JPH10249809A - 繊維板から成る楽器用部品及びその製造方法 - Google Patents

繊維板から成る楽器用部品及びその製造方法

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JPH10249809A
JPH10249809A JP6294197A JP6294197A JPH10249809A JP H10249809 A JPH10249809 A JP H10249809A JP 6294197 A JP6294197 A JP 6294197A JP 6294197 A JP6294197 A JP 6294197A JP H10249809 A JPH10249809 A JP H10249809A
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JP
Japan
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azelaic acid
fiberboard
treatment
musical instrument
wood
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JP6294197A
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English (en)
Inventor
Riichi Kitajima
理一 北島
Kenji Yoshisue
健治 吉末
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Kawai Musical Instruments Manufacturing Co Ltd
Original Assignee
Kawai Musical Instruments Manufacturing Co Ltd
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Publication date
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  • Dry Formation Of Fiberboard And The Like (AREA)
  • Chemical And Physical Treatments For Wood And The Like (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】寸法安定性に優れた繊維板から成る楽器用部品
及びその製造方法を提供する。 【解決手段】繊維板から成る楽器用部品には、アゼライ
ン酸又はその化合物が含浸されている。木材をチップと
し、かかるチップを解繊することにより得られた繊維を
成形した後、少なくとも乾燥及び圧締の何れかを行う繊
維板から成る楽器用部品の製造方法においては、木材
にアゼライン酸又はその化合物を含浸させる処理、チ
ップにアゼライン酸又はその化合物を含浸させる処理、
得られた繊維にアゼライン酸又はその化合物を含浸さ
せる処理、少なくとも乾燥及び圧締の何れかを行った
後、アゼライン酸又はその化合物を含浸させる処理、の
何れかの処理を行う工程を含む。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、繊維板から成りそ
して寸法安定性に優れた楽器用部品及びその製造方法に
関する。
【0002】
【従来の技術】繊維板(ファイバーボード)は、木材等
から得られた植物繊維にて主に構成された板状製品の総
称である。繊維板は、密度により、0.35g/cm3
未満のインシュレーションファイバーボード(以下、イ
ンシュレーションボードと略す)、0.35g/cm3
以上0.80g/cm3未満のミディアムデンシティフ
ァイバーボード(以下、MDFと略す)、及び、0.8
0g/cm3以上のハードファイバーボード(以下、ハ
ードボードと略す)に分類される。
【0003】繊維板は、繊維の配列に方向性が殆どない
ので、縦方向及び横方向のそれぞれの強さや膨張・収縮
率は殆ど同じである。従って、繊維板は、割れや裂けが
生じ難いという利点を有する。このような利点を有する
ため、繊維板は様々な分野で使用されている。例えば、
楽器の分野では、繊維板は、木製楽器の原材料又は楽器
用の木製部品の原材料として使用されている。以下、繊
維板から成る楽器用部品を、単に楽器用部品と呼び、繊
維板から成る楽器用部品を構成部品として含む楽器を、
単に楽器と呼ぶ場合がある。
【0004】ところで、繊維は、吸湿によって膨張し、
乾燥によって収縮する。従って、かかる性質を有する繊
維を原料として製造された繊維板は、湿度の変化に伴っ
て厚さ方向並びに長さ方向(縦方向及び横方向)に膨張
・収縮する。特に、繊維板の吸湿による寸法変化は、長
さ方向よりも厚さ方向が大である。
【0005】それ故、繊維板から成る楽器用部品の寸法
は、大気中の水分を吸収することによって変化する。こ
の寸法変化によって、種々の問題が生じる。例えば、楽
器の寸法に変化が生じると、楽器の音質やピッチが変化
し、また、楽器を調整してもすぐに狂いが生じる。更に
は、楽器用部品の寸法が変化すると、その楽器用部品と
他の部品との摩擦が大きくなり、耐久性が低下する場合
がある。特に、ピアノやチェンバロといった多数の木製
部品で構成されている鍵盤楽器では、楽器用部品の寸法
が変化すると所望の機能・性能が得られなくなる場合が
ある。更には、楽器の外観を形成する楽器用部品の形状
が変化すると、外観品質が低下し、楽器の商品価値が低
下する。従って、かかる楽器や楽器用部品には、特に高
い寸法安定性が要求される。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところで、木材の形状
変化を抑えて高い寸法安定性を付与するための一般的な
技術として、例えば、フェノール樹脂処理、アセチル化
処理、ホルマール化処理、ポリエチレングリコール処
理、クリオキザール樹脂処理、エーテル化処理等の化学
処理方法が知られている。
【0007】この中でも、特にホルマール化処理は、A
SEによる寸法安定化度が82〜87%程度であり、最
も高い寸法安定性が得られるとされているが、毒性が高
く、処理材が脆くなる等の欠点があるので、実用化は困
難である。その他の方法でも、木材の変色防止、薬品の
毒性の除去、廃液の処理方法等の問題を解決しなければ
ならない。尚、ASE(抗膨潤能(抗収縮能: Antiswe
lling Efficiency, Antishrink Efficiency)は下式で
定義される。ここで、VCは無処理材の容積膨潤(収
縮)率であり、VTは処理材の容積膨潤(収縮)率であ
る。 ASE=(VC−VT)/VC
【0008】従って、本発明の目的は、繊維板から成り
そして高い寸法安定性を有する楽器用部品及びその製造
方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
の本発明の繊維板から成る楽器用部品は、アゼライン酸
又はその化合物が含浸されていることを特徴とする。こ
こで、本発明の楽器用部品とは、楽器を構成する部品を
意味するが、楽器それ自体が繊維板で構成されている場
合の楽器も本発明の楽器用部品に包含される。以下の説
明においても同様である。
【0010】本発明の楽器用部品を構成する繊維板に
は、インシュレーションボード、MDF及びハードボー
ドが含まれる。また、ハードボードには、油や油脂等の
特殊処理を施したテンパードボード及びこれらを施さな
いスタンダードボードが含まれる。また、テンパードボ
ードには、素地ハードボード及び外装用化粧ハードボー
ドが含まれ、スタンダードボードには、素地ハードボー
ド及び内装用化粧ハードボードが含まれる。更に、テン
パードボード及びスタンダードボードのそれぞれの素地
ハードボードには、片面が平滑な素地ハードボード(S
1S)及び両面が平滑な素地ハードボード(S2S)が
含まれる。
【0011】アゼライン酸はジカルボン酸の一種であ
り、HOOC(CH2 )7 COOH(分子量188)と
いう構造を有している。アゼライン酸の化合物として、
カルボキシル基(−COOH)と銅、亜鉛等といった金
属イオンとを反応させて得られる化合物を挙げることが
できる。
【0012】上記の目的を達成するための本発明の第1
の態様に係る繊維板から成る楽器用部品の製造方法は、
木材をチップとし、かかるチップを解繊することにより
得られた繊維を成形した後、少なくとも乾燥及び圧締の
何れかを行う繊維板の製造方法を含む方法である。そし
て、 木材にアゼライン酸又はその化合物を含浸させる処
理 チップにアゼライン酸又はその化合物を含浸させる
処理 得られた繊維にアゼライン酸又はその化合物を含浸
させる処理 少なくとも乾燥及び圧締の何れかを行った後、アゼ
ライン酸又はその化合物を含浸させる処理 の何れかの処理を行う工程を含むことを特徴とする。
【0013】尚、処理すべき対象物にアゼライン酸又は
その化合物を含浸させる処理を、以下、アゼライン酸処
理と呼ぶ場合がある。
【0014】一般にはウエット・ホーミング方式あるい
は湿式抄造方式と呼ばれることもある本発明の第1の態
様に係る楽器用部品の製造方法における繊維板の製造方
法においては、繊維を成形した後に乾燥することによっ
て繊維板を製造することができる。ドライング法あるい
は乾燥法とも呼ばれるこの製造方法は、インシュレーシ
ョンボードの製造に好適である。また、繊維を成形した
後に圧締することにより繊維板を製造することができ
る。ウエット・プレッシング法あるいは湿状熱圧法とも
呼ばれるこの製造方法は、ハードボード又はMDFの製
造に好適である。更に、繊維を成形した後に乾燥し、そ
の後、圧締することにより繊維板を製造することができ
る。ドライ・プレッシング法あるいは乾状熱圧法とも呼
ばれるこの製造方法は、ハードボードの製造に好適であ
る。
【0015】上記の目的を達成するための本発明の第2
の態様に係る繊維板から成る楽器用部品の製造方法は、
木材をチップとし、かかるチップを解繊することにより
得られた繊維を乾燥した後、成形し、次いで圧締する繊
維板の製造方法を含む方法である。そして、 木材にアゼライン酸又はその化合物を含浸させる処
理 チップにアゼライン酸又はその化合物を含浸させる
処理 得られた繊維にアゼライン酸又はその化合物を含浸
させる処理 圧締後、アゼライン酸又はその化合物を含浸させる
処理 の何れかの処理を行う工程を含むことを特徴とする。
【0016】一般にはエアー・フェルティング方式ある
いは気流抄造方式と呼ばれることもある本発明の第2の
態様に係る楽器用部品にの製造方法における繊維板の製
造方法においては、ドライ・プレッシング法あるいは乾
状熱圧法とも呼ばれる方法、及び、セミドライ・プレッ
シング法あるいは半乾状熱圧法とも呼ばれる方法が包含
される。本発明の第2の態様に関連する繊維板の製造方
法は、ハードボード及びMDFの製造に好適である。
【0017】木材のチップ化や解繊は、周知の如何なる
方法で行ってもよい。繊維板の原料としては、主に木材
が用いられる。木材の樹種の制限は少ない。例えば、繊
維板の原料として、ラワン(メランチ、アピトン)を主
とする南洋材、シナノキ、スギ、ヒノキ、アカマツ、モ
ミ、ツガ、ブナ、ナラ、エゾマツ、トドマツ、ダフリカ
カラマツ、チョウセンゴヨウ、オウシュウアカマツ等の
木材を使用することができる。また、木材以外の、バガ
ス、ワラ、タケ、故紙、亜麻がら、ココヤシ等を用いる
こともできる。繊維板の原料として使用する木材として
は、例えば、合板工場から産出される端切れ、むき心、
単板屑等の廃材、製材工場から産出される背板、端板等
を利用することもできる。
【0018】アゼライン酸は繊維を構成する細胞壁及び
細胞内腔の壁面を包囲しそして付着・残存する形態で、
繊維板内に存在する。繊維を構成するセルロースとアゼ
ライン酸との結び付き方として、以下の2つが考えられ
ている。即ち、分子量の比較的大きい疏水性のアゼライ
ン酸分子が、セルロースの水酸基と結合することなく繊
維板中に導入される。あるいは又、アゼライン酸は、ア
ゼライン酸中のカルボキシル基(−COOH)と繊維の
水酸基(−OH)とがエステル化することにより、繊維
板中に導入される。
【0019】何れの場合においても、アゼライン酸分子
が繊維板中に導入されることによって、セルロースとセ
ルロースとの間が膨潤状態(アゼライン酸がセルロース
とセルロースとの間に入ることによって膨らんだ状態)
となり、水分子が繊維板中に入ってきても、それ以上は
繊維板の体積が変化しない、所謂バルキング効果が生じ
る。これによって、アゼライン酸による処理を施した繊
維板の湿度変化による膨張・収縮は極めて小さくなり、
繊維板に高い寸法安定性を付与することができる。
【0020】
【発明の実施の形態】最近、木材に対してアゼライン酸
による処理を施すことによって高い寸法安定性を得るこ
とのできる技術が、奈良県林業試験場で開発された(平
成7年7月3日に報道関係に発表、平成7年7月5日付
け日経産業新聞掲載)。この技術によれば、吸湿による
寸法変化は殆ど0%(寸法安定化度100%)を達成で
き、また、吸水による寸法変化も無処理材の9〜15%
(寸法安定化度85〜91%)に抑えることができると
されている。尚、寸法安定化度はASEで評価してい
る。本発明においては、アゼライン酸による処理技術を
繊維板に適用する。以下、本発明の繊維板から成る楽器
用部品及びその製造方法に関する発明の実施の形態(以
下、単に、実施の形態と略称する)について説明する。
【0021】(実施の形態1)実施の形態1は、ウエッ
ト・ホーミング方式と呼ばれる本発明の第1の態様に係
る繊維板から成る楽器用部品の製造方法に関する。以
下、かかる繊維板の製造方法の概要を説明する。
【0022】[木材チップ製造工程・解繊工程]先ず、
例えば原木を剥皮し、適当な長さ・太さに切断して得ら
れた木材をチップとする。次に、砕木パルプ化法、ディ
スク・リファイナーによる解繊法、ビーターやニーダー
による解繊法といった機械的パルプ化法;常圧解繊法及
び高圧解繊法を含む熱的機械的パルプ化法;薬液浸漬
法、薬液液相蒸煮法、薬液気相蒸煮法を含む化学的機械
的パルプ化法;爆粉パルプ化法等によって、木材をパル
プ化した後、精砕を行う。これにより、パルプ液(液状
の繊維の集合体)が得られる。
【0023】[アゼライン酸処理工程]アゼライン酸は
毒性が無く且つ安価である。アゼライン酸は水に殆ど溶
けないので、エタノールと水とを、例えば1:1の比率
で混合して溶媒として用いる。水を混合する目的は、コ
ストの低減や安全性の確保(引火の防止)等を達成する
ことにある。また、水が混合されていた方がASEが若
干向上する。そして、この溶媒にアゼライン酸を15〜
20%程度混合して、アゼライン酸溶液を調製する。そ
して、この調製されたアゼライン酸溶液をパルプ液に添
加する。こうして、得られた繊維(パルプ液)にアゼラ
イン酸処理を施すことができる。
【0024】[サイジング工程]次に、繊維板の耐水
性、機械的強度、硬度、加工性等の向上を目的として、
パルプ液にサイズ剤を添加する。
【0025】[成形工程]各種の公知のフォーミング機
械を用いて、パルプ液を脱水してウエットマットを成形
する。
【0026】[乾燥・圧締工程]製造する繊維板の種類
に応じて以下の処理が行われる。具体的には、インシュ
レーションボードを製造する場合には、ドライング法又
は乾燥法と呼ばれる方式を採用する。即ち、ドライヤー
でウエットマットを乾燥する。また、ハードボード又は
MDFを製造する場合には、ウエット・プレッシング法
又は湿状熱圧法と呼ばれる方式を採用する。即ち、ウエ
ットマットを熱圧締する。この際、ウエットマットの水
分の蒸散を容易にするために、ウエットマットの下面に
金網を敷く。従って、この方式では、片面が平滑な素地
ハードボード(S1S)が得られる。ハードボードを製
造する場合には、ドライ・プレッシング法又は乾状熱圧
法と呼ばれる方式を採用する。即ち、ドライヤーでウエ
ットマットを予備乾燥し、更に、プリドライヤーで全乾
燥状態まで乾燥し、その後、熱圧締する。この場合には
金網は不要である。従って、この方式では、両面が平滑
な素地ハードボード(S2S)が得られる。
【0027】[後処理工程]ウエット・プレッシング法
で繊維板を製造する場合には、熱圧締後に熱処理を行
う。これにより繊維板の耐水性が向上し、曲げ強度が増
大する。熱処理以上の材質向上を図る場合には、油脂処
理や樹脂処理(オイル・テンパリング処理)を行う。こ
れによって、繊維板の耐候性や耐磨耗性が顕著に増大す
る。また、乾燥・圧締工程完了後あるいは油脂処理後の
繊維板は含水率が極めて低く(1〜2%)、水分の吸収
によって変形するため、繊維板の含水率を5〜8%に増
湿する調湿処理を行う。その後、必要に応じて、防火処
理等を行う。
【0028】以上においては、解繊により得られた繊維
(パルプ液)に対してアゼライン酸処理を施したが、チ
ップ化する前の木材、又は、チップに対してアゼライン
酸処理を施してもよい。尚、以下、チップ化する前の木
材及び木材チップを総称して木材等と呼ぶ場合がある。
この場合、先に説明したアゼライン酸溶液を木材等に含
浸させる。含浸には、例えば加減圧注入装置を用いてア
ゼライン酸溶液を木材等に注入する方法を用いることが
できる。即ち、加減圧注入装置に木材等を入れ、2時間
程度かけて減圧する。この減圧においては、減圧によっ
て木材組織が破壊されない範囲内の任意の圧力、例えば
通常のロータリーポンプによって達成できる程度の真空
度とすればよい。尚、減圧時間及び減圧圧力は、木材等
の樹種や外形寸法によって適宜変更することができる。
【0029】次いで、アゼライン酸溶液を加減圧注入装
置に注入して、木材等をアゼライン酸溶液に浸す。この
状態で、15〜20kgf/cm2 程度の圧力を1時間
程度加える。加圧時間及び加圧圧力は、木材等の樹種や
外形寸法によって適宜変更すればよい。尚、木材等にア
ゼライン酸溶液を含浸させる方法としては、加減圧注入
装置を用いる方法に限らず、その他の周知の何如なる方
法をも用いることができ、例えば、木材に穴を開けてア
ゼライン酸溶液を浸透させる方法を挙げることができ
る。この木材に穴を開ける技術としては、微生物を用い
る方法、木材を蒸煮する方法、木材の表面に傷をつける
インサイジング方法、レーザーインサイジング法等を用
いることができる。尚、以上のような減圧加圧法の他
に、常圧法、減圧法あるいは加圧法に基づきアゼライン
酸処理を行ってもよい。
【0030】以上のようにしてアゼライン酸溶液が注入
された木材等を、例えば防爆オーブンを用いて乾燥す
る。乾燥手順は、例えば、60゜Cの温風で24時間、
100゜Cの温風で8時間、150゜Cの温風で1時間
程度とすることが好ましいが、乾燥条件はこれに限定さ
れない。尚、乾燥時間と乾燥温度は、木材等の樹種や外
形寸法によって適宜変更すればよい。乾燥方法として
は、その他、真空乾燥法を挙げることができる。
【0031】また、アゼライン酸処理は、解繊工程にお
ける解繊中、解繊後又は精砕中に行ってもよい。あるい
は又、サイジング工程において、繊維(パルプ液)に対
してアゼライン酸処理を施してもよい。また、成形工程
において、脱水前又は脱水後のウエットマットに対して
アゼライン酸処理を施してもよい。更には、乾燥・圧締
工程において、ドライング法を採用する場合には、乾燥
後にアゼライン酸処理を施してもよい。また、ウエット
・プレッシング法を採用する場合には、熱圧締後にアゼ
ライン酸処理を施してもよい。更には、ドライ・プレッ
シング法を採用する場合には、予備乾燥、全乾燥又は熱
圧締の何れかの後にアゼライン酸処理を施してもよい。
更に、後処理工程において、熱処理後又は油脂処理後に
アゼライン酸処理を施してもよく、調湿処理中にアゼラ
イン酸処理を施してもよい。
【0032】尚、アゼライン酸自体ではなく、アゼライ
ン酸の化合物を含浸させてもよい。例えば、アゼライン
酸を銅、亜鉛等の金属イオンと反応させることにより、
防腐効果を高めることができる。また、アゼライン酸塩
化物あるいは臭化物を含浸させることによって、難燃性
を有する繊維板を製造することができる。
【0033】尚、以上に説明したアゼライン酸処理の条
件や乾燥条件は例示であり、アゼライン酸処理を行うべ
き対象物の形態・形状、組成や、どの工程でアゼライン
酸処理を行うかに依存して、適宜決定すればよい。
【0034】(実施の形態2)実施の形態2は、一般に
はエアー・フェルティング方式と呼ばれる本発明の第2
の態様に係る繊維板から成る楽器用部品の製造方法に関
する。以下、かかる繊維板の製造方法の概要を説明す
る。
【0035】[木材チップ製造工程・解繊工程]先ず、
木材をチップとする。次いで、ハードボードを製造する
場合には、例えば、蒸煮した木材チップを常圧解繊す
る。この解繊中に接着剤を添加する。これにより、湿っ
たパルプ(水分を含んだ繊維の集合体であり、以下、ウ
エットパルプと呼ぶ)が得られる。MDFを製造する場
合には、例えば、木材チップを高圧解繊する。これによ
ってウエットパルプが得られる。その後、ウエットパル
プに接着剤を添加する。尚、この接着剤の添加は、後述
する乾燥後であってもよいし、乾燥前後の双方で行って
もよい。
【0036】[アゼライン酸処理工程]得られた繊維
(具体的には、ウエットパルプ)にアゼライン酸処理を
施す。このアゼライン酸処理は、実施の形態1と同様に
して調製されたアゼライン酸溶液をウエットパルプに添
加することによって行うことができる。
【0037】[乾燥工程]アゼライン酸処理が施された
ウエットパルプを乾燥する。乾燥は、例えば気流乾燥に
よって行うことができる。
【0038】[成形工程]四辺を枠で囲まれ、且つ底部
から吸引されながら移動する金網上に、乾燥させたパル
プを分散堆積させることによりマットを成形する。
【0039】[圧締工程]ドライ・プレッシング法を採
用する場合には、マットの初期厚さの1/2〜1/3に
圧締し、その後、熱圧締を行う。また、セミドライ・プ
レッシング法を採用する場合には、マットの含水率を2
5%前後に調整した後、マットの初期厚さの1/2〜1
/3に圧締し、その後、熱圧締を行う。
【0040】[後処理工程]実施の形態2におけるハー
ドボードの製造では、通常、熱処理は行わない。耐候性
が要求される場合には、繊維板に対して油脂処理や樹脂
処理を行う。ハードボードでは調湿処理を行うが、MD
Fではこれを省略してもよい。また、MDFでは両面研
削を行う。
【0041】以上においては、解繊により得られたウエ
ットパルプにアゼライン酸処理を施したが、チップ化す
る前の木材、又は、チップにアゼライン酸処理を施して
もよい。これらの場合、アゼライン酸処理は、上述した
湿式法と同様の方法を用いることができる。また、アゼ
ライン酸処理は、解繊工程における解繊中に施してもよ
く、解繊後に施してもよく、圧締工程における熱圧締後
に施してもよい。更に、後処理工程において、熱処理後
又は油脂処理後にアゼライン酸処理を施してもよく、調
湿処理中にアゼライン酸処理を施してもよい。
【0042】以上のようにして製造された繊維板は、膨
潤状態に保たれるので、バルキング効果により吸湿によ
る寸法変化は殆ど0%(寸法安定化度約100%)に保
たれる。従って、従来の繊維板よりも膨張・収縮率が小
さく、狂いや反りが少なくなる。
【0043】以下に、アゼライン酸処理を施した繊維板
を原材料として用いることにより顕著な効果が得られる
本発明の繊維板から成る楽器用部品を列挙する。尚、楽
器用部品それ自体の作製方法は公知の方法で行えばよ
い。また、楽器用部品に対してどの材料を用いるかは、
楽器用部品に要求される特性等に依存して適宜決定すれ
ばよい。
【0044】(1)グランドピアノ:グランドピアノの
大部分は木製部品で構成されている。以下に、アゼライ
ン酸処理の対象とすることにより顕著な効果が得られる
グランドピアノに関する木製部品である楽器用部品を例
示する。 (1−1)アクション系・・・レギュレーティングレー
ル、ハンマーレール、ダンパーヘッド、ハンマーウッ
ド、ハンマーシャンク、ハンマーシャンクフレンジ、ジ
ャック、ウィペン、レペティションレバー、ダンパーレ
バー、ダンパーワイヤーガイドホルダー (1−2)バック系・・・積揚、奥框、支柱、助響、ピ
ン板、響板、響棒、長駒、短駒、短駒座板、短駒脚、棚
板、下口棒、側板、側左右板 (1−3)鍵盤・・・筬、鍵盤、鍵盤中座板・先座板、
鍵盤押え、鍵盤蓋、拍子木 (1−4)ペダル・・・ペダル桁、ペダル柱、ペダル笠
木、ペダル箱 (1−5)ケース・・・脚、脚持、脚持座、脚笠木、ペ
ダル持、大屋根突揚棒、屋根前、屋根後、上口棒 (1−6)付属品・・・譜面台
【0045】(2)アップライトピアノ:アップライト
ピアノの大部分も木製部品で構成されている。以下に、
アゼライン酸処理の対象とすることにより顕著な効果が
得られるアップライトピアノに関する木製部品である楽
器用部品を例示する。 (2−1)アクション系・・・レギュレーティングレー
ル、ジャックストップレール、ダンパーレール、ハンマ
ーシャンク、キャッチャーシャンク、ハンマーウッド (2−2)バック系・・・支柱、桁貼、手掛、響板、響
棒、助響棧、長駒、短駒、短駒座板、短駒脚、ピン板、
ピンブッシュ、棚板、口棒 (2−3)鍵盤・・・筬、鍵盤、鍵盤中座板・先座板、
鍵盤蓋 (2−4)ケース・・・屋根前、屋根後、下屋根、上前
板、下前板、親板、腕木、棚受柱、前土台、妻土台、桁
貼 (2−5)付属品・・・譜面台
【0046】ギターの大部分も木製部品で構成されてい
る。以下に、アゼライン酸処理の対象とすることにより
顕著な効果が得られるギターに関する木製部品を例示す
る。更には、アゼライン酸処理の対象とすることにより
顕著な効果が得られる木製部品である楽器用楽器を例示
する。
【0047】(3)ギター・・・表板、裏板、駒、棹等
【0048】(4)その他の木製楽器:リコーダー、ク
ラリネット、オーボエ等といった木管楽器、オルガン
(譜面台、上屋根、捲屋根、側板、拍子木、鍵盤、口
棒、バッフル板、下前板、底板、空気箱等)、三味線
(さお、胴、糸巻、ばち等)、琴、拍子木、太鼓(胴、
ばち等)、バイオリン、マンドリン、ハーモニカ、キャ
ビネット等
【0049】
【実施例】気乾状態のMDFを縦×横×厚さ=約30m
m×約30mm×約12mmに切削加工して試験片を作
製した後、105゜Cの送風乾燥機中で全乾状態とし
た。試験片の全乾比重は0.67〜0.70であった。
【0050】エタノールと水を体積比8:2の割合に混
合した溶媒中にアゼライン酸を溶解し、10g/100
cm3及び20g/100cm3のアゼライン酸溶液を調
製した。尚、10g/100cm3及び20g/100
cm3のアゼライン酸溶液のそれぞれを、10%溶液及
び20%溶液と呼ぶ。
【0051】試験片を加減圧注入缶に入れ、2時間減圧
した後、加減圧注入缶に10%溶液あるいは20%溶液
を注入し、その後、約0.98MPaの加圧下で2時間
保持することによって、アゼライン酸溶液を試験片に注
入した。次いで、真空乾燥機を用いて、50゜C×24
時間、予備乾燥を行った後、以下の表1の条件で試験片
の乾燥を行った。尚、1種類の試験には5つの試験片を
用いた。
【0052】
【表1】条件1:70゜C×4時間 条件2:70゜C×4時間→105゜C×2時間 条件3:70゜C×4時間→105゜C×2時間→14
0゜C×2時間 条件3:70゜C×4時間→105゜C×2時間→14
0゜C×2時間→180゜C×1時間
【0053】試験片のバルキング(かさ効果:Bulking
Coefficient)及び重量増加率(ポリマー含有:Polymer
retention PL)を、アゼライン酸処理前後の試験片
の全乾状態での体積及び重量の測定結果に基づき算出し
た。尚、バルキング(B)は、水分子が試験片中に入っ
てきても、それ以上は試験片の体積が変化しない値であ
り、バルキング(B)の値が小さい程、試験片の湿度変
化による膨張・収縮が小さいといえる。即ち、試験片は
高い寸法安定性を有しているといえる。また、重量増加
率(PL)は、試験片にどれだけアゼライン酸が注入さ
れたかの指標となる。また、体積膨張の変化率であるA
SEは20゜C、90%RHの条件下で平衡状態に達し
た無処理試験片及びアゼライン酸処理試験片の体積膨張
率から求めた。ASEの値が小さい程、試験片は高い寸
法安定性を有しているといえる。また、MEE(抗吸水
能:Moisuture Excluding Efficiency)は、それらの体
積膨張率測定時の重量増加率から算出した。MEEの値
が小さい程、試験片の水分吸着が少ない。算出式を、以
下に示す。尚、S0及びS1は、アゼライン酸処理を行っ
た試験片に関するアゼライン酸処理前後における試験片
の全乾状態での体積を意味する。また、W0及びW1は、
アゼライン酸処理を行った試験片に関するアゼライン酸
処理前後における試験片の全乾状態での重量を意味す
る。一方、SU及びSTは、無処理試験片及びアゼライン
酸処理試験片の20゜C、90%での体積膨張率を意味
し、UU及びUTはそのときの重量増加率を意味する。
【0054】
【数1】B =(S1−S0)/S0×100 (%) PL =(W1−W0)/W0×100 (%) ASE=(SU−ST)/SU×100 (%) MEE=(UU−UT)/UU×100 (%)
【0055】試験片をMDFから作製した場合のバルキ
ング(B)及び重量増加率(PL)の測定結果を図1に
示し、ASE及びMEEの算出結果を図2に示す。図1
及び図2に示した結果から、アゼライン酸処理を行うこ
とによって、試験片の寸法安定性が向上していることが
判る。
【0056】
【発明の効果】以上のように、本発明によれば、繊維板
から成りそして高い寸法安定性を有する楽器用部品及び
その製造方法を提供できる。アゼライン酸処理を施した
繊維板は寸法安定性に優れており、その寸法変化を抑え
ることができるので、かかる繊維板から成る楽器用部品
を材料としてグランドピアノ、アップライトピアノ、そ
の他の木製楽器を製造すれば、加工精度の向上、耐久性
の向上、経時変化の防止、外観品質の低下防止等を図る
ことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】MDFから作製した試験片のバルキング(B)
及び重量増加率(PL)の測定結果を示すグラフであ
る。
【図2】MDFから作製した試験片のASE及びMEE
の算出結果を示すグラフである。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】アゼライン酸又はその化合物を含浸させた
    ことを特徴とする繊維板から成る楽器用部品。
  2. 【請求項2】木材をチップとし、かかるチップを解繊す
    ることにより得られた繊維を成形した後、少なくとも乾
    燥及び圧締の何れかを行う繊維板から成る楽器用部品の
    製造方法であって、 木材にアゼライン酸又はその化合物を含浸させる処
    理 チップにアゼライン酸又はその化合物を含浸させる
    処理 得られた繊維にアゼライン酸又はその化合物を含浸
    させる処理 少なくとも乾燥及び圧締の何れかを行った後、アゼ
    ライン酸又はその化合物を含浸させる処理 の何れかの処理を行う工程を含むことを特徴とする繊維
    板から成る楽器用部品の製造方法。
  3. 【請求項3】木材をチップとし、かかるチップを解繊す
    ることにより得られた繊維を乾燥した後、成形し、次い
    で圧締する繊維板から成る楽器用部品の製造方法であっ
    て、 木材にアゼライン酸又はその化合物を含浸させる処
    理 チップにアゼライン酸又はその化合物を含浸させる
    処理 得られた繊維にアゼライン酸又はその化合物を含浸
    させる処理 圧締後、アゼライン酸又はその化合物を含浸させる
    処理 の何れかの処理を行う工程を含むことを特徴とする繊維
    板から成る楽器用部品の製造方法。
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