JPH10271666A - 限流器および配線用遮断器 - Google Patents

限流器および配線用遮断器

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JPH10271666A
JPH10271666A JP7403297A JP7403297A JPH10271666A JP H10271666 A JPH10271666 A JP H10271666A JP 7403297 A JP7403297 A JP 7403297A JP 7403297 A JP7403297 A JP 7403297A JP H10271666 A JPH10271666 A JP H10271666A
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JP
Japan
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ptc element
temperature
current
heater
current limiter
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JP7403297A
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Makoto Tani
信 谷
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NGK Insulators Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 外部環境の温度の影響を受けずに、過電流に
よる相転移温度までの温度上昇時間および限流開始時間
を短縮したPTC素子を用いた限流器と、この限流器を
用いて遮断容量を増大させた小型で保守性に優れた配線
用遮断器を提供する。 【解決手段】 平板形状を有するPTC素子31を、金
属製の端子板32、33で嵌合して接合し、端子板33
のPTC素子31が接続された反対の平板面に電気式ヒ
ータ34を接合して限流器30が形成される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】 本発明は、構内配線系統等
の電路に流れる短絡電流等の過大な電流から構内配線系
統あるいは構内配線系統等に配設された電力機器を保護
するための限流器および配線用遮断器に関し、さらに詳
しくは、PTC素子とPTC素子を加熱し、所定温度に
保持するヒータにより、過大な電流によるPCT素子の
昇温特性を制御した限流器を用いることで、最大電流遮
断容量の小さい電流遮断器の遮断電流容量を増大させ、
過電流の大きさに適した電流遮断機構を作動させる限流
器および配線用遮断器に関する。
【0002】
【従来の技術】 従来より、構内配線系統においては、
過負荷や短絡事故により発生する過負荷電流あるいは過
電流等の定格電流よりも大きな電流から構内配線系統を
保護するために、電源側と負荷側との構内配線系統の間
に配線用遮断器(Molded Case Circu
it Breaker:以下、MCCBと略す)が設け
られており、一般的にブレーカと呼ばれている。
【0003】 このMCCBの構造は、一般的に電路の
開閉遮断を行う開閉機構と、定格電流よりも大きな電流
に対して電流値に応じて自動的に電路の開閉遮断を行う
引き外し装置とが絶縁容器内に組み込まれ、この絶縁容
器外部に、これらの電流遮断機構と通ずる電力供給側端
子、および負荷接続側端子が設けられたものとなってい
る。なお、ここでいう電路とは、MCCB内における電
力供給側端子と負荷接続側端子との間の配線路をいう。
【0004】 前記開閉機構は、手動あるいは引き外し
装置によって電路の接点を開閉するものであり、引き外
し機構は、図7に示すような動作特性曲線にしたがって
作動するものである。図7より、引き外し機構は図7に
おける定格電流In(1.0In)が流れる定常状態に
おいては作動しないことがわかる。
【0005】 しかし、定格電流の1.25倍〜10倍
程度の過負荷電流が流れた場合には、120分〜5秒程
度の引き外し動作を行ういわゆる時延引き外しを行う。
これは、電力機器においては、電源投入時に瞬間的に定
格電流以上の電流が流れることが多々あることから、こ
のような機器の立上げに必要な過負荷電流に対して、そ
の都度、配線用遮断器が作動すれば機器を立上げること
もできなくなることが一つの理由である。
【0006】 これに対し、定格電流の10倍程度以上
の過電流域においては、MCCBは、0.02秒(50
Hzにおいて1サイクル)以内に引き外し動作を行うい
わゆる瞬時引き外しを行う。これは、10倍程度以上の
過電流は明らかに構内配線系統に生じた何らかの異常に
よる短絡電流等とみなされるので、配線系統に生ずるこ
とが予想される事故を未然に防ぐことからも電路の速や
かな遮断が必要とされるからである。
【0007】 このようなMCCBの電流遮断容量を増
大させるために、特開平4−351825号公報には、
PTC素子を用いた限流器が提案されている。PTC素
子は、PTC素子を構成する材料により定まる所定の温
度(相転移温度)以上にPTC素子が加熱された場合
に、急激に抵抗値が上昇して、電流を制限するものであ
る。したがって、このPTC素子を用いた限流器によれ
ば、過負荷電流や過電流によってPTC素子にはPTC
素子の抵抗成分に起因するジュール熱が発生し、この発
生した熱によりMCCB内の開閉機構を作動させて過電
流が遮断される。したがって、PTC素子が高抵抗とな
ることにより、短絡電流が限流されるために、遮断電流
容量の小さいMCCBで実用上、遮断電流容量を高容量
化することができる利点がある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】 しかしながら、この
ようにPTC素子を用いた場合においても、MCCBの
接点投入直後に過電流が発生した場合には、PTC素子
の初期温度が外部環境温度程度と低いために抵抗転移す
るための温度上昇幅が大きくなる。したがって、このよ
うな場合にMCCBの遮断容量以下に限流するために
は、使用するPTC素子の体積を非常に小さくする必要
があり、結果として、非常に大きな抵抗上昇率を有する
PTC素子が必要となる問題点がある。
【0009】 また、通常の通電時においてもPTC素
子の温度が通常電流によるPTC素子の自己発熱量と環
境温度とに依存するため、PTC素子の抵抗転移に必要
な温度上昇幅に通電電流値や環境温度による差が生ず
る。このため、過電流発生時のPTC素子の限流動作時
間や最大通過電流値が過電流発生直前の通電電流値や環
境温度によって変化してしまい、限流動作が一定しない
欠点がある。
【0010】
【課題を解決するための手段】 そこで、本発明者は、
PTC素子の使用状態を常にPTC素子の相転移温度よ
りも低く、低抵抗である所定の状態に加熱、保持して、
このPTC素子に過電流が流れた際のPTC素子の温度
上昇特性を一定とすることにより、MCCBの作動に支
障なく、過電流の限流と遮断が行うことができる限流器
および電流遮断器について検討し、本発明に到達した。
【0011】 すなわち、本発明によれば、所定の相転
移温度になると急激にその抵抗値が増大する正の抵抗温
度係数を有するPTC素子を電路に備えて、該電路に過
電流が流れることにより、当該PTC素子の温度が上昇
してその温度が当該所定の相転移温度に至ると急激にそ
の抵抗値が増大して過電流を抑制するPTC素子を用い
た限流器であって、前記PTC素子が、金属製の第一の
端子および第二の端子に挟まれて電気的に接続され、か
つ、当該PTC素子を加熱する電気式ヒータを具備する
ことを特徴とする限流器、が提供される。
【0012】 ここで、本発明の限流器においては、前
記電気式ヒータが、前記PTC素子の温度を前記相転移
温度より低い所定温度に保持するものが好ましく、PT
Cセラミックスからなり、温度保持範囲が40〜300
℃であるサーミスタヒータが好適に用いられる。また、
前記ヒータは、前記PTC素子を取付ける三相電力供給
ケーブルに対して、星型結線あるいは三角結線により接
続されていることが好ましい。
【0013】 さらに、本発明によれば、電路に短絡電
流等の過電流が流れると、温度が上昇してその温度が所
定の相転移温度に達すると急激にその抵抗値が増大して
当該過電流を限流するPTC素子と、当該PTC素子を
所定温度に保持するヒータを具備した限流器を備えた配
線用遮断器であって、前記配線用遮断器に用いられる限
流器が、前述した限流器のいずれかであることを特徴と
する配線用遮断器、が提供される。
【0014】 ここで、前記配線用遮断器に備えられる
電気式ヒータは、当該配線用遮断器の遮断接点よりも電
力供給側に結線されていることが好ましい。
【0015】
【発明の実施の形態】 上述した本発明による限流器お
よび限流器を用いた配線用遮断器においては、限流器に
電流が流れているかいないか、あるいは外部の温度環境
等の影響を受け難く、常に、PTC素子の相転移温度へ
の到達特性が一定しているので、限流作動特性に優れ
る。また、通常の作動温度から相転移温度への到達時間
を従来よりも短縮できることから、材料選択の幅が広が
るという利点を有する。さらに、従来のMCCBの引き
外し機構による電流遮断に影響を及ぼさずに、PTC素
子により過電流の限流が行われるために、低容量のMC
CBを大型化することなく大容量化、すなわち最大電流
遮断容量を大きくすることが可能となる。以下、本発明
の実施の形態について図面を参照しながら説明するが、
本発明はこれらの実施形態に限定されるものではない。
【0016】 図1は、本発明の限流器30の一実施形
態を示す斜視図である。限流器30は、平板状に形成し
たPTC素子31の平板面が、長手平板形の端子板32
および33に挟まれるようにして接続されて導電路が形
成されている。そして、PTC素子31の温度を一定に
保持するヒータ34が、端子板33上に取付けられてい
る。また、ヒータ34からは、電力を供給するためのリ
ード線35、36が引き出されている。
【0017】 一般的に、PTC素子31の抵抗値はそ
の断面積に比例して小さくなり、その長さに反比例して
小さくなることから、PTC素子31の抵抗値を小さく
するためには、電流の流れる断面積を大きくし、その長
さを短くすることが好ましい。また、PTC素子31の
通常の使用状態における温度から相転移温度までの抵抗
転移時間を短くするためには、PTC素子31の体積が
小さいことが好ましい。したがって、PTC素子31は
薄板状に形成することが好ましく、逆に、PTC素子3
1の体積が小さい場合には抵抗値も小さくなるので、限
流効果を大きくするには、相転移温度における抵抗上昇
率の大きいことが好ましい。
【0018】 さらに、PTC素子31は、ヒータ34
により保持される所定温度における抵抗率ρが小さく、
相転移温度(Tc)における抵抗上昇率が大きいことが
好ましいが、このような特性を示す材料は少なく、ま
た、希望の特性が必ずしも全て満足されるとは限らな
い。
【0019】 本発明の限流器30においても、上述し
た特性を有するPTC素子31が好適に用いられること
をは言うまでもないが、本発明の限流器30において
は、ヒータ34によりPTC素子31は相転移温度に近
い温度に保持されているために、過電流によって相転移
温度に到達する時間が従来よりも短縮される。したがっ
て、PTC素子31の体積を小さくするという条件が緩
和され、PTC素子31の保持温度における抵抗値に応
じて、ブロック状のPTC素子31も使用できる。ま
た、PTC素子31の相転移温度における抵抗上昇率が
小さくとも、限流開始時間が短いことから、最大電流遮
断容量の増大分をどの程度に設定するかには依存する
が、抵抗上昇率の小さい材料からなるPTC素子31も
使用することができるようになる。
【0020】 このようなPTC素子として、本発明に
おいては、室温抵抗率が約10〜100mΩ・cm、相
転移温度が200℃〜260℃であって、その相転移温
度における抵抗上昇率が約1000倍以上であるクリス
トバライト系複合セラミックスや、室温抵抗率が約1〜
10mΩ・cm、相転移温度が約60℃〜150℃であ
って、相転移温度における抵抗上昇率が約1000倍以
上の特性を有する酸化バナジウム(V23)−酸化クロ
ム(Cr23)系セラミックス等が好適に用いられる。
なお、所望する限流開始温度によってPTC素子31の
相転移温度(Tc)が決定され、MCCBの最大電流遮
断容量をどの程度増大させるかによって抵抗上昇率およ
び抵抗値が決定される。
【0021】 その他のPTC素子31としては、チタ
ン酸鉛(PbTiO3)セラミックス、チタン酸バリウ
ム(BaTiO3)セラミックス、チタン酸ビスマス
(BiTiO3)セラミックスあるいはこれらの固溶体
を用いてもよい。さらに、ポリエチレン−カーボン系複
合材料やポリオレフィン−カーボン系複合材料からから
なるPTC素子を用いることも可能である。
【0022】 次に、長手板状に形成された端子板3
2、33は、たとえば、銅、アルミニウム、ステンレス
等の導電性が良好な金属材料が用いられる。これらの端
子板32、33は、薄板状に形成したPTC素子31の
平板面に重ね合わされるようにして導電性接着剤等によ
りPTC素子31と接続されるか、またはPTC素子3
1をメタライズして金属ロウ付けあるいは溶接等により
固着されて電気的に接続される。したがって、電流が流
れるPTC素子31の断面積が大きく、その距離が短い
ので、PTC素子31は抵抗値が小さくなり、電力損失
の低下を防止することができる。さらに、概して端子板
32、33に使用される良導電性金属は熱伝達性にも優
れていることから、PTC素子31で発生した熱をヒー
タ34へ熱伝達する役割を果たし、ヒータ34の消費電
力の低減する役割を果たしている。なお、端子板32、
33にはMCCBや配線との接続に利用される取付穴3
2A、33Aが設けられている。
【0023】 ヒータ34は、PTC素子31を加熱お
よび/または所定温度に保持するように、端子板33の
PTC素子31と接続された面と反対の面に取付けられ
ている。同様にして、端子板32にもヒータ34を取付
けてもよい。このヒータ34としては、自律温度制御機
能を有したサーミスタヒータが好適に用いられ、PTC
素子31の相転移温度よりも低く、最高使用環境温度よ
りも高い温度範囲に温度制御が可能であるもので、通
常、40℃〜300℃程度に制御できるものが好まし
い。このような特性を有するものであれば、特に材料の
制限はなく、たとえば、チタン酸バリウムやチタン酸鉛
等のPTC材料からなるサーミスタヒータが好適に使用
される。
【0024】 このようなサーミスタヒータを使用した
場合、ヒータ34の保持温度を一定に保持することが可
能であるので、特別なヒータ制御装置を設けることな
く、所望の温度にPTC素子31を保持することが可能
である。これに対し、通常の電気式ヒータを使用して、
熱電対およびリレー等を接続することにより、電気式ヒ
ータを所定温度に制御することも可能である。
【0025】 なお、PTC素子31は、抵抗成分を有
するために、通常の使用状態における定常電流が流れて
いる場合にはジュール熱が発生し、外部環境温度よりも
わずかに高い温度に保持される。しかし、この発熱はあ
まり大きなものではないために、そのほとんどは端子板
32、33から自然放熱されてしまいやすく、ヒータ3
4によるPTC素子31の加熱、保温には、この定常電
流によってPTC素子31に発生するジュール熱は、無
視することができる。
【0026】 また、ヒータ34の熱を効率よくPTC
素子31に伝えられることが好ましいことから、ヒータ
34からPTC素子31に至る熱伝導路を絶縁性で保温
効果の高いセラミック断熱材等で覆ってもよい。このと
きには、PTC素子31自体はこのような断熱材で覆わ
ないことで、PTC素子31に電流が流れていない状態
と、PTC素子31に電流が流れてPTC素子31が自
己発熱している状態とを、同等の状態とすることができ
る。
【0027】 さらに、限流器30の通常の使用状態に
おいては、ヒータ34によるPTC素子31の加熱およ
び温度保持効果が保たれるが、過電流等の過大な電流に
よってPTC素子31の発熱量が大きくなる場合には、
PTC素子31が相転移温度から必要以上に温度が上が
ることのないように、必要に応じて、ヒータ34の取付
けられていない端子板32に、放熱特性を制御する放熱
体を設けて限流器30自体の温度調節を行ってもよい。
このような放熱体としては、アルミニウム合金製の板状
体に複数の放熱フィンを一体に形成したもの等が例とし
てあげられる。
【0028】 図2は三相型のMCCB50の外形を示
す平面図であり、このMCCB50は電路に接続される
主接点、主接点を開閉する開閉機構、主接点の開極時に
発生するアークを消弧するための消弧室、過負荷電流ま
たは短絡電流等の過電流に対して開閉機構を釈放して主
接点を引き外す引き外し装置を内蔵し、開閉機構を動作
させて主接点を電路に接続する操作スイッチ51と、こ
のMCCB50を電源側の電路に接続する電源側端子5
2X、52Y、52Zと、MCCB50を負荷側の電路
に接続する負荷側端子53X、53Y、53Zとを備え
ている。なお、54X、54Y、54Zは電力供給ケー
ブルであり、55X、55Y、55Zは負荷配線ケーブ
ルである。
【0029】 限流器30の接続について、電力供給ケ
ーブル54Zを例に説明すると、まず、上述した限流器
30の端子板33の取付孔33AをMCCB50の電源
側端子52Zに取付けてネジ止めし、次いで、限流器3
0の各端子板32の取付孔32Aにおいて、電源側の電
力供給ケーブル54Zとヒータ34のリード線35、3
6のいずれか一方を同時にネジ止めする。同様の接続を
電力供給ケーブル54X、54YとMCCB50の電源
側端子52X、52Yのそれぞれについて行い、それぞ
れのヒータ34のリード線の内、取付孔32Aに接続さ
れなかったもう一方のリード線を接続点Pにおいて接続
する。こうして、電力供給ケーブル54X、54Y、5
4Zが各限流器30を介してMCCB50に接続され
る。一方、負荷側端子53X、53Y、53Zに負荷配
線ケーブルを相毎に接続する。これにより各相毎に限流
器30を備えたMCCB50が配線に接続されることに
なる。
【0030】 また、図3には限流器におけるPTC素
31とヒータ34の結線の状態を示した回路図を示す。
ヒータ34は、三相電力供給ケーブル54X/54Y/
54Zに対して星型結線により取付けられ、その位置
も、MCCB50よりも電力供給側に取付けられてい
る。このようにヒータ34を結線することにより、MC
CB50が遮断状態にある場合でも、ヒータ34には継
続して均等に通電されることから、ヒータ34は均等に
加熱されてPTC素子31を加熱し、所定温度に保持す
る。同様の効果は、ヒータを三角結線により三相電力供
給ケーブル54X/54Y/54Zに取付けた場合にも
得られる。
【0031】 こうして、MCCB50の接点が遮断状
態であってもヒータ34には継続して通電がされ、加熱
保温されてPTC素子31が加熱保温されていることか
ら、構内配線系統へ限流器30を取付けた初期の未通電
状態、あるいは構内配線系統に何らかの短絡原因が生じ
てMCCB50が遮断された状態で、その短絡原因が除
去されない状態等から、MCCB50の主接点を手動に
より閉じた場合に過電流が流れたとしても、PTC素子
31はすでにヒータ34によって加熱保温されているの
で相転移温度への温度上昇幅が小さい、すなわち、PT
C素子31の相転移温度への上昇が速く、早期限流に効
果があり、速やかに過電流が遮断される効果がある。
【0032】 次に、各相毎の限流器30に定格電流が
流れていた状態において、過電流等が発生して流れたと
きのMCCB50の動作について説明する。まず、正常
時、すなわち定格電流が流れる場合の動作については、
操作スイッチ51を操作して開閉機構を動作させて主接
点を電路に投入すると、電源の電力が限流器30および
MCCB50を通して負荷に供給され、この電路に定格
電流が流れるようになる。このとき、限流器30のPT
C素子板31の抵抗値は小さいために電力損失をほとん
どともなうことなく負荷に電力が供給される。そして、
このときにPTC素子31に発生するジュール熱はたい
へん小さく、ヒータ34によりPTC31素子は所定温
度に保持されている。
【0033】 しかしここで、何らかの原因により電路
に定格電流の1.25倍〜10倍程度の過負荷電流が流
れる異常状態となると、限流器30にこの過負荷電流が
流れてそのジュール熱によりPTC素子31が発熱す
る。しかし、このときに発生したジュール熱によりPT
C素子31の温度が相転移温度に到達することのないよ
うに、予め、ヒータ熱量、放熱容量を設計しておけば、
PTC素子の抵抗値は低い状態に保持されたまま、時延
引き外し機構が電流値に応じた所定時間経過後に作動
し、過負荷電流を遮断する。
【0034】 これに対し、電路に短絡電流等の定格電
流の10倍程度以上の過電流が流れた場合には、PTC
素子31は瞬時に発熱する。ここで、PTC素子31は
予めヒータ34により加熱によって相転移温度に近い温
度に保持されているので、相転移温度への到達がヒータ
34を具備しない場合よりも速くなり、PTC素子31
は相転移温度に到達後に限流を開始する。そして過電流
の検知から0.02秒以内に瞬時引き外し機構が作動し
て電路を遮断して過電流が流れなくなる。したがって、
限流器30が作動することで、限流後の電流値がMCC
B50の定格電流値の10倍以上、最大電流遮断容量以
下となるようにPTC素子31の特性を設計することに
より、MCCB50の電流遮断容量を大きくすることが
できる。
【0035】 図4は、図1に示した端子板32、33
とPTC素子31を用いて、ヒータ42を絶縁体41を
介してPTC素子31の側面に取付けた限流器40の実
施形態を示す斜視図である。このヒータ42はPTC素
子31の両側面に取付けられてもよく、また、端子板3
2、33とPTC素子31が接合されている部分の側面
全体に絶縁体を介して取付けることもできる。なお、ヒ
ータ42からはヒータ42に電力を供給するリード線4
3、44が引き出されている。
【0036】 図5は本発明の別の実施形態の限流器6
0を示す斜視図である。第一の端子62はPTC素子6
1を接続する円柱部62Bと取付孔62Aを有する突起
部62Cから構成されている。この第一の端子62の円
柱部62Bの外壁に相補する内径を有する円筒状のPT
C素子61に、第一の端子62の円筒部62Bを嵌挿し
て固定する。次に、PTC素子61の外径に相補する内
径を有する円筒部63Bと取付孔63Aを有する突起部
63Cからなる第二の端子63を接続し、さらに、第二
の端子63の円筒部63Bの外周に円筒型ヒータ64を
設けて限流器60が構成される。なお、円筒型ヒータ6
4からは円筒型ヒータ64に電力を供給するリード線6
5、66が引き出されている。このような実施形態とし
ても、PTC素子61の抵抗値、円筒型ヒータ64、お
よび放熱特性を制御することにより、本発明の目的を達
成することが可能であり、図2に示した実施形態と同様
にしてMCCBに取付けて作動させることが可能であ
る。
【0037】 図6は、本発明のさらに別の実施形態を
示す限流器70の断面図である。端子72、73は、P
TC71素子と接続する平板部72B、73Bと、電力
供給ケーブルあるいはMCCBの電源側端子と接続する
為の取付孔72A、73Aを有する突起部72C、73
Cから構成されており、平板部72Bと73Bの間にP
TC素子71が固定される。そして、平板部72B、7
3BとPTC素子71を取囲むようにしてヒータ74が
取付けられる。なお、ヒータ74からはヒータ74に電
力を供給するリード線75、76が引き出されている。
このような限流器70の形態としても、限流器30と同
様に図2に示した実施形態と同様にしてMCCBに取付
けて作動させることが可能である。
【0038】 以上、本発明の限流器およびこの限流器
を用いた配線用遮断器の実施形態について説明してきた
が、本発明はこのような実施形態に限定されず、本発明
の趣旨を逸脱しない範囲で、種々の変更が加えられるも
のであることが理解されるべきである。たとえば、本発
明におけるPTC素子の形状は、円形や多角形の板であ
ってもよいし、楕円円筒や多角形円筒であってもかまわ
ず、これらPTC素子等の形状に応じて、端子板の形状
を適宜変更できる。さらに、ヒータの形状は、PTC素
子を所定温度に保持できることができれば、その形状に
は制約はないことはいうまでもない。
【0039】
【実施例】 以下、本発明を実施例および比較例により
具体的に説明する。表1に本発明の実施例として試験に
使用した限流器について、それらを構成するPTC素子
およびヒータの特性を示した。また、比較例としては、
ヒータを具備しない限流器を使用し、表1にはこれらの
限流器に接続して使用するMCCBの電流遮断特性につ
いても併記した。なお、PTC素子を嵌合する端子板と
しては、銅板を使用した。試験は、環境温度を変化さ
せ、ヒータによるPTC素子の温度制御の有無による過
電流の遮断特性の変化、およびこのときのMCCBを通
過する最大通過電流を測定することで行った。
【0040】
【表1】
【0041】 試験結果を表2に示す。実施例では、1
25kAの過電流を49kAに限流しており、取付けた
MCCBにより良好に過電流を遮断することができた。
また、最大通過電流は、環境温度や遮断器投入後の経過
時間に依存せず、一定であった。これに対し、比較例で
は、125kAの過電流を63〜71kAにしか限流で
きなかったため、取付けたMCCBでは過電流を遮断で
きず、元電源の遮断器で過電流を遮断する必要があっ
た。また、最大通過電流は、環境温度や遮断器投入後の
経過時間によって変化した。
【0042】
【表2】
【0043】 このような試験結果は、サーミスタヒー
タによってPTC素子の常時の温度が約150℃に制御
されるために、環境温度や遮断器の投入状態にかかわら
ずに、過電流を速やかに一定の最大通過電流に限流でき
たことを示している。このために、抵抗上昇率が600
0倍と比較的小さいPTC素子を用いた限流器によって
も、実質的にMCCBの遮断容量を定格の50kAから
125kAに格上げでき、安定な限流動作、電流遮断動
作が実現されている。
【0044】
【発明の効果】 上述の通り、本発明の限流器によれ
ば、ヒータがMCCBよりも電力供給側の相間に取付け
られているので、MCCBの未通電時にもヒータに電力
供給され、PTC素子の温度がPTC素子の相転移温度
に近い値に加熱保温されているので、未通電時からの通
電、あるいは定常状態から過電流が発生した場合に、P
TC素子の相転移温度への到達が速く、過電流の限流が
外部環境温度に依存せずに一定する。その結果、従来の
PTC素子を薄く形成するという条件が緩和され、相転
移温度における抵抗上昇率が比較的小さい材料も使用で
き、材料選択の幅が広がる利点がある。また、ヒータと
PTC素子、および放熱特性を制御することにより、過
負荷電流が流れた場合には、PTC素子は相転移温度に
到達せず、MCCBの時延引き外し装置の作動に影響を
及ぼさない。一方、電路に短絡電流等の過電流が流れる
と、PTC素子が瞬時に相転移温度に到達して限流され
るために、MCCBの遮断電流容量が増大する。したが
って、小容量のMCCBを用いても大容量のMCCBを
用いた場合と同様の電流遮断効果が得られるので、MC
CBの設置コストを大幅に低減させることが可能であ
り、また、部品の交換等も必要のないために、保守性に
優れる利点を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の限流器の実施形態を示す斜視図であ
る。
【図2】 本発明の限流器を配線用遮断器(MCCB)
に取付けた例を示す平面図である。
【図3】 本発明の限流器を配線用遮断器(MCCB)
に取付けた場合の配線回路図である。
【図4】 本発明の限流器の別の実施形態を示す斜視図
である。
【図5】 本発明の限流器のさらに別の実施形態を示す
斜視図である。
【図6】 本発明の限流器のさらに別の実施形態を示す
断面図である。
【図7】 従来の配線用遮断器(MCCB)の動作特性
を示す説明図である。
【符号の説明】
30…限流器、31…PTC素子、32…端子板、32
A…取付孔、33…端子板、33A…取付孔、34…ヒ
ータ、35…リード線、36…リード線、40…限流
器、41…絶縁体、42…ヒータ、43…リード線、4
4…リード線、50…MCCB、51…操作スイッチ、
52X/52Y/52Z…電源側端子、53X/53Y
/53Z…負荷側端子、54X/54Y/54Z…三相
電力供給ケーブル、55X/55Y/55Z…負荷配線
ケーブル、60…限流器、61…PTC素子、62…第
一の端子、62A…端子孔、62B…円柱部、62C…
突起部、63…第二の端子、63A…端子孔、63B…
円筒部、63C…突起部、64…円筒型ヒータ、65…
リード線、66…リード線、70…限流器、71…PT
C素子、72…端子、72A…取付孔、72B…平板
部、72C…突起部、73…端子、73A…取付孔、7
3B…平板部、73C…突起部、74…ヒータ、75…
リード線、76…リード線、P…接続点。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 所定の相転移温度になると急激にその抵
    抗値が増大する正の抵抗温度係数を有するPTC素子を
    電路に備えて、該電路に過電流が流れることにより、当
    該PTC素子の温度が上昇してその温度が当該所定の相
    転移温度に至ると急激にその抵抗値が増大して過電流を
    抑制するPTC素子を用いた限流器であって、 前記PTC素子が、金属製の第一の端子および第二の端
    子に挟まれて電気的に接続され、かつ、当該PTC素子
    を加熱する電気式ヒータを具備することを特徴とする限
    流器。
  2. 【請求項2】 前記電気式ヒータが、前記PTC素子の
    温度を前記相転移温度より低い所定温度に保持する特性
    を有することを特徴とする請求項1記載の限流器。
  3. 【請求項3】 前記ヒータが、PTCセラミックスから
    なるサーミスタヒータであり、温度保持範囲が40〜3
    00℃であることを特徴とする請求項2記載の限流器。
  4. 【請求項4】 前記ヒータが、前記PTC素子を取付け
    る三相電力供給ケーブルに対して、星型結線あるいは三
    角結線により接続されていることを特徴とする請求項1
    〜3のいずれかに記載の限流器。
  5. 【請求項5】 電路に短絡電流等の過電流が流れると、
    温度が上昇してその温度が所定の相転移温度に達すると
    急激にその抵抗値が増大して当該過電流を限流するPT
    C素子と、当該PTC素子を所定温度に保持するヒータ
    を具備した限流器を備えた配線用遮断器であって、 前記配線用遮断器に用いられる限流器が、請求項1〜4
    のいずれかに記載の限流器であることを特徴とする配線
    用遮断器。
  6. 【請求項6】 前記電気式ヒータが、前記配線用遮断器
    の遮断接点よりも電力供給側に結線されていることを特
    徴とする請求項5記載の配線用遮断器。
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