JPH1017928A - 被削性および疲労強度に優れた高周波焼入用の歯車用鋼材の製造方法 - Google Patents
被削性および疲労強度に優れた高周波焼入用の歯車用鋼材の製造方法Info
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Abstract
として要求される疲労強度および衝撃特性等の諸特性
も、従来の浸炭プロセスで製造されるギヤーと同等以上
の特性を有する、高周波焼入れによる歯車用の機械構造
用鋼を提供する。 【解決手段】C:0.5 〜0.75mass%、Si:0.5 〜1.8 ma
ss%、Mn:0.1 〜0.4 mass%、P:0.015 mass%以下、
S:0.020 mass%以下、Al:0.019 〜0.05mass%、O:
0.0015mass%以下、N:0.003 〜0.015 mass%を含有
し、残部はFeおよび不可避的不純物の組成になる鋳片
を、加熱温度:1100〜1250℃、終了温度:1000℃以上の
条件下に熱間圧延を施す。
Description
車用鋼材の製造方法に関し、特にその被削性および疲労
強度の向上を図ろうとするものである。
0.2 mass%程度の炭素を含有する浸炭用合金鋼を用いて
鍛造→切削→旋削→歯切りにより所定の形状に加工した
後、浸炭焼入れ焼戻し処理によって歯車として必要な機
能を付与することにより製造されている。このような浸
炭プロセスによる製造は、ギヤー製造の主流プロセスと
なっているが、浸炭には 800〜950 ℃程度の温度で数時
間の処理が必要なことから、歯車製造プロセスにインラ
イン化することが難しく、このため生産性の向上ひいて
は製造コストの低減には自ずから限界があった。
一般的であるが、ガス浸炭時には被処理材の表面に表面
異常層が不可避に生成し、この異常層が疲労強度および
衝撃特性を低下させるために、疲労強度および衝撃特性
の向上にも限度があった。さらに、浸炭焼入れ時に発生
する熱処理歪みによって被処理材に変形が生じるため、
熱処理条件の厳密な制御が必要とされるところにも問題
を残していた。
ロセスを前提として、鋼材中のSi,Mn, Crを低減し、Mo,
Ni等を添加することによってガス浸炭時に発生する表
面異常層を低減し、疲労強度および衝撃特性の改善を意
図した高強度浸炭用鋼が開発されたが、この鋼は、高価
な合金元素を多量に用いるために、鋼材コストの上昇を
招くだけでなく、被削性等の加工性が劣化するところに
問題を残していた。
構造用合金および炭素鋼を用いて、浸炭焼入れプロセス
よりも生産能率が高い高周波焼入れによるギヤーの製造
が試みられているが、これらの鋼種は本来ギヤーへの適
用を考慮して決定された化学組成ではないため、浸炭プ
ロセスによって製造されるギヤーのように、自動車のト
ランスミッションやデファレンシャルに用いられる高強
度のギヤーへの適用は難しく、従って比較的低強度の歯
車のみへの適用に止まっている。
ば特開昭60−169544号公報には、化学組成を特定の範囲
に規制することによって、高周波焼入れプロセスによる
歯車の製造にも適用できるようにした鋼材が提案されて
いる。しかしながら、発明者らの検討によれば、上記公
報に開示の化学組成では、従来の浸炭用鋼に比較して被
削性が極端に低下するために、製造工程において必須の
プロセスである切削工程での能率が低く、浸炭焼入れか
ら高周波焼入れへのプロセスの変更による生産性の向上
には限度があった。
うな従来の問題を有利に解決するもので、被削性に優れ
るのはいうまでもなく、ギアーとして要求される諸特性
についても、従来の浸炭プロセスで製造されるギヤーと
同等以上の特性を確保することが可能な、高周波焼入れ
による歯車の製造に用いて好適な機械構造用鋼の有利な
製造方法を提案することを目的とする。
記の目的を達成すべく、歯車に要求される特性を高周波
焼入れプロセスにおいて確保するための鋼材の化学組成
について綿密な検討を行った。その結果、以下のような
知見を得るに至った。ギヤーには、歯元強度、歯面強度
および衝撃特性が要求される。ここに、歯元強度とは、
歯部が繰り返し応力を受け歯元部から疲労破壊を生じな
い最大の応力を意味する。ところで、この歯元強度は、
回転曲げ等の疲労試験による疲労強度と良い相関がある
ことから、発明者らは回転曲げ疲労試験によって鋼材の
化学組成を検討した。
子は、材料の硬さおよび非金属介在物であり、材料硬さ
が低下すると疲労強度も低下する。ここに、高周波焼入
れによって、浸炭焼入れ材とほぼ同等の硬さを確保しよ
うとすると、C量としては約 0.5mass%程度以上が必要
である。また、疲労強度を向上させるためには、これば
かりでなくオーステナイト粒径を細粒にすることが有効
である。この理由は、疲労亀裂が、旧オーステナイト粒
径に沿って伸展していくことから、これを細粒化するこ
とによって疲労亀裂伝播に対する抵抗が増大し、しかも
P等のように粒界に偏析しこれを脆化させる元素の濃度
が細粒化により減少するからである。
るので、オーステナイトの細粒化に対しては極めて有効
であるが、オーステナイト粒の成長を抑制する析出物を
形成するN, Al等を添加すると一層細粒化するので、疲
労強度はより向上する。また、所定の素材硬さを得るた
めには、焼入れ性確保の面から合金元素の添加が必要と
なるが、これは歯車のサイズに応じて適正量添加すれば
よい。
素材硬さを確保するだけでは不十分で、非金属介在物も
併せて低減する必要がある。すなわち、素材硬さを確保
することができても、非金属介在物が存在するとこの部
分から疲労破壊を生じ、疲労強度が著しく低下するから
である。特にアルミナのような硬質の非金属介在物は有
害である。このためにはOの低減が必須であるが、発明
者の検討によれば、浸炭処理材と同程度の疲労強度を確
保する上からは、0.0015mass%以下にすることが不可欠
である。
ピッチングと呼ばれる疲労損傷が生じる。これが生じる
とギヤーは正常な機能を発揮することが難しくなるので
歯面強度が必要とされる。この歯面強度は、転動疲労試
験と良い相関があり、この試験により評価することが可
能である。ただし、ギヤーの場合には歯面部に相対すべ
りが発生するのでこの摩擦によって著しい温度上昇が生
じるが、この温度上昇により鋼材は軟化し、ピッチング
が発生する。これを抑制するためには、鋼に焼戻し軟化
抵抗を高めるSi, Mo, VおよびNb等を添加することが有
効であり、これらの添加により歯面強度を高めることが
できる。
合、鋼材の衝撃特性が低いと歯元部から歯が折損しギヤ
ーのみならずギヤーの組み込まれている機械全体が回復
が困難なほどの損傷を受けることになる。このため、衝
撃特性は極めて重要な特性である。衝撃特性に影響を及
ぼす因子としてはCの影響が最も大きいが、浸炭プロセ
スを経て浸炭を施された部分のC濃度は約 0.8mass%程
度であるのに対し、高周波焼入れにより同等の鋼材硬さ
を得るために必要なCは 0.5〜0.7 mass%程度であるの
で衝撃特性確保の観点からは有利である。しかし、衝撃
特性に影響を及ぼす因子はそれだけでなく、高周波焼入
れ時のオーステナイト粒径および粒界に偏析したP等の
不純物元素も影響を及ぼすので、γ粒の細粒化およびP
等の不純物元素の低減が衝撃特性の向上の上でも有効で
ある。
必要とされる特性を確保する対応だけでは、高周波焼入
れによるギヤーの製造法としては不十分であり、前述し
たとおり、加工性とくに被削性の確保が重要である。こ
の被削性については、浸炭プロセスの場合には、低C鋼
が使用されるため、浸炭焼入れ前の状態では比較的高い
被削性を持っているが、他方、高周波焼入れプロセスの
場合には、浸炭鋼よりも高C化が不可欠であるため、被
削性確保の点からは極めて不利である。
に及ぼす諸因子について検討した結果、以下に述べるよ
うな知見を得るに至った。すなわち、Cが 0.5mass%以
上の鋼では、快削性元素を一定とした場合、最も被削性
に影響を及ぼす因子はそのミクロ組織であり、特にフェ
ライト量とパーライトの形態が最も著しい影響を及ぼす
ことが判明した。高C鋼の場合、ミクロ組織としてはフ
ェライト−パーライト組織となるが、フェライトが増加
すると被削性は向上する。これはフェライト量が増加す
ることにより鋼材の硬さが減少することに加え、フェラ
イトの増加により、切削時の亀裂の発生部であるフェラ
イト/パーライト界面が増加するため被削性が向上する
のである。
響を及ぼす。すなわち、パーライトラメラーが層状によ
く発達した組織の場合には、パーライト部の延性が高い
ため、切削時の亀裂の発生部はフェライト/パーライト
界面に限定されるが、かようなラメラーが発達していな
い組織の場合には、切削時に変形を受ける部分ではフェ
ライト/パーライト界面の他にパーライト中のセメンタ
イト/フェライト界面からも亀裂が容易に発生するよう
になるので、被削性が飛躍的に向上するのである。この
ような未発達のパーライトを形成させるためには、鋼中
の合金元素の選択およびその適正化が重要であり、変態
点を低下させてラメラーの層状化を促進するMnやCrの低
減が特に効果的である。また、Moの添加は、ラメラーの
層状化を抑制し、セメンタイトの分断された組織を形成
させるので、被削性の向上に有効である。
法についても検討し、以下に述べる知見を得た。鋼中に
形成されるMnSは、熱間圧延に伴って圧延方向に伸長す
るが、その程度は熱間圧延条件によって異なる。MnSが
伸長すると、この伸長方向に対し直角の方向から採取し
た試料の疲労強度は極端に低下する。この理由は、伸長
したMnSが疲労亀裂の起点となるからである。実際のギ
ヤーにおいては、MnSの伸長方向に対し直角に歯が形成
されることが多いため、MnSの伸長が実際のギヤーの疲
労強度を低下させるおそれがある。また、MnSの形状は
被削性にも影響を及ぼし、MnSの伸長が被削性を劣化さ
せることは周知である。
めには、熱間圧延時におけるMnSの伸長を抑制する必要
がある。MnSの伸長を抑制するためには、Caを添加して
球状のCaSを形成する方法が知られているが、Caの添加
は同時に粗大なCa系の酸化物系非金属介在物の形成を招
き、その結果、転動疲労寿命の低下をもたらす。
熱間圧延時における加熱温度および熱間圧延条件につい
て検討した結果、以下の知見を得た。すなわち、熱間圧
延時における加熱温度を上げると、これに伴ってMnSが
一部固溶し、鋳片段階よりもMnSの粒径は減少する。こ
の材料を熱間圧延すると、粒径の減少によってMnSはよ
り低温での加熱の場合よりも伸長度は小さい。また、一
旦固溶したMnSは圧延途中で比較的微細に再析出するの
で鋼材の平均的なMnSの伸長程度は低温加熱の場合に比
べて格段に抑制される。さらに、加熱圧延前のMnSの形
状に関して検討した結果、MnSが伸長したものほどその
後の圧延による伸長も大きいことが判明した。
長する温度域は 900〜1000℃であり、この温度域よりも
高い領域または低い領域ではその伸長の程度は小さくな
ることが判明した。従って、加熱温度を高めると共に、
圧延温度域として 900〜1000℃の温度域を回避すれば、
MnSの伸長を抑制することができ、ひいては疲労特性お
よび被削性の改善が期待できるわけである。
たもので、その要旨構成は次のとおりである。 1)C:0.5 〜0.75mass%、Si:0.5 〜1.8 mass%、M
n:0.1 〜0.4 mass%、P:0.015 mass%以下、S:0.0
20 mass%以下、Al:0.019 〜0.05mass%、O:0.0015m
ass%以下、N:0.003 〜0.015 mass%を含有し、残部
はFeおよび不可避的不純物の組成になる鋳片を、熱間圧
延より鋼材とするに際し、1100〜1250℃の温度に加熱
後、1000℃以上の温度で熱間圧延を終了することを特徴
とする被削性および疲労強度に優れた高周波焼入用の歯
車用鋼材の製造方法(第1発明)。
8 mass%、Mn:0.1 〜0.4 mass%、P:0.015 mass%以
下、S:0.020 mass%以下、Al:0.019 〜0.05mass%、
O:0.0015mass%以下、N:0.003 〜0.015 mass%を含
有し、残部はFeおよび不可避的不純物の組成になる鋳片
を、2段階の熱間圧延により鋼材とするに際し、1100〜
1250℃の温度に加熱後、1000℃以上の温度で第1段の熱
間圧延を終了し、さらに1050〜1150℃の温度に加熱後、
1000℃以上の温度で第2段の熱間圧延を終了することを
特徴とする被削性および疲労強度に優れた高周波焼入用
の歯車用鋼材の製造方法(第2発明)。
組成が、さらにMo:0.05〜0.5 mass%、B:0.0003〜0.
005 mass%、Ti:0.005 〜0.05mass%、Ni:0.1 〜1.0
mass%のうちから選んだ少なくとも一種を含有するもの
である被削性および疲労強度に優れた高周波焼入れ用の
歯車用鋼材の製造方法。
組成が、さらにV:0.05〜0.5 mass%、Nb:0.01〜0.5
mass%のうちから選んだ少なくとも一種を含有するもの
である被削性および疲労強度に優れた高周波焼入れ用の
歯車用鋼材の製造方法。
組成が、さらにMo:0.05〜0.5 mass%、B:0.0003〜0.
005 mass%、Ti:0.005 〜0.05mass%、Ni:0.1 〜1.0
mass%のうちから選んだ少なくとも一種、ならびにV:
0.05〜0.5 mass%、Nb:0.01〜0.5 mass%のうちから選
んだ少なくとも一種を含有するものである被削性および
疲労強度に優れた高周波焼入れ用の歯車用鋼材の製造方
法。
の範囲に限定した理由について説明する。 C:0.5 〜0.75mass% Cは、高周波焼入れにより従来の浸炭鋼と同程度の表面
硬さを得るために必須の成分であり、少なくとも 0.5ma
ss%以上の添加が必要である。しかしながら、0.75mass
%を超えて添加するとギヤーに必要とされる衝撃特性お
よび被削性が劣化するので、0.75mass%までの添加とす
る。
に有効な元素であり、従来の浸炭プロセスによるギヤー
と同程度の歯面強度を確保するためには少なくとも0.5
mass%以上の添加が必要であるが、1.8 mass%を超えて
添加するとフェライトの固溶硬化により硬さが上昇し被
削性の低下を招くので、 0.5〜1.8 mass%の範囲に限定
した。
深さを確保する上で必須の元素であるが、0.1 mass%未
満の添加ではその効果に乏しく、他方0.4 mass%を超え
て添加すると、フェライト量を減少せしめると同時に、
パーライトの層状化を促進するため被削性を低下させ
る。したがって、Mn量は0.1 〜0.4 mass%の範囲で添加
するものとする。
させることによって、歯元強度を低下させるだけでな
く、衝撃特性を低下させるので、できるだけ低減するこ
とが望ましいが、0.015 mass%以下で許容される。
労強度を低下させるものの、一方でMnSは被削性を向上
させる元素でもあるので、0.020 mass%以下で添加する
ものとした。
破壊の起点となって歯元強度を低下させる他、歯面強度
も低下させるので、極力低減することが望ましいが、0.
0015mass%までは許容される。
合してAlNを形成し、これが高周波加熱時のオーステナ
イト粒の成長を抑制することにより衝撃特性および歯元
疲労強度の向上に有効に寄与するので積極的に添加する
が、0.019 mass%未満の添加ではその添加効果に乏し
く、一方0.05mass%を超えて添加してもその効果は飽和
に達するので、 0.019〜0.05mass%の範囲に限定した。
のオーステナイトの成長を抑制することによって衝撃特
性および疲労強度を向上させるので積極的に添加する
が、0.003 mass%以下の添加ではその効果が小さく、一
方 0.015mass%を超えて添加すると熱間変形能を低下さ
せることにより連続鋳造時に鋳片の表面欠陥を著しく増
加させるので、0.003 〜0.015 mass%の範囲に限定し
た。
明では上記の必須成分の他、焼入れ性改善成分としてM
o, B, TiおよびNiのうちから選んだ少なくとも一種を
適宜添加することができる。これらの成分の好適含有量
は以下のとおりである。 Mo:0.05〜0.5 mass% Moは、焼入れ性向上に有用な元素であり、焼入れ性を調
整するために用いる。Moの添加は、同時にパーライトの
組織形態に著しい影響を及ぼし、セメンタイトが分断さ
れたパーライトを形成する。この結果、被削性を著しく
向上させる。また、Moは焼戻し軟化抵抗を向上させるの
で歯面強度も向上させることができる。さらに、Moは粒
界に偏析するP等の不純物元素を低減させることにより
歯元強度および衝撃特性を向上させる作用があり、本目
的においては有用な元素であるので積極的に添加する。
しかしながら、添加量が0.05mass%未満ではその添加効
果に乏しく、一方 0.5mass%を超えて添加すると高周波
焼入れのような急速短時間の加熱ではオーステナイト中
への溶解が困難な炭化物が形成されるので、0.05〜0.5
mass%の範囲で添加する必要がある。
で、その他の合金元素を低減させることができる。ま
た、Bは粒界に優先的に偏析し、粒界に偏析するPの濃
度を低減して、歯元強度および衝撃特性を向上させる効
果もある。かような効果を得るためには、0.0003mass%
以上の添加が必要であるが、0.005 mass%を超えて添加
してもその効果は飽和するので、B量は0.0003〜0.005
mass%の範囲に限定した。
であるが、一方でBはNと結合しやすい元素であり、こ
の場合には上記した好適な効果が消失する。このBの焼
入れ性向上効果をB以上にNと結合しやすいTiを添加す
ることにより充分発揮させることができるので、Tiはこ
のような場合に用いる。しかしながら、含有量が0.005
mass%未満ではその効果は小さく、一方0.05mass%を超
えて添加するとTiNが多量に形成される結果、これが疲
労破壊の起点となって歯元強度および歯面強度を低下さ
せるので、Tiは 0.005〜0.05mass%の範囲で添加するも
のとした。また、TiNは高周波加熱時のオーステナイト
粒径を細粒化する作用があるのでTiの単独添加のみでも
歯面強度および疲労強度を向上させる作用がある。この
場合にも添加量としては 0.005〜0.05mass%の範囲が好
適である。
く、衝撃特性を改善する効果もあるので、焼入れ性を調
整する場合または衝撃特性の改善が必要とされる場合に
用いる。しかしながら、0.1 mass%未満の添加ではその
添加効果に乏しく、一方Niは極めて高価な元素であるの
で1.0 mass%を超えて添加すると鋼材のコストが上昇
し、本発明の目的に反するようになるので、 0.1〜1.0
mass%の範囲で添加するものとした。
選んだ少なくとも一種を添加することができる。これら
の作用は以下のとおりある。高周波焼入れプロセスを経
る場合には、被処理材の中心部の硬さを確保するために
前熱処理として焼入れ焼戻し処理を施すのが一般的であ
る。しかし、この熱処理はコストを増大させるためなる
べくこれを省略することが望ましい。前処理としてのQT
を省略するためには、高周波焼入れ前の素材硬さを上昇
させておく必要があるが、そのためには析出強化作用を
有するVおよびNbの添加が効果的である。
波焼入れ前の前熱処理としての焼入れ焼戻し処理を省略
する必要のある場合に添加するが、0.05mass%未満の添
加ではその効果が小さく、一方 0.5mass%を超えて添加
してもその効果は飽和に達するので、0.05〜0.5 mass%
の範囲で添加するものとした。また、Vの添加は鋼材の
焼戻し軟化抵抗性の改善にも有効なので、歯面強度の向
上の面でも極めて有用である。
波焼入れ前の前熱処理としての焼入れ焼戻し処理を省略
する必要のある場合に添加するが、0.01mass%未満の添
加ではその効果が小さく、一方 0.5mass%を超えて添加
してもの効果は飽和に達するので、0.01〜0.5 mass%の
範囲で添加するものとした。また、NbはVと同様、鋼材
の焼戻し軟化抵抗性の改善にも有効に寄与するので、歯
面強度の向上元素としても有効である。
る。第1発明において、加熱温度を1100〜1250℃の範囲
に限定したのは、加熱温度が1100℃未満ではMnSが全く
固溶せず、ほとんどが鋳造ままの粗大なMnSのまま圧延
されることになるので、圧延による伸長を抑止できず、
一方1250℃を超えると粒界が部分的に溶融し熱間変形能
が低下して熱間圧延そのものが困難になるからである。
また、熱延温度を1000℃以上としたのは、前述したとお
り、これを下回る温度ではMnSの伸長が著しいからであ
る。
延を、加熱温度:1100〜1250℃、熱延終了温度:1000℃
以上としたのは、上記した第5発明の場合と同様であ
る。また、第2段の熱間圧延では、第1段の熱間圧延に
よってMnSは微細化されているので、加熱温度を1150℃
以下まで下げることができる。しかしながら、加熱温度
が1050℃を下回ると、後続の熱間圧延温度を1000℃以上
に維持することが困難となるので、加熱温度は1050〜11
50℃とする必要がある。なお、この第2段の熱間圧延で
でも、熱延温度を1000℃以上とする必要があるのは、第
1段の場合と同じである。
プロセスにより、 560×400 mmのブルームとした。つい
で表2, 3に示す条件下に熱間圧延を施して 150mm角ビ
レットとしたのち、50mmφの棒鋼に圧延した。この50mm
φ棒鋼を熱間鍛造により30mmφ棒鋼とした。この30mmφ
棒鋼に 845℃, 30min の焼入れ後、550℃の焼戻しの処
理を施した。これらを素材として、8mmφ平滑の回転曲
げ疲労試験片および27mmφの転動疲労試験片を作製し、
15 kHzの高周波焼入れ試験機により表面焼入れを行い、
その後 180℃,1hの焼戻し処理を行った。また、30mm
φの焼入れ焼戻し材に同一の高周波焼入れ処理焼戻し処
理を行い、この表面近傍より2mm10Rノッチの衝撃試験
片を作製した。さらに、転炉−連鋳プロセスにて溶製
し、上記と同じプロセスを経て90mmφに圧延し、その後
30mmφに熱間鍛造したSCM420鋼を用いて上記と同様の試
験片を作製し、これらに 930℃, 4h(炭素ポテンシャ
ル:0.88)→焼入れの浸炭処理を施したのち、 180℃,
2hの焼戻しを施した。
度、転動疲労寿命および被削性について調べた結果を、
表2,3に併記する。なお、衝撃試験は、シャルピー衝
撃試験機を用いて+20℃の条件で行った。疲労試験は、
小野式回転曲げ疲労試験機を用いて常温で3600 rpmの速
度で実施した。転動疲労試験は、試験片に 130mmφのロ
ーラを押し付けることによって、3677MPa の接触応力を
与え、表面にピッチングが生じるまでの応力繰り返し数
で評価した。また、熱間鍛造ままの状態で超硬工具P10
を用いて、切り込み:2mm、送り:0.25mm/rev、切削速
度:200 m/min の条件で切削試験を行った。被削性の評
価は逃げ面摩耗0.2mm に達するまでの切削時間により評
価した。なお、高周波焼入れおよび浸炭焼入れ後の硬化
層をピクリン酸水溶液により腐食し旧オーステナイト粒
径を現出し、その粒径を測定した。
ある。No.13 〜24は、鋼組成は本発明の範囲を満足する
ものの、熱延条件が適正範囲を外れたものであり、No.2
5 〜32は鋼組成が本発明の範囲外の場合である。またN
o.33 は従来例であるSCM420鋼である。No.1〜12の発明
例は、従来例に対し、衝撃特性、疲労強度、転動疲労寿
命および被削性ともに優れている。一方、No.13 〜24
は、発明例に比べるとC方向の疲労強度および被削性が
低下している。また、C方向の疲労強度は従来鋼よりも
低く、熱間圧延条件が本発明の適正範囲を満足しないと
従来鋼と同等の特性を確保することは困難であることを
示している。No.25 〜32は、成分組成が本発明の範囲外
の場合であり、衝撃特性、疲労強度、転動疲労寿命およ
び被削性の内いずれかの特性が従来鋼よりも劣ってい
る。
種々の鋼を、転炉−連続鋳造プロセスにより、 560×40
0 mmのブルームとした。ついで表4, 5に示す条件下に
熱間圧延を施して 150mm角ビレットとしたのち、50mmφ
の棒鋼に圧延した。この50mmφ棒鋼を熱間鍛造により30
mmφ棒鋼とした。この30mmφ棒鋼に 845℃, 30min の焼
入れ後、550 ℃の焼戻しの処理を施した。これらを素材
として、実施例1と同様にして、疲労試験片、転動疲労
試験片および衝撃試験片を作製した。かくして得られた
各試料の衝撃値、疲労強度、転動疲労寿命および被削性
について調べた結果を、表4,5に併記する。
も従来例よりも高く、本発明を適用することによって、
高周波焼入れにより浸炭鋼と同等の特性を得ることがで
きることが判る。No.13 〜24は、第1段の熱間圧延条件
が本発明の適正範囲外にある場合、またNo.25 〜36は、
第2段の熱間圧延条件が本発明の適正範囲外にある場合
であるが、いずれも発明例に比較するとC方向の疲労強
度の低下が著しく、従来例と比べでもその値は低い。ま
た、被削性も発明例に比較すると低下しており、本発明
の熱間圧延条件を適用することにより、被削性も向上さ
せ得ることが判る。No.37 〜44は、成分組成が本発明の
適正範囲外の場合であるが、衝撃特性、疲労強度、転動
疲労寿命および被削性の内いずれかの特性が従来鋼より
も劣っている。
トで、生産性の高いギヤーの製造が可能となる。特に、
本発明を適用することにより、ギヤーの製造プロセスを
従来の浸炭焼入れから高周波焼入れに変化させることが
可能であり、ギヤーの製造コストの低減に資すること大
である。
Claims (5)
- 【請求項1】C:0.5 〜0.75mass%、 Si:0.5 〜1.8 mass%、 Mn:0.1 〜0.4 mass%、 P:0.015 mass%以下、 S:0.020 mass%以下、 Al:0.019 〜0.05mass%、 O:0.0015mass%以下、 N:0.003 〜0.015 mass%を含有し、残部はFeおよび不
可避的不純物の組成になる鋳片を、熱間圧延より鋼材と
するに際し、1100〜1250℃の温度に加熱後、1000℃以上
の温度で熱間圧延を終了することを特徴とする被削性お
よび疲労強度に優れた高周波焼入用の歯車用鋼材の製造
方法。 - 【請求項2】C:0.5 〜0.75mass%、 Si:0.5 〜1.8 mass%、 Mn:0.1 〜0.4 mass%、 P:0.015 mass%以下、 S:0.020 mass%以下、 Al:0.019 〜0.05mass%、 O:0.0015mass%以下、 N:0.003 〜0.015 mass%を含有し、残部はFeおよび不
可避的不純物の組成になる鋳片を、2段階の熱間圧延に
より鋼材とするに際し、1100〜1250℃の温度に加熱後、
1000℃以上の温度で第1段の熱間圧延を終了し、さらに
1050〜1150℃の温度に加熱後、1000℃以上の温度で第2
段の熱間圧延を終了することを特徴とする被削性および
疲労強度に優れた高周波焼入用の歯車用鋼材の製造方
法。 - 【請求項3】 請求項1または2において、鋳片の組成
が、さらに Mo:0.05〜0.5 mass%、 B:0.0003〜0.005 mass%、 Ti:0.005 〜0.05mass%、 Ni:0.1 〜1.0 mass%のうちから選んだ少なくとも一種
を含有するものである被削性および疲労強度に優れた高
周波焼入用の歯車用鋼材の製造方法。 - 【請求項4】 請求項1または2において、鋳片の組成
が、さらに V:0.05〜0.5 mass%、 Nb:0.01〜0.5 mass% のうちから選んだ少なくとも一種を含有するものである
被削性および疲労強度に優れた高周波焼入用の歯車用鋼
材の製造方法。 - 【請求項5】 請求項1または2において、鋳片の組成
が、さらに Mo:0.05〜0.5 mass%、 B:0.0003〜0.005 mass%、 Ti:0.005 〜0.05mass%、 Ni:0.1 〜1.0 mass%のうちから選んだ少なくとも一
種、ならびに V:0.05〜0.5 mass%、 Nb:0.01〜0.5 mass%のうちから選んだ少なくとも一種
を含有するものである被削性および疲労強度に優れた高
周波焼入用の歯車用鋼材の製造方法。
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|---|---|---|---|
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1996
- 1996-06-28 JP JP16927796A patent/JP3550886B2/ja not_active Expired - Fee Related
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