JPH10281160A - すべり軸受装置 - Google Patents

すべり軸受装置

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JPH10281160A
JPH10281160A JP10259897A JP10259897A JPH10281160A JP H10281160 A JPH10281160 A JP H10281160A JP 10259897 A JP10259897 A JP 10259897A JP 10259897 A JP10259897 A JP 10259897A JP H10281160 A JPH10281160 A JP H10281160A
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JP
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lubricating
lubricating composition
molecular weight
oil
bearing device
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JP10259897A
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Takashi Minami
隆 南
Natsuhiko Mori
夏比古 森
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NTN Corp
Original Assignee
NTN Corp
NTN Toyo Bearing Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 多孔質体に潤滑油等を供給することによって
寸法収縮が発生しても、潤滑組成物の軸体への抱きつき
を抑えることができる。 【解決手段】 軸体と、この軸体を摺動自在に支持する
多孔質体からなるすべり軸受と、該軸体の周囲に配設さ
れた潤滑組成物とを有し、この潤滑組成物が潤滑グリー
スまたは潤滑油と超高分子量ポリオレフィン系樹脂との
混合物からなる固形状であるすべり軸受装置であって、
潤滑組成物が多孔質体に接触するとともに軸体の長さ方
向にスリット部を有する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はすべり軸受装置に関
し、とくに潤滑油を含浸させて自己潤滑機能を持たせた
多孔質含油軸受を有するすべり軸受装置に関する。
【0002】
【従来の技術】焼結合金等により多孔質体に形成した軸
受本体に潤滑油を含浸し、これにより自己潤滑機能を持
たせた多孔質含油すべり軸受装置は、無給油で長期間使
用できることから、各種モータや事務機器などの直線案
内部分のすべり軸受けとして多用されている。
【0003】このようなすべり軸受装置は、たとえば軸
の回転に伴う引き込み作用と摩擦熱による温度上昇とに
よって、軸の回転時、軸受内部に保持された油を摺動面
に滲出させて潤滑を行なう。このような多孔質含油すべ
り軸受は、通常無給油で使用されるが、油の飛散、蒸発
等によって油が徐々に消耗、消失することは避けられ
ず、この油の消耗が軸受寿命を低下させる主な要因の一
つとなっている。
【0004】とくに軸姿勢を縦型にして使用される場合
が多く、毎分 1万回転前後の高速で使用されるレーザビ
ームプリンタ用モータなどでは、油の消耗、消失が生じ
やすい。レーザビームプリンタ用モータなどに使用され
ている多孔質含油すべり軸受の一例を図5(a)に示
す。図5(a)に示すように、重力と遠心力の作用で、
上下に離隔配設した一対の軸受10a、10bのうち、
上側の軸受10aの油12が流出しやすく、油膜形成性
などの性能の維持が困難であった。なお、3は回転軸、
4はハウジング、9はスラスト受け材をそれぞれ表す。
また、エアコンなどに用いられる軸流ファンの軸受を図
5(b)に示すが、この場合、軸受10の端面とスラス
トワッシャ11との摺動でスラスト荷重を支持するた
め、回転するワッシャ11から振り切られた油12が軸
受外に流失しやすい。このような油の消耗、流出に対す
る対策として、通常、補油機構が設けられている。従来
から用いられている補油機構としては、まず、軸受端
面、あるいは、外周面に隣接する箇所に油を含ませたフ
ェルトを配置する方法が知られている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、フェル
トを用いる方法では以下のような問題があった。 1)フェルトを配置するための空間が必要であり、すべ
り軸受装置をコンパクト化できない。 2)軸受とフェルトが別体であるため、軸受を設置する
工程とフェルトを設置する工程とが必要で、作業が煩雑
化する。 3)フェルトの繊維が軸と軸受との摺動部に侵入する
と、回転不良の原因となったり、摩耗の原因となったり
してすべり軸受装置の短寿命化を招く。
【0006】また、特開平 6-173953 号公報に開示され
ているように、二つの軸受間にグリースを充填する方法
がある。しかし、このようなグリースを充填する方法で
は以下のような問題がある。 1)軸受とグリースとが別体であるため、軸受を設置す
る工程とグリースを充填する工程とが必要で作業が煩雑
化する。また、軸受内周面にグリースが付着すると高ト
ルクの原因となる。これを避けるためには、グリースを
充填する際に予め軸受孔に軸を挿入しておかなければな
らず、さらに組立作業が煩雑化する。 2)回転中にグリースが軸にまとわりつくことがあり、
トルク変動の原因となる。
【0007】また、特開平 7-178804 号公報に開示され
ているように、多孔質体に回転軸を挿通するための軸受
孔を形成して潤滑油を含浸させた軸受本体と、潤滑グリ
ースあるいは潤滑油と超高分子量ポリオレフィン粉末と
の混合物を固形化して潤滑組成物を形成し、この固形状
の潤滑組成物を軸受本体に密着させて配置したことを特
徴とするすべり軸受が知られている。しかし、このよう
な方法においても以下のような問題がある。
【0008】この潤滑組成物は潤滑グリースあるいは潤
滑油を合成樹脂の分子中あるいは分子間に保持したもの
であるため、潤滑油等を多孔質体に供給することによっ
て潤滑組成物中に濃度勾配が生じ、寸法収縮が発生す
る。潤滑組成物が円筒形状である場合は、この寸法収縮
によって潤滑組成物が軸体に抱きついて摩擦力の増大を
引き起こすという問題がある。
【0009】また、潤滑組成物と軸体との空隙部を大き
くして抱きつきを防止した場合、潤滑組成物の体積が空
隙部増加分だけ減少し、その結果潤滑油の供給量が不足
するという問題がある。
【0010】さらに、潤滑組成物の体積を確保したまま
軸体への抱きつきを軽減するために、潤滑組成物への寸
法あるいは形状の精度を向上させると、精度要求が厳し
くなり、製造コストが増加するという問題がある。
【0011】本発明は、このような問題に対処するため
になされたもので、多孔質体に潤滑油等を供給すること
によって寸法収縮が発生しても、潤滑組成物の軸体への
抱きつきを抑えることができるすべり軸受装置を提供す
ることを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明のすべり軸受装置
は、軸体と、この軸体を摺動自在に支持する多孔質体か
らなるすべり軸受と、該軸体の周囲に配設された潤滑組
成物とを有し、この潤滑組成物が潤滑グリースまたは潤
滑油と超高分子量ポリオレフィン系樹脂との混合物から
なる固形状であるすべり軸受装置であって、潤滑組成物
が多孔質体に接触するとともに軸体の長さ方向にスリッ
ト部を有することを特徴とする。
【0013】また、潤滑組成物が、軸体との間またはす
べり軸受を支持するハウジングとの間に空隙部を有する
ことを特徴とする。
【0014】また、潤滑組成物が潤滑グリース 5〜 99
重量%に、平均分子量 1×106 〜 5×106 である超高分
子量ポリオレフィン系樹脂 95 〜 1重量%を混合すると
ともに、超高分子量ポリオレフィン系樹脂のゲル化点以
上でかつ潤滑グリースの滴点以下の温度で分散保持させ
たものであることを特徴とする。
【0015】また、潤滑組成物が潤滑グリースと超高分
子量ポリオレフィン系樹脂との混合物に、さらに潤滑グ
リースの基油の滲出抑制剤 1〜 50 重量%を添加混合し
て、超高分子量ポリオレフィン系樹脂のゲル化点以上で
かつ潤滑グリースの滴点以下の温度で分散保持させたも
のであることを特徴とする。
【0016】また、潤滑組成物が潤滑油 5〜 99 重量%
に平均分子量 1×106 〜 5×106 である超高分子量ポリ
オレフィン系樹脂 95 〜 1重量%を混合するとともに、
超高分子量ポリオレフィン系樹脂のゲル化点以上の温度
で分散保持させたものであることを特徴とする。
【0017】さらに、潤滑油と前記超高分子量ポリオレ
フィン系樹脂との混合物に、さらに潤滑油の滲出抑制剤
1〜 50 重量%を添加混合して、超高分子量ポリオレフ
ィン系樹脂のゲル化点以上の温度で分散保持させたもの
であることを特徴とする。
【0018】また、油の滲出抑制剤が固体ワックスであ
ることを特徴とする。
【0019】本発明において、超高分子量ポリオレフィ
ン系樹脂のゲル化点とは、潤滑油や潤滑グリースとの混
合物を昇温しながら攪拌した場合に混合物の粘度が急激
に上昇する温度をいう。
【0020】発明のすべり軸受装置は、軸受摺動面に存
在する潤滑油が消耗、流出すると、すべり軸受等に接触
させた潤滑組成物に含まれている潤滑油が毛細管現象に
よって、すべり軸受を介して摺動面に補給される。ま
た、軸体に直接潤滑組成物が接触している場合は、潤滑
油が直接摺動面に補給される。
【0021】この潤滑組成物は、潤滑グリースまたは潤
滑油と超高分子量ポリオレフィン系樹脂との混合物を、
たとえば円筒形状に固形化したものであり、軸体の長さ
方向にスリット部を有するので、取り扱いが簡単で組み
込み作業も容易に行える。また、スリット部を有する円
筒形状とすることによって、経時的に寸法収縮が発生し
ても潤滑組成物の軸体への抱きつきが軽減され、摩擦力
の増大を防止することができる。抱きつきが軽減される
範囲で、潤滑組成物の体積を大きくすることが可能であ
る。
【0022】さらに、潤滑組成物の形状をスリット部を
有する円筒形状とすることによって、すべり軸受の使用
初期から軸体と潤滑組成物を全周にわたって接触させて
おくことも可能となり、この場合の潤滑組成物はすべり
軸受摺動面に異物が入り込まないようにするシール機能
も併せ持つものとなる。
【0023】また、潤滑組成物が軸体との間、またはす
べり軸受を支持するハウジングとの間に空隙部を有する
ことにより、潤滑組成物の軸体への抱きつきをより軽減
することができる。
【0024】潤滑組成物が、潤滑グリースや潤滑油を分
散保持させ超高分子量ポリオレフィン系樹脂からなる固
形状であることにより、多孔質体からなるすべり軸受へ
適量の潤滑成分を供給する作用がある。また、潤滑組成
物に油の滲出抑制剤、たとえば固形ワックスを添加する
ことにより、高温雰囲気下で使用される場合や、高速回
転で使用され摩擦による発熱が大きい場合の潤滑油等の
滲み出しを抑制することができる。その結果、滲出抑制
剤を加えることによって適正な滲み出しを得ることがで
きる。
【0025】
【発明の実施の形態】本発明のすべり軸受装置の一例を
図1により説明する。図1は、軸体、たとえば回転軸な
どを保持するすべり軸受装置を示し、図1(a)は断面
図を、図1(b)はA−A断面図を示す。図1に示すす
べり軸受装置は、ロータ1とステータ2との間の励磁力
によって回転する回転軸3をハウジング4に対して回転
自在に支持するものである。この軸受装置は、多孔質体
に形成した軸受5に回転軸3を挿通するための軸受孔6
を形成し、さらにこれに潤滑油を含浸させて形成され、
図面では、軸方向に離隔させて 2つの軸受5を設けた場
合を例示している。なお、9はスラスト受け材である。
軸受5の成形材料は、とくに限定されるものではなく、
粉末治金、鋳鉄や合成樹脂等を焼結または発泡成形させ
て形成した、連通気孔を有する周知の多孔質体を使用で
きる。
【0026】2つの軸受5の間には、多孔質体に接触す
るとともに回転軸の長さ方向にスリット部7aを有する
円筒状に固形化した潤滑組成物7が両軸受5に密着させ
て介装される。この円筒状に固形化した潤滑組成物7
は、回転軸3との間、またはハウジング2との間に空隙
部7bを有している。図1においては、潤滑組成物7の
内径が軸受5の内径と同径に形成され、ハウジング2と
の間に空隙部7bを形成している。なお、潤滑組成物7
は回転軸の周囲に配設される形状であれば円筒状の固形
体以外の形状であってもよい。
【0027】また、スリット部7aは回転軸の長さ方向
であれば、回転軸に平行であっても回転軸に所定の角度
を有していてもよく、さらには回転軸に対して曲線状の
スリットでもよい。また、スリット部7aの幅は、とく
に限定はないが、スリット幅が大きくなると潤滑組成物
の体積が減少するので、直径に対して 20 %以内、好ま
しくは 10 %以内程度が好ましい。なお、スリット部7
aは切り込み部を有していれば閉じた状態であってもよ
い。
【0028】空隙部7bは、ハウジング2との間に設け
られているが、本発明にあっては、回転軸3との間に設
けてもよい。このような空隙部を設けることにより、潤
滑組成物の変形が生じても回転軸への抱きつきを抑える
ことができる。その結果、回転軸のトルクの上昇を抑制
することができる。
【0029】固形状の潤滑組成物7は、たとえばつぎの
方法で作製することができる。すなわち、所定量の潤滑
グリースあるいは潤滑油と、所定量の超高分子量ポリオ
レフィン系樹脂を均一に混合し、所定形状の型に流し込
んで、超高分子量ポリオレフィン系樹脂のゲル化点以上
で、かつ潤滑グリースを用いた場合はその滴点以下の温
度で分散保持させ、常温で冷却することによって得られ
る。
【0030】超高分子量ポリオレフィン系樹脂は、種々
の樹脂形態を用いることができるが、潤滑グリース等と
均一に混合しやすい点より粉末状の樹脂を用いることが
好ましい。そのような超高分子量ポリオレフィン粉末と
しては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブデン、
若しくはこれらの共重合体からなる粉末が好ましい。こ
れら粉末は、それぞれ単独の粉末であってもそれぞれの
混合粉末であってもよい。超高分子量ポリオレフィン粉
末の分子量は、粘度法により測定される平均分子量が 1
×106 〜 5×106 である。このような平均分子量の範囲
にあるポリオレフィン系樹脂は、剛性および保油性にお
いて低分子量のポリオレフィン系樹脂より優れ、高温に
加熱してもほとんど流動することがない。
【0031】潤滑組成物の配合割合は、潤滑グリースま
たは潤滑油が 5〜 99 重量%、超高分子量ポリオレフィ
ン系樹脂が 95 〜 1重量%であることが好ましい。それ
ぞれの配合量は、固形状の潤滑組成物に必要とされる離
油度、粘り強さおよび硬さに依存する。したがって、超
高分子量ポリオレフィン系樹脂の量が多いほど、所定温
度で分散保持させた後のゲルの硬さが大きくなる。また
高含油率を維持しつつ、剛性を大きくするために、各種
有機あるいは無機充填材を配合することができる。
【0032】本発明に係る潤滑グリースは、とくに限定
されるものではなく、石鹸、または非石鹸で増ちょうし
た潤滑グリースとして、リチウム石鹸−ジエステル系、
リチウム石鹸−ポリαオレフィン系、リチウム石鹸−ジ
アルキルジフェニルエーテル系、リチウム石鹸−鉱油
系、ナトリウム石鹸−鉱油系、アルミニウム石鹸−鉱油
系、リチウム石鹸−ジエステル鉱油系、非石鹸−ジエス
テル系、非石鹸−鉱油系、非石鹸−ポリオールエステル
系、リチウム石鹸−ポリオールエステル系などのグリー
ス類が挙げられる。同じく潤滑油もとくに限定されるも
のではなく、ジエステル系、鉱油系、ジエステル鉱油
系、ポリオールエステル系、ポリαオレフィン系、ジア
ルキルジフェニルエーテル系などの潤滑油を挙げること
ができる。なお、潤滑グリースの基油あるいは潤滑油
は、当初多孔質の軸受5に含浸される潤滑油と同じもの
であることが望ましいが、潤滑特性を損なわない限りに
おいて、多少異なるものであってもよい。また、非石鹸
としては、たとえばウレア系増ちょう剤などを挙げるこ
とができる。
【0033】本発明に係る超高分子量ポリオレフィン系
樹脂の融点は、平均分子量に対応して変化するため一定
ではないが、たとえば粘度法による平均分子量が 2×10
6 のものの融点は 136℃である。同平均分子量の市販品
としては、ミペロンXM−220(三井石油化学工業社
製商品名)などがある。
【0034】したがって、潤滑グリースあるいは潤滑油
に、超高分子量ポリオレフィン系樹脂を分散保持させる
には、両者を混合した後、超高分子量ポリオレフィン系
樹脂がゲル化を起こす温度以上で、かつ、潤滑グリース
を用いた場合は、その滴点未満の温度、たとえば 150〜
200 ℃で加熱することが好ましい。これにより固形状の
潤滑組成物7を得ることができる。
【0035】固形状の潤滑組成物7は、さらに油の滲出
抑制剤 1〜 50 重量%を添加混合することが好ましい。
潤滑組成物7が高温雰囲気下で使用される場合や、高速
回転で使用され摩擦による発熱が大きい場合は、潤滑組
成物7からの油の滲み出しが過剰になる場合がある。こ
のような場合には、潤滑組成物7に滲出抑制剤を加える
ことによって軸受面に滲み出す油の離油率を適度に抑
え、適正な滲み出し量を得ることができる。この滲出抑
制剤としては、ワックス(ロウ)のうち、固体ワックス
またはこれを含む低分子ポリオレフィンなどの配合物を
使用する。固体ワックスとしてはカルナバロウ、カンデ
リナロウ等の植物性ワックス、ミツロウ、虫白ロウ等の
動物性ワックス、またはパラフィンロウなどの石油系ワ
ックスが挙げられる。この滲出抑制剤の潤滑組成物7中
の配合割合は、 1〜 50 重量%が好ましい。固体ワック
スの配合割合が多いほど離油率を抑制でき、油が滲み出
る速度が小さくなるが、 50 重量%を越えると、潤滑組
成物の強度を低下させるので好ましくない。
【0036】本発明のすべり軸受装置の態様を図2〜図
4により説明する。図2は、固形状潤滑組成物7の軸体
方向の長さを短くして、その端面を上方の軸受5にのみ
密着させた例である。上述のように、油の流出はとくに
上側の軸受5で顕著に生じるので、このような構成であ
っても十分な潤滑効果が得られる場合もある。
【0037】図3は、軸受5の端面に段をつけて、小外
径部でスリット部を有する円筒形状の潤滑組成物7の位
置を固定させた例である。高度に安定した回転トルクが
要求される場合は、軸体3と潤滑組成物7との接触を確
実に防止する必要があり、本例のような形状が望ましい
場合がある。
【0038】図4(a)は、 1個の直動軸受5の両端に
一対のスリット部を有する円筒形状の潤滑組成物7を配
置した断面図であり、図4(b)はそのB−B断面図で
ある。この場合は、直動軸8と潤滑組成物7を全周にわ
たって接触させておくことによって、潤滑組成物7は軸
受摺動面に異物が入り込まないようにするシール機能も
併せ持つものとなっている。なお、この場合であっても
潤滑組成物7はハウジング4との間に空隙部7bを有し
ている。
【0039】本発明のすべり軸受装置は、軸流ファンや
換気扇、扇風機などの電気製品、自動車用電装品などの
各種のモータや、事務用機器、音響機器、情報機器、測
定機器などの直線案内部分に、広範囲に利用することが
でき、とくにその耐久性を著しく向上させることができ
る。すなわち、すべり軸受摺動面に存在する潤滑油が消
耗、流出すると、軸体およびすべり軸受に接触させた潤
滑組成物に含まれている潤滑油が毛細管現象によって、
直接およびすべり軸受を介して摺動面に補給されるの
で、潤滑油切れによる摩耗を防止して耐久寿命を大幅に
向上させることができる。また、フェルトと違って繊維
状のものを含まないので、軸受隙間内に繊維などのゴミ
が入り込むことがない。そして、本発明の潤滑組成物
は、潤滑グリースあるいは潤滑油と超高分子量ポリオレ
フィン系樹脂とを含む混合物を円筒形状に固形化したも
のであるから、取り扱いが簡単で組み込み作業も容易に
行える。また、潤滑組成物の形状をスリット部を有する
円筒形状とすることによって、潤滑油の供給により寸法
収縮が発生しても軸体への抱きつきが軽減され、摩擦力
の増大を防止することができる。
【0040】
【実施例】図1に示したような軸姿勢が縦型のモータに
使用されるすべり軸受装置を組み立て、固形状潤滑組成
物7がある場合と、無い場合との上側の軸受(材質は銅
系多孔質体であり、寸法は内径 4mmφ、外径 9mmφ、長
さ 3mmである)の試験前後での油の重量を調べた。な
お、固形状潤滑組成物7は、ミペロンXM−220(三
井石油化学工業社製商品名) 50 重量%と、潤滑油 50
重量%との混合物である。試験は、回転数が 11300rpm
、雰囲気が常温常湿、運転時間が 100時間の条件で行
なった。測定結果を表1に示す。
【0041】
【表1】
【0042】表1より、固形状潤滑組成物7のないもの
は、 100時間の運転試験後、約 30%の油が流出してし
まうのに対して、図1に示すように固形状潤滑組成物7
を二つの軸受5間に挟み込んだものでは、 100時間の運
転試験後でも軸受の重量には変化が認められず、含浸さ
れている油量は変わらなかった。軸受5から油が流出し
ても固形状潤滑組成物7から油が良好に補充されたもの
と考えられる。
【0043】つぎに、固形状潤滑組成物7にスリット部
を有する場合と無い場合について上述の条件で試験を行
ない試験前後での回転トルクを調べた。なお、スリット
の大きさは、幅 0.3mmである。測定結果を表2に示す。
【0044】
【表2】
【0045】表2より、スリット部が無い潤滑組成物7
を使用したものは、 100時間の運転試験後、回転トルク
は 2倍以上に増加してしまったのに対しスリット部を有
する潤滑組成物7を使用した場合は、 100時間の運転試
験後、回転トルクに差はみられなかった。潤滑組成物7
が寸法収縮をおこしても、スリット部を有する形状とす
ることによって回転軸への抱きつきが十分軽減されたも
のと考えられる。
【0046】
【発明の効果】本発明のすべり軸受装置は、軸体を摺動
自在に支持する多孔質体からなるすべり軸受と、この軸
体の周囲に配設された潤滑グリース等と超高分子量ポリ
オレフィン系樹脂とからなる潤滑組成物とを有し、この
潤滑組成物が多孔質体に接触するとともに軸体の長さ方
向にスリット部を有するので、すべり軸受を介して潤滑
油が摺動面に補給され続け、無給油で長期間使用できる
とともに、潤滑組成物に寸法収縮が発生しても軸体への
抱きつきを抑えることができる。また、潤滑組成物の取
り扱いが簡単で組み込み作業も容易に行える。とくにス
リット部を有するので、すべり軸受の使用初期から軸体
と潤滑組成物を全周にわたって接触させておくことも可
能となり、この場合の潤滑組成物は、軸受摺動面に異物
が入り込まないようにするシール機能も併せ持つものと
なる。
【0047】また、潤滑組成物が、軸体との間またはす
べり軸受を支持するハウジングとの間に空隙部を有する
ので、軸体への抱きつきをより効果的に抑えることがで
きる。
【0048】本発明のすべり軸受装置は、潤滑組成物を
上述の組成としたので、潤滑油の摺動面への補給が継続
維持され無給油で長期間使用できる。また、高温雰囲気
下で使用される場合や、高速回転で使用されて摩擦によ
る発熱が大きい場合等のように、潤滑組成物からの油の
滲み出しが多すぎる場合においても滲出抑制剤を加える
ことによって適正な滲み出しを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のすべり軸受装置の一例を示す図であ
る。
【図2】本発明のすべり軸受装置の他の例を示す図であ
る。
【図3】本発明のすべり軸受装置の他の例を示す図であ
る。
【図4】本発明のすべり軸受装置の他の例を示す図であ
る。
【図5】従来の多孔質含油すべり軸受の一例を示す図で
ある。
【符号の説明】
1 ロータ 2 ステータ 3 回転軸 4 ハウジング 5 軸受 6 軸受孔 7 潤滑組成物 7a スリット部 7b 空隙部 8 直動軸 9 スラスト受け材

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 軸体と、この軸体を摺動自在に支持する
    多孔質体からなるすべり軸受と、前記軸体の周囲に配設
    された潤滑組成物とを有し、この潤滑組成物が潤滑グリ
    ースまたは潤滑油と超高分子量ポリオレフィン系樹脂と
    の混合物からなる固形状であるすべり軸受装置であっ
    て、 前記潤滑組成物は、前記多孔質体に接触するとともに前
    記軸体の長さ方向にスリット部を有することを特徴とす
    るすべり軸受装置。
  2. 【請求項2】 前記潤滑組成物が、前記軸体との間、ま
    たは前記すべり軸受を支持するハウジングとの間に空隙
    部を有することを特徴とする請求項1記載のすべり軸受
    装置。
  3. 【請求項3】 前記潤滑組成物が、前記潤滑グリース 5
    〜 99 重量%に、平均分子量 1×106 〜 5×106 である
    前記超高分子量ポリオレフィン系樹脂 95 〜1重量%を
    混合するとともに、前記超高分子量ポリオレフィン系樹
    脂のゲル化点以上でかつ前記潤滑グリースの滴点以下の
    温度で分散保持させたものであることを特徴とする請求
    項1または請求項2記載のすべり軸受装置。
  4. 【請求項4】 前記潤滑組成物が、前記潤滑グリースと
    前記超高分子量ポリオレフィン系樹脂との混合物に、さ
    らに潤滑グリースの基油の滲出抑制剤 1〜 50 重量%を
    添加混合して、前記超高分子量ポリオレフィン系樹脂の
    ゲル化点以上でかつ前記潤滑グリースの滴点以下の温度
    で分散保持させたものであることを特徴とする請求項3
    記載のすべり軸受装置。
  5. 【請求項5】 前記潤滑組成物が、潤滑油 5〜 99 重量
    %に、平均分子量 1×106 〜 5×106 である超高分子量
    ポリオレフィン系樹脂 95 〜 1重量%を混合するととも
    に、前記超高分子量ポリオレフィン系樹脂のゲル化点以
    上の温度で分散保持させたものであることを特徴とする
    請求項1または請求項2記載のすべり軸受装置。
  6. 【請求項6】 前記潤滑組成物が、前記潤滑油と前記超
    高分子量ポリオレフィン系樹脂との混合物に、さらに潤
    滑油の滲出抑制剤 1〜 50 重量%を添加混合して、前記
    超高分子量ポリオレフィン系樹脂のゲル化点以上の温度
    で分散保持させたものであることを特徴とする請求項5
    記載のすべり軸受装置。
  7. 【請求項7】 前記油の滲出抑制剤が固体ワックスであ
    ることを特徴とする請求項4または請求項6記載のすべ
    り軸受装置。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006220281A (ja) * 2005-02-14 2006-08-24 Nissan Motor Co Ltd モータの軸受装置
WO2024195047A1 (ja) * 2023-03-22 2024-09-26 株式会社ジェイテクト 軸受装置

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