JPH10196627A - 頭飛びの発生しないねじ及びその製造方法 - Google Patents

頭飛びの発生しないねじ及びその製造方法

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JPH10196627A
JPH10196627A JP464697A JP464697A JPH10196627A JP H10196627 A JPH10196627 A JP H10196627A JP 464697 A JP464697 A JP 464697A JP 464697 A JP464697 A JP 464697A JP H10196627 A JPH10196627 A JP H10196627A
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less
screw
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range
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JP464697A
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Toyoaki Eguchi
豊明 江口
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Toa Steel Co Ltd
Original Assignee
Toa Steel Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 冷間圧造性に優れ、且つ、締めつけ使用時に
頭飛びが発生しないねじ及びその製造方法を開発する。 【解決手段】 重量% で、C:0.05〜0.15% 、Si:0.20%以
下、Mn:0.4〜1.8%、P:0.015%以下、S:0.015%以下、sol.
Al:0.020〜0.080%及びN:0.0060% 以下を含有し、残部鉄
および不可避不純物からなり、且つ炭素当量:Ceq=C
+Si/7+Mn/5が0.40% 以下である化学成分組成を有し、
そして表面のビッカース硬さが550 以上、且つ心部のビ
ッカース硬さが320 〜400 のねじにする。上記ねじにお
いて、成分組成に更に、Cr:0.80%以下、Mo:0.30%以下及
びB:0.0005〜0.0050% の内から少なくとも1種、及び/
又は、Ti:0.005〜0.050%及びNb:0.005〜0.050%の内から
少なくとも1種を付加して含有し、且つ炭素当量式をC
eq=C +Si/7+Mn/5+Cr/9+Mo/6としたもの。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、冷間圧造性に優
れ、且つ、締めつけ使用時に頭飛びが発生しないねじ及
びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、JIS B 1125 のドリリ
ングタッピンねじは、冷間圧造用炭素鋼線材(JIS
G 3507)のSWRCH18Aや22Aを用いて、
伸線、軟化焼鈍、及び仕上げ伸線の工程により、または
上記線材の軟化焼鈍及び仕上げ伸線工程により製造した
前なまし鋼線に、順次ねじ加工、浸炭(浸炭窒化)焼入
れ、焼戻し、メッキ及びベイキングの各処理を施す工程
により製造されてきた。従来、ドリリングタッピンねじ
にSWRCH18Aや22Aが用いられる理由は、それ
がアルミキルド鋼であるため、軟化焼鈍性に優れ、軟質
で高延性であるため冷間加工性に優れているからであ
る。即ち、変形抵抗が小さくこのため工具の寿命が長
く、また、変形能が大きくこのためねじ先端形状の精度
を確保し易いからである。また、C、Mn含有率が比較
的高いため、浸炭硬化性に優れていることも上記理由と
なっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】わが国においては近年
スチールハウスの製造が開始されている。しかしなが
ら、スチールハウスの施工に用いられるドリリングタッ
ピンねじに、従来のドリリングタッピンねじを用いて鋼
板を締めつけると、締めつけ後1日〜2日で、ねじの頭
部が破壊する頭飛び現象が頻発し、問題になっている。
これは一般によく知られている遅れ破壊が、ボルト締め
つけ後数年経過後に発生する現象と比較すると、非常に
短時間で発生しており、遅れ破壊とは区別して考えなけ
ればならない。即ち、ボルトの遅れ破壊は、ボルト締め
つけ後、腐食が進んで水素が進入し、鋼が水素脆化を起
こして破断に至るのに対し、ドリリングタッピンねじの
場合は、腐食は進まず、水素が進入するとは考えられな
い。また、メッキにより水素が進入することも考えられ
るが、これに関しては、300℃程度でベイキングをし
て水素抜きを行っているので、ねじの中に遅れ破壊の原
因となる拡散性水素が残存していることは考えられな
い。
【0004】以上のようなドリリングタッピンねじの頭
飛び現象は、スチールハウスの構造そのものの安全性に
かかわる重要な問題であり、その頭飛びを防止しない限
り、スチールハウスの普及は困難である。
【0005】この発明の目的は、上述したドリリングタ
ッピンねじ等、ねじの頭飛びの発生原因を解明し、頭飛
びの発生しないねじ及びその製造方法を提供することに
ある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記ドリリ
ングタッピンねじの頭飛び現象について鋭意研究を重ね
た。その結果、頭飛び発生の起点となる亀裂の発生を抑
止するよりも亀裂の進展を抑止することにより、ドリリ
ングタッピンねじの頭飛びを防止できることを突き止
め、本発明を完成するに至った。即ち、ねじの表層部に
は、0.1mm程度の厚さの浸炭硬化層が形成されてい
るが、締めつけ後のねじには上記浸炭硬化層内部に微小
な亀裂が発生し、この亀裂が粒界に沿って内部に進展し
破断に至ったものがねじの頭飛びである。上記亀裂の内
部への進展を抑止すれば、頭飛びを防止することができ
る。この亀裂進展を抑止するためには、ねじの非浸炭
部の内部硬度を下げ、且つ、十分な靱性を確保しなけれ
ばならない。このためにはねじのC含有率を低目とし、
ベイナイト等の不完全焼入れ組織の発生を抑え、微細で
完全なマルテンサイト組織を得るため、鋼の焼入れ性を
十分確保することが決定的に重要であり、次いで、結
晶粒界を強化することが有効であることを見出した。
【0007】本発明は、上述した知見に基づきなされた
ものであって、請求項1記載のねじは、C:0.05〜
0.15wt.%、Si:0.20wt.%以下、Mn:0.4
〜1.8wt.%、P:0.015wt.%以下、S:0.01
5wt.%以下、sol.Al:0.020〜0.080wt.%、
及び、N:0.0060wt.%以下を含有し、残部鉄およ
び不可避不純物からなり、且つ、炭素当量:Ceq=C+
Si/7+Mn/5が0.40wt.%以下である化学成分
組成を有し、そして、表面のビッカース硬さHVが55
0以上、且つ心部のビッカース硬さHVが320〜40
0の範囲内であることに特徴を有するものである。
【0008】請求項2記載のねじは、C:0.05〜
0.15wt.%、Si:0.20wt.%以下、Mn:0.4
〜1.8wt.%、P:0.015wt.%以下、S:0.01
5wt.%以下、sol.Al:0.020〜0.080wt.%、
及び、N:0.0060wt.%以下を含有し、更に、C
r:0.80wt.%以下、Mo:0.30wt.%以下、及
び、B :0.0005〜0.0050wt.%からなる群
から選ばれた少なくとも1種、及び/又は、Ti:
0.005〜0.050wt.%、及び、Nb:0.005
〜0.050wt.%からなる群から選ばれた少なくとも1
種、を付加して含有し、残部鉄および不可避不純物から
なり、且つ、炭素当量:Ceq=C+Si/7+Mn/5
+Cr/9+Mo/6が0.40wt.%以下である化学成
分組成を有し、そして、表面のビッカース硬さHVが5
50以上、且つ心部のビッカース硬さHVが320〜4
00の範囲内であることに特徴を有するものである。
【0009】請求項3記載のねじの製造方法は、C:
0.05〜0.15wt.%、Si:0.20wt.%以下、M
n:0.4〜1.8wt.%、P:0.015wt.%以下、
S:0.015wt.%以下、sol.Al:0.020〜0.
080wt.%、及び、N:0.0060wt.%以下を含有
し、残部鉄および不可避不純物からなり、且つ、炭素当
量:Ceq=C+Si/7+Mn/5が0.40wt.%以下
である化学成分組成を有する鋼線材を、軟化焼鈍して前
なまし鋼線を調製し、こうして調製された前記前なまし
鋼線にねじ加工を施してねじを調製し、次いで、前記ね
じを表面のビッカース硬さHVが550以上、且つ心部
のビッカース硬さHVが320〜400の範囲内になる
ように、浸炭又は浸炭窒化焼入れをした後、焼戻しを行
うことに特徴を有するものである。
【0010】請求項4記載のねじの製造方法は、C:
0.05〜0.15wt.%、Si:0.20wt.%以下、M
n:0.4〜1.8wt.%、P:0.015wt.%以下、
S:0.015wt.%以下、sol.Al:0.020〜0.
080wt.%、及び、N:0.0060wt.%以下を含有
し、更に、Cr:0.80wt.%以下、Mo:0.30
wt.%以下、及び、B :0.0005〜0.0050w
t.%からなる群から選ばれた少なくとも1種、及び/又
は、Ti:0.005〜0.050wt.%、及び、N
b:0.005〜0.050wt.%からなる群から選ばれ
た少なくとも1種、を付加して含有し、残部鉄および不
可避不純物からなり、且つ、炭素当量:Ceq=C+Si
/7+Mn/5+Cr/9+Mo/6が0.40wt.%以
下である化学成分組成を有する鋼線材を、軟化焼鈍して
前なまし鋼線を調製し、こうして調製された前記前なま
し鋼線にねじ加工を施してねじを調製し、次いで、前記
ねじを表面のビッカース硬さHVが550以上、且つ心
部のビッカース硬さHVが320〜400の範囲内にな
るように、浸炭又は浸炭窒化焼入れをした後、焼戻しを
行うことに特徴を有するものである。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明のねじの化学成分組成を上
述したように限定した理由について、以下に述べる。 (1)C:0.05〜0.15wt.% Cは鋼の強度を確保するのに重要な元素であり、0.0
5wt.%未満では所望の強度を得ることができないのみな
らず、浸炭硬化性が低下する。一方、0.15wt.%を超
えるとねじの内部硬度が高くなりすぎて、鋼の靱性が低
下し、頭飛びを防止することができない。また、鋼線の
強度が高くなり、冷間加工工具の寿命が低下する。従っ
て、C含有率を0.05〜0.15wt.%の範囲内に限定
する。 (2)Si:0.20wt.%以下 Siは脱酸材として重要な作用をするので、製鋼段階に
おいては必ず添加する。しかし、鋼材段階まで残存しな
くてもよい。ところが、Siは変形抵抗を増大させ、冷
間加工性を低下させる。しかし、本発明においてはC含
有率を低目に抑えているので、0.20wt.%までは添加
しても冷間加工性の低下は小さい。一方、Siは焼入れ
性を高めることもできる。従って、Si含有率を0.2
0wt.%以下にする。 (3)Mn:0.4〜1.8wt.% Mnは鋼の焼入れ性を高め、焼入れ後の組織を微細にす
ると共に、組織内のマルテンサイトの割合を高め、靱性
を確保するのに重要な元素である。この目的のためには
Mnは0.4wt.%以上の添加を必要とする。一方、ねじ
は比較的寸法が小さいので上限が1.8wt.%までの添加
で十分焼入れ性は確保できる。従って、Mn含有率を
0.4〜1.8wt.%の範囲内に限定する。 (4)P:0.015wt.%以下 Pはオーステナイト粒界に偏析して、粒界強度を弱め
る。また、フェライト内に固溶して鋼の変形能を低下さ
せる。このように、Pは本発明において不純物元素であ
るので、その含有率を0.015wt.%以下とする。 (5)S:0.015wt.%以下 SはMnSを形成して鋼の変形能を低下させる。また、
MnSは亀裂発生の起点となる。このように、Sは本発
明において不純物元素であるので、その含有率を0.0
15wt.%以下とする。 (6)sol.Al:0.020〜0.080wt.% Alは脱酸材として必要な元素であるばかりでなく、粒
界に偏析するNをAlNとして固定して粒界強度を高め
る作用を有する。Alによるこのような効果を発揮させ
るためには、sol.Al(酸可溶Al)として0.020
wt.%以上の量が必要である。しかしながら、sol.Alが
0.080wt.%を超えると、鋳片の連続鋳造時にAl2
O 3の凝集体を形成してノズル詰まりの原因となり、鋳
造作業を困難にする。従って、sol.Al含有率を0.0
20〜0.080wt.%の範囲内に限定する。 (7)N:0.0060wt.%以下 Nもオーステナイト粒界に偏析して粒界強度を弱める。
また、ねじ加工時に歪み時効硬化を起こして鋼の冷間加
工性を低下させ、工具の寿命も低下させる。このよう
に、Nは本発明において不純物元素であるので、その含
有率を0.0060wt.%以下とする。 (8)Cr:0.80wt.%以下 Crは、低炭素鋼においては0.80wt.%以下の含有率
では、鋼を強化する程度は小さいが、焼入れ性を高める
ことができるので、本発明において有用な元素として作
用する。しかしながら、0.80wt.%を超えると焼鈍軟
化性を阻害して、鋼を硬くする。従って、Cr含有率を
0.80wt.%以下とする。 (9)Mo:0.30wt.%以下 MoはPの粒界への偏析を防止し、粒界強度を高めるの
に有効な元素である。しかし、多量に添加するとMoも
Crと同様、焼鈍軟化抵抗を増大させる。一方、Moは
高価な元素である。従って、Mo含有率を0.30wt.%
以下とする。 (10)B:0.0005〜0.0050wt.% Bは微量の添加で焼入れ性を向上させる作用を有する。
また、BNを形成してNの粒界偏析を防止する。Bの添
加によってMnやCr、Mo含有率を低減することがで
き、鋼の冷間加工性を更に向上させることができる。B
によるこのような効果を発揮させるためには0.000
5wt.%以上添加する必要がある。しかしながら、0.0
050wt.%を超えて添加するとボロンセメンタイトを析
出して粒界強度を弱める。従って、B含有率を0.00
05〜0.0050wt.%の範囲内に限定する。 (11)Ti:0.005〜0.050wt.% Tiは結晶粒の微細化効果を有する。しかしながら、
0.005wt.%未満ではその効果が小さく、またNをT
iNとして固定する効果も小さい。ところが、0.05
0wt.%を超えて添加しても、これらの効果は飽和するの
みならず、Tiが高すぎると、硬質のTiN、TiCが
多数形成し、加工性が低下する他、合金コストもかか
る。従って、Ti含有率を0.005〜0.050wt.%
の範囲内に限定する。 (12)Nb:0.005〜0.050wt.% NbもTiと同様、結晶粒の微細化効果を有する。そし
て、Tiと同様の理由によりNb含有率も0.005〜
0.050wt.%の範囲内に限定する。
【0012】以上の元素の他には、Cu、Sn等のよう
に通常、不可避的に混入する元素を含んでもよい。 (13)Ceq:0.40wt.%以下 鋼の炭素当量(Ceq)が0.40wt.%を超えると、焼鈍
後の強度が高く、冷間加工工具の寿命が短かくなる。ま
た、鋼の変形能が低下して、ねじ先端のとがり形状が悪
くなるので、Ceqは0.40wt.%以下とする。ここで、
Ceq=C+Si/7+Mn/5+Cr/9+Mo/6と
し、C、Si、Mn、Cr及びMoは各元素の鋼中含有
率(wt.%)を表わす。但し、合金元素としてCr及び/
又はMoを含有しない場合には、Cr及び/又はMo含
有率(wt.%)を0(零)としてC eqを算出する。 (14)ねじ表面のビッカース硬さHV:550以上 ねじ表面の硬さ、特にねじ先端の硬さはビッカース硬さ
HVで550未満では鉄板にねじ込む時に先端が欠けた
り、折れたりしてねじ込みが不可能になる。また、ねじ
込みの貫通に時間がかかる。従って、ねじ表面の硬さを
HV:550以上とする必要がある。 (15)ねじ心部のビッカース硬さHV:320〜40
0 ねじの頭飛びは、ねじ心部硬さに密接に関係しており、
HV:400を超えると頭飛びが発生し易いのでHV:
400以下にする必要がある。しかしHV:320未満
ではねじの強度が十分でなく、施工時に捻じれ切れを起
こし易くなる。従って、ねじ心部の強度をHV:320
〜400の範囲内にする必要がある。
【0013】
【実施例】次に、この発明を、実施例によって更に詳細
に説明する。種々の化学成分組成を有する鋼を用いて、
表面硬さ及び心部硬さが種々の値を有するドリリングタ
ッピンねじを製造した。図1に、こうして製造されたド
リリングタッピンねじの表面硬さ及び心部硬さと、締付
け後におけるねじの頭飛び発生の有無との関係を示す。
なお、上記ねじ形状は、皿頭、呼び径5mm、長さ35
mmである。同図からわかるように、ねじの頭飛び発生
の有無は、ねじ表面の硬さには関係せず、ねじ心部の硬
さによって左右されることがわかる。即ち、従来のねじ
は心部硬度がHV:400〜450の範囲内で造られて
きたため、半数以上の割合で頭飛びが発生している。こ
れに対して、心部硬さが本発明のようにHV:320〜
400としたものには、頭飛びの発生は完全に無くなっ
ている。
【0014】図2に、C含有率が0.05〜0.24w
t.%であって十分な焼入れ性を有する鋼から製造したド
リリングタッピンねじ(ねじ形状:つば付き六角、呼び
径5mm、長さ35mm)のC含有率と熱処理後の心部
硬さの関係を示す。心部硬さはC含有率により決定さ
れ、HV:320〜400の心部硬さを得るには、C含
有率を0.05〜0.15wt.%の範囲内にする必要があ
ることがわかる。
【0015】次に、本発明の範囲内のタッピンねじ(実
施例1〜8)、及び本発明の範囲外のタッピンねじ(比
較例1〜10)を次の通り製造した。なお、比較例9及
び10は、それぞれ冷間圧造用炭素鋼線材(JIS G
3507)のSWRCH18A及び22Aを用いた従
来のタッピンねじである。表1に、各実施例及び比較例
の化学成分組成及びC当量を示す。
【0016】
【表1】
【0017】表1に示した化学成分組成を有する直径
5.5mmの線材を直径4.8mmに伸線後、球状化焼
鈍を行い、更に直径4.6mmに仕上げ伸線し、前なま
し鋼線を製造した。こうして製造された鋼線より十字穴
付き皿頭で、切り刃先を有する呼び径4.8mm、長さ
35mmのドリリングタッピンねじを冷間鍛造により製
造し、ねじ加工性を評価した。次いで、浸炭又は浸炭窒
化焼入れを行ない、250℃で焼戻し処理を施し、更
に、0.20mmの厚みの亜鉛メッキをし、そしてベー
キングして水素抜きを行った。
【0018】こうして製造された各実施例及び比較例の
各々について、ねじ10本ずつのビッカース表面硬さ及
び心部硬さを測定した。一方、ねじの貫通試験を次の通
り行なった。
【0019】図3に、ねじ貫通試験で使用したねじ込み
性試験装置の概略斜視図を示す。支柱1で垂直に支持さ
れた電動ドライバー2下部のチャック3にねじ試験片4
を鉛直に固定する。一方、ねじ込み試験用鋼板5として
板厚1.6mmの冷延鋼板(JIS G 3141 S
PCC)を固定用ジグ6に取付け、水平に固定する。ね
じ試験片4は、錘7の重量によりねじ込み試験用鋼板5
の表面に対して直角に、180N/mm2 の荷重をかけ
つつ、電動ドライバー2の作動により回転速度3000
rpmでねじ込まれる。ねじ試験片4が、ねじ先から最
初の完全山までねじ込み試験用鋼板5表面にねじ込まれ
るときの始点及び終点を、検出装置8で検出し、上記始
点及び終点到達時をタイマ9に電送し、ねじ込みに要し
た時間(ねじ貫通時間)をタイマ9で測定する。上述し
た方法で、各実施例及び比較例についてねじ試験片4を
10本ずつ試験し、ねじ貫通時間の平均値を求めた。一
方、ねじ締めつけ後の頭飛び試験については、各実施例
及び比較例についてねじ試験片4を20本ずつ、完全に
ねじ込み試験用鋼板5にねじ込み、1週間後に頭飛び発
生の有無を観察した。上記の各試験結果を表1に併記し
た。
【0020】表1より、下記結果がわかる。本発明のタ
ッピンねじである実施例1〜8では、ねじの加工性が良
好であり、即ち、鍛造工具の寿命とねじ頭部皿形状が良
好であり、ねじ表面の硬度はHV:550以上、且つね
じ心部硬度はHV:320〜400の間にあり、ねじの
貫通時間も全て3.5秒以下と良好である。また、ねじ
締めつけ後の頭飛びも全く発生せず、本発明品の目標と
する頭飛びのない優れたタッピンねじとして満足すべき
ものであった。
【0021】これに対して比較例1は、C含有率が本発
明の範囲を外れて低く、このため心部硬度がHV:32
0を下回り、ねじの強度が不足して、ねじ貫通時間が
8.9秒と大変長い。またMn含有率が本発明の範囲を
外れて高く、炭素当量が0.43と高く、工具の寿命が
短かかった。
【0022】比較例2は、C含有率が本発明の範囲を外
れて高く、心部硬度がHV:400を上回ったため頭飛
びが発生した。比較例3は、Si含有率が本発明の範囲
を外れて高いため、ねじ加工性が不良であり、かつP含
有率が本発明の範囲を外れて高いため、靱性不足でねじ
込み中に欠けが生じて、ねじ込み時間が長い。また頭飛
びが発生した。
【0023】比較例4は、S含有率が本発明の範囲を外
れて高く、またsol.Al含有率が低すぎ、N含有率が高
すぎるため、心部の靱性が乏しく、ねじ込み時間が長
く、頭飛びも発生した。
【0024】比較例5は、Cr含有率が本発明の範囲を
外れて高いため、球状化焼鈍において軟化が遅れ、ねじ
の加工性がやや不良であった。またsol.Al含有率が高
すぎるため、非金属介在物が多く、ねじ込み時間が長
く、頭飛びも発生した。
【0025】比較例6は、Mo含有率が本発明の範囲を
外れて高く、Crと同様に軟化が遅れ、またTi含有率
が高すぎるので硬質のTiN、TiCが多数存在してい
るため、頭部に鍛造割れを発生し、ねじ加工性が不良で
あった。また硬質介在物を起点としてねじ先端の欠けが
生じて、ねじ込み時間が長く、頭飛びが発生した。
【0026】比較例7は、B含有率が本発明の範囲を外
れて高く、ボロンを含むセメンタイトが多数存在してい
るため、ねじ込み時間が長く、頭飛びが発生した。比較
例8は、P含有率が本発明の範囲を外れて高く、またN
b含有率も高すぎるため、ねじ加工性がやや不良で、ね
じ込み時間が長く、頭部に頭飛びが発生した。
【0027】比較例9は、従来のSWRCH18Aであ
るが、C含有率が本発明の範囲を外れて高いため、心部
の硬度が高すぎる。また、S及びN含有率が高すぎるた
め粒界強度が弱く、頭飛びが発生した。
【0028】同様に比較例10は、従来のSWRCH2
2Aであるが、C含有率が本発明の範囲を外れて高いた
め、心部の硬度が高く、またP含有率も本発明の範囲を
外れて高いため頭飛びが発生した。
【0029】以上、タッピンねじの実施例に従って説明
したが、本発明は、タッピンねじ及びその製造方法に限
定されるものでなく、浸炭又は浸炭窒化焼入れ、焼戻し
を施して使用するドライウォール等、頭飛びが問題とな
るねじ類に適用することができるものである。
【0030】
【発明の効果】以上述べたように、この発明によれば、
ねじ加工性及びねじの貫通性に優れ、且つ締付け後の頭
飛び発生を完全に防止することができるねじ及びその製
造方法を提供することができ、工業上有用な効果がもた
らされる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ドリリングタッピンねじの表面硬さ及び心部硬
さと、締付け後におけるねじの頭飛び発生の有無との関
係を示すグラフである。
【図2】ドリリングタッピンねじのC含有率と熱処理後
のねじ心部硬さの関係を示すグラフである。
【図3】ねじ込み性試験装置の概略斜視図である。
【符号の説明】
1 支柱 2 電動ドライバー 3 チャック 4 ねじ試験片 5 ねじ込み試験用鋼板 6 固定用ジグ 7 錘 8 検出装置 9 タイマ 10 操作制御盤 11 電源コード

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 C :0.05〜0.15wt.%、 Si:0.20wt.%以下、 Mn:0.4〜1.8wt.%、 P :0.015wt.%以下、 S :0.015wt.%以下、 sol.Al:0.020〜0.080wt.%、及び、 N :0.0060wt.%以下、を含有し、残部鉄および
    不可避不純物からなり、且つ、炭素当量:Ceq=C+S
    i/7+Mn/5が0.40wt.%以下である化学成分組
    成を有し、そして、表面のビッカース硬さが550以
    上、且つ心部のビッカース硬さが320〜400の範囲
    内であることを特徴とする、頭飛びの発生しないねじ。
  2. 【請求項2】 C :0.05〜0.15wt.%、 Si:0.20wt.%以下、 Mn:0.4〜1.8wt.%、 P :0.015wt.%以下、 S :0.015wt.%以下、 sol.Al:0.020〜0.080wt.%、及び、 N :0.0060wt.%以下、を含有し、更に、 Cr:0.80wt.%以下、 Mo:0.30wt.%以下、及び、 B :0.0005〜0.0050wt.%、からなる群か
    ら選ばれた少なくとも1種、及び/又は、 Ti:0.005〜0.050wt.%、及び、 Nb:0.005〜0.050wt.%からなる群から選ば
    れた少なくとも1種、を含有し、残部鉄および不可避不
    純物からなり、且つ、炭素当量:Ceq=C+Si/7+
    Mn/5+Cr/9+Mo/6が0.40wt.%以下であ
    る化学成分組成を有し、そして、表面のビッカース硬さ
    が550以上、且つ心部のビッカース硬さが320〜4
    00の範囲内であることを特徴とする、頭飛びの発生し
    ないねじ。
  3. 【請求項3】 C :0.05〜0.15wt.%、 Si:0.20wt.%以下、 Mn:0.4〜1.8wt.%、 P :0.015wt.%以下、 S :0.015wt.%以下、 sol.Al:0.020〜0.080wt.%、及び、 N :0.0060wt.%以下を含有し、残部鉄および不
    可避不純物からなり、且つ、炭素当量:Ceq=C+Si
    /7+Mn/5が0.40wt.%以下である化学成分組成
    を有する鋼線材を、軟化焼鈍して前なまし鋼線を調製
    し、こうして調製された前記前なまし鋼線にねじ加工を
    施してねじを調製し、次いで、前記ねじを表面のビッカ
    ース硬さが550以上、且つ心部のビッカース硬さが3
    20〜400の範囲内になるように、浸炭又は浸炭窒化
    焼入れをした後、焼戻しを行うことを特徴とする、頭飛
    びの発生しないねじの製造方法。
  4. 【請求項4】 C :0.05〜0.15wt.%、 Si:0.20wt.%以下、 Mn:0.4〜1.8wt.%、 P :0.015wt.%以下、 S :0.015wt.%以下、 sol.Al:0.020〜0.080wt.%、及び、 N :0.0060wt.%以下を含有し、更に、 Cr:0.80wt.%以下、 Mo:0.30wt.%以下、及び、 B :0.0005〜0.0050wt.%、からなる群か
    ら選ばれた少なくとも1種、及び/又は、 Ti:0.005〜0.050wt.%、及び、 Nb:0.005〜0.050wt.%、からなる群から選
    ばれた少なくとも1種、を含有し、残部鉄および不可避
    不純物からなり、且つ、炭素当量:Ceq=C+Si/7
    +Mn/5+Cr/9+Mo/6が0.40wt.%以下で
    ある化学成分組成を有する鋼線材を、軟化焼鈍して前な
    まし鋼線を調製し、こうして調製された前記前なまし鋼
    線にねじ加工を施してねじを調製し、次いで、前記ねじ
    を表面のビッカース硬さが550以上、且つ心部のビッ
    カース硬さが320〜400の範囲内になるように、浸
    炭又は浸炭窒化焼入れをした後、焼戻しを行うことを特
    徴とする、頭飛びの発生しないねじの製造方法。
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