JPH10179183A - カルボン酸の製造方法 - Google Patents

カルボン酸の製造方法

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JPH10179183A
JPH10179183A JP8341673A JP34167396A JPH10179183A JP H10179183 A JPH10179183 A JP H10179183A JP 8341673 A JP8341673 A JP 8341673A JP 34167396 A JP34167396 A JP 34167396A JP H10179183 A JPH10179183 A JP H10179183A
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JP
Japan
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carboxylic acid
producing
ammonia
salt
electrodialysis
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JP8341673A
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English (en)
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Kazuyuki Matsuoka
一之 松岡
Akikazu Matsuyama
彰収 松山
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Daicel Corp
Original Assignee
Daicel Chemical Industries Ltd
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    • CCHEMISTRY; METALLURGY
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 重硫酸アンモニウムなどの副生物を生成させ
ることなく、カルボン酸を得る。 【解決手段】 カルボン酸の製造方法は、(1)シアン
ヒドリン化合物などのニトリルを水和する能力を有する
微生物又はその処理物をニトリルに作用させて、(a)
少なくとも対応するアミドを生成させ、生成したアミド
を塩基の存在下で加水分解して対応するカルボン酸の塩
を生成させるか、又は(b)対応するカルボン酸の塩を
生成させるカルボン酸塩生成工程と、(2)前記カルボ
ン酸塩生成工程で生成したカルボン酸の塩を電気透析
し、対応するカルボン酸と塩基とを生成させる電気透析
工程とを含む。ニトリルを水和する能力を有する微生物
には、パントエア属、ゴルドナ属に属する微生物などが
含まれる。カルボン酸塩生成工程(1)で生成するアン
モニアはニトリルの製造工程において窒素源として利用
できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ニトリルから対応
するカルボン酸を製造する方法に関する。カルボン酸は
有機合成の分野において極めて重要な化合物であり、合
成中間体や製品として多量に製造されている。
【0002】
【従来の技術】ニトリルを加水分解してカルボン酸を製
造する場合、通常、加水分解触媒として硫酸が使用され
ている。しかし、この方法では、下記式(a)に示され
るように、ニトリル化合物と硫酸とが反応し、目的物で
あるカルボン酸と等モル量の重硫酸アンモニウムが副生
する。 RCN+H2 SO4 +H2 O→RCONH2 ・H2 SO4 RCONH2 ・H2 SO4 +H2 O →RCOOH+NH4 HSO4 (a) 副生した重硫酸アンモニウムは、工業排水として河川等
に廃棄されている。しかし、この排水は環境破壊を引き
起こし問題となる。また、有用なアンモニアや硫酸は回
収することなく廃棄されており、製造コストの増大、資
源の有効利用の観点からも問題となっている。
【0003】また、近年、副生する重硫酸アンモニウム
の処理方法や重硫酸アンモニウムの副生しないプロセス
の開発が精力的に行われている。例えば、下記式(b)
に示されるように、重硫酸アンモニウムを熱分解により
窒素とSO2 と水に分解し、生成したSO2 を酸化して
硫酸として回収し、ニトリル化合物の加水分解触媒とし
てリサイクルする方法が開発されている。 NH4 HSO4 +1/4 O2 →1/2 N2 +5/2 H2 O+SO2 SO2 +1/2 O2 +H2 O→H2 SO4 (b) しかし、この方法においても、重硫酸アンモニウムは熱
分解により窒素ガスが生成するので、アンモニアとして
回収できない。また、重硫酸アンモニウムを熱分解する
際に窒素酸化物が生成するので、環境を汚染する。さら
には、重硫酸アンモニウムの熱分解から硫酸を回収する
までに多くの煩雑な工程を必要とし、設備費が膨大とな
る。そのため、カルボン酸を効率よく安価に製造できな
い。
【0004】一方、ニトリルを微生物の作用により加水
分解して対応するカルボン酸に変換する方法が提案され
ている。例えば、特公昭58−15120号公報には、
バチルス(バチラス)属、バクテリジウム属、ミクロコ
ッカス属またはブレビバクテリウム属に属する微生物に
より、ラクトニトリル及びヒドロキシアセトニトリルか
ら対応するカルボン酸を生成させることが開示されてい
る。ジャーナル オブファーメンテンション テクノロ
ジー、第51巻、第393頁(1973年)[J. Ferme
nt.Technol. 51, 393(1973)]には、トルロプシス属酵
母により、α−ヒドロキシニトリルから光学活性なL−
α−ヒドロキシバレリアン酸およびL−α−ヒドロキシ
イソカプロン酸を生産させる方法が開示されている。特
開昭61−56086号公報には、コリネバクテリウム
属に属する微生物を用いて、グリコロニトリル、ラクト
ニトリルおよびアセトンシアンヒドリンから対応するα
−ヒドロキシ酸を生成させる方法が開示されている。特
開平2−84198号公報には、アルカリゲネス属、シ
ュードモナス属、ロドシュードモナス属、コリネバクテ
リウム属、アシネトバクター属、バチルス属、マイコバ
クテリウム属、ロドコッカス属またはキャンディダ属に
属する微生物により、α−ヒドロキシニトリルから対応
する光学活性なα−ヒドロキシ酸を生成させる方法が開
示されている。また、特開平4−40898号公報に
は、カセオバクター属、シュードモナス属、アルカリゲ
ネス属、コリネバクテリウム属、ブレビバクテリウム
属、ノカルジア属、ロドコッカス属またはアースロバク
ター属に属する微生物を用いて、α−ヒドロキシ−4−
メチルチオブチロニトリルをα−ヒドロキシ−4−メチ
ルチオ酪酸に変換する方法が開示されている。
【0005】しかし、これらの微生物を用いる方法で
は、生成したカルボン酸は通常、反応で副生するアンモ
ニアと塩を形成する。このカルボン酸の塩から遊離のカ
ルボン酸を得るため、例えば塩酸や硫酸などの酸により
遊離化すると、使用した酸に対応する塩化アンモニウム
や硫酸アンモニウムなどのアンモニウム塩が生成する。
そのため、前記硫酸を触媒とする方法と同様の問題が生
じる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】したがって、本発明の
目的は、重硫酸アンモニウムなどの副生物が生成しない
カルボン酸の製造方法を提供することにある。本発明の
他の目的は、有用なアンモニアや触媒を簡便に回収でき
るカルボン酸の製造方法を提供することにある。本発明
の他の目的は、アンモニアや触媒成分を有効に利用でき
るカルボン酸の製造方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記目的を
達成するため鋭意検討した結果、微生物を用いるニトリ
ルの水和反応と電気透析とを組合わせると、重硫酸アン
モニウムなどの副生物を生成させることなく、カルボン
酸を製造できることを見いだし、本発明を完成した。
【0008】すなわち、本発明のカルボン酸の製造方法
は、(1)ニトリルを水和する能力を有する微生物又は
その処理物をニトリルに作用させて、(a)少なくとも
対応するアミドを生成させ、生成したアミドを塩基の存
在下で加水分解して対応するカルボン酸の塩を生成させ
るか、又は(b)対応するカルボン酸の塩を生成させる
カルボン酸塩生成工程と、(2)前記カルボン酸塩生成
工程で生成したカルボン酸の塩を電気透析し、対応する
カルボン酸と塩基とを生成させる電気透析工程とを含む
カルボン酸の製造方法を提供する。前記ニトリルにはシ
アンヒドリン化合物などが含まれる。ニトリルを水和す
る能力を有する微生物には、例えば、パントエア(Pant
oea)属、ミクロコッカス(Micrococcus)属、バクテリヂ
ウム(Bacteridium)属、バチラス(Bacillus)属、ゴルド
ナ属(Gordona)などに属する微生物が含まれる。塩基と
しては、アルカリ金属水酸化物などを使用できる。電気
透析は、バイポーラ膜と、陽イオン交換膜及び陰イオン
交換膜から選択された少なくとも1つのイオン交換膜と
から構成される電気透析装置を用いて行ってもよい。
【0009】前記製造方法は、さらに、(3)ニトリル
に微生物又はその処理物を作用させて得られる反応混合
液を当該反応系にリサイクルする工程、(4)ニトリル
に微生物又はその処理物を作用させて得られるアミドを
含む反応混合物から有機溶媒によりアミドを抽出するア
ミド抽出工程、(5)ニトリルに微生物又はその処理物
を作用させて生成するアミド又はカルボン酸の塩を含む
混合液、又は前記アミドを加水分解して生成するカルボ
ン酸の塩を含む混合液を濃縮する濃縮工程、(6)カル
ボン酸塩生成工程(1)において副生するアンモニアを
回収するアンモニア回収工程、(7)回収したアンモニ
アをニトリルの製造工程において窒素源として利用する
工程、(8)電気透析工程(2)で生成したカルボン酸
と水とを含む混合物から有機溶媒によりカルボン酸を抽
出するカルボン酸抽出工程、(9)カルボン酸抽出工程
(8)で得られた有機層からカルボン酸と有機溶媒とを
分離するカルボン酸分離工程、(10)カルボン酸抽出工
程(9)で分離した有機溶媒をカルボン酸抽出工程
(8)又はアミド抽出工程(4)の抽出溶媒として循環
使用する工程、(11)電気透析工程(2)で生成した塩
基をカルボン酸塩生成工程(1)の塩基として再利用す
る工程、(12)カルボン酸塩生成工程(1)において生
成したカルボン酸のアンモニウム塩を塩基により塩交換
する工程等を含んでいてもよい。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、必要に応じて図面を参照し
つつ本発明を詳細に説明する。
【0011】[ニトリル]本発明において、ニトリルは
特に制限されず、広い範囲の化合物から選択できる。代
表的なニトリルは、式RCN又はRCOCNで表わすこ
とができる(式中、Rは脂肪族炭化水素基、脂環式炭化
水素基、芳香族炭化水素基又は複素環基を示し、これら
の基はさらに置換基を有していてもよい)。ニトリルに
は、ポリニトリル類も含まれる。すなわち、前記脂肪族
炭化水素基、脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基又は
複素環基は一価の基に限らず、二価以上の多価基であっ
てもよい。
【0012】前記脂肪族炭化水素基には、飽和炭化水素
基及び不飽和炭化水素基、例えば、メチル、エチル、プ
ロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、s−ブチ
ル、t−ブチル、ペンチル、ヘキシル、オクチル、デシ
ルなどの炭素数1〜12(好ましくは1〜6)程度のア
ルキル基;ビニル、アリル、1−プロペニル、イソプロ
ペニル、2−ブテニルなどの炭素数2〜12程度のアル
ケニル基;エチニル、2−プロピニルなどの炭素数2〜
12程度のアルキニル基;及び炭素数2〜12程度のア
ルキレン基などが含まれる。
【0013】脂環式炭化水素基には、例えば、シクロプ
ロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシ
ル、シクロオクチルなどの炭素数3〜10程度のシクロ
アルキル基やこれらに対応するシクロアルキレン基など
が含まれ、芳香族炭化水素基としては、例えば、フェニ
ル、ナフチルなどの炭素数6〜14程度のアリール基や
これらに対応するアリーレン基などが例示できる。
【0014】複素環基としては、例えば、窒素原子、酸
素原子及び硫黄原子から選択された少なくとも1つの原
子をヘテロ原子として含む複素環基が含まれる。複素環
基は、芳香族性複素環基、非芳香族性複素環基、縮合複
素環基のいずれであってもよい。複素環基としては、例
えば、フリル、チエニル、ピロリル、ピロリジニル、ピ
リジル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、ピ
ペリジノ、モルホリノ、モルホリニル、キノリル基など
が例示できる。
【0015】Rで示されるこれらの基は、さらに、ハロ
ゲン原子、ヒドロキシル基、アルキル基(メチル、エチ
ル、プロピル、イソプロピルなどのC1-5 アルキル基な
ど)、アリール基(フェニル、トリル、キシリル、クロ
ロフェニル、メトキシフェニル、ナフチルなどのC6-14
アリール基など)、エーテル基、アルコキシ基(例え
ば、メトキシ、エトキシなどのC1-5 アルコキシ基な
ど)、アリールオキシ基(例えば、フェノキシなどのC
6-14アリールオキシ基など)、メルカプト基、アルキル
チオ基(例えば、メチルチオ、エチルチオなどのC1-5
アルキルチオ基など)、アリールチオ基(例えば、フェ
ニルチオなどのC6-14アリールチオ基など)、カルボキ
シル基、エステル基(例えば、メトキシカルボニルなど
のC1-6 アルコキシカルボニル基;アセトキシなどのC
2-12アシルオキシ基など)、アシル基(例えば、アセチ
ル、ベンゾイルなどのC2-12アシル基)、アミノ基、モ
ノまたはジ置換アミノ基(例えば、メチルアミノ、ジメ
チルアミノなどのモノまたはジ−C1-5 アルキルアミノ
基)、ニトロ基などの置換基を有していてもよい。置換
基の個数は、例えば、1〜4程度である。
【0016】脂肪族ニトリルには、例えば、炭素数2〜
6の飽和又は不飽和ニトリル(アセトニトリル、プロピ
オニトリル、ブチロニトリル、イソブチロニトリル、バ
レロニトリル、イソバレロニトリルなどの飽和モノニト
リル類;マロニトリル、アジポニトリルなどの飽和ジニ
トリル類;アクリロニトリル、メタクリロニトリル、シ
アン化アリル、クロトンニトリルなどの不飽和ニトリル
類)などが含まれる。脂肪族ニトリルには、ピルボニト
リルなどの、RCOCN(Rは前記に同じ)で表わされ
る化合物も含まれる。
【0017】脂環式ニトリルには、例えば、炭素数4〜
10のニトリル(シクロペンタンカルボニトリル、シク
ロヘキサンカルボニトリルなど)などが含まれる。
【0018】芳香族ニトリルには、例えば、ベンゾニト
リル、o−、m−及びp−クロロベンゾニトリル、o
−、m−及びp−フルオロベンゾニトリル、o−、m−
及びp−ニトロベンゾニトリル、o−、m−及びp−ト
ルベンゾニトリル、2,4−ジクロロベンゾニトリル、
アニソニトリル、α−ナフトニトリル、β−ナフトニト
リルなどの芳香族モノニトリル;フタロニトリル、イソ
フタロニトリル、テレフタロニトリルなどの芳香族ジニ
トリルなどが含まれる。芳香族ニトリルには、例えば、
フェニルアセトニトリル、p−ヒドロキシフェニルアセ
トニトリル、p−メトキシフェニルアセトニトリルなど
のアラルキル基を有するニトリルも含まれる。
【0019】複素環式ニトリルには、窒素原子、酸素原
子及び硫黄原子から選択された少なくとも1つの原子を
ヘテロ原子として含む5又は6員環を含む複素環基を有
するニトリル化合物、例えば、2−チオフェンカルボニ
トリル、2−フロニトリルなどのヘテロ原子として硫黄
原子又は酸素原子を含むニトリル;2−シアノピリジ
ン、3−シアノピリジン、4−シアノピリジン、シアノ
ピラジン、シアノピペリジンなどのヘテロ原子として窒
素原子を含むニトリル;5−シアノインドールなどの縮
合複素環式ニトリルなどが含まれる。また、複素環式ニ
トリルには、RCOCN(Rは複素環基を示す)で表わ
される化合物、例えば、ニコチノニトリル、イソニコチ
ノニトリルなども含まれる。
【0020】前記Rで示される脂肪族炭化水素基、脂環
式炭化水素基、芳香族炭化水素基又は複素環基が置換基
を有するニトリルには、例えば、アミノニトリル化合
物、シアンヒドリン化合物などが含まれる。アミノニト
リル化合物としては、例えば、アミノアセトニトリル、
α−アミノプロピオニトリル、α−アミノブチロニトリ
ルなどのα−アミノニトリル;3−アミノプロピオニト
リルなどのβ−アミノニトリルなどが挙げられる。
【0021】シアンヒドリン化合物には、α−シアンヒ
ドリン化合物、β−シアンヒドリン化合物、γ−シアン
ヒドリン化合物などが含まれる。シアンヒドリン化合物
の炭素数は、例えば2〜18、好ましくは3〜12、さ
らに好ましくは3〜8程度である。
【0022】α−シアンヒドリン化合物としては、例え
ば、下記式(Ia)
【0023】
【化2】 [式中、R1 、R2 は、同一又は異なって、水素原子、
又は置換基を有していてもよい炭化水素基を示し、R1
とR2 は隣接する炭素原子と共に環を形成していてもよ
い。但し、R1 とR2 は同時に水素原子ではない]で表
わされる化合物が例示できる。
【0024】前記R1 、R2 で示される炭化水素基及び
この炭化水素基が有していてもよい置換基としては、前
記Rについての説明箇所で述べた脂肪族炭化水素基、脂
環式炭化水素基、芳香族炭化水素基及びこれらの基が有
していてもよい置換基などが挙げられる。
【0025】好ましいR1 、R2 には、例えば、前記R
の説明箇所で述べた炭素数1〜12(好ましくは1〜
6)程度のアルキル基、炭素数2〜12程度のアルケニ
ル基、炭素数2〜12程度のアルキニル基、炭素数3〜
10程度のシクロアルキル基、炭素数6〜14程度のア
リール基、及びフェニルメチル、2−フェニルエチル、
1−フェニルエチル、3−フェニルプロピル、4−フェ
ニルブチル基などのC7- 10アラルキル基などが含まれ
る。
【0026】R1 とR2 が隣接する炭素原子と共に環を
形成する場合の前記環としては、シクロプロピル、シク
ロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘ
プチル、シクロオクチル環などの炭素数3〜8程度のシ
クロアルカン環などが挙げられる。
【0027】α−シアンヒドリン化合物の代表的な例と
して、例えば、ヒドロキシアセトニトリル、ラクトニト
リル、アセトンシアンヒドリン、2−ヒドロキシブタン
ニトリル、2−ヒドロキシ−4−メチルチオブタンニト
リル、2−ヒドロキシ−2−メチルブタンニトリル、2
−ヒドロキシ−3−メチルブタンニトリル、2−ヒドロ
キシ−3−ブテンニトリル、2−ヒドロキシペンタンニ
トリル、2−ヒドロキシヘキサンニトリル、2−ヒドロ
キシオクタンニトリルなどの脂肪族α−シアンヒドリ
ン;2−ヒドロキシ−シクロヘキサンアセトニトリル、
シクロペンタノンシアンヒドリン、シクロヘキサノンシ
アンヒドリンなどの脂環式α−シアンヒドリン;マンデ
ロニトリル、2−ヒドロキシ−3−フェニルブタンニト
リルなどの芳香族α−シアンヒドリンなどが挙げられ
る。
【0028】前記β−シアンヒドリン化合物としては、
例えば、3−ヒドロキシプロパンニトリル、3−ヒドロ
キシブタンニトリル、3−ヒドロキシヘキサンニトリ
ル、2−ヒドロキシシクロヘキサンカルボニトリル、3
−ヒドロキシ−3−フェニルプロパンニトリルなどが例
示できる。
【0029】γ−シアンヒドリン化合物としては、例え
ば、4−ヒドロキシブタンニトリル、4−ヒドロキシヘ
キサンニトリル、3−ヒドロキシヘキサンカルボニトリ
ル、4−ヒドロキシ−4−フェニルブタンニトリルなど
が挙げられる。
【0030】本発明における電気透析工程は通常水の存
在下で行なわれるため、前記ニトリルとして、対応する
カルボン酸の塩が水溶性となる化合物が好ましい。この
ような点から、ニトリルの全炭素数は、例えば2〜1
8、好ましくは2〜12、さらに好ましくは2〜8程度
である。
【0031】好ましいニトリルには、シアンヒドリン化
合物、なかでも、ヒドロキシカルボン酸を得る上で有用
な、例えば前記式(Ia)で表わされる化合物などのα
−シアンヒドリン化合物等が含まれる。さらに好ましい
ニトリルには、ラクトニトリル、アセトンシアンヒドリ
ン、2−ヒドロキシ−4−メチルチオブタンニトリルな
どの炭素数3〜8程度の脂肪族α−シアンヒドリンなど
が含まれる。
【0032】ニトリルは慣用の方法で得ることができ
る。例えば、脂肪族ニトリルは、ハロゲン化アルキル又
は硫酸ジアルキルにシアン化カリウムなどのシアン化ア
ルカリ等を反応させることにより製造できる。芳香族ニ
トリルは、例えば、アミンをジアゾ化した後、シアン化
銅(I)を反応させる方法などにより製造することがで
きる。
【0033】ニトリル化合物のうち、特に、α−シアン
ヒドリン化合物は、アルデヒド又はケトンにシアン化水
素を作用させる方法、アルデヒド又はケトンと亜硫酸水
素ナトリウムとの付加物に、シアン化カリウムなどのシ
アン化アルカリ等を作用させる方法などにより製造でき
る。また、β−シアンヒドリン化合物は、エポキシドと
シアン化水素とを反応させることによって製造できる。
【0034】[微生物又はその処理物]微生物としては
ニトリルを水和させる能力を有するものであればいずれ
も使用できる。前記微生物として、例えば、(1)パン
トエア(Pantoea)属、(2)ミクロコッカス(Micrococ
cus)属、(3)バクテリヂウム(Bacteridium)属、
(4)バチラス(Bacillus)属、(5)アクチノマヅラ
(Actinomadura)属、(6)キタサトスポラ(Kitasato
spora)属、(7)ピリメリア(Pilimelia)属、(8)
アクロモバクター(Achromobacter)属、(9)ベイジェ
リンキア(Beijerinckia)属、(10)セルロモナス(Ce
llulomonas)属、(11)クレブシェラ(Klebsiella)属、
(12)アクチノポリスポラ(Actinopolispora)属、(1
3)アクチノシンネマ(Actinosynnema)属、(14)アクチ
ノプラネス(Actinopulanes)属、(15)アミコラタ(Amy
colata)属、(16)サッカロポリスポラ(Saccharopolys
pora)属、(17)ストレプトマイセス(Streptomyces)
属、(18)ノカルヂオイデス(Nocardioides)属、(1
9)プロビデンシア(Providencia)属、(20)ミクロバ
クテリウム(Microbacterium)属、(21)ロドバクター(R
hodobacter)属、(22)ロドスピリラム(Rhodospirillu
m)属、(23)カセオバクター(Caseobacter)属、(24)
シュードモナス属(Pseudomonas)、(25)アルカリゲネ
ス(Alcaligenes)属、(26)コリネバクテリウム(Coryne
bacterium)属、(27)ブレビバクテリウム(Brevibacter
ium)属、(28)ノカルジア(Nocardia)属、(29)ロドコ
ッカス(Rhodococcus)属、(30)アースロバクター(Arth
robacter)属、(31)トルロプシス属、(32)ロドシュ
ードモナス(Rhodopseudomonas)属、(33)アシネトバク
ター属(Acinetobacter)、(34)マイコバクテリウム(My
cobacterium)属、(35)キャンディダ(Candida)属、(3
6)アグロバクテリウム(Agrobacterium)属、(37)アス
ペルギルス(Aspergillus)属、(38)ペニシリウム(Peni
cillium)属、(39)コクリオボラス(Cochlioboius)属、
(40)フザリウム(Fusarium)属、(41)エンテロバクタ
ー(Enterobacter)属、(42)キサントバクター(Xanthob
acter)属、(43)エルウィニア(Erwinia)属、(44)シ
トロバクター(Citrobacter)属、(45)エアロモナス(Ae
romonas)属又は(46)ゴルドナ(Gordona)属に属する微
生物などが挙げられる。
【0035】これらの微生物は、ニトリルをアミドに変
換する酵素であるニトリルヒドラーゼ、アミドをカルボ
ン酸に変換する酵素であるアミダーゼ、およびニトリル
をカルボン酸に変換する酵素であるニトリラーゼのうち
少なくとも1つの酵素を有している。これらの微生物
は、例えばニトリルヒドラーゼとアミダーゼのように上
記酵素のうち複数の酵素を有している場合が多い。
【0036】微生物の有する酵素の種類により、アミド
化合物のみが生成する場合、カルボン酸のみが生成する
場合、及びアミド化合物とカルボン酸が生成する場合が
ある。なお、カルボン酸生成能を有する微生物又はその
処理物をニトリルに作用させる場合、カルボン酸は通常
副生するアンモニアと塩を形成する。
【0037】ニトリルから対応するカルボン酸を生成さ
せる能力を有する微生物として、例えば以下の微生物が
例示される。
【0038】(1)パントエア属:パントエア アグロ
メランス(Pantoea Agglommerans)NH−3(FERM
P−11349)など (2)ミクロコッカス属:ミクロコッカス エスピー(M
icrococcus sp.)A111(FERM P−2720)
など (3)バクテリヂウム属:バクテリヂウム エスピー(B
acterdium sp.)R341(FERM P−2719)、
バクテリヂウム エスピー(Bacterdium sp.)R340
(FERM P−2718)など (4)バチラス属:バチラス エスピー(Bacillus s
p.)R332(FERMP−2717)、バチラス エス
ピー(Bacillus sp.)R340、バチラス サブティリ
ス(Bacillus subtilis)CN5(FERM BP−23
54)など (5)アクチノマヅラ属:アクチノマヅラ クレメーラ
サブスビシーズ クレメーラ(Actinomadura cremea
subsp. cremea)IFO 14182など (6)キタサトスポラ属:キタサトスポラ セタエ(Ki
tasatospora setae)IFO 14216など (7)ピリメリア属:ピリメリア テレバサ(Pilimeli
a terevasa)IFO14556など (8)アクロモバクター属:アクロモバクター セロシ
ス(Achromobacter xerosis) IFO 12668など (9)ベイジェリンキア属:ベイジェリンキア インィ
デカ サブスビシーズインィデカ(Beijerinckia indic
a subsp. indica)IFO 3744など (10)セルロモナス属:セルロモナス フラビジェナ
(Cellulomonas flavigena)IFO 3754など。
【0039】(11)クレブシェラ属:クレブシェラ フ
ェナウモニエ サブスビシーズ フェナウモニエ (Kle
bsiella pneumoniae subsp. pneumoniae)NH−36
(FERM P−11739)など (12)アクチノポリスポラ属:アクチノポリスポラ ハ
ロフィラ(Actinopolispora halophila)IFO 141
00など (13)アクチノシンネマ属:アクチノシンネマ ミラム
(Actinosynnema mirum)IFO 14064など (14)アクチノプラネス属:アクチノプラネス ロバタ
ス(Actinopulanes lobatus)IFO 12513 (15)アミコラタ属:アミタコラ アウトトロフィカ
(Amycolata autotrophica)IFO 12743など (16)サッカロポリスポラ属:サッカロポリプポラ レ
クチヴイルグラ(Saccharopolyspora rectivigula)IF
O 12134など (17)ストレプトマイセス属:ストレプトマイセス エ
スピー(StreptpmycesSP.)IFO 13809など (18)ノカルヂオイデス属:ノカルヂオイデス フラバ
ス(Nocardioides flavus)IFO 14396など (19)プロビデンシア属:プロビデンシア スタアルテ
ィ(Providencia stuartii)IFO 12930など (20)ミクロバクテリウム属:ミクロバクテリウム ラ
クチカム(Microbacterium lacticum)IFO 1413
5など。
【0040】(21)ロドバクター属:ロドバクター セ
フェロイデス(Rhodobacter spheroides)IFO 122
03など (22)ロドスピリラム属:ロドスピリリウム ルブラム
(Rhodospirillum rubrum)IFO 3986など (23)カセオバクター属:カセオバクター エスピー(C
aseobacter sp.)BC23(FERM P−1126
1)など (24)シュードモナス属:シュードモナス エスピー(P
seudomonas sp.)BC13−2(FERM P−112
66)、シュードモナス エスピー(Pseudomonas sp.)
B21C9(FERM BP−3737)、シュードモ
ナス フルオレッセンス(Pseudomonas fluorescens)N
RRL B−981(IFO 3925)、シュードモ
ナス フルオレッセンス(Pseudomonas fluorescens)I
FO 3081、シュードモナス ベシキュラス(Pseud
omonas vesicularis)ATCC11426など (25)アルカリゲネス属:アルカリゲネス エスピー(A
lcaligenes sp.)BC35−2(FERM P−112
65)、アルカリゲネス フェカリス(Alcaligenes fae
calis)ATCC 8750など。
【0041】(26)コリネバクテリウム属:コリネバク
テリウム ニトリロフィラス(Corynebacterium nitrilo
philus)ATCC 21419、コリネバクテリウム
エスピー(Corynebacterium sp.)KO−2−4(FER
M BP−2353)、コリネバクテリウム エスピー
(Corynebacterium sp.)B−96(FERM P−77
33)、コリネバクテリウム エスピー(Corynebacteri
um sp.)C−99(FERM P−7734)など (27)ブレビバクテリウム属:ブレビバクテリウム ア
セチリカム(Brevibacterium acetylicum)IAM 17
90、ブレビバクテリウム インペリアル(Brevibacter
ium imperiale)B−222(FERM P−272
1)、ブレビバクテリウム エスピー(Brevibacterium
sp.)R312(FERM P−2722)、ブレビバク
テリウム エスピー(Brevibacterium sp.)C211(F
ERM P−2723)など (28)ノカルジア属:ノカルジア エスピー(Nocardia
sp.)N−775(FERM P−4447)など (29)ロドコッカス属:ロドコッカス エスピー(Rhodo
coccus sp.)SK92(FERM P−11305)、
ロドコッカス エスピー(Rhodococcus sp.)AK32
(FERM BP−1046)など (30)アースロバクター属:アースロバクター エスピ
ー(Arthrobacter sp.)HR4(FERM P−1130
2)など (31)トルロプシス属 (32)ロドシュードモナス属:ロドシュードモナス ス
フェロイデス(Rhodopseudomonas sphaeroies)ATCC
11167など (33)アシネトバクター属:アシネトバクター エスピ
ー(Acinetobacter sp.)AK 226(FERM PB
P−2451)など (34)マイコバクテリウム属:マイコバクテリウム エ
スピー(Mycobacteriumsp.)AC777(FERM BP
−2352)など (35)キャンディダ属:キャンディダ トロピカリス(C
andida tropicalis)ATCC 20311など (46)ゴルドナ属:ゴルドナ ルブロペルチンクタス(G
ordona rubropertinctus)JCM 3204など。
【0042】また、ニトリルから対応するアミドを生成
させる能力を有する微生物として、例えば以下の微生物
が例示される。
【0043】(2)ミクロコッカス属:ミクロコッカス
エスピー(Micrococcus sp.)A111(FERM P
−2720)など (3)バクテリヂウム属:バクテリヂウム エスピー(B
acterdium sp.)R341(FERM P−2719)、
バクテリヂウム エスピー(Bacterdium sp.)R340
(FERM P−2718)など (4)バチラス属:バチラス エスピー(Bacillus s
p.)R332(FERMP−2717)、バチラス スミ
シー(Bacillus smithii)SC−J05−1(FERM
P−14037,FERM BP−4935)など (20)ミクロバクテリウム属:ミクロバクテリウム フ
ラバム(Microbacterium flovum)IAM 1642など (24)シュードモナス属:シュードモナス エスピー(P
seudomonas sp.)SK87(FERM P−1131
1)、シュードモナス クロロラフィス(Pseudomonas c
hlororaphis)B23(FERM BP−187)、シュ
ードモナス エスピー(Pseudomonas sp.)PS1(FE
RM BP−188)、シュードモナスエスピー(Pseud
omonas sp.)MY−1(FERM P−9174)など (25)アルカリゲネス属:アルカリゲネス エスピー(A
lcaligenes sp.)BC16−2(FERM P−112
76)など (26)コリネバクテリウム属:コリネバクテリウム ニ
トリロフィラス(Corynebacterium nitrilophilus)AT
CC 21419、コリネバクテリウム エスピー(Cor
ynebacterium sp.)N−771(FERM P−444
5)、コリネバクテリウム エスピー(Corynebacterium
sp.)N−774(FERM P−4446)など (27)ブレビバクテリウム属:ブレビバクテリウム イ
ンペリアル(Brevibacterium imperiale)B−222(F
ERM P−2721)、ブレビバクテリウムエスピー
(Brevibacterium sp.)R312(FERM P−272
2)、ブレビバクテリウム エスピー(Brevibacterium
sp.)C211(FERM P−2723)など (28)ノカルジア属:ノカルジア エスピー(Nocardia
sp.)N−775(FERM P−4447)など。
【0044】(29)ロドコッカス属:ロドコッカス ロ
ドクロウス(Rhodococcus rhodochrous)ATCC 33
278、ロドコッカス ロドクロウス(Rhodococcus rho
dochrous)J−1(FERM BP−1478)、ロド
コッカス ロドクロウス(Rhodococcus rhodochrous)I
FM 153、ロドコッカス エリスロポリス(Rhodoco
ccus erythropolis)IFO 12320、ロドコッカス
エリスロポリス(Rhodococcus erythropolis)IFM
155、ロドコッカス エリスロポリス(Rhodococcus e
rythropolis)AK 3132(FERM BP−104
0)、ロドコッカス エスピー(Rhodococcus sp.)s−
6(FERM BP−687、ロドコッカス エスピー
(Rhodococcus sp.)AK 33(FERM BP−10
47)、ロドコッカス ルブロペルチンクタス(Rhodoco
ccus rubropertinctus)JCM 3204など (30)アースロバクター属:アースロバクター エスピ
ー(Arthrobacter sp.)HR1(FERM P−1130
1)、アースロバクター グロビホルミス(Arthrobacte
r globisformis)IFO 12138、アースロバクタ
ー オウレセンス(Arthrobacter aurescens)IAM 1
2340など。
【0045】(36)アグロバクテリウム属:アグロバク
テリウム ラジオバクター(Agrobacterium radiobacte
r)SC−C15−1(FERM BP−3843)など (37)アスペルギルス属:アスペルギルス ニガー(Asp
ergillus nigar)JCM1925,2261など (38)ペニシリウム属:ペニシリウム クリソゲナム(P
enicillium crysogenum)IFO 5473など (39)コクリオボラス属:コクリオボラス ミヤビアヌ
ス(Cochliobolus miyabeanus)OUT 2074など (40)フザリウム属:フザリウム エスピー(Fusarium
sp.)MY−3(FERM P−9188)など (41)エンテロバクター属:エンテロバクター エスピ
ー(Enterobacter sp.)MC12707(FERM P−
12801)など (42)キサントバクター属:キサントバクター フラブ
ス(Xanthobacter flavus)JCM 1204など (43)エルウィニア属:エルウィニア ニグリフルエン
ス(Erwinia nigrifluens)MAFF03−01435な
ど (44)シトロバクター属:シトロバクター フロンディ
(Citrobacter freundii)MC12615(FERM P
−12390)など (45)エアロモナス属:エアロモナス エスピー(Aerom
onas sp.)MC12615(FERM P−1239
0)など (46)ゴルドナ属:ゴルドナ ルブロペルチンクタス(G
ordona rubropertinctus)JCM 3204など。
【0046】なお、IFO番号の付された微生物は
(財)発酵研究所(IFO)から、ATCC番号の付さ
れた微生物は、American Type Culture Collection
(ATCC)から、IAM番号の付された微生物は東京
大学応用微生物研究所(IAM)から、IFM番号の付
された微生物は千葉大学生物活性研究所(IFM)か
ら、JCM番号の付された微生物は理化学研究所微生物
系保存施設からそれぞれ入手できる。また、FERM番
号の付された微生物は工業技術院生命工学工業技術研究
所に寄託されている。
【0047】これらの微生物は少なくとも1種用いられ
る。本発明では、上記微生物(菌株)より誘導された変
異株(突然変異体)、細胞融合株、及び遺伝子組み替え
体等も利用することができる。
【0048】微生物は、通常、培地で培養してニトリル
との反応に供される。微生物を培養するための培地は、
微生物が増殖し得る培地であれば特に制限はない。培地
は、通常、炭素源、窒素源、その他の養分などを含む液
体培地が使用される。培地の炭素源としては、例えば、
グルコース、シュクロース、デンプンなどの糖類;ソル
ビトール、メタノール、エタノール、グリセロールなど
のアルコール類;フマル酸、クエン酸、酢酸などの有機
酸類及びその塩類;パラフィンなどの炭化水素類;これ
らの混合物などが使用できる。窒素源としては、例え
ば、硫酸アンモニウム、硝酸アンモニウムなどの無機酸
のアンモニウム塩;フマル酸アンモニウムなどの有機酸
のアンモニウム塩;肉エキス、酵母エキス、尿素などの
有機又は無機含窒素化合物;これらの混合物などが挙げ
られる。培地には、塩化マグネシウム、塩化第二鉄など
の無機塩類;微量金属塩;ビタミン類などの通常の培養
に用いられる栄養源を適宜添加しても良い。また、必要
に応じて、微生物の増殖を促進する因子、培地のpH保
持に有効な緩衝物質、反応生成物であるアミド又はカル
ボン酸の生成能力を高める因子(誘導源)などを添加し
てもよい。前記誘導源としては、例えば、ニトリル及び
アミドから選択された少なくとも1種の化合物などを使
用できる。好ましい誘導源には、イソバレロニトリル、
イソブチロニトリルなどの炭素数2〜8(特に、炭素数
4〜6)程度の脂肪族ニトリル;ベンゾニトリルなどの
炭素数7〜11の芳香族ニトリル;アセトアミド、プロ
ピオアミドなどの炭素数2〜8(特に、炭素数2〜6)
程度の脂肪族アミド;ベンズアミドなどの炭素数7〜1
1の芳香族アミドなどが含まれる。さらに好ましい誘導
源にはイソバレロニトリルなどが含まれる。
【0049】微生物の培養は、生育に適した条件下、例
えば、培地のpH2〜12、好ましくはpH4〜10、
温度5〜50℃、好ましくは20〜50℃で行うことが
できる。微生物の培養は、嫌気性又は好気性条件下の何
れで行うこともできるが、好気性条件下で行うのがより
好ましい。培養時間は、例えば、1〜240時間程度、
好ましくは5〜120時間程度、さらに好ましくは12
〜72時間程度である。
【0050】前記微生物の処理物には、菌体に種々の処
理を施したもの、例えば、菌体の破砕物、凍結乾燥物、
菌体からの抽出物及び酵素(粗酵素又は精製酵素)など
が含まれる。前記抽出物は、超音波法、凍結融解法、リ
ゾチーム法などの慣用の方法を利用することにより得る
ことができる。また、酵素も慣用の方法により得ること
ができる。例えば、培養液から遠心分離などにより分離
した菌体を、水などで洗浄した後、pH値が酵素の安定
領域にある緩衝液に懸濁し、低温下にフレンチプレスま
たは超音波等で処理して菌体を破砕する。そして、遠心
分離などにより菌体の破片を分離除去し、得られた菌体
抽出液を常法により硫安分割し、透析して粗酵素液を得
る。この粗酵素液を、例えばセファデックスG−200
などを用いたカラムクロマトグラフィーに付す方法等に
より精製して精製酵素を得ることができる。
【0051】酵素としては、(a)ニトリルヒドラター
ゼ、(b)ニトリルヒドラターゼ及びアミダーゼ、また
は(c)ニトリラーゼを用いる場合が多い。ニトリルヒ
ドラターゼは、例えば特公昭62−31914号公報に
記載のノカルジア エスピーN−775などから精製で
きる。また、ニトリラーゼは、例えば特開平3−251
192号公報に記載のロドコッカス ロドクロウス J
1から得ることができる。
【0052】菌体または菌体処理物は、ポリアクリルア
ミドゲル法などの慣用の方法により固定化し、例えば、
固定化菌体、固定化酵素として用いてもよい。
【0053】下記式は、本発明の製造方法において、代
表的なニトリル化合物である前記RCN(Rは前記に同
じ)で表わされる化合物を用いると共に、塩基としてア
ルカリ金属水酸化物を使用した場合の反応工程式の一例
である。なお、式中Mはアルカリ金属を示す。
【0054】
【化3】 また、図1は本発明の製造方法の一例を示す製造工程
図、図2は本発明の製造方法の他の一例を示す製造工程
図である。
【0055】本発明の方法では、ニトリルに作用させる
微生物又はその処理物の種類に応じて、大きく分けて4
種の経路、すなわち、経路(i)、経路(ii)、経路
(iii)又は経路(iv)によりカルボン酸を製造でき
る。以下、各経路について、上記反応工程式、図1[経
路(i),(ii)]及び図2[経路(iii),(iv)]
を参照しつつ説明する。なお、図1及び図2において、
(i)〜(iv)の表示のないラインは、経路(i)と
(ii)、又は経路(iii)と(iv)に共通のラインを示
す。
【0056】[経路(i)]経路(i)はニトリルに微
生物又はその処理物を作用させた際に主としてアミド化
合物が生成する場合に好適である。
【0057】水和工程 水和工程では、例えば式RCN (I)(Rは前記に同
じ)で表わされるニトリルに、前記微生物又はその処理
物を作用させて対応するアミド化合物(II)を生成させ
る。微生物を用いるので、硫酸を触媒とする場合とは異
なり、ニトリルとの反応生成物を副生しない。そのた
め、多量の副生物を廃棄処分する必要がなく、また触媒
を再生するための煩雑な工程を要しない。
【0058】図1の例では、水和工程(1A)において、
ニトリル供給ライン1からニトリルを、水供給ライン1
0から水を、それぞれ反応器に仕込み、微生物又はその
処理物の存在下で水和反応を行う。なお、反応器には、
後述するアミド抽出工程(4)の水層を、水循環ライン
13を通じて供給してもよい。
【0059】水和工程(1A)で用いる水の量は、例え
ば、ニトリル1モルに対して、0.5モル以上(例え
ば、0.5〜300モル程度)、好ましくは1モル以上
(例えば、1〜150モル程度)である。ニトリルの溶
解性を高め、反応を円滑に進行させるため、系内に有機
溶媒、例えば、酢酸エチルなどのエステル;n−ヘキサ
ンなどの炭化水素;アセトンなどのケトン;メタノー
ル、エタノールなどのアルコール;ジメトキシエタン、
テトラヒドロフラン、ジオキサンなどのエーテル等を加
えてもよい。また、緩衝液を用いることもできる。
【0060】微生物(菌体)又はその処理物の濃度は、
例えば0.01〜70重量%、好ましくは0.1〜30
%程度である。基質であるニトリルの濃度は、例えば
0.01〜80重量%程度、好ましくは0.05〜50
重量%程度、さらに好ましくは0.1〜20重量%程度
である。反応系のpHは、例えば3〜12、好ましくは
6〜10程度である。反応時間は例えば5分〜100時
間程度である。
【0061】反応形式としては、固定床式、流動床式等
の何れであってもよく、また回分式、流通式の何れの方
式で行うこともできる。生成物濃度を高めるため、例え
ば反応混合液循環ライン11を用いて、得られた反応混
合液を反応系にリサイクルすることもできる。反応混合
液は、通常、遠心分離、濾過などの慣用の分離手段によ
り微生物又はその処理物を分離除去して、次工程に供さ
れる。
【0062】アミド抽出工程 水和工程で生成したアミド(II)を含む反応混合物は、
必要に応じてアミド抽出工程に供し、前記アミドを有機
溶媒により抽出してもよい。
【0063】図1の例では、アミド抽出工程(4)にお
いて、水和工程(1A)で生成したアミド(II)を含む反
応混合液を、水和反応混合液供給ライン2より抽出装置
に供給し、有機溶媒供給ライン14を通じて供給される
有機溶媒により抽出する。有機溶媒として、後述の水層
分離工程(13)で得られる有機層に含まれる有機溶媒を
使用できる。得られたアミドを含む有機層は、アミド混
合液供給ライン3より加水分解工程(1B)に供給し、水
層は水循環ライン13を通じて水和工程(1A)に循環す
る。
【0064】前記有機溶媒としては、慣用の疎水性有機
溶媒、例えば、アルコール、ケトン、アルデヒド、エス
テル、エーテル、炭化水素、ハロゲン化炭化水素などを
用いることができる。前記アルコールには、炭素数4以
上の脂肪族アルコール、炭素数4以上の脂環式アルコー
ル、炭素数7以上の芳香族アルコールなどが含まれる。
炭素数4以上の脂肪族アルコールとしては、例えば、1
−ブタノール、2−ブタノール、イソブチルアルコール
のC4 アルコール;1−ペンタノール、イソアミルアル
コール、tert−アミルアルコール、2−ペンタノー
ルなどのC5 アルコール;1−ヘキサノール、2−メチ
ル−1−ペンタノール、3−メチル−1−ペンタノー
ル、2,2−ジメチル−1−ブタノール、2−エチル−
1−ブタノール、4−エチル−1−ペンタノール、2−
ヘキサノール、3−ヘキサノール、3−メチル−2−ペ
ンタノール、2,3−ジメチル−2−ブタノール、2−
メチル−3−ペンタノール、3−メチル−3−ペンタノ
ール、4−メチル−2−ペンタノール、2−メチル−2
−ペンタノールなどのC6 アルコール;n−ヘプチルア
ルール、2−メチル−1−ヘキシルアルコール、3−メ
チル−1−ヘキシルアルコール、4−メチル−1−ヘキ
シルアルコール、5−メチル−1−ヘキシルアルコー
ル、2−エチル−1−ペンタノール、3−エチル−1−
ペンタノール、2,2−ジメチル−1−ペンタノール、
3,3−ジメチル−1−ペンタノール、4,4−ジメチ
ル−1−ペンタノール、2,3−ジメチル−1−ペンタ
ノール、2,4−ジメチル−1−ペンタノール、3,4
−ジメチル−1−ペンタノールなどのC7 アルコール;
1−オクタノール、2−メチル−1−ヘプタノール、3
−メチル−1−ヘプタノール、4−メチル−1−ヘプタ
ノール、5−メチル−1−ヘプタノール、2−オクタノ
ール、3−オクタノール、4−オクタノール、2−メチ
ル−2−ヘプタノール、3−メチル−2−ヘプタノー
ル、4−メチル−2−ヘプタノール、5−メチル−2−
ヘプタノール、6−メチル−2−ヘプタノール、2−メ
チル−3−ヘプタノール、3−メチル−3−ヘプタノー
ルなどのC8 アルコール;1−ノナノールなどのC9
ルコールなどの炭素数4〜12程度(好ましくは4〜9
程度)の脂肪族アルコール等が挙げられる。
【0065】炭素数4以上の脂環式アルコールとして
は、シクロペンタノール、シクロヘキサノールなどの炭
素数4〜12程度の脂環式アルコールなどが挙げられ
る。また、炭素数7以上の芳香族アルコールとしては、
ベンジルアルコールなどの炭素数7〜12程度の芳香族
アルコールなどが挙げられる。
【0066】前記ケトンとしては、メチルエチルケト
ン、ジエチルケトン、メチルプロピルケトン、メチルイ
ソプロピルケトン、メチルブチルケトン、メチル−1−
メチルプロピルケトン、メチル−2−メチルプロピルケ
トン、エチルプロピルケトンなどの炭素数4以上(例え
ば4〜12、好ましくは4〜9程度)のケトンなどが挙
げられる。
【0067】前記アルデヒドには、例えば、ブチルアル
デヒド、バレルアルデヒド、ベンズアルデヒドなどの炭
素数4以上(例えば4〜12、好ましくは4〜9程度)
のアルデヒドなどが挙げられる。
【0068】エステルには、酢酸エチル、酢酸プロピ
ル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、酢酸ペンチル、プ
ロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、酪酸エチル、
吉草酸エチルなどの炭素数2以上(例えば2〜12、好
ましくは2〜9程度)のエステルなどが挙げられる。
【0069】エーテルには、例えば、エチルエーテル、
プロピルエーテル、イソプロピルエーテル、ブチルエー
テル、イソブチルエーテルなどの炭素数4以上(例えば
4〜12、好ましくは4〜9程度)のエーテルなどが含
まれる。
【0070】炭化水素には、ペンタン、ヘキサン、ヘプ
タン、オクタンなどの脂肪族炭化水素;シクロペンタ
ン、シクロヘキサンなどの脂環式炭化水素;ベンゼン、
トルエン、キシレン、エチルベンゼンなどの芳香族炭化
水素が含まれる。ハロゲン化炭化水素には、塩化メチレ
ン、クロロホルム、四塩化炭素、ジクロロエチレン、ク
ロロベンゼンなどが含まれる。これらの有機溶媒は一種
または二種以上混合して使用できる。
【0071】好ましい有機溶媒には、アルコール、ケト
ン、アルデヒド、エステル、エーテルなどが含まれ、さ
らに好ましい有機溶媒には、炭素数4以上(例えば4〜
12程度)のアルコール又はケトンが含まれる。
【0072】なお、抽出に用いる有機溶媒としては、前
記水層分離工程(13)で得られる有機層のほか、後述の
カルボン酸分離工程(9)で得られる有機溶媒や未使用
の有機溶媒などを用いてもよい。
【0073】抽出は、慣用の方法、例えば、前記水和工
程(1A)で得られた反応混合物に有機溶媒を加えて混合
又は振盪することにより行うことができる。抽出は、回
分式、連続式の何れの方式で行うこともできる。
【0074】アミド抽出工程(4)で得られるアミド
(II)を含む有機層は、そのまま、又は適当に濃度を調
整した後、加水分解工程(1B)に供給される。アミド化
合物(II)を有機溶媒と共に加水分解工程(1B)に供し
ても、加水分解により生成するカルボン酸の塩は水層に
移行するので、有機溶媒と前記カルボン酸の塩とを容易
に分離できる。また、有機溶媒の存在下で加水分解を行
うと、反応が円滑に進行して収率よくカルボン酸の塩が
得られる場合が多い。そのため、前記有機層からアミド
を分離して加水分解工程(1B)に供給してもよいが、有
機溶媒とアミドとを分離せずそのまま加水分解工程(1
B)に供してもよい。
【0075】アミド抽出工程(4)で得られる水層は、
水和工程(1A)に循環することにより再利用できる。な
お、この水層は、後述の加水分解工程(1B)又は電気透
析工程(2)に循環することもできる。また、前記水層
は廃棄することもできる。水層を廃棄しても、硫酸を触
媒とする場合と異なり、重硫酸アンモニウムなどの副生
物を含まないので、環境破壊を引起こすことがない。
【0076】水和工程(1A)の反応混合物に、アミドの
ほか、対応するカルボン酸の塩[アンモニウム塩
(V)]が含まれている場合には、カルボン酸の塩は抽
出により水層に移行することが多い。この場合には、水
層を後述の経路(iii)におけるカルボン酸塩生成工程
(1)の反応混合液と同様に処理することにより、前記
水層からカルボン酸を回収することもできる。
【0077】なお、水和工程(1A)で得られる反応混合
物は、アミド抽出工程(4)に供することなく加水分解
工程(1B)に供給してもよい。
【0078】加水分解工程 加水分解工程では、水和工程で生成したアミド(II)
を、塩基の存在下で加水分解して対応するカルボン酸と
前記塩基との塩(III)及びアンモニアを生成させる。
加水分解工程への供給液中にカルボン酸の塩[アンモニ
ウム塩(V)]が存在する場合には、この工程において
塩交換反応が起こり得る。例えば、塩基としてアルカリ
金属水酸化物などのアンモニアよりも塩基性の強い塩基
を用いると、カルボン酸のアンモニウム塩はカルボン酸
のアルカリ金属塩等の使用した塩基に対応する塩に変換
され、アンモニアが遊離する。
【0079】この工程では、加水分解触媒として塩基を
用いるので、硫酸を触媒とする場合と異なり、アミド化
合物の窒素原子、ひいてはニトリル化合物の窒素原子を
アンモニアとして回収できる。
【0080】図1の例では、加水分解工程(1B)におい
て、アミド混合液供給ライン3よりアミド化合物を、塩
基−水供給ライン15より塩基と水を、それぞれ反応器
に供給し、加水分解反応を行う。
【0081】塩基としては、無機塩基及び有機塩基の何
れであってもよい。無機塩基としては、例えば、水酸化
リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化
ルビジウム、水酸化セシウムなどのアルカリ金属水酸化
物;炭酸ナトリウム、炭酸カリウムなどのアルカリ金属
炭酸塩;炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウムなどの
アルカリ金属炭酸水素塩;水酸化マグネシウム、水酸化
カルシウムなどのアルカリ土類金属水酸化物;炭酸マグ
ネシウム、炭酸カルシウムなどのアルカリ土類金属炭酸
塩などが挙げられる。
【0082】有機塩基としては、トリエチルアミン、ト
リプロピルアミン、トリブチルアミンなどのモノ、ジま
たはトリアルキルアミン;ピペラジン、ピペリジン、N
−メチルピペリジン、モルホリンなどの環状アミン;エ
タノールアミン、トリエタノールアミンなどのアルカノ
ールアミン;ピリジンなどの塩基性含窒素複素環化合物
などが挙げられる。加水分解工程(1B)で生成するカル
ボン酸の塩をカルボン酸と塩基とに分離する電気透析工
程(2)は水の存在下で行われることから、前記塩基は
水溶性であるのが好ましい。
【0083】好ましい塩基には、アルカリ金属水酸化物
(水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなど)、及びアル
カリ金属炭酸塩(炭酸ナトリウム、炭酸カリウムなど)
が含まれる。さらに好ましい塩基には、水酸化ナトリウ
ム、水酸化カリウムなどが含まれる。
【0084】塩基は一種または二種以上混合して使用で
きる。塩基のpKaは、反応速度を速くするため、例え
ば6以上(例えば6〜30程度)、好ましくは9以上
(例えば9〜20程度)、さらに好ましくは14〜18
程度である。
【0085】塩基の使用量は、アミド化合物1モルに対
して、例えば0.5グラム当量以上、好ましくは1〜5
グラム当量である。前記塩基の使用量が0.5グラム当
量未満では、未反応のアミド化合物が多く残存し、回収
操作などの煩雑な操作が必要となる場合がある。また、
前記塩基の使用量が5グラム当量を越えると、経済的に
不利になりやすい。
【0086】反応系における塩基の濃度は、例えば0.
1規定以上(例えば0.1〜5規定程度)、好ましくは
0.2〜3規定(例えば0.5〜3規定程度)程度であ
る。塩基の濃度が0.1規定未満では、反応速度が遅く
なるだけでなく、一定量のカルボン酸を得るのに必要な
反応容積が増大するので生産性が低下しやすい。
【0087】加水分解工程(1B)において、水は、アミ
ド化合物に対して、通常、過剰量用いる。例えば、前記
水の量は、アミド1モルに対して1モル以上(例えば、
1〜500モル程度)、好ましくは1.5モル以上(例
えば、1.5〜300モル程度)である。
【0088】反応温度は、通常20〜150℃、好まし
くは30〜120℃程度である。反応温度が20℃未満
では反応時間が長くなりやすく、150℃を越えると副
反応が進行し収率が低下する場合がある。反応圧力は、
反応温度において、反応系が液相を保持できる圧力であ
ればよく、例えば1〜20気圧、好ましくは1〜10気
圧程度であるが、反応は常圧で行う場合が多い。反応時
間は、使用する塩基の種類、量および反応時間等の反応
条件により異なるので一概には言えないが、一般に、
0.1〜10時間程度である。反応は回分式、連続式の
何れの方式で行うこともできる。
【0089】こうして、水和工程(1A)と加水分解工程
(1B)とにより、ニトリル(I)から対応するカルボン
酸の塩が生成する。なお、加水分解反応に用いる塩基、
水は、それぞれ後述の電気透析工程(2)及び/又はカ
ルボン酸抽出工程(8)で回収される塩基、水を用いる
ことにより、効率よく再利用できるが、必要量の全部ま
たは一部を未使用の塩基、水で充ててもよい。
【0090】水層分離工程 前記加水分解工程で得られる反応混合物は、必要に応じ
て水層分離工程に供される。水層の分離は、例えば、加
水分解工程で得られる反応混合物を、有機層と水層とに
分液させる方法などにより行うことができる。この工程
は、前記加水分解工程の反応混合物が有機溶媒を含んで
いる場合に有用である。例えば、アミド化合物を、前記
アミド抽出工程の抽剤として用いた有機溶媒と共に加水
分解工程に供給する場合には、加水分解工程で得られる
反応混合物は前記有機溶媒を含んでいる。この有機溶媒
は水層分離工程において容易に回収できる。
【0091】図1の例では、水層分離工程(13)におい
て、加水分解工程(1B)の反応生成液を、加水分解反応
混合液供給ライン4を通じて分液装置に供給し、有機溶
媒を含む有機層と、カルボン酸の塩及びアンモニアとを
含む水層とに分液させる。
【0092】有機層は有機溶媒を主成分として含むの
で、有機溶媒供給ライン17を通じて前記アミド抽出工
程(4)の抽剤として循環使用できる。なお、前記有機
層は、後述するカルボン酸抽出工程(8)の抽剤として
使用することもできる。一方、水層はカルボン酸塩混合
液供給ライン5からアンモニア回収工程(6)に供給さ
れる。
【0093】なお、加水分解工程(1B)で得られる反応
混合物は、水層分離工程(13)に供することなく、アン
モニア回収工程(6)又は電気透析工程(2)に供給し
てもよい。
【0094】アンモニア回収工程 前記水層分離工程で得られる水層は、必要に応じてアン
モニア回収工程に供することにより、アンモニアを回収
できる。アンモニアの回収は、例えば、不活性ガスによ
るストリッピングによる方法、加熱により溶解アンモニ
アを気化させる方法などにより行うことができる。
【0095】図1の例では、アンモニア回収工程(6)
において、カルボン酸塩混合液供給ライン5から供給さ
れた水層分離工程(13)の水層に溶解しているアンモニ
アを、不活性ガス供給ライン18から供給される不活性
ガスによりストリッピングし、アンモニア回収ライン1
9より不活性ガスとアンモニアとの混合ガスとして回収
する。前記不活性ガスとしては、窒素、ヘリウム、アル
ゴン、メタン、二酸化炭素、一酸化炭素などが例示でき
る。アンモニアの回収は、回分式、連続式の何れの方式
で行ってもよい。
【0096】回収されたアンモニアは、ニトリルの原料
として用いられるシアン化水素等のシアン化合物の反応
原料として使用できる。すなわち、前記アンモニアはニ
トリル化合物の窒素源として再利用できる。例えば、シ
アン化水素は、アンモニアとメタノールと一酸化炭素と
から次式(c)にしたがって製造できる。
【0097】 CH3 OH+CO→HCOOCH3 HCOOCH3 +NH3 →HCONH2 +H2 O HCONH2 →HCN+H2 O (c) また、アンモニアとメタンと酸素とから次式(d)にし
たがってシアン化水素を製造することもできる。
【0098】 2NH3 +2CH4 +3O2 →2HCN+6H2 O (d) 前記シアン化水素を他の原料化合物A(例えばケトン、
アルデヒド、エポキシ等)と反応させることにより、ニ
トリル(I)を容易に製造できる。
【0099】アンモニア回収工程(6)において、不活
性ガスとしてメタンを用いてアンモニアをストリッピン
グすると、得られたメタンとアンモニアとの混合ガス
を、前記(d)で表わされるシアン化水素の製造工程に
供給できるため、効率的かつ簡便にアンモニアを循環使
用できる。
【0100】なお、前記水層分離工程(13)とアンモニ
ア回収工程(6)とは、順序を逆にして行うこともでき
る。すなわち、加水分解工程(1B)の反応生成液をアン
モニア回収工程(6)に供給し、アンモニアをストリッ
ピングなどにより回収し、次いで、アンモニア回収後の
カルボン酸の塩を含む混合液を水層分離工程(13)に供
給し、有機溶媒を含む有機層と、カルボン酸の塩を含む
水層とに分液させてもよい。この場合、有機層を前記ア
ミド抽出工程(4)などに循環し、水層を、必要に応じ
て濃縮工程(5)に供した後、電気透析工程(2)に供
給することができる。
【0101】また、加水分解工程(1B)で生成したアン
モニアは、必ずしも回収しなくてもよく、加水分解工程
(1B)の反応生成液を、必要に応じて水層分離工程(1
3)や濃縮工程(5)に供した後、電気透析工程(2)
に供給してもよい。
【0102】濃縮工程 前記アンモニア回収工程で得られる混合液は、必要に応
じて濃縮工程に供することにより、カルボン酸塩の濃度
を高めて、電気透析工程における透析効率を向上させる
ことができる。図1の例では、濃縮工程(5)におい
て、アンモニア回収後のカルボン酸の塩を含む混合液を
カルボン酸塩混合液供給ライン6を通じて濃縮装置に供
給する。濃縮は慣用の方法により行うことができる。濃
縮工程と前記アンモニア回収工程は同一の装置を用いて
行うこともできる。濃縮度はカルボン酸塩が析出して電
気透析の操作性を損なわない範囲であればよく、通常、
カルボン酸塩の濃度を0.1〜5規定程度に濃縮する。
濃縮された濃縮液はカルボン酸塩混合液供給ライン21
を通じて電気透析工程(2)に供される。また、留出し
た水は水和工程(1A)又は加水分解工程(1B)で再利用
することができる。なお、濃縮工程(5)とアンモニア
回収工程(6)とは順序を逆にして行うこともできる。
【0103】本発明の方法において、水和工程(1A)で
得られた反応混合液からアミドを抽出するアミド抽出工
程(4)を経る場合には、アミドを含む混合液中のアミ
ド濃度を高くできるので、電気透析への供給液中のカル
ボン酸塩濃度も高く保持できる。そのため、この場合に
は、濃縮工程(5)を省略しても、電気透析工程(2)
での電気効率を高くできる。
【0104】電気透析工程 電気透析工程では、前記加水分解工程で生成したカルボ
ン酸の塩(III)を電気透析し、対応するカルボン酸(I
V)と塩基とを生成させる。本発明における電気透析
は、原理的には「イオン交換膜」、小坂勇次郎・清水博
編、共立出版、第233頁に示される加水分解に相当す
る。電気透析装置は、バイポーラ膜と陽イオン交換膜ま
たは陰イオン交換膜の少なくとも1種以上の膜で構成さ
れる。電気透析槽としては、特に制限されず、慣用の二
室型、三室型の電気透析槽などを使用できる。
【0105】二室型電気透析装置は、バイポーラ膜と、
バイポーラ膜間に配設された陽イオン交換膜または陰イ
オン交換膜とから構成され、バイポーラ膜の陰イオン交
換膜部分側は陽極側に、陽イオン交換膜部分側は陰極側
にそれぞれ対向して設置されている。そして、両電極間
に電圧を印加することにより、バイポーラ膜の陰イオン
交換膜部分と陽イオン交換膜部分との界面に浸透した水
分子を分解し、陰イオン交換膜部分側にH+ イオン、陽
イオン交換膜部分側にOH- イオンを発生させる。
【0106】陽イオン交換膜としては、特に限定され
ず、慣用の陽イオン交換膜、例えば、スルホン基、カル
ボキシル基、ホスホン酸基、硫酸エステル基、リン酸エ
ステル基などの陽イオン交換基を有する陽イオン交換膜
を使用できる。陰イオン交換膜としては、特に限定され
ず、慣用の陰イオン交換膜、例えば、1級アミノ基、2
級アミノ基、3級アミノ基、4級アミノ基などの陰イオ
ン交換基を有する陰イオン交換膜を使用できる。
【0107】前記バイポーラ膜は、特に限定されず、慣
用のバイポーラ膜が使用できる。例えば、バイポーラ膜
は、陽イオン交換膜と陰イオン交換膜をポリエチレン−
エピクロルヒドリンの混合物で貼り合わせることにより
製造できる。また、陰イオン交換膜の表面にスルホン酸
型高分子電解質とアリルアミンなどを付着させた後、電
解性放射線を照射させることによっても得られる。
【0108】電気透析する際のカルボン酸の塩の濃度
は、通常、0.1〜5規定程度である。電気透析は、回
分式、連続式の何れの方式で行うこともできる。
【0109】図1の例では、電気透析工程(2)におい
て、イオン交換膜などを備える電気透析装置に、加水分
解工程(1B)で生成したカルボン酸の塩(III)と水と
を含む混合液をカルボン酸塩混合液供給ライン21か
ら、また、水を水供給ライン22から供給し、電気透析
する。この電気透析工程(2)により、カルボン酸の塩
(III)から対応するカルボン酸(IV)と塩基とが生成
し、カルボン酸(IV)と水とを含む混合液、及び塩基と
水とを含む混合液として分離される。生成したカルボン
酸(IV)と水とを含む混合液は、カルボン酸混合液循環
ライン24を通じて前記カルボン酸塩混合液供給ライン
21のカルボン酸塩(III)と水との混合液と混合さ
れ、電気透析工程(2)にリサイクルされる。なお、前
記カルボン酸(IV)と水とを含む混合液は、電気透析の
条件により、未分解のカルボン酸の塩(III)を含む。
【0110】一方、電気透析工程で得られる塩基と水と
を含む混合液は、塩基−水回収ライン23から回収でき
る。回収された塩基は、加水分解工程(1B)に循環する
ことにより、触媒として再利用できる。
【0111】電気透析工程(2)への供給液(カルボン
酸塩混合液供給ライン21とカルボン酸混合液循環ライ
ン24との混合液)の一部は、カルボン酸混合液供給ラ
イン7よりカルボン酸抽出工程(8)に供給される。な
お、電気透析工程(2)で生成するカルボン酸(IV)と
水とを含む混合液は、電気透析工程(2)にリサイクル
することなく、直接カルボン酸抽出工程(8)に供給す
ることもできる。
【0112】カルボン酸抽出工程及びカルボン酸分離工
電気透析工程で生成したカルボン酸は、必要に応じて、
カルボン酸抽出工程、次いでカルボン酸分離工程に供す
ることにより回収することができる。
【0113】図1の例では、カルボン酸抽出工程(8)
において、電気透析工程(2)で生成したカルボン酸
(IV)と水とを含む混合液を、カルボン酸混合液供給ラ
イン7から抽出装置に供給し、カルボン酸(IV)を、有
機溶媒供給ライン26から供給される有機溶媒により抽
出する。
【0114】有機溶媒としては、前記アミド抽出工程
(4)の項で述べた有機溶媒、例えば、アルコール、ケ
トン、アルデヒド、エステル、エーテルなどを用いるこ
とができる。好ましい有機溶媒には、炭素数4以上(例
えば4〜12程度)のアルコール及びケトンなどが含ま
れる。抽出は慣用の方法により行うことができる。
【0115】カルボン酸(IV)と有機溶媒とを含む有機
層は、カルボン酸抽出液供給ライン8よりカルボン酸分
離工程(9)に供給される。一方、水層は水回収ライン
25から抜取り、塩基−水回収ライン23の塩基を含む
水混合液と共に、水供給ライン27を通じて電気透析工
程(2)へ、また塩基−水供給ライン15を通じて加水
分解工程(1B)へ循環できる。
【0116】カルボン酸分離工程(9)では、前記カル
ボン酸抽出工程(8)で得られるカルボン酸(IV)と有
機溶媒とを含む有機層から、蒸留によりカルボン酸(I
V)と有機溶媒とが分離される。カルボン酸(IV)はカ
ルボン酸回収ライン9より回収され、有機溶媒は有機溶
媒供給ライン26を通じてカルボン酸抽出工程(8)に
循環し、抽剤として再利用できる。回収した有機溶媒
は、アミド抽出工程(4)の抽剤として利用することも
できる。
【0117】カルボン酸(IV)の抽出及びカルボン酸
(IV)の分離は、それぞれ回分式、連続式の何れの方式
によってもよい。なお、電気透析工程(2)で生成した
カルボン酸(IV)は、前記方法に限らず、カルボン酸
(IV)と水とを含む混合液から慣用の分離方法、例え
ば、抽出、蒸留、晶析、再結晶、カラムクロマトグラフ
ィーなど、又はこれらを適宜組合わせることにより分離
回収できる。
【0118】[経路(ii)]経路(ii)は、経路(i)
からアミド抽出工程(4)と水層分離工程(13)とを省
略した態様に相当する。経路(ii)は、ニトリルに微生
物又はその処理物を作用させた際に、アミド化合物とカ
ルボン酸の塩の混合物が生成する場合に好適である。
【0119】図1の例では、水和工程(1A)の反応混合
液は水和反応混合液供給ライン12を通じて加水分解工
程(1B)に供され、加水分解工程(1B)で得られた反応
混合液は加水分解反応混合液供給ライン16を通じてア
ンモニア回収工程(6)に供される。
【0120】加水分解工程(1B)では、水和工程(1A)
の反応混合液に含まれるアミド(II)が塩基により加水
分解されて対応するカルボン酸の塩(III)とアンモニ
アに変換されるとともに、前記反応混合液中のカルボン
酸のアンモニウム塩(V)は前記塩基と塩交換し、対応
するカルボン酸の塩(III)とアンモニアが生成する。
【0121】この経路(ii)によれば、アミド抽出工程
(4)を経ないので、水和工程(1A)の反応混合液中に
カルボン酸のアンモニウム塩(V)が含まれていても、
水層に移行して損失することがない。また、アミド抽出
工程(4)と水層分離工程(13)とを含まないので、工
程を簡略化できる。さらに、ニトリルを水和する能力を
有する微生物は、通常、ニトリルをアミドに変換する酵
素とカルボン酸に変換する酵素とを有する場合が多いの
で、この経路(ii)は広範な微生物に適用でき、汎用性
に優れる。
【0122】[経路(iii)]経路(iii)は、ニトリル
に微生物又はその処理物を作用させた際に、主として対
応するカルボン酸の塩が生成する場合に好適である。
【0123】カルボン酸塩生成工程 カルボン酸塩生成工程では、ニトリルに前記微生物又は
その処理物を作用させて対応するカルボン酸のアンモニ
ウム塩(V)を生成させる。
【0124】図2の例では、カルボン酸塩生成工程
(1)において、ニトリル供給ライン1からニトリル
を、水供給ライン10から水を、それぞれ反応器に仕込
み、ニトリルをカルボン酸に変換する能力を有する微生
物又はその処理物の存在下で水和反応を行う。なお、反
応器には、後述する濃縮工程(5)において留出した水
を水循環ライン20を通じて供給してもよい。
【0125】カルボン酸塩生成工程(1)で用いる水の
量は、例えば、ニトリル1モルに対して、1.5モル以
上(例えば、1.5〜300モル程度)、好ましくは2
モル以上(例えば、2〜150モル程度)である。ニト
リルの溶解性を高め、反応を円滑に進行させるため、系
内に、例えば前記経路(i)で述べたような有機溶媒を
加えてもよい。また、緩衝液を用いることもできる。
【0126】微生物(菌体)又はその処理物の濃度、ニ
トリルの濃度、反応系のpH及び反応時間は、前記経路
(i)の水和工程(1A)の場合と同様である。反応形式
としては、固定床式、流動床式等の何れであってもよ
く、また回分式、流通式の何れの方式で行うこともでき
る。生成物濃度を高めるため、例えば反応混合液循環ラ
イン11を用いて、反応混合液を反応系にリサイクルす
ることもできる。反応混合液は、通常、遠心分離、濾過
などの慣用の分離手段により微生物又はその処理物を分
離除去して、次工程に供される。
【0127】塩交換工程 塩交換工程では、カルボン酸塩生成工程で生成したカル
ボン酸のアンモニウム塩(V)に塩基を作用させて塩交
換し、対応するカルボン酸の塩(III)とアンモニアを
生成させる。
【0128】図2の例では、塩交換工程(12)におい
て、カルボン酸塩生成工程で生成したカルボン酸のアン
モニウム塩(V)を含む反応混合液を水和反応混合液供
給ライン2より、塩基を塩基供給ライン14よりそれぞ
れ塩交換反応器に供給する。
【0129】塩基としては、前記経路(i)の加水分解
工程(1B)で用いる塩基を使用できる。好ましい塩基に
は、アルカリ金属水酸化物(水酸化ナトリウム、水酸化
カリウムなど)、及びアルカリ金属炭酸塩(炭酸ナトリ
ウム、炭酸カリウムなど)が含まれる。さらに好ましい
塩基には、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどが含
まれる。塩基は一種または二種以上混合して使用でき
る。
【0130】塩基の使用量は、カルボン酸のアンモニウ
ム塩(V)1モルに対して、例えば0.5グラム当量以
上、好ましくは1〜5グラム当量、さらに好ましくは1
〜2(特に1〜1.5)グラム当量程度である。塩交換
反応は、例えば、0〜50℃程度で行われるが、室温で
行われる場合が多い。反応は回分式、連続式の何れの方
式で行うこともできる。
【0131】なお、前記カルボン酸塩生成工程(1)に
おいて、塩基の存在下、ニトリルに微生物またはその処
理物を作用させることにより、ニトリルの水和と塩交換
反応を1ステップで行うこともできる。
【0132】塩交換工程を経ることにより、カルボン酸
の塩を、アンモニウム塩よりも電気透析での電気効率の
高い塩、例えばアルカリ金属塩に変換できるので、カル
ボン酸の生産効率を大幅に向上できる。
【0133】アンモニア回収工程 アンモニア回収工程では、塩交換工程で生成したアンモ
ニアを回収する。アンモニアの回収は、前記経路(i)
の場合と同様にして行うことができる。図2の例では、
アンモニア回収工程(6)において、塩交換工程(12)
で得られた反応混合液を塩交換反応混合液供給ライン2
9によりアンモニア回収装置に供給し、不活性ガス供給
ライン18から供給される不活性ガスによりストリッピ
ングし、アンモニア回収ライン19より不活性ガスとア
ンモニアとの混合ガスとして回収する。前記不活性ガス
としては、前記例示のガスを使用できる。アンモニアの
回収は、回分式、連続式の何れの方式で行ってもよい。
【0134】回収されたアンモニアは、前記と同様、ニ
トリルの原料として用いられるシアン化水素等のシアン
化合物の反応原料として使用できる。
【0135】前記シアン化水素を他の原料化合物A(例
えばケトン、アルデヒド、エポキシ等)と反応させるこ
とにより、ニトリル(I)を容易に製造できる。
【0136】濃縮工程 前記アンモニア回収工程で得られる混合液は、必要に応
じて濃縮工程に供することにより、カルボン酸塩の濃度
を高めて、電気透析工程における透析効率を向上させる
ことができる。図2の例では、濃縮工程(5)におい
て、アンモニア回収後のカルボン酸の塩(III)を含む
混合液をカルボン酸塩混合液供給ライン6を通じて濃縮
装置に供給する。濃縮は前記経路(i)の場合と同様に
行うことができる。濃縮液はライン21を通じて電気透
析工程(2)に供される。また、留出した水はライン2
0を通じてカルボン酸塩生成工程(1)で再利用でき
る。
【0137】なお、濃縮工程(5)は、必ずしもアンモ
ニア回収工程(6)の後に行う必要はなく、塩交換工程
(12)の前または後に行ってもよい。
【0138】電気透析工程、カルボン酸抽出工程及びカ
ルボン酸分離工程 電気透析工程、カルボン酸抽出工程及びカルボン酸分離
工程は、前記経路(i)の場合に準じて行うことができ
る。なお、電気透析工程(2)で得られる塩基は塩基−
水回収ライン23を通じて塩交換工程(12)で再利用で
きる。
【0139】[経路(iv)]経路(iv)も、ニトリルに
微生物又はその処理物を作用させた際に、主として対応
するカルボン酸の塩が生成する場合に好適に適用でき
る。経路(iv)は、塩交換工程(12)を含まない点、及
び電気透析工程で得られるアンモニアをアンモニア回収
工程で回収するする点等で経路(iii)と相違する。経
路(iv)は、短い工程でカルボン酸を製造できるという
利点を有する。以下、経路(iii)と異なる点について
説明する。
【0140】濃縮工程 濃縮工程では、カルボン酸塩生成工程で得られる反応混
合液を濃縮する。図2の例では、カルボン酸塩生成工程
(1)で得られる反応混合液を水和反応混合液供給ライ
ン28を通じて濃縮装置に供給して濃縮する。濃縮は前
記と同様に行うことができる。濃縮工程(5)で得られ
た濃縮液はカルボン酸塩混合液供給ライン21より電気
透析工程(2)に供給される。濃縮の際留出した水はカ
ルボン酸塩生成工程(1)で再利用できる。
【0141】アンモニア回収工程 アンモニア回収工程では、電気透析工程(2)で得られ
るアンモニア水溶液をアンモニア回収装置に供給し、前
記と同様にしてアンモニアを回収する。回収されたアン
モニアはニトリルの製造原料として利用できる。
【0142】
【発明の効果】本発明の方法によれば、微生物又はその
処理物によるニトリルの水和反応とカルボン酸塩の電気
透析とを組合せるので、重硫酸アンモニウムなどの副生
物が生成しない。また、有用なアンモニアや触媒を簡便
に回収できるさらに、アンモニア及び触媒成分を有効に
利用することができる。
【0143】
【実施例】以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細
に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定され
るものではない。
【0144】実施例1 2−ヒドロキシ−4−メチルチオブタン酸(α−ヒドロ
キシ−4−メチルチオ酪酸)を図1に示す製造工程図の
経路(i)にしたがって製造した。なお、この例では、
濃縮工程(5)を経ることなく目的のカルボン酸を得
た。
【0145】水和工程(1A) ゴルドナ ルブロペルチンクタス(Gordona rubropertin
ctus)JCM 3204を、斜面培地から1白金耳採取
し、下記の液体培地1000ml/坂口フラスコに接種
し、30℃で48時間好気条件下に振盪培養した。
【0146】[培地(単位:W/V)] グリセロール 2% 酵母エキス 0.3% リン酸一カリウム 0.5% リン酸二ナトリウム 0.5% 硫酸ナトリウム 0.1% 硫酸マグネシウム 0.05% 塩化カルシウム 0.005% 硫酸マンガン 1×10-4% 塩化鉄 1×10-5% 硫酸亜鉛 1×10-5% イソバレロニトリル(誘導源) 0.2% pH 7.2 液体培地から菌体を遠心分離により集菌し、0.05M
リン酸緩衝液(pH7.0)で3回洗浄した。菌体を2
50mlの上記と同様の緩衝液に再懸濁し、終濃度33
0mMとなるように2−ヒドロキシ−4−メチルチオブ
タンニトリル(α−ヒドロキシ−4−メチルチオブチロ
ニトリル)を添加し、5℃で24時間反応させた。反応
終了後、反応液を遠心分離して菌体を除去して遠心上清
液を得た。遠心上清液を液体クロマトグラフィーにより
分析した結果、2−ヒドロキシ−4−メチルチオブタン
アミド(α−ヒドロキシ−4−メチルチオ酪酸アミド)
を4.1重量%、2−ヒドロキシ−4−メチルチオブタ
ン酸(α−ヒドロキシ−4−メチルチオ酪酸)のアンモ
ニウム塩を遊離酸換算で0.9重量%含有していた。2
−ヒドロキシ−4−メチルチオブタンアミドの収率は8
3%、2−ヒドロキシ−4−メチルチオブタン酸アンモ
ニウムの収率は17%であった。
【0147】アミド抽出工程(4) ラシヒリングを充填した抽出塔に、前記水和工程(1A)
で得られた反応生成液(遠心上清液)を水和反応混合液
供給ライン2より毎時3634gの流量で供給すると共
に、メチルエチルケトンと少量の溶解水を含む抽剤(後
述の水層分離工程(13)の有機層)を毎時4600gの
流量で供給した。2−ヒドロキシ−4−メチルチオブタ
ンアミドとメチルエチルケトンを含む有機層が毎時47
50g(2−ヒドロキシ−4−メチルチオブタンアミド
として毎時149g)の流量で得られた。
【0148】加水分解工程(1B) 5Lの撹拌機付きガラス製反応器に、アミド抽出工程で
得られた前記有機層をアミド混合液供給ライン3を通じ
て連続的に供給する一方、少量の2−ヒドロキシ−4−
メチルチオブタン酸ナトリウムを含む8%水酸化ナトリ
ウム水溶液(電気透析工程(2)で得られた水酸化ナト
リウム水溶液とカルボン酸抽出工程(8)の水層との混
合液)を、塩基−水供給ライン15より毎時540gの
流量で供給し、反応温度60℃で加水分解反応を行っ
た。その結果、2−ヒドロキシ−4−メチルチオブタン
酸ナトリウム(230g/時間)、アンモニア(17g
/時間)、水およびメチルエチルケトンを含む反応混合
液が毎時1390gの流量で得られた。
【0149】水層分離工程(13) 加水分解工程(1B)で得られた反応混合液を、加水分解
反応混合液供給ライン4より分液槽に供給して分液させ
た。得られた有機層(10%の水を含むメチルエチルケ
トン)は、前記のように、毎時690gの流量で有機溶
媒供給ライン17を通じてアミド抽出工程(4)に循環
した。
【0150】アンモニア回収工程(6) ラシヒリングを充填したアンモニア放散塔に、水層分離
工程(13)で得られた2−ヒドロキシ−4−メチルチオ
ブタン酸ナトリウム、及びアンモニアを含有する水層
を、カルボン酸塩混合液供給ライン5より供給すると共
に、アンモニア放散塔の底部に接続された不活性ガス供
給ライン18から毎時23Lの流量でメタンガスを供給
した。アンモニア放散塔の塔頂から、メタン−アンモニ
ア混合ガスが得られた。この混合ガスはアンモニア回収
ライン19より青酸製造工程に供給した。
【0151】電気透析工程(2) 電気透析槽として、バイポーラ膜と陽イオン交換膜(そ
れぞれ(株)トクヤマ製)からなる電気透析槽(TS2
B−2−5型、有効面積200cm2 ×5対、(株)ト
クヤマ製)を用いた。前記アンモニア回収工程(6)で
アンモニアを除去した2−ヒドロキシ−4−メチルチオ
ブタン酸ナトリウム水溶液(カルボン酸塩混合液供給ラ
イン6)と、電気透析により得られた2−ヒドロキシ−
4−メチルチオブタン酸と未分解の2−ヒドロキシ−4
−メチルチオブタン酸ナトリウムとを含有する水溶液
(カルボン酸混合液循環ライン24)とを混合し、電気
透析槽に供給した。この混合液中の2−ヒドロキシ−4
−メチルチオブタン酸ナトリウムの濃度は8.8重量%
であり、電気透析槽への供給量は毎時3600gであっ
た。なお、前記混合液の一部(毎時655g)はカルボ
ン酸抽出工程(8)に供給した。
【0152】電気透析により得られた水酸化ナトリウム
水溶液は、塩基−水回収ライン23を通じて、後述のカ
ルボン酸抽出工程(8)の水層(未分解の2−ヒドロキ
シ−4−メチルチオブタン酸ナトリウムを含有する水溶
液:水回収ライン25)と混合し、その一部を電解液と
して水供給ライン27より電気透析槽に供給し、残りの
大部分を塩基−水供給ライン15より加水分解工程(1
B)に循環した。また、水供給ライン22より、水(新
水)を毎時18g電気透析槽に供給した。
【0153】カルボン酸抽出工程(8) 抽出塔に、前記アンモニア回収工程(6)でアンモニア
を除去した2−ヒドロキシ−4−メチルチオブタン酸ナ
トリウム水溶液(ライン6)とカルボン酸混合液循環ラ
イン24のカルボン酸含有液との混合液(2−ヒドロキ
シ−4−メチルチオブタン酸と未分解の2−ヒドロキシ
−4−メチルチオブタン酸ナトリウムとを含む水溶液)
をカルボン酸混合液供給ライン7を通じて供給すると共
に、抽剤としてメチルエチルケトンを有機溶媒供給ライ
ン26より供給し、抽出を行った。その結果、2−ヒド
ロキシ−4−メチルチオブタン酸を18.5重量%、メ
チルエチルケトンを73重量%、水を8.5重量%含む
抽出液(有機層)が毎時805gの流量で得られた。未
分解の2−ヒドロキシ−4−メチルチオブタン酸ナトリ
ウムを含有する水層は上記のように、水回収ライン25
を通じて塩基−水回収ライン23の水酸化ナトリウム水
溶液と共に、加水分解工程(1B)及び電気透析工程
(2)に循環した。
【0154】カルボン酸分離工程(9) カルボン酸抽出工程(8)で得られた抽出液(有機層)
を、カルボン酸抽出液供給ライン8より蒸留塔に供給し
て蒸留した。その結果、塔底よりカルボン酸回収ライン
9を通じて、2−ヒドロキシ−4−メチルチオブタン酸
を80%含有するガードナーカラー4の水溶液を毎時1
78gの流量で得た。また、塔頂より留出したメチルエ
チルケトンを、有機溶媒供給ライン26より前記カルボ
ン酸抽出工程(8)に循環し、抽剤として再利用した。
【0155】実施例2 2−ヒドロキシ−4−メチルチオブタン酸を図1に示す
製造工程図の経路(ii)にしたがって製造した。
【0156】水和工程(1A) 実施例1と同様の操作により、2−ヒドロキシ−4−メ
チルチオブタンアミドを4.1重量%、2−ヒドロキシ
−4−メチルチオブタン酸アンモニウムを0.9重量%
含有する反応生成液を得た。
【0157】加水分解工程(1B) 3Lの撹拌機付きガラス製反応器に、水和工程(1A)で
得られた2−ヒドロキシ−4−メチルチオブタンアミド
と2−ヒドロキシ−4−メチルチオブタン酸を含む反応
生成液を水和反応混合液供給ライン12を通じて毎時2
983gの流量で連続的に供給する一方、少量の2−ヒ
ドロキシ−4−メチルチオブタン酸ナトリウムを含む8
%水酸化ナトリウム水溶液(電気透析工程(2)で得ら
れた水酸化ナトリウム水溶液とカルボン酸抽出工程
(8)の水層との混合液)を、塩基−水供給ライン15
より毎時540gの流量で供給し、反応温度60℃で加
水分解反応を行った。その結果、2−ヒドロキシ−4−
メチルチオブタン酸ナトリウム(230g/時間)、ア
ンモニア(17g/時間)、水およびメチルエチルケト
ンを含む反応混合液が毎時1390gの流量で得られ
た。
【0158】アンモニア回収−濃縮工程(6,5) 加水分解工程(1B)で得られた反応混合液を毎時352
0gの流量(2−ヒドロキシ−4−メチルチオブタン酸
ナトリウム:230g/時;アンモニア:17g/時)
で加水分解反応混合液供給液ライン16を通じて単蒸留
塔に供給して、水(2130g/時)およびアンモニア
(17g/時)を連続的に除去し、2−ヒドロキシ−4
−メチルチオブタン酸ナトリウムを含む水溶液を毎時1
373gの流量(2−ヒドロキシ−4−メチルチオブタ
ン酸ナトリウムとして毎時230g)で得た。なお、留
出したアンモニア水から、実施例1のアンモニア回収工
程に準じてメタンガスによるストリッピングによりアン
モニアを回収した。回収したアンモニアはメタンガスと
共に青酸の製造工程に供した。また、アンモニアを除去
した水を水和工程(1A)で再利用した。
【0159】電気透析工程(2),カルボン酸抽出工程
(8)およびカルボン酸分離工程(9) 前記アンモニア回収−濃縮工程で得られた2−ヒドロキ
シ−4−メチルチオブタン酸ナトリウムを含む水溶液を
用い、実施例1に準じて、電気透析工程、カルボン酸抽
出工程およびカルボン酸分離工程を経ることにより、2
−ヒドロキシ−4−メチルチオブタン酸を得た。電気透
析工程(2)で得られた水酸化ナトリウムは、実施例1
と同様に、加水分解工程(1B)で再利用した。
【0160】実施例3 2−ヒドロキシ−4−メチルチオブタン酸を図2に示す
製造工程図の経路(iv)にしたがって製造した。
【0161】カルボン酸塩生成工程(1) バクテリヂウム エスピー(Bacterdium sp.)R341
(FERM P−2719)を、斜面培地から1白金耳
採取し、実施例1と同様の液体培地1000ml/坂口
フラスコに接種し、30℃で48時間好気条件下に振盪
培養した。
【0162】液体培地から菌体を遠心分離により集菌
し、0.05Mリン酸緩衝液(pH7.0)で3回洗浄
した。菌体を250mlの上記と同様の緩衝液に再懸濁
し、終濃度330mMとなるように2−ヒドロキシ−4
−メチルチオブチロニトリルを添加し、5℃で24時間
反応させた。反応終了後、反応液を遠心分離して菌体を
除去して遠心上清液を得た。遠心上清液を液体クロマト
グラフィーにより分析した結果、2−ヒドロキシ−4−
メチルチオブタン酸アンモニウムを遊離酸換算で4.9
重量%含有していた。
【0163】濃縮工程(5) カルボン酸塩生成工程(1)で得られた反応混合液を単
蒸留塔に供給し、水を留去して、2−ヒドロキシ−4−
メチルチオブタン酸アンモニウムを含む濃縮液を得た。
【0164】電気透析工程(2),カルボン酸抽出工程
(8)およびカルボン酸分離工程(9) 前記濃縮工程(5)で得られた2−ヒドロキシ−4−メ
チルチオブタン酸ナトリウムを含む濃縮液を用い、実施
例1に準じて、電気透析工程、カルボン酸抽出工程およ
びカルボン酸分離工程を経ることにより、2−ヒドロキ
シ−4−メチルチオブタン酸を得た。
【0165】アンモニア回収工程(6) 前記電気透析工程(2)において得られたアンモニア水
をアンモニア放散塔に供給し、実施例1のアンモニア回
収工程に準じた方法により、アンモニアとメタンの混合
ガスを得た。この混合ガスは、2−ヒドロキシ−4−メ
チルチオブチロニトリルの原料となる青酸の製造工程に
供給した。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明のカルボン酸の製造方法の一例を
示す製造工程図である。
【図2】図2は本発明のカルボン酸の製造方法の他の例
を示す製造工程図である。
【符号の説明】
1…ニトリル供給ライン 2,12,28…水和反応混合液供給ライン 3…アミド混合液供給ライン 4,16…加水分解反応混合液供給ライン 5,6,21…カルボン酸塩混合液供給ライン 7…カルボン酸混合液供給ライン 8…カルボン酸抽出液供給ライン 9…カルボン酸回収ライン 10,22…水供給ライン 15…塩基−水供給ライン 18…不活性ガス供給ライン 19…アンモニア回収ライン 23…塩基−水回収ライン 29…塩交換反応混合液供給ライン

Claims (26)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (1)ニトリルを水和する能力を有する
    微生物又はその処理物をニトリルに作用させて、(a)
    少なくとも対応するアミドを生成させ、生成したアミド
    を塩基の存在下で加水分解して対応するカルボン酸の塩
    を生成させるか、又は(b)対応するカルボン酸の塩を
    生成させるカルボン酸塩生成工程と、(2)前記カルボ
    ン酸塩生成工程で生成したカルボン酸の塩を電気透析
    し、対応するカルボン酸と塩基とを生成させる電気透析
    工程とを含むカルボン酸の製造方法。
  2. 【請求項2】 ニトリルがシアンヒドリン化合物である
    請求項1記載のカルボン酸の製造方法。
  3. 【請求項3】 ニトリルを水和する能力を有する微生物
    が、パントエア(Pantoea)属、ミクロコッカス(Microc
    occus)属、バクテリヂウム(Bacteridium)属、バチラス
    (Bacillus)属、アクチノマヅラ(Actinomadura)属、
    キタサトスポラ(Kitasatospora)属、ピリメリア(Pil
    imelia)属、アクロモバクター(Achromobacter)属、ベ
    イジェリンキア(Beijerinckia)属、セルロモナス(Ce
    llulomonas)属、クレブシェラ(Klebsiella)属、アクチ
    ノポリスポラ(Actinopolispora)属、アクチノシンネマ
    (Actinosynnema)属、アクチノプラネス(Actinopulanes)
    属、アミコラタ(Amycolata)属、サッカロポリスポラ
    (Saccharopolyspora)属、ストレプトマイセス(Streptom
    yces)属、ノカルヂオイデス(Nocardioides)属、プロ
    ビデンシア(Providencia)属、ミクロバクテリウム(Mi
    crobacterium)属、ロドバクター(Rhodobacter)属、ロド
    スピリラム(Rhodospirillum)属、カセオバクター(Cas
    eobacter)属、シュードモナス属(Pseudomonas)、アルカ
    リゲネス(Alcaligenes)属、コリネバクテリウム(Coryne
    bacterium)属、ブレビバクテリウム(Brevibacterium)
    属、ノカルジア(Nocardia)属、ロドコッカス(Rhodococc
    us)属、アースロバクター(Arthrobacter)属、トルロプ
    シス(Torulopsis)属、ロドシュードモナス(Rhodopseudo
    monas)属、アシネトバクター属(Acinetobacter)、マイ
    コバクテリウム(Mycobacterium)属、キャンディダ(Cand
    ida)属、アグロバクテリウム(Agrobacterium)属、アス
    ペルギルス(Aspergillus)属、ペニシリウム(Penicilliu
    m)属、コクリオボラス(Cochliobolus)属、フザリウム(F
    usarium)属、エンテロバクター(Enterobacter)属、キサ
    ントバクター(Xanthobacter)属、エルウィニア(Erwini
    a)属、シトロバクター(Citrobacter)属、エアロモナス
    (Aeromonas)属又はゴルドナ(Gordona)属に属する微生物
    である請求項1記載のカルボン酸の製造方法。
  4. 【請求項4】 微生物として、ニトリル及びアミドから
    選択された少なくとも1種の誘導源の存在下で培養した
    微生物を用いる請求項1記載のカルボン酸の製造方法。
  5. 【請求項5】 微生物の処理物として、(a)ニトリル
    ヒドラターゼ、(b)ニトリルヒドラターゼ及びアミダ
    ーゼ、または(c)ニトリラーゼを用いる請求項1記載
    のカルボン酸の製造方法。
  6. 【請求項6】 塩基がアルカリ金属水酸化物である請求
    項1記載のカルボン酸の製造方法。
  7. 【請求項7】 バイポーラ膜と、陽イオン交換膜及び陰
    イオン交換膜から選択された少なくとも1つのイオン交
    換膜とから構成される電気透析装置を用いて電気透析す
    る請求項1記載のカルボン酸の製造方法。
  8. 【請求項8】 さらに、(3)ニトリルに微生物又はそ
    の処理物を作用させて得られる反応混合液を当該反応系
    にリサイクルする工程を含む請求項1記載のカルボン酸
    の製造方法。
  9. 【請求項9】 さらに、(4)ニトリルに微生物又はそ
    の処理物を作用させて得られるアミドを含む反応混合物
    から有機溶媒によりアミドを抽出するアミド抽出工程を
    含む請求項1記載のカルボン酸の製造方法。
  10. 【請求項10】 さらに、(5)ニトリルに微生物又は
    その処理物を作用させて生成するアミド又はカルボン酸
    の塩を含む混合液、又は前記アミドを加水分解して生成
    するカルボン酸の塩を含む混合液を濃縮する濃縮工程を
    含む請求項1記載のカルボン酸の製造方法。
  11. 【請求項11】 さらに、(6)カルボン酸塩生成工程
    (1)において副生するアンモニアを回収するアンモニ
    ア回収工程、または前記工程(6)に加えてさらに
    (7)回収したアンモニアをニトリルの製造工程におい
    て窒素源として利用する工程を含む請求項1記載のカル
    ボン酸の製造方法。
  12. 【請求項12】 さらに、(8)電気透析工程(2)で
    生成したカルボン酸と水とを含む混合物から有機溶媒に
    よりカルボン酸を抽出するカルボン酸抽出工程及び
    (9)カルボン酸抽出工程(8)で得られた有機層から
    カルボン酸と有機溶媒とを分離するカルボン酸分離工
    程、または前記工程(8)及び(9)に加えてさらに
    (10)カルボン酸抽出工程(9)で分離した有機溶媒を
    カルボン酸抽出工程(8)又はアミド抽出工程(4)の
    抽出溶媒として循環使用する工程を含む請求項1記載の
    カルボン酸の製造方法。
  13. 【請求項13】 抽出に用いる有機溶媒として、アルコ
    ール、ケトン、アルデヒド、エステル及びエーテルから
    なる群から選択された少なくとも1種の疎水性有機溶媒
    を用いる請求項9又は12記載のカルボン酸の製造方
    法。
  14. 【請求項14】 さらに、(11)電気透析工程(2)で
    生成した塩基をカルボン酸塩生成工程(1)の塩基とし
    て再利用する工程を含む請求項1記載のカルボン酸の製
    造方法。
  15. 【請求項15】 さらに、(12)カルボン酸塩生成工程
    (1)において生成したカルボン酸のアンモニウム塩を
    塩基により塩交換する工程を含む請求項1記載のカルボ
    ン酸の製造方法。
  16. 【請求項16】 (1A)シアンヒドリン化合物を水和し
    て少なくとも対応するヒドロキシアミドに変換させる能
    力を有する微生物又はその処理物をシアンヒドリン化合
    物に作用させ、対応するヒドロキシアミドを生成させる
    水和工程、(4)生成したヒドロキシアミドを含む反応
    混合物を有機溶媒による抽出に付し、ヒドロキシアミド
    を含む有機層を分離するアミド抽出工程、(1B)前記ヒ
    ドロキシアミドを含む有機層をアルカリ金属水酸化物存
    在下での加水分解に供し、対応するヒドロキシカルボン
    酸のアルカリ金属塩とアンモニアとを生成させる加水分
    解工程、(6,13)この加水分解工程(1B)で得られた
    ヒドロキシカルボン酸のアルカリ金属塩とアンモニアと
    を含む混合液から、アンモニアを回収すると共に、ヒド
    ロキシカルボン酸のアルカリ金属塩を含む水層を分離す
    るアンモニア回収−水層分離工程、(2)このアンモニ
    ア回収−水層分離工程(6,13)で得られたヒドロキシ
    カルボン酸のアルカリ金属塩を含む水層を、バイポーラ
    膜と、陽イオン交換膜及び陰イオン交換膜から選択され
    た少なくとも1つのイオン交換膜とから構成される電気
    透析装置による電気透析に供し、ヒドロキシカルボン酸
    とアルカリ金属水酸化物とを生成させる電気透析工程、
    (7)前記アンモニア回収−水層分離工程(6,13)で
    回収したアンモニアをシアンヒドリン化合物の製造原料
    であるシアン化水素の製造工程へ循環して使用する工
    程、及び(11)前記電気透析工程(2)で生成したアル
    カリ金属水酸化物を加水分解工程(1B)で再利用する工
    程を含むカルボン酸の製造方法。
  17. 【請求項17】 さらに、(15)アミド抽出工程(4)
    で得られる水層を水和工程(1A)に循環する工程、及び
    (16)アンモニア回収−水層分離工程(6,13)におけ
    る水層の分離を分液により行い、得られる有機層をアミ
    ド抽出工程(4)に循環する工程から選択された少なく
    とも1つの工程を含む請求項16記載のカルボン酸の製
    造方法。
  18. 【請求項18】 (1A)シアンヒドリン化合物を水和し
    て対応するヒドロキシアミド及びヒドロキシカルボン酸
    に変換させる能力を有する微生物又はその処理物をシア
    ンヒドリン化合物に作用させ、対応するヒドロキシアミ
    ドとヒドロキシカルボン酸のアンモニウム塩とを生成さ
    せる水和工程、(1B)生成したヒドロキシアミドとヒド
    ロキシカルボン酸のアンモニウム塩とを含む反応混合物
    をアルカリ金属水酸化物で処理して、ヒドロキシアミド
    を加水分解すると共に、ヒドロキシカルボン酸のアンモ
    ニウム塩を塩交換し、対応するヒドロキシカルボン酸の
    アルカリ金属塩とアンモニアとを生成させる加水分解工
    程、(6,5)この加水分解工程(1B)で得られたヒド
    ロキシカルボン酸のアルカリ金属塩とアンモニアとを含
    む混合液からアンモニアを回収すると共に、混合液を濃
    縮するアンモニア回収−濃縮工程、(2)このアンモニ
    ア回収−濃縮工程(6,5)で得られたヒドロキシカル
    ボン酸のアルカリ金属塩を含む混合液を、バイポーラ膜
    と、陽イオン交換膜及び陰イオン交換膜から選択された
    少なくとも1つのイオン交換膜とから構成される電気透
    析装置による電気透析に供し、ヒドロキシカルボン酸と
    アルカリ金属水酸化物とを生成させる電気透析工程、
    (7)前記アンモニア回収−濃縮工程(6,5)で回収
    したアンモニアをシアンヒドリン化合物の製造原料であ
    るシアン化水素の製造工程へ循環して使用する工程、及
    び(11)前記電気透析工程(2)で生成したアルカリ金
    属水酸化物を加水分解工程(1B)で再利用する工程を含
    むカルボン酸の製造方法。
  19. 【請求項19】 (1)シアンヒドリン化合物を水和し
    て少なくとも対応するヒドロキシカルボン酸に変換させ
    る能力を有する微生物又はその処理物をシアンヒドリン
    化合物に作用させ、対応するヒドロキシカルボン酸のア
    ンモニウム塩を生成させるカルボン酸塩生成工程、(1
    2)生成したヒドロキシカルボン酸のアンモニウム塩を
    アルカリ金属水酸化物により対応するヒドロキシカルボ
    ン酸のアルカリ金属塩に変換する塩交換工程、(6)塩
    交換工程で生成したアンモニアを回収するアンモニア回
    収工程、(5)前記塩交換工程(12)の前、又は前記ア
    ンモニア回収工程(6)の前若しくは後の工程として、
    ヒドロキシカルボン酸の塩を含む混合液を濃縮する濃縮
    工程、(2)アンモニアが回収され且つ濃縮された後の
    ヒドロキシカルボン酸のアルカリ金属塩を含む混合液
    を、バイポーラ膜と、陽イオン交換膜及び陰イオン交換
    膜から選択された少なくとも1つのイオン交換膜とから
    構成される電気透析装置による電気透析に供し、ヒドロ
    キシカルボン酸とアルカリ金属水酸化物とを生成させる
    電気透析工程、(7)前記アンモニア回収工程(6)で
    回収したアンモニアをシアンヒドリン化合物の製造原料
    であるシアン化水素の製造工程へ循環して使用する工
    程、及び(14)前記電気透析工程(2)で生成したアル
    カリ金属水酸化物を前記塩交換工程(12)で再利用する
    工程を含むカルボン酸の製造方法。
  20. 【請求項20】 (1)シアンヒドリン化合物を水和し
    て少なくとも対応するヒドロキシカルボン酸に変換させ
    る能力を有する微生物又はその処理物をシアンヒドリン
    化合物に作用させ、対応するヒドロキシカルボン酸のア
    ンモニウム塩を生成させるカルボン酸塩生成工程、
    (5)生成したヒドロキシカルボン酸のアンモニウム塩
    を含む混合液を濃縮する濃縮工程、(2)この濃縮工程
    (5)で得られた濃縮液を、バイポーラ膜と、陽イオン
    交換膜及び陰イオン交換膜から選択された少なくとも1
    つのイオン交換膜とから構成される電気透析装置による
    電気透析に供し、ヒドロキシカルボン酸とアンモニアと
    を生成させる電気透析工程、(6)前記電気透析工程
    (2)で生成したアンモニアを回収するアンモニア回収
    工程、及び(7)前記アンモニア回収工程(6)で回収
    したアンモニアをシアンヒドリン化合物の製造原料であ
    るシアン化水素の製造工程へ循環して使用する工程を含
    むカルボン酸の製造方法。
  21. 【請求項21】 さらに、(3)シアンヒドリンに微生
    物又はその処理物を作用させて得られる反応混合液を当
    該反応系にリサイクルする工程、(8)電気透析工程
    (2)で生成したヒドロキシカルボン酸と水とを含む混
    合液から有機溶媒によりヒドロキシカルボン酸を抽出す
    るカルボン酸抽出工程、及び(9)カルボン酸抽出工程
    (8)で得られた有機層からヒドロキシカルボン酸と有
    機溶媒とを分離するカルボン酸分離工程から選択された
    少なくとも1つの工程を含む請求項16、18〜20の
    いずれかの項に記載のカルボン酸の製造方法。
  22. 【請求項22】 さらに、(17)カルボン酸抽出工程
    (8)の水層を加水分解工程(1B)又は電気透析工程
    (2)に循環する工程、及び(10)カルボン酸分離工程
    (9)で回収した有機溶媒をカルボン酸抽出工程(8)
    又はアミド抽出工程(4)の抽出溶媒として再利用する
    工程のうち少なくとも1つの工程を含む請求項21記載
    のカルボン酸の製造方法。
  23. 【請求項23】 さらに、(18)アンモニア回収−濃縮
    工程(6,5)又は濃縮工程(5)において留出した水
    を水和工程(1A)又はカルボン酸塩生成工程(1)に循
    環する工程を含む請求項18〜20のいずれかの項に記
    載のカルボン酸の製造方法。
  24. 【請求項24】 シアンヒドリン化合物が下記式(I
    a) 【化1】 [式中、R1 、R2 は、同一又は異なって、水素原子、
    又は置換基を有していてもよい炭化水素基を示し、R1
    とR2 は隣接する炭素原子と共に環を形成していてもよ
    い。但し、R1 とR2 は同時に水素原子ではない]で表
    わされる化合物である請求項16、18〜20のいずれ
    かの項に記載のカルボン酸の製造方法。
  25. 【請求項25】 式(Ia)において、R1 、R2 が、
    同一又は異なって、C1-12アルキル基、C2-12アルケニ
    ル基、C2-12アルキニル基、C3-10シクロアルキル基、
    6-14アリール基、又はC7-10アラルキル基である請求
    項24記載のカルボン酸の製造方法。
  26. 【請求項26】 シアンヒドリン化合物が、2−ヒドロ
    キシ−4−メチルチオブタンニトリルである請求項24
    記載のカルボン酸の製造方法。
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