JPH10253581A - 溶融金属における酸素量の連続測定方法及び装置 - Google Patents

溶融金属における酸素量の連続測定方法及び装置

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JPH10253581A
JPH10253581A JP9070518A JP7051897A JPH10253581A JP H10253581 A JPH10253581 A JP H10253581A JP 9070518 A JP9070518 A JP 9070518A JP 7051897 A JP7051897 A JP 7051897A JP H10253581 A JPH10253581 A JP H10253581A
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正則 岩瀬
Mamoru Inoue
衞 井上
Katsumi Amada
克己 天田
Kenichi Gomyo
憲一 五明
Hisao Igawa
久雄 井川
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 酸素含有量の低い溶融金属の酸素量を連続的
に測定するための方法及び装置を提供する。 【構成】 長尺ロッド状の固体電解質素子により該素子
両端の測定部と基準部の寸法Xを大きく構成し、しか
も、測定部の温度よりも基準部の温度を低温に維持する
ことにより、溶融金属に向けて透過する酸素透過速度J
を抑制する構成であり、更に、測定部と基準部の温度差
により固体電解質素子に生じる熱起電力Ecを検出し、
測定する起電力Eo から前記熱起電力Ec を減じること
により、固体電解質素子の両端における酸素分圧差に基
づく目的起電力の値Em を求め、該値Em に基づいて溶
融金属中の溶存酸素量を測定する構成である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、溶融金属、特に低
酸素域における溶融金属中の酸素量を連続的に測定する
ための方法及び該装置を実施するための装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より溶融金属の精錬等において、溶
融金属中の酸素量を測定することが製品の品質向上のた
めに必要不可欠であり、一般的に、ジルコニア等の固体
電解質により構成された酸素濃淡電池式の酸素センサー
を用いることにより酸素量を測定する方法が実施されて
いる。
【0003】図5に示すように、酸素センサー1は、先
端部を閉塞した管状の酸素イオン導電性固体電解質素子
2の先端部の内部に基準物質又は基準ガス3(以下単に
基準物質という)を充填することにより基準極4を形成
し、該基準極4に電気的に接続された内部電極5を設け
ており、固体電解質素子2を溶融金属6に浸漬せしめる
ことにより使用され、同様に溶融金属6に浸漬される外
部電極7と前記内部電極5の間で起電力を測定する。
尚、前記固体電解質素子2は、ジルコニア等を主体とし
たセラミックスが用いられる。前記基準物質3は、例え
ば、NiとNiO、MoとMoO2 、CrとCr2 O3
のように、金属とその金属の酸化物との混合物、又は空
気その他のガスから成り、前記内部電極5は、高温雰囲
気中において安定で融点が高い金属、例えば、Mo、M
o−ZrO2 等から成る。
【0004】従って、固体電解質素子2の両側における
溶融金属と基準極4の間に形成される酸素分圧差により
発生する起電力E(V)を外部電極7と内部電極5によ
り検出することにより溶融金属6中の溶存酸素量を測定
する。尚、酸素量の測定に際しては、熱電対等の測温セ
ンサー8が併用され、溶融金属6の温度T(K)を同時
に測定する。
【0005】上記により測定された起電力E(V)と温
度T(K)は、換算式により換算され、溶融金属中の溶
存酸素量(酸素活量)を求めることができる。例えば、
基準物質3がMo−MoO2 の場合、溶融金属中の酸素
量hO は、次式〔数1〕により求められる。
【0006】
【数1】
【0007】或いは、例えば、基準物質3がCr−Cr
2 O3 の場合、溶融金属中の酸素量hO は、次式〔数
2〕により求められる。
【0008】
【数2】
【0009】
【発明が解決しようとする課題】上述した従来における
酸素量の測定方法及び装置は、一次精錬時の溶鋼等、溶
融金属が比較的に酸素量を多く含む場合において、短時
間のうちにスポット的に酸素量を測定する目的には適し
ている。換言すれば、固体電解質素子2は、管状の薄肉
壁を構成しているため、外側の測定部(溶鋼側の表面)
の温度と内側の基準部(基準極側の表面)の温度差がほ
とんど発生せず、固体電解質の内外面が等温になる。
【0010】然しながら、本発明者らが知見したところ
によると、二次精錬以降の溶鋼等のように、溶融金属の
酸素含有量が低下している場合において、上述のような
従来の方法及び装置を用いて連続的に溶融金属中の酸素
を測定すると、溶融金属6と基準極4の間の酸素分圧差
が極めて大きいため、固体電解質素子2が薄肉壁である
と、基準極4から溶融金属側への酸素透過が顕著に発生
し、固体電解質素子2の周囲において透過酸素が溶融金
属と固体電解質の界面に放出され、時間経過とともに、
測定界面の酸素レベルが溶融金属の酸素レベルと大きく
異なり、高い酸素値を指示するという問題がある。
【0011】
【課題を解決するための手段】そこで、上記問題を解決
するために、本発明者らが鋭意研究したところによる
と、酸素含有量の低い溶融金属について、酸素量を高精
度の下でしかも連続的に測定するためには、固体電解質
素子における基準極から溶融金属に向けて透過する酸素
透過速度を極めて遅くし、固体電解質と溶融金属の界面
における酸素レベルと、溶融金属中の酸素レベルとを等
価に維持することが不可欠であると知得された。
【0012】この点に関して、固体電解質素子における
基準極から溶融金属に向けて透過する酸素透過速度J
は、次式〔数3〕により表される。
【0013】
【数3】
【0014】従って、前式〔数3〕によれば、酸素透過
速度Jを抑えるためには、固体電解素子の厚みXを大
きくする、温度Tを低くする、外側の測定部(溶鋼
側の表面)と内側の基準部(基準極側の表面)の酸素分
圧差を小さくする、のうち一つ又は複数を達成すること
が有効である。
【0015】このため、本発明者らは、第一に、酸素セ
ンサーを構成する固体電解質素子の厚みXを大きくする
ため、これを従来のような薄肉壁の管状ではなく、長尺
ロッド状に形成し、該ロッドの一端を溶融金属に接触浸
漬される測定部とし、他端が溶融金属に非接触で保持さ
れると共に基準物質に接触する基準部として構成するこ
とが有利であることを知得した。
【0016】また、第二に、長尺ロッド状に形成した固
体電解質素子の温度Tを低くするためには、溶融金属に
接する測定部の温度を低下せしめることは不可能である
から、基準部の温度を測定部の温度よりも低温に維持す
れば良いことを知得した。
【0017】更に、第三に、外側の測定部と内側の基準
部の酸素分圧差を小さくするためには、基準部の温度を
低温に維持すれば良いことを知得した。
【0018】そこで、このような知見に基づいて形成し
た本発明の長尺ロッド状の固体電解質素子によれば、前
述の酸素透過速度Jが抑制され、低酸素量の溶融金属に
ついて、高精度の下に酸素量を連続的に測定することが
可能になる。
【0019】ところが、このような両端において温度差
を有する長尺ロッド状の固体電解質素子においては、更
に解決すべき新たな問題が知見された。即ち、従来のよ
うな薄肉壁を構成する管状の固体電解質素子の場合、外
側の測定部(溶鋼側の表面)と内側の基準部(基準極側
の表面)は、ほとんど等温であるから、内部電極と外部
電極により検出される起電力E(V)をそのまま前記
〔数1〕及び〔数2〕のような換算式に適用すれば良
い。然しながら、本発明のように長尺ロッド状の固体電
解質素子を構成し、基準部を低温に維持した場合、該素
子が両端の温度差に起因して熱起電力を生じるため、内
部電極と外部電極により計測される測定起電力Eo に
は、本来の測定すべき酸素分圧差に基づく目的起電力E
m の他、前記温度差に基づく熱起電力Ec が含まれてい
る。従って、測定起電力Eo を前記〔数1〕及び〔数
2〕のような換算式に適用しても、酸素量hO を正しく
求めることができない。
【0020】このため本発明においては、内部電極と外
部電極により測定される測定起電力Eo から前述のよう
な温度差に基づく熱起電力Ec を減じた値Em =Eo −
Ecを求め、この値Em を前記〔数1〕及び〔数2〕の
ような換算式に適用することにより、酸素量hO を求め
ることにした。
【0021】ところで、長尺ロッド状の固体電解質素子
において、両端の温度差により生じる熱起電力Ec は、
溶融金属に浸漬された測定部の温度TH と、溶融金属か
ら絶縁された基準部の温度TL に基づいて、式:Ec =
(TH −TL )×ゼーベック係数により求めることがで
きる。
【0022】従って、これにより求められた熱起電力E
c を測定起電力Eo から減じた目的起電力の値Em =E
o −Ec を前記〔数1〕及び〔数2〕のような換算式に
適用すれば、本発明が目的とする所期の酸素量hO の測
定が可能になる。
【0023】また、前記熱起電力Ec を算出するに際
し、式、ゼーベック係数=C0 +C1・1n・(TH /
TL )+C2 ・(TH −TL )+C3 /TL +C4 /
(TH 2-TL 2 )、但し、Cは定数、TH は溶融金属温
度、TL は基準部及び/又は基準極の温度、を用いてゼ
ーベック係数を与えれば、バラツキのない精度の高い測
定が可能になる。
【0024】而して、本発明の溶融金属における酸素量
の連続測定方法が手段として構成したところは、一端の
測定部を溶融金属に接触浸漬され他端の基準部が溶融金
属とは非接触で保持される酸素イオン導電性を有する固
体電解質素子と、該素子の基準部に設けられた基準物質
から成る基準極と、基準極に電気的に接続された内部電
極と、溶融金属に浸漬される外部電極とを用い、前記固
体電解質素子の両端間における溶融金属と基準極の酸素
分圧差により発生する起電力を外部電極と内部電極によ
り検出することにより溶融金属中の溶存酸素を測定する
方法において、前記固体電解質素子の基準部の温度を測
定部の温度よりも低温に維持すると共に、該温度差によ
り固体電解質素子に生じる熱起電力Ec を検出し、外部
電極と内部電極により計測される測定起電力Eo から前
記熱起電力Ec を減じた値Em =Eo −Ec に基づいて
溶融金属中の溶存酸素量を測定する点にある。
【0025】この際、前記熱起電力Ec は、溶融金属の
温度TH と固体電解質素子の基準部及び/又は基準極の
温度TL を測定することにより、式:Ec =(TH −T
L )×ゼーベック係数により検出される。
【0026】そして、前記ゼーベック係数は、式、ゼー
ベック係数=C0 +C1 ・1n・(TH /TL )+C2
・(TH −TL )+C3 /TL +C4 /(T
H 2-TL 2 )、但し、Cは定数、TH は溶融金属温度、
TL は基準部及び/又は基準極の温度、により与えられ
る。
【0027】そして、前記方法を実施するために、本発
明の溶融金属における酸素量の連続測定装置が手段とし
て構成したところは、溶融金属の温度を測定する測温セ
ンサーと、一端の測定部を溶融金属に接触浸漬され他端
の基準部が溶融金属とは非接触で保持される酸素イオン
導電性を有する固体電解質素子と、該素子の基準部に設
けられた基準物質又は基準ガスから成る基準極と、基準
極に電気的に接続された内部電極と、溶融金属に浸漬さ
れる外部電極とから成り、前記固体電解質素子の両端間
における溶融金属と基準極の酸素分圧差により発生する
起電力を外部電極と内部電極により検出することにより
溶融金属中の溶存酸素を測定する装置において、前記固
体電解質素子を太さ寸法≦長さ寸法となる長尺ロッド状
に形成し、基準部をハウジング部材に挿着すると共に、
該ハウジング部材の内部に設けた基準物質又は基準ガス
から成る基準極に接続して成り、前記ハウジング部材の
内部に測温手段を設けると共に、前記固体電解質素子の
基準部及び/又は基準極の近傍に測温手段の測温部を配
置して成る点にある。
【0028】
【発明の実施の形態】以下、図面に基づいて本発明の実
施形態を詳述する。
【0029】図1及び図2に示すように、溶融金属、特
に、二次精錬以降の溶鋼等のような酸素含有量の低い溶
融金属11について酸素量を連続的に測定するため、酸
素センサー12は、太さ寸法≦長さ寸法とした長尺ロッ
ド状の酸素イオン導電性を有する固体電解質素子13を
備え、該素子13の一端に溶融金属11に接触して浸漬
される測定部13aを、他端に溶融金属11から非接触
で保持される基準部13bを構成している。図例の場
合、固体電解質素子13は、ジルコニアから成る中実丸
棒状又は中実角棒状の長尺ロッドを構成し、直径(太
さ)寸法と長さ寸法の比を、1:1〜50の範囲内、好
ましくは、1:7〜20の範囲内、更に好ましくは、
1:8に形成している。
【0030】図2(A)に詳細を示すように、前記固体
電解質素子13は、溶融金属に浸漬した際の熱緩衝と、
電解質側面全周を溶融金属から電気絶縁するために、ア
ルミナチューブから成る保護管14に挿入被覆され、耐
火セメント等によりシール接着されており、測定部13
aを保護管14から僅かに突出せしめている。基準部1
3bは、保護管14の中途部に位置し、従って、保護管
14は、基準部13bを越えて延びる筒状室14aを形
成する。
【0031】前記保護管14の筒状室14aには、基準
部13bに対向するように内部電極15と測温手段16
が挿入され、該基準部13bに接し且つ内部電極15及
び測温手段16の挿入端を埋入せしめるように基準物質
17が充填されており、該基準物質17により基準極1
8を構成する。尚、内部電極15及び外部電極30は、
MoやMoZrO2 等の各種サーメットのような高温雰
囲気中において安定で融点が高い金属棒又はサーメット
から成り、図示実施例の場合、Moの棒から成る。ま
た、基準物質17は、NiとNiO、MoとMoO2 、
CrとCr2 O3のように、金属と該金属の酸化物との
混合物、又は空気その他の酸素基準ガスから成り、図示
実施例の場合、MoとMoO2 の混合粉末から成る。
【0032】前記測温手段16は、図2(B)に拡大し
て示すように、碍子管19と該碍子管19に挿通された
熱電対20とから成るシース熱電対を構成し、図示実施
例の場合、熱電対20は、R熱電対(白金ロジウム合金
−白金)から成り、温接点を構成する測温部20aを基
準部13bの近傍で基準物質17に接触しないようにア
ルミナ粉末等から成る絶縁剤21に埋入せしめると共
に、該絶縁剤21により碍子管19の開口端をシールし
ている。これにより、R熱電対の白金成分が基準物質1
7のMo成分に触れて反応し低融点化合物を生成するこ
とにより該熱電対20を劣化することが防止される。
尚、絶縁剤21は、耐火セメント22により基準部13
bに接支されている。
【0033】更に、基準極18並びに内部電極15及び
測温手段16は、筒状室14aの内部においてシール剤
23により保護されており、このように、図示の実施形
態では、酸素センサー12のアセンブリを容易とするた
め、ハウジング部材28に対して、保護管14により一
体化されたユニットを挿着する構成を採用している。然
しながら、本発明において、固体電解質素子13、基準
極18、内部電極15、測温手段16は、図示のように
保護管14を介して間接的にハウジング部材14に挿着
する他、保護管14を用いないで直接にハウジング部材
28に挿着し、前記と同様のシール剤23によるシール
する構成としても良い。
【0034】而して、本発明方法は、前述のような酸素
センサー12を用いることにより、二次精錬以降の溶鋼
等のような酸素含有量の低い溶融金属11における酸素
量を次のようにして連続的に測定する。
【0035】図1に示すように、酸素センサー12は、
固体電解質素子13を溶融金属11に浸漬せしめられ
る。この際、溶融金属11の湯面Lは、図2(A)に示
すように基準部13bよりも下位に位置する。即ち、固
体電解質素子13は、測定部13aを溶融金属11に浸
漬するが、基準部13bを湯面Lよりも上位に位置せし
め、基準極18も湯面Lより上位に位置せしめる。この
ため、固体電解質素子13の測定部13aの温度TH と
基準部13bの温度TL の間には温度差があり、TH <
TL である。
【0036】〔数3〕に基づいて上述したように、固体
電解質素子13は、長尺ロッド状に形成されているため
測定部13aと基準部13bの寸法Xを大きく構成さ
れ、しかも、温度Tについても、基準部13bを測定部
13aよりも相対的に低温に維持されるので、酸素含有
量の低い溶融金属11においても、基準部13bから測
定部13aに向かい透過する酸素透過速度Jを可及的に
抑えられる。このため、測定部13aの周囲から溶融金
属11に向けて放出される酸素量が抑制され、精度の高
い酸素測定を連続的に可能にする。
【0037】そこで、溶融金属11に接する測定部13
aと、基準極18に接する基準部13bとの間に形成さ
れる酸素分圧差により発生する起電力E(V)は、従来
と同様に溶融金属11に浸漬された外部電極30と、前
記内部電極15との間で測定される測定起電力Eo から
求めることができる。
【0038】この際、上述したように、固体電解質素子
13は、測定部13aと基準部13bの温度差による熱
起電力を生じているから、外部電極30と内部電極15
の間において測定される測定起電力Eo から熱起電力E
c 減じた目的起電力の値Em=Eo −Ec を求めること
が必要である。
【0039】この点について、前記熱起電力Ec は、測
定部13aの温度TH と、基準部13bの温度TL を検
出すれば、式:Ec =(TH −TL )×ゼーベック係数
により求めることができる。
【0040】固体電解質素子13の測定部13aは、浸
漬せしめられた溶融金属11と等温化しているから、図
1に示すように、溶融金属11に浸漬した熱電対等の測
温センサー31により検出した溶融金属の温度は、その
まま測定部13aの温度THとみなすことができる。一
方、基準部13bの温度TL は、酸素センサー12に設
けた測温手段16により検出することができる。図示実
施形態の構造においては、測温手段16の測温部20a
は、基準部13bの近傍及び/又は基準極18の近傍の
温度を測定することになるが、構造上、基準部13bの
温度TL は、そのまま基準極18の温度とみなすことが
できる。
【0041】従って、測温センサー31により検出した
温度TH と測温手段16により検出した温度TL から熱
起電力Ec =(TH −TL )×ゼーベック係数を求め、
この熱起電力Ec を前述の測定起電力Eo から減じるこ
とにより、本来の酸素分圧差から生じる目的起電力の値
Em =Eo −Ec を求め、この値Em を前記〔数1〕及
び〔数2〕のような換算式に適用することにより、本発
明が目的とする酸素含有量の低い溶融金属において、酸
素量hO を連続的に測定することができる。
【0042】この際、ゼーベック係数が「零」の近傍と
なるように基準部13b及び/又は基準極18の温度T
L を制御することが好ましい。前述のように熱起電力E
c は、Ec =(TH −TL )×ゼーベック係数により求
められるが、ゼーベック係数を温度と酸素分圧の関数と
して示し、ゼーベック係数が「零」の近傍となるように
基準部13b及び/又は基準極18の温度TL を制御す
れば、目的起電力Emが測定起電力Eo に可及的等しく
なり、熱起電力Ec による補正が必要でなくなるからで
ある。
【0043】本発明者らの知見によれば、固体電解質素
子13の酸素透過速度Jを必要十分に抑制するために
は、測定部13aと基準部13bの温度差を100〜5
00度C以内に制御することが好ましい。従って、基準
部13bを冷却するための特別な冷却構造を有しない図
示実施形態の場合、長尺ロッド状とした固体電解質素子
13の長さ寸法は、このような観点から定められ、特
に、湯面Lから離れる基準部13bまでの距離が考慮さ
れる。或いは、溶融金属11に浸漬された測定部13a
から基準部13bに至る熱伝導と基準部13bの放熱性
を考慮し、測定部13aの側と基準部13bの側におい
て固体電解質の熱容量に差を持たせるような形状にして
も良い。例えば、測定部13a側の直径Daに対して基
準部13b側の直径Dbを、Da<Dbに形成する等、
長尺ロッド状の固体電解質素子13を異径棒状に形成し
ても良い。
【0044】更には、図示していないが、ハウジング部
材28と、基準部13b及び基準極18の間に、冷媒等
による強制的な冷却手段を介在せしめても良く、この場
合、酸素センサー12を溶融金属11に対して、基準部
13bが湯面Lの下方に位置するまで浸漬しても良い。
【0045】ところで、前述のように熱起電力Ec は、
Ec =(TH −TL )×ゼーベック係数により求められ
るが、本発明において、ゼーベック係数を式、ゼーベッ
ク係数=C0 +C1 ・1n・(TH /TL )+C2 ・
(TH −TL )+C3 /TL +C4 /(T
H 2-TL 2 )、但し、Co 〜C4 は定数、TH は溶融金
属温度、TLは基準部及び/又は基準極の温度、により
与えることにより、更に測定精度の高い連続測定が可能
になる。
【0046】即ち、上述のように、測定起電力Eo 、目
的起電力Em 、φ(TH −TL )で求められる熱起電力
Ec の関係は、式(1)、Em =Eo −Ec (=φ(T
H −TL ))で示される。
【0047】式(1)のφは、エントロピ(ΔS)、基
準酸素分圧(PO2 ref )、狭義のゼーベック係数(α)
を用いて書き表すと、式(2)、φ=ΔS/4F+α+
R/4F・lnPO2 ref となる。
【0048】ところが、本発明者らにおいて、前記の式
(2)に基づきφを一定の値として測定実験を行うと、
図4に示すように、測定部13aと基準部13bの間に
おける温度差の実測値と、計算により求められたφの値
が一致せず、バラツキのあることが判明した。
【0049】そこで、本発明者らは、前記の式(2)に
おける右辺のそれぞれの項を全て温度(T)の関数とし
て書き換えることにより、温度TH 、TL だけから直ち
にゼーベック係数を求めることを可能とし、これによ
り、温度TH 、TL を入力するだけで演算処理ができ、
しかも、バラツキのない高精度の下でゼーベック係数を
得ることができる換算式を創出した。
【0050】即ち、前記の式(2)における右辺のそれ
ぞれの項は、温度(T)の関数として、次式〔数4〕、
〔数5〕、〔数6〕のように示される。
【0051】
【数4】
【0052】
【数5】
【0053】
【数6】
【0054】従って、前記の〔数4〕、〔数5〕、〔数
6〕を前記の式(2)に代入して整理すると、温度
(T)の関数だけからなる次式〔数7〕が得られる。
【0055】
【数7】
【0056】前記〔数7〕において、Co 〜C4 は定
数、TH は溶融金属温度、TL は基準部及び/又は基準
極の温度である。定数C1 〜C4 は、熱力学的データに
より定められるが、本実施例においては、C0 =−25.5
43、C1 =−193.249 、C2 =0.113337、C3 =40557.
46、C4 =−100458である。
【0057】そこで、本発明者らにおいて、前記〔数
7〕に基づいてφを求めつつ測定実験を行った結果、図
5に示すように、測定部13aと基準部13bの間にお
ける温度差の実測値と、計算により求められたφの値の
間には、大きなバラツキが見られず、ほぼ放物線上に位
置し、極めて高精度であることが判明した。
【0058】
【発明の効果】従来技術によれば、二次精錬以降の溶鋼
等のような酸素含有量の低い溶融金属において、高精度
の酸素量測定を長時間連続して行うことがほとんど不可
能であったのに対し、本発明によれば、これが可能にな
るという効果がある。
【0059】特に、本発明によれば、固体電解質素子1
3が測定部13aと基準部13bの寸法Xを大きく構成
し、しかも、測定部13aの温度よりも基準部13bの
温度を低温に維持する構成であるから、酸素含有量の低
い溶融金属11について酸素量を測定するに際し、基準
部13bから測定部13aに向かい透過する酸素透過速
度Jを可及的に抑え、測定部13aの周囲から溶融金属
11に向けて放出される酸素量を抑制することができる
ので、高精度の下における連続測定が可能になる。
【0060】この際、測定部13aと基準部13bの間
における温度差に基づいて固体電解質素子13に生じる
熱起電力Ec を検出し、外部電極30と内部電極15に
より測定される測定起電力Eo から、前記熱起電力Ec
を減じた目的起電力の値Em=Eo −Ec を求め、該値
Em を酸素分圧差により検出された本来の起電力として
換算式に適用するものであるから、溶融金属中の溶存酸
素量を正確に測定することができる。
【0061】そして、前記熱起電力Ec は、従来と同様
に検出される溶融金属の温度TH と、基準部13b及び
/又は基準極18の近傍に測温部20aを配置した測温
手段16により検出される温度TL とにより、式:Ec
=(TH −TL )×ゼーベック係数に基づいて求めるも
のであるから、構造簡単にして容易に実施できるという
効果がある。
【0062】更に、本発明によれば、式、ゼーベック係
数=C0 +C1 ・1n・(TH /TL )+C2 ・(TH
−TL )+C3 /TL +C4 /(TH 2-TL 2 )、但
し、Cは定数、TH は溶融金属温度、TL は基準部及び
/又は基準極の温度、を用いてゼーベック係数を与える
ものであるから、温度TH 、TL だけから直ちにゼーベ
ック係数を求めることが可能になり、これにより、温度
TH 、TL を入力するだけで演算処理ができ、しかも、
バラツキのない高精度の下での測定を保証できるという
効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明方法を実施するための装置を概略的に示
す側面図である。
【図2】本発明装置に使用する酸素センサーの1実施形
態を示す縦断面図であり、(A)は全体を示す縦断面
図、(B)は基準部及び/又は基準極の温度測定手段を
示す拡大断面図である。
【図3】本発明方法を実施するに際し、従来の換算式を
用いて求めたゼーベック係数と実測値を比較して示すグ
ラフ図である。
【図4】本発明方法を実施するに際し、本発明の換算式
を用いて求めたゼーベック係数と実測値を比較して示す
グラフ図である。
【図5】従来技術の装置を概略的に示す側面図である。
【符号の説明】
11 溶融金属 12 酸素センサー 13 固体電解質素子 13a 測定部 13b 基準部 14 保護管 15 内部電極 16 測温手段 17 基準物質 18 基準極 20a 測温部 28 ハウジング 30 外部電極 31 温度センサー
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成9年4月21日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】請求項3
【補正方法】変更
【補正内容】
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0023
【補正方法】変更
【補正内容】
【0023】 また、前記熱起電力Ecを算出するに際
し、式、ゼーベック係数=C0+C1・1n・(TH/
TL)+C2・(TH−TL)+C3/TL+C4/
(TH 2−TL 2)、但し、Cは定数、THは溶融金属
温度、TLは基準部及び/又は基準極の温度、を用いて
ゼーベック係数を与えれば、バラツキのない精度の高い
測定が可能になる。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0026
【補正方法】変更
【補正内容】
【0026】 そして、前記ゼーベック係数は、式、ゼ
ーベック係数=C0+C1・1n・(TH/TL)+C
2・(TH−TL)+C3/TL+C4/(TH 2−T
L 2)、但し、Cは定数、THは溶融金属温度、TLは
基準部及び/又は基準極の温度、により与えられる。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0045
【補正方法】変更
【補正内容】
【0045】 ところで、前述のように熱起電力E
cは、Ec=(TH−TL)×ゼーベック係数により求
められるが、本発明において、ゼーベック係数を式、ゼ
ーベック係数=C0+C1・1n・(TH/TL)+C
2・(TH−TL)+C3/TL+C4/(TH 2−T
L 2)、但し、C0〜C4は定数、THは溶融金属温
度、TLは基準部及び/又は基準極の温度、により与え
ることにより、更に測定精度の高い連続測定が可能にな
る。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0048
【補正方法】変更
【補正内容】
【0048】 ところが、本発明者らにおいて、前記の
式(2)に基づきφを一定の値として測定実験を行う
と、図3に示すように、測定部13aと基準部13bの
間における温度差の実測値と、計算により求められたφ
の値が一致せず、バラツキのあることが判明した。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】数7
【補正方法】変更
【補正内容】
【数7】
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0057
【補正方法】変更
【補正内容】
【0057】 そこで、本発明者らにおいて、前記〔数
7〕に基づいてφを求めつつ測定実験を行った結果、図
4に示すように、測定部13aと基準部13bの間にお
ける温度差の実測値と、計算により求められたφの値の
間には、大きなバラツキが見られず、ほぼ放物線上に位
置し、極めて高精度であることが判明した。
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0062
【補正方法】変更
【補正内容】
【0062】 更に、本発明によれば、式、ゼーベック
係数=C0+C1・1n・(TH/TL)+C2・(T
H−TL)+C3/TL+C4/(TH 2−TL 2)、
但し、Cは定数、THは溶融金属温度、TLは基準部及
び/又は基準極の温度、を用いてゼーベック係数を与え
るものであるから、温度TH、TLだけから直ちにゼー
ベック係数を求めることが可能になり、これにより、温
度TH、TLを入力するだけで演算処理ができ、しか
も、バラツキのない高精度の下での測定を保証できると
いう効果がある。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 天田 克己 愛知県東海市東海町5−3新日本製鐵株式 会社名古屋製鐵所内 (72)発明者 五明 憲一 大阪府大阪市西区西本町1丁目7番10号川 惣電機工業株式会社内 (72)発明者 井川 久雄 大阪府大阪市西区西本町1丁目7番10号川 惣電機工業株式会社内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一端の測定部を溶融金属に接触浸漬され
    他端の基準部が溶融金属とは非接触で保持される酸素イ
    オン導電性を有する固体電解質素子と、該素子の基準部
    に設けられた基準物質から成る基準極と、基準極に電気
    的に接続された内部電極と、溶融金属に浸漬される外部
    電極とを用い、前記固体電解質素子の両端間における溶
    融金属と基準極の酸素分圧差により発生する起電力を外
    部電極と内部電極により検出することにより溶融金属中
    の溶存酸素を測定する方法において、 前記固体電解質素子の基準部の温度を測定部の温度より
    も低温に維持すると共に、該温度差により固体電解質素
    子に生じる熱起電力Ec を検出し、外部電極と内部電極
    により計測される測定起電力Eo から前記熱起電力Ec
    を減じた値Em=Eo −Ec に基づいて溶融金属中の溶
    存酸素量を測定することを特徴とする溶融金属における
    酸素量の連続測定方法。
  2. 【請求項2】 溶融金属の温度TH と固体電解質素子の
    基準部及び/又は基準極の温度TL を測定し、式:Ec
    =(TH −TL )×ゼーベック係数により、前記熱起電
    力Ec を検出することを特徴とする請求項1に記載の溶
    融金属における酸素量の連続測定方法。
  3. 【請求項3】 式、ゼーベック係数=C0 +C1 ・1n
    ・(TH /TL )+C2 ・(TH −TL )+C3 /TL
    +C4 /(TH 2-TL 2 )、但し、Cは定数、TH は溶
    融金属温度、TL は基準部及び/又は基準極の温度、を
    用いてゼーベック係数を与えることを特徴とする請求項
    2に記載の溶融金属における酸素量の連続測定方法。
  4. 【請求項4】 溶融金属の温度を測定する測温センサー
    と、一端の測定部を溶融金属に接触浸漬され他端の基準
    部が溶融金属とは非接触で保持される酸素イオン導電性
    を有する固体電解質素子と、該素子の基準部に設けられ
    た基準物質又は基準ガスから成る基準極と、基準極に電
    気的に接続された内部電極と、溶融金属に浸漬される外
    部電極とから成り、前記固体電解質素子の両端間におけ
    る溶融金属と基準極の酸素分圧差により発生する起電力
    を外部電極と内部電極により検出することにより溶融金
    属中の溶存酸素を測定する装置において、 前記固体電解質素子を太さ寸法≦長さ寸法となる長尺ロ
    ッド状に形成し、基準部をハウジング部材に挿着すると
    共に、該ハウジング部材の内部に設けた基準物質又は基
    準ガスから成る基準極に接続して成り、 前記ハウジング部材の内部に測温手段を設けると共に、
    前記固体電解質素子の基準部及び/又は基準極の近傍に
    測温手段の測温部を配置して成ることを特徴とする溶融
    金属における酸素量の連続測定装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2009069061A (ja) * 2007-09-14 2009-04-02 Mitsubishi Materials Corp 酸素センサー
CN114414644A (zh) * 2022-01-10 2022-04-29 中国原子能科学研究院 测定液态碱金属中氧含量的系统及方法
WO2026070540A1 (ja) * 2024-09-30 2026-04-02 日東電工株式会社 検知システム

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009069061A (ja) * 2007-09-14 2009-04-02 Mitsubishi Materials Corp 酸素センサー
CN114414644A (zh) * 2022-01-10 2022-04-29 中国原子能科学研究院 测定液态碱金属中氧含量的系统及方法
CN114414644B (zh) * 2022-01-10 2023-08-18 中国原子能科学研究院 测定液态碱金属中氧含量的系统及方法
WO2026070540A1 (ja) * 2024-09-30 2026-04-02 日東電工株式会社 検知システム

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