JPH10262657A - ヘテロハイブリドーマを得るための融合パートナー - Google Patents

ヘテロハイブリドーマを得るための融合パートナー

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JPH10262657A
JPH10262657A JP9087481A JP8748197A JPH10262657A JP H10262657 A JPH10262657 A JP H10262657A JP 9087481 A JP9087481 A JP 9087481A JP 8748197 A JP8748197 A JP 8748197A JP H10262657 A JPH10262657 A JP H10262657A
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JP
Japan
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cell
cells
fused
heterohybridoma
fusion partner
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Application number
JP9087481A
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English (en)
Inventor
Harumi Masubuchi
晴美 増渕
Makoto Hashimoto
真 橋本
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Eiken Chemical Co Ltd
Original Assignee
Eiken Chemical Co Ltd
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Publication date
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  • Preparation Of Compounds By Using Micro-Organisms (AREA)
  • Micro-Organisms Or Cultivation Processes Thereof (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】本発明の目的は、再融合ヘテロハイブリドーマ
による物質生産のための新しい技術を提供することであ
る。 【解決手段】ミエローマ細胞(第一の動物種)と形質転
換した細胞(第二の動物種)とを融合させたヘテロハイ
ブリドーマを融合パートナーとし、これに物質生産細胞
(第二の動物種と同じ動物種)を再融合させ、再融合ヘ
テロハイブリドーマを得る。 【効果】安定した物質生産能を持つ再融合ヘテロハイブ
リドーマを高い効率で容易に得ることができる。本発明
はマウス以外の動物を免疫動物とするモノクローナル抗
体の産生に有用である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ハイブリドーマ
(融合細胞)に関するものである。ハイブリドーマは、
培養細胞による物質生産等に利用されている。動物細胞
の中には商業的に、あるいは学術的に有用な物質を産生
するものも多い。しかし一般に動物細胞の培養は困難
で、物質産生能を維持しつつ長期にわたり安定して動物
細胞を培養する技術は確立されていない。そこで、生体
外で永久に安定した培養が可能な腫瘍細胞に生理活性物
質を産生する細胞を融合させてハイブリドーマとし、培
養能と物質生産能の両方の形質を備えた細胞を作り出す
技術が提案された。なお細胞を生体外で長期にわたって
安定した培養が可能な状態とすることは、不死化(immo
rtalize)と呼ばれている。
【0002】特に均一な物質として得ることが困難であ
った抗体について、ハイブリドーマによる均一な抗体、
すなわちモノクローナル抗体の産生を実現[ 1]してか
ら、ハイブリドーマは物質生産の重要な手段となった。
生体内において産生される抗体は、多様な結合活性を持
つ抗体の集合体、すなわちポリクローナル抗体である。
ハイブリドーマはこのような多様な物質を産生する多様
な細胞の混合物から、クローニングによって均一な細胞
集団を作り出すことを可能とした。モノクローナル抗体
は、抗血清から精製したポリクローナル抗体に比べて特
異性に優れるとされており、各種の免疫学的な分析手法
において重要なツールとなっている。
【0003】
【従来の技術】先に紹介したモノクローナル抗体を産生
するハイブリドーマは、抗体産生細胞としてマウスの脾
細胞を、そしてその融合パートナーとしてマウスのミエ
ローマ細胞を用いている。この報告[ 1]で利用されたマ
ウスのミエローマ細胞はP3−X63−Ag8と呼ばれ
る細胞株で、ヒポキサンチン・グアニン・ホスホリボシ
ル・トランスフェラーゼ(以下HGPRTと省略する)
を欠くという、スクリーニングに有用な性質を備えてお
り、しかも生体外においてきわめて安定した増殖能を持
つ。均一な細胞集団とは1つの細胞から分裂した細胞集
団(すなわちクローン)に他ならないが、多くの動物細
胞はある程度の細胞密度で存在していないと死滅するこ
とが多い。つまり単一の細胞からでは増殖を開始しない
ので、クローニングができないということになる。しか
しマウスミエローマ細胞株P3−X63−Ag8は、1
つの細胞の状態からでも細胞の増殖能を発揮するため、
容易にクローニングすることができる。しかもHGPR
T欠損(後述)という特殊な性状を持っているので、正
常なマウスの細胞であれば生存が可能なHAT培地(後
述)で生存できない。したがって、細胞融合の後に適当
な選択培地で生存している細胞は融合が成功した細胞に
限られるため、細胞の生存を指標にして融合細胞のスク
リーニングを進めることが容易である。
【0004】その後ハイブリドーマ法が広く普及するに
つれて、P3−X63−Ag8の他にも多くの融合パー
トナーが報告された。これまでの報告された代表的な融
合パートナーを以下に示す。以下に示す細胞株の一覧に
おいて、ATCCはAmericanTissue and Culture Colle
ctionの、またJCRBは癌研究リサーチソースバンク
の寄託番号であることを示す。 P3−X63−Ag8(ATCC TIB9) P3−NS1−1−Ag4−1(JCRB 0009) P3−X63−Ag8−U1(JCRB 9085) P3−X63−Ag8.653(JCRB 0028) SP2/O−Ag−14(JCRB 0029) NSO/U(RCB0213) S194/5XXO.BU1(ATCC CRL−88
37) FO(ATCC CRL−1646) 融合パートナーとして有用なこれらの細胞株は、いずれ
もスクリーニングに必要な単独でも増殖しうる能力と感
受性とを備えたものである。またこれらの融合パートナ
ーの多くは、イムノグロブリンを細胞外へ分泌しない。
そのため細胞融合の後に抗体産生が見られるものは目的
とする抗体産生細胞であると見なして選別することがで
きる(P3−X63−Ag8はγ鎖とκ鎖を産生、P3
−NS1−1−Ag4−1は融合後にκ鎖を産生等、一
部についてはイムノグロブリン産生能を持っている[
2])。
【0005】しかしこれらの融合パートナーを確立する
のは容易なことではない。言いかえれば、クローニング
に必要な増殖能と選択マーカーさえ備えていればどのよ
うな細胞でも融合パートナーの候補となるわけではな
い。更に重要なポイントは、目的とする生理活性物質を
生産している細胞と高い効率で融合し、しかも融合後に
生理活性物質を生産するという形質を安定して維持でき
ることである。これまでに広くハイブリドーマの作成に
利用されてきた上記ミエローマ細胞は、少なくともマウ
ス−マウス間の細胞融合においては有利な条件を備えた
優れた融合パートナーなのである。
【0006】優れた融合パートナーを得て、マウス−マ
ウス・ホモハイブリドーマによる物質生産は大きな成功
を納めた。一方で、マウス以外の動物についても同じよ
うな方法論で物質の生産を行うことも試みられた。その
背景には次のような状況が有る。ハイブリドーマの生産
物を、マウス以外の動物に対して投与する場合には抗原
性の問題を考慮しなければならない。そこで、投与対象
の動物種に由来する細胞から生産物を得る必要性が生じ
る。またモノクローナル抗体の生産を目的とする場合に
は、免疫動物がマウスに限定されてしまうという障害が
生まれる。たとえば、マウスの免疫システムが認識しに
くい抗原についてモノクローナル抗体を得ることはでき
ない。実際ある種のヒト由来のタンパクでは、マウスで
は十分な抗体価を得にくいがウサギでは十分な抗体価を
容易に実現できる例が知られている。ところがマウスで
得られたような優れた融合パートナーがなかなか得られ
ず、マウス以外の動物種におけるホモハイブリドーマに
よる物質生産はなかなか普及していない。言い換えれ
ば、ホモハイブリドーマによる物質生産方法では動物種
ごとに融合パートナーを用意しなければならないため、
幅広い動物種についてハイブリドーマを得ようとすると
融合パートナーを確立するための多大な労力が要求され
るということである。このようなマウス以外のホモハイ
ブリドーマを作成するために確立した融合パートナーに
は、次のようなものが知られている。 SK0−007(ヒト骨髄腫細胞株)[ 3] HO−323(ヒト骨髄腫細胞株)[ 4] GM1500 6GT−Al2(ヒトB細胞株)[ 5] Y3−Ag1.2.3(ラット骨髄腫細胞株)[ 6] TP−3(ウサギ形質転換細胞株)[ 7]
【0007】融合パートナーを得にくいことから、マウ
ス以外の動物細胞では困難であったホモハイブリドーマ
による物質生産を解決するための手法としてヘテロハイ
ブリドーマが提案された。ヘテロハイブリドーマは、た
とえば既にハイブリドーマを得るための融合パートナー
として確立されているマウスのミエローマ細胞を融合パ
ートナーとし、これにマウス以外の動物に由来する細胞
を融合させようというアプローチである。このようなア
プローチで、マウスとは比較的近縁のラットとのハイブ
リドーマ[ 8]の他、ウサギ−マウス[ 9][10]、ヒツジ−
マウス[11]、ウシ−マウス[12]、ブタ−マウス[13]とい
った様々な組み合わせが試みられた。
【0008】ところがヘテロハイブリドーマは、短期的
には目的とする物質を生産するものの、長期間の培養中
には物質生産のために導入された側の細胞に由来する染
色体がやがて脱落していき、物質産生能を失う現象が観
察された。染色体の脱落は、ラット−マウス[14]、ヒト
−マウス[15]等多くの動物種の組み合わせで確認され、
ヘテロハイブリドーマで比較的安定な物質生産能を維持
が期待できるのはマウスと近縁のごく限られた動物種と
の間で融合させた場合であることが知られるようになっ
た。またウサギ−マウスヘテロハイブリドーマでは、ウ
サギ血清の存在下でハイブリドーマを培養することで比
較的安定した抗体産生能を期待できるという報告[16]も
有るが、更に長期間に渡る安定性については不明であ
る。またウサギ血清が共存する培養上清の中から、ハイ
ブリドーマによって分泌されたウサギのイムノグロブリ
ンを精製するのは容易なことではない。
【0009】その後ヘテロハイブリドーマの考え方を更
に進めたものとして、再融合ヘテロハイブリドーマ(re
-fusion、あるいはback-fusionなどと表現されている)
が提案された。再融合ヘテロハイブリドーマとは、たと
えばヒトの物質生産細胞を不死化させるときには次のよ
うに構築される。すなわち、まずヒトの細胞をマウスの
ミエローマ細胞といったん融合させてこれを融合パート
ナーとし、更にヒトの物質生産細胞を再融合させるので
ある。融合パートナーを構成するヒトの細胞は、一般に
不死化を目的とする細胞と同種の細胞とする。たとえば
抗体産生細胞を不死化するときには、ヒトのリンパ球を
マウスミエローマ細胞に融合させて得られたハイブリド
ーマを融合パートナーとする。ヒトの場合には、ヒト・
ミエローマ細胞株(薬剤耐性遺伝子を導入して形質転換
したもの)をマウスのミエローマ細胞と融合させて融合
パートナーとし、これに抗体を産生するヒト末梢血リン
パ球(以下PBLと省略する)を再融合させた報告[17]
が有る。また、ヒトの正常PBLとマウスのミエローマ
細胞とのヘテロハイブリドーマを融合パートナーとし、
これにヒトPBLを再融合させた報告[18]も有る。ヒト
以外の動物ではウシやヒツジの例が知られている。すな
わち、まずウシの正常PBLにマウスのミエローマ細胞
を融合させたヘテロハイブリドーマを融合パートナーと
し、これに免疫したウシのPBLを再融合させた報告[1
9]が有る。またヒツジにおいても、ウシの例とほぼ同じ
手法で再融合ヘテロハイブリドーマが得られている[2
0]。
【0010】再融合ヘテロハイブリドーマでは、ヘテロ
ハイブリドーマで問題となった染色体の脱落は生じにく
くなった。しかし単純に2種類の細胞を融合させる方法
に比べて、再融合ヘテロハイブリドーマでは融合パート
ナーを得るための細胞融合操作が付加的に必要になる。
従来の一般的な再融合ヘテロハイブリドーマでは、この
融合パートナーを得る段階で正常細胞とミエローマ細胞
という組み合わせ[21]を用いている。このような組み合
わせでは、安定な融合パートナー(ハイブリドーマ)を
効率良く得ることが困難である。つまり融合パートナー
を得るステップがボトルネックとなって、再融合ヘテロ
ハイブリドーマの応用は進んでいない。更に、マウスの
ミエローマ細胞と正常細胞とのヘテロハイブリドーマを
融合パートナーとする再融合ヘテロハイブリドーマで
は、染色体の脱落特性が改善されたとはいえ、なお改善
の余地を残すものであった。ヒトでは腫瘍細胞とマウス
ミエローマ細胞とのヘテロハイブリドーマを融合パート
ナーとする再融合方法が成功しているが、ヒト以外の動
物ではこのような試みは無い。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、再融
合ヘテロハイブリドーマによる物質生産方法を幅広い動
物種でより容易に応用できる技術を提供することであ
る。具体的には、再融合ヘテロハイブリドーマの作成に
有用な新たな融合パートナー、その作成方法、ならびに
この融合パートナーと物質生産細胞との融合によって得
られた再融合ヘテロハイブリドーマによる物質の生産方
法を提供することが、本発明の課題である。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明は、次の条件
(1)〜(3)によって特徴づけられる、生理活性物質
を産生する正常細胞を細胞融合によって不死化するため
の融合パートナーである。 (1)第1の動物種に由来する第1の細胞と、前記第1
の動物種とは異なる第2の動物種に由来する第2の細胞
を融合させて得られるヘテロハイブリッドである (2)第1の細胞が単独でクローニングが可能な細胞で
あり、第2の細胞が形質転換した細胞である (3)第2の細胞の由来する動物種が、前記生理活性物
質を産生する正常細胞が由来する動物種と共通である 本発明はまた、前記融合パートナーの作成方法、この融
合パートナーと物質生産細胞との融合によって得られた
再融合ヘテロハイブリドーマ、更にはこの再融合ヘテロ
ハイブリドーマによる物質の生産方法をも含むものであ
る。
【0013】本発明において、第1の細胞は単独でクロ
ーニングが可能な細胞でなければならない。単独でクロ
ーニングが可能とは、人工的な培養環境下で1つの細胞
からでも増殖を開始することができることを意味する。
第1の細胞は、スクリーニングのための適当な選択マー
カーを備えていると便利である。選択マーカーとは、特
定の培養条件の下で生存できる(あるいはできない)形
質を意味する。動物細胞における選択マーカーには、ヒ
ポキサンチン−グアニン−ホスホリボシルトランスフェ
ラーゼ欠損(以下HGPRT欠損と省略する)、あるい
はチミジンキナーゼ欠損(以下TK欠損と省略する)に
よってもたらされるヒポキサンチン−アミノプテリン−
チミジン感受性(以下HAT感受性と省略する)等が知
られている。HAT感受性の細胞はHAT選択培地中で
DNA合成を行うことができず死滅するが、正常な細胞
と融合すると正常細胞のサルベージ回路を利用してDN
Aの合成を継続することができるためHAT選択培地中
でも増殖するようになる。
【0014】HGPRT欠損やTK欠損の細胞は、それ
ぞれ6チオグアニン、8アザグアニン(以下8AGと省
略する)、あるいは5’ブロモデオキシウリジンを含む
培地で選択することができる。正常な細胞はこれらのピ
リミジンアナログをDNA中に取り込んでしまうので死
滅するが、これらの酵素を欠損した細胞では取り込みが
行われないので選択培地の中で生存することができる。
この他G418耐性と呼ばれる選択マーカーは、ネオマ
イシン耐性遺伝子によって2−デオキシストレプタミン
系抗生物質(ゲンタマイシン類似体)に対する耐性を与
える。本発明においては第2の細胞をあらかじめ形質転
換してから用いるので、第1の細胞には2つの選択マー
カーを持つものを利用するのが望ましい。正常細胞を融
合させる場合には、細胞融合しなかった細胞や、正常細
胞同志のホモハイブリドーマは、培養を続けている間に
やがて死滅していく(後に述べるクライシスを参照)。
しかし形質転換した細胞を融合させる場合には、培養を
継続しても細胞が死滅しないので細胞融合に成功しなか
った細胞をセレクションすることができない。そこで第
1の細胞に2つの選択マーカーを持たせれば、ダブルセ
レクションにより細胞融合に成功したヘテロハイブリド
ーマのセレクションが可能となる。たとえばHAT感受
性でG418耐性という2つの選択マーカーを持つ細胞
株は本発明において好適な材料である。このような細胞
株はP3−X63−Ag8.653(HAT感受性のみ
を持つ)に、neo−r(ネオマイシン耐性遺伝子)の
ような薬剤耐性遺伝子を含んだベクターを導入して薬剤
耐性を与えることによって得ることができる。ネオマイ
シン耐性遺伝子を導入できるベクターにはBMTneo
やBMGneo等が知られており、これらのベクターで
形質転換された細胞はG418に対する耐性を獲得す
る。HAT感受性でG418耐性の細胞株を用いた場合
の選択培地の組成は、HAT培地にG418を加えたも
のとする。HAT培地ではミエローマ細胞(ホモハイブ
リドーマを含む)が生存できず、一方G418を加えて
おくことによって形質転換した第2の細胞(やはりホモ
ハイブリドーマを含む)の生存が否定される。結果的に
細胞融合に成功したヘテロハイブリドーマが生存するこ
とになる。
【0015】本発明で第1の細胞として利用可能な公知
の細胞として、たとえば以下のような細胞株を例示する
ことができる。これらの細胞株のうちで先に述べたよう
な好ましい特徴を備えているのは、一群のマウスミエロ
ーマ細胞株、あるいはこれらマウスミエローマ細胞株か
ら誘導された細胞株である。誘導された細胞株とは、薬
剤耐性などの付加的な形質を導入し改めてクローニング
した細胞株を意味する。 マウスミエローマ細胞株 P3−X63−Ag8(ATCC TIB9) P3−X63−Ag8−U1(JCRB 9085) P3−NS1−1−Ag4−1(JCRB 0009) P3−X63−Ag8.653(JCRB 0028) SP2/O−Ag−14(JCRB 0029) NSO/U(RCB0213) S194/5XXO.BU1(ATCC CRL−88
37) FO(ATCC CRL−1646) ラットミエローマ細胞株 ・210.RCY3.Ag1.2.3(ATCC CR
L1631) ・YB2/3.0Ag20 ヒトミエローマ細胞株 ・U−266AR1 ・GM1500−6TG−A12 ・LICR−LON−HMy2 ・UC729−6 その他の細胞株 CEM−CM3(ATCC TIB195);ヒトT細
胞株、リンフォカイン産生株の作成に使用 L−M(TK-)(ATCC CCL1.3);マウス
繊維芽細胞、tkベクターによる遺伝子導入のホスト H4TG(ATCC CRL1578);ラットヘパト
ーマ、正常細胞との融合によりガン形質の発現の研究に
利用 これらの細胞の中でも最終的に産生させるべき目的物質
が抗体である時、第1の細胞として望ましいのはミエロ
ーマ細胞株である。ミエローマ細胞株を用いることによ
って、抗体産生細胞との融合効率を高めることができ
る。
【0016】一方本発明における第2の細胞は、第1の
細胞とは由来を異にする細胞であって、何らかの手段で
形質転換されており、かつ目的とする生理活性物質を産
生する正常細胞が由来する動物種と共通の動物種に由来
するものである。第2の細胞の条件である形質転換と
は、細胞が人工的な培養環境下で長期にわたって培養を
継続することができる形質を備えた状態を言う。形質転
換は、たとえばエプスタインバールウイルス[22](Epst
ein Barr Virus、以下EBVと省略する)や、SV(Sim
ian Virus)40[23]の感染によって細胞を癌化するこ
とによって達成することが可能である。感染により形質
転換をもたらすウイルスには、成人T細胞白血病ウイル
ス(HTLV)、アデノウイルス、あるいはラウス肉腫
ウイルスも知られている。またウイルスのみならずab
lやmyc等のオンコジーンの導入によっても形質転換
を達成できる。ウイルスやオンコジーンは、エレクトロ
ポレーションによって細胞に導入[24]する、ポリカチオ
ン存在下でウイルスDNAとともに細胞を培養して感染
させるなどといった手法で細胞に導入することができ
る。SV40を導入した動物細胞は、形質転換(transfo
rmation)を起こし細胞が本来備えているライフスパンを
越えて長期にわたって培養することができるようにな
る。形質転換した細胞は形質転換体(transformant)と呼
ばれる。リンパ球を形質転換したものは特にリンフォー
マと呼ばれている。なお形質転換とは必ずしも無限の培
養を保証するものである必要はない。一般に正常な動物
細胞を人工的な培養環境下で培養すると、一定期間生存
した後に増殖能を失い継代できなくなってしまう。増殖
能力を失う時期はクライシス(Crisis)と呼ばれ、多くの
細胞は通常1−2週間程度でクライシスを迎える。これ
に対して、通常の条件であればクライシスを迎えるであ
ろう時期を越えて安定した増殖能と形質を維持できる時
には、事実上形質転換されたものと考えて差し支えな
い。第2の細胞は、最終的に産生を目的としている生理
活性物質を産生する細胞と同じ動物種に由来するものと
する。したがって、たとえばウサギの抗体を目的とする
のであれば、第2の細胞もウサギに由来するものとす
る。動物種にはウサギの他、ラット、ウシ、ヤギ、ヒツ
ジ、ウマ、およびサルなどの動物種を示すことができ
る。本発明ではこれらの動物種に由来する各種生理活性
物質の生産が可能となる。生理活性物質には、抗体、イ
ンターフェロンのようなサイトカイン、ホルモン、酵
素、あるいは細胞が備えている各種の受容体等を挙げら
れる。
【0017】第2の細胞は、動物種のみならず生理活性
物質を産生する細胞と同種の細胞とするとより良い結果
を期待できる。すなわち、生理活性物質として抗体を目
的とする時には、抗体産生細胞と近縁の細胞であるリン
パ球細胞等を選ぶと良い。
【0018】本発明の融合パートナーは、第1の細胞と
第2の細胞とをポリエチレングリコール法や電気融合法
などの公知の細胞融合技術によって融合させ、選択マー
カーなどを指標にヘテロハイブリドーマをクローニング
すれば得ることができる。前記のとおり第2の細胞に近
縁の細胞を利用した場合、得られる融合パートナーは目
的外の生理活性物質を産生する可能性がある。目的外の
生理活性物質の産生は最終的な再融合ヘテロハイブリド
ーマのスクリーニングを妨害するので、この段階で生理
活性物質を産生しないものをセレクションしておくと有
利である。
【0019】本発明の融合パートナーは、目的とする生
理活性物質を産生する細胞と融合させて再融合ヘテロハ
イブリドーマとすれば生理活性物質の安定な産生が可能
となる。再融合ヘテロハイブリドーマは、先に説明した
選択マーカーと目的とする生理活性物質の産生能を指標
にセレクションし、クローニングする。
【0020】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の実施形態の好ま
しい一例を示す。本発明のもっとも有利な態様の一つ
は、ウサギモノクローナル抗体の産生への応用である。
本発明によってウサギモノクローナル抗体を産生させる
場合、好ましい実験材料は以下のとおりである。まず融
合パートナーを得るための第1の細胞としては、選択マ
ーカーを備え、しかもクローニングが容易なP3−X6
3−Ag8.653(JCRB 0028)等に更に2
つ目の選択マーカーを導入した細胞株が望ましい。一方
第2の細胞には、ウサギのリンパ球や脾細胞を形質転換
して用いる。特にリンパ球は採取が容易なので好ましい
材料である。形質転換にはSV40DNAによる形質転
換を応用すると良い。SV40の導入にはエレクトロポ
レーションや培養細胞への感染が知られているが、実施
例では培養リンパ球への感染を利用した。マウスミエロ
ーマ細胞株と形質転換したウサギリンパ球は、電気融合
によって融合させる。融合後の細胞浮遊液をG418加
HAT選択培地で培養すれば、ヘテロハイブリドーマを
セレクションすることができる。薬剤耐性を持たせたP
3−X63−Ag8.653(第1の細胞)はHAT感
受性なのでHAT培地で生存できず、他方形質転換した
ウサギの細胞(第2の細胞)は薬剤耐性を持たないので
G418を加えた培地では死滅する。したがって、この
培地で生存し増殖を続けられるのは第1の細胞と第2の
細胞が融合したヘテロハイブリドーマだけである。ヘテ
ロハイブリドーマのセレクションにあたって、指標とし
ておくと有利なポイントがいくつかある。まずウサギの
リンパ球によって持ち込まれる抗体産生能を示さないも
のを選ぶのが有利である。この段階で持ち込まれる抗体
産生能は、免疫していないウサギのものであるから望ま
しい反応特異性を備えていないことは言うまでもなく、
最終的な目的である再融合ヘテロハイブリドーマのセレ
クションを妨げる可能性があるので。できれば抗体産生
能を持たないものを選ぶようにする。
【0021】再融合ヘテロハイブリドーマのセレクショ
ンを有利に進めるには、融合パートナーが選択マーカー
を備えていることが望ましい。しかしP3−X63−A
g8.653と第2の細胞(形質転換されたもの)を細
胞融合させると、得られるヘテロハイブリドーマはいっ
たんHAT感受性を失うので、再融合の後に指標とでき
る選択マーカーがG418耐性のみとなってしまう。選
択マーカーがG418耐性のみでは、第3の細胞との融
合に成功した再融合ヘテロハイブリドーマと、融合しな
かった融合パートナー、あるいは融合パートナー同志の
ホモハイブリドーマとの間のセレクションが困難とな
る。これらの細胞はG418存在下で生存できるためで
ある。このような不利益は、融合パートナーに予めHA
T感受性を与えておくことによって回避できる。具体的
には実施例において示すように融合パートナーを得るた
めの細胞融合の段階でHAT感受性を失った細胞に対し
て、再びHAT感受性を持たせる操作を経れば良い。す
なわち8AGの濃度を細胞の増殖能を維持できる範囲で
順次高めてゆき、最終的に高度な8AG耐性(HAT感
受性)を持つ細胞をセレクションすることができる。こ
の操作はヘテロハイブリドーマを得る時に通常行われて
いる操作である。
【0022】こうして提供される融合パートナーは、そ
れ自身長期にわたって安定に継代することができ、ウサ
ギ抗体産生細胞からモノクローナル抗体を得るための普
遍的な融合パートナーとなる。つまりマウスのホモハイ
ブリドーマにおいて確立されているマウスミエローマと
同様に、ウサギの抗体産生細胞を利用してハイブリドー
マを安定してもたらすことができる融合パートナーとし
て活用することが可能である。本発明によって得られた
融合パートナーの中でも、特に高い抗体産生能を持つ再
融合ヘテロハイブリドーマをもたらした融合パートナー
として2−3Aを挙げることができる。マウスミエロー
マとウサギリンフォーマとのヘテロハイブリドーマであ
る2−3Aは、1997年2月18日付けで特許寄託セ
ンターに受託番号FERM P−16082として寄託
されている。
【0023】本発明の再融合ヘテロハイブリドーマは、
前記融合パートナーに目的とする抗原で免疫したウサギ
の抗体産生細胞を融合することによって得ることができ
る。ウサギの免疫操作は公知の免疫方法にしたがって行
えば良い。ELISAやオクテロニー法によって抗体価
を追跡し、充分に抗体価が上昇したことを確認して脾臓
を摘出しその細胞を分散させて抗体産生細胞とする。得
られた抗体産生細胞は、融合パートナーと電気融合によ
り細胞融合し、HAT選択培地で再融合ヘテロハイブリ
ドーマをスクリーニングする。再融合ヘテロハイブリド
ーマはその培養上清について抗体産生能と抗体の特異性
を確認して、最終的に目的の抗原と反応する抗体を産生
しているものをセレクションする。スクリーニングの結
果、目的の抗体を産生している再融合ヘテロハイブリド
ーマが得られれば、更にサブクローニングして安定した
再融合ヘテロハイブリドーマとして樹立する。
【0024】再融合ヘテロハイブリドーマは、in vitro
で安定した抗体産生能を持つので、適当な培地中で培養
を行ってウサギモノクローナル抗体を産生させることが
できる。培地としては無血清培地又は低濃度血清培地等
を用いると、抗体の精製が容易となるので好ましい。基
本的な動物細胞培養培地には、DMEM培地、RPMI
1640培地あるいはASF培地103等が知られてい
る。またヌードマウスやスキッドマウスの腹腔に接種し
て腹水としてモノクローナル抗体を回収することも可能
である。培地に血清を加えるときには、ウシ胎児血清
(以下FCSと省略する)を5−10%v/vで利用すると
よい。またこれらの培地で本発明の再融合ヘテロハイブ
リドーマを培養するとき、公知の抗体産生増強因子を添
加すると有利である。in vitroで抗体産生を増強する成
分には、たとえばD−ペニシラミン、アセト酢酸、ビグ
アナイド類、ビタミンK5、N−アセチルグルタミン酸
[25]、インターロイキン6[26]、糖アルコール[27]、リ
ポポリサッカライド[28]、フォルボールエステル[29]、
あるいは酪酸[30]等が知られている。このようにして得
られたモノクローナル抗体は、硫酸アンモニウム、硫酸
ナトリウム等による塩析法、イオン交換クロマトグラフ
ィー、ゲル濾過法、あるいはアフィニティークロマトグ
ラフィー等により精製することができる。
【0025】
【作用】本発明のポイントは第2の細胞として形質転換
した細胞を用いている点である。第2の細胞に形質転換
した細胞を用いたことにより、ヘテロハイブリドーマで
ありながら、融合パートナーの形質を安定化することが
できた。この形質は最終的な再融合ヘテロハイブリドー
マにおいても維持されて染色体の脱落を生じにくくな
り、結果としてヘテロハイブリドーマであっても長期に
わたって安定した物質産生能を維持させる作用を持つ。
これまでにもヘテロハイブリドーマを融合パートナーに
用いる方法はいくつか試みられているが、第2の細胞に
は正常な細胞を用いていたため安定な形質を実現できな
かったものと思われる。
【0026】
【発明の効果】本発明によって、公知の技術では多量に
安定して供給することが困難とされていた生理活性物質
を容易に生産することができるようになる。たとえばウ
サギのモノクローナル抗体の産生は、公知の技術では短
い期間でのみ可能であった。これに対して本発明によっ
て樹立したモノクローナル抗体を産生する再融合ヘテロ
ハイブリドーマ細胞株は、長期にわたって安定してウサ
ギモノクローナル抗体を供給することができる。ウサギ
のモノクローナル抗体の供給がもたらすメリットは、単
にマウスとは異なる動物種に由来する抗体の供給という
ことにはとどまらない。モノクローナル抗体を作成する
ための免疫動物がマウスに限られると、マウスでは免疫
応答が期待しにくい免疫原に対してはモノクローナル抗
体を得ることができない。これに対してウサギでもモノ
クローナル抗体の作成が可能となれば、マウスに代えて
ウサギを免疫動物として選択できるようになる。現実に
実施例に示すようにヒトヘモグロビンに対するモノクロ
ーナル抗体では、ウサギを免疫動物とすることで、親和
性の点でマウスのものを上回る品質を持つモノクローナ
ル抗体を得ている。ヒトヘモグロビン以外にも一般にマ
ウスに比べてウサギで良好な免疫応答が得られるケース
は他でも多く見られる。このようにマウスでは十分な免
疫応答を期待できないヒトのタンパクには、血清アミロ
イドA等が知られている。ウサギとマウスとは、進化論
的にかなり遠い関係に有るとされている。そのため、同
じ抗原で免疫しても両者の免疫応答には差異が生じてい
るものと推測される。
【0027】ウサギを免疫動物として利用することのメ
リットに、IgGの精製が容易な点を挙げることができ
る。すなわち、マウスのIgGは最も一般的な蛋白質の
分画方法である硫安塩析による収率が低く、出発原料の
IgG濃度が低い場合には精製が困難である。これに対
してウサギのIgGは硫安塩析で容易に分画することが
できるため、たとえマウスIgGより低濃度であっても
比較的高い水準の収率を維持できる。ハイブリドーマ法
による抗体産生方法ではクローンにより抗体産生量が変
動することがあるが、本発明によって容易にウサギIg
Gを産生させることができるようになれば、精製しやす
いウサギIgGとして回収することができるのである。
【0028】この他、マウスは実験動物として広く利用
されているが、マウスの生理活性物質やマウスの臓器特
異抗原に対するモノクローナル抗体は、マウス以外の動
物を免疫動物に選ばなければ製造は困難である。このよ
うなケースにおいても本発明に基づくモノクローナル抗
体の製造技術は有用である。
【0029】更に本発明によって提供される融合パート
ナーは、マウスのホモハイブリドーマにおけるミエロー
マと同じように、高い効率で抗体産生性ハイブリドーマ
を与える普遍的な融合パートナーとして広い範囲で活用
することができる。すなわち本発明によってウサギに代
表されるマウス以外の動物におけるモノクローナル抗体
の安定供給の道が開かれたということができる。以下、
実施例に基づいて本発明を具体的に説明する。
【0030】
【実施例】
[1]融合パートナー 最終的に物質生産を行わせるハイブリドーマに対してそ
の親細胞となる融合パートナー(ヘテロハイブリドー
マ)を、マウスミエローマ(第1の細胞)とウサギリン
フォーマ(形質転換した第2の細胞)との細胞融合によ
って調製した。マウスミエローマには、マウス−マウス
ホモハイブリドーマで一般に用いられるP3−X63−
Ag8.653(JCRB 0028)にG418耐性
を導入して用いた。この細胞株は、IgGのH鎖、L鎖
ともに非分泌性でHGPRTを欠損している。ネオマイ
シン耐性遺伝子を備えたベクターBMGneoを導入す
ることによりG418耐性を与えて[31]細胞融合に用い
た。一方ウサギのリンフォーマには、ウサギのPBLを
SV40で形質転換したものを用いた。形質転換は、ウ
サギPBL(108cells/mL)をRPMI1640培地
中でポリブレン存在下でSV40(Simian Virus 40 DN
A、SIGMA社製)とともに30分間培養することに
よって行った。形質転換後のウサギPBLは、新しい培
地で洗浄してプレートにまき、20%のFCSを含むR
PMI1640培地で2ヶ月間培養してからポリクロー
ナルに増殖してきた細胞集団を細胞融合に用いた。
【0031】マウスミエローマ:ウサギリンフォーマを
1:2の比率で細胞浮遊液(2×107cells/mL)とし
電気融合法によって細胞融合させた。電気融合装置には
SSH−1(島津製作所製)を用い、融合バッファーの
組成は以下のとおりとした。 融合バッファー: 0.25M グルコース 0.1mM CaCl2 0.1mM MgCl2 0.2mM トリス−塩酸緩衝液(pH7.2−7.4) 融合後の細胞浮遊液を10%FCS、1×HAT、80
0μg/mLのG418、20U/mLのIL6を添加したRP
MI1640培地に懸濁し、106cells/wellとなるよ
うに96穴マイクロタイタープレートにまいた。融合か
ら1週間後に培地からG418を除き、2週間後にはH
ATに代えてHTとした。なお1×HAT培地は10-2
Mのヒポキサンチン、4×10-5Mのアミノプテリン、
1.6×10-3Mのチミジンを含むHATストック溶液
を、培地1L当り10mL添加したものである。またHT
とは、HATからアミノプテリンを除いた組成である。
細胞が生存しているウエルのうち、成長が早かったも
の、あるいは細胞の形状が異なっているもの6クローン
を融合パートナー候補として選んでIgGの分泌性を確
認した。細胞の形状の違いを選択条件にしたのは、でき
るだけ違った形質を持つものを選ぶようにするためであ
る。選んだクローンは次の6クローンである。 1−4D 1−5C 2−1B 2−3A 4−5D○ 4−5D×
【0032】[2]染色体の分析 これら6クローンのうち代表的な3クローンについて、
in situハイブリダイゼーションで染色体の分析を試み
た。操作は次のとおりである。まず分裂中期群の染色体
標本スライドを調製した。各培養細胞の培養液に0.0
6μg/mLとなるようにコルセミドを添加し、37℃で3
0−60分間培養した。遠心分離により細胞を回収し、
37℃に加温した低張液(0.075MのKCl)5.
0mL/tubeを壁面に沿って注いだ。更に同じ低張液を注
いで全量を40mLとし、37℃で20分間加温した。こ
の試験管に1mLの固定液(メタノール:酢酸=3:1)
を試験間の壁に沿って注ぎ、遠心分離で細胞を回収し
た。上清を完全に除いて2mLの固定液を注ぎ、更に固定
液を注いで全量を25mLとして室温で30分間インキュ
ベートした。遠心分離で細胞を回収し、再び固定液を加
えてよく混合した。この操作を細胞が白くなるまで繰り
返し(3回以上)、最終的に1−2mLの固定液に細胞を
懸濁させた。50−65℃のウォーターバス上に置いた
スライドガラスにこの細胞懸濁液を1滴落とし、水分を
蒸発させてスライド標本としFISH法(Fluorescence
In Situ Hybridization)のためのサンプルとした。スラ
イド標本は遮光した黒い箱に入れてデシケーター中で保
存した。
【0033】このようにして調製したサンプルについ
て、FISH法に基づく染色体の分析を行った。FIS
H法用のプローブは、ウサギの細胞から抽出したDNA
をニックトランスレーション法によってビオチン標識し
て用いた。DNAの抽出にはセパジーン抽出キット(三
光純薬工業製、商品名)を、またニックトランスレーシ
ョンにはBioNickキット(BRL社製、商品名)
を、指示書にしたがって用いた。ビオチン標識したプロ
ーブはHybrisol(オンコア社製のハイブリダイ
ズバッファー、商品名)と混合し、70℃で5分間の変
性後に氷冷して変性プローブとした。FISH法には、
オンコア社のキットを指示書にしたがって用いた。まず
前記スライド標本を変性溶液(70%ホルムアミド、2
×SSC、pH7.0)中、70℃で2分間処理した。
処理後のスライドを取り出して−20℃に冷やした70
%エタノール水溶液に2分間、次いで80%エタノール、
そして95%エタノールに2分間づつ浸漬してから風乾
した。
【0034】乾燥したスライド標本に変性プローブ溶液
10μLを乗せ、カバーグラスでカバーし周辺をエナメ
ルで密封した。あらかじめ加熱した加湿槽中に置き37
℃で1晩ハイブリダイズさせた。ハイブリダイズ終了後
のスライドからカバーグラスをはがして、72℃に加温
した2×SSCで5分間洗浄した。更に1×PBD(オ
ンコア社のキットに入っている洗浄液)に室温で2分間
以上浸した。処理後のスライド標本にフルオレセインイ
ソチオシアネート(FITC)標識アビジンを滴下して
37℃で45分間反応させ、1×PBDで洗浄した。対
比染色のためにプロピウムアイオダイドと抗退色剤を混
合し、スライド標本に10μLを乗せて5分間放置し
た。1×PBDで洗浄後に抗退色剤を乗せて再びカバー
グラスでカバーし、蛍光顕微鏡で観察した。FISH法
による分析の結果、1−4Dではウサギの染色体が残っ
ておらず、2−1Bでウサギの染色体が1−2本残って
おり、また2−3Aではウサギ染色体の一部がマウス染
色体に組みこまれた状態で1本存在していた。
【0035】[3]融合パートナーの性状 融合パートナー(親株)が抗体を産生していると、抗体
産生能によるスクリーニングの障害になる他、融合細胞
において目的とする抗体との半分子づつが接合した2機
能性抗体を生じてしまう可能性がある。したがって融合
パートナーは抗体を産生しないIgG非分泌性株である
ことが望ましい。前記融合パートナー候補6クローンか
ら、IgG非分泌性の株を選ぶために以下のようなスク
リーニングを行った。まず各クローンの培養上清100
μLを分注した試験管に抗ウサギIgG抗体結合ビーズ
を投入し、室温で90分間振とうした。反応後のビーズ
を1mLの洗浄液(0.1%のTween−20を含む1
0mMのリン酸緩衝液、pH7.2)で2回洗浄し、20
0μLの125I標識抗ウサギIgG抗体を加えて室温で6
0分間振とうした。反応後のビーズを同じ洗浄液1mLで
2回洗浄してビーズ上に残った放射活性をカウントし
た。この結果、前記6クローンの全てがIgGを産生し
ておらず、融合パートナーとして望ましい形質を備えて
いるものと考えられた。
【0036】最終的な融合細胞のセレクションのため
に、融合パートナーはHAT感受性(すなわちHGPR
T欠損株)であることが望ましい。前記6クローンをも
とに、8AG耐性株の取得を試みた。6クローンをそれ
ぞれ2μMの8AGを添加した10%FCS含有RPMI
1640培地で培養し、細胞の生存率が極端に下がらな
いようであれば8AG濃度を更に4、8、16、32、
50、そして100μMまで上げて培養を続けた。最終
的に100μMの8AGに耐性の株(つまりHGPRT
欠損株)を得た。得られた細胞株は1×HAT培地を含
む10%FCS−RPMI1640培地で培養したとこ
ろ1週間で細胞が死滅し、HGPRT欠損株であること
を確認できた。以上のようなスクリーニングの結果、ウ
サギ抗体産生細胞との最終的な融合パートナーとして以
下の3株をリストアップした。 1−4D 2−1B 2−3A
【0037】[4]抗体産生細胞との細胞融合 3で選んだ融合パートナーと、ウサギの抗体産生細胞と
の細胞融合を行った。抗体産生細胞には、ヒトヘモグロ
ビンで免疫したウサギの脾細胞を用いた。すなわち、精
製ヒトヘモグロビンA0を等量のフロイントのコンプリ
ートアジュバントと混合し、ウサギ(家兎)の皮下に免
疫した。1週間おきに免疫を繰りかえし、オクテロニー
法によって抗体価を測定した。抗体価の十分な上昇を確
認して脾臓を摘出し、定法に従って脾細胞を調製した。 親株:脾細胞の比が1:2となるように細胞浮遊液を調
製し、融合パートナーの融合操作に従って電気融合法に
よって細胞融合させた。融合後の細胞浮遊液を10%F
CS、1×HAT、20U/mLのIL6を添加したRPM
I1640培地で懸濁し、106cells/wellとなるよう
にマイクロタイタープレートにまいた。融合から2週間
後にHATをHTに換え、培養を続けた。培養上清につ
いて3と同じ操作でIgG産生をチェックし、IgGの
分泌が見られたウエルについては抗体のヒトヘモグロビ
ンに対する反応性を調査した。ヒトヘモグロビンとの反
応性は2抗体法で確認した。具体的な操作は次のとおり
である。まず培養上清100μLに100μLの125I標
識ヒトヘモグロビンA0(クロラミンT法)を混合し4
℃で一晩インキュベートした。第2抗体として抗ウサギ
IgG抗体を加え4℃で30分間インキュベートした。
反応後に3000rpmで25分間遠心分離し、上清を吸
引除去して沈殿分画の放射活性を測定した。
【0038】今回の細胞融合によって、表1に示すとお
り少なくとも6つのヒトヘモグロビンA0特異的なウサ
ギIgGを分泌するクローンを確立した。特に融合パー
トナーに2−3A(ウサギ染色体の一部がマウス染色体
に組みこまれた状態で存在するもの)を用いた時で、I
gG産生量の高いクローンが得られた。μgオーダーの
IgG産生量はマウス−マウスホモハイブリドーマでは
一般的な数値であるが、本発明のようなヘテロハイブリ
ドーマではなかなか実現できない高レベルの産生量であ
る。本発明では高い確率でこのような産生量の高いクロ
ーンを樹立することができた。またウサギの染色体がマ
ウス染色体に組みこまれることで、安定なハイブリドー
マを与える可能性が推測された。
【0039】
【表1】
【0040】[5]IgGの性状 4で高いIgG産生量を確認した2−3Aを融合パート
ナーとする再融合ヘテロハイブリドーマクローンが産生
するIgGについて、その性状を分析した。具体的に
は、産生されたIgG分子の構造と、その免疫学的な反
応性の2つのポイントについて分析した。まずIgG分
子の構造をウエスタンブロットにより分析した。各クロ
ーンの培養上清から50%硫安分画によりIgG分画を
得、12.5%ポリアクリルアミドゲルで電気泳動し
た。泳動後のゲルからセミドライ法でニトロセルロース
膜に転写し、ブロッキング溶液(1%のゼラチン+1%の
カゼインを含む0.05Mのリン酸緩衝液)で1晩処理
した。処理後のニトロセルロース膜を洗浄液(0.05
%のTween−20を含む0.02Mのリン酸緩衝液、
pH7.5)で5分間2回洗浄し、ホースラディッシュ
パーオキシダーゼ標識した抗ウサギIgG抗体を室温で
60分間反応させた。反応後に同じ洗浄液で5分間2回
洗浄し、ECL(エンハンスドケミルミネセンス)検出
試薬(ファルマシア製)に1分間浸した後、Hyperfilm
(ファルマシア製)に感光して現像した。ウエスタンブ
ロットによる分析の結果、2−3Aを融合パートナーと
して確立した再融合ヘテロハイブリドーマクローンが産
生するIgGは、いずれもL鎖とH鎖を備えた完全なウ
サギIgG分子であることを確認した。
【0041】一方、ヘモグロビンA0に対する反応性に
ついては、定法に基づいて親和定数を測定した。操作は
以下のとおりである。100μLのヒトヘモグロビン
(0−100μg/mL)、100μLの125I標識ヒトヘモ
グロビン(20000cpm)、および100μLのモノク
ローナル抗体を混合して4℃で1晩インキュベートし
た。反応後に100μLの第2抗体(抗ウサギIgG抗
体)を加えて30分反応させ、4℃・3000gで25
分間遠心し上清を吸引除去して沈殿分画の放射活性を測
定した。得られた結果をもとに親和定数を算出した。そ
の結果、本発明で得られた再融合ヘテロハイブリドーマ
クローンが産生するモノクローナル抗体のうち以下の3
クローンでは、マウスホモハイブリドーマの産生する市
販のモノクローナル抗体の親和定数(たとえば1.1×
108M-1等)に比べても、同等かそれ以上の親和性を持
っていることを確認した。 1.8×108M-1(RRM3S2−1) 2.7×108M-1(RRM3S2−3) 2.8×108M-1(RRM3S2−6) このことは、ウサギを免疫動物として選ぶことによるメ
リットを説明するものである。つまり、マウスでは親和
性の高い抗体を得にくい抗原であっても、ウサギでは容
易に親和性の高い抗体を得られる場合がある。公知の技
術ではウサギの抗体産生細胞から安定した抗体産生能を
備えたハイブリドーマを得ることは困難だが、本発明に
よる融合パートナーを用いれば高い確率で抗体産生細胞
株を樹立することが可能である。
【0042】引用文献 [ 1] Nature 256,495-497 (1975) [ 2] 「ハイブリドーマ法とモノクローナル抗体」/1
9頁;渡辺武監修、R&Dプランニング発行;1982
年 [ 3] Proc.Natl.Acad.Sci.USA,77,5429;1980 [ 4] Cell Biol.Int.Reports,10,77-83;1986 [ 5] Nature 288,488;1980 [ 6] 特公平5-2318 [ 7] 特開昭62-29972 [ 8] J.Immunol.130,442-,1983 [ 9] 特開平1-257477 [10] 特開平1-290699 [11] Hybridoma 1;(1),77-86,1981 [12] Am.J.Vet.Res.46:No.2,426-427,1985 [13] Am.J.Vet.Res.46:No.2,1768-,1985 [14] Genetics,54,1095,1966 [15] Proc.Natl.Acad.Sci.USA,58,1104,1967 [16] SCIENCE 240,1788-1790,1988 [17] Proc.Natl.Acad.Sci.USA,80,pp7308-7312 [18] 特開昭58-128323 [19] Vet.Immunol.Immunopathol.15,223-237,1987 [20] J.Immunol.Methods 121,237-246,1989 [21] 特開平6-181757 [22] 特開昭61-24523 [23] 特開昭62-195296 [24] 特開平6-303969 [25] 特開平8-70858 [26] Nature,324:6092,73-6;1986 [27] 特開平2-200177 [28] 特開平4-20294 [29] 特開平1-171494 [30] hybridoma Vol.4,No.1, p63;1985 [31] 蛋白質・核酸・酵素 Vol.34,No.14,2527-2532;198
8
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によって得た再融合ヘテロハイブリドー
マクローンが産生したウサギIgGのウエスタンブロッ
ティングアッセイの結果を示す。

Claims (18)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】次の条件(1)〜(3)によって特徴づけ
    られる、生理活性物質を産生する正常細胞を細胞融合に
    よって不死化するための融合パートナー (1)第1の動物種に由来する第1の細胞と、前記第1
    の動物種とは異なる第2の動物種に由来する第2の細胞
    を融合させて得られるヘテロハイブリッドである (2)第1の細胞が単独でクローニングが可能な細胞で
    あり、第2の細胞が形質転換した細胞である (3)第2の細胞の由来する動物種が、前記生理活性物
    質を産生する正常細胞が由来する動物種と共通である
  2. 【請求項2】第1の動物種がマウスであり、単独でクロ
    ーニングが可能な細胞がミエローマ細胞である請求項1
    の融合パートナー
  3. 【請求項3】ミエローマ細胞が、以下に示すミエロー
    マ、およびこれらの細胞株から誘導された細胞株で構成
    される群から選択される請求項2の融合パートナーP3
    −X63−Ag8、P3−NS−1/1Ag4−1、P
    3−X63−Ag8−U1、P3−X63−Ag8.6
    53、NSO/U、SP2/0−Ag14、S194/
    5XXO.BU1 FO
  4. 【請求項4】第2の動物種がヒト以外の動物である請求
    項1の融合パートナー
  5. 【請求項5】第2の動物種が、ホ乳類、鳥類、は虫類、
    両性類、魚類、および昆虫からなる群から選択される請
    求項4の融合パートナー
  6. 【請求項6】第2の動物種がホ乳類であり、ラット、ウ
    サギ、ウシ、ヤギ、ヒツジ、ウマ、イヌ、ブタ、モルモ
    ットおよびサルで構成される群から選択される請求項5
    の融合パートナー
  7. 【請求項7】第2の動物種がウサギである請求項6の融
    合パートナー
  8. 【請求項8】形質転換した細胞が、SV40ウイルスに
    よる感染、エプスタインバーウイルスによる感染、ポリ
    オーマウイルスによる感染、アデノウイルスによる感
    染、ラウス肉腫ウイルスによる感染、abl遺伝子の導
    入、あるいはmyc遺伝子の導入で構成される群から選
    択された手段で形質転換することにより得られたもので
    ある請求項1の融合パートナー
  9. 【請求項9】請求項1の融合パートナーに、第2の動物
    種と同じ動物種に由来し形質転換されていない第3の細
    胞を融合させた再融合ヘテロハイブリドーマ
  10. 【請求項10】第3の細胞が生理活性物質を産生するも
    のである請求項9の再融合ヘテロハイブリドーマ
  11. 【請求項11】生理活性物質が、サイトカイン、または
    抗体である請求項10の再融合ヘテロハイブリドーマ
  12. 【請求項12】生理活性物質が抗体である請求項11の
    再融合ヘテロハイブリドーマ
  13. 【請求項13】請求項10の再融合ヘテロハイブリドー
    マを培養し生理活性物質を製造する方法
  14. 【請求項14】再融合ヘテロハイブリドーマの染色体脱
    落を防止する方法であって、請求項1の融合パートナー
    に対して、第2の動物種に由来する染色体の脱落を防止
    すべき第3の細胞を融合させる染色体脱落を防止する方
    法
  15. 【請求項15】以下の工程1)−3)を含むウサギの抗
    体を得る方法 1)単独で増殖可能なマウスのミエローマ細胞を、ウサ
    ギのリンパ系細胞を形質転換した細胞と融合し融合パー
    トナーを得る工程 2)目的とする抗体を得るための免疫原で免疫したウサ
    ギから回収した抗体産生細胞を工程1の融合パートナー
    と融合させ再融合ヘテロハイブリドーマを得る工程 3)工程2で得た再融合ヘテロハイブリドーマを培養し
    抗体を得る工程
  16. 【請求項16】工程2で得たヘテロハイブリドーマをク
    ローニングし、クローン化した再融合ヘテロハイブリド
    ーマを培養することによってモノクローナル抗体を得る
    請求項15の抗体を得る方法
  17. 【請求項17】請求項15の工程1において得られた融
    合パートナー
  18. 【請求項18】請求項15の工程2において得られた再
    融合ヘテロハイブリドーマ
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