JPH10195665A - 放電プラズマ処理方法 - Google Patents

放電プラズマ処理方法

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JPH10195665A
JPH10195665A JP9002908A JP290897A JPH10195665A JP H10195665 A JPH10195665 A JP H10195665A JP 9002908 A JP9002908 A JP 9002908A JP 290897 A JP290897 A JP 290897A JP H10195665 A JPH10195665 A JP H10195665A
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JP
Japan
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discharge
electrodes
gas
pulse
discharge plasma
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Application number
JP9002908A
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English (en)
Inventor
Takuya Yara
卓也 屋良
Motokazu Yuasa
基和 湯浅
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sekisui Chemical Co Ltd
Original Assignee
Sekisui Chemical Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 雰囲気ガスの種類を問わず、大気圧近傍の圧
力下で均一な放電プラズマを発生させ、この放電プラズ
マを利用した基材の表面処理方法を提供する。 【解決手段】 大気圧近傍の圧力下で、対向する一対の
電極81,82間に放電電流密度0.2〜300mA/
cm2 の放電を生じさせ、このとき、好ましくは一対の
電極の少なくともいずれか一方に固体誘電体85を設置
し、かつ、電極間にはパルス状の電圧を印加すること
で、大気圧近傍の任意の雰囲気ガス中でグロー放電を支
配的とし、均一な放電プラズマを得て基材の処理に供す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、大気圧近傍の圧力
下における基材の放電プラズマ処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から、低圧条件下でグロー放電させ
ることによって発生するプラズマを用いて、表面改質を
行う方法が実用化されている。
【0003】しかし、低圧条件下での処理は、真空容器
並びに真空装置が必要であるとともに、バッチ的に処理
を行うごとに真空容器の真空破壊並びに真空引きを行う
必要があって、工業的には不利であり、電子部品等の高
価な被処理品に対してのみにしか適用されていないのが
実情である。
【0004】このような点に鑑みて、従来、大気圧近傍
の圧力下で放電プラズマを発生させる方法が提案されて
いる。例えば大気圧近傍のヘリウムとケトンの混合雰囲
気下で発生させたプラズマを用いて処理を行う方法が特
公平2−48626号公報に開示され、アルゴン並びに
ヘリウムおよび/またはアセトンからなる大気圧近傍の
雰囲気下で発生させたプラズマにより処理を行う方法が
特開平4−74525号公報に開示されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記した各
提案方法においては、いずれも、ヘリウムや、アセトン
等のケトン類、といった特定のガスを含む雰囲気中での
処理であり、雰囲気ガスの種類が限定されるという問題
がある。
【0006】また、ヘリウムは高価であるため工業的に
用いるには不利であり、ケトン等の有機化合物からなる
ガスを含有させた場合には、有機化合物自体が被処理体
と反応する場合が多く、所望の表面改質ができないとい
った問題もある。
【0007】本発明はこのような実情に鑑みてなされた
もので、雰囲気ガスの種類を問わず、しかも大気圧近傍
の圧力下で均一な放電プラズマを発生させることのでき
る方法と、その方法によって発生したプラズマを利用し
た表面処理方法の提供を目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明の放電プラズマ処
理方法は、ガス雰囲気中で対向する一対の電極間に電圧
を印加することにより、そのガス中で発生する放電プラ
ズマにより基材の表面処理を行う方法において、雰囲気
ガスの圧力が大気圧近傍であり、かつ、電極間の放電電
流密度が0.2〜300mA/cm2 であることによっ
て特徴づけられる。
【0009】ここで、本発明の放電プラズマ処理方法に
おいては、一対の電極間にパルス状の電圧を印加するこ
とが、用いる雰囲気ガスの自由度を増大させ得ることか
ら好ましい。
【0010】また、上記のパルス状の電圧の印加により
一対の電極間に作られるパルス電界は、その立ち上がり
および立ち下がり時間がともに40ns〜100μsの
範囲で、かつ、そのパルス電界の強さ、つまりパルス電
界の最大電界強度が1〜100kV/cmの範囲とする
ことが好ましい。
【0011】そして、本発明においては、パルス電界の
周波数を1kHz〜100kHzとし、かつ、その1つ
のパルス電界の形成時間を1μs〜1000μsとする
ことが特に好ましい。
【0012】本発明の放電プラズマ処理方法において、
大気圧近傍の圧力とは、100〜800Torrの圧力
を言い、中でも、圧力調整が容易で装置構成が容易とな
る700〜780Torrの圧力範囲とすることが好ま
しい。
【0013】また、本発明における電極間の放電電流密
度とは、放電により電極間に流れる電流値を、放電空間
における電流の流れ方向と直交する方向の面積で除した
値を言い、電極として平行平板型のものを用いた場合に
は、その対向面積で上記電流値を除した値に相当する。
また、電極間にパルス電界を形成する場合にはパルス状
の電流が流れるが、この場合にはそのパルス電流の最大
値、つまりピーク−ピーク値を、上記の面積で除した値
を言う。
【0014】本発明の表面処理方法においては、上記一
対の電極の少なくともいずれか一方の対向面に固体誘電
体を設置し、一方の電極の対向面に設置された固体誘電
体と他方の電極との間、または一対の電極の双方の対向
面に設置された固体誘電体の間に、基材を配置して処理
を行うようにすることが好ましい。
【0015】また、本発明の放電プラズマ処理方法で
は、用いる雰囲気ガスをアルゴンおよび/または窒素と
することも可能である。本発明は、大気圧近傍の圧力下
でのグロー放電では、下記に示すように、放電電流密度
がプラズマ密度を反映し、表面処理効果を左右する値で
あることを本発明者らの研究により突き止めた結果とし
てなされたものであり、大気圧近傍の圧力下において、
電極間の放電電流密度を前記した0.2〜300mA/
cm2 の範囲とすることにより、均一な放電プラズマを
発生して良好な表面処理結果を得ることができる。
【0016】一般にプラズマ中の電子密度、いわゆるプ
ラズマ密度はプローブ法や電磁波法によって測定され
る。しかし、大気圧近傍の圧力では、電極間の放電は元
来的にアーク放電に移行しやすいので、探針をプラズマ
中に挿入するプローブ法では探針にアーク電流が流れて
しまい、正確な測定はできない。また、発光分光分析や
レーザ吸光分析などによる電磁波法は、ガス種によって
得られる情報が異なるので分析が困難である。
【0017】大気圧近傍の圧力下におけるグロー放電に
おいては、低ガス圧放電に比してガス分子密度が大きい
ので、電離後、再結合までの寿命が短く、電子の平均自
由行程も短い。そのためグロー放電空間が電極に挟まれ
た空間に限定されるという特徴がある。よってプラズマ
中の電子はそのまま電極を通して電流値に変換され、電
子密度(プラズマ密度)は放電電流密度を反映した値で
あると考えられる。このことは、電極が一種のプローブ
として機能すると言い換えることもできる。
【0018】図1に、本発明者らが用いた放電プラズマ
発生装置と、その放電電圧および放電電流の測定に用い
た測定回路図を示す。この放電プラズマ発生装置におい
ては、平行平板型の一対の電極1,2間にパルス電源3
からkVオーダーのパルス状の電圧を印加することによ
り、電極1,2間にパルス電界を形成するとともに、そ
の一方の電極2の対向面には固体誘電体4を設置した。
そして、一方の電極2とアース電位間に抵抗5を直列接
続し、その抵抗5の両端をBNC端子6を介してオシロ
スコープ7に接続することにより、抵抗5の両端の電圧
値を測定して、その抵抗5の抵抗値を用いて放電電流に
換算した。また、放電電圧は、電極1の電位を高圧プロ
ーブ8により1/1000に減衰させたうえで、BNC
端子9〜オシロスコープ7によってアース電位との電位
差を計測することによって測定した。
【0019】この測定回路においては、パルス電界によ
る放電電流が高速に通電・遮断を繰り返しているので、
測定に供したオシロスコープ7は、そのパルスの立ち上
がり速度に対応したナノ秒オーダーの測定が可能な高周
波オシロスコープ、具体的には岩崎通信社製オシロスコ
ープDS−9122とした。また、放電電圧の減衰に用
いた高圧プローブ8は、岩崎通信社製高圧プローブSK
−301HVとした。測定結果を図2に例示する。図2
において波形1が放電電圧であり、波形2が放電電流を
表す波形である。パルス電界の形成による放電電流密度
は、この波形2のピーク−ピーク値の電流換算値を電極
対向面の面積で除した値である。
【0020】さて、本発明において、大気圧近傍の圧力
下での電極間における放電電流密度を、雰囲気ガスの種
類を問わずに、従って用いる雰囲気ガスの選択の自由度
を大きくしたうえで、比較的容易に前記した0.2〜3
00mA/cm2 の範囲を実現する方法として、一対の
電極間にパルス状の電圧を印加する方法を挙げることが
できる。
【0021】すなわち、表面処理等に用いられるグロー
放電によるプラズマ発生は、空間に存在する電子の密度
が高いほど、効率よくガスが分解され、処理効果が高い
ことが知られている。また、放電により多くのガスを分
解して高い電子密度を得るには、高いガス圧下でのガス
放電が有効である。しかしながら、大気圧近傍の圧力下
では、ヘリウム、ケトン等の特定のガス以外のガスで
は、安定してグロー放電状態が継続されず、瞬時にアー
ク放電に移行することが知られている。
【0022】そこで、本発明においては、このような特
定のガス以外の雰囲気ガス、つまりグロー放電状態から
アーク放電状態に至るまでの時間が長い成分を含有しな
い雰囲気ガスを用いる場合、大気圧近傍の圧力下におい
て前記したガス雰囲気中でグロー放電を支配的にするた
めに、電極間にパルス状の電圧を印加して、その間にパ
ルス化された電界を形成する。このようなパルス電界の
形成により、電極間の放電は、グロー放電からアーク放
電に移行する前に止まり、電極間にこのような周期的に
パルス電界を形成すれば、微視的にはパルス的なグロー
放電が繰り返し発生し、結果としてグロー放電状態が継
続することになる。
【0023】以上のように、大気圧近傍の圧力下で、し
かも、ヘリウムやケトン等のグロー放電状態からアーク
放電状態に至るまでの時間の長い成分を有しない雰囲気
中では、電極間にパルス化した電界を形成して、放電電
流密度を0.2〜300mA/cm2 とすることによ
り、はじめて安定した放電プラズマを発生することがで
きるのである。
【0024】このような条件を満足することにより、本
発明の放電プラズマ処理方法によれば、空気中で放電プ
ラズマを発生させることも可能である。公知の低圧条件
下におけるプラズマ処理は勿論、特定のガスを含有させ
た状態での大気圧近傍圧力下におけるプラズマ処理にお
いても、外気から遮断された密閉容器内で処理を行うこ
とが必須であったが、本発明の放電プラズマ処理方法を
用いることにより、開放系での処理が可能となる。
【0025】更に、パルス化された電界を形成する方法
によると、高密度のプラズマ状態を生成できるため、高
速連続処理が達成され、各種工業プロセスに適用するう
えで大きな利点を有する。
【0026】本発明の放電プラズマ発生方法において用
いる電極の材質としては、銅、アルミニウム等の金属単
体、ステンレス、真鍮等の合金、あるいは金属間化合物
等を挙げることができる。
【0027】また、上記電極は電界集中によるアーク放
電の発生を避けるために、電極間の距離がほぼ一定とな
る構造であることが好ましく、この条件を満たす電極構
造としては、平行平板型、円筒対向平板型、球対向平板
型、双曲面対向平板型、同軸円筒型構造等を挙げること
ができる。
【0028】また、本発明においては、上記電極の対向
面の一方または双方に固体誘電体を設置することが好ま
しく、固定誘電体によって覆われずに電極どうしが直接
対向する部位があると、そこからアーク放電が生じやす
くなるため、固体誘電体はこれを設置する側の電極に密
着し、かつ、接する電極の対向面を完全に覆うようにす
る必要がある。
【0029】上記固体誘電体の形状は、シート状でもフ
ィルム状でもよいが、厚みが0.5〜5mm程度である
ことが好ましく、厚すぎると放電プラズマを発生するの
に高電圧を要し、薄すぎると電圧印加時に絶縁破壊が起
こりアーク放電が発生する。
【0030】この固体誘電体の材質は、ポリテトラフル
オロエチレンやポリエチレンテレフタレート等のプラス
チック、ガラス、二酸化珪素、酸化アルミニウム、二酸
化ジルコニウム、二酸化チタニウム等の金属酸化物、チ
タン酸バリウム等の複酸化物等が挙げられる。
【0031】ただし、上記固体誘電体は、比誘電率が2
以上(25°C環境下、以下同)であることが好まし
い。このような誘電体としては、ポリテトラフルオロエ
チレン、ガラス、金属酸化膜等を挙げることができる。
また、放電電流密度が0.2〜300mAである放電プ
ラズマを安定して発生させるためには、比誘電率が10
以上の固定誘電体を用いると有利である。比誘電率の上
限は特に限定されるものではないが、現実の材料では1
8,500程度のものが知られている。比誘電率が10
以上の固体誘電体としては、酸化チタニウム5〜50重
量%、酸化アルミニウム50〜95重量%で混合された
金属酸化物被膜、または、酸化ジルコニウムを含有する
金属酸化物被膜からなり、その被膜の厚みが10〜10
00μmであるものを用いることが好ましい。
【0032】本発明における一対の電極間の距離は、固
体誘電体の厚さ、印加電圧の大きさ、プラズマの利用目
的等を考慮して決定されるが、1〜50mmとすること
が好ましい。1mm未満ではその間に発生するプラズマ
を表面処理等に利用する際の基材の配置のための空隙を
設けるのに不充分であり、50mmを越えると均一な放
電プラズマを発生することが困難となる。
【0033】本発明において、電極間にパルス電圧を印
加する場合、そのパルス波形は特に限定されるものでは
ないが、図3(A),(B)に例示するようなインパル
ス型や、(C)に例示するような方形波型、(D)に例
示するような変調型等を用いることができる。この図3
には印加電圧が正負の繰り返しであるものを例示した
が、正または負のいずれかの極性のみのパルス電圧、い
わゆる片波状のパルス電圧を印加してもよい。
【0034】本発明において電極間に印加するパルス電
圧は、そのパルスの立ち上がり時間および立ち下がり時
間が短いほどプラズマ発生の際のガスの電離が効率よく
行われる。
【0035】特に、電極間に印加するパルス電圧の立ち
上がりおよび立ち下がり時間、換言すれば電極間に形成
されるパルス電界の立ち上がりおよひ立ち下がり時間
は、いずれも40ns〜100μsとすることが好まし
い。40ns未満は現実的でなく、100μsをこえる
と放電状態がアーク放電に移行しやすく不安定なものと
なる。
【0036】なお、ここで言う立ち上がり時間とは、電
圧変化の向きが連続して正である時間を言い、立ち下が
り時間とは、電圧変化の向きが連続して負である時間を
指すものとする。
【0037】また、電極間に形成するパルス電界は、そ
のパルス波形、立ち上がりおよび立ち下がり時間、およ
び周波数を適宜に変調してもよく、このような変調は高
速連続表面処理を行ううえで有効である。なお、パルス
電界は、周波数が高く、パルス幅が短い方が、高速連続
表面処理には適している。
【0038】本発明において電極間に形成するパルス電
界の周波数は、1kHz〜100kHzの範囲とするこ
とが好ましい。1kHz未満であると、放電プラズマを
例えば表面処理に利用する場合、その処理に時間がかか
りすぎ、100kHzを越えるとアーク放電が発生しや
すくなる。
【0039】また、1つのパルス電界の形成時間は、1
μs〜1000μsであることが好ましく、より好まし
くは3μs〜200μsである。1μs未満であると放
電が不安定なものとなり、1000μsを越えるとアー
ク放電に移行しやすくなる。ここで、1つのパルス電界
の形成時間とは、図4に例示するように、ON・OFF
が繰り返されるパルス電界における、1つのパルス波形
の持続時間、換言すればパルスデューティ時間を言う。
【0040】更に、本発明において、パルス電界の強さ
は、放電プラズマの利用目的等によって適宜に選択され
るが、1〜100kV/cmとすることが望ましい。1
kV/cm未満であると表面処理に用いる場合には所要
時間が長くなり、100kVを越えるとアーク放電が発
生するために好ましくない。
【0041】以上のような各条件を満足するパルス電界
を形成するための電源回路の構成例を、図5にブロック
図で示し、また、図6にはその動作の原理を等価的な回
路図によって示す。図6においてSW1〜4は、図5に
おけるスイッチングインバータ回路内でスイッチとして
機能する半導体素子であり、これらの各素子として、5
00ns以下のターンオン時間およびターンオフ時間を
有する半導体素子を用いることにより、電界強度1〜1
00kV/cm、かつ、パルスの立ち上がりおよび立ち
下がり時間がともに40ns〜100μsの高電圧かつ
高速のパルス電界の形成を実現することができる。
【0042】次に、図6を参照しつつその動作原理を簡
単に説明する。+Eは正極性の直流電圧供給部、−Eは
負極性の直流電圧供給部である。SW1〜4は、上記し
た高速半導体素子からなるスイッチング素子である。D
1〜4はダイオードであり、I1 〜I4 は電荷の移動方
向を示している。
【0043】まず、SW1をONにすると、電荷がI1
で示す方向に移動して、放電空間の両端に置かれた一対
の電極の一方側(正極性の負荷)を充電する。次に、S
W1をOFFにしてから、SW2を瞬時にONにするこ
とにより、正極性の負荷に充電された電荷がSW2とD
4を通ってI3 の方向に移動する。
【0044】次いで、SW2をOFFにした後、SW3
を瞬時にONにすると、電荷がI2の方向に移動して他
方側の電極(負極性の負荷)を充電する。更に、SW3
をOFFにしてから、SW4を瞬時にONにすることに
より、負極性の負荷に充電された電荷がSW4とD2を
通ってI4 の方向に移動する。
【0045】以上の動作を繰り返すことにより、図7に
示した波形の出力パルスを得ることができる。〔表1〕
にこの動作表を示す。この〔表1〕に示した数値は、図
7の波形に付した数値と対応させてある。
【0046】
【表1】
【0047】以上の回路の利点は、負荷のインピーダン
スが高い場合であっても、充電されている電荷を、SW
2とD4またはSW4とD2の動作により確実に放電す
ることができる点、および、高速ターンオンのスイッチ
ング素子であるSW1,SW3を使って高速に充電を行
うことができる点にあり、これにより、図4に示したよ
うな立ち上がり時間および立ち下がり時間の極めて短い
パルス状の電圧を、負荷に対して、つまり一対の電極間
に印加することが可能となる。
【0048】なお、本発明の放電プラズマ発生方法にお
いて用いられるパルス電界は、直流電界を重畳すること
を妨げない。本発明の放電プラズマ処理方法は、以上説
明した本発明に固有の放電プラズマの発生方法により一
対の電極間に発生させたプラズマを利用するものであ
り、一対の電極間、または一方の電極の対向面に固体誘
電体を設置する場合にはその固体誘電体と他方の電極の
間、もしくは双方の電極の対向面に固体誘電体を設置す
る場合にはその固体誘電体の間に、処理すべき基材を配
置し、放電プラズマにより表面処理を施す。
【0049】本発明の放電プラズマ処理方法を用いて表
面処理に供される基材の材質としては、ポリエチレン、
ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポ
リエチレンテレフタレート、ポリテトラフルオロエチレ
ン、アクリル樹脂等のプラスチック、ガラス、セラミッ
ク、金属等が挙げられる。基材の形状としては、板状、
フィルム状、シート状のもの等が挙げられるが、特にこ
れらに限定されるものではなく、本発明の放電プラズマ
処理方法によれば、様々な形状の基材の処理に容易に対
応することができる。
【0050】本発明の放電プラズマ処理においては、放
電プラズマ発生空間に存在する気体(以下、処理用ガス
と称する)の選択により任意の処理が可能となる。上記
処理用ガスとしてフッ素含有化合物ガスを用いることに
よって、基材表面にフッ素含有基を形成させて表面エネ
ルギを低くし、撥水性表面を形成することができる。
【0051】このフッ素含有化合物ガスとしては、4フ
ッ化炭素(CF4 )、6フッ化炭素(C2 F6 )、6フ
ッ化プロピレン(CF3 CFCF2 )、8フッ化シクロ
ブタン(C4 F8 )等のフッ素−炭素化合物、1塩化3
フッ化炭素(CClF3 )等のハロゲン−炭素化合物、
6フッ化硫黄(SF6 )等のフッ素−硫黄化合物等が挙
げられる。安全上の観点から、有害ガスであるフッ化水
素を生成しない4フッ化炭素、6フッ化炭素、6フッ化
プロピレン、8フッ化シクロブタンを用いることが好ま
しい。
【0052】また、処理用ガスとして以下のような酸素
元素含有化合物、窒素元素含有化合物、硫黄元素含有化
合物を用いて、酸素気体、酸素気体と水素気体の組合
せ、オゾン、水蒸気、酸素元素を含有する有機化合物気
体を使用し、基材表面にカルボニル基、水酸基、アミノ
基等の親水性官能基を形成させ、表面エネルギーを高く
し、親水性表面を形成することができる。
【0053】上記酸素元素含有化合物としては、酸素、
オゾン、水、一酸化炭素、二酸化炭素、一酸化窒素、二
酸化窒素のほか、メタノール、エタノール等のアルコー
ル類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、メ
タナール、エタナール等のアルデヒド類等の酸素元素を
含有する有機化合物等を挙げることができる。
【0054】これらは単独でも2種以上を混合して用い
てもよい。更に、上記の酸素元素含有化合物と、メタ
ン、エタン等の炭化水素化合物ガスとの混合ガスを用い
てもよい。
【0055】また、上記酸素元素含有化合物にフッ素元
素含有化合物を50体積%以下で添加することにより、
親水化が促進される。このフッ素元素含有化合物として
は、先に述べたフッ素含有化合物と同等のものを用いる
ことができる。
【0056】また、窒素元素含有化合物としては、窒素
ガス、アンモニア等が挙げられる。この窒素含有化合物
と水素を混合して用いてもよい。更に、前記した硫黄含
有化合物としては、二酸化硫黄、三酸化硫黄等が挙げら
れる。
【0057】また、硫酸を気化させて用いることもで
き、これらは単独でも2種以上を混合して用いてもよ
い。更にまた、分子内に親水性基と重合性不飽和結合を
有するモノマーの雰囲気下で処理を行うことにより、基
材表面に親水性の重合膜を堆積させることも可能であ
る。ここで用いる親水性基としては、水酸基、スルホン
酸基、スルホン酸塩基、1級もしくは2級または3級ア
ミノ基、アミド基、4級アンモニウム塩基、カルボン酸
基、カルボン酸塩基等の親水性基を挙げることができ
る。
【0058】また、ポリエチレングリコール鎖を有する
モノマーを用いても、同様に親水性重合膜の堆積が可能
である。上記モノマーとしては、アクリル酸、メタクリ
ル酸、アクリルアミド、メタクリルアミド、N,N−ジ
メチルアクリルアミド、アクリル酸ナトリウム、メタク
リル酸ナトリウム、アクリル酸カリウム、メタクリル酸
カリウム、スチレンスルホン酸ナトリウム、アリルアル
コール、アリルアミン、ポリエチレングリコールジメタ
クリル酸エステル、ポリエチレングリコールジアクリル
酸エステル等が挙げられる。これらモノマーは、単独ま
たは混合して用いられる。
【0059】上記親水性モノマーは一般に固体であるか
ら、溶媒に溶解させたものを減圧等の手段により気化さ
せて用いる。ここで用いる溶媒としては、メタノール、
エタノール、アセトン等の有機溶媒、水、および、これ
らの混合物等が挙げられる。
【0060】更に、Si,Ti,Sn等の金属の金属−
水素化合物、金属−ハロゲン化合物、金属アルコラート
等の処理用ガスを用いて、SiO2 、TiO2 、SnO
2 等の金属酸化物薄膜を基材表面に形成させ、その表面
に電気的、光学的機能を与えることもできる。
【0061】ここで、経済的並びに安全性の観点から、
以上述べた各種の処理用ガスを不活性ガスによって希釈
した雰囲気ガス中で処理することが好ましい。この不活
性ガスとしては、ヘリウム、ネオン、アルゴン、キセノ
ン等の希ガス、窒素ガス等が挙げられ、これらは単独で
も2種以上を混合して用いてもよい。
【0062】従来、大気圧近傍の圧力下においては、ヘ
リウムの存在下での処理が行われてきたが、本発明の方
法によれば、ヘリウムに比して安価なアルゴン、窒素ガ
ス中における安定した処理が可能であることから、これ
らを用いることによって、工業上大きな優位性を示す。
【0063】ここで、処理用ガスはプラズマ発生空間に
均一に供給されることが好ましい。処理用ガスと不活性
ガスの混合気体中で処理を行う場合には、不活性ガスは
処理用ガスに比して一般に軽いので、供給時に不均一な
混合状態とななることを避けるような工夫を講じること
が好ましく、特に面積の大きな基材を処理する場合に
は、雰囲気ガスが不均一な混合状態となりやすいので注
意を要する。処理用ガスと不活性ガスからなる雰囲気ガ
スの混合状態を均一とするためには、例えば一対の電極
のうちの上部電極を多孔構造を持つものとし、その上部
電極に対してガス導入管を連結して処理用ガスを供給
し、この処理用ガスを上部電極の多数の孔を介して電極
間に置かれた基材上方からプラズマ発生空間に導く。一
方、不活性ガスは、これとは別の導入管並びに吐出口を
用いて、プラズマ発生空間に対してその周囲から導く、
といった対策を挙げることができる。なお、気体を均一
に供給可能であれば、このような対策に限定されず、気
体を攪拌または高速で吹きつける等の手段を講じてもよ
い。
【0064】また、本発明の放電プラズマ発生方法並び
に表面処理方法を適用した装置においては、通常、一対
の電極は容器中に収容され、その容器内に雰囲気ガスが
満たされるのであるが、その容器の材質としては、樹
脂、ガラス等を好適に使用することができるが、特に限
定されるものではない。電極と絶縁のとれた構造になっ
ていれば、ステンレス、アルミニウム等の金属を用いる
こともできる。
【0065】本発明の放電プラズマを用いた表面処理方
法においては、処理すべき基材を加熱または冷却しても
よいが、室温下でも充分に処理可能である。なお、本発
明の表面処理方法を、高分子材料などの低融点材料の表
面処理に適用する場合には、放電電流密度の値は、固体
誘電体の厚さ、固体誘電体の誘電率、電極間に形成する
電界強度、電極間距離、処理目的等の諸条件により決定
されるが、1〜200mA/cm2 とすることが好まし
い。放電電流密度が1mA/cm2 未満では、放電が不
安定になりやすく、あるいは均一なグロー放電が生じに
くく、充分な処理効果が得られない。放電電流密度が2
00mA/cm2 を越えると、処理すべき基材が高密度
のプラズマに曝されることによって熱変質する恐れがあ
る。よって、200mA/cm2 を越える放電電流密度
で処理する場合には5秒以下の短時間の処理を行うか、
基材を冷却することが好ましい。
【0066】
【実施例】以下、本発明方法を適用して実際に放電プラ
ズマを発生し、あるいはその放電プラズマを用いて表面
処理を行った例を、比較例とともに述べる。
【0067】<実施例1>この実施例1で用いた装置を
図8に模式的に示す。この装置では、ガラス製の容量8
リットルのチャンバー80内に、上部電極81および下
部電極82を対向配置するとともに、その電極81,8
2間にパルス電源83からパルス電圧を印加するように
構成した。下部電極82は絶縁体84を介してチャンバ
ー80に支承することにより、いわゆる電気的に浮かせ
た状態とした。また、この下部電極82の上面、つまり
上部電極81への対向面には、固定誘電体85を密着し
た状態で設置した。また、容器80には油回転ポンプ
(図示せず)を接続し、その内部の排気を可能とした。
【0068】上部電極81は多孔構造のものとし、ガス
導入管86を連結することによって、上部電極81の多
数の孔から雰囲気ガスをチャンバー内に導入し得るよう
に構成した。
【0069】上部電極81はステンレス製とし、その大
きさ並びに形状は直径80mmの円板状であり、雰囲気
ガス吐出用の、直径1mmの孔を、5mm間隔で多数個
設けた。
【0070】また、下部電極82はステンレス製で、直
径80mmの円板状とし、この下部電極82と上部電極
81との間の距離は4mmとした。この下部電極82の
上面を覆った固体誘電体85の材質はガラスであり、大
きさ並びに形状は140mm角の正方形、厚さは2mm
とし、比誘電率は5である。
【0071】以上の構成により、電極の対向面積は50
cm2 、放電空間の厚みは2mmとなった。また、放電
電圧並びに放電電流は、図8においては図示を省略する
が、前記した図1に示した回路によって測定した。
【0072】さて、以上の装置において、油回転ポンプ
により容器80内を0.1Torr以下にまで排気した
後、ガス導入管86を通じてその内部に流量1000s
ccmのArガスを導入し、容器80内の圧力を760
Torrとした。電極81,82間に周波数4kHz、
立ち上がりおよび立ち下がり時間ともに5μs、ピーク
−ピーク電圧5kVのインパルス電圧を印加したとこ
ろ、電極81,82間に一様な発光が出現した。この発
光は波長763nmに主たる輝線を持つことが観測され
た。
【0073】以上の放電において、電極間電圧が5k
V、従って電界強度が25kV/cmであり、このと
き、400mAの電流が電極間に流れ、8mA/cm2
の放電電流密度を得ることができた。
【0074】<実施例2>図8の装置の固体誘電体85
の上に、50mm角のポリエチレンテレフタレートフィ
ルム(東レ社製ルミラーT150、接触角60°)を配
設し、ガス導入管86を通じて流量20sccmのCF
4 ガスと流量980sccmのArガスの混合ガスを容
器80内に導入した。また、電極81,82間に印加す
るパルス電圧はピーク−ピーク値で10kVとし、上記
のポリエチレンテレフタレートフィルム(以下PETフ
ィルムと称する)を15秒間にわたって放電プラズマ処
理を施した以外は、実施例1と同じとした。
【0075】<実施例3>図8の装置における固体誘電
体85を、ポリテトラフルオロエチレン(大きさ並びに
形状:140mm角、厚さ2mm、比誘電率2.5)と
した以外は実施例2と同じとした。
【0076】<実施例4>図8の装置における固体誘電
体85として、140×140mm×厚み10mmの炭
素鋼(SS41)の片面に、プラズマ容射法で酸化チタ
ニウム13重量%、酸化アルミニウム87重量%の被膜
(比誘電率14)を500μmの厚みで形成したものを
用い、被膜面が上部電極81に臨むように下部電極82
上に配置した。また、電極間に印加するパルス電圧は、
そのピーク−ピーク値を5kVとした。それ以外は実施
例2と同じとした。
【0077】なお、この実施例4では、放電空間の厚み
が2mmとなるように、電極間の距離を12mmとし
た。<実施例5>図8の装置における固体誘電体85と
して、上記と同じ炭素鋼の片面に8重量%のY2 O3 を
含むZrO2 被膜(比誘電率16)を厚み500μmで
形成したものを用いた以外は、実施例4と同じとした。
【0078】以上の実施例2〜5は、PETフィルムの
撥水処理に関する例であり、これらの処理結果を〔表
2〕に纏めて示す。また〔表2〕を基にした処理効果の
放電電流密度依存性を表すグラフを図9に示す。これら
の結果から、いずれの誘電体を用いた場合においても、
撥水効果が得られていることが明らかであり、また、固
体誘電体の比誘電率によって、電極間の電界強度に対す
る放電電流密度の大きさを制御できることが明らかであ
る。
【0079】〔表2〕ないしは図9において、表面F/
Cとは、基材表面のX線光電子分光法により得た表面の
フッ素量と炭素量の比であり、処理時における放電電流
密度が高いほど表面がよりフッ化されていることが明ら
かである。
【0080】
【表2】
【0081】<実施例6>電極81,82間に印加する
パルス電圧の大きさをピーク−ピーク値で2.2kVと
した以外は実施例2と同じとした。この例はガラス誘電
体を用いた場合において、均一な放電が起こる最小の電
圧値で、放電電流密度は1mA/cm2 であった。処理
後のPETフィルムの接触角は100°で、放電下の基
材全面に撥水処理効果が得られた。
【0082】<実施例7>図8の装置において、ガス導
入管86を通じて容器80内に流量1000sccmの
N2 ガスを導入するとともに、電極81,82間に印加
するパルス電圧をピーク−ピーク値で30kVとして、
親水処理を行った以外は、実施例2と同じとした。
【0083】<実施例8>図8の装置において、ガス導
入管86を通じて容器80内に流量1000sccmの
N2 ガスを導入するとともに、電極81,82間に印加
するパルス電圧をピーク−ピーク値で30kVとして、
親水処理を行った以外は、実施例3と同じとした。
【0084】<実施例9>図8の装置において、ガス導
入管86を通じて容器80内に流量1000sccmの
N2 ガスを導入するとともに、電極81,82間に印加
するパルス電圧をピーク−ピーク値で14kVとして、
親水処理を行った以外は、実施例4と同じとした。
【0085】<実施例10>図8の装置において、ガス
導入管86を通じて容器80内に流量1000sccm
のN2 ガスを導入するとともに、電極81,82間に印
加するパルス電圧をピーク−ピーク値で14kVとし
て、親水処理を行った以外は、実施例5と同じとした。
【0086】実施例7〜実施例10の処理結果を〔表
3〕に纏めて示す。また、〔表3〕を基にした親水処理
効果の放電電流密度依存性を表すグラフを、図10に示
す。これらの結果から、いずれの誘電体を用いた場合に
おいても、親水効果が得られていることが明らかであ
り、また、固体誘電体の比誘電率によって、電極間の電
界強度に対する放電電流密度の大きさを制御できること
は、撥水処理の場合と同様であった。
【0087】〔表3〕ないしは図10において、表面N
/Cとは、基材表面のX線光電子分光法により得た表面
の窒素量と炭素量の比であり、処理時における放電電流
密度が高いほど表面に多くの窒素が存在しており、表面
がよりアミノ化されていることが明らかである。
【0088】
【表3】
【0089】<実施例11>印加するパルス電圧のピー
ク−ピーク値を30kVとした以外は実施例10と同じ
とした。放電電流密度は100mA/cm2 であった。
初期接触角は21°となり、表面N/Cは0.5であっ
た。
【0090】<比較例1>PETフィルム基材に、コロ
ナ放電処理装置(春日電機社製、形式:HFSS−10
3)を使用して30kVの電圧を印加して15秒間コロ
ナ放電して、初期接触角35°の親水性の表面処理品を
得た。
【0091】<比較例2>図8の装置において、ガス導
入管86を通じて容器80内に流量10sccmのN2
ガスと流量990sccmのHeガスの混合ガスを導入
し、電極81,82間に印加する電圧として、周波数1
5kHz、ピーク−ピークの電圧値2kVの正弦波電圧
(放電電流密度0.1ma)を用いて親水処理を施した
以外は実施例10と同じとした。初期接触角は30°と
なり、表面N/Cは0.1であった。
【0092】実施例11、比較例1および比較例2で得
られた親水処理後の試料について、60°C環境下(タ
バイエスペック社製ST−110)で親水耐久性促進試
験を行った。処理品の初期接触角をθ0とし、t分後の
接触角をθt、基材の当初の接触角をθ∞と表したとき
の接触角変化量θを、次式により算出した。
【0093】
【数1】
【0094】上式を用いて、上記の3つの試料について
親水性経時変化を調べた結果を図11に示す。この図1
1から明らかなように、本発明実施例11による親水処
理では、従来のコロナ放電処理、Heを用いた常圧プラ
ズマによる処理に比べ、耐久性が約10倍に向上してい
ることが判った。
【0095】<比較例3>図8の装置において、電極8
1,82間に印加するパルス電圧をピーク−ピーク値で
1.5kVとした以外は、実施例3と同じとした。
【0096】放電は電極の1/3程度の面積で起こり、
放電電流密度は0.1mA/cm2であった。接触角は
放電部で80°、それ以外の箇所では70°以下で充分
な撥水処理効果が得られなかった。
【0097】<比較例4>図8の装置において、電極8
1,82間に印加するパルス電圧をピーク−ピーク値で
50kVとした以外は、実施例10と同じとした。
【0098】放電電流密度が250mA/cm2 とな
り、基材の一部が溶け、数カ所にわたって、上部電極8
1に形成した導入ガス吐出用の孔に対応した孔が開い
た。
【0099】
【発明の効果】以上のように、本発明によれば、大気圧
近傍の圧力下において、安定して均一な放電プラズマ処
理を行うことができる。また、電極間にパルス化された
電界を形成することにより、放電空間における雰囲気ガ
スの種類を問わず、安定して均一で、しかも高密度の放
電プラズマを生成することが可能となり、短時間で高い
レベルのプラズマ処理を行うことが可能となった。この
ことは、高速で連続したプラズマ処理を行うことが可能
であることを意味し、特に工業プロセスにおける各種材
料ないしは部品の表面処理等に適用して、極めて有意義
な結果をもたらす。
【0100】また、本発明によれば、パルス電界の立ち
上がり、立ち下がり時間、あるいはその周波数等の設定
条件次第では、ガス雰囲気が限定されず、空気中で安定
した放電プラズマを発生させることも可能となるため、
開放系での処理を行うことができ、放電プラズマ処理の
適用可能な分野が大幅に拡大されることになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用した装置における放電電圧および
放電電流の測定回路の例の説明図
【図2】図1の装置により得られた放電電圧(波形1)
と放電電流(波形2)の測定結果を示すグラフ
【図3】本発明において一対の電極間に印加するパルス
電圧の波形の例の説明図
【図4】本発明で言う1つのパルス電界の形成時間の説
明図
【図5】本発明を適用した装置において用いるのに適し
た電源回路の構成例を示すブロック図
【図6】等価的な回路図で示す図5の回路の動作原理の
説明図
【図7】図6に示された動作原理により得ることのでき
るパルス電圧波形の説明図
【図8】本発明の各実施例で用いた放電プラズマ発生装
置の構成を示す模式図
【図9】本発明の実施例2〜5の結果に基づいて作成し
た、PETフィルムの撥水処理時における撥水効果の放
電電流密度依存性を示すグラフ
【図10】本発明の実施例7〜10の結果に基づいて作
成した、PETフィルムの親水処理時における親水効果
の放電電流密度依存性を示すグラフ
【図11】本発明実施例11と比較例1,2で得られた
親水処理後のPETフィルムについての、各親水性経時
変化を示すグラフ
【符号の説明】
1,2 電極 3 パルス電源 4 固体誘電体 5 抵抗 6,9 BNC端子 7 オシロスコープ 8 高圧プローブ 80 チャンバー 81 上部電極 82 下部電極 83 パルス電源 85 固体誘電体 86 ガス導入管

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ガス雰囲気中で対向する一対の電極間に
    電圧を印加することにより、そのガス中で発生する放電
    プラズマにより基材の表面処理を行う方法において、雰
    囲気ガスの圧力が大気圧近傍であり、かつ、電極間の放
    電電流密度が0.2〜300mA/cm2 であることを
    特徴とする放電プラズマ処理方法。
  2. 【請求項2】 上記一対の電極間にパルス状の電圧を印
    加することを特徴とする、請求項1に記載の放電プラズ
    マ処理方法。
  3. 【請求項3】 上記パルス状の電圧の印加により上記電
    極間に作られるパルス電界の立ち上がりおよび/または
    立ち下がり時間が、ともに40ns〜100μsの範囲
    で、かつ、そのパルス電界の強さが1〜100kV/c
    mの範囲であることを特徴とする、請求項2に記載の放
    電プラズマ処理方法。
  4. 【請求項4】 上記パルス電界の周波数が1kHz〜1
    00kHzであり、かつ、その1つのパルス電界の形成
    時間が1μs〜1000μsであることを特徴とする、
    請求項2または3に記載の放電プラズマ処理方法。
  5. 【請求項5】 上記一対の電極の少なくともいずれか一
    方の対向面に固体誘電体を設置し、一方の電極の対向面
    に設置された固体誘電体と他方の電極の電極との間、ま
    たは一対の電極の双方の対向面に設置された固体誘電体
    の間に、基材を配置して処理を行うことを特徴とする、
    請求項1,2,3または4に記載の放電プラズマ処理方
    法。
  6. 【請求項6】 上記雰囲気ガスがアルゴンおよび/また
    は窒素であることを特徴とする、請求項1,2,3,4
    または5に記載の放電プラズマ処理方法。
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