JPH102808A - 温度センサおよびその製造方法ならびに同センサを使用した警報装置 - Google Patents

温度センサおよびその製造方法ならびに同センサを使用した警報装置

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JPH102808A
JPH102808A JP15585996A JP15585996A JPH102808A JP H102808 A JPH102808 A JP H102808A JP 15585996 A JP15585996 A JP 15585996A JP 15585996 A JP15585996 A JP 15585996A JP H102808 A JPH102808 A JP H102808A
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temperature sensor
temperature
diffusion
thickness
diffusion pair
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JP15585996A
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Masaki Tamura
雅貴 田村
Yoshiyasu Ito
義康 伊藤
Masashi Takahashi
雅士 高橋
Masahiro Saito
正弘 齋藤
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Toshiba Corp
Original Assignee
Toshiba Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】拡散現象を利用することにより、高温における
温度計測を可能とした温度センサ、その製造方法、同セ
ンサを使用した警報装置を提供する。 【解決手段】温度センサは、組成の異なる合金材料を2
種類積層した拡散対1、1からなり、この拡散対1、1
の界面に形成される相互拡散層2の厚さから加熱温度T
を推定するものである。Ni,Co,Cr,Feのうち
1種を含む合金材料から選択した板材の上に、この板材
とは組成の異なるNi,Co,Cr,Feのうち1種を
含む合金材料の粉末をガス炎溶射等によって被覆させ
る。ガスタービンの動翼、静翼等に組成の異なる合金材
料を2種類積層した拡散対温度センサを設けて警報装置
を構成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高温環境下での酸
化や異材界面の相互拡散現象を利用した、温度センサお
よびその製造方法ならびに同センサを使用した警報装置
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来よく知られているように、500 ℃を
越える高温環境下では、熱電対や放射温度計による温度
計測が行われている。熱電対は2種類の金属の接点の温
度を測定するためのもので、2種類の金属間に生じる熱
起電力の測定に利用されており、高温における温度測定
手段として最も信頼されている。
【0003】一方、放射温度計は高温の物体から放射さ
れる輻射の強さを測定しており、その原理は黒体輻射に
関するステファン−ボルツマン則に基づいている。その
特徴は、非接触による温度計測が可能である点にあり、
熱電対では測定できない高い温度の測定における温度計
測用として適用されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところが、熱電対や放
射温度計による温度計測にはそれぞれ以下の欠点があ
る。まず、熱電対による温度計測では、熱電対の種類に
より使用できる雰囲気や適用温度の範囲が制限される。
例えば最も高温で温度計測ができる白金ロジウム(R)
の熱電対では、1200℃まで測定可能であるが、真空ある
いは不活性ガス雰囲気でしか使用できない。なお、酸化
雰囲気で最も高温まで使用できる熱電対としてクロメル
アロメル(K)が知られているが、測定温度範囲はたか
だか1000℃程度であり、それ以上の温度の測定は熱電対
では困難である。
【0005】また、熱電対では起電力をモニターするた
めの電気的な接続が常に必要であるため、温度測定箇所
が限定されるとともに、コードを引き回したり、コード
の取り入れ口を用意する必要があり、回転体などの移動
する物体における温度測定には適用が困難である。
【0006】一方、放射温度計では非接触で温度測定が
行える反面、測定箇所を見通せる位置に放射温度計を設
置する必要があるため、測定箇所が熱電対以上に制限さ
れることが多い。また通常、測定対象は黒体(輻射率は
1)ではなく、1以下のある輻射率を有する。輻射率は
測定対象の材質だけでなく、表面の凸凹や酸化状態など
に依存するものであり、測定の途中で変化する可能性も
ある。加熱の途中で酸化が進む金属では、輻射率の特定
が困難である。
【0007】また、放射温度計の温度計測では、空気中
での減衰が少ない赤外線が用いられるが、測定箇所から
放射温度計までの距離が大きい場合や、途中にガラス窓
がある場合等においては減衰が無視できない。したがっ
て、輻射率や減衰率を正確に把握しなければ、放射温度
計による正確な温度計測は望むことができない。
【0008】本発明はこのような事情に鑑みてなされた
ものであり、拡散現象および酸化現象を利用することに
よって高温における温度計測を可能とし、温度測定箇所
を自由に選択すること、あるいは温度測定位置を細かく
設定することが可能であり、また適切な合金材料や拡散
対を選択することにより、酸化または不活性などの雰囲
気を自由に選択でき、しかも適用温度範囲の制限もな
く、温度の測定対象が回転体などの移動する物体であっ
ても問題がない温度センサおよびその製造方法ならびに
同センサを使用した警報装置を提供することを目的とし
ている。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、請求項1記載の発明に係る温度センサは、組成の
異なる合金材料を2層積層した拡散対からなり、この拡
散対界面に形成される相互拡散層厚さに換算可能な物理
量を計測し、該計測値に基づいて加熱温度を推定するこ
とを特徴とする。
【0010】請求項2記載の発明は、請求項1記載の温
度センサにおいて、組成の異なる合金材料を2層積層し
た拡散対間の電気抵抗を計測し、その電気抵抗を前記拡
散対界面に形成された相互拡散層厚さに換算することを
特徴とする。
【0011】請求項3記載の発明は、請求項1記載の温
度センサにおいて、Ni、Co、Cr、Feのうち少な
くとも1種を含む合金材料の中から選択した、組成の異
なる合金材料を2層積層した拡散対を用いることを特徴
とする。
【0012】請求項4に記載の発明は、請求項1記載の
温度センサにおいて、拡散対の製造プロセスとして、大
気プラズマ溶射法、減圧プラズマ溶射法のいずれか一つ
を適用することを特徴とする。
【0013】請求項5記載の発明は、請求項1記載の温
度センサにおいて、合金材料の表面に形成される酸化層
厚さに換算可能な物理量を計測し、該計測値に基づい
て、酸化雰囲気における加熱温度を推定することを特徴
とする。
【0014】請求項6記載の発明は、請求項5記載の温
度センサにおいて、合金材料の質量を秤により計測し、
該合金材料の質量の酸化増量を酸化層厚さに換算するこ
とを特徴とする。
【0015】請求項7記載の発明は、請求項5記載の温
度センサにおいて、表面酸化層の成長による合金材料表
面の歪みをゲージにより計測し、該計測値を酸化層厚さ
に換算することを特徴とする。
【0016】請求項8記載の発明は、請求項5記載の温
度センサにおいて、表面酸化層の成長による合金材料表
面の変位を変位計により計測し、該計測値を酸化層厚さ
に換算することを特徴とする。
【0017】請求項9記載の発明は、請求項8記載の温
度センサにおいて、Ni、Co、Cr、Feのうち少な
くとも1種を含む合金材料の中から選択した合金材料を
用いることを特徴とする。
【0018】請求項10記載の発明に係る警報装置は、
請求項5に記載の温度センサをガスタービンの高温部品
である燃焼器、動翼、静翼などの周囲に取り付け、温度
上昇が許容温度以上になった時に前記温度センサの検知
出力に基づいて警報機を作動させることを特徴とする。
【0019】請求項11記載の発明に係る温度センサ
は、Ni、Co、Cr、Feのうち少なくとも1種を含
む合金材料の中から選択した、組成の異なる合金材料を
2層積層した拡散対からなり、この拡散対界面において
少なくとも2層形成される相互拡散層厚さに基づいて加
熱温度と加熱時間をともに推定することを特徴とする。
【0020】請求項12記載の発明に係る温度センサ
は、Ni、Co、Cr、Feのうち少なくとも1種を含
む合金材料の中から選択した、組成の異なる合金材料を
少なくとも3層積層した拡散対からなり、これら拡散対
界面における相互拡散層厚さから加熱温度と加熱時間を
ともに推定することを特徴とする。
【0021】請求項13記載の発明に係る温度センサ
は、組成の異なる合金材料を2層積層した拡散対からな
り、この拡散対界面における相互拡散層厚さおよび合金
材料の表面における酸化層厚さから加熱温度と加熱時間
をともに推定することを特徴とする。
【0022】請求項14に記載の発明に係る温度センサ
は、Ni、Co、Cr、Feのうち少なくとも1種を含
む合金材料の中から選択した、組成の異なる合金材料を
2層積層した拡散対からなり、この拡散対界面における
相互拡散層厚さおよび酸化層厚さから加熱温度と加熱時
間をともに推定することを特徴とする。
【0023】請求項15記載の発明に係る温度センサの
製造方法は、Ni、Co、Cr、Feのうち少なくとも
1種を含む合金材料の中から選択した板材の上に、この
板材とは組成の異なるNi、Co、Cr、Feのうち少
なくとも1種を含む合金材料の粉末を、ガス炎溶射法ま
たはプラズマ溶射法により被覆することを特徴とする。
【0024】上述したように、本発明に係る温度センサ
は拡散現象、主に合金材料の拡散対界面における相互拡
散現象や合金材料表面における酸化現象を応用したもの
である。ここで、リアルタイムでの温度計測のために
は、拡散層厚さまたは酸化層厚さに換算可能な物理量を
計測することが必要である。また、繰り返し温度計測を
行うためには、物理量の計測方法として合金材料を破壊
しない方法(例えば光学顕微鏡による断面組織の観察
等)を選択することも重要である。
【0025】本発明では、拡散層成長に伴う拡散対間の
電気抵抗の変化に基づいて拡散層厚さを推定し、また酸
化層成長に伴う体積の変化や酸化増量から酸化層厚さを
推定し、あるいは拡散層厚さまたは酸化層厚さを断面組
織の観察や重量測定の結果から推定している。したがっ
て、原理的には相互拡散や表面酸化が生じるすべての系
を温度センサとして用いることができる。しかしなが
ら、実際には光学顕微鏡で観察し易い厚さ10〜500 μm
の相互拡散層や、酸化層が測定温度範囲で生じる拡散
対、または合金材料を選択することが便利である。こう
して選択した温度センサの本体となる拡散対や合金材料
は大きくする必要はなく、その大きさを1 〜2 mmと小さ
くしても温度計測は可能である。周囲に影響を及ぼすこ
とない、このような小さい拡散対や合金を用いることに
より、温度測定箇所を自由に選択することができるだけ
でなく、温度測定位置を細かく設定することも可能であ
る。
【0026】また、適切な合金や拡散対を選択すること
により、酸化または不活性などの雰囲気を自由に選択で
き、しかも適用温度範囲の制限も少なくすることが可能
である。さらに、一定間隔で温度センサを測定対象から
取り外し、上述の物理量を計測する方法を採用すると、
熱電対に必要なケーブルが不要であるので、回転体など
の移動する物体の温度測定も可能になる。
【0027】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態について
図面を参照して説明する。
【0028】本発明に係る温度センサの一実施形態を図
1に示す。同図に示すように、この温度センサは組成の
異なる合金材料を2種類積層した拡散対1、1からな
り、この拡散対1、1の界面に形成される相互拡散層2
の厚さwから、加熱温度を推定するものである。
【0029】拡散現象は普通、加熱温度の影響が決定的
に大きい。これは拡散現象が熱活性化過程であることに
起因するもので、その温度依存性をアーレニウスタイプ
で整理することができる。さらに拡散現象に関する放物
線側から、相互拡散層2の厚さは加熱時間の平方根に比
例することを考慮すると、相互拡散層2の厚さwは次式
で表すことができる。
【0030】
【数1】 ただし、Tは加熱温度、tは加熱時間、k0 、cは実験
定数である。
【0031】今、式(1)を時間微分すると、次式
(2)が得られる。
【0032】
【数2】 さらに式(2)を温度Tで整理すると、次式(3)が導
かれる。
【0033】
【数3】 あらかじめ拡散実験によって実験定数であるk0 、cを
求めておけば、拡散層厚さwと、その変化率dw/dt
から、加熱温度を推定することが可能である。式(3)
が本発明における加熱温度推定の基本式となる。
【0034】図2は、本発明の他の実施形態を示してい
る。すなわち、拡散対界面の相互拡散現象以外に、酸化
現象を利用して温度センサを構成するものである。この
温度センサは、合金材料3の表面における酸化層4の厚
さから、酸化雰囲気における加熱温度を推定するもので
ある。この実施形態においても、拡散対1、1を用いた
温度センサと同様に、加熱温度の推定は式(3)に基づ
く。ただし、この場合には、式(3)におけるwは酸化
層厚さである。
【0035】図3は、本発明のさらに他の実施形態を示
している。この実施形態では図3に示すように、2層の
積層体からなる拡散対1、1の両端の電気抵抗を計測す
ることにより、温度を測定する温度センサを構成するも
のである。同図に示すように、この温度センサは拡散対
1、1に直列に定電圧電源5と電流計6とを接続し、拡
散対1、1間の電気抵抗を測定するものである。この温
度センサの特徴は、図4に示すように、拡散対の界面に
生じる相互拡散層2の厚さwに応じて電気抵抗Rが変化
する点にある。電気抵抗の増加は、拡散層成長に伴うエ
ントロピーの増加に比例するものであり、一般に見られ
る現象である。この実施形態では相互拡散層2の成長に
伴う電気抵抗の変化率の大きい材料系、すなわちNi、
Co、Cr、Feのうち、少なくとも1種を含む合金材
料から拡散対を選択した。本特性を利用すると、電気抵
抗を計測することにより相互拡散層厚さを推定すること
ができる。
【0036】次に本発明に係る温度センサの本体である
拡散対の製造方法の実施形態について、図5を参照して
説明する。図5は、同製造方法を示す説明図である。本
実施形態では、温度センサの拡散対の製造に大気プラズ
マ溶射法、ガス炎プラズマ溶射法、減圧プラズマ溶射法
のいずれか一つを適用する。具体的には、まずNi、C
o、Cr、Feのうち少なくとも1種を含む合金材料か
ら選択した板材7(図5(a))を用意し、この板材7
の表面をブラストにより粗面化し(図5(b))、この
後、板材7とは組成の異なるNi、Co、Cr、Feの
うち少なくとも1種を含む合金材料の粉末8を、大気プ
ラズマ溶射法、ガス炎プラズマ溶射法、減圧プラズマ溶
射法のいずれか一つの方法により被覆する(図5
(c))。
【0037】本実施形態の方法では、上述の低温プロセ
スを採用することにより、他の製造方法(拡散熱処理や
ろう付けなど)に比べて、製造時の温度上昇を150 〜50
0 ℃と低く抑えることができる。すなわち、加熱時の厚
さに比較して、初期の拡散層2の厚さを小さくすること
ができるため、加熱時の推定温度に含まれる誤差を小さ
く抑えることができる。
【0038】また、拡散対間の密着性についても、他の
製造方法と同等に高く、かつ拡散対製造時に拡散層界面
に酸化層が生じることもないため、拡散対界面が相互拡
散の妨げになることもない。
【0039】本実施形態に係る温度センサの一例として
作製した2層積層した拡散対のそれぞれの化学組成を図
6に示す。ここでは一方の合金を図6の表の(a)に示
す組成として、他方の合金を同表の(b)とする拡散対
を本体とする温度センサを用いた。この温度センサにお
ける拡散層挙動を示す式(1)、すなわち
【数4】 の中では、k0 =6.3 m /(s1/2)、c=1.8 ×10
4 Kであることが拡散実験から確かめられた。加熱時間
を最大で24000 時間とすると、この温度計の使用温度範
囲は800 〜1000℃である。さらに拡散対の一方の合金を
図6の表の(a)に示す組成のものに固定し、他方の合
金の組成を変化させると、式(1)中の実験定数k0 、
cの値が変化する。例えば他方の合金の組成を図6の表
の(c)〜(e)にした場合の実験定数k0 、cの値を
図7の表にまとめて示す。当然、実験定数k0 、cの値
の変化に伴い、使用温度範囲も変化する。こうして数種
類の拡散対を用いることにより、測低温度範囲を800 〜
1400℃と広くカバーすることができる。
【0040】図4に拡散層厚さと電気抵抗(比抵抗)の
関係を示す。本関係は図6に示した表の(a)と(b)
の組成を持つ材料からなる拡散対の特性である。拡散層
厚さは数10〜数100 μmであるため、拡散対の厚さは1
mm前後が望ましい。また電気抵抗の温度ドリフトは、拡
散層厚さ成長による電気抵抗の変化の10倍ほど大きいた
め、電気抵抗の測定は拡散対を測定対象から取り外した
後に実施する必要がある。測定対象から外した拡散対は
電極(銅)間に挟みこむ。その際、電極表面には導電性
のペーストを塗布し、接触抵抗を小さく抑えることによ
り、電極と拡散対の接触面積を10mm2 程度まで小さくす
ることができる。
【0041】ただし、精度を高めるためには接触面積を
大きくする方が好ましい。上述のように、拡散対の形状
を10mm2 ×1mmt 間で小さくすることができ、また電気
的接続も不要なため、温度測定箇所を自由に選択するこ
とができ、かつ温度測定位置を細かく設定することも可
能である。また回転体などの移動する物体の温度測定も
可能である。
【0042】本発明に係る温度センサのその他の実施形
態として、図8に合金材料3の質量を秤9で計測し、表
面に生成した酸化層4の成長に伴う質量の酸化増量を測
定することにより、温度を測定する温度センサの構成を
示す。この実施形態では生成した酸化層4が合金材料3
表面から剥離しにくい材料系、すなわちNi、Co、C
r、Feのうち少なくとも1種を含む材料から合金材料
から選択した。あらかじめ合金材料表面を研磨すること
により、初期の酸化層4の厚さを低く抑え、加熱時の推
定温度に含まれる誤差を小さく抑えることができる。
【0043】本発明に係る温度センサの他の実施形態の
一例として作製した合金材料の化学組成を図16に示
す。この温度センサにおける拡散層挙動を示す式
(1)、すなわち
【数5】 の中ではk0 =10.2 m/(s1/2)、c=2.0 ×104
であることが拡散実験から確かめられた。加熱時間を最
大で24000 時間とすると、この温度センサの使用温度範
囲は800 〜1000℃である。さらに組成の異なる数種類の
合金材料を用いることにより、使用温度範囲を800 〜14
00℃と拡張することができる。
【0044】図9には酸化層厚さと酸化増量との関係を
示す。扱いやすさの観点から合金材料の厚さは数mm前後
が望ましい。また、酸化増量は測定対象から取り外さな
い状態でも測定可能であり、測定対象から取り外しても
測定可能である。合金材料の大きさも秤の測定限界から
考えると10mm2 程度まで小さくすることができる。ただ
し、精度を高めるには合金材料を大きくする方が望まし
い。上述のように、拡散対の形状を10mm2 ×1mmt 間で
小さくすることがでるため、温度測定箇所を自由に選択
することができ、かつ温度測定位置を細かく設定するこ
とも可能である。また、測定対象から取り外して酸化増
量を測定する場合に限り、回転体などの移動する物体の
温度測定も可能である。
【0045】上述した本発明に係る温度センサは、具体
的にはガスタービンの高温部品、すなわち燃焼器、動
翼、静翼などの周囲に取り付け、温度上昇が許容温度以
上になった場合に、警報機を作動させるようにした警報
装置に適用することができる。これにより、従来に比し
てガスタービンなどの信頼性を向上させることができ
る。
【0046】次に本発明に係る温度センサのさらに他の
実施形態を図10〜図12によって説明する。図10〜
図12は、それぞれセンサ構成を示す図である。これら
の図に示すように、厚さに対する加熱温度と加熱時間の
依存性が明らかな層が同時に2つ存在する場合について
考える。
【0047】例えば図10に示すように、拡散対10、
10の界面に相互拡散層12があり、同時に拡散対10
の表面に酸化層14がある場合、また図11に示すよう
に、拡散対10、10界面に相互拡散層14が2層存在
する場合、さらに図12に示すように、3層積層からな
る拡散対10、10の2つの界面にそれぞれ一つずつ相
互拡散層12が2層ある場合である。
【0048】上述の2層の厚さw1 、w2 は、
【数6】
【数7】 と表すことができる。ただし、k10、k20、c1 、c2
は酸化、拡散実験によって決定される実験定数である。
今、両辺をそれぞれk10 ,k20で除した後、自然対数を
取ると、式(4)、(5)は
【数8】 と変形することができる。式(6)、(7)は、未知数
tおよびTを含む2連の連立方程式であり、加熱時間t
と加熱温度Tを同時に推定するための基礎式となる。
【0049】本発明に係る温度センサの実施形態とし
て、Ni、Co、Cr、Feのうち少なくとも1種を含
む合金を、2層積層した拡散対を有するものを挙げる。
この拡散対の特徴は、拡散対の界面に相互拡散層として
異層が生じる点にある。すなわち、相互拡散層が断面組
織の研磨またエッチングにより明確に観察できる。こう
した観察は、光学顕微鏡で十分である点が便利である。
【0050】図10〜図12に示した温度センサを構成
する拡散対の製造方法を図15に示す。この図15に示
すように、製造にはガス炎溶射法またはプラズマ溶射法
などの熱溶射を用いることが有効である。具体的には、
まず、Ni、Co、Cr、Feのうち少なくとも1種を
含む合金材料から選択した板材6(図15(a))の表
面をブラストにより粗面化した後(図15(b))、こ
の板材6とは組成の異なるNi、Co、Cr、Feのう
ち少なくとも1種を含む合金材料の粉末7を、ガス炎溶
射法またはプラズマ溶射法により被覆する(図15
(c))。本実施形態では、他の製造方法(拡散熱処理
やろう付けなど)に比較して、上述した低温プロセスを
採用することにより、製造時の温度上昇を150 〜500 ℃
と低く抑えることができる。加熱時の厚さに比べて、初
期の相互拡散層厚さ、または酸化層厚さを小さくするこ
とができるため、推定加熱温度に含まれる誤差は小さ
い。また、拡散対間の密着性も他の製造方法と同等に高
く、かつ拡散対製造時に拡散層界面に酸化層が生じるこ
ともないため、拡散対界面が相互拡散の妨げになること
もない。
【0051】本発明に係る温度センサの実施形態の他の
例として、Ni、Co、Cr、Feのうち少なくとも1
種を含む合金を2層積層した上述の拡散対が挙げられ
る。ここでは、拡散対の一方の合金を図13に示す表の
(a)に示す組成とし、他方の合金を図13に示す表の
(b)に示す組成とする。この温度センサでは、式
(1)、すなわち
【数9】 の中のk0 、cは6.3 m /(s1/2)、1.8 ×104 Kで
ある。ただしk0 、cは拡散実験から求めたものであ
る。加熱時間を最大で24000 時間とすると、この温度計
の使用温度範囲は800 〜1000℃である。
【0052】さらに、拡散対の一方の合金を図13の表
の(a)に示す組成のものに固定し、他方の合金の組成
を変化させると、式(1)中の実験定数k0 、cが変化
する。例えば合金の組成を図13に示す表の(c)〜
(e)にした場合のk0 、cを図14に示す。当然k0
、cの変化に伴ない、使用温度範囲も変化する。こう
して数種類の拡散対からなる温度センサを用いることに
より、測定温度範囲をを800 〜1400℃と拡くカバーする
ことができる。上述の合金の融点はたかだか1600℃であ
り、温度センサとして使用できる温度の上限は1400℃で
ある。
【0053】
【発明の効果】以上で詳述したように、本発明に係る温
度センサによれば、拡散現象、主に合金材料の拡散対界
面における相互拡散現象や合金材料表面における酸化現
象を応用することにより、従来の温度計である熱電対や
放射温度計に対し、次の点で効果がある。すなわち、
(1)温度測定箇所を自由に選択することができる。
(2)温度測定位置を細かく設定することが可能であ
る。(3)適切な合金材料や拡散対を選択することによ
り、酸化または不活性などの雰囲気を自由に選択でき
る。(4)適用温度範囲の制限をなくすることが可能で
ある。(5)温度の測定対象が回転体などの移動する物
体であっても問題がない。
【0054】また、本発明に係る温度センサの製造方法
によれば、上述した温度センサを有効的に製造すること
ができる。
【0055】さらに、本発明に係る警報装置によれば、
温度センサの検出値に基づいて的確な警報を発生し、例
えばガスタービンなどの信頼性向上に寄与することがで
きる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る相互拡散現象を利用した温度セン
サの一実施形態を示す構成図。
【図2】本発明に係る酸化現象を利用した温度センサの
一実施形態を示す構成図。
【図3】本発明に係る温度センサの他の実施形態を示す
構成図。
【図4】図3に示した温度センサの拡散層厚さと電気抵
抗との関係を示す特性図。
【図5】(a),(b),(c)は、本発明に係る温度
センサ製造方法を示す説明図。
【図6】本発明に係る温度センサの実施形態として作製
した2層積層した拡散対のそれぞれの化学組成を示す
表。
【図7】図6に示した表中の各合金の組み合わせを拡散
対として適用した場合における各拡散対と式(1)の実
験定数k0 、cの値との関係を示す表。
【図8】本発明に係る温度センサの他の実施形態を示す
構成図。
【図9】図8に示した温度センサの酸化層厚さと酸化増
量との関係を示す特性図。
【図10】本発明に係る温度センサの他の実施形態を示
す構成図。
【図11】本発明に係る温度センサの他の実施形態を示
す構成図。
【図12】本発明に係る温度センサの他の実施形態を示
す構成図。
【図13】本発明に係る温度センサの実施形態として作
製した2層積層した拡散対のそれぞれの化学組成を示す
表。
【図14】図13に示した表中の各合金の組み合わせを
拡散対として適用した場合における各拡散対と式(1)
の実験定数k0 、cの値との関係を示す表。
【図15】(a),(b),(c)は、本発明に係る温
度センサの拡散対の製造方法を示す説明図。
【図16】本発明に係る温度センサの他の実施形態とし
て作製した合金材料の化学組成を示す表。
【符号の説明】
1 拡散対 2 相互拡散層 3 合金材料 4 酸化層 5 定電圧電源 6 電流計 7 板材 8 溶射粉末 9 秤 10 拡散対 12 相互拡散層 14 酸化層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 齋藤 正弘 神奈川県横浜市鶴見区末広町2の4 株式 会社東芝京浜事業所内

Claims (15)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 組成の異なる合金材料を2層積層した拡
    散対からなり、この拡散対界面に形成される相互拡散層
    厚さに換算可能な物理量を計測し、該計測値に基づいて
    加熱温度を推定することを特徴とする温度センサ。
  2. 【請求項2】 組成の異なる合金材料を2層積層した拡
    散対間の電気抵抗を計測し、その電気抵抗を前記拡散対
    界面に形成された相互拡散層厚さに換算することを特徴
    とする請求項1記載の温度センサ。
  3. 【請求項3】 Ni、Co、Cr、Feのうち少なくと
    も1種を含む合金材料の中から選択した、組成の異なる
    合金材料を2層積層した拡散対を用いることを特徴とす
    る請求項1記載の温度センサ。
  4. 【請求項4】 拡散対の製造プロセスとして、大気プラ
    ズマ溶射法、減圧プラズマ溶射法のいずれか一つを適用
    することを特徴とする請求項1記載の温度センサ。
  5. 【請求項5】 合金材料の表面に形成される酸化層厚さ
    に換算可能な物理量を計測し、該計測値に基づいて、酸
    化雰囲気における加熱温度を推定することを特徴とする
    温度センサ。
  6. 【請求項6】 合金材料の質量を秤により計測し、該合
    金材料の質量の酸化増量を酸化層厚さに換算することを
    特徴とする請求項5記載の温度センサ。
  7. 【請求項7】 表面酸化層の成長による合金材料表面の
    歪みをゲージにより計測し、該計測値を酸化層厚さに換
    算することを特徴とする請求項5記載の温度センサ。
  8. 【請求項8】 表面酸化層の成長による合金材料表面の
    変位を変位計により計測し、該計測値を酸化層厚さに換
    算することを特徴とする請求項5記載の温度センサ。
  9. 【請求項9】 Ni、Co、Cr、Feのうち少なくと
    も1種を含む合金材料の中から選択した合金材料を用い
    ることを特徴とする請求項8記載の温度センサ。
  10. 【請求項10】 請求項5に記載の温度センサをガスタ
    ービンの高温部品である燃焼器、動翼、静翼などの周囲
    に取り付け、温度上昇が許容温度以上になった時に前記
    温度センサの検知出力に基づいて警報機を作動させるこ
    とを特徴とする警報装置。
  11. 【請求項11】 Ni、Co、Cr、Feのうち少なく
    とも1種を含む合金材料の中から選択した、組成の異な
    る合金材料を2層積層した拡散対からなり、この拡散対
    界面において少なくとも2層形成される相互拡散層厚さ
    に基づいて加熱温度と加熱時間をともに推定することを
    特徴とする温度センサ。
  12. 【請求項12】 Ni、Co、Cr、Feのうち少なく
    とも1種を含む合金材料の中から選択した、組成の異な
    る合金材料を少なくとも3層積層した拡散対からなり、
    これら拡散対界面における相互拡散層厚さから加熱温度
    と加熱時間をともに推定することを特徴とする温度セン
    サ。
  13. 【請求項13】 組成の異なる合金材料を2層積層した
    拡散対からなり、この拡散対界面における相互拡散層厚
    さおよび合金材料の表面における酸化層厚さから加熱温
    度と加熱時間をともに推定することを特徴とする温度セ
    ンサ。
  14. 【請求項14】 Ni、Co、Cr、Feのうち少なく
    とも1種を含む合金材料の中から選択した、組成の異な
    る合金材料を2層積層した拡散対からなり、この拡散対
    界面における相互拡散層厚さおよび酸化層厚さから加熱
    温度と加熱時間をともに推定することを特徴とする温度
    センサ。
  15. 【請求項15】 Ni、Co、Cr、Feのうち少なく
    とも1種を含む合金材料の中から選択した板材の上に、
    この板材とは組成の異なるNi、Co、Cr、Feのう
    ち少なくとも1種を含む合金材料の粉末を、ガス炎溶射
    法またはプラズマ溶射法により被覆することを特徴とす
    る温度センサの製造方法。
JP15585996A 1996-06-17 1996-06-17 温度センサおよびその製造方法ならびに同センサを使用した警報装置 Pending JPH102808A (ja)

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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2013108494A (ja) * 2011-11-17 2013-06-06 General Electric Co <Ge> ターボ機械の動作温度を推定するためのシステム及び方法
JP2015059827A (ja) * 2013-09-19 2015-03-30 Ntn株式会社 鋼製部品の使用温度および使用時間の推定方法
DE102012108820B4 (de) 2012-09-19 2018-09-20 Epcos Ag Sensor, elektrisches Bauelement, Verfahren zur Bestimmung einer Temperatur oder einer Betriebsdauer eines elektrischen Bauelements und Verwendung einer intermetallischen Phase oder einer Phasengrenze als Sensor

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