JPH10256611A - 熱電変換材料およびその製造方法 - Google Patents

熱電変換材料およびその製造方法

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JPH10256611A
JPH10256611A JP9061199A JP6119997A JPH10256611A JP H10256611 A JPH10256611 A JP H10256611A JP 9061199 A JP9061199 A JP 9061199A JP 6119997 A JP6119997 A JP 6119997A JP H10256611 A JPH10256611 A JP H10256611A
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浩貴 稲垣
Seiichi Suenaga
誠一 末永
Keizo Shimamura
慶三 島村
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 100K以下の低温から1000K程度の高
温までの広い温度範囲にわたって良好な熱電特性を示す
物質を提供する。 【解決手段】 Co,RhおよびIrからなる群から選
択された少なくとも1種類の第1の元素と、P,Asお
よびSbからなる群から選択された少なくとも1種類の
第2の元素と、B,C,NおよびOからなる群から選択
された少なくとも1種類の軽元素とを含有する熱電変換
材料である。前記軽元素の含有量は、0.001at%
以上である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、熱電素子の利用さ
れる熱電変換材料に関する。
【0002】
【従来の技術】熱電変換材料の高効率化は、この技術の
実用化が始まったころからの課題であり、近年長い低迷
期を脱して比較的組織だった研究開発が行われるように
なりつつある。このような状況が生まれた原因の一つと
しては、エネルギー・環境問題への関心への高まりがあ
る。熱電発電技術は、特に未利用の熱エネルギーの有効
利用技術として応用することが強く望まれており、ま
た、逆変換である熱電冷却技術は文字通りのフロンフリ
ー冷却・冷凍技術として、電子デバイスの冷却やIC製
造プロセスにおける温度調整システムばかりでなく冷蔵
庫や空調機への応用が期待されている。熱電変換材料の
変換効率は、各々の材料の物性値を反映する熱電性能指
数Zにより決定され、この熱電性能指数は下記数式
(1)で表わされる。
【0003】
【数1】
【0004】ここで、αはゼーベック係数、ρは電気抵
抗率、κは熱伝導率、m* は電子または正孔の有効質
量、μは移動度、κL は全熱伝導率の格子振動による熱
伝導成分である。
【0005】この熱電性能指数が大きい材料ほど、優れ
た熱電変換効率が得られる。すなわち、熱を通しにく
く、電気をよく通し、熱起電力が大きい材料が高効率材
料となり、このような材料は、熱伝導率が小さく、比抵
抗が小さく、ゼーベック効果が大きいという特性を有す
る材料である。またこのときの発電変換効率η(%)
は、前述の熱電性能指数Zを用いて下記数式(2)で表
わされる。
【0006】
【数2】
【0007】ここで、ΔTは高温部と低温部との温度
差、Zは材料の熱電性能指数、Th は高温部の絶対温度
である。上述の数式(1)におけるα、ρ、およびκは
温度に依存して変化することから、Zも温度依存性を有
し、最大値をとる温度も材料によって異なる。したがっ
て、熱電変換材料の高効率化を進めるに当たって使用温
度範囲全般においてZが大きいことが重要であり、さら
にΔTを大きくし得る材料ほど有利となる。
【0008】従来から知られている熱電変換材料として
は、Bi2 Te3 化合物、PbTe化合物、Si−Ge
化合物、Fe−Si化合物等が挙げられるが、熱電特性
の指標となる無次元性能指数ZTが1に極めて近い材料
は、Bi2 Te3 化合物のみであり、他の材料はそれ以
下の性能しか有していない。このBi2 Te3 化合物
は、優れた性能を示すものの、高温においては不安定に
なりやすい。このため、573K以下の温度範囲で使用
されるのが通例となっており、発電用としてよりも電子
冷却用として用いられてきた。
【0009】熱電変換材料がガスタービン等の廃熱利用
発電等に実際に使用されるためには、1000K付近ま
での耐熱性が要求される。従来から知られている材料の
うちでは、Fe−Si化合物がこの温度域でも比較的安
定で良好な性能を示すが、それでも878KでZT=
0.2程度であり、得られる電力はごくわずかである。
したがって、より多くの電力を得るためには、室温から
1000K程度の比較的高温までの広い温度範囲におい
て、優れた性能を示す発電用熱電変換材料が必要であ
り、そのような材料の開発が望まれている。
【0010】最近、スクッテルダイト構造をもつXY3
化合物(XはCo,Rh,Ir、YはP,As,Sb)
が、新しい熱電変換材料として注目されている。XY3
化合物の中でもCoSb3 ,RhSb3 およびIrSb
3 アンチモナイドは、特有のバンド構造とキャリア輸送
特性を有する半導体であり、優れた熱電特性を備えてい
る。このCoSb3 系化合物において、現在最も優れた
熱電特性を示す物質はCoSb3 にTe,AsおよびI
rをわずかに添加した下記式で表わされる化合物であ
る。
【0011】 Co0.97Ir0.03Sb2.81Te0.04As0.15 この化合物の場合でも、700KにおいてZT=0.6
であり、Bi2 Te3化合物の特性には及ばない。この
CoSb3 系化合物にBi2 Te3 化合物に匹敵する特
性を付与することが可能となれば、Bi2 Te3 化合物
に比べ高温安定性に優れたCoSb3 系化合物が、これ
までにない発電用熱電変換材料として実用化されること
が予想され、工業的価値は大きい。したがって、より熱
電特性の優れたCoSb3 系化合物の開発が望まれて
いる。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】上述したように、Bi
2 Te3 化合物は573K付近で優れた特性を示すもの
の、高温で非常に不安定なことから主に電子冷却用とし
て使用されるにとどまっており、耐熱性が要求される発
電用としては使用できない。一方、Fe−Si化合物等
の優れた耐熱性を示す熱電変換材料も多数発見されてい
るが、いずれの材料においても、その熱電特性はBi2
Te3 化合物に比べて著しく劣るものであり、より多く
の電力を得るためには、低温から比較的高温までの広い
温度範囲において優れた熱電特性を示す熱電変換材料が
必要とされる。
【0013】最近、CoSb3 系化合物が有望な物質と
して興味が持たれているが、熱電特性は700Kにおい
てZT=0.6にすぎず、依然としてBi2 Te3 化合
物よりも小さく、ZT=1を目指した更なる改良が必要
である。特に、CoSb3 系化合物は、熱電性能指数Z
をつかさどる3つのファクターの1つである熱伝導率が
Bi2 Te3 化合物に比べて著しく大きいことから、熱
伝導率を低下させることが重要な課題となっている。
【0014】本発明は、このような問題を解決するため
になされたものであり、100Kから1000K程度の
非常に広い温度域で優れた熱電特性を示す熱電変換材料
を提供することを目的とする。また、本発明は、優れた
熱電特性を有する熱電変換材料を製造し得る製造方法を
提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本発明は、Co,Rh,およびIrからなる群から
選択された少なくとも1種の第1の元素と、P,As,
およびSbからなる群から選択された少なくとも1種の
第2の元素と、B,C,N,およびOからなる群から選
択された少なくとも1種の軽元素とを含有し、前記軽元
素の含有量は0.001at%以上であることを特徴と
する熱電変換材料を提供する。
【0016】また、本発明は、Co,RhおよびIrか
らなる群から選択された少なくとも1種類の第1の元素
により構成された管状部材中に、P,AsおよびSbか
らなる群から選択された少なくとも1種類の第2の元素
から構成される物質を充填して棒状部材を得る工程、前
記棒状部材を線引き加工して針金状部材を得る工程、お
よび前記針金状部材に熱処理を施す工程を具備する熱電
変換材料の製造方法を提供する。
【0017】さらに本発明は、Co、RhおよびIrか
らなる群から選択された少なくとも1種類の第1の元素
で形成された薄膜と、P、AsおよびSbから選ばれる
少なくとも1種類の第2の元素で形成された薄膜とを積
層し、前記第1の元素で形成された薄膜が表面となる積
層体を得る工程、前記積層体に圧延加工を施す工程、お
よび前記圧延加工後の積層体に熱処理を施す工程を具備
する熱電変換材料の製造方法を提供する。
【0018】以下、本発明を詳細に説明する。本発明の
熱電変換材料は、基本的にはスクッテルダイト構造から
なり、この構造中に特定の元素が添加されたものであ
る。
【0019】ここで、CoSb3 相を例に挙げてこのス
クッテルダイト構造について説明する。CoSb3
は、1043K以下において安定であり、CoSb2
とSb相とを含む包晶反応によって形成され、図1に示
すようなCoAs3 相に代表されるIm3型の結晶構造
を有している。図示するように、この構造は、単位格子
内に8個のCo原子と24個のSb原子との計32個の
原子を含む立方格子である。
【0020】このとき、Sb原子は特異な結晶状態にあ
り、4個のSb原子から形成されるアンチモンリングを
単位格子中に6個形成する。単位格子は8個の小格子で
形成されているので、6個の小格子のみにアンチモンリ
ングが形成されると、単位格子中にアンチモンリングの
存在しない2個のボイドが含まれることになる。
【0021】本発明の熱電変換材料は、このような構造
をとる化合物にB,C,NおよびOから選ばれる少なく
とも1種類の元素を添加したものである。ここで用いら
れるB,C,NおよびOのような軽元素は、一般的に侵
入型元素として知られ、化合物中の格子の隙間を埋める
ように位置する。CoSb3 相においても例外ではな
く、これらの軽元素は格子の隙間を埋めるように侵入す
る。
【0022】したがって、スクッテルダイト構造特有の
アンチモンリングの存在しない2個のボイドにもこれら
の元素は侵入し、ボイドの存在しない密な構造が作られ
る。このような構造では、ボイド中に充填された軽元素
の存在が、フォノン散乱を抑制して熱伝導率を大幅に減
少させる。それに加えて、本来のこの構造が有している
移動度が大きいという利点を利用することから、性能指
数を大幅に向上させることができる。
【0023】なお、本発明の熱電変換材料の基本となる
スクッテルダイト構造においては、Co,RhおよびI
rから選ばれた少なくとも1種の元素と、P,Asおよ
びSbから選ばれた少なくとも1種の元素との比は、
1:2.5〜1:3.5程度であることが好ましく、
1:3の場合には最も優れた熱電特性が得られる。
【0024】ここに添加されるB,C,NおよびO等の
軽元素は、物質中に侵入型で固溶するため、本来の結晶
構造を変化させることはない。したがって、Co,Rh
およびIrから選ばれる少なくとも1種類の元素とP,
AsおよびSbから選ばれる少なくとも1種類の元素の
比を上述した範囲に維持しつつ、B,C,NおよびO等
の軽元素を所定量以上添加することによって、極めて良
好な熱電特性を示す物質が得られる。
【0025】本発明の熱電変換材料は、Co,Rhおよ
びIrから選ばれる少なくとも1種類の元素とP,As
およびSbから選ばれる少なくとも1種類の元素とを用
いて、例えば焼結法,アーク溶解法あるいは傾斜凝固法
によって形成することができる。なお、予備熱処理を加
えて固相反応させた粉末に高温焼結法を用いるのが簡便
で適当な手法である。
【0026】本発明においては、高純度な原料を用いる
ほど良好な特性を示す熱電変換材料が得られるが、基本
的に99.9%以上の純度を有していれば、99.99
99%以上原料を用いて作製したB,C,NおよびO無
添加物質より優れた特性が得られる。
【0027】本発明の熱電変換材料は、例えば以下のよ
うにして製造することができる。すなわち、まず、上述
したような配合比となるように所定量秤量した各粉末
を、Vミキサーあるいは瑪瑙乳鉢中の手混合により十分
攪拌する。添加する軽元素としてBまたはCを用いる場
合には、その粉末を所定量加えて先に配合した材料とと
もに十分に攪拌して混合粉末を得る。なお、NやOは、
無添加物質を製造した後、その雰囲気中で熱処理を施す
ことによって材料中に添加することができる。
【0028】上述のようにして得られた混合粉末をアル
ミナ管に充填し、さらに石英管中に真空封入する。この
際の真空度は、原料粉の過度の酸化等を抑制するために
1×10-3Pa以上とすることが好ましい。
【0029】次いで、封入した石英管をその物質の融点
以下の温度で熱処理することにより固相反応させる。こ
の熱処理の条件としては、500〜1150K、0.1
〜100時間程度であればよく、通常873Kで24時
間程度で十分である。
【0030】固相反応して凝集した反応物を瑪瑙乳鉢で
粉砕し、再度粉末状にした後、ホットプレスによりその
物質の融点以下の温度で焼結する。このときの焼結条件
としては、プレス圧力0.1〜300MPa、500〜
1150K、0.1〜10時間程度であればよく、例え
ば、40MPa,873Kで1時間の処理を行なえば、
理論密度の99%以上の密度を有する物質が得られる。
また、このときの雰囲気は真空中以外に、Ar雰囲気中
で行っても良い。
【0031】軽元素としてNやOを用いる場合には、上
述の工程で無添加物質を作製した後に、窒素分圧あるい
は酸素分圧10Pa以下の雰囲気中で、例えば500〜
1150K程度の熱処理を施すことにより0.001a
t%以上の含有量でこれらの元素を含む熱電変換材料が
得られる。
【0032】なお、本発明の目的を達成するためには、
B、C、NおよびO等の軽元素は、0.001at%以
上の割合で添加することが必要であるが、CoSb3
等が本来有している特性を損なわないために、それらの
含有量は最大でも60at%以下に抑えることが望まれ
る。
【0033】このようにして製造された本発明の熱電変
換材料は、B,C,NおよびO等を添加しない従来の材
料に比べ著しく優れた熱電特性を示す。なお、Co,R
hおよびIrから選択された少なくとも1種の元素と、
P,AsおよびSbから選択された少なくとも1種の元
素とのみを用いて、これらからなる混合物をアーク溶解
法等の通常の方法により熱電変換材料を製造した場合に
は、目的組成の材料を得ることが困難である。これは、
P,AsおよびSb等の蒸気圧が高いことに起因して、
加熱中にその一部が蒸発するためである。
【0034】本発明の方法を用いれば、P,Asおよび
Sb等の高蒸気圧物質の蒸発を防いで正確に目的組成と
することができ、B,C,N,およびO等の軽元素を添
加せずとも熱電特性の良好な熱電変換材料が得られる。
【0035】以下に、本発明の熱電変換材料の製造方法
を詳細に説明する。本発明の第1の製造方法は、Co,
RhおよびIr等の低蒸気圧物質で形成された管状部材
を用い、この中にP,AsおよびSb等の高蒸気圧物質
を充填し、線引き加工した後、熱処理を施すものであ
る。
【0036】図2ないし図4を参照して、第1の製造方
法を説明する。まず、図2に示すように、低蒸気圧物質
で形成された管状部材1中に、高蒸気圧物質2を目的と
する物質の原子当量比に合わせて充填して棒状部材3を
得る。この際、上述したように低蒸気圧物質と高蒸気圧
物質との比が1:2.5〜1:3.5となるように管状
部材の寸法等を設定することが好ましい。すなわち、管
状部材1の外径および内径は、目的とする組成に応じて
決定することができる。
【0037】また、使用する管状部材1は、例えばC
o,RhまたはIrの1種類の元素から形成されていて
も、2種類以上の元素から構成される合金であってもよ
い。同様に、管状部材2内に充填される高蒸気圧物質2
としても、P,As,Sbを単独であるいは2種類以上
の元素を用いることができる。高蒸気圧物質2は任意の
状態とすることができるが、棒状あるいは粉末状である
と取り扱いが容易となるので作業性が向上する。
【0038】管状部材1およびその内部に充填する物質
2の少なくとも一方として合金を用いれば、3元系以上
の多元系物質からなる熱電変換材料も、同様の手法で作
製することができる。
【0039】次いで、管状部材1中に高蒸気圧物質2を
充填してなる棒状部材3に線引き加工を施すことによっ
て、図3に示すような細い針金状部材4を形成する。こ
の針金状部材4の太さは、加工後の熱処理時間を短くす
るためには、細い方が好ましく、具体的には、500μ
m以下程度であることが望まれる。これは、針金の太さ
が細いほど反応に必要な元素拡散距離が短くなり、短時
間の熱処理で目的とする物質が製造できるためである。
【0040】線引き加工した針金状部材4は、適切な温
度で熱処理を行なうことにより、図4に示すような針金
状物質5が得られる。熱処理の条件は、例えば、500
〜1150K、0.1〜3.6ks程度とすることがで
きる。
【0041】本発明の第1の方法では、高蒸気圧物質2
は低蒸気圧物質からなる管状部材1中に充填されている
ので外の雰囲気に直接曝されることがなく、高蒸気圧物
質の蒸発を防止することができる。すなわち、得られた
物質の組成は、最初に混合した原料の組成比からほとん
どずれることがなく、その物質の持つ特性が損なわれる
ことはない。
【0042】また、上述の工程で得られた針金状物質5
を適当な長さに切断し、図5に示すように複数本束ね合
わせ、500〜1150K程度の熱処理を施すことによ
って図6に示すようなバルク状の材料7を作製すること
ができる。この際、密度の高いバルク材を得るために、
1〜300MPa程度の圧力をかけて熱処理を施すこと
が望まれる。
【0043】次に、本発明の第2の製造方法を説明す
る。本発明の第2の製造方法は、低蒸気圧物質で形成さ
れた薄膜間に、高蒸気圧物質で形成された薄膜を挟み込
み、圧延加工した後、熱処理を施す方法である。
【0044】図7ないし図9を参照して、第2の製造方
法を説明する。まず、図7に示すように、低蒸気圧物質
で形成された薄膜10間に高蒸気圧物質から形成された
薄膜11を目的の物質の重量比に合わせて挟み込んで積
層体12を得る。
【0045】低蒸気圧物質で形成された薄膜10は、例
えばCo,RhまたはIrの1種類の元素で形成されて
いても、2種類以上の元素から構成される合金であって
もよい。同様に、高蒸気圧物質から形成された薄膜11
としても、P,As,Sbを単独で含むもの、または2
種類以上の元素から構成される合金を使用することがで
きる。すなわち、低蒸気圧元素で形成された薄膜10お
よび高蒸気圧元素で形成された薄膜11の少なくとも一
方として合金を用いれば、3元系以上の多元系からなる
熱電変換材料を製造することができる。
【0046】得られる材料の組成比は、薄膜10および
11の厚さを変化させることにより調整することができ
るが、上述したように、低蒸気圧物質と高蒸気圧物質と
の比が1:2.5〜1:3.5となるようにそれぞれの
薄膜の膜厚を設定することが好ましい。
【0047】高蒸気圧物質で形成された薄膜11を低蒸
気圧物質で形成された薄膜10で挟み込んだ部材12
を、圧延加工することにより膜間の密着性を高めた部材
13に熱処理を施して、図9に示すような圧延された板
状部材14を作製する。このとき、圧延加工して得られ
る部材13の厚さは、加工後の熱処理時間を考慮すると
薄い方が好ましく、例えば、500μm以下程度である
ことが好ましい。これは、薄膜の厚さが薄いほど反応す
るために必要な元素拡散距離が短くなるので、短時間の
熱処理で目的とする物質が製造できるためである。
【0048】あるいは、圧延加工を施す代わりに、低蒸
気圧物質からなる薄膜10で高蒸気圧物質からなる薄膜
11を挟み込んだ積層体12に0.1〜300MPa程
度の圧力をかけながら500〜1150K、0.1〜
3.6ks程度の熱処理を施しても良い。圧延加工を施
した場合も、圧延加工後の部材13に対し同様の条件で
熱処理を施すと、より欠陥の少ない良好な物質が得られ
る。
【0049】本発明の第2の方法においては、高蒸気圧
物質を含む薄膜は低蒸気圧物質を含む薄膜に挟み込まれ
ているので、表面に露出している高蒸気圧物質の面積は
極めて少なく、熱処理中においても外の雰囲気の影響を
受ける領域はごくわずかである。したがって、熱処理
中、高蒸気圧物質が蒸発することは防止され、原料の組
成比どおりの組成を有する材料を得ることができ、その
物質の持つ特性が損なわれることはない。
【0050】また、図10に示すように積層する薄膜1
0および11の枚数を増やして積層体15を構成し、上
述と同様の条件で熱処理を施せば、図11に示すような
バルク状の材料16を製造することができる。
【0051】本発明の熱電変換材料は、所定量の軽元素
が配合されているので、広い温度範囲にわたって優れた
熱電特性を付与することができた。また本発明の方法で
は、熱処理中における高蒸気圧物質の蒸発を防止し、原
料組成どおりの材料を製造することができるので、その
物質本来の特性を損なわずに良好な熱電特性を有する熱
電変換材料を製造可能である。
【0052】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施例および比較
例を示して、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明
はこれらの例に限定されるものではない。 (実施例1)Co粉末およびSb粉末(いずれも純度9
9.9%、粒径325メッシュ以下)と、純度99%、
粒径325メッシュ以下のB粉末とを、原子当量比でC
o:Sb:B=1:3:1の割合となるように混合し
た。得られた混合物をVミキサーを用いて十分攪拌した
後、混合粉末をアルミナ管に収容し、さらに石英管中に
真空封入した。この際、真空度は1×10-6Paであっ
た。
【0053】次いで、封入した石英管を873Kで24
時間予備熱処理することにより固相反応させた。固相反
応により凝集した反応物を瑪瑙乳鉢を用いて粉砕して再
度粉末状にした後、ホットプレスによりその物質の融点
以下の温度で焼結した。このときの焼結条件は、1×1
-6Paの真空中でプレス圧力40MPa、873K、
1時間とした。作製した試料の密度を測定したところ、
理論密度の99%以上であった。
【0054】この焼結体を断面積2cm2 ,高さ1c
mの円柱状に加工した後、低温側を40Kに固定し高温
側を徐々に加熱することにより温度差を与え、開放端電
圧と内部抵抗を測定した。測定した値からその物質のゼ
ーベック係数αおよび比抵抗ρを測定したところ次のと
おりであった。
【0055】 次いで、レーザーフラッシュ法により熱伝導率κを測定
した結果、350Kにおいてκ=8.0[W/mK]、
700Kにおいてκ=3.9[W/mK]であった。
【0056】以上の結果から、本実施例の熱電変換材料
の熱電性能指数Zは350KにおいてZ=0.001058[K
-1],700KにおいてZ=0.001846[K-1]となる。
したがって、無次元性能指数ZTは、350Kにおいて
ZT=0.3703、700KにおいてZT=1.29
2となる。40K〜1000Kまでを1回の測定とし、
30回の測定を繰り返したが、その特性に変化は見られ
なかった。また、1000Kにおいて1時間保持した後
に同様の測定を行っても特性に変化は見られなかった。
【0057】一方、本実施例の比較例として、B粉末を
添加しない以外は上述と同様の手法でCoSb3 化合
物を作製し、ゼーベック係数,比抵抗および熱伝導率を
測定したところ、350Kおよび700Kにおいて、そ
れぞれ以下のとおりであった。
【0058】 以上の結果から、この材料の性能指数Zは350Kにお
いてZ= 0.0002893[K-1],700KにおいてZ=
0.0003353[K-1]となる。したがって、無次元性能指
数ZTは350KにおいてZT=0.1013,700
KにおいてZT=0.2347となり、B粉末を添加し
た本発明の熱電変換材料の方が優れた熱電特性を示すこ
とがわかった。 (実施例2)Sb粉末を、純度99.9%、粒径325
メッシュ以下のP粉末に変更する以外は、前述の実施例
1と同様にして原料粉末を混合し、攪拌、熱処理して固
相反応させた。
【0059】次いで、上述の実施例1と同様にして焼結
体を作製し、その密度を測定した結果、理論密度の99
%以上を有していた。さらに、前述と同様にして作製し
た試料の開放端電圧と内部抵抗とを測定し、測定値から
その物質のゼーベック係数α、比抵抗ρ、および熱伝導
係数κを測定したところ、350Kおよび700Kにお
いてそれぞれ以下のとおりであった。
【0060】 以上の結果から、この物質の熱電性能指数Zは350K
においてZ=0.0005696 [K-1],700KにおいてZ
= 0.001316 [K-1]となる。したがって、無次元性能
指数ZTは、350KにおいてZT=0.1994、7
00KにおいてZT=0.9211となる。40K〜1
000Kまでを1回の測定とし、30回の測定を繰り返
したが、その特性に変化は見られなかった。また、10
00Kにおいて1時間保持した後に同様の測定を行って
も特性に変化は見られなかった。
【0061】一方、本実施例の比較例として、B粉末を
添加しない以外は前述と同様の手法でCoP3 化合物
を作製し、ゼーベック係数,比抵抗および熱伝導率を測
定したところ、350Kおよび700Kにおいて、それ
ぞれ以下のとおりであった。
【0062】 以上の結果から、この材料の性能指数Zは350Kにお
いてZ=0.000098[K-1],700KにおいてZ= 0.0
003435[K-1]となる。したがって、無次元性能指数Z
Tは350KにおいてZT=0.0343,700Kに
おいてZT=0.2404となり、B粉末を添加した本
発明の熱電変換材料の方が優れた熱電特性を示すことが
わかった。 (実施例3)Co粉末およびSb粉末(いずれも純度9
9.9%,粒径325メッシュ以下)と、純度99.9
9%,粒径325メッシュ以下のC粉末とを原子当量比
でCo:Sb:C=24:72:4となるように割合で
混合した。得られた粉末を前述の実施例1と同様の手法
で攪拌した後、熱処理し、固相反応させた。
【0063】固相反応して凝集した反応物を前述の実施
例1と同様の手法で粉砕して粉末状とし、さらに同様の
条件で焼桔して試料を作製して、その密度を測定したと
ころ、理論密度の99%以上であった。
【0064】この焼結体を断面積2cm2 ,高さ1cm
の円柱状に加工し、実施例1と同様にしてゼーベック係
数α、比抵抗ρ、および熱伝導率κを測定したところ、
350Kおよび700Kにおいて、それぞれ以下のとお
りであった。
【0065】 以上の結果から、本実施例の熱電変換材料の熱電性能指
数Zは350KにおいてZ= 0.0008066[K-1],70
0KにおいてZ=0.001451[K-1]となる。したがっ
て、無次元性能指数ZTは350KにおいてZT=0.
2823,700KにおいてZT=1.016となる。
40K〜1000Kまでを1回の測定とし、30回の測
定を繰り返したが、その特性に変化は見られなかった。
また、1000Kにおいて1時間保持した後に同様の測
定を行っても特性に変化は見られなかった。
【0066】一方、本実施例の比較例として、C粉末を
添加しない以外は上述と同様の手法でCoSb3 化合
物を作製し、ゼーベック係数,比抵抗および熱伝導率の
測定を行ったところ、350Kおよび700Kにおいて
それぞれ以下のとおりであった。
【0067】 以上の結果から、この材料の性能指数Zは350Kにお
いてZ= 0.0002893[K-1],700KにおいてZ=
0.0003353[K-1]となる。したがって、無次元性能指
数ZTは350KにおいてZT=0.1013,700
KにおいてZT=0.2347となり、C粉末を添加し
た本発明の熱電変換材料の熱電特性が無添加物質に比べ
優れていることがわかる。 (実施例4)Co粉末およびSb粉末(いずれも純度9
9.9%,粒径325メッシュ以下)を、原子当量比で
Co:Sb=1:3となるように割合で混合した。得ら
れた粉末を前述の実施例1と同様の手法で攪拌した後、
熱処理し、固相反応させた。
【0068】固相反応して凝集した反応物を、真空圧を
1×10-5Paとする以外は実施例1と同様の手法で粉
砕して粉末状とし、さらに同様の条件で焼桔して試料を
作製して、その密度を測定したところ、理論密度の99
%以上であった。
【0069】得られた試料に対し、10Paの酸素分圧
雰囲気中で1023K、1時間の熱処理を施した後、組
成分析を行なった結果、原子当量比でCo:Sb:O=
24.5:73.5:2であった。
【0070】この焼結体を断面積2cm2 ,高さ1c
mの円柱状に加工し、実施例1と同様にしてゼーベック
係数α、比抵抗ρ、および熱伝導率κを測定したとこ
ろ、350Kおよび700Kにおいて、それぞれ以下の
とおりであった。
【0071】 以上の結果から、本実施例の熱電変換材料の熱電性能指
数Zは350KにおいてZ= 0.001013 [K-1],70
0KにおいてZ= 0.002167 [K-1]となる。したがっ
て、無次元性能指数ZTは350KにおいてZT=0.
3544,700KにおいてZT=1.517となる。
40K〜800Kまでを1回の測定とし、30回の測定
を繰り返したが、その特性に変化は見られなかった。ま
た、800Kにおいて1時間保持した後に同様の測定を
行っても特性に変化は見られなかった。
【0072】一方、本実施例の比較例として、酸素雰囲
気中で熱処理をしない以外は前述と同様の手法でOを含
有しないCoSb 3 化合物を作製し、ゼーベック係
数,比抵抗および熱伝導率の測定を行ったところ、35
0Kおよび700Kにおいて、それぞれ以下のとおりで
あった。
【0073】 以上の結果から、この材料の性能指数Zは350Kにお
いてZ= 0.0002893[K-1],700KにおいてZ=
0.0003353[K-1]となる。したがって、無次元性能指
数ZTは350KにおいてZT=0.1013,700
KにおいてZT=0.2347となり、Oを含有する本
発明の熱電変換材料の熱電特性が無酸素物質に比べ優れ
ていることがわかった。 (実施例5)純度99.9999%のCoからなる外径
3mm、内径2.5mmの管状部材中に、純度99.9
999%、直径10〜44μmのSb粉末を原子当量で
Co:Sb=1:3となるように充填して棒状部材を得
た。
【0074】この棒状部材を線引き加工により直径10
0μmの針金状に加工した後、1×10-7Paの真空中
で873Kにおいて86.4ksの熱処理を施した。熱
処理後の針金状部材の断面をEDXにより組成分析した
ところ、全面均一に25at.%Co−75at.%S
bであり、CoあるいはSbが偏析、濃化した個所は見
当たらなかった。また、熱処理した部材を粉末状に粉砕
し、XRD分析をしたところ、この部材の構成相がCo
Sb3 化合物単相であることがわかった。
【0075】こうして得られたCoSb3 化合物の熱電
特性をつかさどるゼーベック係数を測定した結果、37
3Kにおいて最大値を示し、その値は300μV/Kで
あった。
【0076】一方、本実施例の比較例として、粉末高温
焼結法によりCoとSbとの化合物を作製した。具体的
には、まず、Co粉末およびSb粉末(いずれも直径1
0〜44μm、純度99.9999%)をアトミック%
でCo:Sb=1:3となるように混合し、瑪瑙乳鉢中
で十分攪拌した。その後、1×10-7Paの真空中で1
×107 Paの圧力をかけながら、873Kにおいて8
6.4ksの熱処理を施した。熱処理した部材の断面を
EDXにより組成分析したところ、面内の中央部は25
at.%Co−75at.%Sbという目的の組成でと
なっていたが、表面に近づくにしたがってSbの濃度が
減少し、最表面ではSb濃度が著しく低下していた。
【0077】また、熱処理した部材を粉末状に粉砕して
XRD分析をしたところ、CoSb3 相のほかCoS
2 相の存在が確認された。Sb量が減少するこの現象
は、熱処理中にSbが蒸発したためであると推察され
る。
【0078】こうして得られた物質の熱電特性をつかさ
どるゼーベック係数を測定した結果、403Kにおいて
最大値を示したが、その値は180μV/Kであり、本
発明の方法で製造された熱電変換材料と比べて熱電特性
が著しく劣っていた。 (実施例6)まず、純度99.9999%のCoと純度
99.9999%のIrとを用いて、50at.%Co
−50at.%Ir合金からなる外径3mm、内径2.
5mmの管状部材を作製した。一方、純度99.999
9%のAsとSb粉末を原子当量で1:1の配合比で混
合し、十分に攪拌して混合粉末を得、この混合粉末を先
の管状部材中に、アトミック%で(Co,Ir):(A
s,Sb)=1:3となるように充填して棒状部材を得
た。
【0079】この棒状部材を線引き加工により直径10
0μmの針金状に加工した後、1×10-2Paのアルゴ
ン雰囲気中で873Kにおいて86.4ksの熱処理を
施した。熱処理した部材の断面をEDXにより組成分析
したところ、面内均一に12.5at.%Co−12.
5at.%Ir−37.5at.%As−37.5a
t.%Sbであり、Co,Ir,AsあるいはSbが偏
析、濃化した個所は見当たらなかった。
【0080】また、熱処理した部材を粉末状に粉砕し、
XRD分析をしたところ、この部材の構成相がスクッテ
ルダイト構造を持つ(Co,Ir)(As,Sb)3
相であることがわかった。こうして得られた物質の熱電
特性をつかさどるゼーベック係数を測定した結果、42
3Kにおいて最大値を示し、その値は280μV/Kで
あった。
【0081】一方、本実施例の比較例として、粉末高温
焼結法によりCo,Ir,AsおよびSbの化合物を作
製した。具体的には、まず、Co粉末,Ir粉末,As
粉末およびSb粉末(いずれも直径10〜44μm、純
度99.9999%)をアトミック%でCo:Ir:A
s:Sb=1:1:3:3となるように混合し、瑪瑙乳
鉢中で十分攪拌して混合粉末を得た。次いで、得られた
混合粉末に1×10-2Paのアルゴン雰囲気中で1×1
7 Paの圧力をかけながら、873Kにおいて86.
4ksの熱処理を施した。
【0082】熱処理後の部材の断面をEDXにより組成
分析したところ、面内の中央部は12.5at.%Co
−12.5at.%Ir−37.5at.%As−3
7.5at.%Sbという目的の組成となっていたが、
表面に近づくにしたがって、AsおよびSbの濃度が減
少し、最表面ではAsおよびSb濃度が著しく低下して
いた。
【0083】また、熱処理した部材を粉末状に粉砕して
XRD分析をしたところ、スクッテルダイト構造を持つ
(Co,Ir)(As,Sb)3 相のほか(Co,I
r)(As,Sb)2 相の存在が確認された。Asある
いはSb量が減少するこの現象は、熱処理中にAsある
いはSbが蒸発したためであると推察される。
【0084】こうして得られた物質の熱電特性をつかさ
どるゼーベック係数を測定したところ423Kにおいて
150μV/Kであり、先に示した本発明の方法により
製造された熱電変換材料に比べて、熱電特性が著しく劣
っていた。 (実施例7)純度99.9999%のIrで形成された
厚さ24.96μmの薄膜46枚と純度99.9999
%のSbで形成された厚さ205.05μmの薄膜45
枚とを用意し、表裏の表面がIrとなるように交互に積
層して、原子当量でIr:Sb=1:3となる厚さ約1
0mmの積層体を作製した。
【0085】作製した積層体を積層面に対して垂直に冷
間圧延することによって、約2.5mm厚さの積層体を
得、さらに、圧延後の積層体に1×10-7Paの真空中
で873Kにおいて86.4ksの熱処理を施した。熱
処理した部材の断面をEDXにより組成分析したとこ
ろ、面内均一に25at.%Ir−75at.%Sbで
あり、IrあるいはSbが偏析、濃化した個所は見当た
らなかった。
【0086】また、熱処理した部材を粉末状に粉砕して
XRD分析をしたところ、この部材の構成相がIrSb
3 単相であることがわかった。こうして得られた物質の
熱電特性をつかさどるゼーベック係数を測定した結果、
573Kにおいて最大値を示し、その値は260μV/
Kであった。
【0087】一方、本実施例の比較例として、粉末高温
焼結法によりIrとSbの化合物を作製した。具体的に
は、まず、Ir粉末およびSb粉末(いずれも直径10
〜44μm、純度99.9999%)を原子当量でI
r:Sb=1:3となるように混合し、瑪瑙乳鉢中で十
分攪拌して混合粉末を得た。次いで、この混合粉末に1
×10-7Paの真空中で1×107 Paの圧力をかけな
がら、873Kにおいて86.4ksの熱処理を施し
た。
【0088】熱処理した部材の断面をEDXにより組成
分析したところ、面内の中央部は25at.%Ir−7
5at.%Sbという目的の組成となっていたが、表面
に近づくにしたがって、Sbの濃度が減少し、最表面で
はSb濃度が著しく低下していた。また、熱処理した部
材を粉末状に粉砕してXRD分析をしたところ、IrS
3 相のほかIrSb2 相の存在が確認された。Sb量
が減少するこの現象は、熱処理中にSbが蒸発したため
であると推察される。
【0089】こうして得られた材料の熱電特性をつかさ
どるゼーベック係数を測定した結果、593Kにおいて
最大値を示したが、その値は180μV/Kであり、先
に示した本発明の方法により作製した熱電変換材料に比
べて、熱電特性が著しく劣っていた。 (実施例8)CoとRh(いずれも純度99.9999
%)から作製した厚さ25.11μmの50at.%C
o−50at.%Rh合金薄膜46枚と、AsとSb
(いずれも純度99.9999%)から作製した厚さ1
60.55μmの50at.%As−50at.%Sb
薄膜45枚とを用意し、(Co,Rh)が表裏の表面と
なるように(As,Sb)と交互に積層して、原子当量
でCo:Rh:As:Sb=1:1:3:3となる厚さ
約8.4mmの積層体を作製した。作製した積層体に対
し、積層方向に垂直に冷間圧延を施して約2.0mm厚
さの積層体を得、さらに、圧延後の積層体に1×10-2
Paのアルゴン雰囲気中で873Kにおいて86.4k
sの熱処理を施した。
【0090】熱処理した部材の断面をEDXにより組成
分析したところ、面内均一に12.5at.%Co−1
2.5at.%Rh−37.5at.%As−37.5
at.%Sbであり、Co,Rh,AsあるいはSbが
偏析、濃化した個所は見当たらなかった。また、熱処理
した部材を粉末状に粉砕してXRD分析をしたところ、
この部材の構成相がスクッテルダイト構造を持つ(C
o,Rh)(As,Sb)3 単相であることがわかっ
た。こうして得られた物質の熱電特性をつかさどるゼー
ベック係数を測定した結果、473Kにおいて最大値を
示し、その値は260μV/Kであった。
【0091】一方、本実施例の比較例として、粉末高温
焼結法によりCo,Rh,AsおよびSbの化合物を作
製した。具体的には、まず、Co粉末,Rh粉末,As
粉末およびSb粉末(いずれも直径10〜44μm、純
度99.999%)を原子当量でCo:Rh:As:S
b=1:1:3:3となるように混合し、瑪瑙乳鉢中で
十分攪拌して混合粉末を得た。その後、この混合粉末に
1×10-2Paのアルゴン雰囲気中で1×107 Paの
圧力をかけながら、873Kにおいて86.4ksの熱
処理を施した。
【0092】熱処理した部材の断面をEDXにより組成
分析したところ、面内の中央部は12.5at.%Co
−12.5at.%Rh−37.5at.%As−3
7.5at.%Sbという目的の組成となっていたが、
表面に近づくにしたがって、AsおよびSbの濃度が減
少し、最表面ではAsおよびSb濃度が著しく低下して
いた。
【0093】また、熱処理した部材を粉末状に粉砕して
XRD分析をしたところ、スクッテルダイト構造を持つ
(Co,Rh)(As,Sb)3 相のほか(Co,R
h)(As,Sb)2 相の存在が確認された。Asある
いはSb量が減少するこの現象は、熱処理中にAsある
いはSbが蒸発したためであると推察される。
【0094】こうして得られた物質の熱電特性をつかさ
どるゼーベック係数を測定した結果、423Kにおいて
180μV/Kであり、先に示した本発明の方法により
作製した熱電変換材料に比べて、熱電特性が著しく劣っ
ていた。
【0095】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
低温から比較的高温までの広い温度範囲において優れた
熱電特性を示す熱電変換材料が提供される。かかる材料
は、冷却用素子のみならず、廃熱利用発電用にも利用で
きる高性能材料であり、その工業的価値は極めて大き
い。
【図面の簡単な説明】
【図1】CoSb3 系化合物の結晶構造であるスクッテ
ルダイト構造の模式図。
【図2】本発明の方法で加工される棒状部材を示す斜視
図。
【図3】図2に示した部材に線引き加工を施した後の針
金状部材を示す斜視図。
【図4】本発明の熱電変換材料の一例を示す斜視図。
【図5】図3に示した線引き加工後の部材を束ね合わせ
た状態を示す概略図。
【図6】本発明の熱電変換材料の他の例を示す斜視図。
【図7】本発明の方法で加工される積層部材を示す斜視
図。
【図8】図7に示した部材に圧延加工を施した後の状態
を示す斜視図。
【図9】本発明の熱電変換材料の一例を示す斜視図。
【図10】図8に示した部材を数枚重ね合わせた状態を
示す斜視図。
【図11】本発明の熱電変換材料の他の例を示す斜視
図。
【符号の説明】
1…低蒸気圧物質からなる管状部材 2…高蒸気圧物質 3…棒状部材 4…針金状部材 5…本発明の熱電変換材料 6…針金状部材4の集合体 7…本発明の熱電変換材料 10…低蒸気圧物質薄膜 11…高蒸気圧物質薄膜 12…薄膜積層体 13…薄膜圧延体 14…本発明の熱電変換材料 15…薄膜積層体12の積層体 16…本発明の熱電変換材料

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Co,RhおよびIrからなる群から選
    択された少なくとも1種類の第1の元素と、P,Asお
    よびSbからなる群から選択された少なくとも1種類の
    第2の元素と、B,C,NおよびOからなる群から選択
    された少なくとも1種類の軽元素とを含有し、前記軽元
    素の含有量は0.001at%以上であることを特徴と
    する熱電変換材料。
  2. 【請求項2】 Co,RhおよびIrからなる群から選
    択された少なくとも1種類の第1の元素により構成され
    た管状部材中に、P,AsおよびSbからなる群から選
    択された少なくとも1種類の第2の元素から構成される
    物質を充填して棒状部材を得る工程、 前記棒状部材を線引き加工して針金状部材を得る工程、
    および前記針金状部材に熱処理を施す工程を具備する熱
    電変換材料の製造方法。
  3. 【請求項3】 Co、RhおよびIrからなる群から選
    択された少なくとも1種類の第1の元素で形成された薄
    膜と、P、AsおよびSbから選ばれる少なくとも1種
    類の第2の元素で形成された薄膜とを積層し、前記第1
    の元素で形成された薄膜が表面となる積層体を得る工
    程、 前記積層体に圧延加工を施す工程、および前記圧延加工
    後の積層体に熱処理を施す工程を具備する熱電変換材料
    の製造方法。
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