素カリウム70gの2
5℃に於ける飽和混合水溶液をゆっくり撹拌しながら添
加した以外は実施例1と同様な操作を行った。その結
果、実施例1で観察された現象と同じ様に硫酸鉛と燐酸
鉛の混合物と思われる鉛化合物の析出現象と油水分離時
間の短縮化が観察された。さらに硫酸を添加し、pHを
1.8に調整した後、実施例1と同様にデカンテ−ショ
ンにより油相と水相を分離し、水相中の溶存鉛濃度に対
して5倍モルの鉄濃度になるように塩化第二鉄水溶液を
水相に添加した。その後も実施例1と同様な操作を施し
た結果、最終的に得られた濾液中の鉛濃度は0.1pp
m以下であった。
【0035】また、鉛を除去した後の油相を実施例1で
用いた蒸留塔を使用し、同様の操作で蒸留精製した結
果、蒸留過程で生じたメタクリル酸メチルの重合ロスは
1%以下であった。硫酸水素ナトリウム及び燐酸二水素
カリウムを添加した後の油相および水相中のMMA、M
AA、Macr、Pbの分析値を表1に、水酸化鉄を用
いた共同沈殿処理後の水相中のPb濃度を表2に、鉛分
を除去した油相の蒸留精製過程に於ける重合ロスと粗メ
タクリル酸メチル溶液中に含まれるMAA、MMA量を
基準とした粗メタクリル酸及び精製メタクリル酸メチル
の回収率を表3に示した。
【0036】
【実施例4】実施例1に於いて、粗メタクリル酸メチル
溶液5kgに対して濃硫酸150gと10重量%の硫酸
第二鉄溶液50gをゆっくり撹拌しながら添加した以外
は実施例1と同様な操作を行った。その結果、実施例1
で観察された現象と同じ様に硫酸鉛の析出現象が観察さ
れた。実施例1と同様にデカンテ−ションにより油相と
水相を分離した。この時の水相のpHは1.8であっ
た。
【0037】水相に水酸化ナトリウム水溶液を加え、p
Hを9.8に調整した。ついで、ブフナ−ロ−ト内に厚
み約3cmに堆積させた珪藻土層を通過させ、硫酸鉛と
共同沈殿物を含む水相500gを濾過した。その後も実
施例1と同様な操作を施した結果、最終的に得られた濾
液中の鉛濃度は0.1ppm以下であった。また、鉛を
除去した後の油相を実施例1で用いた蒸留塔を使用し、
同様の操作で蒸留精製した結果、蒸留過程で生じたメタ
クリル酸メチルの重合ロスは1%以下であった。
【0038】硫酸と硫酸第二鉄溶液を添加した後の油相
および水相中のMMA、MAA、Macr、Pbの分析
値を表1に、水酸化鉄を用いた共同沈殿処理後の水相中
のPb濃度を表2に、鉛分を除去した油相の蒸留精製過
程に於ける重合ロスと粗メタクリル酸メチル溶液中に含
まれるMAA、MMA量を基準とした粗メタクリル酸と
精製メタクリル酸メチルの回収率を表3に示した。
【0039】
【比較例1】実施例1で得られた粗メタクリル酸メチル
溶液に対して、硫酸イオンまたは燐酸イオン、あるいは
両イオンを発生させ得る酸及び/または化合物を添加せ
ずにそのまま油相と水相をデカンテ−ションにより分離
した。この時の水相のpHは7.2であった。
【0040】得られた油相を実施例1で用いた蒸留塔を
用いて、同様な操作で蒸留精製した。その結果、蒸留過
程で生じたメタクリル酸メチルの重合ロスは10%以上
になってしまい、塔内に重合物が蓄積してくる現象が観
察され、蒸留操作を途中で断念せざるを得なかった。蒸
留精製の途中、重合抑制剤の濃度を1000ppmから
3000ppmに増加させても重合ロスを抑制させるこ
とはできなかった。重合物の発生は各塔底部のみならず
蒸留液供給位置より下部の塔内でも確認された。
【0041】また、水相に関しては、その溶存鉛濃度に
対して10倍モルの鉄濃度になるように硫酸第二鉄溶液
を添加した。その後、実施例1と同様な操作を施した結
果、最終的に得られた濾液中には鉛の濃度として2.7
ppmが検出された。理由は定かでないが水相中に溶存
する有機物濃度が高いため、溶存鉛の水酸化鉄による共
同沈殿効果が低減したものと思われる。
【0042】デカンテ−ション後の油相および水相中の
MMA、MAA、Macr、Pbの分析値を表1に、水
酸化鉄を用いた共同沈殿処理後の水相中のPb濃度を表
2に、鉛を含む油相の蒸留精製過程に於ける重合ロス
と、蒸留精製を断念するに至るまでの、粗メタクリル酸
メチル溶液中に含まれるMAA、MMA量を基準とした
粗メタクリル酸と精製メタクリル酸メチルの回収率を表
3に示した。
【0043】
【表1】
【0044】
【表2】
【0045】
【表3】
【0046】
【発明の効果】本発明によって、触媒から一部剥離また
は溶出する極微量の鉛イオンや鉛化合物を効率よく回収
することが可能になるだけでなく、生成カルボン酸エス
テルや反応系内で副生する有用なカルボン酸および有機
化合物を効率よく回収でき、しかも、鉛イオンや鉛化合
物をほぼ完全に除去することによって、目的生成物であ
るカルボン酸エステルが二重結合を有する場合には、蒸
留精製時に重合反応を抑制できるという工業的実用価値
が高く、経済性に優れたカルボン酸エステルの製造法を
提供することができる。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 鉛を含む触媒を用いて、アルデヒドとア
    ルコ−ルと酸素を反応させ、対応するカルボン酸エステ
    ルを製造するに当たり、得られる水を含む粗カルボン酸
    エステル溶液に含まれる鉛イオンや鉛化合物を除去する
    方法に於いて、 粗カルボン酸エステル溶液中で硫酸イオンまたは燐
    酸イオン、あるいは両イオンを発生させ得る酸及び/ま
    たは化合物、あるいはこれらの混合物を粗カルボン酸エ
    ステル溶液に添加し、油水二層分離した時の水相側のp
    Hを6以下に維持しつつ、水相側に鉛イオンや鉛化合物
    を抽出あるいは沈殿移動させると共に、水相中の水溶性
    有機物を油相に移動させ、 さらに水相と油相とを分離した後、鉄イオンの存在
    下で水相のpHを7以上に調整して鉄の水酸化物を発生
    させ、鉛イオンや鉛化合物を水相から共同沈殿分離して
    回収する方法。
  2. 【請求項2】 粗カルボン酸エステル溶液中で硫酸イオ
    ンまたは燐酸イオンを発生させ得る物質が硫酸または燐
    酸である請求項1記載の鉛回収方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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