JPH10199436A - カラー受像管およびその製造方法 - Google Patents

カラー受像管およびその製造方法

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JPH10199436A
JPH10199436A JP363297A JP363297A JPH10199436A JP H10199436 A JPH10199436 A JP H10199436A JP 363297 A JP363297 A JP 363297A JP 363297 A JP363297 A JP 363297A JP H10199436 A JPH10199436 A JP H10199436A
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真二 大濱
Norio Shimizu
紀雄 清水
Shinichiro Nakagawa
慎一郎 中川
Masachika Inoue
雅及 井上
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 シャドウマスクが平坦化されても、十分な曲
面保持強度をもつカラー受像管およびその製造方法を得
ることを目的とする。 【解決手段】 実質的に矩形状の有効部を有するパネル
の内側に実質的に矩形状のシャドウマスクが配置され、
このシャドウマスクが実質的に矩形状のフレームと、有
効部と対向する曲面からなる有効面に多数の電子ビーム
通過孔が形成され、この有効面の周辺部がフレームに固
定された実質的に矩形状のマスク本体とからなるカラー
受像管において、マスク本体21の有効面23を、長軸方向
の曲率半径をほぼ無限大とし、短軸方向の曲率半径がほ
ぼ一定である円筒状曲面に形成した。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、シャドウマスク
の曲面保持強度を向上させたカラー受像管およびその製
造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】一般にカラー受像管は、有効部が曲面か
らなる実質的に矩形状のパネルと一端部が円筒状のネッ
クからなる漏斗状のファンネルとからなる真空外囲器を
有し、上記パネルの有効部内面に形成された3色蛍光体
層からなる蛍光体スクリーンに対向して、その内側に実
質的に矩形状のシャドウマスクが配置されている。一
方、ファンネルのネック内に電子銃が配置されている。
そして、この電子銃から放出された3電子ビームをファ
ンネルの外側に装着された偏向装置の発生する磁界によ
り偏向し、上記シャドウマスクを介して蛍光体スクリー
ンを水平、垂直走査することにより、カラー画像を表示
する構造に形成されている。
【0003】上記シャドウマスクは、上記蛍光体スクリ
ーンと対向する有効面に多数の電子ビーム通過孔が形成
された板厚0.1〜0.3mm程度の実質的に矩形状のマ
スク本体と、このマスク本体の周辺部に固定された実質
的に矩形状のフレームとからなる。一般にそのマスク本
体の有効面は、パネルの有効部内面形状に対応して、少
なくとも中央部が蛍光体スクリーン方向に突出した曲面
からなる。その曲面形状として、従来より、図6に示す
ように、有効面1を球面、図7に示すように、短軸方向
の曲率半径をほぼ無限大として長軸方向に湾曲した円筒
状曲面、図8に示すように、高次の多項式で表わされる
曲面としてものなどがある。
【0004】そのいずれの場合も、上記シャドウマスク
の電子ビーム通過孔と蛍光体層との間には、蛍光体層に
対する電子ビームのランディング(ビームランディン
グ)を正確にするために、特定の相対位置関係が必要で
あり、受像管の動作中、常にこの相対位置関係を一定に
保つことが必要である。より具体的には、シャドウマス
クと蛍光体スクリーンとの間隔が常に一定の許容範囲内
になければならない。
【0005】しかしながらシャドウマスクの電子ビーム
通過孔を通過して蛍光体スクリーンに達する電子ビーム
量は、1/3以下であり、残りの電子ビーム量は、シャ
ドウマスクに衝突する。この衝突した電子ビームは、熱
エネルギに変換され、シャドウマスクを加熱、膨張させ
る。
【0006】このシャドウマスクの熱膨張は、ビームラ
ンディングのずれをもたらし、色純度の劣化を引起こ
す。このシャドウマスクの熱膨張により生ずるミスラン
ディングの大きさは、画像パターンおよび画像パターン
の継続時間により大きく異なる。特に局部的に高輝度パ
ターンを表示される場合は、局部的なドーミング現象が
生じ、短時間のうちにミスランディングが生じ、そのず
れ量も大きくなる。このミスランディングは、図9に楕
円領域3で示したように、画面4の長軸(X軸)方向の
幅の1/3程度の位置に偏在した場合に最も大きく表れ
る。
【0007】また、上記シャドウマスクの曲面の加工方
法として、プレス成形により形成する方法とテンション
をかけることにより形成する方法とがある。その第1の
プレス成形方法は、多数の電子ビーム通過孔が形成され
た金属薄板からなる平板状のシャドウマスク(フラット
マスク)をプレス成形加工により塑性変形させることに
より形成する方法である。この方法は、主として上記球
面および高次の多項式で表わされる曲面の成形に利用さ
れている。第2のテンションをかけることにより形成す
る方法は、主として上記短軸方向の曲率半径をほぼ無限
大として長軸方向に湾曲した円筒状曲面の形成に用いら
れている。この方法では、短軸方向の曲率半径をほぼ無
限大とし長軸方向に湾曲したマスク本体取付け面をもつ
フレームに、多数の電子ビーム通過孔が形成された金属
薄板からなる平板状のシャドウマスクを沿わせ、この平
板状のシャドウマスクを短軸方向にテンションを加えた
状態で固定することにより形成される。
【0008】ところで、近年、カラー受像管は、画面の
視認性向上のため、パネルの有効部が平坦化され、この
パネルの平坦化にともなって、シャドウマスクの曲面も
平坦化され曲率が小さくなっている。その平坦度を表す
方法として、R表示がある。これは、たとえばパネルの
場合、その中央部と対角部との高さの差(対角部の落込
み量)によって決まる対角部平均曲率半径と有効部対角
寸法を1.7倍した値との比により表す方法である。パ
ネルの平坦化の方法は、その曲面形状により異なるが、
一般に上記R表示により表される平坦度が同じであれ
ば、ほぼ同等の平坦度となる。このことは、中央部と対
角部との高さの差が同じであれば、曲面形状により多少
の差はあるが、パネルのフラット感は、ほぼ同じになる
ことを意味している。
【0009】上記パネルの平坦化にともなって、シャド
ウマスクも平坦化され、その曲率が小さいために、曲面
保持強度が小さくなる。その結果、カラー受像管に衝撃
などの外力が加わった場合に有効面が変形しやすい。ま
たカラー受像管に振動が加わった場合に共振をおこしや
すくなり(ハウリング)、そのいずれの場合も色純度の
劣化をまねく。
【0010】上記平坦化されたシャドウマスクの曲面保
持強度は、シャドウマスクの板厚を厚くすることにより
強化することができる。しかしシャドウマスクの板厚を
厚くすると、フォトエッチング法による電子ビーム通過
孔の開孔が困難となり、所望形状、寸法の電子ビーム通
過孔を開孔することができなくなる。また材料コストが
上昇する。
【0011】これらの対策として、テンションをかけて
形成する方法がある。これは、曲率半径がほぼ無限大で
ある短軸方向にテンションをかけてシャドウマスクに引
張り応力を与える方法であるため、長軸方向の曲率半径
を大きくして、シャドウマスクの曲面を容易に平坦化す
ることができ、かつ所定の曲面保持強度を付与すること
ができる。しかしこの方法は、シャドウマスクに極めて
大きな引張り応力を与える必要があるため、これを保持
するフレームを極めて強固なものとすることが必要とな
る。したがってこの方法では、カラー受像管が大型にな
るにともなって、フレームの重量が大幅な増大する。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】上記のように、パネル
の平坦化にともなって、シャドウマスクも平坦化され、
その曲率が小さいために曲面保持強度が小さくなり、衝
撃などの外力が加わった場合に曲面が変形しやすくな
る。また振動が加わった場合に共振をおこしやすくな
り、そのいずれの場合も色純度の劣化をまねく。
【0013】この平坦化されたシャドウマスクの曲面保
持強度は、シャドウマスクの板厚を厚くすることにより
強化することができる。しかしシャドウマスクの板厚を
厚くすると、フォトエッチング法による電子ビーム通過
孔の開孔が困難となり、所望形状、寸法の電子ビーム通
過孔を開孔することができなくなるばかりでなく、材料
コストが上昇する。
【0014】その対策として、テンションをかけること
により形成する方法は、曲率半径がほぼ無限大である短
軸方向にテンションをかけてシャドウマスクに引張り応
力を与える方法であるため、シャドウマスクに極めて大
きな引張り応力を与える必要があり、これを保持するフ
レームを極めて強固なものとすることが必要となる。そ
のため、カラー受像管が大型になるにともなって、フレ
ームの重量が大幅な増大するという問題がある。
【0015】この発明は、上記問題点を解決するために
なされたものであり、パネルの有効部の平坦化にともな
ってシャドウマスクが平坦化されても、十分な曲面保持
強度をもつカラー受像管およびその製造方法を得ること
を目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】
(1) 実質的に矩形状の有効部を有するパネルの内側
に実質的に矩形状のシャドウマスクが配置され、このシ
ャドウマスクが実質的に矩形状のフレームと、有効部と
対向する曲面からなる有効面に多数の電子ビーム通過孔
が形成され、この有効面の周辺部がフレームに固定され
た実質的に矩形状のマスク本体とからなるカラー受像管
において、マスク本体の有効面を、長軸方向の曲率半径
をほぼ無限大とし、短軸方向の曲率半径がほぼ一定であ
る円筒状曲面に形成した。
【0017】(2) 実質的に矩形状の有効部を有する
パネルの内側に実質的に矩形状のシャドウマスクが配置
され、このシャドウマスクが実質的に矩形状のフレーム
と、有効部と対向する曲面からなる有効面に多数の電子
ビーム通過孔が形成され、この有効面の周辺部がフレー
ムに固定された実質的に矩形状のマスク本体とからなる
カラー受像管において、マスク本体の有効面を、長軸方
向の曲率半径がほぼ無限大であり、短軸方向の曲率半径
が高次の多項式で表わされる曲面に形成した。
【0018】(3) 実質的に矩形状の有効部を有する
パネルの内側に実質的に矩形状のシャドウマスクが配置
され、このシャドウマスクが実質的に矩形状のフレーム
と、有効部と対向する曲面からなる有効面に多数の電子
ビーム通過孔が形成され、この有効面の周辺部がフレー
ムに固定された実質的に矩形状のマスク本体とからなる
カラー受像管において、マスク本体を、短軸方向の曲率
半径を小さくする方向の応力が加わった状態でフレーム
に固定した。
【0019】(4) (3)のカラー受像管において、
電子ビーム通過孔を矩形状に形成し、この電子ビーム通
過孔が短軸方向にブリッジを介して一列状に複数個配置
され、この短軸方向の電子ビーム通過孔の配列が長軸方
向に複数列配置されたものとした。
【0020】(5) (1)乃至(4)のカラー受像管
において、有効部の長軸方向と短軸方向との寸法比を1
6:9とした。
【0021】(6) 実質的に矩形状の有効部を有する
パネルの内側に実質的に矩形状のシャドウマスクが配置
され、このシャドウマスクが実質的に矩形状のフレーム
と、有効部と対向する曲面からなる有効面に多数の電子
ビーム通過孔が形成され、この有効面の周辺部がフレー
ムに固定された実質的に矩形状のマスク本体とからなる
カラー受像管の製造方法において、平板状のシャドウマ
スクを長軸方向の曲率半径がほぼ無限大で短軸方向に湾
曲した曲面に塑性変形させたのち、この塑性変形させた
シャドウマスクを弾性変形させて短軸方向の曲率半径を
上記塑性変形させたシャドウマスクの短軸方向の曲率半
径よりも大きくしてフレームに固定した。
【0022】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照してこの発明の
実施の形態について説明する。
【0023】図1にその一形態であるカラー受像管の構
成を示す。このカラー受像管は、管軸(Z軸)と直交す
る水平軸(X軸)を長軸、垂直軸(Y軸方向)を短軸と
する実質的に横長矩形状の平坦化された有効部10の周
辺部に側壁11が設けられたパネル12と、一端部側が
円筒状のネック13からなる漏斗状に形成され、上記パ
ネル12の側壁11端部に接合されたファンネル14と
からなる真空外囲器を有する。そのパネル12の有効部
10の内面は、凹曲面からなり、この有効部10の内面
には、青、緑、赤に発光する3色蛍光体層からなる蛍光
体スクリーン15が設けられている。またこの蛍光体ス
クリーン15に対向かつ所定間隔離れて、その内側に後
述する実質的に横長矩形状のシャドウマスク16が配置
されている。一方、ファンネル14のネック13内に
は、3電子ビーム17を放出する電子銃18が配設され
ている。そして、この電子銃18から放出される3電子
ビーム17をファンネル14の外側に装着された偏向装
置19の発生する磁界により偏向し、シャドウマスク1
6を介して上記蛍光体スクリーン15を水平、垂直走査
することにより、カラー画像を表示する構造に形成され
ている。
【0024】上記シャドウマスク16は、蛍光体スクリ
ーン15の設けられたパネル12の有効部10と対向す
る有効面に多数の電子ビーム通過孔が所定の配列で設け
られた実質的に横長矩形状のマスク本体21と、このマ
スク本体21の周辺部に取付けられた実質的に横長矩形
状のフレーム22とからなる。そのマスク本体21の有
効面は、長軸方向の曲率半径が無限大であり、短軸方向
にのみ湾曲した曲面に形成されている。具体的には、図
2(a)乃至(d)および図3に示したように、その有
効面23は、長軸方向の曲率半径が無限大であり、短軸
方向の曲率半径が全面にわたりほぼ一定である単一曲率
半径の円筒状曲面、あるいは長軸方向の曲率半径が無限
大として、短軸方向の曲率半径が高次の多項式で表され
る曲面に形成されている。
【0025】上記のように有効面23が横長矩形状であ
るシャドウマスク16については、その有効面23の対
角部の落込み量が同一であり、かつ有効面23の平坦度
が同一であれば、上記のように長軸方向の曲率半径を無
限大として短軸方向にのみ湾曲した曲面とすることによ
り、平均曲率が最も大きい曲面とすることができる。
【0026】ここで、平均曲率とは、曲面の任意点にお
けるあらゆる方向の曲率半径のうち、最大の曲率半径を
Rmax 、最小の曲率半径をRmim とした場合、
【数1】1/Rmax +1/Rmim で定義される最小曲率1/Rmax と最大曲率1/Rmim
の和の値である。
【0027】シャドウマスク16の曲面保持強度は、マ
スク本体21の有効面23の曲面形状、マスク本体21
の板厚、電子ビーム通過孔の形状、寸法、その配列など
により決まるが、その板厚や電子ビーム通過孔の形状、
寸法、配列などを同一とすると、曲面形状により決定さ
れる。またシャドウマスク16の曲面保持強度について
は、下記数2に示す上記最小曲率1/Rmax 、最大曲率
1/Rmim の2乗和も、その強度を決定する一つの指標
となる。
【0028】
【数2】1/Rmax.2 +1/Rmim.2 上記のように長軸方向の曲率半径を無限大として短軸方
向にのみ湾曲した曲面からなるこの実施の形態に係るシ
ャドウマスク16は、上記最小曲率1/Rmaxと最大曲
率1/Rmim の和で表される平均曲率、およびそれらの
2乗和の値を、ともに他のあらゆる曲面形状に対して最
大とすることができ、曲面保持強度を向上させることが
できる。また、従来のシャドウマスクと同等の曲面保持
強度を保ったまま、平坦度を向上させ、パネルの平坦化
を容易にすることができる。さらに従来のシャドウマス
クと同一平坦度として、シャドウマスクの板厚を薄くす
ることができるなどの効果が得られる。
【0029】このようなシャドウマスク16のマスク本
体21は、シャドウマスクと同様に、フォトエッチング
法により多数の電子ビーム通過孔が所定の配列で形成さ
れた平板状のシャドウマスク(フラットマスク)をプレ
ス成形する方法により形成することができるが、さらに
図4(a)乃至(d)に示したように、多数の電子ビー
ム通過孔が所定の配列で形成された平板状のシャドウマ
スク25を、ローラーなどを用いて、短軸方向にのみ湾
曲した円筒状のシャドウマスク26に塑性変形させる。
その後、この円筒状のシャドウマスク26を弾性変形さ
せて、短軸方向の曲率半径を上記塑性変形させたシャド
ウマスクの短軸方向の曲率半径よりも大きくして、形成
しようとするシャドウマスク16のマスク本体21の周
辺部形状と同一形状の固定端縁部をもつフレーム22に
溶接固定する方法により形成すると、マスク本体21に
その曲率半径を小さくする方向の応力を残存させること
ができ、この応力の残存により、より高い曲面保持強度
をもつすぐれたシャドウマスクとすることができる。
【0030】このようなシャドウマスク16の曲面形成
方法は、従来の曲面が球面からなるシャドウマスクには
適用不可能であるが、長軸および短軸のいずれか一方の
軸方向に湾曲したシャドウマスクに適用可能であり、特
に長軸方向の曲率半径を無限大とし短軸方向にのみ湾曲
した曲面からなるこの実施の形態に係るシャドウマスク
16の曲面形成に適用してすぐれた効果が得られる。
【0031】以下、若干の実施例について説明する。
【0032】
【実施例1】実施例1として、最近のカラー受像管の主
流である横縦の比が16:9、対角寸法が66cmのカラ
ー受像管のシャドウマスクについて説明する。
【0033】このカラー受像管のシャドウマスクは、図
2(a)乃至(d)に示したように、マスク本体21の
有効面23の曲面形状が、長軸方向には直線28で示し
たように曲率半径が無限大であり、短軸方向には、短軸
上の湾曲を曲線29、短軸と平行な任意点を通る短軸に
平行なA−A線上での湾曲を、曲線29と同一曲率の曲
線30で示したように、有効面23の全面にわたり単一
曲率半径の円筒状曲面に形成されている。
【0034】表1に、この実施例1のシャドウマスクの
有効面の曲率半径、平均曲率などを、有効面が球面から
なる図6に示した従来のシャドウマスク(比較例1)、
および短軸方向の曲率半径を無限大とし、長軸方向にの
み湾曲させた図7に示した従来のシャドウマスク(比較
例2)と比較して示す。
【0035】
【表1】 この表1に示した実施例1および従来例1、2のシャド
ウマスクは、板厚0.2mmの平板状のシャドウマスクを
従来おこなわれているプレス成形加工により成形したも
のであり、いずれも対角部での落込み量を7mmとした曲
面形状に形成されている。
【0036】このように対角部での落込み量が同じであ
る曲面形状の異なるシャドウマスクについて比較する
と、実施例1のシャドウマスクは、比較例1、2よりも
平均曲率が大幅に大きく、また曲率の2乗和も大きくな
っている。前述したように、シャドウマスクの曲面保持
強度は、平均曲率や曲率の2乗和と相関があり、一般に
これらの値が大きいほど、シャドウマスクの曲面保持強
度は大きくなる。しかもこの表1に示したシャドウマス
クは、水平方向と垂直方向の寸法差が大きい横縦の比が
16:9のシャドウマスクであるため、実施例1のシャ
ドウマスクは、比較例1、2のシャドウマスクにくらべ
て、平均曲率および曲率の2乗和が特に大きく、曲面保
持強度が従来例1、2よりもいちじるしく大きくなるこ
とが示されている。
【0037】また局部的なドーミング現象については、
一般に色純度の劣化が大きい図9に示した点Pの曲率を
大きくすることで抑制できることが知られており、実施
例1は、比較例1、2にくらべて、点Pの曲率が大きい
ため、局部的なドーミング量も小さくすることができ
る。さらに短辺間の距離に対して、長辺間の距離が短い
こと、およびシャドウマスクが異方性を有するので、図
5に示すように、短軸方向に長い形状の電子ビーム通過
孔32が短軸方向にブリッジ33を介して複数個一列状
に配置され、この短軸方向の電子ビーム通過孔の配列が
長軸方向に複数列並列形成されたシャドウマスク16に
適用すると、このようなシャドウマスク16は、短軸方
向のB−B方向に連続的な直線部を有するのに対し、長
軸方向のC−C方向には、連続的な直線部がないため、
同様の曲率であれば、長軸方向よりも短軸方向に曲率を
もたせた方が、より大きなドーミング抑制効果が得られ
ることが実験でも証明されている。その結果、実施例1
のシャドウマスクは、比較例1、2のシャドウマスクに
くらべて、局部的なドーミングを抑制する効果が大き
い。
【0038】従来、この実施例1に示したようなシャド
ウマスクを使用したカラー受像管はなく、この発明が最
初である。このようなシャドウマスクを用いることによ
り、カラー受像管に加わる衝撃や振動に耐え、色純度の
劣化をおこしにくいカラー受像管とすることができる。
【0039】
【実施例2】横縦の比が16:9、対角寸法が66cmの
カラー受像管のシャドウマスクとして、実施例1では、
その板厚0.2mmとしたが、このシャドウマスクの代わ
りに、板厚0.18mmと薄い平板状のシャドウマスクを
プレス成形加工により同一円筒状曲面からなるシャドウ
マスクを成形した。
【0040】このようにシャドウマスクの板厚を薄くす
ると、フォトエッチング法により形成される平板状のシ
ャドウマスクの電子ビーム通過孔の形状、大きさの均一
性を向上させ、かつ製造コストを低くすることができ
る。しかもこのように板厚を薄くしても、曲面保持強度
を表1に示した従来例1、2のシャドウマスクと同等以
上にすることができる。
【0041】
【実施例3】実施例1および2と同様に横縦の比が1
6:9、対角寸法が66cmのカラー受像管において、そ
のシャドウマスクを、表1に示した比較例2の平均曲
率、曲率の2乗和と同じにした。
【0042】表2に、この実施例3のシャドウマスクの
有効面の曲率半径、平均曲率などを、実施例1および比
較例2のシャドウマスクと比較して示す。
【0043】
【表2】 この実施例3のシャドウマスクは、パネルの有効部の内
面形状を考慮して、平均曲率や曲率の2乗和が比較例2
のそれらと同じになるようにしたものである。従来例2
のシャドウマスクは、長軸方向の曲率半径がR591
2、短軸方向の曲率半径が無限大であるが、これに対
し、この実施例3のシャドウマスクは、逆に長軸方向の
曲率半径が無限大、短軸方向の曲率半径がR5912と
なっている。つまり、この実施例3のシャドウマスク
は、短軸方向に比較例2の長軸方向と同様の曲率をもっ
ているため、上述したように局部的なドーミングを抑制
する効果が大きく、カラー受像管の色純度の劣化を小さ
くすることができる。
【0044】また表2に示したようにこの実施例3のシ
ャドウマスクの平均曲率は、従来例2のシャドウマスク
と同じになっているが、横縦の比が16:9であるた
め、対角部での落込み量が従来例2の7.0に対して
2.2と、大きく異なり、図4に示したように、有効面
23が大幅に平坦化されている。その結果、このシャド
ウマスクの曲面に対応して、パネルの有効部を平坦化す
ることができる。
【0045】
【実施例4】実施例1乃至3と同様に横縦の比が16:
9、対角寸法が66cmのカラー受像管において、そのシ
ャドウマスクの曲面を、長軸方向の曲率半径をほぼ無限
大とし、短軸方向の湾曲が上記実施例1〜3の単一曲率
半径の円弧からなる曲面と異なり、高次の多項式で表さ
れる曲面とし、対角部での落込み量を7mmとした。
【0046】このような曲面形状は、シャドウマスクの
有効面のパネルの有効部と対向する面側を上向きにし、
その有効面の中心を原点とし、長軸をX軸、短軸をY
軸、管軸をZ軸とする座標系において、ai を係数、 i=0,1,2…n とするとき、 Z=Σai 2i で表される。
【0047】特にこの実施例4では、 n=2 として、 Z=a1 Y2 +a2 Y4 a1 =−2.139×10-4 a2 =−2.919×10-10 としたものとなっている。
【0048】このようなシャドウマスクは、上記4次の
多項式の2次成分を80%、4次成分を20%とした場
合であり、実施例3のシャドウマスクに対して、周辺部
の曲率がやや大きくなる。
【0049】このようなシャドウマスクの短軸上での短
軸方向の形状は、 Z=−2.135×10-42 −2.919×10-10 4 と、4次関数で表わされ、任意点でのの短軸に平行な方
向の形状も、同じ形状となる。
【0050】シャドウマスクの有効面をこのような曲面
とすると、長軸付近の曲率を小さく、長辺付近の曲率を
やや大きくでき、特に周辺部の曲面保持強度を大きくし
て、シャドウマスクの有効面の曲面保持強度を適度にバ
ランスさせることができる。
【0051】
【実施例5】一般にシャドウマスクは、フォトエッチン
グ法により多数の電子ビーム通過孔が所定の配列で形成
された平板状のシャドウマスクをプレス成形により形成
する方法によりマスク本体を形成し、このマスク本体の
周辺部をフレームに溶接固定する方法により形成される
が、特にこの実施例4では、図4(a)に示すように、
フォトエッチング法により多数の電子ビーム通過孔が所
定の配列で形成された平板状のシャドウマスク25を、
ローラーなどを用いた丸め加工により、同(b)に示す
ように、短軸方向にのみ湾曲した円筒状のシャドウマス
ク26に塑性変形させ、その後、この円筒状のシャドウ
マスク26を弾性変形させて、同(c)に示すように、
短軸方向の曲率半径を上記塑性変形させたシャドウマス
クの短軸方向の曲率半径よりも大きくして、同(d)に
示すように、形成しようとするシャドウマスク16の有
効面周辺部形状と同一形状の固定端縁部をもつフレーム
22に溶接固定する方法により形成した。このような曲
面形成方法によれば、マスク本体21にその曲率半径を
小さくする方向の応力を残存させることができ、この応
力の残存により、プレス加工によりマスク本体を成形し
たシャドウマスクにくらべて、より高い曲面保持強度を
もつすぐれたシャドウマスクとすることができる。
【0052】特に上記曲面形成方法を、図5に示したよ
うに、短軸方向に長い形状の電子ビーム通過孔32が短
軸方向にブリッジ33を介して複数個一列状に配置さ
れ、この短軸方向の電子ビーム通過孔の配列が長軸方向
に複数列並列形成されたシャドウマスク16に適用する
と、このようなシャドウマスク16は、短軸方向に対し
て、長軸方向の強度が低いという異方性を有するため、
その強度の高い短軸方向に湾曲させ、かつその短軸方向
の曲率半径を小さくする方向の応力の残存により、十分
な曲面保持強度をもち、かつ局部的なドーミングの抑制
効果が大きいシャドウマスクとすることができる。
【0053】
【発明の効果】実質的に矩形状の有効部を有するパネル
の内側に実質的に矩形状のシャドウマスクが配置され、
このシャドウマスクが実質的に矩形状のフレームと、有
効部と対向する曲面からなる有効面に多数の電子ビーム
通過孔が形成され、この有効面の周辺部がフレームに固
定された実質的に矩形状のマスク本体とからなるカラー
受像管において、マスク本体の有効面を、長軸方向の曲
率半径をほぼ無限大とし、短軸方向の曲率半径がほぼ一
定の円筒状曲面、あるいは高次の多項式で表わされる曲
面に形成すると、シャドウマスクの曲面保持強度を大幅
に向上させることができる。また従来のシャドウマスク
と同等の曲面保持強度を保ったまま、平坦度を向上さ
せ、パネルの平坦化を容易にすることができる。さらに
従来のシャドウマスクと同一平坦度として、シャドウマ
スクの板厚を薄くすることができるなどの効果が得られ
る。
【0054】また、上述した形状のシャドウマスクをプ
レス成形加工により成形した場合でも、十分な効果が得
られるが、平板状のシャドウマスクを長軸方向の曲率半
径がほぼ無限大で短軸方向に湾曲した円筒状曲面に塑性
変形させたのち、この塑性変形させたシャドウマスクを
弾性変形させて短軸方向の曲率半径を上記塑性変形させ
たシャドウマスクの短軸方向の曲率半径よりも大きくし
てフレームに固定する方法でシャドウマスクを製造し、
マスク本体が短軸方向の曲率半径を小さくする方向の応
力が加わった状態でフレームに固定されたシャドウマス
クとすることにより、より高い曲面保持強度をもつシャ
ドウマスクとすることができる。
【0055】したがって、上記マスク本体の曲面形成方
法を、複数個の電子ビーム通過孔が短軸方向にブリッジ
を介して一列状に配置され、この短軸方向の電子ビーム
通過孔の配列が長軸方向に複数列並列形成された短軸方
向に対して長軸方向の強度が低いシャドウマスクに適用
することにより、十分な曲面保持強度をもつ所望のシャ
ドウマスクとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施の一形態であるカラー受像管の
構成を示す図である。
【図2】図2(a)はこの発明の実施の一形態であるカ
ラー受像管のシャドウマスクの曲面形状を示す斜視図、
図2(b)はその長軸方向の曲率半径を示す図、図2
(c)は短軸上での短軸方向の湾曲を示す図、図2
(d)は図2(a)の短軸に平行なA−A線における短
軸方向の湾曲を示す図である。
【図3】図2に示したシャドウマスクとは短軸方向の曲
率が異なるシャドウマスクの曲面形状を示す斜視図であ
る。
【図4】図4(a)乃至(d)はそれぞれ発明の実施の
形態であるシャドウマスクの製造方法を説明するための
図である。
【図5】この発明の実施の形態に係わるシャドウマスク
の電子ビーム通過孔の配列を示す図である。
【図6】従来のシャドウマスクの球面からなる曲面形状
を示す図である。
【図7】従来のシャドウマスクの円筒状曲面からなる曲
面形状を示す図である。
【図8】従来のシャドウマスクの高次の多項式で表示さ
れる曲面からなる曲面形状を示す図である。
【図9】シャドウマスクの局部的なドーミングの発生領
域を示す図である。
【符号の説明】
10…有効部 12…パネル 16…シャドウマスク 21…マスク本体 22…フレーム 25…平板状のシャドウマスク 32…電子ビーム通過孔 33…ブリッジ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 井上 雅及 埼玉県深谷市幡羅町一丁目9番2号 株式 会社東芝深谷電子工場内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 実質的に矩形状の有効部を有するパネル
    の内側に実質的に矩形状のシャドウマスクが配置され、
    このシャドウマスクが実質的に矩形状のフレームと、上
    記有効部と対向する曲面からなる有効面に多数の電子ビ
    ーム通過孔が形成され、この有効面の周辺部が上記フレ
    ームに固定された実質的に矩形状のマスク本体とからな
    るカラー受像管において、 上記マスク本体の有効面は長軸方向の曲率半径がほぼ無
    限大であり、短軸方向の曲率半径がほぼ一定である円筒
    状曲面に形成されていることを特徴とするカラー受像
    管。
  2. 【請求項2】 実質的に矩形状の有効部を有するパネル
    の内側に実質的に矩形状のシャドウマスクが配置され、
    このシャドウマスクが実質的に矩形状のフレームと、上
    記有効部と対向する曲面からなる有効面に多数の電子ビ
    ーム通過孔が形成され、この有効面の周辺部が上記フレ
    ームに固定された実質的に矩形状のマスク本体とからな
    るカラー受像管において、 上記マスク本体の有効面は長軸方向の曲率半径がほぼ無
    限大であり、短軸方向の曲率半径が高次の多項式で表わ
    される曲面に形成されていることを特徴とするカラー受
    像管。
  3. 【請求項3】 実質的に矩形状の有効部を有するパネル
    の内側に実質的に矩形状のシャドウマスクが配置され、
    このシャドウマスクが実質的に矩形状のフレームと、上
    記有効部と対向する曲面からなる有効面に多数の電子ビ
    ーム通過孔が形成され、この有効面の周辺部が上記フレ
    ームに固定された実質的に矩形状のマスク本体とからな
    るカラー受像管において、 上記マスク本体は短軸方向の曲率半径を小さくする方向
    の応力が加わった状態でフレームに固定されていること
    を特徴とするカラー受像管。
  4. 【請求項4】 電子ビーム通過孔が矩形状に形成され、
    この電子ビーム通過孔が短軸方向にブリッジを介して一
    列状に複数個配置され、この短軸方向の電子ビーム通過
    孔の配列が長軸方向に複数列配置されていることを特徴
    とする請求項3記載のカラー受像管。
  5. 【請求項5】 有効部は長軸方向と短軸方向との寸法比
    が16:9であることを特徴とする請求項1乃至4記載
    のカラー受像管。
  6. 【請求項6】 実質的に矩形状の有効部を有するパネル
    の内側に実質的に矩形状のシャドウマスクが配置され、
    このシャドウマスクが実質的に矩形状のフレームと、上
    記有効部と対向する曲面からなる有効面に多数の電子ビ
    ーム通過孔が形成され、この有効面の周辺部が上記フレ
    ームに固定された実質的に矩形状のマスク本体とからな
    るカラー受像管の製造方法において、 平板状のシャドウマスクを長軸方向の曲率半径がほぼ無
    限大で短軸方向に湾曲した曲面に塑性変形させたのち、
    この塑性変形させたシャドウマスクを弾性変形させて短
    軸方向の曲率半径を上記塑性変形させたシャドウマスク
    の短軸方向の曲率半径よりも大きくして上記フレームに
    固定することを特徴とするカラー受像管の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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KR100341230B1 (ko) * 1999-08-19 2002-06-20 니시무로 타이죠 칼라 음극선관
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