JPH1021582A - 光学的情報記録用媒体及びその製造方法 - Google Patents

光学的情報記録用媒体及びその製造方法

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JPH1021582A
JPH1021582A JP8174894A JP17489496A JPH1021582A JP H1021582 A JPH1021582 A JP H1021582A JP 8174894 A JP8174894 A JP 8174894A JP 17489496 A JP17489496 A JP 17489496A JP H1021582 A JPH1021582 A JP H1021582A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 多数回の繰返し記録・消去が行える書き換え
型媒体及びデータ保存安定性に優れた追記型媒体を提供
する。 【解決手段】 基板上に、少なくとも相変化型光記録層
と保護層とを備えた光学的情報記録用媒体において、該
保護層が金属酸化物と、その同じ金属の硫化物及び/又
はセレン化物とを含有する光学的情報記録用媒体。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はレーザー光などの照
射により、高速かつ高密度に情報を記録、消去、再生可
能な光学的情報記録用媒体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、情報量の拡大、記録・再生の高密
度・高速化の要求に応える記録媒体として、レーザー光
線を利用した光ディスクが開発されている。光ディスク
には、一度だけ記録が可能な追記型と、記録・消去が何
度でも可能な書き換え型がある。
【0003】書き換え型光ディスクとしては、光磁気効
果を利用した光磁気記録媒体や、可逆的な結晶状態の変
化を利用した相変化媒体があげられる。相変化媒体は、
外部磁界を必要とせず、レーザー光のパワーを変化させ
るだけで、記録・消去が可能である。さらに、消去と再
記録を単一ビームで同時に行う1ビームオーバーライト
が可能であるという利点を有する。
【0004】1ビームオーバーライト可能な相変化記録
方式では、記録膜を非晶質化させることによって記録ビ
ットを形成し、結晶化させることによって消去を行う場
合が一般的である。このような相変化記録方式に用いら
れる記録層材料としてはカルコゲン系合金薄膜を用いる
ことが多い。例えば、Ge−Te系、Ge−TeーSb
系、In−Sb−Te系、Ge−Sn−Te系合金薄膜
等があげられる。
【0005】なお、書き換え型とほとんど同じ材料・層
構成により、追記型の相変化媒体も実現できる。この場
合、可逆性が無いという点でより長期にわたって情報を
記録・保存でき、原理的にはほぼ半永久的な保存が可能
である。追記型として相変化媒体を用いた場合、孔あけ
型と異なりビット周辺にリムと呼ばれる盛り上がりが生
じないため信号品質に優れ、また、記録層上部に空隙が
不要なためエアーサンドイッチ構造にする必要がないと
いう利点がある。
【0006】一般に、書き換え型の相変化記録媒体で
は、相異なる結晶状態を実現するために、2つの異なる
レーザー光パワーを用いる。この方式を、非晶質ビット
と結晶化された消去・初期状態で記録・消去を行う場合
を例にとって説明する。結晶化は記録層の結晶化温度よ
り十分高く、融点よりは低い温度まで記録層を加熱する
ことによってなされる。
【0007】この場合、冷却速度は結晶化が十分なされ
る程度に遅くなるよう、記録層を誘電体層ではさんだ
り、ビームの移動方向に長い楕円形ビームを用いたりす
る。一方、非晶質化は記録層を融点より高い温度まで加
熱し、急冷することによって行う。この場合、上記誘電
体層は十分な冷却速度(過冷却速度)を得るための放熱
層としての機能も有する。
【0008】さらに、このような加熱・冷却過程におけ
る記録層の溶融・体積変化に伴う変形や、プラスチック
基板への熱的ダメージを防いだり、湿気による記録層の
劣化を防止するためにも、上記誘電体層からなる保護層
は重要である。保護層材料の材質は、レーザー光に対し
て光学的に透明であること、融点・軟化点・分解温度が
高いこと、形成が容易であること、適度な熱伝導性を有
するなどの観点から選定される。
【0009】十分な耐熱性及び機械的強度を有する保護
層としては、まず、金属の酸化物や窒化物等の誘電体薄
膜があげられる。これらの誘電体薄膜とプラスチック基
板とは熱膨張率や弾性的性質が大きく異なるため、記録
・消去を繰り返すうちに、基板からはがれてピンホール
やクラックを生じる原因となる。
【0010】また、プラスチック基板は、湿度によって
反りを生じやすいが、これによっても保護膜の剥がれが
生じることがある。一方、新規な誘電体保護層として、
ZnSを主成分とし、SiO2やY23等を混入させた
ものが提案されている。これらの複合化合物保護膜は純
粋な酸化物あるいは窒化物誘電体膜に比べ、記録層とし
てよく使われるGeTeSb等のカルコゲナイド系合金
薄膜に対する密着性に優れている。
【0011】このため繰返しオーバーライトに対する耐
久性に加え、加速試験における膜剥離が少なく相変化媒
体の信頼性をいっそう向上させている。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、複合化
合物は単に混合すれば良い特性を発揮するというわけで
はない。組成範囲、化合物の物性によっては、個々の化
合物を単体で用いる場合よりもかえって信頼性を低下さ
せる場合もある。従来、カルコゲナイド系元素を含む化
合物であるZnS、ZnSe、PbS、CdS等に酸化
物、窒化物、弗化物、炭化物等を混合させた保護膜につ
いては数多くの提案がされている。
【0013】しかし、これらの膜は比較的硬度が低く、
繰返しオーバーライトに伴い、塑性変形による微視的な
変形が蓄積し、実質的に光学的膜厚が変化して反射率が
低下するという問題があった。さらに、複合化合物保護
膜の一部に於いては、最適な組成範囲が提案されている
ものの、その組成の混合物を用いても必ずしも元の化合
物単体からなる保護層よりすぐれた特性が得られないこ
ともあった。
【0014】これは、これら複合化合物の物性とそれを
構成する化合物の物性とは大きく異なるため、製造法そ
の他により予測不可能な物性変化が生じやすいためであ
る。例えば、上記複合化合物からなる保護層を形成する
にあたってはスパッタ法が広く用いられている。
【0015】例えば、金属酸化物ターゲットをスパッタ
リングする方法がある。アルゴン等の不活性ガス雰囲気
の下、高速ガスイオンが金属酸化物ターゲット表面に衝
突して叩き出された原子や分子状態のターゲット構成物
質が、ターゲットと対峙した基板に付着することにより
薄膜を形成する。しかしこの場合、叩き出された酸素原
子の一部が、成膜室内のアルゴン原子と衝突し、基板に
到達しないといった現象がしばしば起こる。すなわち本
スパッタ法では、基板上の膜組成とターゲット組成との
ズレが発生し、所望の膜物性が得られないことがある。
【0016】また、同一製造法でも、スパッタ時の圧力
等により物性が変化するのは周知の事実である。以上の
ような、相変化型光記録媒体の保護膜として適した物性
をもつ複合化合物、及びそれに適した製造方法を提供す
ることが課題となっていた。
【0017】
【課題を解決するための手段】本発明はかかる課題を解
決するもので、その要旨は、基板上に、少なくとも相変
化型光記録層と保護層とを備えた光学的情報記録用媒体
において、該保護層が金属酸化物と、その同じ金属の硫
化物及び/又はセレン化物とを含有することを特徴とす
る光学的情報記録用媒体に存する。
【0018】また、本発明の別の要旨は、これを製造す
る方法として、上記金属とその金属硫化物及び/又はセ
レン化物との混合物からなるターゲットを、酸素と不活
性ガスの混合ガス中で反応性スパッタして保護層を得る
ことを特徴とする製造方法、及び、上記金属からなるタ
ーゲットとその金属硫化物及び/又はセレン化物からな
るターゲットとを、酸素と不活性ガスの混合ガス中で同
時に反応性スパッタして保護層を得ることを特徴とする
製造方法に存する。
【0019】
【発明の実施の形態】金属酸化物は本来高硬度ではある
が、いったん微視的な転移が生じ、それがある限度をこ
えると一気に巨視的クラックに進行しやすい、すなわち
脆いという欠点がある。また、スパッタ法で形成した酸
化物膜は一般に高圧縮応力で、記録層との界面剥離によ
り膨れによる欠陥を生じやすい。
【0020】一方、金属硫化物もしくはセレン化物は、
一般に金属と硫黄又はセレンとの結合部が柔軟で、また
特定の層状構造を形成しやすい。従って、外部からの応
力に対して比較的容易に結合角を変化させ、あるいはす
べり転移を生じ微視的な塑性変形を起こすが、この微視
的塑性変形により応力を散逸させるため、巨視的なクラ
ックを生じさせにくいという特徴がある。
【0021】また、硫化物やセレン化物は一般にカルコ
ゲン元素を主成分として含む相変化型記録層との密着性
もよく、固有応力も小さいため剥離を生じにくい。本発
明者等は、両者の欠点を少なくし長所をあわせ持つよう
な物質が、相変化媒体の保護膜として最適であることを
見いだした。つまり、異種金属の酸化物と硫化物もしく
はセレン化物とを強制的に混合した複合化合物よりも、
非晶質酸化物の酸素の一部を硫黄もしくはセレンで置換
した複合化合物の方が、より強固で化学的にも安定な保
護膜となるのである。
【0022】すなわち、本発明の複合化合物は共有結合
性の酸化物がベースであるため、カルコゲン化物をベー
スとする保護層に比べて硬度が高く、記録層の相変化に
伴う体積変化、記録層溶融時の変形による歪みにより保
護層が変形されることを抑制できる。一方で、硫黄又は
セレンで置換された結合は、酸素でつながれている部分
より柔軟性があるため、ミクロンオーダーのクラックが
発生しにくい。
【0023】さらに、例えば結晶性カルコゲン化物をガ
ラス質の物質で強制的に分散し、微細結晶化した混合物
(特開昭63−103453など)と異なり、本発明に
よる保護膜は、相分離構造が認めがたく粒界での転移が
起きにくい。保護層中の酸素原子数aと硫黄及びセレン
の合計原子数bとの比a/bは0.5〜30の範囲にあ
るのが好ましい。0.5より小さいと、酸化物が少ない
ため十分な硬度が確保しにくく、30より大きいと、硫
黄又はセレンによるクラック抑制効果が十分に得られに
くい。
【0024】好ましくは金属としてTa、Nb、Zrの
いずれかを用いる。これらの金属の硫化物あるいはセレ
ン化物は分解温度が高く、書換え型媒体においては繰返
しオーバーライト耐久性を向上させるため好ましい。本
発明の保護層の製造法としては、金属とその金属硫化物
及び/又はセレン化物との混合物からなるターゲット
を、酸素と不活性ガスの混合ガス中で反応性スパッタす
るか、もしくは、金属からなるターゲットとその金属硫
化物及び/又はセレン化物からなるターゲットとを、酸
素と不活性ガスの混合ガス中で同時に反応性スパッタす
る方法が望ましい。
【0025】片方もしくは両方のターゲットを高周波放
電させてスパッタリングすることも可能ではあるが、装
置が複雑になるので、できれば、直流スパッタできる方
が望ましい。TaS2は導電性があるため、直流スパッ
タが可能であり、金属と同時スパッタをするのに適して
いる。保護膜の密度は、同一の組成比を有するバルク物
質の理論密度の80%以上であることが望ましい。
【0026】ここで膜の理論密度は、理論密度=Σ
{(構成化合物バルク状態の密度)×(構成化合物モル
含有率)}なる式で示されるもので、各構成化合物のバ
ルク状態での密度にその構成化合物のモル含有率を乗じ
たものの積算値である。膜の密度は、基板面積・触針計
膜厚から求めた体積と成膜による基板の重量変化を求め
れば容易に測定できる。
【0027】なお、単体化合物の場合に、保護層の密度
をこのように高密度にすることで、繰返し記録及び経時
変化に対する耐久性を著しく向上させることは公知であ
る(第3回相変化記録研究会講演予稿集(1991)、
PP7−13、及び特開平4−251452、いずれも
本発明者らによる)。保護膜密度のコントロールはスパ
ッタリング時の真空度を調節することにより行いうる。
【0028】膜密度を高くするにはスパッタ中のガス圧
を低くするのが良く、通常は真空度を1Pa以下とし、
より好ましくは0.3〜0.8Paとするのが良い。こ
のようにして得られた本発明保護層は、公知のZnS、
ZnSeを主成分とする複合膜より機械的強度が大き
く、硬度が酸化物に近く、かつ微視的ずり変化によりク
ラックを防止する効果が得られる。さらに酸化物単体の
保護膜に比べて圧縮応力が小さいため剥離が生じにく
い。
【0029】保護層の固有応力は、剥離や基板のそりを
防ぐために、0.5GPa未満が望ましい。一般に、上
記のように高密度が得られる低スパッタ圧でのスパッタ
では、高圧縮応力が発生しやすい。特に、金属の酸化物
等ではその圧縮応力が1GPa近くになり、剥離の原因
となる。
【0030】本発明保護層は、高密度が得られる上記ス
パッタ条件でも高応力が発生しにくく、高密度と低固有
応力とを同時に得やすい。実際に本発明による保護膜の
物性を測定したところ、後述の実施例に具体的に述べら
れているように、酸化物単体よりも若干硬度が落ちるも
のの、硫化物もしくはセレン化物単体より高硬度であ
り、また、固有応力の小さい膜が得られている。
【0031】次に、本発明による光学的記録用媒体の構
成について述べる。本発明の光学的記録用媒体の基板と
しては、ポリカーボネート、アクリル、ポリオレフィン
などの透明樹脂、あるいはガラスを用いることができ、
少なくとも相変化型光記録層と保護層とを備える。相変
化型記録層は、その上下を保護層で被覆されていること
が望ましい。さらに望ましくは基板/誘電体層/記録層
/誘電体層/反射層の積層構造を有し、その上を紫外線
もしくは熱硬化性の樹脂で被覆されていることが望まし
い。
【0032】反射層を設けるのは、光学的な干渉効果を
より積極的に利用して信号振幅を大きくするためと、放
熱層として機能することで非晶質マークの形成に必要な
過冷却状態が得られやすいようにするためである。この
ため、反射層としては、高反射率、高熱伝導率の金属が
望ましく、具体的にはAu、Ag、Al等があげられ
る。しかしながら、より光学的な設計の自由度を増すた
めに、Si、Ge等の半導体を用いることもある。経済
的、及び耐蝕性の観点からはAlにTa、Ti、Cr、
Mo、Mg、Zr、V、Nb等を0.5〜5at%添加
したAl合金が望ましい。特に、Taの添加により高耐
蝕性材料が得られる(特開平1−169751号公
報)。
【0033】基板表面には、上記特性を満たす保護層
が、通常は10〜500nmの厚さに設けられる。誘電
体層の厚みが10nm未満であると、基板や記録膜の変
形防止効果が不十分であり、保護層としての役目をなさ
ない傾向がある。500nmを超えると誘電体自体の内
部応力や基板との弾性特性の差が顕著になって、クラッ
クが発生しやすくなる。
【0034】本発明の保護膜は、前述のように、一般に
高周波放電スパッタで製造されるため、成膜速度が遅い
傾向が有り、生産性の面からは200nm以上の厚膜を
設けることは難しい。もし、そのような厚膜を形成する
必要がある場合には、全膜厚のうち記録層に接する側の
5〜10nmを本発明の保護膜とし、記録層から遠い側
の残りの膜厚を、S又はSeで置換されてない酸化物の
みからなる保護膜とすれば良い。
【0035】少なくとも記録層界面側に本発明保護層を
適用すれば、全膜厚を本発明保護膜とした場合と同様の
効果が得られる。ただし、界面側の保護膜と基板側保護
膜との密着性が良くない場合は剥離を生じ易いので、両
者の組み合わせには注意を要する。最も問題の少ない組
み合わせは、記録層界面側の保護膜に含まれる酸化物と
同じものを用いることである。
【0036】本発明の媒体の記録層は相変化型の記録層
であり、その厚みは10〜100nmの範囲が好まし
い。記録層の厚みが10nmより薄いと十分なコントラ
ストが得られ難く、また結晶化速度が遅くなる傾向があ
り、短時間での記録消去が困難となりやすい。一方、1
00nmを越すとやはり光学的なコントラストが得にく
くなり、また、クラックが生じやすくなるので好ましく
ない。
【0037】記録層としては公知の相変化型光記録層が
使用でき、例えばGeSbTeやInSbTe、AgS
bTe、AgInSbTeといった化合物がオーバーラ
イト可能な材料として選ばれる。なかでも、{(Sb2
Te31-x(GeTe)x1- ySby合金(0.2<x
<0.9、0≦y<0.1)、又は、Mw(SbzTe1-
z1-w合金(0≦w<0.3、0.5<z<0.9、M
はIn、Ga、Zn、Ge、Sn、Si、Cu、Au、
Ag、Pd、Pt、Pb、Cr、Co、O、S、Seの
うちの少なくとも1種を示す)を主成分とする薄膜は、
結晶・非晶質いずれの状態も安定で、かつ、両状態間の
高速の相転移が可能である。
【0038】さらに、繰返しオーバーライトを行った時
に偏析が生じにくいといった利点があり、最も実用的な
材料である。上記記録層は合金ターゲットを不活性ガ
ス、特にArガス中でスパッタして得られることが多
い。スパッタ膜中には一般に、スパッタに用いたArガ
スが膜中に取り込まれるが、これが繰返しオーバーライ
ト時に析出し、0.1mmオーダーのボイド(空隙)を
形成することがある(J.Appl.Phys.、第7
8巻(1995)、pp.6980−6988)。
【0039】これを抑制するために該記録層膜中に含ま
れる1.5at%未満であることが望ましい。一般に、
膜中にArが取り込まれるのは、スパッタのためにター
ゲットに高速度で入射するArの一部がターゲット表面
で跳ね返され、膜中に侵入するためと考えられている。
【0040】記録層スパッタ時のArガス圧を高めにす
ることで、上記反跳Ar量を少なくできることは公知で
あり、膜中のAr量を減らせる。しかし、このように高
Arガス圧とすると、膜にたたきつけられるAr及びタ
ーゲットからの飛来原子のエネルギーが低下するため
に、緻密な膜が形成されにくいというトレードオフの問
題が生じる。
【0041】低密度の記録層は、繰返しオーバーライト
により1mmオーダーの空隙を生じる(前記の文献)。
これを防ぐには、Ar含有量が0.1at%以上1.5
at%未満、もしくは、記録層密度がバルクの理論密度
の86%以上であることが望ましい。バルク理論密度
は、保護層と同様に構成元素の原子量と原子数比から求
められる。
【0042】なお、一般的なAr量の制御、繰返しオー
バーライトに対する影響、膜中Ar量の定量化について
は、本発明者らによる特開平6−262855号公報に
開示されている。これらの合金薄膜記録層に0.1〜1
0at%のSn、In、Pb、As、Se、Si、B
i、Au、Ti、Cu、Ag、Pt、Pd、Co、Ni
等のうちから、一種又はそれ以上の元素を添加して結晶
化速度、光学定数、耐酸化性を改善することも有効であ
る。
【0043】なお、記録層及び保護層の厚みは、上記機
械的強度、信頼性の面からの制限の他に、多層構成に伴
う干渉効果も考慮して、レーザー光の吸収効率が良く、
記録信号の振幅すなわち記録状態と未記録状態のコント
ラストが大きくなるように選ばれる。前述のように記録
層、保護層層、反射層はスパッタリング法などによって
形成される。記録膜用ターゲット、保護膜用ターゲッ
ト、必要な場合には反射層材料用ターゲットを同一真空
チャンバー内に設置したインライン装置で膜形成を行う
ことが各層間の酸化や汚染を防ぐ点で望ましい。また、
生産性の面からもすぐれている。
【0044】なお、本発明の保護層は、繰返し記録・消
去可能な、書換可能相変化ディスクへの適用に特に適し
ているが、ライトワンス型相変化媒体に適用しても、耐
蝕性の向上、耐剥離性の向上をもたらし、媒体の信頼性
改善に有効である。以下、本発明を実施例を用いてより
詳細に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り実
施例に限定されるものではない。
【0045】
【実施例】
(実施例1)ポリカーボネート樹脂基板上に下部誘電体
層/記録層/上部誘電体層/反射層を設け、4層構造の
記録媒体を作成した。各層の厚みは、下部誘電体層16
0nm、記録層30nm、上部誘電体層30nm、反射
層100nmとした。
【0046】誘電体層材料としては、Taターゲット及
びTaS2ターゲットを用意した。誘電体層はArガス
及び酸素ガスをそれぞれ50sccm及び6sccmで
流し、圧力0.7Paのもと、TaS2ターゲット及び
Taターゲットの両者とも直流スパッタリングにより同
時スパッタしたした。TaS2及びTaターゲットそれ
ぞれのスパッタリングパワーは成膜後のTaS2とTa2
5のモル比が20対80となるよう調節した。
【0047】保護層中の酸素原子数aと硫黄及びセレン
の合計原子数bとの比a/bは10であった。膜密度は
7.4g/ccであり理論密度の87%であった。JI
Sヌープ硬度は440であり、膜応力は圧縮で1×10
9dyn/cm2であった。
【0048】記録層の組成はGe22.2Sb22.2Te55.6
であり、反射層はAl合金を用い、Arガス圧力0.7
Paで直流スパッタリングにより成膜した。さらに厚み
約5μmの紫外線硬化樹脂を設けた。このディスクをさ
らにArイオンレーザーを用いて初期化すなわち記録層
の結晶化処理を行ったのち、以下の条件でディスクの動
特性を評価した。
【0049】ディスクを10m/sの線速度で回転させ
ながら、記録周波数4MHz、デューティー50%のパ
ルス光を用い、記録パワー20mW、ベースパワー9.
5mWで繰返しオーバーライトを行い、所定の回数に達
する度にC/N比及び消去比の測定を行った。結果を図
1に示す。繰返し10万回でのC/N比の低下は、1回
目と比較して約10dBであった。また、繰返し10万
回での消去比は、1回目と比較して約1dB低下した。
【0050】(実施例2)TaS2ターゲットは高周波
(13.56MHz)スパッタリング、そしてTaター
ゲットは直流スパッタリングにより同時スパッタしたこ
と以外は実施例1と同様にしてディスクを作成し、同様
な動特性評価を行った。結果を図1に示す。
【0051】繰返し10万回でのC/N比の低下は、1
回目と比較して約20dBであった。また、繰返し10
万回での消去比は、1回目と比較して約3dB低下し
た。この誘電体薄膜のa/bは10であった。また、膜
密度は7.4g/ccであり、理論密度の87%であっ
た。JISヌープ硬度は440であり、膜応力は圧縮で
1×109dyn/cm2であった。
【0052】(実施例3)TaS2及びTaの含有率が
それぞれ11mol%及び89mol%の合金ターゲッ
トを用い、直流スパッタしたこと以外は実施例1と同様
にしてディスクを作成し、同様な動特性評価を行った。
結果を図2に示す。
【0053】繰返し10万回でのC/N比の低下は、1
回目と比較して約1.6dBであった。また、また、繰
返し10万回での消去比は、1回目と比較して約4.1
dB低下した。この誘電体薄膜のa/bは10であっ
た。また、膜密度は7.0g/ccであり、理論密度の
83.3%であった。JISヌープ硬度は450であ
り、膜応力は圧縮で3.2×109dyn/cm2であっ
た。
【0054】(比較例1)誘電体層材料としてSiO2
ターゲットを用い、Arガスを50sccmで流し、圧
力0.7Paのもと、高周波(13.56MHz)スパ
ッタリングにより成膜したこと以外は実施例1と同様に
してディスクを作成し、同様な動特性評価を行った。結
果を図3に示す。
【0055】繰返し1万回でのC/N比及び消去比の低
下は、1回目と比べてそれぞれ約11dB及び約17d
Bであった。この誘電体薄膜のヌープ硬度は300であ
り、膜応力は圧縮で1×109dyn/cm2であった。
SiO2の融点は1600℃である。
【0056】(比較例2)誘電体層材料としてmol比
が80対20のZnS及びTiO2の合金ターゲットを
用い、Arガスを50sccmで流し、圧力0.7Pa
のもと、高周波(13.56MHz)スパッタリングに
より成膜したこと以外は実施例1と同様にしてディスク
を作成し、同様な動特性評価を行った。結果を図4に示
す。
【0057】繰返し2千回でC/N比及び消去比の低下
は1回目と比べてそれぞれ約11dB及び約16dBで
あった。この誘電体薄膜のa/bは2であった。また、
膜密度は3.8g/ccであり、理論密度の92%であ
った。ヌープ硬度は400であり、膜応力は圧縮で2×
109dyn/cm2であった。TiO2は600℃付近
で熱分解が始まり、酸素原子が離脱し、黒色化すること
が知られている。
【0058】(比較例3)誘電体層材料としてmol比
が80対20のZnS及びMoS2の合金ターゲットを
用い、Arガスを50sccmで流し、圧力0.7Pa
のもと、高周波(13.56MHz)スパッタリングに
より成膜したこと以外は実施例1と同様にしてディスク
を作成し、同様な動特性評価を行った。結果を図5に示
す。
【0059】繰返し1千回でC/N比及び消去比の低下
は1回目と比べてそれぞれ約9dB及び約16dBであ
った。この誘電体薄膜の膜密度は4.16g/ccであ
り、理論密度の97%であった。ヌープ硬度は230で
あり、膜応力は圧縮で1×109dyn/cm2であっ
た。MoS2は350℃付近で熱的に不安定となり合金
を作りやすいことが知られている。
【0060】
【発明の効果】本発明によれば、多数回の繰返し記録・
消去が行える書き換え型媒体及びデータ保存安定性に優
れた追記型媒体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例1及び2におけるC/N比及び消去比
の測定結果を示すグラフ
【図2】 実施例3におけるC/N比及び消去比の測定
結果を示すグラフ
【図3】 比較例1におけるC/N比及び消去比の測定
結果を示すグラフ
【図4】 比較例2におけるC/N比及び消去比の測定
結果を示すグラフ
【図5】 比較例3におけるC/N比及び消去比の測定
結果を示すグラフ
【符号の説明】
1 C/N比を示すグラフ 2 消去比を示すグラフ

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基板上に、少なくとも相変化型光記録層
    と保護層とを備えた光学的情報記録用媒体において、該
    保護層が金属酸化物と、その同じ金属の硫化物及び/又
    はセレン化物とを含有することを特徴とする光学的情報
    記録用媒体。
  2. 【請求項2】 保護層中の酸素原子数aと硫黄及びセレ
    ンの合計原子数bとの比a/bが0.5〜30の範囲に
    あることを特徴とする請求項1記載の光学的情報記録用
    媒体。
  3. 【請求項3】 上記金属がTa、Nb、Zrのいずれか
    であることを特徴とする請求項1又は2に記載の光学的
    情報記録用媒体。
  4. 【請求項4】 上記金属とその金属硫化物及び/又はセ
    レン化物との混合物からなるターゲットを、酸素と不活
    性ガスの混合ガス中で反応性スパッタして、保護層を得
    ることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の
    光学的情報記録用媒体の製造方法。
  5. 【請求項5】 上記金属からなるターゲットとその金属
    硫化物及び/又はセレン化物からなるターゲットとを、
    酸素と不活性ガスの混合ガス中で同時に反応性スパッタ
    して、保護層を得ることを特徴とする請求項1乃至3の
    いずれかに記載の光学的情報記録用媒体の製造方法。
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