JPH10227784A - 焼戻しマルテンサイト系鋼のクリープ損傷評価方法 - Google Patents
焼戻しマルテンサイト系鋼のクリープ損傷評価方法Info
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- JPH10227784A JPH10227784A JP9031991A JP3199197A JPH10227784A JP H10227784 A JPH10227784 A JP H10227784A JP 9031991 A JP9031991 A JP 9031991A JP 3199197 A JP3199197 A JP 3199197A JP H10227784 A JPH10227784 A JP H10227784A
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Landscapes
- Investigating And Analyzing Materials By Characteristic Methods (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【課題】 高温で長時間使用される焼戻しマルテンサイ
ト系鋼のクリープ損傷度を、供用中に精度よく評価する
ことができる焼戻しマルテンサイト系鋼のクリープ損傷
評価方法を提供すること。 【解決手段】 測定対象部位を電解液に浸漬し、一定の
電位掃引速度で電位を付与してピーク電流密度を計測す
るかあるいはピーク電流の電位で一定時間保持した後表
面からレプリカを採取して光学顕微鏡で観察し、光学顕
微鏡組織の輝度の分布を測定し、あらかじめ時効処理し
た試験片を用いて作成したクリープ損傷度とピーク電流
密度(ピーク電流を計測面積で割った値)との関係線図
あるいは光学顕微鏡組織の輝度分布定量値とクリープ損
傷度との関係線図から調査対象部位の材料のクリープ損
傷度を評価する。
ト系鋼のクリープ損傷度を、供用中に精度よく評価する
ことができる焼戻しマルテンサイト系鋼のクリープ損傷
評価方法を提供すること。 【解決手段】 測定対象部位を電解液に浸漬し、一定の
電位掃引速度で電位を付与してピーク電流密度を計測す
るかあるいはピーク電流の電位で一定時間保持した後表
面からレプリカを採取して光学顕微鏡で観察し、光学顕
微鏡組織の輝度の分布を測定し、あらかじめ時効処理し
た試験片を用いて作成したクリープ損傷度とピーク電流
密度(ピーク電流を計測面積で割った値)との関係線図
あるいは光学顕微鏡組織の輝度分布定量値とクリープ損
傷度との関係線図から調査対象部位の材料のクリープ損
傷度を評価する。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は高温で長時間運転さ
れる焼戻しマルテンサイト系鋼からなる機械部品のクリ
ープ損傷度を供用中の状態で評価することのできる焼戻
しマルテンサイト系鋼のクリープ損傷評価方法に関す
る。
れる焼戻しマルテンサイト系鋼からなる機械部品のクリ
ープ損傷度を供用中の状態で評価することのできる焼戻
しマルテンサイト系鋼のクリープ損傷評価方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】従来より、高温で長時間運転される機械
部品の供用中のクリープ損傷の検査方法として、次のよ
うな方法が知られている。 1)長時間使用によって生成した欠陥を磁気、超音波、
放射線等を用いて非破壊的に検査する方法。 2)長時間使用された機械部品表面から試験片を採取し
て、クリープ破断試験に代表される機械試験に供する方
法。 3)部材の表面や採取した試験片の表面の金属組織を観
察して、き裂が生成する前に生じる微小な空洞や析出物
の形態変化などを観察する方法。
部品の供用中のクリープ損傷の検査方法として、次のよ
うな方法が知られている。 1)長時間使用によって生成した欠陥を磁気、超音波、
放射線等を用いて非破壊的に検査する方法。 2)長時間使用された機械部品表面から試験片を採取し
て、クリープ破断試験に代表される機械試験に供する方
法。 3)部材の表面や採取した試験片の表面の金属組織を観
察して、き裂が生成する前に生じる微小な空洞や析出物
の形態変化などを観察する方法。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明が、解決しよう
とする上記従来技術の課題は以下のとおりである。 1)非破壊検査による方法は原理的にき裂を検出する方
法であることから、き裂発生以前の損傷を検出できな
い。したがって、き裂が生成して破壊するまでにあまり
時間がないと考えられる部品、たとえば薄肉の伝熱管や
管厚でほぼ一様な応力が負荷されるような大径薄肉管等
においては、き裂が生じる以前の損傷を検出できなけれ
ば、設備の安全運転に支障をきたす場合があった。 2)試験片を用いて機械試験に供する方法は、上述した
課題を解決できる方法ではあるが、部材から試験片を採
取する必要がある。多くの場合、試験片採取後に該機械
を運転するためには採取後の部品の補修復旧作業が必要
になり、復旧部品の信頼性、復旧に要する費用及び工期
の問題から、特に大きな部品においては試験片採取が極
めて困難であった。 3)部材の表面や採取した試験片表面の金属組織を観察
する方法については、焼戻しマルテンサイト鋼は以前か
ら用いられているCr−Mo鋼と異なり、クリープ中に
組織変化を生じにくく、従来と同様の金属組織による方
法では精度の高い寿命評価は困難であった。
とする上記従来技術の課題は以下のとおりである。 1)非破壊検査による方法は原理的にき裂を検出する方
法であることから、き裂発生以前の損傷を検出できな
い。したがって、き裂が生成して破壊するまでにあまり
時間がないと考えられる部品、たとえば薄肉の伝熱管や
管厚でほぼ一様な応力が負荷されるような大径薄肉管等
においては、き裂が生じる以前の損傷を検出できなけれ
ば、設備の安全運転に支障をきたす場合があった。 2)試験片を用いて機械試験に供する方法は、上述した
課題を解決できる方法ではあるが、部材から試験片を採
取する必要がある。多くの場合、試験片採取後に該機械
を運転するためには採取後の部品の補修復旧作業が必要
になり、復旧部品の信頼性、復旧に要する費用及び工期
の問題から、特に大きな部品においては試験片採取が極
めて困難であった。 3)部材の表面や採取した試験片表面の金属組織を観察
する方法については、焼戻しマルテンサイト鋼は以前か
ら用いられているCr−Mo鋼と異なり、クリープ中に
組織変化を生じにくく、従来と同様の金属組織による方
法では精度の高い寿命評価は困難であった。
【0004】本発明は前記従来技術の実状に鑑み、高温
で長時間使用される焼戻しマルテンサイト系鋼のクリー
プ損傷度を、供用中に精度よく評価することができる焼
戻しマルテンサイト系鋼のクリープ損傷評価方法を提供
しようとするものである。
で長時間使用される焼戻しマルテンサイト系鋼のクリー
プ損傷度を、供用中に精度よく評価することができる焼
戻しマルテンサイト系鋼のクリープ損傷評価方法を提供
しようとするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明の第1は8〜12
重量%のCrを含有する焼戻しマルテンサイト系鋼のク
リープ損傷を評価するに当たり、次の1)〜5)の手順
を経ることを特徴とする焼戻しマルテンサイト鋼のクリ
ープ損傷評価方法。 1)長時間高温で使用された焼戻しマルテンサイト系鋼
からなる高温部品の調査対象部位の表面を鏡面に研摩す
る。 2)前記鏡面研摩面のうち計測に必要な面積を残して他
をマスキングし、マスキングされていない面(計測面)
の面積を測定する。 3)電解溶液又はこれをゲル化したものに前記鏡面研摩
面を浸し、適切な参照電極及び対極を設置するとともに
計測面に電極線を接続し、電流計測準備を整える。 4)自然電極電位を計測後、一定の電位掃引速度で貴方
向に分極し、一定時間保持後、そのまま卑側に再度同じ
掃引速度で掃引する。 5)前記逆掃引時に現れる一定電位でのピーク電流を計
測して、あらかじめ時効処理した試験片を用いて作成し
たクリープ損傷度とピーク電流密度(ピーク電流を計測
面積で割った値)との関係線図から調査対象部位の材料
のクリープ損傷度を評価する。
重量%のCrを含有する焼戻しマルテンサイト系鋼のク
リープ損傷を評価するに当たり、次の1)〜5)の手順
を経ることを特徴とする焼戻しマルテンサイト鋼のクリ
ープ損傷評価方法。 1)長時間高温で使用された焼戻しマルテンサイト系鋼
からなる高温部品の調査対象部位の表面を鏡面に研摩す
る。 2)前記鏡面研摩面のうち計測に必要な面積を残して他
をマスキングし、マスキングされていない面(計測面)
の面積を測定する。 3)電解溶液又はこれをゲル化したものに前記鏡面研摩
面を浸し、適切な参照電極及び対極を設置するとともに
計測面に電極線を接続し、電流計測準備を整える。 4)自然電極電位を計測後、一定の電位掃引速度で貴方
向に分極し、一定時間保持後、そのまま卑側に再度同じ
掃引速度で掃引する。 5)前記逆掃引時に現れる一定電位でのピーク電流を計
測して、あらかじめ時効処理した試験片を用いて作成し
たクリープ損傷度とピーク電流密度(ピーク電流を計測
面積で割った値)との関係線図から調査対象部位の材料
のクリープ損傷度を評価する。
【0006】本発明の第2は8〜12重量%のCrを含
有する焼戻しマルテンサイト系鋼のクリープ損傷を評価
するに当たり、次の1)〜5)の手順を経ることを特徴
とする焼戻しマルテンサイト鋼のクリープ損傷評価方
法。 1)長時間高温で使用された焼戻しマルテンサイト系鋼
からなる高温部品の調査対象部位の表面を鏡面に研摩す
る。 2)前記鏡面研摩面のうち計測に必要な面積を残して他
をマスキングし、マスキングされていない面(計測面)
の面積を測定する。 3)電解溶液又はこれをゲル化したものに前記鏡面研摩
面を浸し、適切な参照電極及び対極を設置するとともに
計測面に電極線を接続し、電流計測準備を整える。 4)自然電極電位を計測後、一定の電位掃引速度で貴方
向に分極し、一定時間保持後、そのまま卑側に再度同じ
掃引速度で掃引し、貴側に掃引した後卑側に掃引する際
に生じるピーク電流の電位で一定時間保持する。 5)前記分極後の調査対象部位の表面からレプリカを採
取して光学顕微鏡で観察し、光学顕微鏡組織の輝度の分
布を測定し、あらかじめ時効処理した試験片を用いて作
成した光学顕微鏡組織の輝度分布定量値とクリープ損傷
度との関係線図から調査対象部位の材料のクリープ損傷
を評価する。
有する焼戻しマルテンサイト系鋼のクリープ損傷を評価
するに当たり、次の1)〜5)の手順を経ることを特徴
とする焼戻しマルテンサイト鋼のクリープ損傷評価方
法。 1)長時間高温で使用された焼戻しマルテンサイト系鋼
からなる高温部品の調査対象部位の表面を鏡面に研摩す
る。 2)前記鏡面研摩面のうち計測に必要な面積を残して他
をマスキングし、マスキングされていない面(計測面)
の面積を測定する。 3)電解溶液又はこれをゲル化したものに前記鏡面研摩
面を浸し、適切な参照電極及び対極を設置するとともに
計測面に電極線を接続し、電流計測準備を整える。 4)自然電極電位を計測後、一定の電位掃引速度で貴方
向に分極し、一定時間保持後、そのまま卑側に再度同じ
掃引速度で掃引し、貴側に掃引した後卑側に掃引する際
に生じるピーク電流の電位で一定時間保持する。 5)前記分極後の調査対象部位の表面からレプリカを採
取して光学顕微鏡で観察し、光学顕微鏡組織の輝度の分
布を測定し、あらかじめ時効処理した試験片を用いて作
成した光学顕微鏡組織の輝度分布定量値とクリープ損傷
度との関係線図から調査対象部位の材料のクリープ損傷
を評価する。
【0007】
【発明の実施の形態】焼戻しマルテンサイト鋼において
は、従来のCr−Mo鋼と異なり、クリープ損傷と直接
関係する微細な炭窒化物が長時間加熱に対して極めて安
定であり、析出物の凝集粗大化や種類の変化に着目した
寿命評価は極めて困難である。そこで本発明者らは焼戻
しマルテンサイト鋼のクリープ中断材について詳細に組
織調査を行った結果、この種の鋼ではクリープ中にマル
テンサイトラス(マルテンサイト粒子の境界、この領域
は転位が密集している)の回復が生じることを見出し
た。さらに、従来からこれらのマルテンサイト組織の観
察には透過型電子顕微鏡等の高度な組織解析装置が必要
とされていたが、本発明者等はラスの回復(マルテンサ
イトの粒子の境界の転位密度が減少すること)によって
ラス界面の転位密度が低下するにしたがってラス界面が
腐食されにくくなること、すなわち、ラス界面の腐食に
対応する電位における腐食電流密度は、ラス界面転位の
乱雑さに対応することを見出した。
は、従来のCr−Mo鋼と異なり、クリープ損傷と直接
関係する微細な炭窒化物が長時間加熱に対して極めて安
定であり、析出物の凝集粗大化や種類の変化に着目した
寿命評価は極めて困難である。そこで本発明者らは焼戻
しマルテンサイト鋼のクリープ中断材について詳細に組
織調査を行った結果、この種の鋼ではクリープ中にマル
テンサイトラス(マルテンサイト粒子の境界、この領域
は転位が密集している)の回復が生じることを見出し
た。さらに、従来からこれらのマルテンサイト組織の観
察には透過型電子顕微鏡等の高度な組織解析装置が必要
とされていたが、本発明者等はラスの回復(マルテンサ
イトの粒子の境界の転位密度が減少すること)によって
ラス界面の転位密度が低下するにしたがってラス界面が
腐食されにくくなること、すなわち、ラス界面の腐食に
対応する電位における腐食電流密度は、ラス界面転位の
乱雑さに対応することを見出した。
【0008】本発明らはこれらのことから、腐食電流密
度を計測することによって、これまで透過型電子顕微鏡
やX線回析装置等の高度な装置を用いなければ定量化で
きなかったマルテンサイトラスの回復を容易に計測でき
る計測手段を開発した。さらには、前述したように、焼
戻しマルテンサイト鋼のクリープ損傷はマルテンサイト
ラスの回復によっていることから、該腐食電流密度の計
測によって該焼戻しマルテンサイト鋼のクリープ損傷を
非破壊的に検出する手法を構成することができる。
度を計測することによって、これまで透過型電子顕微鏡
やX線回析装置等の高度な装置を用いなければ定量化で
きなかったマルテンサイトラスの回復を容易に計測でき
る計測手段を開発した。さらには、前述したように、焼
戻しマルテンサイト鋼のクリープ損傷はマルテンサイト
ラスの回復によっていることから、該腐食電流密度の計
測によって該焼戻しマルテンサイト鋼のクリープ損傷を
非破壊的に検出する手法を構成することができる。
【0009】さらに、前記のように、一定条件下での腐
食の程度はマルテンサイトラスの回復の程度を表すが、
腐食された後の機械部品の表面に生じる腐食による凹凸
の程度もまたマルテンサイトラスの回復と相関すること
がわかった。すなわち、転位密度が高く内部エネルギー
が高い熱処理ままの焼戻しマルテンサイト鋼において
は、ラス界面が腐食されやすいために、凹凸が多い表面
状況を呈するが、クリープ損傷を受けた焼戻しマルテン
サイト鋼の転位密度が低下したラス界面は腐食されにく
く、凹凸が少ないことを見出した。
食の程度はマルテンサイトラスの回復の程度を表すが、
腐食された後の機械部品の表面に生じる腐食による凹凸
の程度もまたマルテンサイトラスの回復と相関すること
がわかった。すなわち、転位密度が高く内部エネルギー
が高い熱処理ままの焼戻しマルテンサイト鋼において
は、ラス界面が腐食されやすいために、凹凸が多い表面
状況を呈するが、クリープ損傷を受けた焼戻しマルテン
サイト鋼の転位密度が低下したラス界面は腐食されにく
く、凹凸が少ないことを見出した。
【0010】そこで、表面に腐食によって生成した凹凸
の程度を定量的に把握することができれば焼戻しマルテ
ンサイト鋼のクリープ損傷の程度を評価することができ
ると考え、凹凸を定量的に評価する方法として、光学顕
微鏡組織の輝度の分布による方法を開発した。すなわ
ち、表面の凹凸をレプリカ膜に転写し、これを光学顕微
鏡に装着して組織を観察すると、凹凸の多い材料では輝
度の分布が広いのに対して凹凸の少ない材料では輝度分
布が狭いことを見出し、それを利用して光学顕微鏡組織
上の輝度分布を定量化することができ、その定量値によ
ってマルテンサイトラスの回復の状態を、さらには、該
供試材のクリープ損傷の程度を評価することができる。
の程度を定量的に把握することができれば焼戻しマルテ
ンサイト鋼のクリープ損傷の程度を評価することができ
ると考え、凹凸を定量的に評価する方法として、光学顕
微鏡組織の輝度の分布による方法を開発した。すなわ
ち、表面の凹凸をレプリカ膜に転写し、これを光学顕微
鏡に装着して組織を観察すると、凹凸の多い材料では輝
度の分布が広いのに対して凹凸の少ない材料では輝度分
布が狭いことを見出し、それを利用して光学顕微鏡組織
上の輝度分布を定量化することができ、その定量値によ
ってマルテンサイトラスの回復の状態を、さらには、該
供試材のクリープ損傷の程度を評価することができる。
【0011】すなわち、本発明は次の点を特徴とするも
のである。 1)焼戻しマルテンサイト系鋼のクリープ損傷と直接関
係するマルテンサイトラスの状態の変化を、一定の条件
での電気化学的な手法を用いることによって再現性高く
検出できるようにした。 2)マルテンサイトラスの状態の変化をマルテンサイト
ラスが一定の条件下でエッチングされるときに生じる腐
食電流として検出するようにした。 3)マルテンサイトラスの状態の変化を光学顕微鏡で観
察したときの輝度分布の差として定量的に検出・評価す
るようにした。
のである。 1)焼戻しマルテンサイト系鋼のクリープ損傷と直接関
係するマルテンサイトラスの状態の変化を、一定の条件
での電気化学的な手法を用いることによって再現性高く
検出できるようにした。 2)マルテンサイトラスの状態の変化をマルテンサイト
ラスが一定の条件下でエッチングされるときに生じる腐
食電流として検出するようにした。 3)マルテンサイトラスの状態の変化を光学顕微鏡で観
察したときの輝度分布の差として定量的に検出・評価す
るようにした。
【0012】本発明の方法においては先ずクリープ損傷
評価を行う8〜12重量%のCrを含有する鋼と同じ鋼
種の試験片を使用して電気化学的手法により、クリープ
損傷度とピーク電流密度との関係線図あるいは光学顕微
鏡組織の輝度分布定量値とクリープ損傷度との関係線図
を作成しておく。以下にこれらの関係線図の作成方法の
1例を示す。先ず、前記試験片についてクリープ破断試
験を実施して破断時間を確認後同じ試験条件で破断時間
までの何段階かの時間で試験を中断した試験片を作製す
る。これらの試験片を適当な長さに切断し、その1面に
電位、電流密度を計測するための白金電極を接続して樹
脂に埋め込んだ後、電極を接続した面と反対側の面を鏡
面に研摩する。研摩後、計測に必要な面積を残して絶縁
テープ、絶縁塗料等を使用してマスキングする。計測に
必要な面積は、安定した計測値を得るために十分多くの
結晶粒が計測面中に含まれるようにするため0.5cm
2 以上とするのが好ましく、特に0.5〜1cm2 程度
の範囲が好適である。計測面の形状は特に限定する必要
はないが、面積を測定しやすいように矩形状とするのが
好ましい。なお、樹脂外に出た白金線は絶縁テープなど
で被覆する。
評価を行う8〜12重量%のCrを含有する鋼と同じ鋼
種の試験片を使用して電気化学的手法により、クリープ
損傷度とピーク電流密度との関係線図あるいは光学顕微
鏡組織の輝度分布定量値とクリープ損傷度との関係線図
を作成しておく。以下にこれらの関係線図の作成方法の
1例を示す。先ず、前記試験片についてクリープ破断試
験を実施して破断時間を確認後同じ試験条件で破断時間
までの何段階かの時間で試験を中断した試験片を作製す
る。これらの試験片を適当な長さに切断し、その1面に
電位、電流密度を計測するための白金電極を接続して樹
脂に埋め込んだ後、電極を接続した面と反対側の面を鏡
面に研摩する。研摩後、計測に必要な面積を残して絶縁
テープ、絶縁塗料等を使用してマスキングする。計測に
必要な面積は、安定した計測値を得るために十分多くの
結晶粒が計測面中に含まれるようにするため0.5cm
2 以上とするのが好ましく、特に0.5〜1cm2 程度
の範囲が好適である。計測面の形状は特に限定する必要
はないが、面積を測定しやすいように矩形状とするのが
好ましい。なお、樹脂外に出た白金線は絶縁テープなど
で被覆する。
【0013】次に、電解液として例えば硝酸カルシウム
の55重量%水溶液にNa2 SiO 3 を適量添加してp
Hが8.0となるように調整した液を容器に入れ、電流
密度を計測するための白金製の対極及び前記の試験片を
浸漬させる。さらに内部に寒天を充填した塩橋を試験片
の研摩面から約5mm程度離れた位置にセットする。さ
らに塩橋の逆側に前記と同じ電解液を満たした容器を準
備して参照電極、例えば飽和カロメル電極(SCE:Sa
tulated Calmer Electrode)と呼ばれる市販のものをセ
ットする。試験片に接続された測定電極、対極、参照電
極をそれぞれポテンショスタットの正規の位置に接続
し、測定電極と参照電極間の電位を計測し、対極と測定
電極間の電流を計測する。
の55重量%水溶液にNa2 SiO 3 を適量添加してp
Hが8.0となるように調整した液を容器に入れ、電流
密度を計測するための白金製の対極及び前記の試験片を
浸漬させる。さらに内部に寒天を充填した塩橋を試験片
の研摩面から約5mm程度離れた位置にセットする。さ
らに塩橋の逆側に前記と同じ電解液を満たした容器を準
備して参照電極、例えば飽和カロメル電極(SCE:Sa
tulated Calmer Electrode)と呼ばれる市販のものをセ
ットする。試験片に接続された測定電極、対極、参照電
極をそれぞれポテンショスタットの正規の位置に接続
し、測定電極と参照電極間の電位を計測し、対極と測定
電極間の電流を計測する。
【0014】次に、これらの試験片に外部から電位をか
けない状態で5分間保持する。参照電極としてSCEを
用いた場合には自然電位は約−500mVになる。その
後、一定の電位掃引速度で貴方向に分極し(大きさを徐
々に変化させながら電位を付与し)、一定時間保持後、
そのまま卑側に再度同じ速度で掃引する。このときに対
象部電極と対極間に流れる電流をモニタリングして、こ
の値を測定領域の面積で割った値を電流密度として電位
−電流密度曲線を得る。具体的には、例えば30mV/
分の掃引速度で+350mVまで電位をかけ、+350
mVで1分間保持した後、−30mV/分の掃引速度で
自然電位まで電位を変化させる。
けない状態で5分間保持する。参照電極としてSCEを
用いた場合には自然電位は約−500mVになる。その
後、一定の電位掃引速度で貴方向に分極し(大きさを徐
々に変化させながら電位を付与し)、一定時間保持後、
そのまま卑側に再度同じ速度で掃引する。このときに対
象部電極と対極間に流れる電流をモニタリングして、こ
の値を測定領域の面積で割った値を電流密度として電位
−電流密度曲線を得る。具体的には、例えば30mV/
分の掃引速度で+350mVまで電位をかけ、+350
mVで1分間保持した後、−30mV/分の掃引速度で
自然電位まで電位を変化させる。
【0015】このようにして卑側に掃引時の電位約+1
00mVに現れる電流密度のピークを計測し、それぞれ
の試験片の寿命消費率、すなわちクリープ破断試験中断
時間を破断時間で割った値、とピーク電流密度との相関
データを得て、クリープ損傷度とピーク電流密度との関
係線図を得ることができる。
00mVに現れる電流密度のピークを計測し、それぞれ
の試験片の寿命消費率、すなわちクリープ破断試験中断
時間を破断時間で割った値、とピーク電流密度との相関
データを得て、クリープ損傷度とピーク電流密度との関
係線図を得ることができる。
【0016】また、光学顕微鏡組織の輝度分布定量値と
クリープ損傷度との関係線図を求める場合には、前記と
同様にして分極試験を実施し、+350mVで1分間保
持した後、−30mV/分の掃引速度で電位を変化させ
る。このとき、電位−電流密度曲線を見ながらピーク電
流密度が達成された電位で電位を固定して180秒間保
持する。その後、試験片を取出して十分水洗した後、メ
タノールで洗浄して乾燥させる。
クリープ損傷度との関係線図を求める場合には、前記と
同様にして分極試験を実施し、+350mVで1分間保
持した後、−30mV/分の掃引速度で電位を変化させ
る。このとき、電位−電流密度曲線を見ながらピーク電
流密度が達成された電位で電位を固定して180秒間保
持する。その後、試験片を取出して十分水洗した後、メ
タノールで洗浄して乾燥させる。
【0017】乾燥した試験片の表面を光学顕微鏡で倍率
300倍で観察する。この画像を画像処理装置に転送し
て画像処理を行う。ここでは画像を300×300画素
に分割して各々の画素の輝度を測定し、輝度分布曲線を
得る。正規分布を仮定して輝度分布曲線から分布の分散
を求める。分布の分散と上述した寿命消費率との関係を
プロットし輝度分布定量値とクリープ損傷度との関係線
図とする。
300倍で観察する。この画像を画像処理装置に転送し
て画像処理を行う。ここでは画像を300×300画素
に分割して各々の画素の輝度を測定し、輝度分布曲線を
得る。正規分布を仮定して輝度分布曲線から分布の分散
を求める。分布の分散と上述した寿命消費率との関係を
プロットし輝度分布定量値とクリープ損傷度との関係線
図とする。
【0018】次に本発明の方法を実機の材料に適用する
際の操作手順について説明する。先ず8〜12重量%の
Crを含有する鋼からなる高温部品の調査対象部位の表
面を鏡面研摩し、0.5〜1cm2 程度の計測面を残し
て絶縁塗料や絶縁テープなどで表面をマスキングする。
次いでその周囲を粘土の堰で囲うなどの方法により液溜
めを設けて前記のような電解液を満たし、試験片の場合
と同様に対極、塩橋、参照電極をセットする。
際の操作手順について説明する。先ず8〜12重量%の
Crを含有する鋼からなる高温部品の調査対象部位の表
面を鏡面研摩し、0.5〜1cm2 程度の計測面を残し
て絶縁塗料や絶縁テープなどで表面をマスキングする。
次いでその周囲を粘土の堰で囲うなどの方法により液溜
めを設けて前記のような電解液を満たし、試験片の場合
と同様に対極、塩橋、参照電極をセットする。
【0019】また、調査対象部位の場所、形状などによ
って計測面上に電解液を満たすことができないような場
合には、電解液をゲル状にして円筒状の容器等に入れ、
計測面にゲルの先端部が接触するようにする方法を採る
こともできる。前記電解液を使用する場合、電解液1リ
ットルに対して20g程度の高吸水性アクリル酸樹脂を
混合することによってゲル化させることができ、円筒状
のガラス管にこのゲルを充填して白金製の対極をセット
し、十分離れた位置に参照電極をセットする。
って計測面上に電解液を満たすことができないような場
合には、電解液をゲル状にして円筒状の容器等に入れ、
計測面にゲルの先端部が接触するようにする方法を採る
こともできる。前記電解液を使用する場合、電解液1リ
ットルに対して20g程度の高吸水性アクリル酸樹脂を
混合することによってゲル化させることができ、円筒状
のガラス管にこのゲルを充填して白金製の対極をセット
し、十分離れた位置に参照電極をセットする。
【0020】さらに、測定領域近傍の電解液に接しない
部分に測定電極をスポット溶接法等によって構成し、該
測定電極、参照電極及び対極をポテンショスタットに接
続して、対象部電極と参照電極間の電位を制御して対象
部に電位を与えて(分極させて)、対象部電極と対極間
の電流を計測する。
部分に測定電極をスポット溶接法等によって構成し、該
測定電極、参照電極及び対極をポテンショスタットに接
続して、対象部電極と参照電極間の電位を制御して対象
部に電位を与えて(分極させて)、対象部電極と対極間
の電流を計測する。
【0021】前記のクリープ損傷度とピーク電流密度と
の関係線図を作成する場合と同じ要領で電流密度−電位
線図を作成し、ピーク電流密度を得る。得られたピーク
電流密度を先に作成したクリープ損傷度とピーク電流密
度との関係線図に当てはめることによって対象部位の寿
命消費率を評価することができる。
の関係線図を作成する場合と同じ要領で電流密度−電位
線図を作成し、ピーク電流密度を得る。得られたピーク
電流密度を先に作成したクリープ損傷度とピーク電流密
度との関係線図に当てはめることによって対象部位の寿
命消費率を評価することができる。
【0022】また、前記の光学顕微鏡組織の輝度分布定
量値とクリープ損傷度との関係線図を作成する場合と同
じ要領で電位をかけ、その後直ちに外部電圧を遮断し、
電解液を除き、水洗、メタノール洗浄して表面を乾燥さ
せた後、レプリカを採取する。採取したレプリカを光学
顕微鏡に装着して光学顕微鏡組織調査を行い、画像処理
装置によって画像の輝度分布を得て、光学顕微鏡組織の
輝度分布定量値とクリープ損傷度との関係線図に当ては
めることによって対象部位の寿命消費率を評価すること
ができる。
量値とクリープ損傷度との関係線図を作成する場合と同
じ要領で電位をかけ、その後直ちに外部電圧を遮断し、
電解液を除き、水洗、メタノール洗浄して表面を乾燥さ
せた後、レプリカを採取する。採取したレプリカを光学
顕微鏡に装着して光学顕微鏡組織調査を行い、画像処理
装置によって画像の輝度分布を得て、光学顕微鏡組織の
輝度分布定量値とクリープ損傷度との関係線図に当ては
めることによって対象部位の寿命消費率を評価すること
ができる。
【0023】
【実施例】以下、本発明の実施例を図を参照して説明す
る。火力発電用ボイラの高温部材として使用される0.
1C−9Cr−1Mo−0.05Nb−0.2V鋼につ
いて、600℃でクリープ試験を実施し、試験を破断の
途中の種々の時間で中断した試験片を製作した。該クリ
ープ損傷試験片について5mm×5mm×5mmの試験
片を採取して一面を研摩紙及びダイヤモンドペーストを
用いて鏡面研摩し、その裏面に白金線をスポット溶接し
た。鏡面研摩した表面の約4mm×4mmの領域以外を
絶縁塗料で被覆し、さらに側面、裏面ならびに前記白金
線を絶縁塗料で被覆した。被覆後、被覆されていない研
摩面の面積を計測した。
る。火力発電用ボイラの高温部材として使用される0.
1C−9Cr−1Mo−0.05Nb−0.2V鋼につ
いて、600℃でクリープ試験を実施し、試験を破断の
途中の種々の時間で中断した試験片を製作した。該クリ
ープ損傷試験片について5mm×5mm×5mmの試験
片を採取して一面を研摩紙及びダイヤモンドペーストを
用いて鏡面研摩し、その裏面に白金線をスポット溶接し
た。鏡面研摩した表面の約4mm×4mmの領域以外を
絶縁塗料で被覆し、さらに側面、裏面ならびに前記白金
線を絶縁塗料で被覆した。被覆後、被覆されていない研
摩面の面積を計測した。
【0024】図1は本発明の実施例における測定装置の
概略図を示す。測定装置の構成は日本工業規格JIS
G 0579に準拠した。前記の試験片1と白金製対極
2との間の電位をポテンショスタット3で測定する。さ
らに、試験片1と対極2間に電位を与え、寒天を充填し
た塩橋4を介して設置された飽和甘こう電極製の参照電
極5と試験片1間の電位を測定し、電位と電流値をパソ
コン6に記録するようにした。測定は、十分に窒素を通
して脱酸素化した電解液に試験片を浸漬し、自然電極電
位から+400mVまで貴側に0.5mV/secで掃
引して電流を計測し、60s保持した後、自然電極電位
まで卑側に同じ掃引速度で掃引した。電解液はマルテン
サイトラスのエッチングに適した液を探査した結果、p
Hを8に調整した55%硝酸カルシウム水溶液を選定し
た。電解液は図示しない恒温槽で30±1℃になるよう
にした。
概略図を示す。測定装置の構成は日本工業規格JIS
G 0579に準拠した。前記の試験片1と白金製対極
2との間の電位をポテンショスタット3で測定する。さ
らに、試験片1と対極2間に電位を与え、寒天を充填し
た塩橋4を介して設置された飽和甘こう電極製の参照電
極5と試験片1間の電位を測定し、電位と電流値をパソ
コン6に記録するようにした。測定は、十分に窒素を通
して脱酸素化した電解液に試験片を浸漬し、自然電極電
位から+400mVまで貴側に0.5mV/secで掃
引して電流を計測し、60s保持した後、自然電極電位
まで卑側に同じ掃引速度で掃引した。電解液はマルテン
サイトラスのエッチングに適した液を探査した結果、p
Hを8に調整した55%硝酸カルシウム水溶液を選定し
た。電解液は図示しない恒温槽で30±1℃になるよう
にした。
【0025】図2はこのようにして測定した受入まま材
と600℃、120MPaでのクリープ破断試験(破断
時間約11000h)を3000hで中断したクリープ
損傷材の卑側への分極時の分極曲線の形状を示す模式図
である。ここで、横軸は腐食電位、縦軸は電流値を試験
片の測定面積で割った電流密度である。受入まま材にお
いては電位+100mV/SCE(SCEは参照電極と
して飽和カロメル電極を用いたことを示す)に高いピー
ク電流が認められるが、クリープ中断材(クリープ損傷
材)ではこのピーク電流の高さが低くなっている。受入
ままの試験片において図2に示した「測定電位1」及び
「測定電位2」において、分極を中断した試験片表面を
光学顕微鏡で観察したところ、測定電位1ではマルテン
サイトラス境界が観察されないのに対して、ピーク電流
を経過した測定電位2ではマルテンサイトラスが明確に
観察され、+100mV/SCE近傍に現れるピーク電
流はマルテンサイトラスのエッチングによっていること
が明らかである。
と600℃、120MPaでのクリープ破断試験(破断
時間約11000h)を3000hで中断したクリープ
損傷材の卑側への分極時の分極曲線の形状を示す模式図
である。ここで、横軸は腐食電位、縦軸は電流値を試験
片の測定面積で割った電流密度である。受入まま材にお
いては電位+100mV/SCE(SCEは参照電極と
して飽和カロメル電極を用いたことを示す)に高いピー
ク電流が認められるが、クリープ中断材(クリープ損傷
材)ではこのピーク電流の高さが低くなっている。受入
ままの試験片において図2に示した「測定電位1」及び
「測定電位2」において、分極を中断した試験片表面を
光学顕微鏡で観察したところ、測定電位1ではマルテン
サイトラス境界が観察されないのに対して、ピーク電流
を経過した測定電位2ではマルテンサイトラスが明確に
観察され、+100mV/SCE近傍に現れるピーク電
流はマルテンサイトラスのエッチングによっていること
が明らかである。
【0026】すなわち、受入ままではマルテンサイトラ
ス境界の転位密度が高く、エネルギーが高いために該境
界はエッチングされやすく、このエッチングに対応して
+100mV/SCEでのピーク電流密度が高いが、ク
リープ中断材はクリープ損傷の直接要因である転位密度
の低下によって、マルテンサイトラス境界の転位密度が
低下して母地とのエネルギー差が小さくなってエッチン
グされにくくなっていることがわかった。
ス境界の転位密度が高く、エネルギーが高いために該境
界はエッチングされやすく、このエッチングに対応して
+100mV/SCEでのピーク電流密度が高いが、ク
リープ中断材はクリープ損傷の直接要因である転位密度
の低下によって、マルテンサイトラス境界の転位密度が
低下して母地とのエネルギー差が小さくなってエッチン
グされにくくなっていることがわかった。
【0027】したがって、このピーク電流を計測するこ
とによって焼戻しマルテンサイト鋼のクリープ損傷を評
価することができる。そこで、600℃、120MPa
でのクリープ試験を種々の負荷時間で中断した試験片に
おいて上述した方法で分極試験を行い、各試験片のピー
ク電流を計測した。さらに、測定したピーク電流と各試
験片のクリープ損傷度、すなわち各試験片の負荷時間を
破断時間で割った値、との関係を求めた。図3にピーク
電流密度とクリープ損傷度との関係を示す。両者の間に
はよい相関が認められ、本発明方法によって機械部品の
ピーク電流密度を測定することによって、該機械部品に
それまでの運転で蓄積されたクリープ損傷の程度を評価
できることがわかった。
とによって焼戻しマルテンサイト鋼のクリープ損傷を評
価することができる。そこで、600℃、120MPa
でのクリープ試験を種々の負荷時間で中断した試験片に
おいて上述した方法で分極試験を行い、各試験片のピー
ク電流を計測した。さらに、測定したピーク電流と各試
験片のクリープ損傷度、すなわち各試験片の負荷時間を
破断時間で割った値、との関係を求めた。図3にピーク
電流密度とクリープ損傷度との関係を示す。両者の間に
はよい相関が認められ、本発明方法によって機械部品の
ピーク電流密度を測定することによって、該機械部品に
それまでの運転で蓄積されたクリープ損傷の程度を評価
できることがわかった。
【0028】また、前記クリープ中断試験片において上
記電気化学測定中にピーク電流密度で180秒保持後、
分極試験を中断した。該試験片表面からレプリカを採取
して、その光学顕微鏡組織を観察した。前述したように
電気化学測定によってマルテンサイトラス境界がエッチ
ングされてレプリカ上に凹凸が生成するが、この凹凸の
程度はクリープ損傷の蓄積とともに小さくなっていた。
そこで、300倍の倍率の同じ観察条件で、すべての試
験片から採取したレプリカの光学顕微鏡組織を観察し、
これを300点×300点の画素に区分し、各画素の輝
度を256階調に区分して、輝度分布を得た。図4に受
入まま材および600℃×120MPaで3000h応
力を負荷したクリープ中断材の輝度分布を正規確率紙に
プロットした模式図を示す。受入まま材の輝度分布に対
してクリープ中断材の輝度分布は勾配が大きく、輝度分
布が小さくなっていることを示している。
記電気化学測定中にピーク電流密度で180秒保持後、
分極試験を中断した。該試験片表面からレプリカを採取
して、その光学顕微鏡組織を観察した。前述したように
電気化学測定によってマルテンサイトラス境界がエッチ
ングされてレプリカ上に凹凸が生成するが、この凹凸の
程度はクリープ損傷の蓄積とともに小さくなっていた。
そこで、300倍の倍率の同じ観察条件で、すべての試
験片から採取したレプリカの光学顕微鏡組織を観察し、
これを300点×300点の画素に区分し、各画素の輝
度を256階調に区分して、輝度分布を得た。図4に受
入まま材および600℃×120MPaで3000h応
力を負荷したクリープ中断材の輝度分布を正規確率紙に
プロットした模式図を示す。受入まま材の輝度分布に対
してクリープ中断材の輝度分布は勾配が大きく、輝度分
布が小さくなっていることを示している。
【0029】そこで、正規確率紙上の輝度分布の勾配、
すなわち輝度分布の分散を求め、クリープ損傷度に対し
てプロットしてその模式図を図5に示す。クリープ損傷
度と輝度分布の分散との間にはよい相関が認められ、該
輝度分布の分散によって焼戻しマルテンサイト鋼に蓄積
されているクリープ損傷の程度を評価できることがわか
った。
すなわち輝度分布の分散を求め、クリープ損傷度に対し
てプロットしてその模式図を図5に示す。クリープ損傷
度と輝度分布の分散との間にはよい相関が認められ、該
輝度分布の分散によって焼戻しマルテンサイト鋼に蓄積
されているクリープ損傷の程度を評価できることがわか
った。
【0030】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明方法によれ
ば火力発電プラントなどの高温部品に多用されている焼
戻しマルテンサイト鋼に長時間高温で使用されることに
よって生じるクリープ破断強度低下をその場で精度よく
求めることができることから、高温機器の長時間にわた
る安全な運用に貢献できる。
ば火力発電プラントなどの高温部品に多用されている焼
戻しマルテンサイト鋼に長時間高温で使用されることに
よって生じるクリープ破断強度低下をその場で精度よく
求めることができることから、高温機器の長時間にわた
る安全な運用に貢献できる。
【図1】実施例における測定装置の概略図。
【図2】受入まま材とクリープ損傷材において、本発明
方法における測定方法で卑側へ分極させた時の分極曲線
の模式図。
方法における測定方法で卑側へ分極させた時の分極曲線
の模式図。
【図3】実施例におけるピーク電流密度とクリープ損傷
度との関係を示す模式図。
度との関係を示す模式図。
【図4】実施例における受入まま材及びクリープ中断材
の輝度分布を正規確率紙にプロットした模式図。
の輝度分布を正規確率紙にプロットした模式図。
【図5】実施例におけるクリープ損傷度と本発明方法に
よる輝度分布の分散の関係を示す模式図。
よる輝度分布の分散の関係を示す模式図。
Claims (2)
- 【請求項1】 8〜12重量%のCrを含有する焼戻し
マルテンサイト系鋼のクリープ損傷を評価するに当た
り、次の1)〜5)の手順を経ることを特徴とする焼戻
しマルテンサイト鋼のクリープ損傷評価方法。 1)長時間高温で使用された焼戻しマルテンサイト系鋼
からなる高温部品の調査対象部位の表面を鏡面に研摩す
る。 2)前記鏡面研摩面のうち計測に必要な面積を残して他
をマスキングし、マスキングされていない面(計測面)
の面積を測定する。 3)電解溶液又はこれをゲル化したものに前記鏡面研摩
面を浸し、適切な参照電極及び対極を設置するとともに
計測面に電極線を接続し、電流計測準備を整える。 4)自然電極電位を計測後、一定の電位掃引速度で貴方
向に分極し、一定時間保持後、そのまま卑側に再度同じ
掃引速度で掃引する。 5)前記逆掃引時に現れる一定電位でのピーク電流を計
測して、あらかじめ時効処理した試験片を用いて作成し
たクリープ損傷度とピーク電流密度(ピーク電流を計測
面積で割った値)との関係線図から調査対象部位の材料
のクリープ損傷度を評価する。 - 【請求項2】 8〜12重量%のCrを含有する焼戻し
マルテンサイト系鋼のクリープ損傷を評価するに当た
り、次の1)〜5)の手順を経ることを特徴とする焼戻
しマルテンサイト鋼のクリープ損傷評価方法。 1)長時間高温で使用された焼戻しマルテンサイト系鋼
からなる高温部品の調査対象部位の表面を鏡面に研摩す
る。 2)前記鏡面研摩面のうち計測に必要な面積を残して他
をマスキングし、マスキングされていない面(計測面)
の面積を測定する。 3)電解溶液又はこれをゲル化したものに前記鏡面研摩
面を浸し、適切な参照電極及び対極を設置するとともに
計測面に電極線を接続し、電流計測準備を整える。 4)自然電極電位を計測後、一定の電位掃引速度で貴方
向に分極し、一定時間保持後、そのまま卑側に再度同じ
掃引速度で掃引し、貴側に掃引した後卑側に掃引する際
に生じるピーク電流の電位で一定時間保持する。 5)前記分極後の調査対象部位の表面からレプリカを採
取して光学顕微鏡で観察し、光学顕微鏡組織の輝度の分
布を測定し、あらかじめ時効処理した試験片を用いて作
成した光学顕微鏡組織の輝度分布定量値とクリープ損傷
度との関係線図から調査対象部位の材料のクリープ損傷
を評価する。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP03199197A JP3495543B2 (ja) | 1997-02-17 | 1997-02-17 | 焼戻しマルテンサイト系鋼のクリープ損傷評価方法 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP03199197A JP3495543B2 (ja) | 1997-02-17 | 1997-02-17 | 焼戻しマルテンサイト系鋼のクリープ損傷評価方法 |
Publications (2)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPH10227784A true JPH10227784A (ja) | 1998-08-25 |
| JP3495543B2 JP3495543B2 (ja) | 2004-02-09 |
Family
ID=12346398
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP03199197A Expired - Fee Related JP3495543B2 (ja) | 1997-02-17 | 1997-02-17 | 焼戻しマルテンサイト系鋼のクリープ損傷評価方法 |
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Cited By (4)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JP2010044076A (ja) * | 2009-08-24 | 2010-02-25 | Tadashi Obuchi | 建造物の雨漏り検査方法、および装置 |
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| CN115808458A (zh) * | 2022-11-21 | 2023-03-17 | 华电能源股份有限公司富拉尔基发电厂 | 一种基于电化学技术评估耐热钢老化状态的方法 |
-
1997
- 1997-02-17 JP JP03199197A patent/JP3495543B2/ja not_active Expired - Fee Related
Cited By (6)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JP2010044076A (ja) * | 2009-08-24 | 2010-02-25 | Tadashi Obuchi | 建造物の雨漏り検査方法、および装置 |
| CN109444594A (zh) * | 2018-11-26 | 2019-03-08 | 佛山科学技术学院 | 一种光电化学体系电参数检测装置 |
| CN109444594B (zh) * | 2018-11-26 | 2023-12-26 | 佛山科学技术学院 | 一种光电化学体系电参数检测装置 |
| CN114364975A (zh) * | 2019-09-11 | 2022-04-15 | 株式会社神户制钢所 | 氢渗透试验装置 |
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| CN115808458A (zh) * | 2022-11-21 | 2023-03-17 | 华电能源股份有限公司富拉尔基发电厂 | 一种基于电化学技术评估耐热钢老化状态的方法 |
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| JP3495543B2 (ja) | 2004-02-09 |
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