JPH10209582A - セラミックス基板及びセラミックス回路基板の製造方法 - Google Patents

セラミックス基板及びセラミックス回路基板の製造方法

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JPH10209582A
JPH10209582A JP717897A JP717897A JPH10209582A JP H10209582 A JPH10209582 A JP H10209582A JP 717897 A JP717897 A JP 717897A JP 717897 A JP717897 A JP 717897A JP H10209582 A JPH10209582 A JP H10209582A
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益宏 夏原
Hirohiko Nakada
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 少ない電力量で製造でき、基板や導体層の抵
抗値を容易に制御することが可能なセラミックス基板及
びその回路基板の製造方法を提供する。 【解決手段】 セラミックス成形体又は焼結体1上に、
焼成した又は未焼成の導体層2を形成し、又は該導体層
上に更に未焼成の絶縁体層を形成し、焼成した又は未焼
成の導体層2に通電して抵抗発熱させ、セラミックス成
形体、未焼成の導体層2、及び未焼成の絶縁体層を焼結
又は焼成する。セラミックス焼結体1は、導電性材料粉
末を混合したセラミックス成形体に通電して抵抗発熱さ
せ、焼結して製造する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、半導体装置に用い
られるセラミックス基板、又はその上に回路を形成した
セラミックス回路基板の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、セラミックス基板上に回路を形成
する場合、まずセラミックス粉末の成形体を電気炉等で
焼結してセラミックス焼結体とし、このセラミックス焼
結体の基板上に導体ペーストをスクリーン印刷等により
印刷して導体層の回路パターンを形成した後、更に電気
炉等で焼成していた。
【0003】セラミックス基板と導体層を同時に焼結す
るコファイア法においても、セラミックスのグリーンシ
ート上に導体ペーストをスクリーン印刷し、そのままの
状態で電気炉等で焼結するか、又は更に導体ペースト上
にグリーンシートを積層した後、電気炉等で焼結を行っ
ていた。また、導体層を保護するための絶縁体層の形成
についても、導体層上に絶縁ペーストをスクリーン印刷
し、それを電気炉等で焼成していた。
【0004】一方、特公平3−8074号公報には、セ
ラミックス層内に金属抵抗体を有するセラミックスヒー
ターに金属端子を取り付ける際に、金属抵抗体に電流を
流して発熱させ、その発熱によりロウ材を溶融して金属
端子をロウ接する方法が記載されている。しかし、この
方法では、内部に予め導体層が形成されたセラミックス
を使用しており、通電によりセラミックス又は導体層が
焼結又は焼成されるものではない。
【0005】また、特開平7−296953号公報及び
特開平7−69756号公報には、予め焼結されたセラ
ミックス及び導体層に電流を流すことにより、電気抵抗
の分布を均一にしたり、基板表面の改質を行う方法が開
示されている。しかし、この方法も、既に焼結又は焼成
されたセラミックス及び導体層の処理に関するものであ
る。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上記のごとく、セラミ
ックス基板を焼結したり、そのセラミックス基板上に導
体層を形成する場合には、セラミックス成形体又はセラ
ミックス基板に導体ペーストで所定の回路パターンを形
成したものを電気炉等に投入し、全体を加熱していた。
従って、この電気炉を用いる方法では、電気炉全体を加
熱するために電力のロスが非常に大きいという問題があ
った。
【0007】また、回路パターンを焼成した後の基板を
電気回路として使用する場合、回路を構成する導体層の
電気抵抗値を所望の一定値に制御する必要がある。しか
し、上記の電気炉による方法では焼成後でなければ抵抗
値は分からず、高度な印刷技術、及び精密な温度制御や
温度管理によって導体層の抵抗値を制御する以外になか
った。このため、導体層の抵抗値を精密に制御すること
は困難であり、抵抗値の制御範囲が狭い場合には抵抗値
が制御範囲から外れることがしばしばあり、製品の歩留
を低下させる原因にもなっていた。
【0008】本発明は、このような従来の事情に鑑み、
少ない電力量でセラミックス基板や回路基板を形成する
ことができ、しかも回路を構成する導体層の抵抗値を所
望の範囲内に容易に制御することができる、セラミック
ス基板及びセラミックス回路基板の製造方法を提供する
ことを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明が提供するセラミックス回路基板の製造方法
は、セラミックス成形体上に未焼成の導体層又は該導体
層上に更に未焼成の絶縁体層を形成するか、又はセラミ
ックス焼結体上に焼成した導体層又は未焼成の導体層若
しくはこれらの導体層上に更に未焼成の絶縁体層を形成
した後、焼成した又は未焼成の導体層に通電して抵抗発
熱させることにより、前記セラミックス成形体、未焼成
の導体層、及び未焼成の絶縁体層を焼結又は焼成するこ
とを特徴とするものである。
【0010】また、本発明が提供するセラミックス基板
の製造方法は、セラミックス粉末と導電性材料粉末を混
合したセラミックス成形体に通電して抵抗発熱させるこ
とにより、該セラミックス成形体を焼結することを特徴
とする。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明では、セラミックス基板又
はその上に回路を形成したセラミックス回路基板の製造
において、従来のごとく電気炉等を用いるのではなく、
未焼結のセラミックス成形体に通電したり、又はその上
に設けた未焼成の又は焼成した導体層に通電することに
より、その抵抗発熱を利用して、未焼結又は未焼成の部
分を全て同時に焼結し又は焼成する。
【0012】即ち、本発明の一態様として、未焼成のセ
ラミックス成形体上に未焼成の導体層、必要に応じて更
にその上に未焼成の絶縁体層を形成し、未焼成の導体層
に通電することにより、これら全てを焼結又は焼成する
方法がある。また、別の態様として、予め焼結したセラ
ミックス焼結体(基板)上に未焼成の導体層、必要に応
じて更にその上に未焼成の絶縁体層を形成し、未焼成の
導体層に通電することにより、未焼成の導体層及び絶縁
体層を焼成する方法がある。
【0013】更に、セラミックス焼結体上に予め設けた
焼成済みの導体層の上に、未焼成の絶縁体層を形成し、
既に焼成済みの導体層に通電することにより、未焼成の
絶縁体層を焼成することもできる。また、セラミックス
基板を製造する場合には、セラミックス成形体に通電
し、抵抗発熱により焼結させる方法も本発明の態様に含
まれる。
【0014】これら本発明方法の各態様のうち、幾つか
について詳しく説明する。まず、セラミックス焼結体上
に導体層のみを焼成して回路基板を形成する場合には、
通常のセラミックス焼結体上に導体ペーストなどを使用
して所定の回路パターンを形成する。回路パターンの形
成方法としては、平面上ならば回路パターンの膜厚が安
定しやすいスクリーン印刷法が好適である。また、曲面
上であればタンポ印刷、はけ塗りなどの方法でも構わな
いが、通電時の発熱量を均一にするため膜厚を均一に形
成することが好ましい。
【0015】次に、導体ペーストで形成した回路パター
ンからなる未焼成の導体層を十分に乾燥する。乾燥は通
常の電気炉、ホットプレートなどで行えばよい。尚、乾
燥前の導体層に通電することはできない。これは、導体
ペーストが有機溶剤を大量に含んでいるため、これが導
体粒子間の導電を阻んでいるためと考えられる。その
後、乾燥した未焼成の導体層に電流を流して抵抗発熱さ
せ、その温度で焼成して導体層を形成する。尚、耐酸化
性のない導体を使用する場合には、非酸化性雰囲気中で
通電する必要がある。
【0016】上記通電の開始時には未焼成の導体層の抵
抗値が低いため、ある程度高い電圧で通電することにな
るが、通電により導体層が発熱すると徐々に温度が上昇
し、この温度上昇に連れて回路抵抗値は次第に低下す
る。このとき、導体層の抵抗値又は電圧と電流をモニタ
ーし、所定の抵抗値になった時点で通電を停止するか又
は通電量を漸減させることにより、得られる導体層の抵
抗値を簡単に制御することができる。
【0017】また、上記のごとく形成された導体層上
に、引き続いて同様の通電焼成により絶縁体層を形成す
ることも可能である。その場合には、導体層上に絶縁体
ペーストをスクリーン印刷、はけ塗り等の方法で塗布す
る。この未焼成の絶縁体層は、下地の導体層に通電する
ことにより、導体層の抵抗発熱で焼成される。
【0018】回路を構成する導体層としては、材料的に
特に制約はないが、焼成前の導体層全体の抵抗値が10
MΩ以下であることが好ましい。乾燥後の未焼成の導体
層の抵抗値が10MΩを越えると電流が流れにくくな
り、発熱量が低下するため焼成が難しくなるからであ
る。この乾燥時の未焼成の導体層の抵抗値を小さくなる
には、銀を添加することが好ましい。特に導体層中の銀
の含有量を1.0体積%以上にすると、更に抵抗値が小
さくなり、通電による焼成が容易になる。
【0019】絶縁体層の材質も特に制約はなく、セラミ
ックス回路基板に絶縁体として通常使用されているもの
を使用できる。かかる絶縁体層としては、通常はガラス
質のものを用いるが、回路である導体層をラミネートす
る場合には下記するようなセラミックスであっても良
い。
【0020】基板材となるセラミックスも、材質的に制
約はない。しかしながら、急速に昇温及び冷却できると
いう点で、熱衝撃破壊抵抗係数が大きいセラミックスが
適している。具体的には、熱衝撃破壊抵抗係数が20c
al/cm・sec以上のものが好ましい。セラミック
ス基板材料として使用されている主なセラミックスの特
性を下記表1に示す。有毒なBeOを除けば、AlN、
SiC、Si34、BNが好適なセラミックスとして挙
げられ、これらの複合体でもよい。尚、昇温及び降温速
度を小さくすれば、20cal/cm・sec以下のセ
ラミックスでも問題なく使用できるが、昇温及び降温速
度が遅くなる分焼成又は焼結に要する消費電力が大きく
なる。
【0021】
【表1】セラミックス 抗折強度 ヤング率 熱膨張係数 熱伝導率 破壊抵抗係数材 質 (103g/cm2) (106g/cm2) (10-7/K) ホ゜アソン比 (cal/cmsK) (cal/cm・sec) AlN 3000 2400 45 0.25 0.406 85 Al2O3 3000 3700 73 0.22 0.048 4 SiC 4500 4800 37 0.20 0.526 107 Si3N4 6300 2200 28 0.22 0.031 25 SiO2 390 600 4.8 0.17 0.003 4 BeO 2000 3200 76 0.24 0.620 39 ZrO2 7900 6900 90 0.25 0.009 0.9 BN 10000 8500 37 0.25 1.434 342
【0022】次に、セラミックス焼結体と導体層を同時
に焼結又は焼成して回路基板を形成する場合について述
べる。まず、セラミックス成形体であるグリーンシート
上に、導体ペーストにより所定の回路パターンの導体層
を形成する。このときの導体ペーストは焼成温度がセラ
ミックスの焼結温度と近いものを選択する。例えば、ア
ルミナ、窒化アルミニウム、窒化ケイ素等のセラミック
スに対しては、タングステンやモリブデン、タンタルな
どの高融点金属が好適である。
【0023】この未焼成の導体層を乾燥した後、電流を
流すことによって、セラミックス成形体と未焼成の導体
層を同時に焼結又は焼成することができる。この場合に
おいても、通電前の導体層の抵抗値が高いと、電流が流
れにくくなり発熱量が低下するので、その抵抗値は10
MΩ以下であることが好ましい。また、前記の場合と同
様に、導体層の抵抗値を低下させるためAgを添加する
ことが可能であり、その添加量は未焼成の導体層の1.
0体積%以上が好適である。尚、導体層及び/又はセラ
ミックス基板の材質が耐酸化性のない場合には、不活性
ガス雰囲気中において通電し、焼結及び焼成することも
可能である。
【0024】また、上記のごとくセラミックスのグリー
ンシート上に回路パターンを形成した後、更にその回路
パターンの上にセラミックスのグリーンシートを積層
し、この全体を通電して焼結又は焼成することも可能で
ある。ただし、2枚のグリーンシート間に埋まった回路
パターンの導体層に電流を流す必要があるので、グリー
ンシートの一部を切除するなどして、導体層から外部電
源に接続できる端子部分を確保する必要がある。
【0025】未焼成の導体層に流す電流値は、セラミッ
クス基板の大きさ、回路パターン、焼結温度により大き
く異なるので、一概に規定することはできない。しか
し、導体層は温度の上昇と共に焼結が進み、電気抵抗値
が低下する。従って、抵抗値又は電流と電圧をモニター
し、得られる導体層の抵抗値を制御し得ることは前記の
通りである。また、使用できる導体及びセラミックスに
ついても上記と同様であり、熱衝撃性に優れた窒化アル
ミニウム、窒化ケイ素、窒化硼素及びこれらの複合体が
より好適である。
【0026】本発明方法により、セラミックス基板を製
造する場合には、絶縁性のセラミックス粉末と導電性材
料粉末を混合して使用する。具体的には、導電性材料粉
末と絶縁性のセラミックス粉末とを有機溶剤で混合し、
更に焼結助剤と有機バインダーを加えてスラリーを作製
する。スラリーの抵抗値を通電可能な程度に調整した
後、ドクターブレード法でテープ成形するか、あるいは
スプレードライヤー等の手法で顆粒を作製し、これをプ
レス成形しても良い。最後に、このセラミックス成形体
に通電し、抵抗発熱させて焼結する。
【0027】このときに使用するセラミックスとして
は、熱衝撃性に優れる窒化アルミニウム、又は窒化ケイ
素が好適である。導電性材料としては、セラミックスと
の濡れ性のよい周期律表の4A族、5A族、6A族の金
属、又はその炭化物、窒化物、ホウ化物の少なくとも一
種を用いることが好ましい。使用するセラミックスおよ
び導電性材料に耐酸化性がない場合、非酸化性雰囲気中
で通電焼結させることも可能である。
【0028】このときのセラミックス成形体の電気抵抗
値も、10MΩ以下が好ましい。これ以上の抵抗値では
流れる電流が小さくなり、発熱量が低下するため、焼結
に支障をきたすからである。セラミックス成形体の抵抗
値が高すぎる場合には、成形体中に若干量のAg粉末を
添加することも可能である。Agの添加量としては特に
制約はないが、1.0体積%以上であれば抵抗値が大き
く低下するため特に好ましい。
【0029】このセラミックス基板の製造においても、
通電によりセラミックス成形体が発熱すると徐々に温度
が上昇し、この温度上昇に連れて抵抗値は次第に低下す
る。従って、この抵抗値又は電圧と電流をモニターし、
所定の抵抗値になった時点で通電を停止するか又は通電
量を漸減させることにより、得られるセラミックス焼結
体の抵抗値を簡単に制御することができる。
【0030】以上のごとく、本発明方法においては、焼
結又は焼成する部分だけを直接加熱するので、電気炉等
で焼結又は焼成する従来の方法に比較すると、消費電力
を著しく低減することができる。また、本発明によれ
ば、電気炉等で焼成した場合と比較して、セラミックス
基板との密着強度及び膜強度が非常に強い導体層を得る
ことができる。これは、導体層を電流が流れるとき各導
体粒子の接触部を伝わって流れるが、各粒子内における
電気抵抗よりも粒子間の接触抵抗の方が相対的に高いた
め、発熱が主に各粒子の接触部で起こり、各粒子が急速
に粒成長するためと考えられる。
【0031】特に、導体層原料としてガラスフリットを
含むペーストを用いる場合、導体層中に含まれるガラス
フリットも当然溶触する。しかし、従来のように電気炉
中で焼成を行う場合、まずガラスフリットが溶触し、そ
の後導体層中に含まれる導体粒子が粒成長を始めるた
め、ガラス成分と金属成分の分離が起こりやすく、膜強
度及び密着強度の低下を招く。一方、本発明方法の通電
焼結法では、電気炉での焼成に比較して相対的にガラス
の溶触時期が金属の粒成長の時期よりも遅れるため、よ
り均一な膜を得ることができる結果、膜強度及び密着強
度共に優れた導体層が得られる。また、導体層のセラミ
ックス基板との密着強度については、電気炉等に比較し
て、通電終了後急速に基板を冷却できるため、導体中に
含まれるガラスフリットが結晶化せずにアモルファス化
し、更に密着強度が向上すると考えられる。
【0032】尚、本発明方法では、通電前の導体層の抵
抗値が高い場合、前記のごとく銀を加えることにより通
電が可能となるが、そのメカニズムは現在のところ明確
ではない。しかし、導体層に電位が生じたとき、銀がイ
オンとして動き易いため、電流が流れやすくなるのでは
ないかと推測される。
【0033】
【実施例】以下の各実施例で使用したセラミックスの特
性を下記表2に示す;
【表2】セラミックスの特性 Al23 AlN Si34 熱伝導率(W/mK) 20 185 30 熱膨張係数(×10-6/℃) 7.2 4.5 3.0
【0034】実施例1 セラミックス基板として、25mm角で、2.0mm厚
の上記Al23、AlN、Si34の各セラミックス焼
結体を用い、導体ペーストを用いて図1に示す回路パタ
ーンの導体層2を各セラミックス焼結体1の上にスクリ
ーン印刷した。導体ペーストはAg−Pdペーストを使
用した。印刷後、導体ペーストを130℃で乾燥し、得
られた未焼成の導体層2の各端子部2aにそれぞれPt
電極を取り付けた。尚、乾燥後の導体層2の膜厚はいず
れの試料も25〜27μmの範囲内にあった。
【0035】各試料の乾燥後の導体層2の抵抗値を測定
したところ、100〜300kΩであった。また、焼成
後の導体層2の抵抗値は、焼成後のシート抵抗値から計
算して40Ωを目標とした。その後、各Pt電極に電圧
を印加し、未焼成の導体層2に直接電流を流すことによ
り、導体層2自身を加熱した。尚、電圧を印加する装置
は、連続的に電圧値を変化できる電源装置を用いた。
【0036】電圧印加開始直後は100Vの電圧を印加
し、導体層2が発熱すると共に徐々に抵抗値が低下し始
めるので、これに伴って徐々に電圧を低下させ、最終的
には40Vの電圧、1Aの電流値に保持した。この状態
で、導体層2の抵抗値が所定の値に達するまで30秒間
焼成した。このときの導体層2の温度は、サーモグラフ
ィーでモニターした結果850℃であった。
【0037】その後、セラミックス基板がAlN及びS
34の試料については、焼成終了と同時に電圧を0V
にして急冷した。しかし、セラミックス基板がAl23
の試料については、急速に昇温又は降温するとセラミッ
クス基板が破損するので、850℃までは60℃/分の
速度で徐々に昇温し、上記焼成の終了後60℃/分の速
度で降温した。
【0038】得られた各試料のセラミックス回路基板に
おける導体層2の抵抗値は、下記表3に示すとおりであ
る。尚、抵抗値は直流4端子法により、各試料ごとに4
個ずつ測定した。いずれの試料につても、良好な導体層
が得られ、その抵抗値のばらつきは目標とした抵抗値4
0Ωに対して最大でも0.5%であり、抵抗値の制御が
容易であることが分かる。
【0039】
【表3】試 料 導体層の抵抗値(Ω) 各4個 Al2O3基板 40.03 39.85 39.88 40.08 AlN基板 40.19 39.96 40.12 39.99 Si3N4基板 40.05 39.92 39.89 40.07
【0040】また、上記の各試料について、得られた導
体層のセラミックス基板との密着強度を測定し、その結
果を下記表4に示した。
【0041】
【表4】試 料 導体層の密着強度(kg/mm2)各4個 Al2O3基板 1.03 0.95 0.98 1.02 AlN基板 1.18 1.05 1.15 0.93 Si3N4基板 0.85 0.82 0.79 0.75
【0042】尚、上記方法で使用された電力量は、セラ
ミックス基板がAlN及びSi34の試料については共
に一個当たり8.0Whであり、Al23の試料につい
ては同じく13.9Whであった。
【0043】比較例1 実施例1と同様の各セラミックス基板を使用し、同一の
導体ペーストを用いて同一の回路パターンを印刷し、電
気炉にて850℃で焼成した。得られた各試料にいて導
体層の抵抗値及び密着強度を測定し、その結果を下記表
5及び表6にそれぞれ示した。
【0044】
【表5】試 料 導体層の抵抗値(Ω) Al2O3基板 42.59 AlN基板 43.27 Si3N4基板 40.88
【0045】
【表6】試 料 導体層の密着強度(kg/mm2)各4個 Al2O3基板 0.81 0.82 0.77 0.79 AlN基板 0.80 0.76 0.86 0.77 Si3N4基板 0.55 0.51 0.62 0.49
【0046】各比較例の試料における導体層の抵抗値
は、目標値に対して最大で8%ずれていることが分か
る。これは、抵抗値をモニターしながら焼成することが
不可能なためである。また、密着強度についても、通電
で焼結を行った実施例の試料と比較して、いずれも劣る
ことが分かる。尚、消費した電力量は、ベルト炉を用い
た場合で、1.12kWhが必要であった。
【0047】実施例2 Al23粉末、AlN粉末、Si34粉末を用意し、各
粉末に対して所定量の焼結助剤、有機バインダー、及び
有機溶剤を加えて混合し、ドクターブレード法によりグ
リーンシートを作製した。各グリーンシート上に、Wを
主成分とする導体ペーストを用いて、実施例1と同一の
回路パターンの導体層2をスクリーン印刷法により形成
した。その後、印刷面に上記と同一組成のグリーンシー
トを重ねてラミネートした。尚、ラミネートするグリー
ンシート3には、図2に示すように、通電に必要な電極
4を取り付けるため、未焼成の導体層2の端子部2aが
露出するように切欠部3aを形成した。
【0048】グリーンシート及び導体ペーストを十分乾
燥した後、図2に示すように、未焼成の導体層2の各端
子部2aにPtの電極4を取り付け、窒素雰囲気中で電
源装置5から通電して導体層2を発熱させ、グリーンシ
ートを900℃に加熱して5分間保持することにより、
グリーンシートを脱脂した。その後改めて各端子部2a
にWの電極4を取り付けた。これは、最初からWの電極
を取り付けた場合、脱脂された炭素化合物とWが反応し
て電極が腐食するためである。
【0049】この状態で、未焼成の導体層に再度通電を
行い、グリーンシートがAl23の試料は1600℃、
AlNの試料は1850℃、Si34の試料は1700
℃で各々10分間保持した。その後、AlN及びSi3
4の試料については印加電圧を0Vにして急冷した。
しかし、Al23の試料は急冷するとセラミックス基板
が破壊するため、印加電圧を徐々に減少させながら60
℃/分の速度で徐冷した。得られた各セラミックス回路
基板について、導体層の抵抗値を測定した結果を下記表
7に示した。
【0050】
【表7】試 料 導体層の抵抗値(Ω) 各4個 Al2O3基板 40.58 39.77 40.95 39.88 AlN基板 40.06 40.18 39.50 39.27 Si3N4基板 39.85 38.99 40.81 40.09
【0051】表7から分かるように、得られた各試料の
導体層の抵抗値は、目標値の40Ωに対して±2.5%
のばらつきしかなかった。また、使用された電力量は、
Al23の試料が600Wh、AlNの試料が750W
h、及びSi34の試料が680Whであった。
【0052】比較例2 実施例2と同様にラミネートしたグリーンシートを用意
し、各々電気炉を用いて不活性ガス雰囲気で焼結した。
焼結温度は実施例2の場合と同一温度とした。その結
果、得られたセラミックス回路基板の導体層の抵抗値
は、下記表8に示すとおりであった。
【0053】
【表8】試 料 導体層の抵抗値(Ω) 各4個 Al2O3基板 42.28 38.59 41.62 40.26 AlN基板 37.95 40.29 42.33 38.05 Si3N4基板 42.67 37.27 40.81 40.18
【0054】この結果から分かるように、抵抗値のばら
つきは実施例2に比較して非常に大きかった。また、使
用した電力量は、Al23の試料が6.7kWh、Al
Nの試料が8.9kWh、及びSi34の試料が7.7k
Whであった。
【0055】実施例3 上記実施例1で得られたAl23、AlN、Si34
各セラミックス回路基板に、スクリーン印刷法にてホウ
ケイ酸鉛系ガラスペーストを100μmの厚さに塗布し
た。その後、導体層に電流を流すことにより、導体層を
発熱させてガラスペーストを焼成し、導体層上に絶縁体
層を形成した。この場合、焼成に要した電力量は、いず
れの試料においても5.0Whであった。
【0056】比較例3 実施例3と同様に、Al23、AlN、Si34の各セ
ラミックス回路基板にガラスペーストの絶縁体層を形成
した後、ベルト炉を用いて大気中で同一温度にて絶縁体
層を焼成した。その結果、使用された電力量はいずれの
試料も57Whであった。
【0057】実施例4 Si34粉末、AlN粉末、Al23粉末を各々所定量
用意し、全粉末の体積と同量のW粉末、焼結助剤、有機
溶剤及び有機バインダーを加え、ボールミルで混合して
スラリーを作製した。各スラリーを用いて、ドクターブ
レード法により厚み1mmのグリーンシートを作製し
た。各グリーンシートを十分乾燥させた後、25mm角
の大きさに切断し、得られた各セラミックス成形体の両
面を挟み込むようにしてPt電極を取り付けた。
【0058】このときの乾燥後の各セラミックス成形体
の抵抗値は、Si34の試料が528kΩ、AlNの試
料が488kΩ、Al23の試料が550kΩであっ
た。そこで、まず各セラミックス成形体を脱脂するため
に、窒素雰囲気中で通電し、温度をサーモグラフィーで
観察しながら、いずれのセラミックス成形体も900℃
まで加熱した。その後、改めて各セラミックス成形体に
W電極を取り付け、窒素雰囲気中で通電して、いずれの
セラミックス成形体も1650℃まで昇温した。昇温速
度については、いずれの場合も200℃/分の割合で行
った。
【0059】その後、1650℃で5分保持して焼結し
た後、降温した。尚、印加電圧を0Vにして急冷した場
合、AlN及びSi34の試料は破損しなかったが、A
23の試料は破損した。そのため、Al23の試料に
ついては再度セラミックス成形体を作製し、上記と同様
に通電焼結した後、電圧を調整して60℃/分の割合で
降温させた結果、破損せずに焼結体が得られた。得られ
た各セラミックス焼結体の抵抗値は、電極を取り付けた
状態で40〜42Ωであった。
【0060】実施例5 Si34粉末、AlN粉末、Al23粉末を各々所定量
用意し、全粉末の体積に対し半分の量のW粉末と、焼結
助剤、有機溶剤及び有機バインダーを加え、ボールミル
で混合してスラリーを作製した。各スラリーを用いて、
ドクターブレード法により厚み1mmのグリーンシート
を作製した。各グリーンシートを十分乾燥させた後、2
5mm角の大きさに切断し、得られた各セラミックス成
形体の両面を挟み込むようにしてPt電極を取り付け
た。
【0061】このときの各セラミックス成形体の抵抗値
は、Si34、AlN、及びAl23の各試料共に20
MΩを越えていた。そこで、全粉末の体積に対して1体
積%のAg粉末を更に加え、その外は上記と同様にして
再度スラリーを作製した。各スラリーをドクターブレー
ド法により厚み1mmのグリーンシートを作製し、十分
乾燥させた後、上記と同一の大きさに切断して抵抗値を
再度測定した結果、Si34の試料は350kΩ、Al
Nの試料は420kΩ、Al23の試料は270kΩで
あった。
【0062】次に、これらのセラミックス成形体を脱脂
するため、窒素雰囲気中で通電し、温度をサーモグラフ
ィーで観察しながら、いずれのセラミックス成形体も9
00℃まで加熱した。その後、改めてW電極を取り付
け、窒素雰囲気中で各セラミックス成形体を1650℃
まで昇温して焼結した。昇温速度については、いずれの
試料も200℃/分の割合で行った。
【0063】その後、1650℃で5分保持した後、降
温した。印加電圧を0Vにして急冷した場合、AlN及
びSi34の試料は破損しなかったが、Al23の試料
は破損した。そのため、Al23の試料については再度
成形体を作製し、上記と同様に通電して焼結した後、電
圧を調整して60℃/分の割合で降温した結果、破損せ
ずに焼結体が得られた。このようにして得られた各セラ
ミックス焼結体の抵抗値は、電極を取り付けた状態で4
0〜42Ωであった。
【0064】比較例4 実施例5と同様に、Si34粉末、AlN粉末、Al2
3粉末に対して、全粉末の体積の半分に相当するW粉
末と、焼結助剤、有機溶剤及び有機バインダーを加え、
混合してスラリーを作製した。各スラリーを用いて、実
施例1と同様に厚み1mmのグリーンシートを作製し、
十分乾燥させた後、25mm角の大きさに切断してセラ
ミックス成形体を得た。
【0065】各セラミックス成形体の両面を挟み込むよ
うにしてPt製電極を取り付けた。このときの各セラミ
ックス成形体の抵抗値は、いずれも25〜30MΩ程度
であった。このまま各セラミックス成形体に電圧を印加
していくと、いずれの試料も1000V付近の電圧を印
加したとき電極間でショートしたため、通電による焼結
はできなかった。
【0066】実施例6 実施例1と同様の各セラミックス基板を用意し、これら
の基板上に導体ペーストを用いて図1に示す形状の回路
パターンを形成した。導体ペーストには銅ペーストを使
用した。回路パターンの印刷後130℃で乾燥し、乾燥
後の回路抵抗値を測定したが、いずれの回路も10MΩ
以上の抵抗値を示し、通電により回路パターンを焼結す
ることはできなかった。
【0067】次に、上記と同じ銅ペーストに銀粉末を添
加し、良く混合した。この銀粉末を添加した銅ペースト
で形成した回路パターンの乾燥後の抵抗値と、ペースト
中の銀含有量との関係は下記表9に示すとおりであっ
た。尚、表9中におけるペースト中の銀含有量は、ペー
スト中に含まれている銅及びガラスフリットに対する体
積百分率で示した。
【0068】
【表9】
【0069】その後、導体層である回路の端子部にPt
電極を取り付け、直流電流を流すことで導体層を抵抗加
熱した。焼成後の回路抵抗値は、銅ペースト焼成時のシ
ート抵抗から5.0Ωを目標とした。最終的には20V
の電圧、4Aの電流値に保持した。この時の導体層の温
度は700℃であった。このとき、AlN基板の試料に
ついて焼成に要した電力量を表10に示した。銀含有量
が0.9体積%のものは、初期の抵抗値が他の試料と比
較して高かったため、焼成に要した電力量も非常に多く
なっていることが分かる。
【0070】
【表10】
【0071】上記焼成によって得られた各試料のうち銀
含有量が1.0体積%のものについて、導体層の抵抗値
を測定して表11に、及び導体層とセラミックス基板と
の密着強度を測定した結果を下記表12に示した。尚、
これら銀含有量1.0体積%の各試料の焼成に要した電
力量は、セラミックス基板がAlN及びSi34の試料
では6.5Whであり、Al23の試料では10.6Wh
であった。
【0072】
【表11】試 料 導体層の抵抗値(Ω)各4個 Al2O3基板 5.02 5.00 5.04 4.99 AlN基板 5.03 4.99 4.98 5.02 Si3N4基板 4.98 5.01 5.01 4.97
【0073】
【表12】試 料 導体層の密着強度(kg/mm2)各4個 Al2O3基板 1.53 1.85 1.63 1.72 AlN基板 1.27 1.20 1.29 1.22 Si3N4基板 1.15 1.08 1.05 1.14
【0074】
【発明の効果】本発明によれば、未焼成の導体層やセラ
ミックス成形体に直接通電することにより、加熱して焼
成又は焼結するので、従来の電気炉による場合に比べ
て、極めて少ない消費電力量でセラミックス基板やセラ
ミックス回路基板を製造することができる。
【0075】しかも、セラミックス基板や回路を構成す
る導体層の抵抗値を、容易に制御することができる。ま
た、得られるセラミックス回路基板では、導体層がセラ
ミックス基板に対して非常に優れた密着強度を有してい
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】セラミックス焼結体上に導体層の回路パターン
を形成した状態を示す平面図である。
【図2】導体層の回路パターンをセラミックスのグリー
ンシートでラミネートした状態を示す平面図である。
【符号の説明】
1 セラミックス焼結体 2 導体層 2a 端子部 3 グリーンシート 3a 切欠部 4 電極 5 電極装置

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 セラミックス基板上に導体層又は該導体
    層上に更に絶縁体層を具備してなるセラミックス回路基
    板の製造方法であって、セラミックス成形体上に未焼成
    の導体層又は該導体層上に更に未焼成の絶縁体層を形成
    するか、又はセラミックス焼結体上に焼成した導体層又
    は未焼成の導体層若しくはこれらの導体層上に更に未焼
    成の絶縁体層を形成した後、該焼成した又は未焼成の導
    体層に通電して抵抗発熱させることにより、前記セラミ
    ックス成形体、未焼成の導体層、及び未焼成の絶縁体層
    を焼結又は焼成することを特徴とするセラミックス回路
    基板の製造方法。
  2. 【請求項2】 焼成した又は未焼成の導体層の通電開始
    時における抵抗値が10MΩ以下であることを特徴とす
    る、請求項1に記載のセラミックス回路基板の製造方
    法。
  3. 【請求項3】 焼成した又は未焼成の導体層中に予め銀
    を含ませることを特徴とする、請求項2に記載のセラミ
    ックス回路基板の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記導体層中の銀の含有量が1.0体積
    %以上であることを特徴とする、請求項3に記載のセラ
    ミックス回路基板の製造方法。
  5. 【請求項5】 前記セラミックス成形体又は焼結体とし
    て熱衝撃抵抗係数が20cal/cm・sec以上のセ
    ラミックスを用いることを特徴とする、請求項1に記載
    のセラミックス回路基板の製造方法。
  6. 【請求項6】 未焼成の導体層に通電しながら、その抵
    抗値又は電流と電圧をモニターし、導体層の抵抗値が所
    定の値になったとき通電を停止するか又は通電量を漸減
    させることを特徴とする、請求項1に記載のセラミック
    ス回路基板の製造方法。
  7. 【請求項7】 セラミックス粉末と導電性材料粉末を混
    合したセラミックス成形体に通電して抵抗発熱させるこ
    とにより、該セラミックス成形体を焼結することを特徴
    とするセラミックス基板の製造方法。
  8. 【請求項8】 前記導電性材料が周期律表4A族、5A
    族、6A族の金属、又はその炭化物、窒化物、ホウ化物
    の少なくとも一種であることを特徴とする、請求項7に
    記載のセラミックス基板の製造方法。
  9. 【請求項9】 セラミックス成形体の通電開始時におけ
    る抵抗値が10MΩ以下であることを特徴とする、請求
    項7又は8に記載のセラミックス基板の製造方法。
  10. 【請求項10】 前記導電性材料粉末に更に銀粉末を添
    加することを特徴とする、請求項9に記載のセラミック
    ス基板の製造方法。
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