JPH101825A - ポリエステル複合繊維の製造方法 - Google Patents

ポリエステル複合繊維の製造方法

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JPH101825A
JPH101825A JP15538296A JP15538296A JPH101825A JP H101825 A JPH101825 A JP H101825A JP 15538296 A JP15538296 A JP 15538296A JP 15538296 A JP15538296 A JP 15538296A JP H101825 A JPH101825 A JP H101825A
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fiber
spinning
necking
polymer
speed
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JP15538296A
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Takashi Ochi
隆志 越智
Akira Kidai
明 木代
Mototada Fukuhara
基忠 福原
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Toray Industries Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ポリエステル繊維を製造する際、特定のポリ
マを芯成分とすることにより、単位時間あたりの吐出量
増加、すなわち生産性の向上をはかること、および従来
の工業的な高速紡糸繊維の欠点を改善することを目的と
するものである。 【解決手段】 鞘成分にポリエステル、芯成分に該鞘成
分よりも伸長粘度の温度依存性が大きいポリマを配し、
複合繊維全体に対して芯成分の複合比を1〜10重量%
としたポリエステル芯鞘複合繊維を紡糸し、紡糸速度8
000〜15000m/分でネッキング倍率7倍以下で
ネッキングを発生させることを特徴とするポリエステル
複合繊維の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は生産性の向上ができ
る、実質的にポリエステルから成るポリエステル複合繊
維の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ポリエステル繊維は、機械的特性をはじ
めとして様々の優れた特性を有しているため、衣料用途
をはじめとして産業資材用途にも広く利用されている。
従来、ポリエステル繊維を得るためには重合体を溶融紡
糸し、次いで延伸する、いわゆる2工程法が一般的であ
った。一般に、溶融紡糸しただけの繊維はその繊維の内
部構造が発達しておらず、力学特性や寸法安定性に劣る
ため、別工程での延伸による構造の形成と固定を行なう
ものである。その延伸倍率は溶融紡糸条件、特に紡糸速
度に依存しており、過大な倍率設定は糸切れや風合いの
低下につながるので、延伸倍率には限度がある。また、
紡糸工程における生産性は単位時間当りの吐出量に大き
く依存する。所望の繊度の繊維を得るに際し、前記した
如く延伸倍率に限界があると、未延伸繊維の繊度、すな
わち紡糸の吐出量は自ずと制限され、2工程法における
生産性向上には限界がある。
【0003】近年、特にポリエチレンテレフタレート
(以下PETと略す)の引取速度を5000m/分以上
として、延伸することなく、1工程で実用的な強伸度特
性を有し、さらに熱収縮率が2工程法の従来延伸糸より
も低く寸法安定性の良い繊維を得る工程法が工業的に採
用されつつある。しかも、紡糸工程における生産性は単
位時間当りの吐出量に大きく依存するため、高速にすれ
ばするほど生産性は向上する。
【0004】しかしながら、PETでは紡糸速度を70
00m/分より高速にすると強度が低下することが、例
えば繊維学会誌、vol.33、T−208(197
7)に開示されている。特に紡糸速度8000m/分以
上では糸切れ等が多発し製糸性が悪いことのみならず、
顕著な強伸度特性の低下が発生するため、実用に供する
事ができない。
【0005】そのため超高速紡糸繊維の製糸性や強伸度
特性の改善に関して様々な試みがなされていた。例え
ば、加熱筒を使用し、ネッキング倍率を5倍以上として
引取る方法が特開平1―148808号公報に開示され
ている。しかし、この方法では紡糸速度10000m/
分で得られた繊維の伸度がわずか18%と低すぎるため
実用に供する事はできない。特開平6−93512号公
報には、口金直下に加熱シュラウドを設置し、その温度
を漸次降下させ、ネッキング倍率を3倍以下で引取る方
法が開示されている。該技術で紡糸速度10000m/
分以上で追試を行ったところ、強伸度特性の改善が不十
分であることが判明した。さらに、加熱シュラウドを用
いる方法で、その効果を上げるためには加熱温度を高く
したり加熱長を長くする必要があり、加熱による上昇気
流のため糸搖れが大きくなり繊度斑や染斑が発生し易く
なる問題点があった。また、加熱のためのエネルギーが
大きくなり、かえってコストが高くなったり、装置が過
度に大きくなり紡糸の作業性が悪化する問題点があっ
た。
【0006】また、特開昭62―263309、263
314、263315号公報に気流を利用する方法が開
示されている。しかしベンチュリー型の気流付与装置を
使用した場合は、紡糸速度10000m/分で得られた
繊維では伸度が低すぎる。一方、細管を利用した気流付
与装置を使用した場合は紡糸速度10000m/分では
低強度の繊維しか得られず、さらに熱収縮率が60%程
度と高すぎる。しかも超高速紡糸に気流を利用した場
合、気流付与装置内の乱流を制御することが難しいた
め、染斑や繊度斑が多発する問題点がある。また、装置
が過度に大きくなり、糸通し等の作業性が非常に悪くか
えって生産性の低下をきたしてしまう。
【0007】一方、ポリマ改質により超高速紡糸繊維の
強伸度特性の改善を試みた例もある。特開昭62―21
816号公報にはPETの分子鎖末端を金属スルホネー
ト基で封鎖し紡糸する方法が開示されている。しかしこ
の場合も紡糸速度10000m/分で得られた繊維では
伸度が低すぎる。また、ポリマ改質により、原料コスト
が高騰してしまう。特開昭62―21817号公報には
異種ポリマを少量ブレンドする方法が開示されている。
この場合も紡糸速度10000m/分で得られた繊維で
は低強度な繊維となる。しかも、該技術では異種ポリマ
が繊維表面に露出しているため、染色時に白化する等の
危険性がある。また、異種ポリマがポリメチルメタクリ
レートやポリスチレンのように低軟化点のポリマの場
合、例えば仮撚等の高温処理を行うと融着を起こす等の
問題点もある。
【0008】このように、従来の技術では超高速紡糸に
より実用的な強伸度特性を有する繊維を得ることはでき
なかった。
【0009】ところで、繊維学会誌、vol.51、p
408に鞘部にポリスチレンを50重量%配した芯鞘複
合紡糸において、PETの配向が低下することが示され
ている。しかしながら該報文においては、紡糸速度は7
000m/分程度であり、紡糸速度8000m/分以上
の超高速紡糸におけるネッキングについて何等記載がな
されていない。さらに、紡糸速度7000m/分で得ら
れた繊維は、PET部分の複屈折度は0.016程度で
あり、しかも広角X線回折で結晶性の反射ピークが観測
されていないことより、低配向でしかも非晶性の繊維で
あり、そのままで実用的な強伸度特性を有する繊維は得
られていない。さらに該技術のように多量にポリスチレ
ンを複合したポリエステル繊維において、糸切れ無くネ
ッキングを発現させることは極めて困難であることが以
下の例から予想される。
【0010】例えば、芯としてポリスチレンを30重量
%配したポリエステル未延伸糸を延伸すると、芯ポリス
チレンが部分的に切断し太細糸となることが、特開昭5
0−157617号公報他に開示されている。従って鞘
部に多量のポリスチレンを配した複合未延伸ポリエステ
ル繊維においてネッキングを発生させると、鞘部が切断
を生じることが予想される。また、紡糸が可能であって
も異種ポリマの含有率が大きいと異種ポリマ性質が強く
発現し、実質的にPET繊維の優れた機械的特性を奏す
るものは得られない。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明は超高速紡糸に
より生産性の向上をはかるとともに、前記問題点を解決
し高強伸度特性を有する繊維を安定に生産性良く提供す
るものであります。
【0012】
【課題を解決するための手段】前記した本発明の目的
は、鞘成分にポリエステル、芯成分に該鞘成分よりも伸
長粘度の温度依存性が大きいポリマを配し、複合繊維全
体に対して芯成分の複合比を1〜10重量%としたポリ
エステル芯鞘複合繊維を紡糸し、紡糸速度8000〜1
5000m/分でネッキング倍率7倍以下でネッキング
を発生させることを特徴とするポリエステル複合繊維の
製造方法により達成される。
【0013】
【発明の実施の形態】鞘成分のポリエステルとしてはP
ET、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフ
タレート等が挙げられるが、PETが最も汎用的に用い
られており好ましい。またポリエステルは、ジオール成
分および酸成分の一部が各々15mol%以下の範囲で
他の共重合可能な成分で置換されたものであってもよ
い。また、これらは艶消剤、難燃剤、帯電防止剤、顔料
などの添加物を含有していてもよい。
【0014】芯成分ポリマは、伸長粘度の温度依存性が
鞘成分のそれより高いポリマを含むポリマである。ここ
で言う伸長粘度の温度依存性の相対比較は例えば以下の
ようにして行うことができる。すなわち、比較するポリ
マを同一の紡糸条件(紡糸機、パック、口金孔径、フィ
ラメント数、冷却条件、紡糸速度等)で最終的な繊維径
も同一となるように別々に紡糸を行い、それぞれ糸速度
または繊維径を紡糸線に沿って測定する。そして、より
紡糸線上流で変形する方が伸長粘度の温度依存性が高い
と判断できる。
【0015】鞘成分より伸長粘度の温度依存性が高い特
定の芯成分ポリマとしては、ポリスチレン系ポリマ、ポ
リアクリレート系ポリマ、アクリレート−スチレン共重
合ポリマ、またはポリメチルペンテン系ポリマ等が挙げ
られるが、取扱い易さと良好な強伸度特性と熱収縮特性
を奏することからポリスチレン系ポリマが好ましい。
【0016】また、ポリマ種が同一である範囲では該芯
成分ポリマの粘度が高い方が本発明の効果が大きい。そ
のため、例えば汎用ポリスチレンの場合はメルトフロー
レート(以下MFRと略す)が2.5以下とすることに
より、一層の効果を有する。なお、MFRの測定法はI
SO R1133に定められている。
【0017】該芯成分ポリマは、鞘成分より伸長粘度の
温度依存性が高いポリマ単独でも良いし、本発明の効果
を発現する範囲であれば該鞘成分より伸長粘度の温度依
存性が高いポリマとポリエステル等他のポリマとブレン
ドしたものでもよい。このように、ブレンドポリマを用
いる場合には、本発明における複合比は該鞘成分より伸
長粘度の温度依存性が高いポリマの複合繊維全体に占め
る重量分率で定義される。なお、ブレンドポリマ中の該
鞘成分より伸長粘度の温度依存性が高いポリマの含有
率、すなわちブレンド比は30〜70重量%とし、かつ
複合繊維全体に占める該鞘成分より伸長粘度の温度依存
性が高いポリマの含有率は1〜10重量%とする。本発
明で言う複合比とは該鞘成分より伸長粘度の温度依存性
が高いポリマの複合繊維全体に占める含有率のことを言
うものとする。ただし、ネッキング倍率の制御の点から
この時ブレンド状態が分子オーダーにまでおよぶよう
な、完全に均一な分散にならないような配慮がなされる
ことが好ましい。
【0018】また、芯鞘複合形状に特に制限は無く、同
心円芯鞘でも偏心芯鞘でもよいし、芯が複数あるものや
海島構造のものでもよい。すなわち、該芯成分ポリマが
繊維軸方向に一定の量で連続的に存在し、さらに繊維表
面に露出していないことが必要である。
【0019】伸長粘度の温度依存性が高い該芯成分ポリ
マの複合比は、複合繊維全体に対して1〜10重量%と
する。複合比が10重量%より高いと、該芯成分ポリマ
が顕在化し、強度寸法安定性などが低下してしまう。一
方、1重量%より小さい複合比は、滞留時間が長くなり
すぎ、分解やゲル化等が発生し製糸性が低下する場合が
ある。該芯成分ポリマの複合比は好ましくは2〜7重量
%、さらに好ましくは3〜6重量%である。このように
芯鞘複合繊維とし、さらに該芯成分ポリマをごく少量と
することにより、紡糸線上で加熱、冷却等の特別な操作
を加えなくとも超高速紡糸においても良好な製糸性を保
つことができることも大きな利点である。
【0020】生産性を向上させ、しかもネッキングを発
生させるため紡糸速度は8000m/分以上とする。紡
糸速度8000m/分未満と低いと生産性向上効果が低
いのみならず、ネッキングが発生せず実用的な強伸度特
性を有する繊維が得られないことがある。、好ましくは
9000m/分以上、より好ましくは10000m/分
以上である。巻取速度15000m/分程度が上限とな
る。
【0021】ネッキング倍率は(ネッキング直後の糸速
度/ネッキング直前の糸速度)で定義される。本発明で
はネッキング倍率を7倍以下とすることが肝要である。
ネッキング倍率がこれより大きいと、繊維の変形が急激
すぎるため強伸度特性の劣ったものとなる。好ましくは
5倍以下、さらに好ましくは3倍以下である。
【0022】また本発明の紡糸方法を採用することによ
り超高速紡糸により生産性が向上するのみならず、以下
のように従来の工業的に利用されている高速紡糸繊維
(紡糸速度6000m/程度)を超える優れた特性の繊
維を得ることができる。
【0023】まず超高速紡糸において従来得ることが非
常に困難であった、強度3.5cN/dtex(4.0
g/d)以上、かつ伸度30%以上の特性を有する繊維
を得ることができることが最大の特徴である。強度3.
5cN/dtex(4.0g/d)以上であると、高次
工程での糸切れやアルカリ減量による強度低下を防止す
ることができる。また、伸度が30%以上であると織編
み等の高次工程で糸切れや毛羽を防止することができ
る。さらに巻取の際、ボビンの自動切り替え時に切替え
成功率も良好となる。伸度が37%以上であれば高次工
程通過性やボビンの自動切り替え成功率がさらに向上す
る。
【0024】また、降伏応力が1.5cN/dtex
(1.7g/d)以上と良好な耐衝撃性を有している。
そのため本発明により得られる繊維は、ウォータージェ
ットルームの緯糸に採用することが可能となる。工業的
に利用されている高速紡糸繊維では降伏応力が低いため
耐衝撃性に劣り、ウォータージェットルームの緯糸に採
用した場合毛羽やひけが発生する問題があった。本発明
により得られる繊維ではこの問題点を解決し、工業的に
利用されている高速紡糸繊維を越える品質を有してい
る。
【0025】ところで、本発明の高速紡糸法により得ら
れる繊維は低い熱収縮率を有しているため、熱寸法安定
性が良好であり、染色工程でのシワの発生等の問題を解
決できるメリットもある。さらに工業的に利用されてい
る紡糸速度6000m/分程度の高速紡糸繊維を越える
高い熱収縮応力を持っているため、強撚糸への適用もで
きる。
【0026】このように本発明の採用により、優れた特
性を有する繊維を得ることができる理由はよく分からな
いが、以下のように考えられる。
【0027】まず第一のポイントはある特定のポリマを
複合繊維の芯成分に採用することにより、複合繊維のネ
ッキング直前の糸速度をポリエステル単独紡糸の場合よ
り上昇させ、ネッキング倍率を低下させることにある
(図1)。紡速10000m/分での糸速度プロフィー
ルを図1に示す。PET単独紡糸の場合ネッキング前後
の糸速度は597m/分、8400m/分でネッキング
倍率は14倍であったが、ポリスチレン複合紡糸の場合
ではそれぞれ4915m/分、9992m/分でネッキ
ング倍率は2倍まで低下している。ポリエステルとある
特定のポリマの複合紡糸により、このようなネッキング
の制御ができることは、これまで全く知られていなかっ
た。このように、ネッキング倍率を下げることができた
ため、紡速8000m/分以上の超高速紡糸繊維であっ
ても実用的な強伸度特性と熱収縮特性を有する繊維を初
めて得ることができた。
【0028】このようなネッキング直前の糸速度を上昇
させる効果を発現させる特定の芯成分ポリマは以下のよ
うな役割を担っていると考えられる。すなわち、芯成分
ポリマでは該ポリエステルより伸長粘度の温度依存性が
高いため、該ポリエステルが紡糸線上で本来細化する位
置よりも上流で該芯成分ポリマの細化が進み、この該芯
成分ポリマの細化により該ポリエステルが強制的に細化
させられるのである。これにより、ネッキング直前の糸
速度が、該ポリエステル本来の糸速度よりもよりも上昇
し、結果としてネッキング倍率が低下することになる。
【0029】ただし該芯成分ポリマのこのような作用
は、伸長粘度の温度依存性の程度および/または伸長粘
度の絶対値に大きく影響されている。そして、伸長粘度
の絶対値の効果に関しては、MFRにより簡便的に見積
もることができる。該芯成分ポリマのMFRが小さい方
が伸長粘度の絶対値が大きく、該作用が大きいと見積も
ることができる。ただしこの見積もりは、伸長粘度の温
度依存性がほぼ同一と考えられる同種類のポリマ間の比
較に限られる。
【0030】さらにネッキング倍率低減の効果は該芯成
分ポリマの複合比にも大きく影響され、MFR一定の場
合は複合比率が高いほど効果が高い(表1)。このよう
に、ネッキング倍率低減の効果が該芯成分ポリマの粘度
特性や複合比率に大きく影響されるため、該芯成分ポリ
マの種類やMFR、複合比率等を所望の繊維特性や紡糸
速度に合わせて選ぶ必要がある。
【0031】本発明で得られたポリエステル繊維は、生
糸のままで、あるいは撚糸、仮撚加工糸として、パンス
ト、タイツ、水着、靴下などのストレッチ素材やインナ
ーウェア、スポーツウェア、ブラシ、キャンパスなどの
従来の用途、および裏地、スラックス、ブルゾン、ブラ
ウスなどの衣料用途や、リボン、テープ、ベルトなどの
資材用途に好適に用いることができる。
【0032】
【実施例】以下、本発明を実施例を用いて詳細に説明す
る。なお、実施例中の測定方法は以下の方法を用いた。
【0033】A.極限粘度[η] オルソクロロフェノール中25℃で測定した。
【0034】B.強度および伸度 JIS L1013にしたがい、オリエンテック社製引
張試験機で試料長50mm、引張速度50mm/分の条
件で荷重−伸長曲線を求めた。次に荷重値を初期の繊度
で割り、それを強度とし、伸びを初期試料長で割り伸度
とした。表1には強度、伸度の最大値を載せた。
【0035】C.降伏応力 前記した強度および伸度から強度−伸度曲線を求め、図
3に示すように強度−伸度曲線の最初の変曲点での強度
を降伏応力とした。
【0036】D.熱収縮応力 カネボウエンジニアリング社製熱応力測定器により以下
の条件で測定を行った。試料は10cm×2のループと
した。初期張力として2.7×10-3Nを付加し、乾
熱、定長下昇温速度150℃/分で測定を行った。そし
て発生した最大荷重をループ試料の総繊度で割り、熱収
縮応力とした。
【0037】E.熱収縮率 繊維をかせ取りし、98℃の沸騰水に15分間浸漬した
後、処理前後の寸法変化を測定し次の式から計算した。 熱収縮率=[(処理前長−処理後長)/処理前長]×1
00
【0038】F.ネッキング倍率 マルバーン社製レーザードップラー速度計(タイプ62
00)を用い、チムニー前面より走行している単糸にレ
ーザー光を照射し、糸速度測定を行った。そして糸速度
ジャンプが観測された点をネッキングとし、その前後の
糸速度から以下のようにしてネッキング倍率を求めた。 ネッキング倍率=(ネッキング直後の糸速度/ネッキン
グ直前の糸速度)
【0039】G.MFR ISO R1133にしたがって測定した。
【0040】H.繊維長手方向の周期斑 東レエンジニアリング社製連続熱収縮斑測定システムF
TA−500により、測定温度100℃で連続湿熱応力
を測定した。糸速度は10m/分、チャート速度は6c
m/分とした。
【0041】実施例1および比較例1 極限粘度0.63のPETとPETより伸長粘度の温度
依存性が大きいポリマとしてポリスチレン(MFR=
1.1、電気化学工業社製デンカスチロールMT−2)
をそれぞれ別々に溶融し、絶対濾過径5μのステンレス
製不織布フィルタにより濾過した後、ポリスチレンを
芯、PETを鞘の同心円状の芯鞘複合にして、孔数36
の口金から吐出した。この時ポリスチレンの複合比は5
重量%とした。紡糸温度は300℃、吐出量は単糸繊度
2.2dtexになるように調整した。吐出した糸条
は、吐出後常法により冷却、給油後交絡を付与し引取ロ
ーラーを介して巻取機で巻取った。この時、引取ローラ
の速度(紡糸速度)は10000m/分とした。ネッキ
ング倍率、得られた繊維の特性を表1に示す。
【0042】また、PET単独紡糸を前記複合紡糸と同
じ条件で行った。ネッキング倍率、得られた繊維の特性
を表1に示す。
【0043】ポリスチレンを芯成分とし紡糸速度100
00m/分での糸速度プロフィールを図1の曲線Aに示
す。PET単独紡糸速度10000m/分の場合(図1
曲線B)に比べネッキング直前の糸速度が上昇しネッキ
ング倍率が低下していることが分かる。
【0044】また表1より、PET単独紡糸では紡速1
0000m/分で得られた繊維は低強度、低伸度であ
り、実用的ではないが、ポリスチレンをPETに少量複
合し紡糸しただけで、紡糸速度10000m/分でも実
用的な強伸度特性、高い降伏応力、適度な熱収縮特性を
有する繊維が得られることが分かる。また、ポリスチレ
ンを芯成分とし紡糸速度10000m/分で得られた繊
維の繊維の強度−伸度曲線を図2の曲線Aに、PET単
独紡糸速度10000m/分で得られた繊維の強度−伸
度曲線を図2の曲線Bに示した。ポリスチレンを少量複
合することにより良好な強伸度曲線となることがわか
る。また、糸切れ回数と、繊維長手方向の周期斑も表2
に併記した。複合繊維とすることによりブレンド糸に比
べ斑の少ない繊維が製糸性良く得られることが分かる。
【0045】実施例2および比較例2 鞘成分であるPETより伸長粘度の温度依存性が大きい
ポリマとしてポリスチレン(MFR=1.1、電気化学
工業社製デンカスチロールMT−2およびMFR=2.
1、旭化成社製スタイロン685)、ポリメチルメタク
リレート(住友化学工業社製スミペックスMH)、ポリ
メチルペンテン(三井石油化学社製“TPX”RT1
8)とし、紡糸速度を変更した(8000〜14000
m/分)以外は実施例1と同様な条件で紡糸を行った。
選んだポリマの種類、紡糸速度、ネッキング倍率、得ら
れた繊維の特性を表1に示す。
【0046】また、PET単独紡糸を前記複合紡糸と同
じ条件で行った。、紡糸速度(6000、8000m/
分)、ネッキング倍率、得られた繊維の特性を表1に示
す。
【0047】PET単独紡糸では紡速8000m/分で
得られた繊維は低強度、低伸度であり、実用的ではな
い。一方、PETより伸長粘度の温度依存性が大きいポ
リマをPETに少量複合し紡糸すると、紡糸速度800
0m/分以上でもネッキング倍率が7倍以下となり、実
用的な強伸度特性、高い降伏応力、適度な熱収縮特性を
有する繊維が得られることが分かる。また、ポリスチレ
ンについてはMFRが低い、すなわち粘度が高い方が同
一紡糸速度ではネッキング倍率が低く効果が高いことが
分かる(実験No1とNo6およびNo3とNo7)。
また、糸切れ回数と、繊維長手方向の周期斑も表2に併
記した。複合繊維とすることによりブレンド糸に比べ斑
の少ない繊維が製糸性良く得られることが分かる。
【0048】実施例3 ポリスチレン(デンカスチロールMT−2)の複合比率
を1〜10重量%とし、紡糸速度を変更した以外は実施
例1と同様の条件で溶融紡糸を行った(実験No.16
〜19)。それぞれの複合比率におけるネッキング倍
率、繊維の強度、伸度、降伏応力、熱収縮応力、熱収縮
率を表1に示す。ポリスチレンの複合比率が1〜10重
量%であれば実用的な強伸度特性、高い降伏応力、適度
な熱収縮特性を有する繊維が得られることが分かる。ま
たポリスチレンの複合比率が高くなるほど、ネッキング
倍率を低下させる効果が大きい。そのため7および10
重量%の場合は紡糸速度を上げた。
【0049】比較例3 ポリスチレン(デンカスチロールMT−2)の複合比率
を0.5および12重量%とし、紡糸速度を変更した以
外は実施例1と同様の条件で溶融紡糸を行った(実験N
o.20〜22)。それぞれの複合比率におけるネッキ
ング倍率、繊維の強度、伸度、降伏応力、熱収縮応力、
熱収縮率を表1に示す。ポリスチレンの複合比率が0.
5重量%の場合は紡糸速度8000m/分でも低強度の
繊維となった。また、複合比率が13重量%で紡糸速度
が10000m/分の場合は紡糸線上でネッキングを生
じず熱収縮率の高い繊維しか得られなかった。一方、紡
糸速度が15000m/分の場合は紡糸線上でネッキン
グが生じ倍率も2倍と十分低いものの、複合比率が高す
ぎるためポリスチレンによる悪影響が発現し低強度の繊
維となった。
【0050】比較例4 ポリスチレンとして旭化成社製スタイロン9403(M
FR=4.0)を用い、複合比率を5または10重量%
とし紡糸速度を変更した以外は実施例1と同様な条件で
溶融紡糸を行った(実験No.23〜25)。それぞれ
の複合比率におけるネッキング倍率、繊維の強度、伸
度、降伏応力、熱収縮応力、熱収縮率を表1に示す。複
合比率が5重量%の場合、紡糸速度8000m/分では
ネッキング倍率が7倍となり実用的な強伸度特性を有す
る繊維が得られたが、紡糸速度10000m/分ではネ
ッキング倍率が大きくなり過ぎ低強度の繊維しか得られ
なかった。また汎用ポリスチレンの範囲で複合比率を5
重量%と一定にして、MFR=4.0、2.1、1.1
のものを比較すると、紡糸速度10000m/分の場合
ネッキング倍率はそれぞれ9倍、6倍、2倍となり、M
FRが大きい方がネッキング倍率を下げる効果が低いこ
とがわかる(表1)。
【0051】ところで、MFR=4.0のポリスチレン
を芯成分とした場合でも複合比率を10重量%とする
と、紡糸速度10000m/分でネッキング倍率が7倍
となり、強伸度特性が良好な繊維を得ることができた。
しかしネッキング倍率を低下させる効果が低いため生産
性向上の点からは高粘度タイプのポリスチレンに比べて
不利であることがわかる。
【0052】比較例5 実施例1で使用したPETおよびポリスチレン(スタイ
ロン685)を5重量%2軸エクストルーダーで混練
し、実施例2と同様の条件で溶融紡糸を行った。その時
の糸切れ回数と、繊維長手方向の周期斑を表2に示す
(実験No.26〜28)。複合に比べ、ブレンドの場
合ポリマの混合ムラが大きくそれに起因する粘度ムラの
ため紡糸が不調となり、糸切れが多発した。紡糸速度1
0000m/分以上では断糸が多くサンプリング不可能
であった。また、繊維長手方向の周期斑も悪化した。
【0053】
【表1】
【表2】
【0054】
【発明の効果】 【図面の簡単な説明】
【図1】 糸速度プロフィールを表す図である。
【図2】 本発明により得られた繊維の強度−伸度曲線
を表す図である。
【図3】 降伏応力を示す図である。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 鞘成分にポリエステル、芯成分に該鞘成
    分よりも伸長粘度の温度依存性が大きいポリマを配し、
    複合繊維全体に対して芯成分の複合比を1〜10重量%
    としたポリエステル芯鞘複合繊維を紡糸し、紡糸速度8
    000〜15000m/分でネッキング倍率7倍以下で
    ネッキングを発生させることを特徴とするポリエステル
    複合繊維の製造方法。
  2. 【請求項2】 鞘成分よりも伸長粘度の温度依存性が大
    きい芯成分ポリマがポリスチレン系ポリマ、ポリアクリ
    レート系ポリマ、アクリレート−スチレン共重合ポリ
    マ、またはメチルペンテン系ポリマから選ばれる1種以
    上のポリマである請求項1記載のポリエステル複合繊維
    の製造方法。
  3. 【請求項3】 鞘成分が実質的にポリエチレンテレフタ
    レートである請求項1または2記載のポリエステル複合
    繊維の製造方法。
  4. 【請求項4】 芯成分ポリマのメルトフローレートが
    2.5以下である請求項2または3記載のポリエステル
    複合繊維の製造方法。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001355136A (ja) * 2000-06-13 2001-12-26 Toray Ind Inc 多色性複合加工糸およびその製造方法

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