JPH10276780A - PSA mRNAの検出方法及び検出キット - Google Patents

PSA mRNAの検出方法及び検出キット

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JPH10276780A
JPH10276780A JP9082895A JP8289597A JPH10276780A JP H10276780 A JPH10276780 A JP H10276780A JP 9082895 A JP9082895 A JP 9082895A JP 8289597 A JP8289597 A JP 8289597A JP H10276780 A JPH10276780 A JP H10276780A
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JP
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mrna
psa mrna
psa
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Application number
JP9082895A
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English (en)
Inventor
Satsuki Kobayashi
五月 小林
Takuya Koshizaka
卓也 越坂
Satoyuki Furuhata
聡之 古畑
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Nippon Steel Corp
Original Assignee
Sumitomo Metal Industries Ltd
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Publication date
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  • Measuring Or Testing Involving Enzymes Or Micro-Organisms (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 前立腺癌患者の血中から前立腺癌マーカーで
あるとされるPSA mRNAを高感度で確実かつ短時間で簡易
に検出するキット及び検出方法を提供する。 【解決手段】 a)ヒト末梢血の血中細胞成分、組織ま
たはリンパ節吸引生検細胞からPSA mRNAを抽出し、 b)このPSA mRNAを、PSA mRNAの塩基配列の一部に特異
的に設定したプライマー対、好ましくは、5'-TGTGCGCAA
GTTCACCCTCA-3'のセンスプライマー及び5'-CCACGATGGTG
TCCTTGATC-3'のアンチセンスプライマーを用いて、逆転
写ポリメラーゼチェイン反応(RT-PCR)法により増幅
し、そして c)この増幅産物をさらにあらかじめ96穴のタイタープ
レートに固相化したPSA mRNAに特異的なプローブ、好ま
しくは5'-AGAATCACCCGAGCAGG-3'の配列を有するプロー
ブにより捕捉し、捕捉した増幅産物を酵素標識した抗体
を用いて抗原抗体反応により検出する工程からなるPSA
mRNAの検出方法、及び上記プライマー並びにプローブを
含む検出キットに関する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、医学、臨床検査分
野において前立腺癌の確定診断、早期発見及び術後のモ
ニタリング、癌転移の有無の検出に有用な、前立腺癌マ
ーカーとしての前立腺特異抗原(PSA)のmRNAの検出に
関する。
【0002】
【従来の技術】血液成分中のPSAの検出は前立腺癌の診
断に有用な方法として知られている。現在では抗原抗体
反応を用いた血液成分中のPSA検出キットが数多く市販
されており、前立腺関連疾病の臨床検査に広く使用され
ている。しかし、転移性の前立腺癌では血液成分中のPS
A抗原が陽性と判定される頃には手遅れになっているこ
とが多く、早期の前立腺癌を発見するための検出方法及
び検出試薬の必要性が高まっている。また現在、前立腺
癌の確定診断は生検を用いて行われるのが主であるが、
生検では前立腺組織の全体に検査が行き渡らないため正
診率に問題が生じている。最近の研究から、前立腺癌時
に末梢血中に混入してくるPSA産生細胞中のPSAのmRNAの
検出が、より正確な前立腺癌の診断、早期の癌発見に繋
がるのではないかと示唆され始め、この分野に遺伝子工
学の手法が導入されつつある。現在までに、Moreno JG
ら(Cancer Res.52:6110-6112,1992)、Robert.Aら
(Urology 45:597-603,1995)、Katz AEら(Cancer 7
5:1642-1648,1995)などが、血中の細胞などから逆転
写ポリメラーゼチェイン反応(RT-PCR)法を用いた検出
法によりPSAのmRNAの検出に成功している。また、Israe
liらは、新たな前立腺特異抗原である前立腺膜抗原(pr
ostate membrane antigen:PSM)について検討してお
り、同様にRT-PCRを用いた方法でPSAのmRNAの検出に成
功している(Cancer Res.53:227-230,1993;J.Uro
l.153:573-577,1995)。さらに、Hoshiら(泌尿紀要4
2:781-785,1996)は、FNAB(Fine Needle Aspiration
Biopsy)によるリンパ節吸引生検細胞を用いて、そこに
混入している癌細胞のPSAのmRNAをRT-PCR法で検出する
ことにより骨盤内リンパ節転移の有無を検討しており、
この方法は従来から行われている細胞診の精度を上げ、
微小転移の有無を把握するのに有用であると報告してい
る。
【0003】現在行われているこれらのPSA mRNAの検出
法は、概して、(1)前立腺癌患者の末梢血中の細胞成
分、組織、もしくはリンパ節吸引生検細胞から抽出され
たPSAのmRNAを逆転写酵素によりcDNA化し、(2)PSAの
mRNAの配列の一部に特異的なプライマーを用いてPCR法
(高感度が要求される場合にはnested PCR法)で増幅を
行い、そして(3)電気泳動により目的増幅産物を分離
した後、目的増幅産物に特異的な標識プローブを用いて
サザンブロッティング法にてこの増幅産物を検出する。
ここで問題となるのは、PSAはカリクレインと呼ばれる
セリンプロテアーゼのスーパーファミリーに属し、特に
ヒト顎下腺由来のカリクレインのmRNAとPSAのmRNAの塩
基配列が酷似している点である(図2参照)。この問題
を解決するためには、顎下腺由来のカリクレインのmRNA
の配列と相同性の低い部位にプライマーを設定する必要
がある。更に、末梢血の細胞成分からPSAのmRNAを抽出
するためゲノムの混入も考えられることから、目的外の
これら混入物から如何にしてPSA mRNAを特異的にしかも
高感度に検出するかが課題となっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記の様な従来の検出
方法は検体入手から検出までに数日を要し、時間がかか
る上、電気泳動、ブロッティング等熟練を要する技術も
含まれる。また最終的にヒトの目視により検出の有無が
決定されるため、データーの客観性が乏しく、安定した
結果が得られない等の欠点を有する。
【0005】そこで、本発明では、検体入手から検出
までが1日で終了し、温度条件さえ守られれば特別な
装置および熟練を要する技術なしに実施でき、感度及
び特異性が高く、そして数値化により客観性の高いデ
ーターを提供する、PSA mRNAの検出キット及び該試薬を
用いる検出方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、PSA mRNA
を検出する方法において、PSA mRNAの一定領域の増幅に
際し、プライマーセットとrTth DNAポリメラーゼを用い
て逆転写PCR法をおこなうこと、またさらには、特定の
「プライマーセットおよび増幅産物固定化に用いるプロ
ーブ」を用いることにより、簡易で短時間で操作でき、
また高特異性で高感度な、PCR mRNAを検出する方法を見
いだし、本発明を完成するに至った。
【0007】本発明は、標識されたセンスプライマー及
びアンチセンスプライマーからなるプライマーセット及
び逆転写活性並びにポリメラーゼ活性を有するrTth DNA
ポリメラーゼを用いて前立腺特異抗原(PSA)のmRNAの
一定領域を逆転写PCR法により増幅し、そして増幅産物
を検出することからなる、試料中のPSA mRNAを検出する
方法に関する。
【0008】増幅産物の検出においては、支持体に固相
化された増幅産物特異的プローブに増幅産物をハイブリ
ダイゼーションさせて結合させ、標識に特異的であり且
つ酵素で標識されている抗体を該結合体と反応させて、
酵素に特異的な反応により結合体を検出することができ
る。
【0009】逆転写PCR法のプライマーセットとして
は、センスプライマー:5'-TGTGCGCAAGTTCACCCTCA-3'
(配列番号:1);およびアンチセンスプライマー:5'
-CCACGATGGTGTCCTTGATC-3'(配列番号:2)を用いるの
が好ましい。
【0010】増幅産物特異的プローブとしては、5'-AGA
ATCACCCGAGCAGG-3'(配列番号:3)を用いるのが好ま
しい。
【0011】プライマーの標識は、核酸標識として公知
のいかなる標識を用いることもできるが、センスプライ
マー及びアンチセンスプライマーの5’末端の2,4−
ジニトロフェニル(DNP)標識が好ましく、DNPを複数個
連結することにより検出感度を高めることも可能であ
る。
【0012】さらに、本発明によれば、それぞれ5’末
端がDNP標識されている、5'-TGTGCGCAAGTTCACCCTCA-3'
(配列番号:1)のセンスプライマー及び5'-CCACGATGG
TGTCCTTGATC-3'(配列番号:2)のアンチセンスプライ
マーからなる逆転写PCR反応用試薬、5'-AGAATCACCCGAGC
AGG-3'(配列番号:3)のプローブを有する固相支持
体、アルカリ変性液、及びハイブリダイゼーション用緩
衝液からなる、試料中のPSAのmRNAを検出するためのキ
ットも提供される。
【0013】本発明によるPSAのmRNAの検出は、以下の
工程:a(a−1〜a−3)及びb(b−1〜b−5)
により行うことができるが、当業者の常識の範囲で追加
及び変更等の修正がなされてもよいことは言うまでもな
い。
【0014】(a)逆転写及びPCR増幅反応 (a−1)抽出したPSA mRNAが含まれる検体を精製水も
しくはRNAの分解を防止する目的でRNaseインヒビターを
添加した水溶液10μlに再溶解する。
【0015】(a−2)次に最終濃度が50mM bicine、1
15mM 酢酸カリウム、8%(w/w)グリセロール及び、dAT
P、dTTP、dGTP、dCTP、酢酸マンガン(II)、rTth DNA
ポリメラーゼ、センスプライマー及びアンチセンスプラ
イマーの混合溶液に(a−1)で作製したPSA mRNA溶液
を加え、総計50μlとする。
【0016】PSA mRNA溶液のpHは好ましくは8.0〜8.4、
もっとも好ましくは8.2である。
【0017】dA,T,G,CTPの最終濃度は各々0.1〜0.5mMが
好ましく、もっとも好ましくは0.3mMである。
【0018】dTTPの代わりにdUTPを用いても差し支えな
く、この場合の最終濃度は0.1〜1.5mMが好ましく、もっ
とも好ましくは0.7mMである。
【0019】dUTPを用いる理由は以下のとおりである。
近年、DNA中のU(ウラシル)塩基を認識しUと五炭糖
の結合を切断する酵素活性を有するウラシル−N−グリ
コシラーゼ(UNG)と呼ばれる酵素を用いたキャリーオー
バーコンタミネーション防止法が開発された。即ち、dU
TPを用いてPCR増幅を行っておけば、本来チミンとなる
部分がウラシルに代わった増幅産物を得ることができ、
この増幅産物が新たに作製した増幅前の反応液に入って
も、UNGを添加してプレインキュベートを行えば、この
増幅産物を分解することができ、過去の増幅産物による
汚染を防止することができる。従って、本発明の系にも
コンタミネーション防止法を適用可能とするため、dUTP
を用いた逆転写及びPCR増幅反応条件を設定することが
できる。
【0020】酢酸マンガン(II)の最終濃度は1.0〜5.0
mMが好ましく、もっとも好ましくは4.0mM程度である。
【0021】rTth DNAポリメラーゼの最終濃度は0.05〜
0.2U/μlが好ましく、もっとも好ましくは0.1U/μl程
度である。
【0022】各プライマーの最終濃度は0.1〜1.0μMが
好ましく、もっとも好ましくは0.5μM程度である。
【0023】rTth DNAポリメラーゼは、逆転写活性及び
ポリメラーゼ活性の両方を有する。しかし、逆転写から
PCR増幅反応を一本のチューブで行う過程における逆転
写とPCR増幅の効率のバランスは、その鋳型となる核酸
の配列、及びプライマー配列に大きく依存しており、配
列の選択如何によってはRT-PCR増幅が不完全であった
り、全く増幅がなされていない場合がある。よって、増
幅させる部位の核酸配列及びプライマーの配列を適宜選
択する必要がある。従って、上記の事項に鑑み、本発明
では、rTth DNAポリメラーゼを用いた逆転写及びPCR増
幅において従来法のRT-nested PCR法の増幅感度に匹敵
するかもしくはそれ以上の性能を提供するプライマーで
あって、且つ、ヒト顎下腺由来カリクレインのmRNAの配
列と比較的相同性の乏しい部位を選択したプライマーを
使用する。
【0024】また、本発明のプライマーは増幅部位がPS
A をコードしているゲノム上ではエクソン4(センス
側)とエクソン5(アンチセンス側)にまたがるように
設定される。エクソン4とエクソン5の間には約1300塩
基のイントロンが存在するが、この設定により、下記の
PCR増幅における温度変化の条件ではゲノム由来の増幅
産物が生成しにくい。
【0025】(a−3)上記溶液に、以下の温度変化を
与えることによりPCR増幅を行う。 65℃ 30分 95℃ 1分 95℃ 25秒、55℃ 30秒:5サイクル 90℃ 25秒、55℃ 30秒:40サイクル 60℃ 7分
【0026】(b)プレート上でのPCR増幅産物の検出 (b−1)(a)で得られたPCR増幅産物(50μl)に等
量のアルカリ変性液を加えて混合し、好ましくは1〜15
分、もっとも好ましくは10分程度放置する。アルカリ変
性液には0.1N程度の水酸化ナトリウム溶液を使用する。
また最終濃度が好ましくは0.1〜5.0mg/ml、もっとも好
ましくは1.0mg/mlのサケ精子DNAを添加することによ
り、次に行うハイブリダイゼーション時の非特異的吸着
を防止し、より正確なハイブリダイゼーションを行う。
【0027】(b−2)次に、予めPSA mRNAに特異的な
上記プローブを固相化したマイクロウェルを用意する。
【0028】本発明のプローブは、ゲノムのDNAの混入
により増幅されてしまう可能性のある目的以外の増幅産
物が捕捉されないように、エクソン4とエクソン5の境
界部位を含んだ領域に設定される。
【0029】また、PSA mRNAはヒト顎下腺カリクレイン
のmRNAと良く似た配列を有するが、本プローブはPSA mR
NAとヒト顎下腺カリクレインのmRNA間で配列上比較的相
同性の乏しい部位を使用しており、仮に、ヒト顎下腺カ
リクレインのmRNA由来の増幅産物が生成されても捕捉さ
れず、偽陽性を生じない設計とする。
【0030】次に、プローブを固相化したマイクロウェ
ルにハイブリダイゼーション緩衝液を100μl加える。ハ
イブリダイゼーション緩衝液は、尿素、塩化ナトリウ
ム、リン酸二水素ナトリウム、エチレンジアミン四酢
酸、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート(Twe
en20)、ポリエチレンアルコールを含む溶液であり、水
酸化ナトリウムを加えてpHを7.0に調製する。更に、ハ
イブリダイゼーションの前に、本ハイブリダイゼーショ
ン緩衝液に塩酸または硫酸を適量添加し、上記変性増幅
産物を25μl加えた時に中性(pH6.5〜7.5)になるように
調製する。
【0031】本ハイブリダイゼーション緩衝液中の尿素
の濃度は4〜8Mが好ましく、もっとも好ましくは6M
程度である。
【0032】ポリエチレングリコールは分子量が6000程
度のものが好ましく、濃度は2〜6%(w/v)が好まし
く、もっとも好ましくは3%程度である。
【0033】その他、塩化ナトリウムの濃度は0.3M程
度、リン酸二水素ナトリウムは20mM程度、エチレンジア
ミン四酢酸濃度は2mM程度、そしてポリオキシエチレン
ソルビタンモノラウレートの濃度は1%(w/v)程度が
好ましい。
【0034】(b−3)(b−1)で作製したアルカリ
変性済みのPCR産物25μlを(b−2)で用意したハイブ
リダイゼーション緩衝液を添加したウェルに加え、静か
に混合する。その後35〜40℃において、好ましくは37℃
で30〜90分、もっとも好ましくは60分程度放置し、ハイ
ブリダイゼーションを行う。
【0035】(b−4)次に0.1%(w/v)のポリオキシ
エチレンソルビタンモノラウレートを含む0.5×PBS(Ph
osphate-buffered saline:8g/l塩化ナトリウム、0.2
g/l塩化カリウム、1.15g/lリン酸一水素ナトリウム
(無水)及び0.2g/lリン酸二水素ナトリウム(無
水))でウェルを良く洗浄した後、抗ジニトロフェニル
(DNP)ウサギポリクロナール抗体/ペルオキシダーゼ
標識を含む溶液を添加し、37℃で30分間放置する。
【0036】(b−5)(b−4)の操作と同様にウェ
ルを洗浄した後、3,3',5,5'−テトラメチルベンジ
ジン(基質液100μl)を用いてペルオキシダーゼ活性を
発色反応として測定する。発色は15分間行い酸性溶液
(停止液100μl)により停止し、波長450nmにて吸光度
を測定する。吸光度が0.3以上の場合を陽性と判定す
る。なおブランクは、検出の他にウェルを用意し、同様
に基質液、停止液を100μl添加したものとし、その吸光
度を0とし、他に測定する。
【0037】
【実施例】
実施例1.リンパ節転移由来前立腺癌系列細胞(LNCaP)
からのPSA mRNAの検出 LNCaP細胞はヒト前立腺癌の癌系列細胞として知られて
おり(Cancer Res 43:1809-1818,1983)、PSA を産生
する細胞として使用されている。この培養細胞106個よ
りAGPC法(acid guanidinium thiocyanate-phenol-
chloroform法、実験医学15:99-102,1991)の変法(共
沈剤使用)にてPSA mRNAを抽出し、PSA mRNAの希釈系列
を作製した。1個の細胞が複数のPSA mRNAを産生してい
ると考えられるため、細胞数換算で、102〜10-3個相当
の希釈系列を作製した。この希釈系列を用いて本発明の
方法にてPSA mRNAの検出を試みた。
【0038】抽出されたLNCapのPSAのmRNAは、最終濃度
が250U/mlとなるようRNaseインヒビター(ファルマシ
アバイオテク社製)を添加した水溶液10μlに再溶解
し、最終濃度が50mM bicine、115mM 酢酸カリウム、8
%(w/w)グリセロール及び、各0.3mMのdATP、dTTP、dG
TP及びdCTP、4mMの酢酸マンガン(II)、0.1U/μlのr
Tth DNAポリメラーゼ(パーキンエルマー社製)、各0.5
μMのセンスプライマー(配列番号:1)及びアンチセ
ンスプライマー(配列番号:2)の混合溶液を加えて総
計50μlとし、pHを8.2に調整した。プライマーはミリジ
ェン社製モデル8750により合成した(下記プローブも同
様)。
【0039】上記溶液に、以下の温度変化を与えること
によりPCR増幅を行った。 65℃ 30分 95℃ 1分 95℃ 25秒、55℃ 30秒:5サイクル 90℃ 25秒、55℃ 30秒:40サイクル 60℃ 7分
【0040】PCR増幅産物(50μl)に等量のアルカリ変
性液(0.1N NaOH)を加えて混合し、10分放置した。ま
た、最終濃度1.0mg/mlのサケ精子DNA(シグマ社製)を
添加することにより、ハイブリダイゼーション時の非特
異的吸着を防止した。次に、予めPSA mRNAに特異的なプ
ローブ(配列番号:3)を固相化したマイクロウェルに
100μlのハイブリダイゼーション緩衝液(6M尿素、0.
3M NaCl、20mM NaH2PO4、2mM EDTA、1%(w/v)Twee
n20 および3%ポリエチレンアルコール(分子量600
0)、pH7.0)を加えた。尚、ハイブリダイゼーションの
前に、ハイブリダイゼーション緩衝液に硫酸を適量添加
して、変性増幅産物を25μl加えた時中性(pH6.5〜7.
5)になるようにした。
【0041】アルカリ変性済みのPCR産物25μlを、上記
ハイブリダイゼーション緩衝液を添加したウェルに加
え、静かに混合した。そして、37℃で60分放置し、ハイ
ブリダイゼーションを行った。
【0042】次に、0.1%(w/v)のポリオキシエチレン
ソルビタンモノラウレートを含む0.5×PBSでウェルを良
く洗浄した後、抗DNPウサギポリクロナール抗体/ペル
オキシダーゼ標識(ダコ ジャパン社製)を含む溶液を
添加し、37℃で30分間放置した。再度、上記と同様にウ
ェルを洗浄した後、3,3',5,5'−テトラメチルベン
ジジン(基質液100μl)を用いてペルオキシダーゼ活性
を発色反応として測定した。発色は15分間行い、酸性溶
液(停止液100μl)により停止し、波長450nmにて吸光
度を測定した。吸光度測定機はコロナ社製モデルMTP-32
を使用した。吸光度が0.3以上の場合を陽性と判定し
た。なおブランクは、検出の他にウェルを用意し、同様
に基質液、停止液を100μl添加したものとし、その吸光
度を0とし、他に測定した。結果を以下の表1に示す。
【0043】
【表1】
【0044】上記表1に示すように、カットオフ値を仮
に0.3と定めた場合、細胞数換算で、10-2個まで測定可
能であった。尚、図3は表1の結果を示す、プレートの
ウエルの模写図である。
【0045】実施例2.各種癌系列細胞からのPSA mRNA
の検出 現在までに、既存のPSA mRNA検出技術を用いて様々な前
立腺癌以外の癌系列細胞からのPSA mRNAの検出検討がな
されている。Mitchell Rらは卵巣癌(BG-1)、肺癌(SK
-MES-1)、骨髄腫(HL-60)由来の系列細胞から、微量
ではあるがPSA mRNAが検出されたと報告している(Canc
er Res.55:2640-2644,1995)。また、Nosratollah
Z.らは、女性の乳癌からもPSA mRNAが検出された旨報
告している(Clin Chem 42:361-366,1996)。そこ
で、本発明者らはLNCaP細胞を除く15種類の泌尿器癌系
列細胞約106個より、実施例1と同様に、AGPC変法
にてRNAを抽出したのち本発明の方法にてPSA mRNAの検
出を試みた。結果を以下の表2に示す。
【0046】
【表2】
【0047】尚、表2中の15種の細胞は、下記より入手
するかあるいは下記文献の記載に従い入手した。 PUC3:Invest.Urol.,17:16-23,1979 DU145:Int.J.Cancer,21:274-281,1978 R3及びR4:東北大学医学部泌尿器科より入手 TOS1〜3及び3LN:東北大学医学部泌尿器科より
入手 NEC8及び14:理化学研究所製 ACHN:大日本製薬(株)製 KK47:東北大学医学部泌尿器科より入手 T24:Int.J.Cancer,5:310-319,1970 J82:東北大学医学部泌尿器科より入手 YTS−1:東北大学医学部泌尿器科より入手 上記表2に示す結果から、TOS3、NEC8及びNE
C14細胞にPSA mRNAが検出されたと判定される。
【0048】実施例3.ヒト末梢血のリンパ球中に混在
する癌細胞からのPSA mRNAの検出 前立腺疾患患者の血液より有核成分を採取し、実施例1
と同様に、AGPC変法にてRNAを抽出したのち本発明
の方法によりPSA mRNAの検出を行ったところ、9例中2
例にPSA mRNAが検出され、その臨床段階(ステージ)は
前立腺癌のD2であった(結果は示さず)。
【0049】実施例4.ヒト血清中に残存する癌細胞か
らのPSA mRNAの検出 血清に残存している有核細胞からもPSA mRNAの検出を試
みた。前立腺疾患患者の血清を500〜1000μl分取し、冷
却高速遠心機で12000×g、4℃において20分間遠心分
離し、残存する細胞を回収した。その細胞より、実施例
1と同様に、AGPC変法にてRNAを抽出したのち本発
明の方法によりPSA mRNAの検出を行った。その結果、血
清からも、吸光度の数値は低いものの、その中に残存す
ると考えられる有核細胞よりPSA mRNAが抽出され、検出
することができた。表3に示すとおり、72例中3例は明
らかにPCR mRNA陽性と判定された。従って、保存や全血
からの前処理が困難であるヒト末梢血のリンパ球でなく
てもPSA mRNAの検出が容易に行えることが示唆された。
【0050】
【表3】
【0051】実施例5.リンパ節吸引生検細胞中に混入
している癌細胞からのPSA mRNA 前立腺癌、膀胱癌患者の骨盤内リンパ節より、FNABによ
り吸引採取された細胞及びリンパ節組織をタンパク質分
解酵素にて分解した後、実施例1と同様に、AGPC変
法にてRNAを抽出したのち本発明の方法によりPSA mRNA
の検出を行った。その結果、前立腺癌術後再燃患者、も
しくは骨転移患者のリンパ節吸引生検細胞中からPSA mR
NAが検出され(表4の検体4及び5)、膀胱癌患者のリ
ンパ節吸引生検細胞及び、リンパ節組織、転移の無い前
立腺癌患者のリンパ節吸引生検細胞及び、リンパ節組織
からはPSA mRNAは検出されなかった。
【0052】
【表4】
【0053】
【発明の効果】本発明により、逆転写とPCR増幅を別
々に行い、更にnested PCR法で検出を試みていた従来の
方法に比して、簡便にかつ高感度で、またPCRを用いた
遺伝子検査で最も注意を払うコンタミネーションの危険
性を低減させたPSA mRNAの検出を行うことができる。し
かも増幅産物を電気泳動したのちメンブランに転写しサ
ザンハイブリダイゼーションを行う既存法と異なり、プ
レートにおいてハイブリダイゼーションを行うため短時
間(1日)で検出作業まで終了し、操作性も良好で、検
体数が多い場合にも対応でき、データーの客観性にも優
れている。
【0054】このような本発明の効果は、前立腺癌の早
期発見、癌転移の有無、前立腺肥大との区別、術後の経
過観察、前立腺癌以外の癌との識別を行う場合には、特
に有利である。
【0055】また本発明のプライマーへの標識方法、ハ
イブリダイゼーション時の試薬の工夫による増感法、特
異性向上は、PSA mRNA検出と性格が類似したその他の癌
マーカーの検出、ウイルス遺伝子の検出にも対応可能で
あり、その応用範囲は極めて広い。
【0056】
【配列表】
【0057】配列番号:1 配列の長さ:20 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:Genomic DNA 配列 TGTGCGCAAG TTCACCCTCA 20
【0058】配列番号:2 配列の長さ:20 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:Genomic DNA 配列 CCACGATGGT GTCCTTGATC 20
【0059】配列番号:3 配列の長さ:17 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:Genomic DNA 配列 AGAATCACCC GAGCAGG 17
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、PSA mRNAの塩基配列の構造及び一部で
あり、本発明で使用しているプライマー及びプローブの
設定位置を示す図である。
【図2】図2は、本発明に使用されるプライマー及びプ
ローブの設定位置を、PSA mRNAの塩基配列上で示す図で
ある。尚、ヒト顎下腺カリクレインのmRNAを並記するこ
とにより、PSAのmRNAとの相同性についても示す。
【図3】図3は、本発明の検出法にてプレート上で検出
されたLNCaP細胞からのPSA mRNAの検出結果を示すプレ
ート模写図である。示された数値は、使用したPSA mRNA
の量を細胞数換算(個)で示したものである。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 標識Aにより標識されたセンスプライマ
    ー及びアンチセンスプライマーからなるプライマーセッ
    ト及びrTth DNAポリメラーゼを用いて前立腺特異抗原
    (PSA)のmRNAの一定領域を逆転写PCR法により増幅し、
    そして増幅産物を検出することからなる、試料中のPSA
    mRNAを検出する方法。
  2. 【請求項2】 増幅産物の検出において、支持体に固相
    化された増幅産物特異的プローブに増幅産物をハイブリ
    ダイゼーションさせて結合させ、標識Aに特異的であり
    且つ酵素で標識されている抗体を該結合体と反応させ
    て、酵素に特異的な反応により結合体を検出することか
    らなる、請求項1記載の検出方法。
  3. 【請求項3】 逆転写PCR法のプライマーセットのう
    ち、 センスプライマーが5'-TGTGCGCAAGTTCACCCTCA-3'(配列
    番号:1)であり、そしてアンチセンスプライマーが5'
    -CCACGATGGTGTCCTTGATC-3'(配列番号:2)であり、 そして、増幅産物特異的プローブが5'-AGAATCACCCGAGCA
    GG-3'(配列番号:3)である、請求項1または2記載
    の検出方法。
  4. 【請求項4】 標識Aが、センスプライマー及びアンチ
    センスプライマーの5’末端の2,4−ジニトロフェニ
    ル(DNP)標識である、請求項1乃至3のいずれか1項
    記載の検出方法。
  5. 【請求項5】 DNPが複数個連結している、請求項4記
    載の検出方法。
  6. 【請求項6】 (a)5'-TGTGCGCAAGTTCACCCTCA-3'(配
    列番号:1)のセンスプライマー及び5'-CCACGATGGTGTC
    CTTGATC-3'(配列番号:2)のアンチセンスプライマー
    からなるが、但し、それぞれのプライマーの5’末端が
    DNP標識されている、逆転写PCR反応用試薬、 (b)5'-AGAATCACCCGAGCAGG-3'(配列番号:3)のプ
    ローブを有する固相支持体、 (c)アルカリ変性液、及び (d)ハイブリダイゼーション用緩衝液からなる、試料
    中のPSAのmRNAを検出するためのキット。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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FR2810677A1 (fr) * 2000-06-27 2001-12-28 Urogene Procede de diagnostic in vitro du cancer de la prostate et kit de mise en oeuvre
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