JPH10256706A - 熱転写性導体フィルム - Google Patents

熱転写性導体フィルム

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JPH10256706A
JPH10256706A JP8187397A JP8187397A JPH10256706A JP H10256706 A JPH10256706 A JP H10256706A JP 8187397 A JP8187397 A JP 8187397A JP 8187397 A JP8187397 A JP 8187397A JP H10256706 A JPH10256706 A JP H10256706A
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heat
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 積層セラミック電子部品等の製造工程におい
てセラミックグリーンシート上に導体パターンを形成す
る場合に、寸法精度が良好で途切れのない導体パターン
を形成可能とするための熱転写性導体フィルムを提供す
る。 【解決手段】 支持体フィルム2表面に下塗り層3と導
体層4とをこの順で有し、下塗り層3がワックスを含有
し、導体層4が、導電性粒子および熱溶融性バインダを
含有するか、導電性粒子、熱溶融性バインダおよびワッ
クスを含有し、導体層4中における熱溶融性バインダと
ワックスとの合計に対するワックスの比率が65重量%
以下であり、下塗り層3の厚さが1.5μm以下である
熱転写性導体フィルム。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、セラミックグリー
ンシート上に導体パターンを熱転写印刷法によって形成
する際に用いる熱転写性導体フィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】セラミックチップコンデンサ等の積層セ
ラミック電子部品の製造は、通常、以下の手順で行われ
る。まず、セラミックグリーンシート上に内部電極や配
線パターン等の導体パターンを形成する。この導体パタ
ーンは、導体ペーストをスクリーン印刷することにより
形成するのが一般的である。次に、導体パターンが形成
されたセラミックグリーンシートを積層し、得られた積
層体を焼成する。
【0003】このような一連の工程において、導体パタ
ーン形成に用いるスクリーン印刷法は工業的に確立され
た方法であるが、パターンの変更のたびに新たに版を作
る必要があるので、任意のパターンに迅速に対応する必
要がある場合には不向きである。また、スクリーン印刷
工程で生じるパターンの滲みがパターンの高精度化や薄
膜化を阻害するという問題点がある。これらの問題点を
改善するため、熱転写印刷法が提案されている。
【0004】例えば、特開昭57−193091号公報
には、導電体粉、ワックス、有機バインダ等を含むペー
スト層を有する熱転写シートを作製し、これを熱転写印
刷することにより回路パターンを形成する方法が記載さ
れている。また、特開昭60−219790号公報で
は、同様な熱転写印刷をサーマルヘッドで行うための方
法および装置が提案されている。また、特開平1−12
9492号公報および特開平5−116465号公報に
も熱転写印刷法に関する提案が記載されている。
【0005】しかし、寸法精度が良好で途切れのない導
体パターンは、上記従来の提案のいずれを採用した場合
でも実現が困難である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、積層
セラミック電子部品等の製造工程においてセラミックグ
リーンシート上に導体パターンを形成する場合に、寸法
精度が良好で途切れのない導体パターンを形成可能とす
るための熱転写性導体フィルムを提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】このような目的は、下記
(1)〜(5)のいずれかの構成により達成される。 (1) 支持体フィルム表面に下塗り層と導体層とをこ
の順で有し、前記下塗り層がワックスを含有し、前記導
体層が、導電性粒子および熱溶融性バインダを含有する
か、導電性粒子、熱溶融性バインダおよびワックスを含
有し、前記導体層中における熱溶融性バインダとワック
スとの合計に対するワックスの比率が65重量%以下で
あり、前記下塗り層の厚さが1.5μm以下である熱転
写性導体フィルム。 (2) 前記導体層表面にオーバーコート層を有し、こ
のオーバーコート層がワックスおよび/または熱溶融性
バインダを含有する上記(1)の熱転写性導体フィル
ム。 (3) 前記オーバーコート層のワックスと熱溶融性バ
インダとの合計含有量が20重量%以上である上記
(2)の熱転写性導体フィルム。 (4) 前記熱溶融性バインダが、常温で固体であって
かつ軟化点が90℃以下である上記(1)〜(3)のい
ずれかの熱転写性導体フィルム。 (5) 前記下塗り層および前記導体層がソルベントコ
ーティング法により形成されたものである上記(1)〜
(4)のいずれかの熱転写性導体フィルム。
【0008】
【作用および効果】本発明の熱転写性導体フィルムは、
図2に示すような熱転写印刷法に適用される。この方法
では、表面側に導体層4を有する熱転写性導体フィルム
1を用い、その裏面側からサーマルヘッド7でパターン
加熱する。本発明では、支持体フィルム2と導体層4と
の間に、ワックスを主体とする下塗り層3を設けるた
め、ワックスの剥離作用により、導体層4が加熱パター
ンどおりに完全に抜けてセラミックグリーンシート8上
に導体パターンが転写される。
【0009】一般に熱転写印刷の場合は、コンピュータ
画面上のパターン情報に応じてサーマルヘッドを発熱さ
せることができるので、本発明の熱転写性導体フィルム
を使用すれば、画面上の任意の導体パターンを、熱転写
プリンタを通じてセラミックグリーンシート上に精度よ
く形成することが可能になる。
【0010】ところで、前記した特開平1−12949
2号公報には、実験2として、ポリエステルフィルム上
に、厚さ5μmで塩化パラフィンを主成分とし、導電フ
ィラーを含まないインク層と、厚さ8μmで熱可塑性の
ポリアミド樹脂を主成分とし、アルミニウム粉を導電性
フィラーとして50体積%含有する熱可塑性インク層と
を積層した熱転写インクリボンを用いて、ポリエステル
フィルムにプリントした実験例が記載されている。この
実験例における熱転写インクリボンは、ワックス層と、
導電性フィラーを含む熱可塑性樹脂層とを積層した点に
おいて本発明の熱転写性導体フィルムと同じである。
【0011】しかし、同公報記載の熱転写インクリボン
では、導電性のインク層の下塗り層として設けられた塩
化パラフィンを主成分とするインク層が5μmであり、
本発明における下塗り層に比べ厚いため、サーマルヘッ
ドによる加熱が不十分となって良好な転写性が得られ
ず、また、微細パターンを転写する場合には解像度が悪
化しやすい。また、このインク層が厚いと、脱脂が不十
分となりやすいので、電子部品としての特性が低下した
り、デラミネーションが発生しやすくなったりする。さ
らに、加熱による脱脂の際に塩化パラフィンが塩素を発
生し、導電性フィラーや電子部品のセラミック素体など
に悪影響を与えるので、この熱転写インクリボンは電子
部品製造用には不適である。また、この熱転写インクリ
ボンは、熱可塑性インク層中の導電性フィラーの比率が
50体積%と高く、充填率の高い導電層を形成する上で
は好ましいが、バインダ量が相対的に少ないので、熱可
塑性インク層のパターンの切れの悪化、導体パターンの
接着性の低下などの問題が生じやすくなる。
【0012】また、前記した特開平5−116465号
公報の図2には、支持体2に熱溶融性バインダ層6a、
熱転写性導体層5および熱溶融性バインダ層6bを順次
積層した感熱転写型導体形成材料が記載されている。こ
の感熱転写型導体形成材料は、本発明における下塗り層
の位置に、熱溶融性バインダ層6aを有する。ただし、
熱溶融性バインダ層6aの組成は明示されておらず、実
施例にも熱溶融性バインダ層6aを設けたものはない。
また、同公報では、本発明における導体層に相当する熱
転写性導体層5にワックスを含有させることが必須であ
って、実施例では、熱転写性導体層5における熱溶融性
バインダとワックスとの合計に対するワックスの比率を
80重量%以上としており、本発明に比べワックスの比
率が高くなっている。これに対し本発明では、導体層に
ワックスを含有させる場合でも、熱溶融性バインダとワ
ックスとの合計に対するワックスの比率は65重量%以
下と低く、相対的に熱溶融性バインダの比率が高い。導
体層にワックスを多量に添加すると、転写パターンの滲
みの発生や、導体層中の導電性粒子の比率を高くできな
いなどの問題が生じるほか、導体層の柔軟性が損なわれ
て亀裂が入りやすく、また、導体層が下塗り層と共に支
持体フィルムから剥離してしまうなどの問題が生じる。
【0013】
【発明の実施の形態】本発明の熱転写性導体フィルムの
構成例を図1に示す。同図の熱転写性導体フィルム1
は、支持体フィルム2表面に下塗り層3と導体層4とを
この順で有し、導体層4上にオーバーコート層5を有
し、支持体フィルム2裏面にバックコート層6を有す
る。
【0014】支持体フィルム2 支持体フィルムは、可撓性材料から構成する。可撓性材
料としては樹脂が好ましい。樹脂としては、例えばポリ
エチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、
ポリアミド、ポリイミドなどが好ましく、要求される耐
熱性などに応じて適宜選択すればよい。支持体フィルム
の厚さは特に限定されず、必要とされる可撓性などに応
じて適宜決定すればよいが、通常、1〜10μmである
ことが好ましい。
【0015】下塗り層3 下塗り層は、ワックスを含有する。下塗り層は、サーマ
ルヘッドによるパターン加熱によって導体層がグリーン
シートに転写される際に、加熱部の導体層が支持体フィ
ルム面に残ることなく完全に抜けて正確なパターンとし
てグリーンシート上に転写されるために必須である。下
塗り層が存在せず、導体層が支持体フィルム表面に接し
ている構造である場合、熱転写時に加熱パターンの一部
が支持体フィルム表面に残って転写パターンに欠陥が生
じやすい。
【0016】下塗り層は、熱転写印刷時に容易に溶融す
る必要があり、かつ、この溶融により導体層が支持体フ
ィルムから容易に剥離できるような性質をもっている必
要がある。このためには、ワックスとして、ミツロウ、
ラノリン、カルナバワックス、キャンデリラワックス、
モンタンワックス、セレシンワックス、米糠ワックスな
どの動植物系ワックスや、パラフィンワックス、マイク
ロクリスタリンワックスなどの石油系ワックスを用いる
ことが好ましく、これらから、融点が好ましくは40〜
120℃、より好ましくは60〜90℃のものを選択す
ることが好ましい。ワックスは2種以上を混合して用い
てもよい。
【0017】なお、一般に、動植物系ワックスは、高級
脂肪酸と高級一価または二価アルコールとからなる固形
エステルであり、また、石油系ワックスは、一般式Cn
2n+ 2で表され、炭素数が20〜60程度、分子量が3
00〜1000程度の炭化水素である。動植物系ワック
スと石油系ワックスとは、構造的には異なるが性質の類
似性からワックスと総称され、この呼称が広く使用され
ている。本発明では、動植物系と石油系との違いは問題
にならず、ワックスとしての特定の性質をもつものであ
れば使用できる。本発明ではワックスを、明確な融点を
有し、融点以上の温度での粘度(液体粘度)が極めて低
く、120℃における液体の動粘度が10mm2/sec以下
の有機物と定義する。
【0018】下塗り層は、ワックスだけから構成される
ことが好ましいが、剥離性を損なわない範囲でワックス
以外の物質が含まれていてもよい。例えば、支持体フィ
ルムに対する接着性を向上させて、熱転写性導体フィル
ム巻き取り時の耐久性などを向上させるために、必要に
応じて熱溶融性バインダなどを混合してもよい。ただ
し、下塗り層中のワックスの含有量は、90重量%以上
とすることが好ましい。
【0019】下塗り層の厚さは、サーマルヘッドの加熱
能力や支持体フィルムの耐熱性などに応じて適宜決定す
るが、通常、1.5μm以下とする。下塗り層が厚すぎ
ると、熱転写印刷時ではなく取り扱いの際に導体層が支
持体フィルムから剥離しやすくなるほか、熱転写印刷時
にパターンの転写性やパターンの解像度が悪化する。転
写性や解像度の悪化は、サーマルヘッドから導体層への
熱の伝達が不十分となるなどの理由によると考えられ
る。また、下塗り層が厚すぎると、積層セラミック電子
部品製造の際に脱脂が不十分になって、特性の低下やデ
ラミネーションを招きやすい。一方、下塗り層が薄すぎ
ると、剥離層としての機能が損なわれ、パターンの転写
が不完全になりやすくなるので、下塗り層の厚さは0.
1μm以上とすることが好ましい。
【0020】導体層4 導体層は、導電性粒子および熱溶融性バインダを含有す
るか、これらに加え、ワックスを含有する。
【0021】本明細書において熱溶融性バインダとは、
常温で固体であり、加熱によって軟化して溶融する熱可
塑性樹脂のことである。熱溶融性バインダとしては、例
えば、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アル
キル(メタ)アクリレート共重合体、エチレン−グリシ
ジルメタクリレート−アクリル酸メチル共重合体、ポリ
オレフィン系樹脂、ポリビニルアルコール、酢酸ビニル
系樹脂、スチレン−アルキル(メタ)アクリレート共重
合体、スチレン系樹脂等の少なくとも1種を用いればよ
い。熱溶融性バインダの軟化点は、好ましくは90℃以
下である。軟化点が高すぎると、パターンの転写性が不
十分になりやすい。一方、軟化点が低すぎると、加熱パ
ターン近傍が転写されてノイズパターンとなるので、軟
化点は45℃以上であることが好ましい。
【0022】熱溶融性バインダの特徴は、軟化点以上の
温度における粘度が、上記ワックスの融点以上での粘度
よりも高いことにある。したがって、導体層に熱溶融性
バインダを用いると、転写パターンの滲みを抑制できる
という効果がある。さらに、熱溶融性バインダは多くの
有機溶媒への溶解性が高いので、ワックスと比べ塗料中
の導電性粒子の分散性を上げてその濃度を高くしやすい
という利点がある。これに対しワックスは、融液の粘度
が低いので、導体層中のワックス量が多くなりすぎると
転写パターンに滲みが発生し、パターンの高精細化の障
害になる。また、ワックスは一般に有機溶媒に対する溶
解性が悪く、有機溶媒中で膨潤して溶液を増粘させるの
で、塗料中の粒子濃度を高められない、粒子の分散性が
悪くなる、などソルベントコーティング法を利用する場
合に問題が生じやすい。さらに、固体ワックスは脆く柔
軟性に欠け、支持体フィルムへの接着性も悪いので、導
体層中のワックス量が多くなりすぎると、導体層に亀裂
が発生し、導体層が支持体フィルムから脱落してしまう
という問題が生じる。これらの問題に対処するために
は、導体層中における熱溶融性バインダとワックスとの
合計に対するワックスの比率を65重量%以下、好まし
くは50重量%以下にする必要があり、導体層にワック
スを含有させないことも好ましい。
【0023】導電性粒子は、Au、Ag、Pd、Cu、
Ni、Co、Fe、Sn、Al、In、W、Mo、T
a、Pb、Bi、Zn、Cd等の導電性材料の少なくと
も1種を含む金属(合金を含む)またはその酸化物から
構成されることが好ましい。導電性粒子の粒径は、本発
明が適用されるセラミック電子部品の種類などに応じて
適宜決定すればよいが、通常、0.01〜10μmとす
る。導電性粒子の粒度分布は特に限定されず、例えば、
導体層中における充填率を向上させるために、粒度分布
が2以上のピークをもつものを使用してもよい。
【0024】導体層中において、熱溶融性バインダとワ
ックスとの合計に対する導電性粒子の体積比率は、オー
バーコート層を設けない場合には0.5〜0.9である
ことが好ましい。導電性粒子の比率が低すぎると、転写
印刷後のパターン中においても導電性粒子の比率が低く
なるので、セラミックグリーンシートの焼成過程で導体
パターンが途切れて電気特性が悪化しやすい。一方、導
電性粒子の比率が高すぎると、バインダ(熱溶融性バイ
ンダ+ワックス)量が相対的に少なくなるので、導体層
のパターンの切れの悪化、グリーンシート表面に対する
導体パターンの接着性の低下などの問題が生じやすい。
ただし、オーバーコート層を設けることによりこれらの
問題を改善でき、導電性粒子の比率を0.9より高くす
ることができる。しかし、導電性粒子の比率が2.6を
超えると、オーバーコート層を設けてもこれらの問題を
改善することが難しくなる。
【0025】なお、前述したように、特開平1−129
492号公報記載の熱転写インクリボンは、本発明にお
ける導体層に相当する熱可塑性インク層を有するが、オ
ーバーコート層は設けられていない。この熱可塑性イン
ク層中における導電フィラーの含有率は50体積%なの
で、バインダに対する導電フィラーの体積比率は1であ
り、本発明においてオーバーコート層を設けない場合の
好ましい範囲を上回る。このため、前述したような問題
が生じる。
【0026】導体層の厚さは、0.3〜10μmである
ことが好ましい。導体層が薄すぎると、転写された導体
パターン中の導電性粒子の比率が低くなるので、セラミ
ックグリーンシートの焼成過程で導体パターンが途切れ
やすくなる。一方、導体層が厚すぎると、サーマルヘッ
ドの熱が伝わりにくくなって転写性が悪化し、転写され
た導体パターンの品位が低くなってしまう。
【0027】オーバーコート層5 上述したように、オーバーコート層は、パターンの切れ
やグリーンシート表面に対する導体パターンの接着性の
改善を図るために、必要に応じて設けられる。オーバー
コート層は、ワックスおよび/または熱溶融性バインダ
を含有する。オーバーコート層は、転写後の導体パター
ン中の導体含有率を高くするために、導電性粒子を含有
していてもよい。オーバーコート層には、導体層と同様
な導電性粒子を用いればよいが、その粒径はオーバーコ
ート層の厚さなどに応じて適宜決定すればよく、導体層
の導電性粒子と同等の径とする必要はない。
【0028】導電性粒子を含有する場合、オーバーコー
ト層中におけるワックスと熱溶融性バインダとの合計含
有量は、20重量%以上であることが好ましい。この合
計含有量が少なすぎると、オーバーコート層の固着機
能、すなわち、導体層をグリーンシートに固着する機能
が低くなってしまう。
【0029】ワックスに対する熱溶融性バインダの重量
比率は、10以下であることが好ましい。熱溶融性バイ
ンダの比率が高すぎると、オーバーコート層自体の粘着
性が高くなりすぎて、サーマルヘッドで加熱されない部
分がグリーンシートに付着したり、グリーンシートの汚
れや剥がれの原因となる。
【0030】オーバーコート層の厚さは、1.5μm以
下であることが好ましい。オーバーコート層が厚すぎる
と、転写後の導体パターン(オーバーコート層構成成分
が含まれる)中における導電性粒子の含有量の減少につ
ながることや、導体層の厚さによっては転写不良を招い
てオーバーコート層本来の意味が失われてしまう。ま
た、脱脂が不十分となるため、特性低下が生じたり、デ
ラミネーションが生じたりする。なお、オーバーコート
層として効果を十分に発揮させるためには、厚さを0.
1μm以上とすることが好ましい。
【0031】バックコート層6 熱転写印刷時に熱転写性導体フィルムの裏面をサーマル
ヘッドが摺動することになるため、サーマルヘッドの摺
動抵抗を低減する目的で、バックコート層6を必要に応
じて設ける。バックコート層構成材料は、潤滑性を付与
できるものであればよく、例えば、シリコーンオイル、
フッ素系オイル、その他の滑剤、あるいはこれらを含む
シリコーン樹脂、フッ素樹脂、エポキシ樹脂、メラミン
樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド、ニトロセルロー
ス、ブチラール樹脂、アセタール樹脂などの少なくとも
1種を用いればよい。
【0032】バックコート層の厚さは、1μm以下であ
ることが好ましい。バックコート層が厚すぎると、サー
マルヘッドからの熱の伝達が不十分となって、パターン
の転写が不完全になりやすい。なお、バックコート層と
しての効果を十分に発揮させるためには、厚さを0.1
μm以上とすることが好ましい。
【0033】製造方法 下塗り層は、塗布法により形成することが好ましい。具
体的には、アルコールを含む水系のワックスエマルジョ
ンを調製して塗布してもよく、トルエン、メチルエチル
ケトン、アセトン、アルコール等の有機溶媒中にワック
スを直接分散して塗料を調製し、これを塗布してもよ
い。塗布には、バーコーター、ドクターブレード、グラ
ビア、フレキソ、ノズル等によるソルベントコーティン
グ法を用いることが好ましい。
【0034】下塗り層と導体層との2層構造を実現する
ためには、導体層を室温でのソルベントコーティング法
によって形成する必要がある。前記した特開平5−11
6465号公報に示されるように、高温の溶融ワックス
中に導電性粒子を分散して塗布するホットメルトコーテ
ィング法を導体層の形成に用いると、既に形成されてい
る下塗り層が導体層の塗布時に再溶融してしまうため二
層構造を形成できず、導体層の剥離性が損なわれてしま
う。
【0035】導体層は、下塗り層と同様の方法で形成す
ることができる。塗布に用いる溶媒は、熱溶融性バイン
ダの溶解が可能な有機溶媒、例えばトルエン、メチルエ
チルケトン、アセトン、アルコールなどから適宜選択す
ればよい。
【0036】導体層形成に用いる塗料中の不揮発分(導
電性粒子、熱溶融性バインダおよびワックス)の濃度
は、重量比で60%以下とすることが好ましい。不揮発
分の濃度が高すぎると、塗料粘度が高くなりすぎて均一
な塗膜形成が困難となる。
【0037】熱転写印刷 本発明の熱転写性導体フィルムを用いた熱転写印刷で
は、熱転写性導体フィルムの加熱温度を、用いるワック
スの融点以上かつ用いる熱溶融性バインダの軟化点以上
とする。
【0038】熱転写印刷に用いる加熱手段は特に限定さ
れず、ライン型やシリアル型等の各種サーマルヘッドの
ほか、例えば、レーザービームにより加熱するレーザー
ヘッドなども使用可能である。
【0039】
【実施例】実施例1 平均粒径0.35μmのパラフィンワックス粒子(融点
75℃)を分散した水−アルコール系のワックスエマル
ジョン(固形分濃度10重量%)を調製し、これを厚さ
3.5μmのポリエチレンテレフタレートフィルム表面
に塗布し、乾燥させて、厚さ0.7μmの下塗り層を形
成した。
【0040】次に、下記導電性塗料を調製した。
【0041】導電性塗料 導電性粒子 40.5重量% (平均粒径0.2μmのNi粒子) 熱溶融性バインダ 7重量% (軟化点64℃のエチレン−酢酸ビニル共重合体) 有機溶媒 52.5重量% (トルエン39重量%、メチルエチルケトン13.5重
量%)
【0042】熱溶融性バインダに対する導電性粒子の体
積比率は約0.65であり、導電性塗料中における固形
分の比率は47.5重量%であった。
【0043】この導電性塗料を下塗り層表面に室温で塗
布し、乾燥させて、厚さ1.8μmの導体層を形成し、
熱転写性導体フィルムサンプルを得た。なお、導体層中
の導電性粒子の充填密度は、3.8g/cm3であった。
【0044】このサンプルを用いて、図2に示すように
サーマルヘッド7を用いた熱転写印刷法により、セラミ
ックグリーンシート8上に長方形状(3.2mm×1.0
mm)の導体パターン10を形成した。セラミックグリー
ンシート8には、主としてBaTiO3からなる厚さ6
μmのものを用いた。導体パターン10は、サンプルか
ら完全に抜けてセラミックグリーンシート8に転写さ
れ、セラミックグリーンシート8の損傷も認められなか
った。
【0045】導体パターン10印刷後、図3に示す構成
の積層型セラミックコンデンサを以下の手順で作製し
た。まず、導体パターン10が印刷されたセラミックグ
リーンシート8からグリーンシート支持体フィルム9を
剥離し、同様にして導体パターンを印刷したグリーンシ
ートと積層して4層構造の積層体とした。次いで、この
積層体の上下に厚さ30μmの誘電体シートを10枚ず
つ積層して圧着した後、切断してグリーンチップとし
た。このグリーンチップを脱脂した後、還元雰囲気中に
おいて1300℃で焼成し、誘電体層101と内部電極
102とが交互に積層されたコンデンサチップ体を得
た。このコンデンサチップ体に端部電極103を付け
て、積層型セラミックコンデンサとした。このコンデン
サの容量を測定したところ60nFであり、通常のスクリ
ーン印刷法を用いた場合と同程度の容量が得られたこと
がわかった。
【0046】実施例2 パラフィンワックス粒子(融点75℃)をトルエン中に
分散して塗料を調製し、これを厚さ3.5μmのポリア
ミドフィルム表面に塗布し、乾燥させて、厚さ1.5μ
mの下塗り層を形成した。
【0047】次に、導電性塗料を調製した。
【0048】導電性塗料 導電性粒子 24重量% (平均粒径0.2μmのNi粒子) 熱溶融性バインダ 2.7重量% (軟化点52℃のエチレン−グリシジルメタクリレート
−アクリル酸メチル共重合体) 有機溶媒 73.3重量% (トルエン56.1重量%、メチルエチルケトン17.
2重量%)
【0049】熱溶融性バインダに対する導電性粒子の体
積比率は約1.0であり、導電性塗料中における固形分
の比率は26.7重量%であった。
【0050】この導電性塗料を下塗り層表面に室温で塗
布し、乾燥させて、厚さ2μmの導体層を形成した。な
お、導体層中の導電性粒子の充填密度は、4.6g/cm3
であった。
【0051】次に、オーバーコート層用塗料を調製し
た。
【0052】オーバーコート層用塗料 導電性粒子 30.8重量% (平均粒径0.05μmのNi粒子) 熱溶融性バインダ 9.2重量% (軟化点64℃のエチレン−酢酸ビニル共重合体) ワックス 1重量% (融点75℃のパラフィン系ワックス) 有機溶媒 59重量% (トルエン46重量%、メチルエチルケトン13重量
%)
【0053】このオーバーコート層用塗料の固形分中の
熱溶融性バインダとワックスとの合計の比率、すなわち
オーバーコート層中における熱溶融性バインダとワック
スとの合計含有量は、24.9重量%となる。
【0054】このオーバーコート層用塗料を導体層表面
に室温で塗布し、乾燥させて、厚さ1.5μmのオーバ
ーコート層を形成し、熱転写性導体フィルムサンプルを
得た。
【0055】このサンプルを用いて実施例1と同様な熱
転写印刷を行い、セラミックグリーンシート上に導体パ
ターンを形成した。この結果、導体パターンは、サンプ
ルから完全に抜けてグリーンシートに転写され、グリー
ンシートの損傷も認められなかった。次いで、このグリ
ーンシートを用いたほかは実施例1と同様にしてコンデ
ンサを作製し、その容量を測定したところ58nFであ
り、通常のスクリーン印刷法を用いた場合と同程度の容
量が得られたことがわかった。
【0056】なお、オーバーコート層を形成しないサン
プルを作製し、これについても上記と同様な熱転写印刷
を行ったところ、サンプルからのパターンの抜けは問題
なかったが、グリーンシート上にいったん転写されたパ
ターンが剥がれ、積層することができなかった。これ
は、導体層中において、熱溶融性バインダに対する導電
性粒子の体積比率が約1.0と高いためである。
【0057】また、下記のオーバーコート層用塗料を用
いたほかは上記と同様にしてサンプルを作製した。
【0058】オーバーコート層用塗料 導電性粒子 34重量% (平均粒径0.05μmのNi粒子) 熱溶融性バインダ 6.3重量% (軟化点64℃のエチレン−酢酸ビニル共重合体) ワックス 0.7重量% (融点75℃のパラフィン系ワックス) 有機溶媒 59重量% (トルエン46重量%、メチルエチルケトン13重量
%)
【0059】このオーバーコート層用塗料の固形分中の
熱溶融性バインダとワックスとの合計の比率、すなわち
オーバーコート層中における熱溶融性バインダとワック
スとの合計含有量は、17重量%となる。
【0060】このサンプルについて上記と同様な熱転写
印刷を行ったところ、サンプルからのパターンの抜けは
問題なかったが、グリーンシート上にいったん転写され
たパターンが剥がれ、積層することができなかった。こ
れは、オーバーコート層中における熱溶融性バインダと
ワックスとの合計含有量が少ないためである。
【0061】実施例3 下塗り層および導体層の形成までは、実施例2と同様に
して行った。ただし、導体層の厚さは2μmとした。
【0062】次に、オーバーコート層用塗料を調製し
た。
【0063】オーバーコート層用塗料 熱溶融性バインダ 28重量% (軟化点64℃のエチレン−酢酸ビニル共重合体) ワックス 12重量% (融点75℃のパラフィン系ワックス) 有機溶媒 60重量% (トルエン50重量%、メチルエチルケトン10重量
%)
【0064】このオーバーコート層用塗料を導体層表面
に室温で塗布し、乾燥させて、厚さ0.2μmのオーバ
ーコート層を形成し、熱転写性導体フィルムサンプルを
得た。
【0065】このサンプルを用いて実施例1と同様な熱
転写印刷を行い、セラミックグリーンシート上に導体パ
ターンを形成した。この結果、導体パターンはサンプル
から完全に抜けてグリーンシートに転写され、グリーン
シートの損傷も認められなかった。次いで、実施例1と
同様にしてコンデンサとし、その容量を測定したところ
56nFであり、通常のスクリーン印刷法を用いた場合と
同程度の容量が得られたことがわかった。
【0066】実施例4 下塗り層の形成までは、実施例1と同様にして行った。
【0067】次に、導電性塗料を調製した。
【0068】導電性塗料 導電性粒子 34.1重量% (平均粒径0.2μmのNi粒子) 熱溶融性バインダ 2.2重量% (軟化点64℃のエチレン−酢酸ビニル共重合体) ワックス 3.7重量% (パラフィン系ワックス) 有機溶媒 60重量%(トルエン)
【0069】この導電性塗料では、熱溶融性バインダと
ワックスとの合計に対するワックスの比率は62.7重
量%となる。また、熱溶融性バインダとワックスとの合
計に対する導電性粒子の体積比率は約0.65であり、
導電性塗料中における固形分の比率は40重量%であっ
た。
【0070】この導電性塗料を下塗り層表面に室温で塗
布し、乾燥させて、厚さ2.5μmの導体層を形成し、
熱転写性導体フィルムサンプルを得た。なお、導体層中
の導電性粒子の充填密度は、3.0g/cm3とやや低くな
った。充填密度の低下は、ワックスの添加により導電性
粒子の分散性がやや低下したことに起因すると考えられ
る。
【0071】このサンプルを用い、実施例1と同様にし
てセラミックグリーンシート上に熱転写印刷を行ったと
ころ、導体パターンの形成が可能であった。このグリー
ンシートを用い、実施例1と同様にしてコンデンサを作
製し、その容量を測定したところ、57.5nFであっ
た。
【0072】比較例1 下塗り層の厚さを2μmとしたほかは実施例1と同様に
してサンプルを作製した。このサンプルを用いて実施例
1と同様の条件で熱転写印刷を行ったが、パターンの転
写は不可能であった。
【0073】比較例2 下塗り層の形成までは実施例1と同様にして行った。
【0074】次に、導電性塗料を調製した。
【0075】導電性塗料 導電性粒子 36重量% (平均粒径0.2μmのNi粒子) 熱溶融性バインダ 1.1重量% (軟化点64℃のエチレン−酢酸ビニル共重合体) ワックス 2.9重量% (パラフィン系ワックス) 有機溶媒 60重量% (トルエン)
【0076】この導電性塗料を下塗り層表面に室温で塗
布し、乾燥させて、導体層を形成し、熱転写性導体フィ
ルムサンプルを得た。しかし、このサンプルでは、導体
層における導電性粒子の分散が悪く、すじの多い不均一
なものとなり、導体層中の導電性粒子の充填密度が2.
4g/cm3と低くなった。導体層の厚さは、平均で約2.
5μmであった。また、導体層の支持体フィルムへの接
着性が悪く、サンプルを曲げると導体層に亀裂が入り、
導体層の脱落が顕著に生じた部分もあった。これらの問
題が生じたのは、導体層におけるワックスの比率[ワッ
クス/(熱溶融性バインダ+ワックス)]が72.5重
量%と高いからであると考えられる。このサンプルを用
いて熱転写印刷を行ったところ、転写パターンが不連続
となり、導体パターンとしての使用が不可能であった。
【0077】比較例3 下塗り層の形成までは、実施例1と同様にして行った。
次に、実施例1で用いた導電性塗料を70℃に加熱し
て、ホットメルトコーティングにより厚さ2μmの導体
層を形成し、サンプルを得た。
【0078】このサンプルを用いて実施例1と同様にし
て熱転写印刷を行ったところ、導体層からパターンを抜
くことができず、導体パターンの転写は不可能であっ
た。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の熱転写性導体フィルムの構成例を示す
断面図である。
【図2】本発明の熱転写性導体フィルムを用いて熱転写
印刷を行うときの様子を示す断面図である。
【図3】積層型セラミックコンデンサの構成例を示す断
面図である。
【符号の説明】
1 熱転写性導体フィルム 2 支持体フィルム 3 下塗り層 4 導体層 5 オーバーコート層 6 バックコート層 7 サーマルヘッド 8 セラミックグリーンシート 9 グリーンシート支持体フィルム 101 誘電体層 102 内部電極 103 端部電極

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 支持体フィルム表面に下塗り層と導体層
    とをこの順で有し、前記下塗り層がワックスを含有し、
    前記導体層が、導電性粒子および熱溶融性バインダを含
    有するか、導電性粒子、熱溶融性バインダおよびワック
    スを含有し、前記導体層中における熱溶融性バインダと
    ワックスとの合計に対するワックスの比率が65重量%
    以下であり、前記下塗り層の厚さが1.5μm以下であ
    る熱転写性導体フィルム。
  2. 【請求項2】 前記導体層表面にオーバーコート層を有
    し、このオーバーコート層がワックスおよび/または熱
    溶融性バインダを含有する請求項1の熱転写性導体フィ
    ルム。
  3. 【請求項3】 前記オーバーコート層のワックスと熱溶
    融性バインダとの合計含有量が20重量%以上である請
    求項2の熱転写性導体フィルム。
  4. 【請求項4】 前記熱溶融性バインダが、常温で固体で
    あってかつ軟化点が90℃以下である請求項1〜3のい
    ずれかの熱転写性導体フィルム。
  5. 【請求項5】 前記下塗り層および前記導体層がソルベ
    ントコーティング法により形成されたものである請求項
    1〜4のいずれかの熱転写性導体フィルム。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
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JP2009277936A (ja) * 2008-04-16 2009-11-26 Sealex Corp 金属画像形成方法及び金属画像形成フィルム
JP2009277935A (ja) * 2008-04-16 2009-11-26 Sealex Corp 金属画像形成方法及び金属画像形成フィルム

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JP2009277936A (ja) * 2008-04-16 2009-11-26 Sealex Corp 金属画像形成方法及び金属画像形成フィルム
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