JPH10179165A - 抗体磁気ビーズを用いた生殖幹細胞の分離、精製と幹細胞株の樹立方法 - Google Patents
抗体磁気ビーズを用いた生殖幹細胞の分離、精製と幹細胞株の樹立方法Info
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- JPH10179165A JPH10179165A JP8356643A JP35664396A JPH10179165A JP H10179165 A JPH10179165 A JP H10179165A JP 8356643 A JP8356643 A JP 8356643A JP 35664396 A JP35664396 A JP 35664396A JP H10179165 A JPH10179165 A JP H10179165A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 ES細胞あるいはEG細胞のもととなる細胞
群から未分化な生殖幹細胞を分離、精製する方法と該細
胞を体外で増殖させて幹細胞株を作出する方法を樹立す
ること。 【解決手段】 哺乳動物(ヒトを除く)において胚また
は胎子由来の生殖幹細胞を分離、精製するにあたり、抗
体磁気ビーズおよび未分化な生殖幹細胞を識別する抗体
を利用することを特徴とする生殖幹細胞の分離、精製方
法並びに該生殖幹細胞を、体外で培養することにより株
化することを特徴とする無限増殖、多分化能を有する幹
細胞株の作出方法。
群から未分化な生殖幹細胞を分離、精製する方法と該細
胞を体外で増殖させて幹細胞株を作出する方法を樹立す
ること。 【解決手段】 哺乳動物(ヒトを除く)において胚また
は胎子由来の生殖幹細胞を分離、精製するにあたり、抗
体磁気ビーズおよび未分化な生殖幹細胞を識別する抗体
を利用することを特徴とする生殖幹細胞の分離、精製方
法並びに該生殖幹細胞を、体外で培養することにより株
化することを特徴とする無限増殖、多分化能を有する幹
細胞株の作出方法。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、哺乳動物(ヒトを
除く)の胚または胎子から未分化な生殖幹細胞を分離、
精製する方法並びに得られた幹細胞から、多分化能を有
しながら無限増殖する幹細胞株を作出する方法に関する
ものである。
除く)の胚または胎子から未分化な生殖幹細胞を分離、
精製する方法並びに得られた幹細胞から、多分化能を有
しながら無限増殖する幹細胞株を作出する方法に関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】胚または胎子の細胞を体外で培養し、多
分化能を維持しながら未分化のまま無限に増殖する幹細
胞として、ES細胞(胚性幹細胞; Embryonic stem ce
ll)とEG細胞(Embryonic germ cell)の2種類が知ら
れている。
分化能を維持しながら未分化のまま無限に増殖する幹細
胞として、ES細胞(胚性幹細胞; Embryonic stem ce
ll)とEG細胞(Embryonic germ cell)の2種類が知ら
れている。
【0003】ES細胞は、マウス3.5日胚の内部細胞塊
から樹立された培養細胞である。また、EG細胞は、妊
娠8〜12.5日齢のマウス胎子の始原生殖細胞から樹立
された培養細胞である。これらの細胞は、支持細胞およ
び白血病抑制因子(leukemia inhibitory factor、以下
LIFという。)の存在化で未分化な状態、すなわち正
常発生における内部細胞塊から原始外胚葉までの性質を
保持している細胞株である。
から樹立された培養細胞である。また、EG細胞は、妊
娠8〜12.5日齢のマウス胎子の始原生殖細胞から樹立
された培養細胞である。これらの細胞は、支持細胞およ
び白血病抑制因子(leukemia inhibitory factor、以下
LIFという。)の存在化で未分化な状態、すなわち正
常発生における内部細胞塊から原始外胚葉までの性質を
保持している細胞株である。
【0004】従来、ES細胞の株化方法については種々
の報告があり、例えばマウス胎子由来の線維芽細胞を支
持細胞として妊娠3.5日齢のマウス胚盤胞期胚を支持細
胞上で培養することによって株化する方法(Evans と K
aufman, 1981, Nature, 292,154-156 ;Martin, 1981,
Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 78, 7634-7638 )があ
る。さらに、EG細胞の株化方法についても、妊娠8〜
12.5日齢の胎子の始原生殖細胞から株化する方法(Ma
tsuiら, 1992, Cell, 70, 841-847 ; Laboskyら, 199
4, Development, 120, 3197-3204 ) が報告されてい
る。
の報告があり、例えばマウス胎子由来の線維芽細胞を支
持細胞として妊娠3.5日齢のマウス胚盤胞期胚を支持細
胞上で培養することによって株化する方法(Evans と K
aufman, 1981, Nature, 292,154-156 ;Martin, 1981,
Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 78, 7634-7638 )があ
る。さらに、EG細胞の株化方法についても、妊娠8〜
12.5日齢の胎子の始原生殖細胞から株化する方法(Ma
tsuiら, 1992, Cell, 70, 841-847 ; Laboskyら, 199
4, Development, 120, 3197-3204 ) が報告されてい
る。
【0005】しかし、これら報告に開示された培養方法
は、体外の条件下で容易に分化しやすい胚細胞、あるい
は既に分化した体細胞を含む胎子の始原生殖細胞を培養
するため、未分化細胞の増殖法として多分に経験に依存
した手法である。そのため、これらの方法により株化が
成功する確率は低い(Doetschmanら, 1985, J. Embryo
l. Exp. Morphol., 87, 27-45;Robertson, 1986, Tren
ds Genet., 1, 9-13 ;McMahon と Bradley, 1990, Cel
l, 62, 1073-1085 )。ES細胞やEG細胞の分離、維
持培養は、細胞自身が分化しやすいため、非常に難し
い。しかも、培養系に生殖細胞以外の体細胞が多量に混
入し増殖すると、結果的に未分化な生殖細胞を分化状態
に導くので、最終的に死滅させてしまう。最近、Pesce
と De Feliciは、磁気ビーズを用いて始原生殖細胞を分
離し、体外で培養することを試みているが、最終的なE
G細胞の株化には至っていない(1995, Dev. Biol., 17
0, 722-735) 。
は、体外の条件下で容易に分化しやすい胚細胞、あるい
は既に分化した体細胞を含む胎子の始原生殖細胞を培養
するため、未分化細胞の増殖法として多分に経験に依存
した手法である。そのため、これらの方法により株化が
成功する確率は低い(Doetschmanら, 1985, J. Embryo
l. Exp. Morphol., 87, 27-45;Robertson, 1986, Tren
ds Genet., 1, 9-13 ;McMahon と Bradley, 1990, Cel
l, 62, 1073-1085 )。ES細胞やEG細胞の分離、維
持培養は、細胞自身が分化しやすいため、非常に難し
い。しかも、培養系に生殖細胞以外の体細胞が多量に混
入し増殖すると、結果的に未分化な生殖細胞を分化状態
に導くので、最終的に死滅させてしまう。最近、Pesce
と De Feliciは、磁気ビーズを用いて始原生殖細胞を分
離し、体外で培養することを試みているが、最終的なE
G細胞の株化には至っていない(1995, Dev. Biol., 17
0, 722-735) 。
【0006】一方、これらの幹細胞株は多分化能を有す
るので、マウスの初期胚に再移入することにより、注入
された胚の正常発生過程に組み込まれ、生殖系列を含む
全ての細胞系列、すなわち内胚葉、中胚葉、外胚葉のい
ずれにも分化することができる。また、体外の適当な条
件下においては、筋細胞、神経細胞、血液細胞へと分化
誘導することができる。
るので、マウスの初期胚に再移入することにより、注入
された胚の正常発生過程に組み込まれ、生殖系列を含む
全ての細胞系列、すなわち内胚葉、中胚葉、外胚葉のい
ずれにも分化することができる。また、体外の適当な条
件下においては、筋細胞、神経細胞、血液細胞へと分化
誘導することができる。
【0007】マウスES細胞を用いて作出したキメラ
は、Bradley らの報告(1984, Nature, 309, 255-256)
を始めとして、極めて多くの報告がある。また、マウス
EG細胞を用いたキメラについても、数は少ないが報告
されている(Stewart ら, 1994, Dev. Biol., 161, 626
-628;Labosky ら, 1994, Development, 120, 3197-320
4 ) 。
は、Bradley らの報告(1984, Nature, 309, 255-256)
を始めとして、極めて多くの報告がある。また、マウス
EG細胞を用いたキメラについても、数は少ないが報告
されている(Stewart ら, 1994, Dev. Biol., 161, 626
-628;Labosky ら, 1994, Development, 120, 3197-320
4 ) 。
【0008】また、核移植の手法(Willadsen, 1986, N
ature, 320, 63-65)を用いて、胚由来の細胞から個体を
再構成することができるとの報告もある(Campbellら,
1996, Nature, 380, 64-66 )。これらの幹細胞株は、体
外で容易に、かつ無限に増殖させることが可能であるの
で、従来の培養細胞と同様に遺伝子を導入し、遺伝子を
導入したES細胞あるいはEG細胞から遺伝子導入動物
の作出が可能である。
ature, 320, 63-65)を用いて、胚由来の細胞から個体を
再構成することができるとの報告もある(Campbellら,
1996, Nature, 380, 64-66 )。これらの幹細胞株は、体
外で容易に、かつ無限に増殖させることが可能であるの
で、従来の培養細胞と同様に遺伝子を導入し、遺伝子を
導入したES細胞あるいはEG細胞から遺伝子導入動物
の作出が可能である。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、これら従来
の問題を解消し、ES細胞あるいはEG細胞の基となる
細胞群から未分化な生殖幹細胞を可能な限り純化し、そ
れらを体外で増殖し、細胞株として樹立することができ
る方法を提供することを目的とするものである。
の問題を解消し、ES細胞あるいはEG細胞の基となる
細胞群から未分化な生殖幹細胞を可能な限り純化し、そ
れらを体外で増殖し、細胞株として樹立することができ
る方法を提供することを目的とするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決するため鋭意研究を重ねた。その結果、目的とす
る哺乳動物の胚または胎子由来の生殖幹細胞を分離、精
製する方法を確立するとともに、得られる生殖幹細胞を
体外で培養して作成する無限増殖、多分化能を有する幹
細胞株の作出方法を樹立した。
を解決するため鋭意研究を重ねた。その結果、目的とす
る哺乳動物の胚または胎子由来の生殖幹細胞を分離、精
製する方法を確立するとともに、得られる生殖幹細胞を
体外で培養して作成する無限増殖、多分化能を有する幹
細胞株の作出方法を樹立した。
【0011】すなわち、請求項1記載の本発明は、哺乳
動物(ヒトを除く)において胚または胎子由来の生殖幹
細胞を分離、精製するにあたり、抗体磁気ビーズおよび
未分化な生殖幹細胞を識別する抗体を利用することを特
徴とする生殖幹細胞の分離、精製方法に関する。
動物(ヒトを除く)において胚または胎子由来の生殖幹
細胞を分離、精製するにあたり、抗体磁気ビーズおよび
未分化な生殖幹細胞を識別する抗体を利用することを特
徴とする生殖幹細胞の分離、精製方法に関する。
【0012】請求項5記載の本発明は、請求項1記載の
方法により得られた生殖幹細胞を、体外で培養すること
により株化することを特徴とする無限増殖、多分化能を
有する幹細胞株の作出方法に関する。
方法により得られた生殖幹細胞を、体外で培養すること
により株化することを特徴とする無限増殖、多分化能を
有する幹細胞株の作出方法に関する。
【0013】また、請求項8記載の本発明は、請求項5
記載の方法により得られた幹細胞株に遺伝子導入法によ
って目的遺伝子を導入し、遺伝子導入幹細胞を得、この
細胞からキメラ動物作出法または核移植法によって作出
される動物に関する。
記載の方法により得られた幹細胞株に遺伝子導入法によ
って目的遺伝子を導入し、遺伝子導入幹細胞を得、この
細胞からキメラ動物作出法または核移植法によって作出
される動物に関する。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、本発明について説明する。
請求項1記載の本発明の方法は、哺乳動物(ヒトを除
く)の生殖幹細胞を体細胞、その他の細胞と混合した細
胞混液から、高純度で回収する方法である。ES細胞は
妊娠3.5日齢の胚盤胞期の内部細胞塊と呼ばれる胚細胞
に由来し、EG細胞は妊娠8〜12.5日齢の始原生殖細
胞に由来するが、これらの細胞を体外で培養して株化す
ることができる。以下においては、EG細胞の抗体磁気
ビーズによる細胞株の樹立について説明する。具体的に
は、まずマウスの妊娠8〜12.5日齢の胎子から、始原
生殖細胞を含む体組織を採取し、培養する。培養は、E
S培地〔D−MEM培地(GIBCO BRL,In
c.)を基本培地とし、これに20% ウシ胎子血清
(GIBCO BRL,Inc.),0.5% 非必須ア
ミノ酸溶液(GIBCO BRL,Inc.),0.1m
M β−メルカプトエタノール溶液(Sigma Ch
em Inc.)と1000unit LIF(アムラ
ッド製)を添加したもの〕を用いて行う。なお、培養前
に、ディスパーゼ、コラゲナーゼなどの酵素で細胞を分
散させておくことが望ましい。
請求項1記載の本発明の方法は、哺乳動物(ヒトを除
く)の生殖幹細胞を体細胞、その他の細胞と混合した細
胞混液から、高純度で回収する方法である。ES細胞は
妊娠3.5日齢の胚盤胞期の内部細胞塊と呼ばれる胚細胞
に由来し、EG細胞は妊娠8〜12.5日齢の始原生殖細
胞に由来するが、これらの細胞を体外で培養して株化す
ることができる。以下においては、EG細胞の抗体磁気
ビーズによる細胞株の樹立について説明する。具体的に
は、まずマウスの妊娠8〜12.5日齢の胎子から、始原
生殖細胞を含む体組織を採取し、培養する。培養は、E
S培地〔D−MEM培地(GIBCO BRL,In
c.)を基本培地とし、これに20% ウシ胎子血清
(GIBCO BRL,Inc.),0.5% 非必須ア
ミノ酸溶液(GIBCO BRL,Inc.),0.1m
M β−メルカプトエタノール溶液(Sigma Ch
em Inc.)と1000unit LIF(アムラ
ッド製)を添加したもの〕を用いて行う。なお、培養前
に、ディスパーゼ、コラゲナーゼなどの酵素で細胞を分
散させておくことが望ましい。
【0015】この培養により得られた細胞混液に、抗体
を添加する。ここで用いる抗体としては、生殖幹細胞を
認識できるものであればいずれも使用することができ、
具体的にはSSEA−1(生殖幹細胞を特異的に認識す
る一次抗体、SolterとKnowles, 1978, Proc. Natl. Aca
d. Sci. USA, 75, 5565-5569 ; Foxら, 1981, Dev. Bio
l., 83, 391-398)を挙げることができる。その他、TG
−1(Beverleyら, 1980, Nature, 287, 332-333);4C
9(Yoshinagaら, 1991, Differntiation, 48,75-82);
EMA−1,EMA−6(HahnelとEddy, 1986, J. Rep
rod. Immunol.,10, 89-100)なども使用可能である。抗
体の添加濃度、時間等は添加する抗体の種類等によって
異なるが、SSEA−1抗体を用いる場合は、10〜2
0μgの抗体を300μLの細胞混液に添加し、4℃で
攪拌しながら45分間程度培養する。
を添加する。ここで用いる抗体としては、生殖幹細胞を
認識できるものであればいずれも使用することができ、
具体的にはSSEA−1(生殖幹細胞を特異的に認識す
る一次抗体、SolterとKnowles, 1978, Proc. Natl. Aca
d. Sci. USA, 75, 5565-5569 ; Foxら, 1981, Dev. Bio
l., 83, 391-398)を挙げることができる。その他、TG
−1(Beverleyら, 1980, Nature, 287, 332-333);4C
9(Yoshinagaら, 1991, Differntiation, 48,75-82);
EMA−1,EMA−6(HahnelとEddy, 1986, J. Rep
rod. Immunol.,10, 89-100)なども使用可能である。抗
体の添加濃度、時間等は添加する抗体の種類等によって
異なるが、SSEA−1抗体を用いる場合は、10〜2
0μgの抗体を300μLの細胞混液に添加し、4℃で
攪拌しながら45分間程度培養する。
【0016】その後、一次抗体を認識する抗体(二次抗
体)を結合させた磁気ビーズ(MiniMACS, Milteny Biot
ech. Inc.)を細胞混液に添加することにより、生殖幹細
胞と磁気ビーズとの複合体を形成させる。二次抗体とし
ては、前記の一次抗体に結合するものであればいずれも
使用可能である。例えば、一次抗体としてSSEA−1
抗体を使用する場合、ラット抗マウスIgM抗体などを
挙げることができる。次に、複合体や抗体によって認識
されなかった細胞などを含む細胞混液を永久磁石上に装
着した細胞分離カラム(MiniMACS, Milteny Biotech. I
nc.)に添加し、抗体が結合していない支持細胞を流出さ
せる。次いで、磁石を取り除き、目的とする生殖幹細胞
の画分を流出回収する。
体)を結合させた磁気ビーズ(MiniMACS, Milteny Biot
ech. Inc.)を細胞混液に添加することにより、生殖幹細
胞と磁気ビーズとの複合体を形成させる。二次抗体とし
ては、前記の一次抗体に結合するものであればいずれも
使用可能である。例えば、一次抗体としてSSEA−1
抗体を使用する場合、ラット抗マウスIgM抗体などを
挙げることができる。次に、複合体や抗体によって認識
されなかった細胞などを含む細胞混液を永久磁石上に装
着した細胞分離カラム(MiniMACS, Milteny Biotech. I
nc.)に添加し、抗体が結合していない支持細胞を流出さ
せる。次いで、磁石を取り除き、目的とする生殖幹細胞
の画分を流出回収する。
【0017】次に、このようにして回収された生殖幹細
胞画分を体外で培養する。本発明における幹細胞画分の
培養方法を始原生殖細胞について説明する。まず、該幹
細胞画分をEG培地で培養する。ここで、EG培地は、
20% ウシ胎子血清(以下、FCSという。)を含む
前記ES培地(Robertson, 1987, Teratocarcinoma and
Embryonic Stem Cells-A practical approach, IRS Pr
ess,71-112)を基本とし、これに始原生殖細胞の体外で
の培養に不可欠な成長因子を添加したものである。
胞画分を体外で培養する。本発明における幹細胞画分の
培養方法を始原生殖細胞について説明する。まず、該幹
細胞画分をEG培地で培養する。ここで、EG培地は、
20% ウシ胎子血清(以下、FCSという。)を含む
前記ES培地(Robertson, 1987, Teratocarcinoma and
Embryonic Stem Cells-A practical approach, IRS Pr
ess,71-112)を基本とし、これに始原生殖細胞の体外で
の培養に不可欠な成長因子を添加したものである。
【0018】ここで、添加する成長因子としては、LI
F(1000unit)、塩基性線維芽細胞増殖因子
(以下、bFGFという。10ng/mL)等を挙げる
ことができる。これらの成長因子のいずれを欠いても始
原生殖細胞の増殖を図ることができない。その他、腫瘍
壊死因子〔TNFα〕、オンコスタチンM、CNTF、
インターロイキン11等の成長因子も使用可能である。
これらの成長因子のほか、フォルスコリン(10μM)
の添加も有効である。フォルスコリンを添加することに
より始原生殖細胞の増殖はより顕著となる。培養はSI4
-m220 細胞を支持細胞とし、37℃の炭酸ガス培養装置
内で6〜8日間程度行う。培養期間中、培地ば毎日新鮮
なものと交換する。この培養後、分離・精製された始原
生殖細胞は未分化細胞に特徴的なコロニーを支持細胞上
で形成するようになる。このようにして、体組織から始
原生殖細胞を高純度に分離、精製することができる。
F(1000unit)、塩基性線維芽細胞増殖因子
(以下、bFGFという。10ng/mL)等を挙げる
ことができる。これらの成長因子のいずれを欠いても始
原生殖細胞の増殖を図ることができない。その他、腫瘍
壊死因子〔TNFα〕、オンコスタチンM、CNTF、
インターロイキン11等の成長因子も使用可能である。
これらの成長因子のほか、フォルスコリン(10μM)
の添加も有効である。フォルスコリンを添加することに
より始原生殖細胞の増殖はより顕著となる。培養はSI4
-m220 細胞を支持細胞とし、37℃の炭酸ガス培養装置
内で6〜8日間程度行う。培養期間中、培地ば毎日新鮮
なものと交換する。この培養後、分離・精製された始原
生殖細胞は未分化細胞に特徴的なコロニーを支持細胞上
で形成するようになる。このようにして、体組織から始
原生殖細胞を高純度に分離、精製することができる。
【0019】次に、上記の方法により得られた生殖幹細
胞を株化して幹細胞株を作出する方法について説明す
る。まず、上記の方法で得られた細胞画分を培養する。
培養は、EG培地〔前記ES培地に10ngのbFGM
(GIBCO BRL,Inc.)と10μMのフォル
スコリン(Sigma Chem.Inc.)を添加し
たもの〕を用いて前述の始原生殖細胞の培養方法の場合
と同様にして6〜8日間程度行う。培養終了後、出現し
たコロニーを回収し、細胞を分散させてから、20%
FCSとLIFを含むES培地中で培養する。この培養
により、細胞株を得ることができる。得られた細胞株
は、凍結することにより保存することができる。
胞を株化して幹細胞株を作出する方法について説明す
る。まず、上記の方法で得られた細胞画分を培養する。
培養は、EG培地〔前記ES培地に10ngのbFGM
(GIBCO BRL,Inc.)と10μMのフォル
スコリン(Sigma Chem.Inc.)を添加し
たもの〕を用いて前述の始原生殖細胞の培養方法の場合
と同様にして6〜8日間程度行う。培養終了後、出現し
たコロニーを回収し、細胞を分散させてから、20%
FCSとLIFを含むES培地中で培養する。この培養
により、細胞株を得ることができる。得られた細胞株
は、凍結することにより保存することができる。
【0020】ここで得られる細胞株は、複数の胎子の始
原生殖細胞に由来するものであるために、複数の幹細胞
のクローンから成る。そこで、細胞株のサブクローン化
を行うことにより、均一な細胞株を得ることができる。
サブクローン化の方法の一例を挙げると、まず得られた
細胞株を、マウス胎子線維芽細胞を支持細胞とするES
培地で培養する。培養は、80%コンフルエントになる
まで細胞を増殖させる。得られた細胞を、予めマウス胎
子線維芽細胞を播種した培養皿に添加し、4〜5日後に
独立したコロニーを回収した後、さらに継代培養を行
う。この培養により増殖した細胞は均一な細胞株であ
り、これを凍結することにより保存することができる。
原生殖細胞に由来するものであるために、複数の幹細胞
のクローンから成る。そこで、細胞株のサブクローン化
を行うことにより、均一な細胞株を得ることができる。
サブクローン化の方法の一例を挙げると、まず得られた
細胞株を、マウス胎子線維芽細胞を支持細胞とするES
培地で培養する。培養は、80%コンフルエントになる
まで細胞を増殖させる。得られた細胞を、予めマウス胎
子線維芽細胞を播種した培養皿に添加し、4〜5日後に
独立したコロニーを回収した後、さらに継代培養を行
う。この培養により増殖した細胞は均一な細胞株であ
り、これを凍結することにより保存することができる。
【0021】本発明の方法によって得られる生殖幹細胞
株は、多分化能が高いので、内胚葉、中胚葉および外胚
葉のいずれにも確実に分化させることができる。また、
体外の適当な条件下においては、筋細胞、神経細胞、血
液細胞等へと分化誘導することができる。上記した手法
を用いてマウスの他、ラット、ウサギ等の実験動物やミ
ンク、ウシ、ブタ、ヤギ、ヒツジ等の家畜などの哺乳動
物種における生殖幹細胞の分離、精製と幹細胞株の作出
を行うことができる。また、幹細胞の培養途上で多くの
細胞が分化状態に導かれた場合に、いったん本手法によ
って未分化幹細胞を純化した後、目的とする細胞株を樹
立することができる。
株は、多分化能が高いので、内胚葉、中胚葉および外胚
葉のいずれにも確実に分化させることができる。また、
体外の適当な条件下においては、筋細胞、神経細胞、血
液細胞等へと分化誘導することができる。上記した手法
を用いてマウスの他、ラット、ウサギ等の実験動物やミ
ンク、ウシ、ブタ、ヤギ、ヒツジ等の家畜などの哺乳動
物種における生殖幹細胞の分離、精製と幹細胞株の作出
を行うことができる。また、幹細胞の培養途上で多くの
細胞が分化状態に導かれた場合に、いったん本手法によ
って未分化幹細胞を純化した後、目的とする細胞株を樹
立することができる。
【0022】さらに、本発明で得られる幹細胞株は高度
な多分化能を有しているので、該幹細胞株を体外で培養
し、増殖させる際に、常法により有用遺伝子(例えば癌
抑制遺伝子など)を導入し、遺伝子導入後の幹細胞から
遺伝子導入動物を作出することも可能である。この場
合、遺伝子の導入法として、例えば薬剤耐性マーカー遺
伝子(ネオマイシン耐性遺伝子、ハイグロマイシン耐性
遺伝子、チミジンキナーゼ遺伝子、ジフテリアトキシン
遺伝子等)と導入する目的遺伝子を接続した遺伝子を構
築し、エレクトロポレーションあるいはカルシウムリン
酸法により幹細胞に導入する方法がある。このようにし
て遺伝子を導入した後、薬剤により遺伝子が導入された
幹細胞のみを選抜し、これらの遺伝子導入幹細胞からキ
メラ動物作出法あるいは核移植法によって動物個体を作
出することができる。
な多分化能を有しているので、該幹細胞株を体外で培養
し、増殖させる際に、常法により有用遺伝子(例えば癌
抑制遺伝子など)を導入し、遺伝子導入後の幹細胞から
遺伝子導入動物を作出することも可能である。この場
合、遺伝子の導入法として、例えば薬剤耐性マーカー遺
伝子(ネオマイシン耐性遺伝子、ハイグロマイシン耐性
遺伝子、チミジンキナーゼ遺伝子、ジフテリアトキシン
遺伝子等)と導入する目的遺伝子を接続した遺伝子を構
築し、エレクトロポレーションあるいはカルシウムリン
酸法により幹細胞に導入する方法がある。このようにし
て遺伝子を導入した後、薬剤により遺伝子が導入された
幹細胞のみを選抜し、これらの遺伝子導入幹細胞からキ
メラ動物作出法あるいは核移植法によって動物個体を作
出することができる。
【0023】キメラ動物作出法または核移植法によって
動物個体を作出する方法について説明すると、遺伝子導
入細胞の1〜5個程度を初期胚(8細胞期から胚盤胞期
胚)に注入するか、これらの胚の透明帯を除去し幹細胞
と接触させることにより、正常初期胚内に導入する。こ
れらの胚を同期化した雌(マウスであれば、妊娠2.5〜
3.5日齢)の子宮内に移植し、分娩させる。得られた産
子が幹細胞由来のものであるかどうかは毛色によって判
定する。したがって、幹細胞とそれを導入する初期胚は
毛色に関して異なった表現形質を有すると、簡便に判定
できる。導入遺伝子の有無は、PCR法やサザン法によ
っても簡便に判定できる。動物の体組織がすべて幹細胞
に由来する動物を作出する場合には、キメラ動物同士を
交配することによって可能である。次に、核移植法につ
いて述べる。未受精卵の細胞核をマイクロマニピュレー
ターに設置した微小ガラス管により除去した後、未受精
卵の透明帯直下に遺伝子導入幹細胞を注入する。未受精
卵と幹細胞の融合は、電気的細胞融合あるいはセンダイ
ウイルスによる細胞融合によって行う。これらの幹細胞
導入胚は同期化した雌の子宮あるいは卵管内に移植して
産子を得る。得られた動物は、細胞核を幹細胞の核と入
れ換えているために、幹細胞の遺伝形質を有する遺伝子
導入動物となる。
動物個体を作出する方法について説明すると、遺伝子導
入細胞の1〜5個程度を初期胚(8細胞期から胚盤胞期
胚)に注入するか、これらの胚の透明帯を除去し幹細胞
と接触させることにより、正常初期胚内に導入する。こ
れらの胚を同期化した雌(マウスであれば、妊娠2.5〜
3.5日齢)の子宮内に移植し、分娩させる。得られた産
子が幹細胞由来のものであるかどうかは毛色によって判
定する。したがって、幹細胞とそれを導入する初期胚は
毛色に関して異なった表現形質を有すると、簡便に判定
できる。導入遺伝子の有無は、PCR法やサザン法によ
っても簡便に判定できる。動物の体組織がすべて幹細胞
に由来する動物を作出する場合には、キメラ動物同士を
交配することによって可能である。次に、核移植法につ
いて述べる。未受精卵の細胞核をマイクロマニピュレー
ターに設置した微小ガラス管により除去した後、未受精
卵の透明帯直下に遺伝子導入幹細胞を注入する。未受精
卵と幹細胞の融合は、電気的細胞融合あるいはセンダイ
ウイルスによる細胞融合によって行う。これらの幹細胞
導入胚は同期化した雌の子宮あるいは卵管内に移植して
産子を得る。得られた動物は、細胞核を幹細胞の核と入
れ換えているために、幹細胞の遺伝形質を有する遺伝子
導入動物となる。
【0024】未分化細胞が分離できれば、ES細胞株作
出のための基本的手技は哺乳動物で共通しているので、
本発明の方法をマウス以外の動物種に応用することが可
能である。例えば、上記した実験動物や家畜などでは、
胚盤胞期由来の細胞をマウスと同様の手法、すなわちD
−MEM、ウシ胎子血清、LIFを添加した培地とマウ
ス胎子線維芽細胞を支持細胞とする培養系によって体外
で培養し、ES細胞が株化されている(ラット:Lannac
coneら, 1994, Dev. Biol., 163, 288-292; ウサギ: Gr
avesとMoreadith, 1993, Mol. Reprod. Dev., 36, 424-
433 ; ミンク:Sukoyan ら, 1992, Mol. Reprod. Dev.,
33, 418-431 ; ウシ: Stice ら, 1996, Biol. Repro
d., 54, 100-110 ; ブタ: Wheeler, 1994, Reprod. Fe
til. Dev., 6, 563-568 ; ヒツジ: Handyside ら,198
7, Roux's Arch. Dev. Biol.,196,185-190 )。株化され
たES細胞は、形態的にはマウスのそれと区別できない
し、培養途上で、あるいは株化後に細胞が発現する蛋白
質、例えばアルカリフォスファターゼの活性がこれらの
細胞では共通して認められる。ガン細胞の性質が哺乳動
物に共通するように、未分化細胞の性質は哺乳動物で共
通すると考えるのが一般的である。これは、血球系、神
経系の幹細胞についても当てはまる。
出のための基本的手技は哺乳動物で共通しているので、
本発明の方法をマウス以外の動物種に応用することが可
能である。例えば、上記した実験動物や家畜などでは、
胚盤胞期由来の細胞をマウスと同様の手法、すなわちD
−MEM、ウシ胎子血清、LIFを添加した培地とマウ
ス胎子線維芽細胞を支持細胞とする培養系によって体外
で培養し、ES細胞が株化されている(ラット:Lannac
coneら, 1994, Dev. Biol., 163, 288-292; ウサギ: Gr
avesとMoreadith, 1993, Mol. Reprod. Dev., 36, 424-
433 ; ミンク:Sukoyan ら, 1992, Mol. Reprod. Dev.,
33, 418-431 ; ウシ: Stice ら, 1996, Biol. Repro
d., 54, 100-110 ; ブタ: Wheeler, 1994, Reprod. Fe
til. Dev., 6, 563-568 ; ヒツジ: Handyside ら,198
7, Roux's Arch. Dev. Biol.,196,185-190 )。株化され
たES細胞は、形態的にはマウスのそれと区別できない
し、培養途上で、あるいは株化後に細胞が発現する蛋白
質、例えばアルカリフォスファターゼの活性がこれらの
細胞では共通して認められる。ガン細胞の性質が哺乳動
物に共通するように、未分化細胞の性質は哺乳動物で共
通すると考えるのが一般的である。これは、血球系、神
経系の幹細胞についても当てはまる。
【0025】マウス以外の哺乳動物でのES細胞株の樹
立に抗体磁気ビーズ法を応用するためには、例えばマウ
ス胎子線維芽細胞上で増殖した胚盤胞期由来の胚細胞を
トリプシン−EDTA溶液等によって分散させ、本手法
と同様に未分化細胞に特異的な抗体磁気ビーズにより処
理し、カラムにより未分化細胞を分離、精製し、再びマ
ウス胎子線維芽細胞上で培養する。このようにすること
により、胚細胞から分化した細胞を培養系から取り除く
ことができ、分化細胞による未分化細胞の分化誘導を抑
制することができる。一方、始原生殖細胞からのEG細
胞株の樹立についても、ウシ(Chernyら, 1994, Repro
d. Fertil. Dev., 6, 569-575 ; Strelchenko, 1996, T
heriogenology, 45, 131-140 ) で成功しており、ウシ
胎子血清とLIF、bFGFを成長因子として用いた培
養系も、本発明の手法や既存の手法(Matsuiら, 1992,
Cell, 70, 841-847 ; Labosky ら, 1994, Development,
120, 3197-3204 ) と同様にして行うことが可能であ
る。また、始原生殖細胞もES培地と同様に未分化細胞
のマーカー蛋白質であるアルカリフォスファターゼ活性
を有する(Chernyら, 1994,Reprod. Fertil. Dev., 6,
569-575 )。したがって、この場合にも、利用可能な未
分化細胞特異的抗体があれば、始原生殖細胞を容易に分
離し、マウス以外の動物種でのEG細胞株の分離に大き
く前進できる。
立に抗体磁気ビーズ法を応用するためには、例えばマウ
ス胎子線維芽細胞上で増殖した胚盤胞期由来の胚細胞を
トリプシン−EDTA溶液等によって分散させ、本手法
と同様に未分化細胞に特異的な抗体磁気ビーズにより処
理し、カラムにより未分化細胞を分離、精製し、再びマ
ウス胎子線維芽細胞上で培養する。このようにすること
により、胚細胞から分化した細胞を培養系から取り除く
ことができ、分化細胞による未分化細胞の分化誘導を抑
制することができる。一方、始原生殖細胞からのEG細
胞株の樹立についても、ウシ(Chernyら, 1994, Repro
d. Fertil. Dev., 6, 569-575 ; Strelchenko, 1996, T
heriogenology, 45, 131-140 ) で成功しており、ウシ
胎子血清とLIF、bFGFを成長因子として用いた培
養系も、本発明の手法や既存の手法(Matsuiら, 1992,
Cell, 70, 841-847 ; Labosky ら, 1994, Development,
120, 3197-3204 ) と同様にして行うことが可能であ
る。また、始原生殖細胞もES培地と同様に未分化細胞
のマーカー蛋白質であるアルカリフォスファターゼ活性
を有する(Chernyら, 1994,Reprod. Fertil. Dev., 6,
569-575 )。したがって、この場合にも、利用可能な未
分化細胞特異的抗体があれば、始原生殖細胞を容易に分
離し、マウス以外の動物種でのEG細胞株の分離に大き
く前進できる。
【0026】
【実施例】以下に、本発明を実施例により詳しく説明す
る。 実施例1〔SSEA−1抗体の濃度が既存のES細胞
(TT2)の分離・精製に及ぼす影響〕 ES細胞として、すでに樹立されているTT2細胞(Ya
giら, 1993, Anal. Biochem., 214, 70-76 )を用い、T
T2細胞と支持細胞との細胞混液からTT2細胞を純化
するのに、磁気ビーズによる細胞分離法が有効であるか
否かについて検討した。
る。 実施例1〔SSEA−1抗体の濃度が既存のES細胞
(TT2)の分離・精製に及ぼす影響〕 ES細胞として、すでに樹立されているTT2細胞(Ya
giら, 1993, Anal. Biochem., 214, 70-76 )を用い、T
T2細胞と支持細胞との細胞混液からTT2細胞を純化
するのに、磁気ビーズによる細胞分離法が有効であるか
否かについて検討した。
【0027】まず、ES細胞を培養するための支持細胞
の調製を行う。妊娠14日齢のマウス胎子を細片し、ト
リプシンとEDTA溶液により細胞を分散後、10%ウ
シ胎子血清を含むD−MEM(GIBCO BRL,I
nc.)溶液中で培養し、増殖した細胞に10μg/m
L濃度のマイトマイシンC(協和発酵製)を添加し、増
殖を停止させたマウス胎子線維芽細胞を支持細胞として
用いた。この支持細胞上で20%FCS(GIBCO
BRL,Inc.)を含むES培地(Robertson, 1987,
Teratocarcinoma and Embryonic Stem Cell-A practic
al approach, IRL Press, 71-112)を用いてTT2細胞
を培養した。培養開始後1.5日目に、0.05%トリプシ
ンと0.01%EDTA溶液により細胞を剥離した後、総
細胞数が1.5×106となるようにチューブに分注した。
これを遠心分離し(4℃、900回転、4分間)、30
0μLのES培地に浮遊したものを10μg/300μ
L、20μg/300μLあるいは50μg/300μ
L濃度の抗SSEA−1抗体(協和発酵製)により処理
した。
の調製を行う。妊娠14日齢のマウス胎子を細片し、ト
リプシンとEDTA溶液により細胞を分散後、10%ウ
シ胎子血清を含むD−MEM(GIBCO BRL,I
nc.)溶液中で培養し、増殖した細胞に10μg/m
L濃度のマイトマイシンC(協和発酵製)を添加し、増
殖を停止させたマウス胎子線維芽細胞を支持細胞として
用いた。この支持細胞上で20%FCS(GIBCO
BRL,Inc.)を含むES培地(Robertson, 1987,
Teratocarcinoma and Embryonic Stem Cell-A practic
al approach, IRL Press, 71-112)を用いてTT2細胞
を培養した。培養開始後1.5日目に、0.05%トリプシ
ンと0.01%EDTA溶液により細胞を剥離した後、総
細胞数が1.5×106となるようにチューブに分注した。
これを遠心分離し(4℃、900回転、4分間)、30
0μLのES培地に浮遊したものを10μg/300μ
L、20μg/300μLあるいは50μg/300μ
L濃度の抗SSEA−1抗体(協和発酵製)により処理
した。
【0028】細胞液をゆっくり攪拌しながら4℃で45
分間培養してから、再度遠心分離し(4℃、900回
転、4分間)、得られた細胞塊に300μLのES培地
とラット抗マウスIgM抗体を結合させた25μLの磁
気ビーズ(Milteyl Biotec. Inc.)を添加した。その
後、200μLのES培地を添加し、このうちの50μ
LはES細胞数の計測のために残しておき、残りの細胞
浮遊液を細胞分離カラム(Milteyl Biotec. Inc.)に添
加した。カラムの側面に永久磁石を装着し、分離カラム
は細胞の添加に先立ちES培地(1mL)で洗浄した。
細胞浮遊液は、カラムの最上部にパスツールピペットに
より滴下後、静置し、500μLのES培地で洗浄し
た。この洗浄液はカラムに吸着しなかった細胞としてチ
ューブに回収した(体細胞分画)。
分間培養してから、再度遠心分離し(4℃、900回
転、4分間)、得られた細胞塊に300μLのES培地
とラット抗マウスIgM抗体を結合させた25μLの磁
気ビーズ(Milteyl Biotec. Inc.)を添加した。その
後、200μLのES培地を添加し、このうちの50μ
LはES細胞数の計測のために残しておき、残りの細胞
浮遊液を細胞分離カラム(Milteyl Biotec. Inc.)に添
加した。カラムの側面に永久磁石を装着し、分離カラム
は細胞の添加に先立ちES培地(1mL)で洗浄した。
細胞浮遊液は、カラムの最上部にパスツールピペットに
より滴下後、静置し、500μLのES培地で洗浄し
た。この洗浄液はカラムに吸着しなかった細胞としてチ
ューブに回収した(体細胞分画)。
【0029】回収後、永久磁石を取り外し、注射筒によ
ってカラム内に残存する細胞とES培地をチューブに回
収した(ES細胞分画)。このうちの100μLはES
細胞数の計測のために残し、残りの細胞は分離後の細胞
の生存性と増殖能とを計測するために用いた。回収した
すべての細胞は、マウス胎子線維芽細胞を支持細胞とす
るES培地中で1日培養した後、未分化細胞を判定する
マーカー蛋白質であるアルカリフォスファターゼの活性
を基準として(Chiquoine, 1954, Anat. Rec., 118, 13
5-146;Mintz と Russell, 1957, J. Exp. Zool., 134,
207-238 )TT2細胞の回収率と純度とを算出した。
なお、アルカリフォスファターゼ活性は、Alkalin phos
phatase Leucocyte Kit (Sigma inc.)を用いて判定し
た。結果を図1に示す。図中、□は回収率を、○は純度
を示す。
ってカラム内に残存する細胞とES培地をチューブに回
収した(ES細胞分画)。このうちの100μLはES
細胞数の計測のために残し、残りの細胞は分離後の細胞
の生存性と増殖能とを計測するために用いた。回収した
すべての細胞は、マウス胎子線維芽細胞を支持細胞とす
るES培地中で1日培養した後、未分化細胞を判定する
マーカー蛋白質であるアルカリフォスファターゼの活性
を基準として(Chiquoine, 1954, Anat. Rec., 118, 13
5-146;Mintz と Russell, 1957, J. Exp. Zool., 134,
207-238 )TT2細胞の回収率と純度とを算出した。
なお、アルカリフォスファターゼ活性は、Alkalin phos
phatase Leucocyte Kit (Sigma inc.)を用いて判定し
た。結果を図1に示す。図中、□は回収率を、○は純度
を示す。
【0030】図から明らかなように、磁気ビーズによる
細胞分離法を使用すると、TT2細胞を効率よく分離、
精製できることがわかった。また、TT2細胞の回収率
は、抗体濃度に依存して上昇し、50μg/300μL
の抗体濃度では、90%という高い回収率が得られた。
一方、回収された細胞液中のTT2細胞の純度は、10
および20μg/300μLの抗体濃度では80%以上
であったものの、50μg/300μLの抗体濃度では
やや低く、抗体濃度が低い方が純度は高まる傾向にあっ
た。このことから、細胞の認識のために用いる抗体の濃
度は60μg/mL程度の高濃度が必要であることがわ
かった。
細胞分離法を使用すると、TT2細胞を効率よく分離、
精製できることがわかった。また、TT2細胞の回収率
は、抗体濃度に依存して上昇し、50μg/300μL
の抗体濃度では、90%という高い回収率が得られた。
一方、回収された細胞液中のTT2細胞の純度は、10
および20μg/300μLの抗体濃度では80%以上
であったものの、50μg/300μLの抗体濃度では
やや低く、抗体濃度が低い方が純度は高まる傾向にあっ
た。このことから、細胞の認識のために用いる抗体の濃
度は60μg/mL程度の高濃度が必要であることがわ
かった。
【0031】実施例2〔磁気ビーズによる細胞分離法で
分離した後のTT2細胞の生存性〕 実施例1と同様の方法により分離したTT2細胞をマウ
ス胎子線維芽細胞を支持細胞とするES培地中で1日、
2日あるいは3日培養した後、アルカリフォスファター
ゼ活性を指標にして、細胞数を計測した。結果を図2に
示す。
分離した後のTT2細胞の生存性〕 実施例1と同様の方法により分離したTT2細胞をマウ
ス胎子線維芽細胞を支持細胞とするES培地中で1日、
2日あるいは3日培養した後、アルカリフォスファター
ゼ活性を指標にして、細胞数を計測した。結果を図2に
示す。
【0032】図から明らかなように、いずれのSSEA
−1抗体濃度で標識後に回収した細胞においても、体外
培養後の細胞増殖能は全く変化がないことがわかった。
また、処理抗体濃度や、その後の細胞分離カラム、磁気
ビーズによる細胞分離法は、細胞増殖に対し何の影響も
及ぼさないことがわかった。
−1抗体濃度で標識後に回収した細胞においても、体外
培養後の細胞増殖能は全く変化がないことがわかった。
また、処理抗体濃度や、その後の細胞分離カラム、磁気
ビーズによる細胞分離法は、細胞増殖に対し何の影響も
及ぼさないことがわかった。
【0033】実施例3〔胎子由来の始原生殖細胞の分
離〕 次に、磁気ビーズによる細胞分離法を用いて、胎子由来
の始原生殖細胞の分離を行った。ICR系マウス(SLC
Inc., Japan)雌を同系の雄と自然交配し、妊娠10.5〜
12.5日齢のマウスの子宮から胎子を取り出し、顕微鏡
下で胎子の腹部を切開した。始原生殖細胞は妊娠7.5日
齢では尿膜基底部に、10.5日齢には原腸周辺部に、ま
た11.5日齢には生殖隆起に存在する。そこで、これら
の組織を解剖鋏で切開し、PBS溶液(phosphate buff
ered solution)で2回洗浄した。なお、胎子は5〜7匹
(12.5日齢)、5〜9匹(11.5日齢および10.5日
齢)を用いた。
離〕 次に、磁気ビーズによる細胞分離法を用いて、胎子由来
の始原生殖細胞の分離を行った。ICR系マウス(SLC
Inc., Japan)雌を同系の雄と自然交配し、妊娠10.5〜
12.5日齢のマウスの子宮から胎子を取り出し、顕微鏡
下で胎子の腹部を切開した。始原生殖細胞は妊娠7.5日
齢では尿膜基底部に、10.5日齢には原腸周辺部に、ま
た11.5日齢には生殖隆起に存在する。そこで、これら
の組織を解剖鋏で切開し、PBS溶液(phosphate buff
ered solution)で2回洗浄した。なお、胎子は5〜7匹
(12.5日齢)、5〜9匹(11.5日齢および10.5日
齢)を用いた。
【0034】採取した組織をカルシウム、マグネシウム
を含まないPBS溶液で2回洗浄し、エッペンドルフチ
ューブに移した。ディスパーゼ(1000units ;GIBC
O BRL Inc.)およびコラゲナーゼIII(72units; GIBCO
BRL Inc.)を含む100μLのPBS中でゆっくり攪拌
し、細胞を分散させた。その後、細胞浮遊液を遠心分離
し(4℃、900回転、4分)、300μLのES培地
に浮遊した。
を含まないPBS溶液で2回洗浄し、エッペンドルフチ
ューブに移した。ディスパーゼ(1000units ;GIBC
O BRL Inc.)およびコラゲナーゼIII(72units; GIBCO
BRL Inc.)を含む100μLのPBS中でゆっくり攪拌
し、細胞を分散させた。その後、細胞浮遊液を遠心分離
し(4℃、900回転、4分)、300μLのES培地
に浮遊した。
【0035】次いで、実施例1に示したTT2細胞の純
化方法と同様の手法で、SSEA−1抗体と磁気ビーズ
による始原生殖細胞の標識、細胞分離カラムによる細胞
純化を実施した。なお、SSEA−1抗体の濃度は、1
0.5日齢胎子の場合は10μg/300mL、11.5日
齢および12.5日齢の胎子の場合は20μg/300m
Lの濃度で用いた。また、細胞調製の各過程における細
胞の回収率、始原生殖細胞の純度も実施例1と同様に算
定した。結果を図3に示す。なお、図中の□は回収率
を、○は純度を示す。
化方法と同様の手法で、SSEA−1抗体と磁気ビーズ
による始原生殖細胞の標識、細胞分離カラムによる細胞
純化を実施した。なお、SSEA−1抗体の濃度は、1
0.5日齢胎子の場合は10μg/300mL、11.5日
齢および12.5日齢の胎子の場合は20μg/300m
Lの濃度で用いた。また、細胞調製の各過程における細
胞の回収率、始原生殖細胞の純度も実施例1と同様に算
定した。結果を図3に示す。なお、図中の□は回収率
を、○は純度を示す。
【0036】図3に示した通り、始原生殖細胞の回収率
は、胎子の日齢に係わらず、80%前後(78〜80
%)と高いものであった。細胞の純度も、12.5日齢の
胎子でやや低かったが、10.5日齢あるいは11.5日齢
の胎子からは高い純度を得ることができた。このことか
ら、実際に始原生殖細胞の分離にも本発明の方法が有効
であることが証明された。
は、胎子の日齢に係わらず、80%前後(78〜80
%)と高いものであった。細胞の純度も、12.5日齢の
胎子でやや低かったが、10.5日齢あるいは11.5日齢
の胎子からは高い純度を得ることができた。このことか
ら、実際に始原生殖細胞の分離にも本発明の方法が有効
であることが証明された。
【0037】実施例4〔アルカリフォスファターゼ活性
を有する始原生殖細胞の体外培養〕 実施例3で得られた始原生殖細胞画分のうち、11.5日
齢の胎子(5〜9匹)から得られたものを、膜結合型幹
細胞増殖因子(SCF)を発現するSI4-m220細胞(Mat
suiら, 1991, Nature, 353, 750-752 )を支持細胞とす
る4穴培養皿(Nunc Inc.)で1〜5日間培養した(37
℃、5%炭酸ガス+95%空気)。なお、培養液は、次
の3種類を使用した。 (1)成長因子、フォルスコリンを含まないEG培地 (2)成長因子としてLIFのみを含むEG培地(ES
培地) (3)EG培地(20% FCS+1000unit LI
F+10ng/mLbFGF+10μM フォルスコリ
ン含有)
を有する始原生殖細胞の体外培養〕 実施例3で得られた始原生殖細胞画分のうち、11.5日
齢の胎子(5〜9匹)から得られたものを、膜結合型幹
細胞増殖因子(SCF)を発現するSI4-m220細胞(Mat
suiら, 1991, Nature, 353, 750-752 )を支持細胞とす
る4穴培養皿(Nunc Inc.)で1〜5日間培養した(37
℃、5%炭酸ガス+95%空気)。なお、培養液は、次
の3種類を使用した。 (1)成長因子、フォルスコリンを含まないEG培地 (2)成長因子としてLIFのみを含むEG培地(ES
培地) (3)EG培地(20% FCS+1000unit LI
F+10ng/mLbFGF+10μM フォルスコリ
ン含有)
【0038】続いて、それぞれの培養液および培養期間
におけるアルカリフォスファターゼ活性を有する細胞数
を算出することにより、細胞の増殖能を調べた。結果を
図4に示す。□は成長因子、フォルスコリンを含まない
EG培地を、○は成長因子としてLIFのみを含むEG
培地(ES培地)を、▲はEG培地を示す。なお、1日
1回培養液を新鮮なものに交換した。また、細胞のアル
カリフォスファターゼ活性の判定は、細胞をPBS溶液
で洗浄後、風乾固定したのち、染色用基質を添加して行
った。図から明らかなように、成長因子を含まない培養
液(1)中で培養した分離細胞の数は、培養日数が長い
ほど低下したことがわかる。また、成長因子の一つであ
るLIFのみを含む培養液(2)により培養した細胞数
は、特に変化しなかった。すなわち、細胞の生存性が維
持されるが、細胞増殖効果はないことがわかった。一
方、成長因子すべてとフォルスコリンを添加した培養液
(3)においては、5日間の培養期間で持続的な細胞増
殖が認められた。このことから、始原生殖細胞の体外培
養のためには、LIF、bFGFおよびフォルスコリン
を含むEG培地を使用することが好ましいことがわかっ
た。
におけるアルカリフォスファターゼ活性を有する細胞数
を算出することにより、細胞の増殖能を調べた。結果を
図4に示す。□は成長因子、フォルスコリンを含まない
EG培地を、○は成長因子としてLIFのみを含むEG
培地(ES培地)を、▲はEG培地を示す。なお、1日
1回培養液を新鮮なものに交換した。また、細胞のアル
カリフォスファターゼ活性の判定は、細胞をPBS溶液
で洗浄後、風乾固定したのち、染色用基質を添加して行
った。図から明らかなように、成長因子を含まない培養
液(1)中で培養した分離細胞の数は、培養日数が長い
ほど低下したことがわかる。また、成長因子の一つであ
るLIFのみを含む培養液(2)により培養した細胞数
は、特に変化しなかった。すなわち、細胞の生存性が維
持されるが、細胞増殖効果はないことがわかった。一
方、成長因子すべてとフォルスコリンを添加した培養液
(3)においては、5日間の培養期間で持続的な細胞増
殖が認められた。このことから、始原生殖細胞の体外培
養のためには、LIF、bFGFおよびフォルスコリン
を含むEG培地を使用することが好ましいことがわかっ
た。
【0039】実施例5〔始原生殖細胞からの細胞株の作
出〕 実施例4において、培養液(3)で5日間培養して得ら
れた形態的にES細胞に類似したコロニーをパスツール
ピペットで回収し、PBS溶液で洗浄後、0.05%トリ
プシンと0.01%EDTAとを含む溶液中で細胞を分散
させた。これに、妊娠14日齢マウス胎子から調製した
(Robertson, 1987, Teratocarcinoma and Embryonic S
tem Cell-A practical approach, IRL Press, 71-112)
線維芽細胞を支持細胞とし、20%FCSとLIF(1
000unit)を含むES培地中で培養を継続した。
出〕 実施例4において、培養液(3)で5日間培養して得ら
れた形態的にES細胞に類似したコロニーをパスツール
ピペットで回収し、PBS溶液で洗浄後、0.05%トリ
プシンと0.01%EDTAとを含む溶液中で細胞を分散
させた。これに、妊娠14日齢マウス胎子から調製した
(Robertson, 1987, Teratocarcinoma and Embryonic S
tem Cell-A practical approach, IRL Press, 71-112)
線維芽細胞を支持細胞とし、20%FCSとLIF(1
000unit)を含むES培地中で培養を継続した。
【0040】培地は毎日交換し、細胞の増殖に応じて、
4穴培養皿(Nunc Inc.) から12穴培養皿(Falcon In
c.)、35mm培養皿(Falcon Inc.)と培養皿の大きさ
を変えた。培養開始後約2週間で35mmの培養皿で培
養可能な程度に細胞の増殖が認められた。これらの細胞
の一部は、アルカリフォスファターゼ活性を検出し、残
りの細胞は10% DMSO(Sigma Chem.
Inc.)を加えたEG培地中に浮遊させ、液体窒素下
で凍結保存した。これらの細胞のアルカリフォスファタ
ーゼ活性を検討した結果を図5に示す。
4穴培養皿(Nunc Inc.) から12穴培養皿(Falcon In
c.)、35mm培養皿(Falcon Inc.)と培養皿の大きさ
を変えた。培養開始後約2週間で35mmの培養皿で培
養可能な程度に細胞の増殖が認められた。これらの細胞
の一部は、アルカリフォスファターゼ活性を検出し、残
りの細胞は10% DMSO(Sigma Chem.
Inc.)を加えたEG培地中に浮遊させ、液体窒素下
で凍結保存した。これらの細胞のアルカリフォスファタ
ーゼ活性を検討した結果を図5に示す。
【0041】図示したように、すべてのコロニーが強い
アルカリフォスファターゼ活性を示すことから、細胞の
形態も同一であること考えると、これまでに樹立されて
いるES細胞やEG細胞との相違点は見出せなかった。
アルカリフォスファターゼ活性を示すことから、細胞の
形態も同一であること考えると、これまでに樹立されて
いるES細胞やEG細胞との相違点は見出せなかった。
【0042】実施例6〔細胞株のサブクローニング〕 実施例5によって樹立される細胞株は、5〜9匹のマウ
ス胎子の始原生殖細胞に由来するために、複数の幹細胞
が混在している。また、樹立された1つの細胞株から複
数の幹細胞株を新たに樹立できることを意味する。そこ
で、均一な細胞株を得るために、細胞株のサブクローン
化を行った。実施例5により得られた1株の細胞株を融
解し、マウス胎子線維芽細胞を支持細胞とするES培地
で培養し、80%コンフルエントになるまで増殖させ、
PBS溶液で洗浄後、0.1% トリプシンと0.02%
EDTAにより単一の細胞となるまで細胞を分散させ
た。これらの細胞を、予めマウス胎子線維芽細胞で播種
した60mm培養皿(Falcon Inc.)に200個あるいは
1000個添加し、4〜5日後に独立したコロニーをパ
スツールピペットで回収した。PBS溶液で洗浄後、0.
1% トリプシンと0.02% EDTAにより細胞を分
散し、支持細胞とともに24穴培養皿(Falcon Inc.)で
培養した。細胞の増殖に従って、順次12穴、35mm
培養皿と細胞の継代を行い、60mm培養皿にまで増殖
した細胞を凍結保存した。
ス胎子の始原生殖細胞に由来するために、複数の幹細胞
が混在している。また、樹立された1つの細胞株から複
数の幹細胞株を新たに樹立できることを意味する。そこ
で、均一な細胞株を得るために、細胞株のサブクローン
化を行った。実施例5により得られた1株の細胞株を融
解し、マウス胎子線維芽細胞を支持細胞とするES培地
で培養し、80%コンフルエントになるまで増殖させ、
PBS溶液で洗浄後、0.1% トリプシンと0.02%
EDTAにより単一の細胞となるまで細胞を分散させ
た。これらの細胞を、予めマウス胎子線維芽細胞で播種
した60mm培養皿(Falcon Inc.)に200個あるいは
1000個添加し、4〜5日後に独立したコロニーをパ
スツールピペットで回収した。PBS溶液で洗浄後、0.
1% トリプシンと0.02% EDTAにより細胞を分
散し、支持細胞とともに24穴培養皿(Falcon Inc.)で
培養した。細胞の増殖に従って、順次12穴、35mm
培養皿と細胞の継代を行い、60mm培養皿にまで増殖
した細胞を凍結保存した。
【0043】サブクローニングを終えた細胞株の染色体
標本を作成し、細胞株の核型を調べた。標本の作成は、
Robertson の方法(1987, Teratocarcinoma and Embryo
nic Stem Cell-A practical approach, IRL Press, 71-
112)に準じて行った。すなわち、80%コンフルエント
になるまで増殖させたEG細胞に10μL/mLのコル
セミド(GIBCO BRL,Inc.)を添加し2時
間培養した。0.1% トリプシンと0.02% EDTA
により細胞を剥離後、低張液処理し、メタノールと酢酸
による固定後、スライドグラス上に細胞を塗布し、ギム
ザ染色液(GIBCO BRL,Inc.)にて染色
後、顕微鏡下で染色体を観察した。各実験区において作
出した染色体標本の中で、少なくとも50個の中期染色
体像を示すサンプルについて、染色体の本数と性染色体
の形態を観察した。核型の正常性を検討した結果を第1
表に示す。
標本を作成し、細胞株の核型を調べた。標本の作成は、
Robertson の方法(1987, Teratocarcinoma and Embryo
nic Stem Cell-A practical approach, IRL Press, 71-
112)に準じて行った。すなわち、80%コンフルエント
になるまで増殖させたEG細胞に10μL/mLのコル
セミド(GIBCO BRL,Inc.)を添加し2時
間培養した。0.1% トリプシンと0.02% EDTA
により細胞を剥離後、低張液処理し、メタノールと酢酸
による固定後、スライドグラス上に細胞を塗布し、ギム
ザ染色液(GIBCO BRL,Inc.)にて染色
後、顕微鏡下で染色体を観察した。各実験区において作
出した染色体標本の中で、少なくとも50個の中期染色
体像を示すサンプルについて、染色体の本数と性染色体
の形態を観察した。核型の正常性を検討した結果を第1
表に示す。
【0044】
【表1】
【0045】さらに、染色体標本以外に、細胞から精製
したゲノムDNAについて雄性染色体に特異的なsry
遺伝子に対するプライマーを作成し、PCR法(Saiki
ら,1988, Science, 239, 487-491 ) によって細胞株の
性染色体を判定した。このとき用いたプライマーは、配
列表の配列番号1および2に記載した塩基配列を有する
ものである。また、PCR後の増幅産物は、214塩基
対であった。PCRの結果を第1表に示す。
したゲノムDNAについて雄性染色体に特異的なsry
遺伝子に対するプライマーを作成し、PCR法(Saiki
ら,1988, Science, 239, 487-491 ) によって細胞株の
性染色体を判定した。このとき用いたプライマーは、配
列表の配列番号1および2に記載した塩基配列を有する
ものである。また、PCR後の増幅産物は、214塩基
対であった。PCRの結果を第1表に示す。
【0046】第1表から、サブクローン化した3株のい
ずれもが80%以上の正常染色体数(マウスの正常染色
体数は40本である)を有していることがわかる。この
ことから、これまでに樹立されているマウスのES細胞
やEG細胞の正常染色体数に匹敵する性質を有している
ことがわかった。また、PCRの結果、細胞株は、雄の
核型を持つ細胞株であることがわかった。
ずれもが80%以上の正常染色体数(マウスの正常染色
体数は40本である)を有していることがわかる。この
ことから、これまでに樹立されているマウスのES細胞
やEG細胞の正常染色体数に匹敵する性質を有している
ことがわかった。また、PCRの結果、細胞株は、雄の
核型を持つ細胞株であることがわかった。
【0047】
【発明の効果】本発明により、ヒトを除く哺乳動物の胚
または胎子に由来する生殖幹細胞が高い純度で回収する
ことができる。また、回収された生殖幹細胞から効率
的、かつ安定的に幹細胞株の樹立を可能にする技術が提
供される。本発明は、遺伝子導入動物を作出する上での
基本技術を提供するものであり、マウス以外の他の哺乳
動物にも応用することができる。これによって、家畜に
おける品種改良や、医学領域における遺伝子疾患、遺伝
子治療のためのモデル動物作出の上で大きく貢献でき
る。
または胎子に由来する生殖幹細胞が高い純度で回収する
ことができる。また、回収された生殖幹細胞から効率
的、かつ安定的に幹細胞株の樹立を可能にする技術が提
供される。本発明は、遺伝子導入動物を作出する上での
基本技術を提供するものであり、マウス以外の他の哺乳
動物にも応用することができる。これによって、家畜に
おける品種改良や、医学領域における遺伝子疾患、遺伝
子治療のためのモデル動物作出の上で大きく貢献でき
る。
【0048】
【0049】配列番号:1 配列の長さ:34 配列の型:核酸 鎖の数:1本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:合成DNA 配列の特徴 特徴を表す記号:エクソン 特徴を決定した方法:E 配列 AAGCGACCCATGAATGCATTTCATGGTGTGTGGT
【0050】配列番号:2 配列の長さ:38 配列の型:核酸 鎖の数:1本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:合成DNA 配列の特徴 特徴を表す記号:エクソン 特徴を決定した方法:E 配列 GAGGTCGATACTTATAGTTCGGGTATTTCTCTCTCG TG
【図1】 TT2細胞の回収率および純度のSSEA−
1抗体の濃度による変化を示したものである。
1抗体の濃度による変化を示したものである。
【図2】 TT2細胞数のSSEA−1抗体の濃度およ
び培養日数によるTT2細胞数の変化を示したものであ
る。
び培養日数によるTT2細胞数の変化を示したものであ
る。
【図3】 始原生殖細胞の回収率および純度の、胎子日
齢による変化を示したものである。
齢による変化を示したものである。
【図4】 始原生殖細胞の細胞数の培養日数による変化
を示したものである。
を示したものである。
【図5】 アルカリフォスファターゼ染色によるEG細
胞株の光学顕微鏡写真である(倍率:200倍)。
胞株の光学顕微鏡写真である(倍率:200倍)。
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI G01N 33/553 C12N 5/00 E // G01N 33/58 B (C12N 5/10 C12R 1:91) (72)発明者 ガブリエラ ドゥルチョバ チェッコ共和国、 リベホフ 277 21、 ポド コステリーチケム 251番地
Claims (8)
- 【請求項1】 哺乳動物(ヒトを除く)において胚また
は胎子由来の生殖幹細胞を分離、精製するにあたり、抗
体磁気ビーズおよび未分化な生殖幹細胞を識別する抗体
を利用することを特徴とする生殖幹細胞の分離、精製方
法。 - 【請求項2】 胚または胎子由来の組織をウシ胎子血清
を含むES培地で培養した後、抗体により標識し、さら
に該抗体を認識する抗体を結合させた磁気ビーズと反応
させたものを細胞分離カラムに添加し、抗体により認識
されなかった細胞と分離し、回収することを特徴とする
請求項1記載の方法。 - 【請求項3】 哺乳動物が家畜である請求項1記載の方
法。 - 【請求項4】 未分化な生殖幹細胞を識別する抗体がS
SEA−1である請求項1記載の方法。 - 【請求項5】 請求項1記載の方法により得られた生殖
幹細胞を、体外で培養することにより株化することを特
徴とする無限増殖、多分化能を有する幹細胞株の作出方
法。 - 【請求項6】 生殖幹細胞の培養を胎子血清と幹細胞用
の成長因子を含む培地で行う請求項5記載の方法。 - 【請求項7】 請求項5記載の方法により得られた幹細
胞株に遺伝子導入法により目的遺伝子を導入し、得られ
た遺伝子導入幹細胞株から遺伝子導入動物を作出する方
法。 - 【請求項8】 請求項7記載の方法により得られた遺伝
子導入幹細胞株からキメラ動物作出法または核移植法に
よって作出される動物。
Priority Applications (2)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP8356643A JPH10179165A (ja) | 1996-12-27 | 1996-12-27 | 抗体磁気ビーズを用いた生殖幹細胞の分離、精製と幹細胞株の樹立方法 |
| EP97122789A EP0855441A3 (en) | 1996-12-27 | 1997-12-23 | Isolation and purification of germinal stem cell using magnetic bead functioning as antibody and method for establishing stem cell line |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP8356643A JPH10179165A (ja) | 1996-12-27 | 1996-12-27 | 抗体磁気ビーズを用いた生殖幹細胞の分離、精製と幹細胞株の樹立方法 |
Publications (1)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPH10179165A true JPH10179165A (ja) | 1998-07-07 |
Family
ID=18450055
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP8356643A Pending JPH10179165A (ja) | 1996-12-27 | 1996-12-27 | 抗体磁気ビーズを用いた生殖幹細胞の分離、精製と幹細胞株の樹立方法 |
Country Status (2)
| Country | Link |
|---|---|
| EP (1) | EP0855441A3 (ja) |
| JP (1) | JPH10179165A (ja) |
Cited By (3)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JP2003508073A (ja) * | 1999-09-03 | 2003-03-04 | ミルテニィ バイオテック ゲーエムベーハー | 磁性細胞分離カラムにおける選択された細胞の改変方法 |
| JP2004504003A (ja) * | 1999-09-24 | 2004-02-12 | モルフォゲン ファーマスーティカルズ インコーポレイテッド | 多能性胚様幹細胞、その組成物、方法および使用 |
| WO2005056751A3 (ja) * | 2003-12-12 | 2005-10-06 | Hitachi Medical Corp | 幹細胞の濃縮装置及び濃縮方法 |
Families Citing this family (2)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| US7951576B2 (en) | 2004-11-05 | 2011-05-31 | The United States Of America, As Represented By The Secretary, Department Of Health And Human Services | Methods for preparing cells and viruses |
| WO2007114758A1 (en) * | 2006-03-30 | 2007-10-11 | Ge Healthcare Bio-Sciences Ab | Magnetic beads |
Family Cites Families (1)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| AU6136394A (en) * | 1992-10-06 | 1994-04-26 | Government Of The United States Of America, As Represented By The Secretary Of The Department Of Health And Human Services, The | Long-term proliferation of primordial germ cells |
-
1996
- 1996-12-27 JP JP8356643A patent/JPH10179165A/ja active Pending
-
1997
- 1997-12-23 EP EP97122789A patent/EP0855441A3/en not_active Withdrawn
Cited By (3)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JP2003508073A (ja) * | 1999-09-03 | 2003-03-04 | ミルテニィ バイオテック ゲーエムベーハー | 磁性細胞分離カラムにおける選択された細胞の改変方法 |
| JP2004504003A (ja) * | 1999-09-24 | 2004-02-12 | モルフォゲン ファーマスーティカルズ インコーポレイテッド | 多能性胚様幹細胞、その組成物、方法および使用 |
| WO2005056751A3 (ja) * | 2003-12-12 | 2005-10-06 | Hitachi Medical Corp | 幹細胞の濃縮装置及び濃縮方法 |
Also Published As
| Publication number | Publication date |
|---|---|
| EP0855441A2 (en) | 1998-07-29 |
| EP0855441A3 (en) | 2002-04-17 |
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