JPH10253444A - 異常音の検出方法及びその検出値を用いた機械の異常判定方法、並びに、振動波の類似度検出方法及びその検出値を用いた音声認識方法 - Google Patents

異常音の検出方法及びその検出値を用いた機械の異常判定方法、並びに、振動波の類似度検出方法及びその検出値を用いた音声認識方法

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JPH10253444A
JPH10253444A JP9061007A JP6100797A JPH10253444A JP H10253444 A JPH10253444 A JP H10253444A JP 9061007 A JP9061007 A JP 9061007A JP 6100797 A JP6100797 A JP 6100797A JP H10253444 A JPH10253444 A JP H10253444A
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Atsushi Oshima
淳 大嶋
Fujitaka Taguchi
藤孝 田口
Masasuke Arakawa
正祐 荒川
Yoshikazu Kizu
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 正常音と監視音のベクトル形状の差から正確
な異常音の検出値を得る方法を提供する。 【解決手段】 正常音の特徴量を成分とする標準パター
ンベクトルと、監視音の特徴量を成分とする入力パター
ンベクトルと、基準形状の値を成分とする基準パターン
正ベクトル及び基準パターン負ベクトルとを作成し(ス
テップS1〜S3)、基準形状の中心を標準パターンベ
クトルのj=1〜m各成分の位置に順次合わせながら、
標準パターンベクトルと入力パターンベクトルとの間の
形状の変化を、基準パターン正ベクトルと基準パターン
負ベクトルの形状変化に置き換え、これら基準パターン
正ベクトルと基準パターン負ベクトルの尖度の変化量を
数値化して標準パターンベクトルと入力パターンベクト
ルとの間の形状変化量Djとし(ステップS4)、形状
変化量Dj(j=1,2,…,m)から正常音と異常音
のベクトル形状についての形状距離値dを算出する(ス
テップS5)。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、運転中の設備等が
発する音や振動についての異常音の検出方法と、その異
常音の検出値に基づいて機械の異常を判定する方法に関
し、更に、任意の標準振動波と監視振動波との間の類似
度を検出する方法と、この検出値を用いて音声を認識す
る方法にも関する。
【0002】
【従来の技術】原子力発電所の熱交換器や配管などの設
備においては、内部を高圧蒸気が流れている。そこで、
この種の設備では、蒸気漏れなどの異常事態に対処する
ため、運転中の設備が発する音について異常音を検出
し、その異常音の検出値により異常発生を監視する手段
が装備されている。
【0003】従来の異常音の検出では、正常音のパワー
スペクトルなどの特徴量を成分とする標準パターンベク
トルを予め登録しておき、監視音の特徴量を成分とする
入力パターンベクトルを作成し、標準パターンベクトル
と入力パターンベクトルとの間のユークリッド距離や角
度を算出する方法を採っている。また、従来の機械の異
常判定では、上記ユークリッド距離や角度の算出値と任
意に設定した許容値とを比較して異常の判定を行う方法
を採っている。即ち、特徴量の種類の数と同じ次元のパ
ターン空間を考え、標準パターンベクトルの点と入力パ
ターンベクトルの点との間の直線的な距離(ユークリッ
ド距離)や角度を表す類似性尺度を用いて、2つのパタ
ーンベクトルの類似程度を数値化し、その数値に基づい
て異常の判定を行っている。
【0004】例えば、図17は、平坦なパワースペクト
ル形状を持つ正常音10、及び、この正常音と同じエネ
ルギーを持つがパワースペクトル形状の特徴が異なる監
視音11、12、13について、正常音10 のパワース
ペクトルを成分とする7次元の標準パターンベクトル1
0Aを予め登録しておき、各監視音11、12、13の
パワースペクトルを成分とする7次元の入力パターンベ
クトル11A、12A、13Aを作成し、標準パターン
ベクトルと各入力パターンベクトルとの間の類似性尺度
として、ユークリッド距離または角度の余弦d11、d
12、d13を算出する様子を模式的に示したものであ
る。
【0005】ここで、各監視音11、12、13は、変
数αについて、図17中に示される関係を持っているも
のとする。つまり、正常音10のパワースペクトル形状
に対する各監視音11、12、13のパワースペクトル
形状の変化が、図17に示す関係で、変数αにより規定
されるものとしている。ユークリッド距離は標準パター
ンベクトルと入力パターンベクトルの各成分毎の差の2
乗和の平方根として求められ、また、角度の余弦は2つ
のパターンベクトルの内積を2つのパターンベクトルの
大きさで除算して求められる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところが、ユークリッ
ド距離や角度などを類似性尺度に用いた場合、パワース
ペクトル形状が異なる複数の監視音について、正常音か
らのユークリッド距離や角度の算出値が同じになること
がある。このような場合には、特徴が異なる監視音を区
別できなくなり、このことが異常音の検出を不正確にす
る要因となっている。以下、詳しく説明する。
【0007】図18は、図17における変数αの値を0
から1まで増加させたときに、ユークリッド距離の算出
値d11、d12、d13が変化する様子を示したもの
である。図19は、同じく図17における変数αの値を
0から1まで増加させたときに、角度の余弦の算出値d
11、d12、d13が変化する様子を示したものであ
る。
【0008】図18と図19から、ユークリッド距離及
び角度の余弦の値は常にd11=d12=d13である
こと、変数αの値が増加するにつれて、ユークリッド距
離の値d11、d12、d13は増加し、また、角度の
余弦の値はd11、d12、d13の値は減少すること
が分かる。角度の余弦の値d11、d12、d13が減
少することは、角度の値が増加することである。
【0009】ところで、一般に、白色雑音のパワースペ
クトル形状は平坦であり、正常運転中の設備が発する騒
音についてもそのパワースペクトル形状が平坦に近いも
のが多い。ただし、騒音については、パワースペクトル
形状が平坦に近いといっても、その形状が時間とともに
少し変動する「ゆらぎ」現象も観測される。
【0010】そこで、図17において、変数αの値が小
さい場合について、仮に、監視音11、12は正常運転
中の設備が発する騒音の「ゆらぎ」であり、監視音13
は少量の蒸気漏れなどによる異常音であると考えてみ
る。
【0011】図18、図19から分かるように、監視音
を規定する変数αの値が同じときには、正常音10から
のユークリッド距離や角度の値は3個の監視音11、1
2、13とも同じになるため、それらの値と任意に設定
した許容値とを比較した場合、3個の監視音がともに正
常であると判定されるか、逆に、3個の監視音ともに異
常であると判定されることになり、区別できない。
【0012】一方で、正常音のパワースペクトルを成分
とする標準パターンベクトルを予め登録する場合、「ゆ
らぎ」のある個々の正常音を多数の標準パターンベクト
ルとして登録しておく方法が考えられるが、コンピュー
タの記憶容量や処理時間の問題から標準パターンベクト
ルの登録個数には制限があるため、この方法を用いて、
正常運転中の設備が発する騒音の「ゆらぎ」と、少量の
蒸気漏れなどによる異常音とを判別することには限界が
ある。
【0013】このように、従来の異常音の検出方法で
は、異常音を正確に検出することができず、機械の異常
を判定する上で十分に満足のいく精度が得られないとい
う問題がある。
【0014】その理由は、従来の異常音の検出方法で
は、2つのベクトルのユークリッド距離あるいは角度の
値を類似性尺度としているために、標準パターンベクト
ルがなす形状と入力パターンベクトルがなす形状との差
を、形状距離値として数値化できないからである。
【0015】本発明は、上記問題を解決するためになさ
れたものであり、第1の目的は標準パターンベクトルと
入力パターンベクトルから、2つのベクトル間の正確な
形状距離値を求めることができる異常音の検出方法を提
供することにある。また、本発明の第2の目的は異常音
の検出値から高い精度で機械の異常判定を行うことがで
きる判定方法を提供することにある。
【0016】また、本発明の第3の目的は音声その他任
意の振動波について、標準パターンベクトルと入力パタ
ーンベクトルから、2つのベクトル間の正確な形状距離
値を求めることができる振動波の類似度検出方法を提供
することにある。また、本発明の第4の目的は振動波の
類似度検出値から高い精度で音声認識を行うことができ
る方法を提供することにある。
【0017】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
め、請求項1の発明に係る異常音の検出方法は、(a)
正常音の特徴量を成分とする標準パターンベクトルと、
監視音の特徴量を成分とする入力パターンベクトルと、
正規分布や矩形など任意の基準形状の値を成分とする基
準パターン正ベクトル及び基準パターン負ベクトルとを
作成すること、(b)ベクトルの各成分について、入力
パターンベクトルの成分値が標準パターンベクトルの成
分値より大きいとき、その差の絶対値だけ基準パターン
正ベクトルの成分値を増加させ、入力パターンベクトル
の成分値が標準パターンベクトルの成分値より小さいと
き、その差の絶対値だけ基準パターン負ベクトルの成分
値を増加させること、(c)基準パターン正ベクトルの
尖度と基準パターン負ベクトルの尖度との差の値を算出
すること、(d)上記尖度の差の値を算出するに際し、
基準形状の中心をベクトルの各成分の位置に相対的に移
動しながら尖度の差の値を求めること、(e)上記尖度
の差の値の2乗和の平方根を、標準パターンベクトルと
入力パターンベクトルとの間の形状距離値とするもので
ある。
【0018】請求項2の発明に係る異常音の検出方法
は、標準パターンベクトルとして正常音に代えて、機械
の正常振動の特徴量を成分とするパターンベクトルを作
成し、入力パターンベクトルとして監視音に代えて、機
械の監視振動の特徴量を成分とするパターンベクトルを
作成することを特徴とし、請求項3の発明に係る異常音
の検出方法は、尖度の差の値の2乗和の平方根に代え
て、尖度の差の値の2乗和を標準パターンベクトルと入
力パターンベクトルとの間の形状距離値とすることを特
徴とする。
【0019】また、請求項4の発明に係る機械の異常判
定方法は、前記いずれかの検出方法で求めた形状距離値
と任意に設定した許容値を比較し、形状距離値が許容値
を越えたとき異常と判定するものである。
【0020】次に、請求項5の発明に係る振動波の類似
度検出方法は、(a)標準振動波の特徴量を成分とする
標準パターンベクトルと、監視振動波の特徴量を成分と
する入力パターンベクトルと、正規分布や矩形など任意
の基準形状の値を成分とする基準パターン正ベクトル及
び基準パターン負ベクトルとを作成すること、(b)ベ
クトルの各成分について、入力パターンベクトルの成分
値が標準パターンベクトルの成分値より大きいとき、そ
の差の絶対値だけ基準パターン正ベクトルの成分値を増
加させ、入力パターンベクトルの成分値が標準パターン
ベクトルの成分値より小さいとき、その差の絶対値だけ
基準パターン負ベクトルの成分値を増加させること、
(c)基準パターン正ベクトルの尖度と基準パターン負
ベクトルの尖度との差の値を算出すること、(d)上記
尖度の差の値を算出するに際し、基準形状の中心をベク
トルの各成分の位置に相対的に移動しながら尖度の差の
値を求めること、(e)上記尖度の差の値の2乗和、あ
るいは同2乗和の平方根を、標準パターンベクトルと入
力パターンベクトルとの間の形状距離値とするものであ
る。
【0021】そして、請求項6に係る発明は音声認識方
法であり、前記振動波の類似度検出方法で標準音声の特
徴量を成分とする標準パターンベクトルと監視音声の特
徴量を成分とする入力パターンベクトルとの間の形状距
離を求め、求めた形状距離値と任意に設定した許容値を
比較し、形状距離値が許容値を越えたとき監視音声は標
準音声でないと判定し、形状距離値が許容値内のとき監
視音声が標準音声であると判定するものである。
【0022】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を説明
する。
【0023】[原理説明]基準形状として正規分布を用
いる場合について、本発明の原理を説明する。
【0024】統計解析の分野において、正規分布は多く
の現象のモデルとして使われている。そこで、注目する
現象が正規分布に従っているか否かを確かめることが重
要となり、このために「尖度」という統計量が用いられ
ている。尖度値は、注目する現象が正規分布に従ってい
るときは「3」に等しく、正規分布よりも尖った分布の
ときは「3」より大きく、反対に、正規分布よりもなだ
らかな分布のときは「3」より小さくなる。このこと
は、正規分布の分散の値にかかわらず、常に成り立つ。
【0025】そこで、標準パターンベクトルと入力パタ
ーンベクトルとの間の形状変化を、正規分布の値を成分
とする基準パターンベクトルの形状変化に置き換え、こ
の基準パターンベクトルの形状変化の大きさを尖度の変
化量として数値化することにより、標準パターンベクト
ルと入力パターンベクトルとの類似の程度を形状距離値
として算出することができる。ただし、一般に、ベクト
ル形状の尖度の計算式においては、ベクトルの成分値が
負の場合には定義できない。つまり、標準パターンベク
トルの成分値と入力パターンベクトルの成分値のあらゆ
る大小関係に対して、基準パターンベクトルの成分値が
非負である必要がある。
【0026】そこで具体的には、正規分布の値を成分と
する基準パターン正ベクトルと、同正規分布の値を成分
とする基準パターン負ベクトルを予め作成しておく。そ
して、ベクトルの各成分について、入力パターンベクト
ルの成分値が標準パターンベクトルの成分値より大きい
ときは、その差の絶対値だけ基準パターン正ベクトルの
成分値を増加させ、小さいときは、基準パターン負ベク
トルの成分値を増加させる。次に、形状変化した基準パ
ターン正ベクトルと基準パターン負ベクトルについてそ
れぞれの尖度を算出し、2つの尖度の差の値を求める。
【0027】その際、正規分布の中心と標準及び入力パ
ターンベクトルの各成分との位置関係により形状変化し
た基準パターン正ベクトルと基準パターン負ベクトルの
各尖度が異なるので、正規分布の中心をベクトル各成分
の位置に相対的に移動しながら尖度の差の値を求め、こ
れらの差の値の2乗和の平方根、或いは、2乗和自身を
標準パターンベクトルと入力パターンベクトルとの間の
形状距離値として検出する。
【0028】このような形状距離値は、正常音(或いは
機械の正常振動)と監視音(或いは機械の監視振動)と
の間のベクトル形状変化を正確に検出するものであり、
また、標準音声等の任意の標準振動波と監視音声等の任
意の監視振動波との間の類似度を正確に検出するもので
ある。
【0029】従って、上記のように得られる形状距離値
を用いて機械の異常判定を行うことにより、標準パター
ンベクトルと入力パターンベクトルとの間の形状変化を
正確に検出することができ、機械の異常検知の精度を著
しく向上させることができる。また、このような形状距
離値を用いて音声認識を行うことにより、標準パターン
ベクトルと入力パターンベクトルとの間の形状変化を正
確に検出することができ、音声認識の精度を著しく向上
させることができる。
【0030】なお、基準形状が矩形など、正規分布以外
のものであっても、上記の説明は成立する。
【0031】[実施例]以下、本発明の実施例を添付図
面に基づいて説明する。本実施例では、機器類が発する
異常音を正常音と識別するために、各音の周波数分布を
正規化して標準パターンベクトルと入力パターンベクト
ルを作成し、これらベクトル間の形状変化を正規分布の
値を成分とする基準パターン正ベクトルと基準パターン
負ベクトルの形状変化に置き換え、これらの尖度値の差
から異常音を検出し、更に、その検出値を用いて機械の
異常判定を行うものとする。
【0032】図1は異常音を検出するための測定装置の
構造を示しており、1は監視対象となる機械、2はマイ
クロホンである。マイクロホン2は機械1の近傍の定位
置に配置され、機械1が発する音波を測定し、信号とし
て出力する。マイクロホン2の出力信号は、それぞれが
異なる通過周波数帯域を持つ複数m個の帯域通過フィル
タ3に入力され、音波の周波数成分波が抽出されてAD
変換器4に入力され、各AD変換器4において同時刻に
且つ周期的にディジタル信号に変換されてコンピュータ
等の演算装置5に入力される。また、演算装置5は、マ
イクロホン2の出力信号に基づき、以下のように異常音
の検出処理を行うように構成されている。ここで、i
(i=1,2,3,…,m)番目の帯域通過フィルタ3
の中心周波数はfiに設定されており、その出力信号が
i番目のAD変換器4に入力されるものとする。
【0033】次に、図1の測定装置構造を用いて行う異
常音の検出処理手順について説明する。
【0034】ただし、音波のパワースペクトルを抽出す
る方法として様々なものが考案されているが、本実施例
では、歴史的にも古く、性能が安定しているアナログ帯
域通過フィルタ群による方法を用いた場合について、処
理手順を説明する。図2は、帯域通過フィルタ3群の周
波数ゲイン特性の一例を示したものであり、音波をi番
目の帯域通過フィルタに通すことにより、中心周波数が
fiの帯域の周波数成分波を抽出できることが分かる。
このように、それぞれの帯域通過フィルタを構成してお
けば、音波の周波数分布の特徴が抽出できる。
【0035】図1に示すように、i番目のAD変換器4
の出力信号を時刻tの関数としてxi(t)(i=1,
2,3,…,m)とした時、関数xi(t)はi番目の
帯域通過フィルタ3を通して抽出した音波の周波数成分
波である。そのため、i番目の周波数帯域のパワースペ
クトルPiは次の数1により算出できる。ただし、関数
xi(t)の2乗和を計算する時間長Tは、時間的に変
化する音波の特徴が顕著に現れるように任意に設定して
おく。
【0036】
【数1】
【0037】本実施例では、正規化パワースペクトルを
用いる。即ち、一般に、異常音の検出では、音量よりも
音質が重要な要因になることが多い。この場合は、パワ
ースペクトルの形状変化を検出することが重要であり、
このためには、数1のパワースペクトルPiを全エネル
ギーで正規化して使用した方が都合が良い。i番目の周
波数帯域の正規化パワースペクトルpiは、次の数2に
より算出できる。
【0038】
【数2】
【0039】図3(a)は数1により算出したパワース
ペクトルの一例を示したものであり、図3(b)は同図
(a)のパワースペクトルを数2を用いて正規化したも
のであるが、これらから、パワースペクトルと正規化パ
ワースペクトルとは相似形であることが分かる。
【0040】次に、正常音の正規化パワースペクトルp
i(i=1,2,3,…,m)を成分とする標準パター
ンベクトルHと、監視音の正規化パワースペクトルpi
(i=1,2,3,…,m)を成分とする入力パターン
ベクトルNを作成する。この標準パターンベクトルH及
び入力パターンベクトルNを、次の数3のように表現し
ておく。ただし、数3は、正常音及び監視音の正規化パ
ワースペクトルの形状を、ベクトルのm個の成分値で表
現したものである。
【0041】
【数3】 H=(h1,h2,…,hm) N=(n1,n2,…,nm) ・・・数3
【0042】次の数4は、正規分布の確率密度関数の式
である。ただし、μは平均値、σ2は分散である。
【0043】
【数4】
【0044】図4(a)は、数4の正規分布のグラフ
(正規曲線)を示したものである。また、この図4
(a)において正規曲線の関数値に等しい高さの棒グラ
フも示しているが、この棒グラフの高さの値を成分とす
る基準パターン正ベクトルK(+) を図4(b)のように
作成し、また、同棒グラフの高さの値を成分とする基準
パターン負ベクトルK(-) を図4(c)のように作成
し、次の数5のように表現しておく。数5は正規分布の
形状をベクトルのm個の成分値で表現したものであり、
数3と同じ次元である。図4から分かるように、これら
一対の基準パターンベクトルK(+) 、K(-) は相等なベ
クトルである。
【0045】
【数5】 K(+) =(k(+) 1,k(+) 2,…,k(+) m) K(-) =(k(-) 1,k(-) 2,…,k(-) m) ・・・数5
【0046】正規分布の平均値μ及び分散σ2 は、正規
分布の形状の特徴をベクトルのm個の成分値で表現でき
る範囲の任意の値に設定して良いが、ここでは、平均値
が基準パターンベクトル成分の中央の位置にあり、分散
が1に等しい場合を考える。また、ここではmが奇数の
場合を考えているが、mが偶数の場合にも同様の議論が
成り立つ。
【0047】次に、標準パターンベクトルHと入力パタ
ーンベクトルNとの間の形状変化を、基準パターン正ベ
クトルK(+) 及び基準パターン負ベクトルK(-) の形状
変化に置き換える。即ち、ベクトルの第i成分(i=
1,2,…,m)について、標準パターンベクトルHの
成分値hiと入力パターンベクトルNの成分値niとの
間の変化量の絶対値は|ni−hi|であるが、次の数
6に示すように、niがhiより大きいとき基準パター
ン正ベクトルK(+) の成分値k(+) iをこの変化量の絶
対値|ni−hi|だけ増加させ、niがhiより小さ
いとき基準パターン負ベクトルK(-) の成分値k(-)
をこの変化量の絶対値|ni−hi|だけ増加させる。
【0048】
【数6】i=1,2,…,mについて: ・ni>hiのとき、k(+) iを|ni−hi|だけ増加させる ・ni<hiのとき、k(-) iを|ni−hi|だけ増加させる ・・・数6
【0049】次に、図5〜図9の模式図に示す典型例を
用いて、数6を説明する。これら図5〜図9は、ベクト
ルのm個の成分値をベクトル形状として図形で表現した
ものである。なお、全体の周波数帯域の中で1つの帯域
のパワースペクトルだけが増加した場合、数2により正
規化を行うと、その帯域の正規化パワースペクトルの増
加とともに、他の帯域の正規化パワースペクトルが相対
的に減少することになるが、図5〜図9では、表示を簡
単にし且つ理解を容易にするため、入力パターンベクト
ル形状の着目している成分についてのみ増減を表示し、
他の成分については変化がないものとしている。また、
基準パターン負ベクトル形状は、基準パターン正ベクト
ル形状との対比を容易にするため、上下を逆に表示して
いる。
【0050】図5〜図9について説明すると、下記の通
りである。 (1)図5は標準パターンベクトル形状と入力パターン
ベクトル形状が等しい例を示すが、この場合、基準パタ
ーン正ベクトル及び基準パターン負ベクトルは共に正規
分布の形状から変化はない。 (2)図6は標準パターンベクトル形状に対して入力パ
ターンベクトル形状の中央部分だけがδ1増加した例を
示すが、この場合には、基準パターン正ベクトル形状の
図中斜線で示す部分が同じ値δ1だけ増加し、基準パタ
ーン負ベクトル形状に変化はない。 (3)図7は標準パターンベクトル形状に対して入力パ
ターンベクトル形状の中央部分だけがδ2減少した例を
示すが、この場合には、基準パターン正ベクトル形状に
変化はなく、基準パターン負ベクトル形状の図中斜線で
示す部分が同じ値δ2だけ増加する。 (4)図8は標準パターンベクトル形状に対して入力パ
ターンベクトル形状の端の部分だけがδ3増加した例を
示すが、この場合にも、基準パターン正ベクトル形状の
図中斜線で示す部分が同じ値δ3だけ増加し、基準パタ
ーン負ベクトル形状に変化はない。 (5)図9は標準パターンベクトル形状に対して入力パ
ターンベクトル形状の端の部分だけがδ4減少した例を
示すが、この場合にも、基準パターン正ベクトル形状に
変化はなく、基準パターン負ベクトル形状の図中斜線で
示す部分が同じ値δ4だけ増加する。
【0051】図5〜図9においては標準パターンベクト
ル形状及び入力パターンベクトル形状の典型例を示した
が、通常の場合には、標準パターンベクトル形状に対し
て入力パターンベクトル形状の殆どの部分が変化するの
で、数6は変化した全ての部分について形状変化の計算
を行うものである。また、数6は、絶対的な形状を問題
にしているのではなく、相対的な形状変化を問題にして
いるため、任意形状の標準パターンベクトル及び入力パ
ターンベクトルについて適用が可能である。
【0052】次に、数6により形状変化した一対の基準
パターンベクトル(基準パターン正ベクトルK(+) と基
準パターン負ベクトルK(-) )について、それぞれの形
状変化の大きさを、尖度の変化量として数値化する。
【0053】ここで、基準パターン正ベクトルK(+)
尖度A(+) 、及び、基準パターン負ベクトルK(-) の尖
度A(-) は、それぞれ次の数7により算出できる。ただ
し、数7中のLi(i=1,2,…,m)は、図5に示
すように、正規分布の平均値からの偏差の値であり、正
規分布の形状の特徴を表現できる範囲の任意の値に設定
しておく。
【0054】
【数7】
【0055】数7より算出される尖度の値A(+) 及びA
(-) は、正規分布の平均値(中心)のまわりの4次の積
率と、2次の積率の2乗との比である。
【0056】なお、正規分布に限らず、数7より、任意
の基準形状の尖度の値を算出できる。
【0057】前述したように、一般に、ベクトル形状の
尖度の計算式においては、ベクトルの成分値が負の場合
には定義できず、標準パターンベクトルの成分値と入力
パターンベクトルの成分値のあらゆる大小関係に対し
て、基準パターンベクトルの成分値が非負である必要が
ある。
【0058】このため、初期値が同形状の基準パターン
正ベクトルK(+) 及び基準パターン負ベクトルK(-)
作成しておき、数6ではそれらの成分値の変化が非減少
になるようにし、数7においてそれぞれの尖度A(+)
(-) を算出するようにしている。
【0059】次に、基準パターン正ベクトルの尖度A
(+) と基準パターン負ベクトルの尖度A(-) の2つの変
化量から、尖度の差の値(A(+) −A(-) )を以て、標
準パターンベクトルと入力パターンベクトルの類似の程
度を表す形状変化量Dとする。
【0060】例えば、数5により正規分布形状に初期設
定された2つの基準パターンベクトルK(+) 及びK(-)
の尖度の値は、共に3に等しい。そのため、数6により
形状変化した基準パターン正ベクトル及び基準パターン
負ベクトルの尖度の変化量は、それぞれ{A(+) −3}
及び{A(-) −3}となる。即ち、正方向の変化量は
{A(+) −3}、また負方向の変化量は{A(-) −3}
となり、全体の変化量はこの差の値となる。従って、次
の数8より、形状変化量Dが算出できる。
【0061】
【数8】 D={A(+) −3}−{A(-) −3} =A(+) −A(-) ・・・数8
【0062】次に、図5〜図9に示した標準パターンベ
クトル形状及び入力パターンベクトル形状の典型例それ
ぞれの場合について、数8より算出される形状変化量D
が示す値について考えてみると、以下の通りである。 (1)図5に示すように、標準パターンベクトル形状と
入力パターンベクトル形状が等しい場合には、A(+)
3かつA(-) =3より、形状変化量D=0になる。 (2)また、図6に示すように、標準パターンベクトル
形状に対して入力パターンベクトル形状の中央部分が増
加した場合には、A(+) >3かつA(-) =3により、D
>0となる。 (3)図7に示すように、標準パターンベクトル形状に
対して入力パターンベクトル形状の中央部分が減少した
場合には、A(+) =3かつA(-) >3により、D<0に
なる。 (4)一方、図8に示すように、標準パターンベクトル
形状に対して入力パターンベクトル形状の端の部分が増
加した場合には、A(+) <3かつA(-) =3により、D
<0となる。 (5)図9に示すように、標準パターンベクトル形状に
対して入力パターンベクトル形状の端の部分が減少した
場合には、A(+) =3かつA(-) <3により、D>0に
なる。
【0063】即ち、正規分布の中央付近の周波数帯域に
おいて、監視音の正規化パワースペクトルが正常音の正
規化パワースペクトルに対して相対的に強くなったとき
は、形状変化量Dは正の値で、かつ、相対強度に比例し
て増加する。逆に、正規分布の中央付近の周波数帯域に
おいて、監視音の正規化パワースペクトルが正常音の正
規化パワースペクトルに対して相対的に弱くなったとき
は、形状変化量Dは負の値で、かつ、相対強度に比例し
て減少する。
【0064】そこで、正規分布の平均値を標準パターン
ベクトル形状の各成分位置に順次移動させた場合につい
て、各位置での形状変化量を求める。図10は標準パタ
ーンベクトル形状に対して入力パターンベクトル形状の
i番目の部分だけが増加した例を示す。図11は、図1
0の例において、正規分布の平均値が標準パターンベク
トル形状のj番目(j=1,2,…,m)の位置に移動
したときのそれぞれの場合について、基準パターン正ベ
クトル形状及び基準パターン負ベクトル形状を示したも
のである。
【0065】図10では、同図(a)の標準パターンベ
クトル形状に対して、同図(b)の入力パターンベクト
ル形状のi番目の部分がδ増加しているが、図11にお
いては、それぞれの基準パターン正ベクトル形状におい
てのみ、これに対応する図中斜線で示す部分が同じ値δ
だけ増加し、基準パターン負ベクトル形状に変化はな
い。
【0066】また、正規分布の平均値が標準パターンベ
クトル形状の中心位置から離れている場合、図11中の
記号アで示す部分は、標準パターンベクトル及び入力パ
ターンベクトルの成分番号(i=1,2,…,m)に対
応していないため、常に値の変化はない。更に、図11
中の記号イで示す部分は、基準パターン正ベクトル及び
基準パターン負ベクトルの値の作成範囲外であるため、
破線で示す入力パターンベクトルの変化にかかわらず、
常に値の変化はない。
【0067】このようにして、正規分布の平均値を標準
パターンベクトル形状のj番目(j=1,2,…,m)
の位置に移動させたときのそれぞれの場合について、前
記と同様の数6、数7、数8を順に用いた処理手順によ
り形状変化量Dj(j=1,2,…,m)を算出する。
この様子が図11に示されている。ただし、図11に示
すように、数7における値Li(i=1,2,…,m)
は、移動した正規分布のそれぞれの平均値からの偏差の
値であり、また、k(+) i及びk(-) i(i=1,2,
…,m)は、このLiに対応するものである。
【0068】上記正規分布の中心の移動は、標準パター
ンベクトル及び入力パターンベクトルとの相対的な移動
である。従って、実際の計算では、標準パターンベクト
ル形状及び入力パターンベクトル形状に対して基準パタ
ーンベクトル形状を移動する代わりに、逆に、基準パタ
ーンベクトル形状に対して標準パターンベクトル形状及
び入力パターンベクトル形状を移動しても良く、両者は
等価である。
【0069】後者の基準パターンベクトル形状に対して
標準パターンベクトル形状及び入力パターンベクトル形
状を移動する場合について、形状変化量Djの算出を説
明する。即ち、本実施例ではmを奇数とし、標準パター
ンベクトルの中央の成分番号が(m+1)/2であるこ
とにより、数6の代わりに、次の数9を用いて基準パタ
ーン正ベクトルK(+) =(k(+) 1,k(+) 2,…,k
(+) m)及び基準パターン負ベクトルK(-) =(k(-)
1,k(-) 2,…,k(-) m)を変化させることで、正
規分布の平均値が標準パターンベクトル形状のj番目の
位置に移動したときの形状変化量Djを算出できる。
【0070】
【数9】i=1,2,…,mについて、1≦i−j+(m+1)
/2≦mが成り立つとき: ・ni>hiならば、k(+) i-j+(m+1)/2 を|ni−hi|だけ 増加させる。 ・ni<hiならば、k(-) i-j+(m+1)/2 を|ni−hi|だけ 増加させる。 ・・・数9
【0071】図12は、数9を用いて、m個の形状変化
量Djを算出する処理手順を示したフローチャートであ
る。ここでは、数3により標準パターンベクトルH及び
入力パターンベクトルNを作成し、次に、数5により基
準パターン正ベクトルK(+)及び基準パターン負ベクト
ルK(-) を作成した後の処理手順を示しており、図15
中のステップS4の詳細でもある。
【0072】図12において、最初のステップS4−1
では、j=1と初期設定しておき、次のステップS4−
2からステップS4−7では、j=mまでjを1ずつ増
加して形状変化量Djを算出するループに入る。
【0073】この形状変化量算出ループ内のステップS
4−2では、ループを回る毎に、1対の基準パターンベ
クトル(基準パターン正ベクトルK(+) と基準パターン
負ベクトルK(-) )を数5により正規分布の形状に再設
定しておき、ステップS4−3からステップS4−5で
は、数9、数7、数8を順に用いて形状変化量Djを算
出する。即ち、ステップS4−3で、数9により基準パ
ターン正ベクトルK(+ ) 及び基準パターン負ベクトルK
(-) の形状を変化させ、ステップS4−4で、数7を用
いて基準パターン正ベクトルの尖度A(+) 及び基準パタ
ーン負ベクトルの尖度A(-) を算出し、ステップS4−
5で、数8を用いて形状変化量Djを算出する。
【0074】このような処理手順により、成分番号j
(j=1,2,3,…,m)に対応するそれぞれの場合
について基準パターン正ベクトル及び基準パターン負ベ
クトルをm対作成しておかなくても、1対の基準パター
ンベクトルを作成するだけでm個の形状変化量Djを算
出することができる。
【0075】図13は、図10及び図11で示した標準
パターンベクトル形状及び入力パターンベクトル形状に
ついて、図12の処理手順を用いて算出した周波数帯域
別形状変化量の模式図である。
【0076】正規分布の平均値が、図11のように標準
パターンベクトル形状に対して入力パターンベクトル形
状が増加した部分と同じ位置に移動したとき、図13の
ように形状変化量は最大となり(同図中、中心周波数f
iの帯域に対応するもの)、離れた位置に移動したとき
負の値になることが分かる。また、さらに離れた位置に
移動したときは、図11中の記号イで示す部分が現れる
ため、図13のように形状変化量は0となる(同図中、
中心周波数f1の帯域に対応するもの)。
【0077】このように、形状変化量Dj、即ち、形状
変化した基準パターン正ベクトルの尖度と基準パターン
負ベクトルの尖度との差(A(+) −A(-) )は、標準パ
ターンベクトル形状に対して入力パターンベクトル形状
が増加した部分と同じ位置に基準形状の中心が移動した
場合において、その値が増加することになる。
【0078】即ち、監視音の正規化パワースペクトル
が、正常音の正規化パワースペクトルに対してどの周波
数帯域においてどの程度強くなっているかを、形状変化
量として検出することができる。
【0079】次に、上記のようにして得られたm個の形
状変化量Dj(j=1,2,…,m)を用いて、標準パ
ターンベクトル形状と入力パターンベクトル形状との差
を、2つのベクトル間の1個の形状距離値として数値化
する。
【0080】この形状距離値はm個の形状変化量Djの
積算であると考えられる。従って、次の数10より、形
状距離値dを算出できる。
【0081】
【数10】
【0082】数10ではm個の形状変化量Djの2乗和
の平方根を形状距離値としているが、次の数11のよう
に、m個の形状変化量Djの2乗和自身を形状距離値d
とすることもできる。
【0083】
【数11】
【0084】以上で形状距離値の算出方法を述べたが、
次に、この方法を用いて図17に示した正常音10及び
監視音11、12、13について、標準パターンベクト
ル10Aと各入力パターンベクトル11A、12A、1
3Aとの間の形状距離値d1、d2、d3を算出するこ
とを考えてみる。
【0085】図14は、図17における変数αの値を0
から1まで増加させたとき、形状距離値d1、d2、d
3が変化する様子を示したものである。この図14か
ら、図17の例では、形状距離値は常にd1=d2<d
3であり、αの値が増加するにつれて、形状距離値d
1、d2、d3も増加することが分かる。
【0086】ここで、図17の例で変数αの値が小さい
場合について、仮に、監視音11と監視音12は正常運
転中の設備が発する騒音の「ゆらぎ」であり、監視音1
3は少量の蒸気漏れなどによる異常音であるとする。
【0087】従来は正常音からのユークリッド距離や角
度の値を用いているため、図17において監視音11、
12、13の変数αの値が同じときには、図18及び図
19に示したように、監視音11、12が正常であり、
監視音13が異常であることを判定できなかった。
【0088】これに対し、本発明では、監視音11、1
2、13のαの値が同じときでも、図14に2つの黒丸
印6、7で示すように、正常音からの形状距離値d1、
d2、d3と任意に設定した許容値とを比較することに
より、黒丸印7の監視音は正常であり、黒丸印6の監視
音は異常であると判定することができる。つまり、正常
な監視音11、12と、異常な監視音13とを区別でき
る。
【0089】次に、以上で述べた異常音の検出方法を用
いてコンピュータが昼夜連続的に機械の異常音を検出
し、機械の運転状態を監視する一例を図15を参照して
説明する。
【0090】図15は機械の運転状態を監視するための
フローチャートである。図15において、ステップS1
では基準形状の値を成分とする一対の基準パターンベク
トル(基準パターン正ベクトルと基準パターン負ベクト
ル)を作成し、ステップS2では正常音から標準パター
ンベクトルを予め作成しておく。次のステップS3では
監視音から入力パターンベクトルを作成し、ステップS
4では形状変化量Dj(j=1,2,3,…,m)を算
出する。ここで、ステップS4の形状変化量の算出手順
は、前述した図12におけるステップS4−1からステ
ップS4−7により構成される。そして、ステップS5
では形状距離値dを算出し、ステップS6では許容値と
比較して異常判定を行う。異常判定の後、再び、ステッ
プS3からの処理を繰り返す。
【0091】このような処理手順により、機械の運転状
態を連続的に監視することができる。形状距離値dが許
容値を越えたとき、機械が異常であると判定し、ステッ
プS7で異常信号を出力する。
【0092】ところで、一般に、運転中の機械が発する
音については、正常音であっても、例えば/ガタゴト/
という音のように、そのパワースペクトル形状が時間的
に変化することが多い。このような場合には、/ガ/、
/タ/、/ゴ/、/ト/というそれぞれの音を別々の正
常音と考え、これらの正常音から4個の標準パターンベ
クトルを作成しておく。
【0093】次に、監視音からは1個の入力パターンベ
クトルを作成し、この入力パターンベクトルと上記4個
の各標準パターンベクトルとの間の形状距離値を算出
し、これらの形状距離値のうちの最小値と、任意に設定
した許容値とを比較し、最小の形状距離値が許容値を越
えていないときには、4個の正常音の中に監視音に類似
するものがあると考えて機械は正常であると判定し、越
えたときには異常であると判定する。
【0094】[実験例]次に、図16を参照して実験例
を説明する。図16は、正常であってもそのパワースペ
クトル形状が時間的に変化するポンプの運転音につい
て、正常音、正常な監視音、及び、異常な監視音を時間
を追って測定し、測定データ間のユークリッド距離値、
及び、本発明による形状距離値を算出して、それらの距
離値の分布をプロットした実験結果の一例を示す。
【0095】この実験では、ポンプの運転音をそれぞれ
0〜250Hz、250〜500Hz、500〜100
0Hz、1000〜2000Hz、2000〜4000
Hz、4000〜8000Hz、及び8000〜160
00Hzの通過周波数帯域を持った7個の帯域通過フィ
ルタに通すことにより、音波のパワースペクトルを抽出
した。また、この実験では、主要周波数成分が1500
Hzである合成雑音を微小な音量でポンプの正常音に混
合することにより、この混合音を異常な監視音として使
用した。
【0096】最初に、正常音として、ポンプの正常運転
中に時間を追って100回の測定を行い、100個の標
準パターンベクトルを作成した。
【0097】次に、正常な監視音として、ポンプの正常
運転中に1回の測定を行い、1個の入力パターンベクト
ルを作成した。この1個の正常な監視音の入力パターン
ベクトルと上記100個の標準パターンベクトルについ
て100個のユークリッド距離値を算出し、各算出値の
うちの最小値を、正常音と正常な監視音との間のユーク
リッド距離値として図16の上段に、1個の○印をプロ
ットする。同様に、上記1個の正常な監視音の入力パタ
ーンベクトルと上記100個の標準パターンベクトルに
ついて100個の形状距離値を算出し、各算出値のうち
の最小値を、正常音と正常な監視音との間の形状距離値
として同図16の下段に、1個の○印をプロットする。
このような処理を時間を追って100回行う。
【0098】即ち、正常な監視音について時間を追って
100回の測定を行い、1回の測定毎に上記の処理を繰
り返し、図16の上段に計100個のユークリッド距離
値(○印)をプロットし、図16の下段に計100個の
形状距離値(○印)をプロットした。
【0099】また、異常な監視音として、上記の混合音
について1回の測定を行い、1個の入力パターンベクト
ルを作成した。この1個の異常な監視音の入力パターン
ベクトルと上記100個の標準パターンベクトルについ
て100個のユークリッド距離値を算出し、各算出値の
うちの最小値を、正常音と異常な監視音との間のユーク
リッド距離値として図16の上段に1個の×印をプロッ
トする。同様に、上記1個の異常な監視音の入力パター
ンベクトルと上記100個の標準パターンベクトルにつ
いて100個の形状距離値を算出し、各算出値のうちの
最小値を、正常音と異常な監視音との間の形状距離値と
して同図16の下段に1個の×印をプロットする。この
ような処理を時間を追って100回行う。
【0100】即ち、異常な監視音について時間を追って
100回の測定を行い、1回の測定毎に上記の処理を繰
り返し、図16の上段に計100個のユークリッド距離
値(×印)をプロットし、図16の下段に計100個の
形状距離値(×印)をプロットした。
【0101】なお、図16において、上段の横軸はユー
クリッド距離、また、下段の横軸は形状距離を示すもの
であり、それぞれの最大値で正規化して表示している。
一方、縦軸方向は、○印と×印が重なってプロットされ
ないように、間隔を適当に広げたものである。
【0102】上述の如く、図16は同一の測定データか
らユークリッド距離値及び形状距離値を算出し、正常音
と正常な監視音との間のそれぞれの距離値を○印で、正
常音と異常な監視音との間のそれぞれの距離値を×印で
表したものであり、図16によれば,以下のことがいえ
る。 (1)ユークリッド距離では○印と×印が接近している
のに対し、形状距離では○印と×印の分離が良いことが
分かる。 (2)図16中の符号8で示す○印よりもユークリッド
距離値が大きい×印の数は35個であり、一方、同図中
の符号9で示す○印よりも形状距離値が大きい×印の数
は62個であった。即ち、符号8で示す位置、及び、符
号9で示す位置に許容値を設定したならば、ユークリッ
ド距離を用いたときに異常が検出できる比率は100分
の35であるが、形状距離を用いたときのそれは100
分の62に向上する。
【0103】以上の実験結果より、ユークリッド距離を
用いるよりも形状距離を用いる方が、より正確に異常音
の検出が行えることが理解できる。
【0104】なお、以上の実施例は、基準形状として正
規分布を用いて形状距離値を算出したものであったが、
基準形状として矩形などを用いて形状距離値を算出して
も良い。
【0105】このことは、形状変化量Dは基準形状の初
期化時の尖度に影響されないことが数8から分かること
により、理解されよう。
【0106】また、以上の実施例は、アナログ帯域通過
フィルタ群を用いて音波のパワースペクトルを抽出した
ものであったが、高速フーリエ変換等を用いてパワース
ペクトルを抽出しても良い。
【0107】また、以上の実施例は、音波の特徴量とし
てパワースペクトルを用いて、形状距離値を算出したも
のであったが、音波の特徴量として複数個の線形予測係
数等を用いて、形状距離値を算出しても良い。
【0108】また、以上の実施例は、機械が発する音波
を用いて異常音を検出し、機械の異常を判定したもので
あったが、機械の振動波を以て異常音の検出を行い、機
械の異常を判定しても良い。この場合、マイクロホンの
代わりの、適宜なセンサにより振動波を測定すれば良
い。
【0109】また、以上の実施例は、機械が発する音波
について標準パターンベクトルと入力パターンベクトル
との間の形状距離値を算出したものであったが、人間が
発声する音声波について標準パターンベクトルと入力パ
ターンベクトルとの間の形状距離値を算出し、音声認識
を行っても良い。
【0110】具体的には、標準音声の特徴量を成分とす
る標準パターンベクトルと監視音声の特徴量を成分とす
る入力パターンベクトルとを作成し、これらのベクトル
形状変化を基準パターン正ベクトル及び基準パターン負
ベクトルの形状変化に置き換えて、この形状変化の大き
さを尖度の変化量とし、基準パターン正ベクトルと基準
パターン負ベクトルの尖度の差から、標準パターンベク
トルと入力パターンベクトルとの間の形状距離値を算出
し、得られた形状距離値と任意に設定した許容値とを比
較し、形状距離値が許容値を越えたとき監視音声は標準
音声でないと判定し、形状距離値が許容値内のとき監視
音声が標準音声であると判定することができる。
【0111】更に、以上の実施例は、機械が発する音波
について標準パターンベクトルと入力パターンベクトル
との間の形状距離値を算出したものであったが、一般に
は、低周波、高周波を問わず任意の振動波について標準
パターンベクトルと入力パターンベクトルとの間の形状
距離値を算出し、得られた形状距離値を以て振動波の類
似度検出を行うことができる。また、この類似度検出値
に基づいて振動波に関する解析等、各種処理を行うこと
ができる。
【0112】
【発明の効果】以上のように、この発明の異常音の検出
方法では、標準パターンベクトルと入力パターンベクト
ルとの間の形状変化を、基準形状の値を成分とする基準
パターンベクトルの形状変化に置き換え、この形状変化
の大きさを尖度の変化量として数値化し形状距離値とし
て算出するので、ユークリッド距離や角度など従来の類
似性尺度では区別できない音あるいは機械の振動でも、
ベクトルの形状差からこれらの区別を行うことができ、
正確な異常音の検出値を得ることができる。
【0113】また、本発明の機械の異常判定方法では、
正確な異常音の検出値に基づいて異常の判定を行うの
で、判定の基準が信頼性の高いものとなり、機械の異常
検知の精度を著しく向上できる利点がある。
【0114】更に、本発明の振動波の類似度検出方法で
は、標準パターンベクトルと入力パターンベクトルとの
間の形状変化を、基準形状の値を成分とする基準パター
ンベクトルの形状変化に置き換え、この形状変化の大き
さを尖度の変化量として数値化し形状距離値として算出
するので、ユークリッド距離や角度など従来の類似性尺
度では区別できない振動波でも、ベクトルの形状差から
これらの区別を行うことができ、正確な類似度検出値を
得ることができる。
【0115】また、本発明の音声認識方法では、正確な
類似度検出値に基づいて音声認識を行うので、判定の基
準が信頼性の高いものとなり、音声認識の精度を著しく
向上できる利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例における異常音の測定装置の
構造を示すブロック図。
【図2】帯域通過フィルタ群の周波数ゲイン特性の一例
を示す図。
【図3】パワースペクトルの一例と、その正規化パワー
スペクトルを示す図。
【図4】正規曲線と、その値を成分とする基準パターン
正ベクトル及び基準パターン負ベクトルの一例を示す
図。
【図5】標準パターンベクトル形状と入力パターンベク
トル形状の典型例として、形状が同じ場合のベクトルを
示す図。
【図6】標準パターンベクトル形状と入力パターンベク
トル形状の典型例として、図5の標準パターンベクトル
形状に対し入力パターンベクトル形状の中央部分が増加
したもの、及び、そのときの基準パターン正ベクトルの
形状変化を示す図。
【図7】標準パターンベクトル形状と入力パターンベク
トル形状の典型例として、図5の標準パターンベクトル
形状に対し入力パターンベクトル形状の中央部分が減少
したもの、及び、そのときの基準パターン負ベクトルの
形状変化を示す図。
【図8】標準パターンベクトル形状と入力パターンベク
トル形状の典型例として、図5の標準パターンベクトル
形状に対し入力パターンベクトル形状の端の部分が増加
したもの、及び、そのときの基準パターン正ベクトルの
形状変化を示す図。
【図9】標準パターンベクトル形状と入力パターンベク
トル形状の典型例として、図5の標準パターンベクトル
形状に対し入力パターンベクトル形状の端の部分が減少
したもの、及び、そのときの基準パターン負ベクトルの
形状変化を示す図。
【図10】標準パターンベクトルと、同ベクトルに対し
i番目の成分値が増加した入力パターンベクトルの形状
例を示す図。
【図11】正規分布の平均値が移動したときの基準パタ
ーン正ベクトル及び基準パターン負ベクトルの形状変化
例を示す図。
【図12】形状変化量(基準パターン正ベクトルと基準
パターン負ベクトルの尖度の差)を算出するためのフロ
ーチャートを示すブロック図。
【図13】周波数帯域別形状変化量を示す図。
【図14】図17中の変数αに対し、標準パターンベク
トルと入力パターンベクトルとの間の形状距離値が変化
する様子を示す図。
【図15】機械の運転状態を監視するためのフローチャ
ートを示すブロック図。
【図16】実験結果として、上段に、正常音と正常な監
視音及び異常な監視音との間のユークリッド距離値の分
布を、下段に、正常音と正常な監視音及び異常な監視音
との間の形状距離値の分布を示す図。
【図17】正常音と監視音のパワースペクトルの例を示
す図。
【図18】従来技術に関して、図17中の変数αに対
し、ベクトル間のユークリッド距離値が変化する様子を
示す図。
【図19】従来技術に関して、図17中の変数αに対
し、ベクトル間の角度の余弦値が変化する様子を示す
図。
【符号の説明】 1 機械 2 マイクロホン 3 帯域通過フィルタ 4 AD変換器 5 演算装置 6 許容値より形状距離値が大きい監視音を表す黒丸 7 許容値より形状距離値が小さい監視音を表す黒丸 8 ユークリッド距離値に対する許容値の設定位置 9 形状距離値に対する許容値の設定位置 10 正常音 11 正常な監視音 12 正常な監視音 13 異常な監視音 Dj 形状変化量 d1、d2 正常音と正常な監視音との間の形状距離値 d3 正常音と異常な監視音との間の形状距離値
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 山口 博司 香川県木田郡牟礼町大字大町1703番地66 (72)発明者 石原 義尚 東京都千代田区丸の内二丁目5番1号 三 菱重工業株式会社内 (72)発明者 大嶋 淳 東京都千代田区丸の内二丁目5番1号 三 菱重工業株式会社内 (72)発明者 田口 藤孝 神奈川県横浜市港南区上永谷2−6−6 (72)発明者 荒川 正祐 千葉県船橋市古作4−8−3 (72)発明者 木津 良和 埼玉県入間市扇台1−7−12

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (a)正常音の特徴量を成分とする標準
    パターンベクトルと、監視音の特徴量を成分とする入力
    パターンベクトルと、正規分布や矩形など任意の基準形
    状の値を成分とする基準パターン正ベクトル及び基準パ
    ターン負ベクトルとを作成すること、(b)ベクトルの
    各成分について、入力パターンベクトルの成分値が標準
    パターンベクトルの成分値より大きいとき、その差の絶
    対値だけ基準パターン正ベクトルの成分値を増加させ、
    入力パターンベクトルの成分値が標準パターンベクトル
    の成分値より小さいとき、その差の絶対値だけ基準パタ
    ーン負ベクトルの成分値を増加させること、(c)基準
    パターン正ベクトルの尖度と基準パターン負ベクトルの
    尖度との差の値を算出すること、(d)上記尖度の差の
    値を算出するに際し、基準形状の中心をベクトルの各成
    分の位置に相対的に移動しながら尖度の差の値を求める
    こと、(e)上記尖度の差の値の2乗和の平方根を、標
    準パターンベクトルと入力パターンベクトルとの間の形
    状距離値とする異常音の検出方法。
  2. 【請求項2】 前記標準パターンベクトルとして正常音
    に代えて、機械の正常振動の特徴量を成分とするパター
    ンベクトルを作成し、前記入力パターンベクトルとして
    監視音に代えて、機械の監視振動の特徴量を成分とする
    パターンベクトルを作成することを特徴とする請求項1
    に記載の異常音の検出方法。
  3. 【請求項3】 前記尖度の差の値の2乗和の平方根に代
    えて、尖度の差の値の2乗和を標準パターンベクトルと
    入力パターンベクトルとの間の形状距離値とすることを
    特徴とする請求項1または2に記載の異常音の検出方
    法。
  4. 【請求項4】 請求項1から3いずれかに記載の検出方
    法で求めた形状距離値と任意に設定した許容値を比較
    し、形状距離値が許容値を越えたとき異常と判定する機
    械の異常判定方法。
  5. 【請求項5】 (a)標準振動波の特徴量を成分とする
    標準パターンベクトルと、監視振動波の特徴量を成分と
    する入力パターンベクトルと、正規分布や矩形など任意
    の基準形状の値を成分とする基準パターン正ベクトル及
    び基準パターン負ベクトルとを作成すること、(b)ベ
    クトルの各成分について、入力パターンベクトルの成分
    値が標準パターンベクトルの成分値より大きいとき、そ
    の差の絶対値だけ基準パターン正ベクトルの成分値を増
    加させ、入力パターンベクトルの成分値が標準パターン
    ベクトルの成分値より小さいとき、その差の絶対値だけ
    基準パターン負ベクトルの成分値を増加させること、
    (c)基準パターン正ベクトルの尖度と基準パターン負
    ベクトルの尖度との差の値を算出すること、(d)上記
    尖度の差の値を算出するに際し、基準形状の中心をベク
    トルの各成分の位置に相対的に移動しながら尖度の差の
    値を求めること、(e)上記尖度の差の値の2乗和、あ
    るいは同2乗和の平方根を、標準パターンベクトルと入
    力パターンベクトルとの間の形状距離値とする振動波の
    類似度検出方法。
  6. 【請求項6】 請求項5に記載の類似度検出方法で標準
    音声の特徴量を成分とする標準パターンベクトルと監視
    音声の特徴量を成分とする入力パターンベクトルとの間
    の形状距離を求め、求めた形状距離値と任意に設定した
    許容値を比較し、形状距離値が許容値を越えたとき監視
    音声は標準音声でないと判定し、形状距離値が許容値内
    のとき監視音声が標準音声であると判定する音声認識方
    法。
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