JPH10262549A - 乳糖分解脱脂粉乳及びその製造法 - Google Patents

乳糖分解脱脂粉乳及びその製造法

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JPH10262549A
JPH10262549A JP9174797A JP9174797A JPH10262549A JP H10262549 A JPH10262549 A JP H10262549A JP 9174797 A JP9174797 A JP 9174797A JP 9174797 A JP9174797 A JP 9174797A JP H10262549 A JPH10262549 A JP H10262549A
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JP
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lactose
skim milk
decomposed
milk powder
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JP9174797A
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Mamoru Tomita
守 冨田
Nobuo Ichihashi
信夫 市橋
Hideo Namihira
英夫 波平
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Morinaga Milk Industry Co Ltd
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Morinaga Milk Industry Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 風味及び着色効果に優れ、かつ乳糖不耐症患
者により使用できる乳糖分解脱脂粉乳及びその製造法を
提供する。 【解決手段】 脱脂乳又は脱脂粉乳の水溶液に、乳糖分
解酵素を添加し、脱脂乳又は脱脂粉乳に含まれている乳
糖の少なくとも80%(重量)を加水分解し、のち乳糖
分解酵素を失活させ、濃縮し、噴霧乾燥し、得られた粉
末状の乳糖分解脱脂粉乳を加熱処理することにより、
a)ホエイタンパク指数1.0以下、b)色彩色差計に
よるL値70〜95、a値0〜5、及びb値14〜2
2、並びにc)乳糖の加水分解率が少なくとも80%
(重量)の理化学的性質を有する乳糖分解脱脂粉乳を製
造する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、脱脂乳又は脱脂粉乳を
出発原料として、脱脂乳又は脱脂粉乳に含有されている
乳糖の少なくとも80%(重量。以下特に断りのない限
り同じ。)を加水分解した分解物を濃縮し、噴霧乾燥
し、得られた粉末状の乳糖分解脱脂粉乳を加熱処理した
乳糖分解脱脂粉乳及びその製造法に関するものであり、
乳糖分解脱脂粉乳は、特有の風味を有し、新しい食品素
材として特にベーカリー製品、チョコレート等の菓子類
に使用可能であり、脱脂乳又は脱脂粉乳中の乳糖の大部
分が加水分解され、乳糖含量が低いため乳糖不耐症患者
にも十分許容される製品である。
【0002】
【従来の技術】ベーカリー製品の原料として、主に脱脂
粉乳及び脱脂乳が使用されているが、従来の脱脂粉乳及
び脱脂乳は、風味において満足できるものではなかっ
た。
【0003】これに対して、粉乳の原料である原料乳中
に含有されている乳糖を、酵母から得られたラクターゼ
で加水分解し、乳糖をガラクトースとグルコースの単糖
に分解し、甘味の増強した乳糖加水分解粉乳を製造する
ことが知られている(特開昭54−84066公報)。
また、脱脂乳等の液体乳製品に含有されている乳糖を非
可動化された形のラクターゼにより酵素分解し、乳糖含
量が低下した乳糖不耐症患者にも十分許容される乳製品
を製造する技術も知られている(特開昭47−1666
3号公報)。
【0004】しかしながら、これらの従来技術には、次
に記載するとおりの不都合があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】原料乳又は脱脂乳に含
有されている乳糖を加水分解し、製造した乳糖加水分解
粉乳は、風味が貧弱で、ベーカリー製品、菓子製品に利
用する場合にその着色効果が少ないという問題点があっ
た。
【0006】本発明者らは、前記従来技術に鑑みて、脱
脂乳又は脱脂粉乳に含有されている乳糖を酵素により加
水分解し、のち乳糖分解酵素を失活させ、濃縮し、噴霧
乾燥し、得られた粉末状の乳糖分解脱脂粉乳を、粉末の
状態で、所定の加熱条件で処理することにより風味を増
強し、着色効果も優れる乳糖分解脱脂粉乳が得られるこ
とを見い出した。
【0007】本発明の目的は、従来の欠点を解消した風
味及び着色効果に優れる乳糖分解脱脂粉乳、並びに標記
乳糖分解脱脂粉乳を製造することのできる新しい方法を
提供するものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決する本発
明の第一の発明は、次のa)〜c)の理化学的性質; a)ホエイタンパク指数が1.0以下であること、 b)色彩色差計によるL値が70〜95、a値が0〜
5、及びb値が14〜22であること、 c)乳糖の加水分解率が少なくとも80%であること、
を有することを特徴とする乳糖分解脱脂粉乳である。
【0009】前記課題を解決する本発明の第二の発明
は、脱脂乳又は脱脂粉乳の水溶液に、乳糖分解酵素を添
加し、脱脂乳又は脱脂粉乳に含まれている乳糖の少なく
とも80%(重量)を加水分解し、のち乳糖分解酵素を
失活させ、濃縮し、噴霧乾燥し、得られた粉末状の乳糖
分解脱脂粉乳を、ホエイタンパク指数が1.0以下であ
り、かつ色彩色差計によるL値が70〜95、a値が0
〜5、及びb値が14〜22の範囲に加熱処理すること
を特徴とする乳糖分解脱脂粉乳の製造法である。
【0010】
【発明の実施の形態】次に、本発明について詳記する
が、本発明の理解を容易にするために、最初に本発明の
第二の発明から説明する。
【0011】本発明の乳糖分解脱脂粉乳の製造法に使用
する出発原料は、市販品であってもよく、全乳を脱脂し
て製造される脱脂乳、これを噴霧乾燥機等により乾燥粉
末化させた脱脂粉乳である。なお、出発原料として脱脂
粉乳を使用する場合には、水溶液として使用するが、そ
の濃度は10%程度とすることが望ましい。また、出発
原料として使用する全乳蛋白質から芽胞菌を除去するた
め、その溶液を、予めマイクロフィルトレーション等の
瀘過除菌処理することが望ましい。
【0012】前記脱脂乳又は脱脂粉乳の水溶液に、市販
の乳糖分解酵素(例えば、ラクターゼ、β−ガラクトシ
ダーゼ等)を添加し、常法により脱脂乳又は脱脂粉乳に
含有されている乳糖の少なくとも80%を加水分解す
る。通常、脱脂乳又は脱脂粉乳等に含有されている乳糖
1gに対して200〜300Gu(この表示については
後記する。)、望ましくは250〜280Gu、の乳糖
分解酵素を添加し、40〜45℃、望ましくは42〜4
4℃、の温度で、1〜2.5時間、望ましくは1.5〜
2.0時間、保持して加水分解を行う。次いで得られた
溶液を70〜85℃に1〜5分間加熱し、乳糖分解酵素
を失活させる。
【0013】得られた溶液を、真空濃縮装置等を用いて
固形分濃度約40%まで、濃縮し、この濃縮液を噴霧乾
燥し、粉末状の乳糖分解脱脂粉乳を得る。
【0014】得られた粉末状の乳糖分解脱脂粉乳を、円
筒式乾燥機、流動乾燥機、オーブン等の乾燥機、加熱機
を使用し、80〜150℃で10〜300分間、望まし
くは98〜110℃で30〜180分間、加熱処理し、
ホエイタンパク指数が1.0以下であり、かつ色彩色差
計によるL値が70〜95、a値が0〜5、及びb値が
14〜22の範囲に加熱処理された最終製品が得られ
る。
【0015】以上の製造法により得られた乳糖分解脱脂
粉乳は、後記する実施例からも明らかなように、次の
a)〜c)の理化学的性質を有している。 a)ホエイタンパク指数が1.0以下である。 b)色彩色差計によるL値が70〜95、a値が0〜
5、及びb値が14〜22である。 c)乳糖の加水分解率が少なくとも80%である。
【0016】前記a)〜c)に示したとおり、本発明の
乳糖分解脱脂粉乳は、脱脂乳又は脱脂粉乳に比較して、
脱脂乳又は脱脂粉乳に含有されている乳糖の少なくとも
80%が加水分解されていることから、乳糖不耐症患者
にも十分許容され、かつ乾燥条件下、ホエイタンパク指
数が1.0以下であり、色彩色差計によるL値が70〜
95、a値が0〜5、及びb値が14〜22の範囲に加
熱処理されていることにより、脱脂粉乳及び乳糖加水分
解粉乳に比較して、風味及び着色効果において優れる、
という良好な性質を併せもった乳糖分解脱脂粉乳であ
る。
【0017】本発明の乳糖分解脱脂粉乳は、通常の脱脂
粉乳、脱脂乳等と同様にベーカリー製品、チョコレート
等の菓子類等の食品に使用することができる。
【0018】本発明において、ホエイタンパク指数(以
下、WPNIと略記することがある。)とは、牛乳蛋白
質の加熱度を示す指数であり、具体的な測定方法は後記
する。また、色彩色差計によるL値は、明度を示し、a
及びb値は、それぞれ赤色及び黄色の程度を示すことか
ら、その着色度を表すとともに、L値及びb値が小さく
かつa値が大きいほど焼き色がよくなることを示し、脱
脂粉乳の加熱度及びその脱脂粉乳を使用したベーカリー
製品の焼き色をモニターする指標であり、具体的な測定
方法は後記する。
【0019】次に試験例を示して本発明を詳述するが、
本発明においては、次の試験方法を採用した。
【0020】(1)乳糖分解酵素活性の測定法及び表示
法 前記乳糖分解酵素の表示は、次の方法により測定した酵
素の活性である。
【0021】約1gの乳糖分解酵素を精秤し、少量の1
0-3MMnCl2 を含む0.1MKH2 PO4 −NaO
H緩衝液(pH6.5)で溶解し、精製水で100ml
に調整し、十分混合し、その1mlを更に100mlに
希釈する。
【0022】37℃の恒温水中に保持した試験管に2m
lの基質溶液(2−ニトロフェニル−β−D−ガラクト
ピラノシド100mgを100mlの前記緩衝液に溶解
した溶液)及び1mlの前記緩衝液を添加し、数分後に
酵素溶液1mlを添加し、十分混合する。正確に1分
後、0.2MNa2 CO3 4mlを添加して反応を停止
する。尚、基質溶液を添加せず、前記の操作を行った溶
液を対照として用いる。
【0023】黄色の反応液の420mμにおける吸光度
を対照溶液に対して1cmセルを用いて測定する。得ら
れた吸光度から次式により乳糖分解酵素の活性(Gu/
g)を算出する。
【0024】Gu/g=[E(OD)×10(分)]/
[1(分)×w(g)] (ただし、上式において、Eは420mμにおける吸光
度、wは1mlに含まれる乳糖分解酵素の重量であ
る。) ここで、1Gu/gは、前記条件下で10分間に1.0
の吸光度を増加させる酵素量を表す。
【0025】(2)乳糖加水分解率の測定法 乳糖加水分解率は、酵素法[オフィシャル・メソーズ・
オブ・アナリシス・オブ・ザ・アソシエーション・オブ
・オフィシャル・アナリティカル・ケミスツ(Official
Methods of Analysis of the Association of Officia
l AnalyticalChemists),第14版,第284ページ,
アソシエーション・オブ・オフィシャル・アナリティカ
ル・ケミスツ社(Association of Official AnalyticalC
hemists,Inc.),1984年]により測定した。
【0026】(3)ホエイタンパク指数(WPNI)の
測定法 ホエイタンパク指数は、ハーランド及びアッシュワース
(Harland and Ashworth)の方法(日本薬学会編、「乳
製品試験法・注解」、第1版、第31〜32ページ、金
原出版株式会社、昭和59年3月20日)により測定し
た。
【0027】(4)着色度試験方法 試料の着色度を色彩色差計(ミノルタカメラ社製)を使
用し、装置添付の取り扱い説明書に従って、L、a及び
b値を測定した。
【0028】(5)風味試験方法 試料を蒸留水に溶解し、10%濃度の水溶液とした試料
溶液100mlを使用して、20歳から40歳までの男
女各20人のパネルにより官能的に試験し、風味良好
(0点)、風味やや良(1点)、風味やや不良(2
点)、風味不良(3点)の4段階に評価し、評価点の平
均値から、0.5点未満を良、0.5点以上1.5点未
満をやや良、1.5点以上2.5点未満をやや不良、及
び2.5点以上3.0点未満を不良と判定した。
【0029】(6)ベーカリー製品の焼き色試験方法 試料を蒸留水に溶解し、10%濃度の水溶液とした試料
溶液70ml、市販の薄力粉150g、無塩バター40
g、ベーキングパウダー小さじ7gを材料として使用し
て、プレーンスコーンの作成法(有元葉子著、「マイラ
イフシリーズNo.315・特集版 イースト発酵なし
のお手軽パン」、第7ページ、株式会社グラフ社、19
94年)に基づいて、オーブンで200℃で13分間焼
き上げプレーンスコーンを作成した。次いで、前記着色
度試験方法と同様の方法により、このプレーンスコーン
の焼き色を色彩色差計(ミノルタカメラ社製)を使用
し、装置添付の取り扱い説明書に従って、L、a及びb
値を測定した。
【0030】(7)乳糖不耐症患者による使用許容試験 試料を蒸留水に溶解し、10%濃度の水溶液とした試料
溶液100mlを使用して、乳糖不耐症である20歳か
ら40歳までの10人のボランティアにより、試料溶液
飲用後1日間の便性を観察し、正常便(0点)、軟便
(1点)として評価し、評価点の平均値から、10人の
ボランティアの過半数以上が正常便となる0.4点以下
を乳糖不耐症患者により使用許容できる試料と判定し
た。
【0031】なお、異なる試料を試験する場合には、同
一のボランティアに、5日間の休止期間を設け、全員が
正常便に回復したことを確認した後、前記と同様の試験
を行った。
【0032】試験例1 この試験は、従来の脱脂粉乳及び乳糖加水分解粉乳と比
較して本発明の乳糖分解脱脂粉乳が優れていることを示
すために行った。
【0033】(1)被検試料の調製 次に示す3種類の試料を調製した。 試料1:未処理の脱脂粉乳(乳糖50%。森永乳業社
製) 試料2:加熱処理を実施しないことを除いて実施例1と
同一の方法により、脱脂粉乳(乳糖50%。森永乳業社
製)10kgを蒸留水90kgに溶解し、10%濃度の
水溶液100kgを調整し、HTST殺菌機(日阪製作
所製)により72℃で40秒間加熱殺菌し、市販のラク
ターゼ(合同酒精社製。GODO−YNL)35gを添
加し、43℃で2時間保持して加水分解させ、のち75
℃で5分間加熱してラクターゼを失活させた。得られた
溶液の乳糖の加水分解率は100%であった。次いで、
得られた溶液を、真空濃縮装置を用いて固形分率40%
まで、濃縮後、噴霧乾燥し、得られた粉末状の乳糖分解
脱脂粉乳(いわゆる従来の乳糖加水分解粉乳) 試料3:本発明の実施例1と同一の方法により調製され
た乳糖分解脱脂粉乳
【0034】(2)試験方法 各試料の乳糖加水分解率、ホエイタンパク指数(WPN
I)、着色度、風味、各試料を使用したベーカリー製品
の焼き色及び乳糖不耐症患者による使用許容の可否を、
いずれも前記の試験方法により測定して試験した。
【0035】(3)試験結果 この試験の結果は、表1に示すとおりである。表1から
明らかなとおり、本発明の乳糖分解脱脂粉乳(試料3)
は、従来の脱脂粉乳(試料1)に比較して、風味、ベー
カリー製品の焼き色及び乳糖不耐症患者により使用でき
る点の全てにおいて優れていること、及び従来の乳糖加
水分解粉乳(試料2)に比較して、風味及びベーカリー
製品の焼き色において優れていること、が確認された。
【0036】なお、乳糖分解酵素及び原料(脱脂粉乳又
は脱脂乳)の種類を変更して試験したが、ほぼ同様の結
果が得られた。
【0037】
【表1】
【0038】試験例2 この試験は、乳糖分解脱脂粉乳の風味、これを使用した
ベーカリー製品の焼き色及び乳糖不耐症患者による使用
許容の可否を指標として、乳糖分解脱脂粉乳の適正な乳
糖の加水分解率を調べるために行った。
【0039】(1)被検試料の調製 表2に示すとおり、乳糖の加水分解反応を経時的に分解
率を測定しながら行い、分解率50%、70%、80
%、90%、及び100%で適宜、ラクターゼを失活さ
せて停止させたことを除き、実施例1と同様の方法によ
り脱脂粉乳溶液中の乳糖を分解し、濃縮し、噴霧乾燥
し、加熱処理することにより、ホエイタンパク指数が
0.2であり、かつ色彩色差計によるL値が83、a値
が1.0、及びb値が20である5種類の乳糖分解脱脂
粉乳試料を調製した。
【0040】(2)試験方法 各試料の乳糖加水分解率、ホエイタンパク指数(WPN
I)、着色度、風味、各試料を使用したベーカリー製品
の焼き色及び乳糖不耐症患者による使用許容の可否を、
いずれも前記の試験方法により測定して試験した。
【0041】(3)試験結果 この試験の結果は、表2に示すとおりである。表2から
明らかなとおり、風味、ベーカリー製品の着色効果及び
乳糖不耐症患者により使用できる点の全てにおいて優れ
ている乳糖分解脱脂粉乳を製造するためには、乳糖の加
水分解率を少なくとも80%にすることが必要であるこ
とが判明した。
【0042】なお、乳糖分解酵素及び原料(脱脂粉乳又
は脱脂乳)の種類を変更して試験したが、ほぼ同様の結
果が得られた。
【0043】
【表2】
【0044】試験例3 この試験は、乳糖分解脱脂粉乳の風味及びこれを使用し
たベーカリー製品の焼き色を指標として、乳糖分解脱脂
粉乳の適正な加熱処理条件(ホエイタンパク指数、着色
度)を調べるために行った。
【0045】(1)被検試料の調製 表3に示すとおり、加熱処理時間を変更したことを除
き、実施例1と同様の方法により脱脂粉乳溶液中の乳糖
を分解し、濃縮し、噴霧乾燥し、加熱処理することによ
り、乳糖の加水分解率が100%である7種類の乳糖分
解脱脂粉乳試料を調製した。
【0046】(2)試験方法 各試料の乳糖加水分解率、ホエイタンパク指数(WPN
I)、着色度、風味、及び各試料を使用したベーカリー
製品の焼き色を、いずれも前記の試験方法により測定し
て試験した。
【0047】(3)試験結果 この試験の結果は、表3に示すとおりである。表3から
明らかなとおり、風味及びベーカリー製品の着色効果に
おいて優れている乳糖分解脱脂粉乳を製造するために
は、粉末状の乳糖分解脱脂粉乳は、ホエイタンパク指数
が1.0以下であり、かつ色彩色差計によるL値が70
〜95、a値が0〜5、及びb値が14〜22の範囲に
加熱処理しなければならないことが判明した。
【0048】また、乳糖分解酵素、原料(脱脂粉乳又は
脱脂乳)の種類、及び乳糖の加水分解率を80%に変更
して試験したが、ほぼ同様の結果が得られた。
【0049】
【表3】
【0050】以上の試験例2〜試験例3から、風味、着
色効果及び乳糖不耐症患者により使用できる点の全てに
おいて優れている乳糖分解脱脂粉乳を製造するために
は、脱脂粉乳又は脱脂乳中の乳糖の加水分解率を少なく
とも80%にすること、及び乳糖分解処理後に得られた
粉末状の乳糖分解脱脂粉乳を、ホエイタンパク指数が
1.0以下であり、かつ色彩色差計によるL値が70〜
95、a値が0〜5、及びb値が14〜22の範囲に加
熱処理することが重要であることが判明した。
【0051】次に実施例を示して本発明を更に詳記する
が、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0052】
【実施例】
実施例1 市販の脱脂粉乳(乳糖50%。森永乳業社製)10kg
を蒸留水90kgに溶解し、10%濃度の水溶液100
kgを調整し、HTST殺菌機(日阪製作所製)により
72℃で40秒間加熱殺菌し、市販のラクターゼ(合同
酒精社製。GODO−YNL)35gを添加し、43℃
で2時間保持して加水分解させ、のち75℃で5分間加
熱してラクターゼを失活させた。得られた溶液の乳糖の
加水分解率は100%であった。次いで、得られた溶液
を、真空濃縮装置を用いて固形分率40%まで、濃縮
後、噴霧乾燥し、粉末状の乳糖分解脱脂粉乳約8kgを
得た。 得られた粉末状の乳糖分解脱脂粉乳5kgを、
円筒式乾燥機を使用し、100℃で120分間加熱処理
し、乳糖分解脱脂粉乳約4kgを得た。
【0053】得られた乳糖分解脱脂粉乳は、ホエイタン
パク指数が0.2であり、色彩色差計によるL値が8
3、a値が1.0、及びb値が20であり、乳糖の加水
分解率が100%であり、風味及び着色効果に優れてい
た。
【0054】実施例2 市販の脱脂乳(乳糖5%。森永乳業社製)71.1kg
を、マイクロフィルトレーション(日本ミリポア社製)
により瀘過除菌して芽胞菌を除去した後、市販のラクタ
ーゼ(合同酒精社製。GODO−YNL)19.5gを
添加し、43℃で1.5時間保持して加水分解させ、の
ち75℃で5分間加熱してラクターゼを失活させた。得
られた溶液の乳糖の分解率は89%であった。次いで、
得られた溶液を、真空濃縮装置を用いて固形分率40%
まで、濃縮後、噴霧乾燥し、粉末状の乳糖分解脱脂粉乳
約6kgを得た。
【0055】得られた粉末状の乳糖分解脱脂粉乳5kg
を、流動乾燥機を使用し、98℃で90分間加熱処理
し、乳糖分解脱脂粉乳約4kgを得た。
【0056】得られた乳糖分解脱脂粉乳は、ホエイタン
パク指数が0.5であり、色彩色差計によるL値が9
0、a値が0.5、及びb値が16であり、乳糖の加水
分解率が89%であり、風味及び着色効果に優れてい
た。
【0057】実施例3 市販の脱脂粉乳(乳糖50%。森永乳業社製)1kgを
蒸留水9kgに溶解し、10%濃度の水溶液10kgを
調整し、HTST殺菌機(日阪製作所製)により75℃
で60秒間加熱殺菌し、市販のラクターゼ(合同酒精社
製。GKDK−YNL)7.0gを添加し、43℃で2
時間保持して加水分解させ、のち80℃で2分間加熱し
てラクターゼを失活させた。得られた溶液の分解率は9
7%であった。次いで、得られた溶液を、真空濃縮装置
を用いて固形分率40%まで、濃縮後、噴霧乾燥し、粉
末状の乳糖分解脱脂粉乳約700gを得た。
【0058】得られた粉末状の乳糖分解脱脂粉乳500
gを、オーブンを使用し、適宜攪拌しながら、150℃
で10分間加熱処理し、乳糖分解脱脂粉乳約400gを
得た。
【0059】得られた乳糖分解脱脂粉乳は、ホエイタン
パク指数が0.1であり、色彩色差計によるL値が8
0、a値が2.0、及びb値が21であり、乳糖の加水
分解率が97%であり、風味及び着色効果に優れてい
た。
【0060】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明の乳糖分解
脱脂粉乳及びその製造法により奏せられる効果は次のと
おりである。 1)乳糖分解脱脂粉乳は、風味及び着色効果に優れると
いう良好な性質を併せもつことから、ベーカリー製品等
の原料として好適に使用することができる。 2)乳糖分解脱脂粉乳は、乳糖含量が低下していること
から、乳糖不耐症患者にも十分許容される新しい食品素
材として有用なものである。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 次のa)〜c)の理化学的性質; a)ホエイタンパク指数が1.0以下であること、 b)色彩色差計によるL値が70〜95、a値が0〜
    5、及びb値が14〜22であること、 c)乳糖の加水分解率が少なくとも80%(重量)であ
    ること、を有することを特徴とする乳糖分解脱脂粉乳。
  2. 【請求項2】 脱脂乳又は脱脂粉乳の水溶液に、乳糖分
    解酵素を添加し、脱脂乳又は脱脂粉乳に含まれている乳
    糖の少なくとも80%(重量)を加水分解し、のち乳糖
    分解酵素を失活させ、濃縮し、噴霧乾燥し、得られた粉
    末状の乳糖分解脱脂粉乳を、ホエイタンパク指数が1.
    0以下であり、かつ色彩色差計によるL値が70〜9
    5、a値が0〜5、及びb値が14〜22の範囲に加熱
    処理することを特徴とする乳糖分解脱脂粉乳の製造法。
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