JPH10284286A - 帯電防止膜およびその成膜方法及び画像表示装置 - Google Patents

帯電防止膜およびその成膜方法及び画像表示装置

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JPH10284286A
JPH10284286A JP8852097A JP8852097A JPH10284286A JP H10284286 A JPH10284286 A JP H10284286A JP 8852097 A JP8852097 A JP 8852097A JP 8852097 A JP8852097 A JP 8852097A JP H10284286 A JPH10284286 A JP H10284286A
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陽一 大里
Takao Kusaka
貴生 日下
Yoko Kosaka
容子 小坂
Hirotsugu Takagi
博嗣 高木
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 安定性が高く、再現性が良いスペーサ用帯電
防止膜およびそれを用いた表示装置を提供する。 【解決手段】 CrとAlの合金ターゲットをスパッタ
して成膜されたCrとAlとの合金窒化膜からなる帯電
防止膜である。また、複数の冷陰極型電子放出素子1を
形成した基板2と、発光材料を5形成した基板7とを、
スペーサ10を介して対向させた構造を有する表示装置
に用いられる前記スペーサ10の表面に形成される帯電
防止膜10cであって、該帯電防止膜10cは、Crと
Alの合金ターゲットをスパッタして成膜されたCrと
Alとの合金窒化膜からなることを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、帯電防止膜及びそ
の成膜方法、及び帯電防止膜を応用した画像表示装置に
関するものである。
【0002】
【従来の技術】奥行きの薄い平面型ディスプレイは省ス
ペースかつ軽量であることから、ブラウン管型ディスプ
レイに置き変わるものとして注目される。現在平面型デ
ィスプレイには液晶型、プラズマ発光型、マルチ電子源
を用いたものがある。プラズマ発光型およびマルチ電子
源ディスプレイは視野角が大きく、画質がブラウン管並
であるために高品位な画像の表示が可能である。
【0003】図13は、多数の微小な電子源を使用した
ディスプレイの断面模式図であり、51は、リアプレー
ト52上に形成された電子源、54は、蛍光体55が形
成されたフェースプレートである。電子源は高密度化が
可能な円錐状あるいは針状の先端から電子を電界放出さ
せる電界放出型電子素子あるいは表面伝導型放出素子な
どの冷陰極電子放出素子が開発されている。この図は電
子源を駆動するための配線は省略してある。
【0004】ディスプレイの表示面積が大きくなるにし
たがい、内部の真空と外部の大気圧差による基板の変形
を抑えるため、基板および前面ガラス板を厚くする必要
がある。これはディスプレイの重量を増加させるのみな
らず、斜めから見たときに画像のひずみをもたらす。そ
こで、比較的薄いガラス板を使用して大気圧を支えるた
め基板と前面ガラス間はスペーサあるいはリブと呼ばれ
る構造支持体が用いられる。電子源が形成された基板と
蛍光体が形成された前面ガラス間は通常サブミリないし
数ミリに保たれ、前述したように内部は高真空に保持さ
れている。
【0005】電子源からの放出電子を加速するために電
子源と蛍光体との間には数百V以上の高電圧が印加され
ている。すなわち、蛍光体と電子源との間には電界強度
にして1kV/mmを越える強電界が印加されるためス
ペーサ部での放電が懸念される。
【0006】また、スペーサは、近傍電子源から放出さ
れた電子の一部が当たることにより、あるいは放出電子
によりイオン化した正イオンがスペーサに付着すること
により帯電を引き起こす。スペーサの帯電により電子源
から放出された電子はその軌道を曲げられ、蛍光体上の
正規な位置とは異なる場所に到達し、表示画像を前面ガ
ラスを介して見たとき、スペーサ近傍の画像がゆがんで
表示される。この問題点を解決するために、スペーサに
微小電流が流れるようにして帯電を除去する提案がなさ
れている。そこでは絶縁性のスペーサの表面に高抵抗薄
膜を形成することにより、スペーサ表面には微小電流が
流れるようにしている。ここで用いられている帯電防止
膜は酸化スズ、あるいは酸化スズと酸化インジウム混晶
薄膜や金属膜である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】上記従来例に使用され
た酸化スズ等の半導体型薄膜は、ガスセンサに応用され
るほど酸素等のガスに敏感なため雰囲気でその抵抗値が
変化しやすい。
【0008】また、これらの材料や金属膜は比抵抗が小
さいために高抵抗化するには島状に成膜したり、極めて
薄膜化する必要がある。
【0009】すなわち、従来の高抵抗膜は成膜の再現性
が難しかったり、ディスプレイ作製工程でのフリット封
着やベーキングといった熱工程で抵抗値が変化しやすい
という欠点がある。
【0010】本発明は、上記従来スペーサの欠点を克服
し、安定性が高く、再現性が良いスペーサ用帯電防止膜
およびそれを用いた表示装置を提供することを目的とす
るものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明は、上述した課題
を解決するための手段として、CrとAlの合金ターゲ
ットをスパッタして得られるCrとAlとの合金窒化膜
からなることを特徴とする帯電防止膜でもある。
【0012】また、上記ターゲットは、Crの組成が1
5at%より小さいCr−Al合金ターゲットであるこ
とが好適である。
【0013】また、複数の冷陰極型電子放出素子を形成
した基板と、発光材料を形成した基板とを、スペーサを
介して対向させた構造を有する表示装置に用いられる前
記スペーサの表面に形成される帯電防止膜であって、該
帯電防止膜は、CrとAlの合金ターゲットをスパッタ
して成膜されたCr−AlN合金窒化膜からなることを
特徴とする帯電防止膜でもある。
【0014】また、上記CrとAlとの合金窒化膜は、
その膜厚が10nmから1μmであり、比抵抗値が、電
子の加速電圧をVaとした時、10-5×Va2 から10
7 Ωcm、抵抗温度係数が負であり、該抵抗温度係数の
値が1%以下であることが好適である。
【0015】また、上記CrとAlとの合金窒化膜は、
該膜中のAlの表面窒化率(「窒化アルミニウム」/
「アルミニウム」)が30%以上であることが好適であ
る。
【0016】これは、表1〜3にも示されるように、表
面の原子をESCA(XPS)で測定し、AlNとなっ
ているNの原子数とAlの原子数とを比較した割合であ
り、表中、約0.3以上で結果が良好となっている。
【0017】また、本発明は、上述した課題を解決する
ための手段として、遷移金属とAlとの合金窒化膜から
なる帯電防止膜を成膜する成膜方法において、CrとA
lとの合金窒化膜からなる帯電防止膜を成膜する成膜方
法において、前記帯電防止膜は、CrとAlの合金ター
ゲットをスパッタして成膜することを特徴とする成膜方
法でもある。
【0018】また、上記ターゲットは、Crの組成が1
5at%より小さいCr−Al合金ターゲットを用いる
ことが好適である。
【0019】また、CrとAlの合金ターゲットをスパ
ッタしてCrとAlとの合金窒化膜を成膜する成膜方法
において、スパッタガスとしてArとN2 を用いて、C
rとAlとの合金窒化膜の比抵抗値を制御する手段とし
て、 上記比抵抗値を大きくするために、スパッタ全圧を
大きく、またはN2 分圧を大きくする; 上記比抵抗値を小さくするために、スパッタ全圧を
小さく、またはN2 分圧を小さくする;ことを特徴とす
る成膜方法でもある。
【0020】また、上記N2 分圧を50%以下にするこ
とが好適である。また、複数の冷陰極型電子放出素子を
形成した基板と、発光材料を形成した基板とを、スペー
サを介して対向させた構造を有する画像表示装置におい
て、上記帯電防止膜を、少なくとも前記スペーサの表面
に有することを特徴とする画像表示装置を実現するもの
である。
【0021】[作用]帯電防止膜は、絶縁性材質の表面
を導電性膜で被覆することにより、絶縁性材質表面に蓄
積した電荷を除去するものであり、通常、帯電防止膜の
表面抵抗(シート抵抗Rs)が、1012Ω以下であるこ
とが必要である。さらに、十分な帯電防止効果を得るた
めにはより低い抵抗値であればよく1011Ω以下である
ことが好ましく、より低抵抗であれば除電効果が向上す
る。
【0022】帯電防止膜を上記ディスプレイのスペーサ
に適応した場合においては、スペーサの表面抵抗値Rs
は帯電防止および消費電力からその望ましい範囲に設定
される。シート抵抗の下限はスペーサにおける消費電力
により制限される。低抵抗であるほどスペーサに蓄積す
る電荷を速やかに除去することが可能となるが、スペー
サで消費される電力が大きくなる。スペーサに使用する
帯電防止膜としては比抵抗が小さい金属膜よりは半導電
性の材料であることが好ましい。その理由は抵抗が小さ
い材料を用いた場合、表面抵抗Rsを所望の値にするた
めには帯電防止膜の厚みを極めて薄くしなければならな
いからである。薄膜材料の表面エネルギーおよび基板と
の密着性や基板温度によっても異なるが、一般的には1
0nm以下の薄膜は島状となり、抵抗が不安定で成膜再
現性に乏しい。
【0023】従って、比抵抗値が金属導電体より大き
く、絶縁体よりは小さい範囲にある半導電性材料が好ま
しいのであるが、これらは抵抗温度係数が負の材料が多
い。抵抗温度係数が負であると、スペーサ表面で消費さ
れる電力による温度上昇で抵抗値が減少し、さらに発熱
し温度が上昇しつづけ、過大な電流が流れる。いわゆる
熱暴走を引き起こす。しかし、発熱量すなわち消費電力
と放熱がバランスした状況では熱暴走は発生しない。ま
た、帯電防止膜材料の抵抗温度係数TCRの絶対値が小
さいければ熱暴走しにくくなる。
【0024】TCRが−1%の帯電防止膜を用いた条件
でスペーサ1平方cm当たりの消費電力がおよそ0.1
Wを越えるようになるとスペーサに流れる電流が増加し
つづけ、熱暴走状態となることが実験で認められた。こ
れはもちろんスペーサ形状とスペーサ間に印加される電
圧Vaおよび帯電防止膜の抵抗温度係数により左右され
るが、以上の条件から、消費電力が1平方cmあたり
0.1Wを越えないRsの値は10×Va2 Ω以上であ
る。すなわち、スペーサ上に形成した帯電防止膜のシー
ト抵抗Rsは10×Va2 Ωから11乗Ωの範囲に設定
される必要がある。
【0025】上述したように絶縁性スペーサ上に形成さ
れた帯電防止膜の厚みtは10nm以上が望ましい。一
方膜厚tが1μm以上では膜応力が大きくなって膜はが
れの危険性が高まり、また成膜時間が長くなるため生産
性が悪い。従って、膜厚は10nm〜1μm、さらには
20〜500nmであることが望ましい。
【0026】比抵抗ρはシート抵抗Rsと膜厚tの積で
あり、以上に述べたRsとtの好ましい範囲から、帯電
防止膜の比抵抗ρは10-5×Va2 〜107 Ωcmであ
る必要がある。さらにシート抵抗と膜厚のより好ましい
範囲を実現するためには、ρは(2×10-5)Va2
5×106 Ωcmとするのが良い。
【0027】ディスプレイにおける電子の加速電圧Va
は100V以上であり、十分な輝度を得るためには1k
Vの電圧を要する。Va=1kVの条件においては、帯
電防止膜の比抵抗は10〜107 Ωcmが好ましい範囲
である。
【0028】以上に述べた帯電防止膜の特性を実現する
材料を鋭意検討した結果、アルミと遷移金属合金窒化膜
が帯電防止膜として極めて優れていることを見いだし
た。遷移金属はTi、V、Cr、Mn、Fe、Co、N
i、Cu、Zr、Nb、Mo、Hf、Ta、W等の中か
ら選ばれるものであり、これらを単独で使用しても良い
が、2種以上の遷移金属を合わせて用いることも可能で
ある。遷移金属窒化物は金属的な良導電体であり、窒化
アルミは絶縁体である。
【0029】アルミ遷移金属合金窒化膜はアルミと遷移
金属組成を調整することにより、良導電体からほぼ絶縁
体まで広い範囲に比抵抗値を制御できる。すなわち、ス
ペーサ用帯電防止膜として望ましい上述した比抵抗値を
組成を変えることにより実現することができる。さらに
は後述する表示装置作製の工程において抵抗値の変化が
少なく安定な材料であることがわかった。かつ、その抵
抗温度係数は負であるが絶対値は1%より小さく熱暴走
しにくい材料である。さらに、窒化物は二次電子放出率
が小さいことから、電子の照射により帯電しにくく、電
子線を利用したディスプレイに適した材料である。
【0030】帯電防止膜であるアルミと遷移金属合金窒
化膜は、スパッタ法、反応性スパッタ法、電子ビーム蒸
着法、イオンプレーティング法、イオンアシスト蒸着
法、CVD法等の薄膜形成手段により絶縁性部材上に形
成することができる。
【0031】たとえば、スパッタ法の場合は、アルミお
よび遷移金属のターゲットを窒素あるいはアンモニアを
含むガス中でスパッタすることにより、スパッタ金属原
子を窒化し、アルミ遷移金属合金窒化膜が得られる。こ
の際、ガス圧、窒素分圧、成膜速度等のスパッタ条件を
調整することにより、窒化膜中の窒素量が変化するが、
十分窒化させたほうが膜の安定性が良い。
【0032】本発明によれば、あらかじめ組成を調整し
たアルミと遷移金属との合金のターゲットを用いてスパ
ッタすることにより、上述したアルミ及び遷移金属のタ
ーゲットを用いるスパッタに比較して、成膜組成の調整
が、より正確に容易にできるようになる。また、短時間
で成膜することができる。
【0033】以上、ディスプレイ用スペーサ帯電防止膜
に関して説明したが、アルミ遷移金属合金窒化物は高融
点材料でかつ硬度が高い性質を有するので、ディスプレ
イのスペーサ用途のみならず他の用途に対しても有用性
が高い材料である。
【0034】
【発明の実施の形態】本発明の帯電防止膜を適用した表
示装置について具体的に述べる。
【0035】図1は、スペーサ10を中心とした表示装
置断面模式図である。1は電子源、2はリアプレート、
3は側壁(支持枠)、7はフェースプレートであり、
2、3、7により表示パネルの内部を真空に維持するた
めの気密容器(外囲器8)を形成している。
【0036】スペーサ10は絶縁性基材10aの表面に
本発明帯電防止膜10cが形成されている。スペーサ1
0は外囲器8内を真空にすることにより大気圧を受け
て、真空外囲器8が破損あるいは変形するのを避けるた
めに設けられる。スペーサ10の材質、形状、配置、配
置本数は外囲器8の形状ならびに熱膨張係数等、外囲器
の受ける大気圧、熱等を考慮して決定される。スペーサ
の形状には、平板型、十字型、L字型等がある。スペー
サ10の利用は、画像形成装置が大型化するにしたがっ
て効果が顕著になる。
【0037】図12は、このようなスペーサの一例を示
す図であり、(a)は、複数の電子源上にマトリクス状
に開口した板状のスペーサを示す斜視図であり、(b)
は、同様に、ライン状に開口したスペーサを示す斜視図
である。
【0038】絶縁性基材10aはフェースプレート7お
よびリアプレート2にかかる大気圧を支持する必要から
ガラス、セラミクス等機械的強度の高く耐熱性の高い材
料が適する。フェースプレート、リアプレートの材質と
してガラスを用いた場合、表示装置作製工程中の熱応力
を抑えるために、スペーサ絶縁性基材はできるだけこれ
らの材質と同じものか、同様の熱膨張係数の材料である
ことが望ましい。
【0039】絶縁性基板にソーダガラス等アルカリイオ
ンを含むガラスを使用した場合、例えばNaイオンによ
り帯電防止膜の導電性を変化させるおそれがある。窒化
Si、酸化Al等のNaブロック層10bを絶縁性基材
と帯電防止膜の中間に形成することでNa等アルカリイ
オンの帯電防止膜への侵入を抑制することができる。
【0040】帯電防止膜10cは、CrとAlの合金窒
化膜であり、遷移金属としてCrを用いた。ディスプレ
イ用として好ましい比抵抗が得られる(遷移金属/アル
ミ)比率はCrの場合で6at%〜15at%である。
ディスプレイ以外の用途に使用する場合には上記の範囲
に限ることなく広い合金比率の材料を用いることができ
る。遷移金属とアルミの合金窒化膜を帯電防止膜として
用いる提案は、すでに本出願人によってなされている。
【0041】スペーサ10はメタルバック6およびX方
向配線9と電気的に接続することにより、スペーサ10
の両端にはほぼ加速電圧Vaが印加される。本例ではス
ペーサは配線上と接続されているが別途形成した電極に
接続されてもよい。さらに、フェースプレート7とリア
プレート2の間に電子ビームの整形あるいは基板絶縁部
の帯電防止を目的とした中間電極板(グリッド電極等)
を設置した構成においては、スペーサが中間電極板等を
貫通してもよいし、中間電極板等を介して別々に接続し
てもよい。
【0042】Al、Au等良導電性である電極11をス
ペーサの両端に形成すると、帯電防止膜とフェースプレ
ート上の電極およびリアプレート上の電極との電気的接
続の向上に効果がある。
【0043】次に、上記説明したスペーサを用いた表示
装置について説明する。図2は、実施例に用いた表示パ
ネルの斜視図であり、内部構造を示すためにパネルの1
部を切り欠いて示している。
【0044】図2において、2はリアプレート、3は側
壁(支持枠)、7はフェースプレートであり、2、3、
7により表示パネルの内部を真空に維持するための気密
容器(外囲器8)を形成している。気密容器を組み立て
るにあたっては、各部材の接合部に十分な強度と気密性
を保持させるため封着する必要があるが、たとえばフリ
ットガラスを接合部に塗布し、大気中あるいは窒素雰囲
気中で、摂氏400〜500度で10分以上焼成するこ
とにより封着する。気密容器内部を真空に排気する方法
については後述する。
【0045】リアプレート2には、基板13が固定され
ているが、該基板上には冷陰極素子1がN×M個形成さ
れている(N,Mは2以上の正の整数であり、目的とす
る表示画素数に応じて適宜設定される。たとえば、高品
位テレビジョンの表示を目的とした表示装置において
は、N=3000、M=1000以上の数を設定するこ
とが望ましい。本実施例においては、N=3072、M
=1024とした。)。
【0046】前記N×M個の冷陰極素子は、M本のX方
向配線9とN本のY方向配線12により単純マトリクス
配線されている。前記1、9、12、13によって構成
される部分をマルチ電子ビーム源と呼ぶ。なお、マルチ
電子ビーム源の製造方法や構造については、後で詳しく
述べる。
【0047】本実施例においては、気密容器のリアプレ
ート2にマルチ電子ビーム源の基板13を固定する構成
としたが、マルチ電子ビーム源の基板13が十分な強度
を有するものである場合には、気密容器のリアプレート
としてマルチ電子ビーム源の基板13自体を用いてもよ
い。
【0048】また、フェースプレート7の下面には、蛍
光膜5が形成されている。本実施例はカラー表示装置で
あるため、蛍光膜5の部分にはCRTの分野で用いられ
る赤、緑、青の3原色の蛍光体が塗り分けられている。
各色の蛍光体は、たとえば図3の(a)に示すようにス
トライプ状に塗り分けられ、蛍光体のストライプの間に
は黒色の導電体5bが設けてある。黒色の導電体5bを
設ける目的は、電子ビームの照射位置に多少のずれがあ
っても表示色にずれが生じないようにする事や、外光の
反射を防止して表示コントラストの低下を防ぐ事、電子
ビームによる蛍光膜のチャージアップを防止する事など
である。黒色の導電体5bには、黒鉛を主成分として用
いたが、上記の目的に適するものであればこれ以外の材
料を用いても良い。
【0049】また、3原色の蛍光体の塗り分け方は前記
図3(a)に示したストライプ状の配列に限られるもの
ではなく、たとえば図3(b)に示すようなR,G,B
のデルタ状配列や、それ以外の配列であってもよい。
【0050】なお、モノクロームの表示パネルを作成す
る場合には、単色の蛍光体材料を蛍光膜5に用いればよ
く、また黒色導電材料は必ずしも用いなくともよい。
【0051】また、蛍光膜5のリアプレート側の面に
は、CRTの分野では公知のメタルバック6を設けてあ
る。メタルバック6を設けた目的は、蛍光膜5が発する
光の一部を鏡面反射して光利用率を向上させる事や、負
イオンの衝突から蛍光膜5を保護する事や、電子ビーム
加速電圧を印加するための電極として作用させる事や、
蛍光膜5を励起した電子の導電路として作用させる事な
どである。メタルバック6は、蛍光膜5をフェースプレ
ート基板4上に形成した後、蛍光膜表面を平滑化処理
し、その上にAlを真空蒸着する方法により形成した。
なお、蛍光膜5に低電圧用の蛍光体材料を用いた場合に
は、メタルバック6は用いない。
【0052】また、本実施例では用いなかったが、加速
電圧の印加用や蛍光膜の導電性向上を目的として、フェ
ースプレート基板4と蛍光膜5との間に、たとえばIT
Oを材料とする透明電極を設けてもよい。
【0053】また、Dx1〜DxmおよびDy1〜Dy
nおよびHvは、当該表示パネルと不図示の電気回路と
を電気的に接続するために設けた気密構造の電気接続用
端子である。Dx1〜Dxmはマルチ電子ビーム源のX
方向配線と、、Dy1〜Dynはマルチ電子ビーム源の
Y方向配線と、Hvはフェースプレートのメタルバック
6と電気的に接続している。
【0054】また、気密容器内部を真空に排気するに
は、気密容器を組み立てた後、不図示の排気管と真空ポ
ンプとを接続し、気密容器内を10のマイナス7乗[T
orr]程度の真空度まで排気する。その後、排気管を
封止するが、気密容器内の真空度を維持するために、封
止の直前あるいは封止後に気密容器内の所定の位置にゲ
ッター膜(不図示)を形成する。ゲッター膜とは、たと
えばBaを主成分とするゲッター材料をヒーターもしく
は高周波加熱により加熱し蒸着して形成した膜であり、
該ゲッター膜の吸着作用により気密容器内は1×10マ
イナス5乗ないしは1×10マイナス7乗[Torr]
の真空度に維持される。
【0055】以上、本発明実施例の表示パネルの基本構
成を説明した。
【0056】次に、前記実施例の表示パネルに用いたマ
ルチ電子ビーム源の製造方法について説明する。本発明
の画像表示装置に用いるマルチ電子ビーム源は、冷陰極
素子を単純マトリクス配線した電子源であれば、冷陰極
素子の材料や形状あるいは製法に制限はない。したがっ
て、たとえば表面伝導型放出素子やFE型、あるいはM
IM型などの冷陰極素子を用いることができる。
【0057】ただし、表示画面が大きくてしかも安価な
表示装置が求められる状況のもとでは、これらの冷陰極
素子の中でも、表面伝導型放出素子が特に好ましい。す
なわち、FE型ではエミッタコーンとゲート電極の相対
位置や形状が電子放出特性を大きく左右するため、極め
て高精度の製造技術を必要とするが、これは大面積化や
製造コストの低減を達成するには不利な要因となる。ま
た、MIM型では、絶縁層と上電極の膜厚を薄くしてし
かも均一にする必要があるが、これも大面積化や製造コ
ストの低減を達成するには不利な要因となる。その点、
表面伝導型放出素子は、比較的製造方法が単純なため、
大面積化や製造コストの低減が容易である。また、発明
者らは、表面伝導型放出素子の中でも、電子放出部もし
くはその周辺部を微粒子膜から形成したものがとりわけ
電子放出特性に優れ、しかも製造が容易に行えることを
見いだしている。したがって、高輝度で大画面の画像表
示装置のマルチ電子ビーム源に用いるには、最も好適で
あると言える。そこで、上記実施例の表示パネルにおい
ては、電子放出部もしくはその周辺部を微粒子膜から形
成した表面伝導型放出素子を用いた。そこで、まず好適
な表面伝導型放出素子について基本的な構成と製法およ
び特性を説明し、その後で多数の素子を単純マトリクス
配線したマルチ電子ビーム源の構造について述べる。
【0058】(表面伝導型放出素子の好適な素子構成と
製法)電子放出部もしくはその周辺部を微粒子膜から形
成する表面伝導型放出素子の代表的な構成には、平面型
と垂直型の2種類があげられる。
【0059】(平面型の表面伝導型放出素子)まず最初
に、平面型の表面伝導型放出素子の素子構成と製法につ
いて説明する。図4に示すのは、平面型の表面伝導型放
出素子の構成を説明するための平面図(a)および断面
図(b)である。図中、13は基板、14と15は素子
電極、16は導電性薄膜、17は通電フォーミング処理
により形成した電子放出部、18は通電活性化処理によ
り形成した薄膜である。
【0060】基板13としては、例えば、石英ガラスや
青板ガラスをはじめとする各種ガラス基板や、アルミナ
をはじめとする各種セラミクス基板、あるいは上述の各
種基板上にたとえばSiO2 を材料とする絶縁層を積層
した基板などを用いることができる。
【0061】また、基板13上に基板面と平行に対向し
て設けられた素子電極14と15は、導電性を有する材
料によって形成されている。たとえば、Ni、Cr、A
u、Mo、W、Pt、Ti、Cu、Pd、Ag等をはじ
めとする金属、あるいはこれらの金属の合金、あるいは
In2 3 −SnO2 をはじめとする金属酸化物、ポリ
シリコンなどの半導体などの中から適宜材料を選択して
用いればよい。電極を形成するには、たとえば真空蒸着
などの成膜技術とフォトリソグラフィー、エッチングな
どのパターニング技術を組み合わせて用いれば容易に形
成できるが、それ以外の方法(たとえば印刷技術)を用
いて形成してもさしつかえない。
【0062】素子電極14と15の形状は、当該電子放
出素子の応用目的に合わせて適宜設計される。一般的に
は、電極間隔Lは通常数十nmから数十μmの範囲から
適当な数値を選んで設計されるが、なかでも表示装置に
応用するために好ましいのは数μmより数十μmの範囲
である。また、素子電極の厚さdについては、通常は数
十nmから数μmの範囲から適当な数値が選ばれる。
【0063】また、導電性薄膜16の部分には、微粒子
膜を用いる。ここで述べた微粒子膜とは、構成要素とし
て多数の微粒子を含んだ膜(島状の集合体も含む)のこ
とをさす。微粒子膜を微視的に調べれば、通常は、個々
の微粒子が離間して配置された構造か、あるいは微粒子
が互いに隣接した構造か、あるいは微粒子が互いに重な
り合った構造が観測される。
【0064】微粒子膜に用いた微粒子の粒径は、10分
の数nmから数百nmの範囲に含まれるものであるが、
なかでも好ましいのは1nmから20nmの範囲のもの
である。また、微粒子膜の膜厚は、以下に述べるような
諸条件を考慮して適宜設定される。すなわち、素子電極
14あるいは15と電気的に良好に接続するのに必要な
条件、後述する通電フォーミングを良好に行うのに必要
な条件、微粒子膜自身の電気抵抗を後述する適宜の値に
するために必要な条件などである。具体的には、十分の
数nmから数百nmの範囲のなかで設定するが、なかで
も好ましいのは1nmから50nmの間である。
【0065】また、微粒子膜を形成するのに用いられう
る材料としては、たとえば、Pd、Pt、Ru、Ag、
Au、Ti、In、Cu、Cr、Fe、Zn、Sn、T
a、W、Pbなどをはじめとする金属や、PdO、Sn
2 、In2 3 、PbO、Sb2 3 などをはじめと
する酸化物や、HfB2 、ZrB2 、LaB6 、CeB
6 、YB4 、GdB4 などをはじめとする硼化物や、T
iC、ZrC、HfC、TaC、SiC、WCなどをは
じめとする炭化物や、TiN、ZrN、HfNなどをは
じめとする窒化物や、Si、Geなどをはじめとする半
導体や、カーボンなどが上げられ、これらの中から適宜
選択される。
【0066】以上述べたように、導電性薄膜16を微粒
子膜で形成したが、そのシート抵抗値については、10
の3乗から10の7乗[Ω/sq]の範囲に含まれるよ
う設定した。
【0067】なお、導電性薄膜16と素子電極14およ
び15とは、電気的に良好に接続されるのが望ましいた
め、互いの一部が重なりあうような構造をとっている。
その重なり方は、図4の例においては、下から、基板、
素子電極、導電性薄膜の順序で積層したが、場合によっ
ては下から基板、導電性薄膜、素子電極の順で積層して
もさしつかえない。
【0068】また、電子放出部17は、導電性薄膜16
の一部に形成された亀裂状の部分であり、電気的には周
囲の導電性薄膜よりも高抵抗な性質を有している。亀裂
は、導電性薄膜16に対して、後述する通電フォーミン
グの処理を行うことにより形成する。亀裂内には、十分
の数nmから数十nmの粒径の微粒子を配置する場合が
ある。なお、実際の電子放出部の位置や形状を精密かつ
正確に図示するのは困難なため、図4においては模式的
に示した。
【0069】また、薄膜18は、炭素もしくは炭素化合
物よりなる薄膜で、電子放出部17およびその近傍を被
覆している。薄膜18は、通電フォーミング処理後に、
後述する通電活性化の処理を行うことにより形成する。
【0070】薄膜18は、単結晶グラファイト、多結晶
グラファイト、非晶質カーボンのいずれかか、もしくは
その混合物であり、膜厚は50nm以下とするが、30
nm以下とするのがさらに好ましい。
【0071】なお、実際の薄膜18の位置や形状を精密
に図示するのは困難なため、図4においては模式的に示
した。また、平面図(a)においては、薄膜18の一部
を除去した素子を図示した。
【0072】以上、好ましい素子の基本構成を述べた
が、実施例においては以下のような素子を用いた。
【0073】すなわち、基板13には青板ガラスを用
い、素子電極14と15にはNi薄膜を用いた。素子電
極の厚さdは100nm、電極間隔Lは2μmとした。
【0074】微粒子膜の主要材料としてPdもしくはP
dOを用い、微粒子膜の厚さは約10nm、幅Wは10
nmとした。
【0075】次に、好適な平面型の表面伝導型放出素子
の製造方法について説明する。図5の(a)〜(d)
は、表面伝導型放出素子の製造工程を説明するための断
面図で、各部材の表記は前記図4と同一である。
【0076】1)まず、図5(a)に示すように、基板
13上に素子電極14および15を形成する。形成する
にあたっては、あらかじめ基板13を洗剤、純水、有機
溶剤を用いて十分に洗浄後、素子電極の材料を堆積させ
る。(堆積する方法としては、たとえば、蒸着法やスパ
ッタ法などの真空成膜技術を用いればよい。)その後、
堆積した電極材料を、フォトリソグラフィー・エッチン
グ技術を用いてパターニングし、(a)に示した一対の
素子電極(14と15)を形成する。
【0077】2)次に、同図(b)に示すように、導電
性薄膜16を形成する。
【0078】形成するにあたっては、まず前記(a)の
基板に有機金属溶液を塗布して乾燥し、加熱焼成処理し
て微粒子膜を成膜した後、フォトリソグラフィー・エッ
チングにより所定の形状にパターニングする。ここで、
有機金属溶液とは、導電性薄膜に用いる微粒子の材料を
主要元素とする有機金属化合物の溶液である(具体的に
は、本実施例では主要元素としてPdを用いた。また、
実施例では塗布方法として、ディッピング法を用いた
が、それ以外のたとえばスピンナー法やスプレー法を用
いてもよい。)。また、微粒子膜で作られる導電性薄膜
の成膜方法としては、本実施例で用いた有機金属溶液の
塗布による方法以外の、たとえば真空蒸着法やスパッタ
法、あるいは化学的気相堆積法などを用いる場合もあ
る。
【0079】3)次に、同図(c)に示すように、フォ
ーミング用電源19から素子電極14と15の間に適宜
の電圧を印加し、通電フォーミング処理を行って、電子
放出部17を形成する。
【0080】通電フォーミング処理とは、微粒子膜で作
られた導電性薄膜16に通電を行って、その一部を適宜
に破壊、変形、もしくは変質せしめ、電子放出を行うの
に好適な構造に変化させる処理のことである。微粒子膜
で作られた導電性薄膜のうち電子放出を行うのに好適な
構造に変化した部分(すなわち電子放出部17)におい
ては、薄膜に適当な亀裂が形成されている。なお、電子
放出部17が形成される前と比較すると、形成された後
は素子電極14と15の間で計測される電気抵抗は大幅
に増加する。
【0081】通電方法をより詳しく説明するために、図
6に、フォーミング用電源19から印加する適宜の電圧
波形の一例を示す。微粒子膜で作られた導電性薄膜をフ
ォーミングする場合には、パルス状の電圧が好ましく、
本実施例の場合には同図に示したようにパルス幅T1の
三角波パルスをパルス間隔T2で連続的に印加した。そ
の際には、三角波パルスの波高値Vpfを、順次昇圧し
た。また、電子放出部17の形成状況をモニターするた
めのモニターパルスPmを適宜の間隔で三角波パルスの
間に挿入し、その際に流れる電流を電流計20で計測し
た。
【0082】実施例においては、たとえば10のマイナ
ス5乗torr程度の真空雰囲気下において、たとえば
パルス幅T1を1ミリ秒、パルス間隔T2を10ミリ秒
とし、波高値Vpfを1パルスごとに0.1Vずつ昇圧
した。そして、三角波を5パルス印加するたびに1回の
割りで、モニターパルスPmを挿入した。フォーミング
処理に悪影響を及ぼすことがないように、モニターパル
スの電圧Vpmは0.1Vに設定した。そして、素子電
極14と15の間の電気抵抗が1×10の6乗オームに
なった段階、すなわちモニターパルス印加時に電流計2
0で計測される電流が1×10のマイナス7乗A以下に
なった段階で、フォーミング処理にかかわる通電を終了
した。
【0083】なお、上記の方法は、本実施例の表面伝導
型放出素子に関する好ましい方法であり、たとえば微粒
子膜の材料や膜厚、あるいは素子電極間隔Lなど表面伝
導型放出素子の設計を変更した場合には、それに応じて
通電の条件を適宜変更するのが望ましい。
【0084】4)次に、図5の(d)に示すように、活
性化用電源21から素子電極14と15の間に適宜の電
圧を印加し、通電活性化処理を行って、電子放出特性の
改善を行う。
【0085】通電活性化処理とは、前記通電フォーミン
グ処理により形成された電子放出部17に適宜の条件で
通電を行って、その近傍に炭素もしくは炭素化合物を堆
積せしめる処理のことである(図においては、炭素もし
くは炭素化合物よりなる堆積物を部材18として模式的
に示した。)。なお、通電活性化処理を行うことによ
り、行う前と比較して、同じ印加電圧における放出電流
を典型的には100倍以上に増加させることができる。
【0086】具体的には、10のマイナス4乗ないし1
0のマイナス5乗Torrの範囲内の真空雰囲気中で、
電圧パルスを定期的に印加することにより、真空雰囲気
中に存在する有機化合物を起源とする炭素もしくは炭素
化合物を堆積させる。堆積物18は、単結晶グラファイ
ト、多結晶グラファイト、非晶質カーボン、のいずれか
か、もしくはその混合物であり、膜厚は50nm以下、
より好ましくは30nm以下である。
【0087】通電方法をより詳しく説明するために、図
7の(a)に、活性化用電源21から印加する適宜の電
圧波形の一例を示す。本実施例においては、一定電圧の
矩形波を定期的に印加して通電活性化処理を行ったが、
具体的には、矩形波の電圧Vacは14V、パルス幅T
3は1ミリ秒、パルス間隔T4は10ミリ秒とした。な
お、上述の通電条件は、本実施例の表面伝導型放出素子
に関する好ましい条件であり、表面伝導型放出素子の設
計を変更した場合には、それに応じて条件を適宜変更す
るのが望ましい。
【0088】図5の(d)に示す22は該表面伝導型放
出素子から放出される放出電流Ieを捕捉するためのア
ノード電極で、直流高電圧電源23および電流計24が
接続されている(なお、基板13を、表示パネルの中に
組み込んでから活性化処理を行う場合には、表示パネル
の蛍光面をアノード電極22として用いる。)。
【0089】活性化用電源21から電圧を印加する間、
電流計24で放出電流Ieを計測して通電活性化処理の
進行状況をモニターし、活性化用電源21の動作を制御
する。電流計24で計測された放出電流Ieの一例を図
7(b)に示すが、活性化電源21からパルス電圧を印
加しはじめると、時間の経過とともに放出電流Ieは増
加するが、やがて飽和してほとんど増加しなくなる。こ
のように、放出電流Ieがほぼ飽和した時点で活性化用
電源21からの電圧印加を停止し、通電活性化処理を終
了する。
【0090】なお、上述の通電条件は、本実施例の表面
伝導型放出素子に関する好ましい条件であり、表面伝導
型放出素子の設計を変更した場合には、それに応じて条
件を適宜変更するのが望ましい。
【0091】以上のようにして、図5(e)に示す平面
型の表面伝導型放出素子を製造した。
【0092】図8は、電子放出部もしくはその周辺を微
粒子膜から形成した表面伝導型放出素子のもうひとつの
代表的な構成、すなわち垂直型の表面伝導型放出素子で
ある。図8は、垂直型の基本構成を説明するための模式
的な断面図であり、図中の25は基板、26と27は素
子電極、28は段差形成部材、29は微粒子膜を用いた
導電性薄膜、30は通電フォーミング処理により形成し
た電子放出部、31は通電活性化処理により形成した薄
膜である。
【0093】垂直型が先に説明した平面型と異なる点
は、素子電極のうちの片方(26)が段差形成部材28
上に設けられており、導電性薄膜29が段差形成部材2
8の側面を被覆している点にある。したがって、前記図
4の平面型における素子電極間隔Lは、垂直型において
は段差形成部材28の段差高Lsとして設定される。な
お、基板25、素子電極26および27、微粒子膜を用
いた導電性薄膜29、については、前記平面型の説明中
に列挙した材料を同様に用いることが可能である。ま
た、段差形成部材28には、たとえばSiO2 のような
電気的に絶縁性の材料を用いる。
【0094】(表示装置に用いた表面伝導型放出素子の
特性)以上、平面型と垂直型の表面伝導型放出素子につ
いて素子構成と製法を説明したが、次に表示装置に用い
た素子の特性いについて述べる。
【0095】図9に、表示装置に用いた素子の、(放出
電流Ie)対(素子印加電圧Vf)特性、および(素子
電流If)対(素子印加電圧Vf)特性の典型的な例を
示す。なお、放出電流Ieは素子電流Ifに比べて著し
く小さく、同一尺度で図示するのが困難であるうえ、こ
れらの特性は素子の大きさや形状等の設計パラメータを
変更することにより変化するものであるため、2本のグ
ラフは各々任意単位で図示した。
【0096】表示装置に用いた素子は、放出電流Ieに
関して以下に述べる3つの特性を有している。
【0097】第一に、ある電圧(これを閾値電圧Vth
と呼ぶ)以上の大きさの電圧を素子に印加すると急激に
放出電流Ieが増加するが、一方、閾値電圧Vth未満
の電圧では放出電流Ieはほとんど検出されない。
【0098】すなわち、放出電流Ieに関して、明確な
閾値電圧Vthを持った非線形素子である。
【0099】第二に、放出電流Ieは素子に印加する電
圧Vfに依存して変化するため、電圧Vfで放出電流I
eの大きさを制御できる。
【0100】第三に、素子に印加する電圧Vfに対して
素子から放出される電流Ieの応答速度が速いため、電
圧Vfを印加する時間の長さによって素子から放出され
る電子の電荷量を制御できる。
【0101】以上のような特性を有するため、表面伝導
型放出素子を表示装置に好適に用いることができた。た
とえば多数の素子を表示画面の画素に対応して設けた表
示装置において、第一の特性を利用すれば、表示画面を
順次走査して表示を行うことが可能である。すなわち、
駆動中の素子には所望の発光輝度に応じて閾値電圧Vt
h以上の電圧を適宜印加し、非選択状態の素子には閾値
電圧Vth未満の電圧を印加する。駆動する素子を順次
切り替えてゆくことにより、表示画面を順次走査して表
示を行うことが可能である。
【0102】また、第二の特性かまたは第三の特性を利
用することにより、発光輝度を制御することができるた
め、諧調表示を行うことが可能である。
【0103】(多数素子を単純マトリクス配線したマル
チ電子ビーム源の構造)次に、上述の表面伝導型放出素
子を基板上に配列して単純マトリクス配線したマルチ電
子ビーム源の構造について述べる。
【0104】図10に示すのは、前記図4の表示パネル
に用いたマルチ電子ビーム源の平面図である。基板上に
は、前記図4で示したものと同様な表面伝導型放出素子
が配列され、これらの素子はX方向配線電極12とY方
向配線電極9により単純マトリクス状に配線されてい
る。X方向配線電極12とY方向配線電極9の交差する
部分には、電極間に絶縁層(不図示)が形成されてお
り、電気的な絶縁が保たれている。
【0105】図10のA−A′に沿った断面を、図11
に示す。
【0106】なお、このような構成のマルチ電子源は、
あらかじめ基板上にX方向配線電極12、Y方向配線電
極9、電極間絶縁層(不図示)、および表面伝導型放出
素子の素子電極と導電性薄膜を形成した後、X方向配線
電極12およびY方向配線電極9を介して各素子に給電
通電フォーミング処理と通電活性化処理を行うことによ
り製造した。
【0107】
【実施例】
(実施例1)本実施例では、まず、未フォーミングの複
数の表面伝導型電子源1(図1)をリアプレート2に形
成した。リアプレート2として清浄化した青板ガラスを
用い、これに図4に示した表面伝導型電子放出素子を1
60個、720個マトリクト状に形成した。素子電極1
4,15はPtスパッタ膜であり、X方向配線9、Y方
向配線12はスクリーン印刷法により形成したAg配線
である。導電性薄膜16はPdアミン錯体溶液を焼成し
たPdO微粒子膜である。
【0108】画像形成部材であるところの蛍光膜5は図
3bに示すように、各色蛍光体R,G,BがY方向にの
びるストライプ形状を採用し、黒色導電材5bとしては
各色蛍光体間だけでなく、Y方向の画素間を分離しかつ
スペーサ10を設置するための部分を加えた形状を用い
た。先に黒色導電材5bを形成し、その間隙部に各色蛍
光体7aを塗布し蛍光膜5を作成した。ブラックストラ
イプの材料として通常よく用いられている黒鉛を主成分
とする材料を用いた。ガラス基板4に蛍光体5aを塗布
する方法はスラリー法を用いた。
【0109】また、蛍光膜5の内面側に設けられるメタ
ルバック6は、蛍光膜5の作成後、蛍光膜5の内面側表
面の平滑化処理(通常フィルミングと呼ばれる)を行
い、その後、Alを真空蒸着する事で作成した。フェー
スプレート7には、更に蛍光膜5の導電性を高めるた
め、蛍光膜5の外面側に透明電極が設けられる場合もあ
るが、本実施例ではメタルバックのみで十分な導電性が
得られたので省略した。スペーサ10は、清浄化したソ
ーダライムガラスからなる絶縁性基材10a(高さ3.
8mm、板厚200μm、長さ40mm)上に、Naブ
ロック層として窒化シリコン膜を0.5μm成膜し、そ
の上にCrとAl合金窒化膜5cを真空成膜法により形
成し成膜した。
【0110】本実施例で用いたCrとAl合金窒化膜
は、スパッタリング装置を用いてアルゴンと窒素混合雰
囲気中でCr(6at%):Al(94at%)の合金
ターゲットをスパッタする事により成膜した。
【0111】スパッタチャンバーの背圧は7×10のマ
イナス5乗Paであった。スパッタ時には、N2 分圧が
20%になるように、ArとN2 の混合ガスを流した。
スパタガス全圧は0.4Paであった。
【0112】5インチの大きさのターゲットを備え、基
板ホルダーとの距離は120mmであった。
【0113】ソーダライムガラスからなる絶縁性基材1
0aは、耐熱テープもしくは固定治具を用いて基板ホル
ダーに固定された。350℃までの基板加熱は膜質を良
くするために行ってもよい。
【0114】今回は基板加熱は行わなかった。ターゲッ
トに500Wの高周波電力を投入し、50分間で膜厚が
200nmのCrとAlの合金窒素膜を設けた。
【0115】このCrとAlの合金窒素膜の比抵抗値
は、7.00×10の6乗Ωcm、抵抗温度係数はマイ
ナス0.3%であった。
【0116】膜の表面組成分析は、以下の装置を使用し
て各構成元素の組成や表面窒化率などの較正を行った。
10のマイナス8乗Pa以上の高真空を保った同一真空
室内に、スパッタ成膜機構およびRHEED(反射高速
電子回折パターン計測機構)とXPS(X線光電子分光
分析機構)を備えた装置を使用してまずスパッタリング
によりCrとAl合金窒化膜10cを形成後RHEED
法によりCrとAl合金窒化膜が形成されたことを確
認。その後XPS測定を行った。この時のA12Pスペ
クトルおよびN1Sスペクトルのピーク面積比を用い
て、AlとCr合金窒化膜の表面組成を較正した。
【0117】Cr元素とAl元素の割合「Cr」/「A
l」は0.05で、ほぼターゲットの組成比と同じであ
った。
【0118】またCrは表面ではほとんど酸化物である
が、Alは窒化物と酸化物が混在しており、窒化物とし
て存在する割合(「窒化アルミニウム」/「窒化アルミ
ニウム+酸化アルミニウム」)が0.82であった。
【0119】次に、この実施例1のスペーサ10は、X
方向配線あるいはメタルバックとの接続を確実にするた
めにその接続部にAlによる電極11を設けた。
【0120】この電極11はX方向配線からフェースプ
レートに向かって200μm、メタルバックからリアプ
レートに向かって200μmの範囲で外囲器8内に露出
するスペーサ10の4面を完全に被覆した。
【0121】ここでAlによる電極11両端に500V
の電圧を印加、電流値を測定してスペーサ10の抵抗値
を測定したところ1.6×10の9乗Ωであった。
【0122】このCrとAl合金窒化膜10cを成膜し
た実施例1のスペーサ10を、等間隔でX方向配線9上
に固定した。
【0123】その後、電子源1の3.8mm上方にフェ
ースプレート7を支持枠3を介して配置し、リアプレー
ト2、フェースプレート7、支持枠3及びスペーサ10
の接合部を固定した。
【0124】電子源1とリアプレート2の接合部、リア
プレート2と支持枠3の接合部及びフェースプレート7
と支持枠3の接合部はフリットガラスを塗布し、空気中
で430℃で10分以上焼成する事で封着した。
【0125】この封着処理後、CrとAl合金窒化10
cの比抵抗値は7.2×10の6乗Ωcmとほとんど変
化しなかった。
【0126】また本実施例の実験後、このスペーサ10
を一部取り外して、CrとAl合金窒化膜10cの表面
組成分析を行った。
【0127】Cr元素とAl元素の割合「Cr」/「A
l」は0.05で、ほぼターゲットの組成比と同じであ
った。
【0128】またCrは表面ではほとんど酸化物である
が、Alは窒化物と酸化物が混在しており、窒化率
(「窒化アルミニウム」/「窒化アルミニウム+酸化ア
ルミニウム」)は、0.49に低下していた。
【0129】この表面分析値は、スパッタリング形成後
(アズデポ:as deposition(成膜後))
のCrとAl合金窒化膜を、封着温度430℃10分間
以上焼成処理を行った後同様に表面分析を行った値(ア
ニール値)と同じであった。
【0130】スペーサ10は、フェースプレート7側で
は黒色導電材5b(線幅300μm)上に、Auを被覆
シリカ球を含有した導電性フリットガラスを用いること
により、帯電防止膜とフェースプレートとの導通を確保
した。
【0131】以上のようにして完成した外囲器8内の雰
囲気を排気管を通じて真空ポンプにて排気し、十分な真
空度に達した後、容器外端子Dx1〜DxmとDy1〜
Dynを通じ電子放出素子1の素子電極14,15間に
電圧を印加し、電子放出部形成用薄膜16を通電処理
(フォーミング処理)する事により電子放出部18を形
成した。フォーミング処理は、図6に示した波形の電圧
を印加する事により行った。
【0132】次に排気管を通してアセトンを1mTor
rとなるように真空容器に導入し、容器外端子Dx1〜
DxmとDy1〜Dynに電圧パルスを定期的に印加す
る事により、炭素、あるいは炭素化合物を堆積する通電
活性化処理を行った。通電活性化は図7に示すような波
形を印加する事により行った。
【0133】次に、容器全体を200℃に加熱しつつ1
0時間真空排気した後、10-6Torr程度の真空度
で、排気管をガスバーナーで熱することで溶着し外囲器
8の封止を行った。
【0134】最後に、封止後の真空度を維持するため
に、ゲッター処理を行った。
【0135】以上のように完成した画像形成装置におい
て、各電子放出素子1には、容器外端子Dx1〜Dx
m、Dy1〜Dynを通じ走査信号及び変調信号を不図
示の信号発生手段よりそれぞれ印加する事により電子を
放出させ、メタルバック6には、高圧端子Hvを通じて
高圧を印加する事により放出電子ビームを加速し、蛍光
膜5に電子を衝突させ、蛍光体を励起・発光させること
で画像を表示した。なお、高圧端子Hvへの印加電圧V
aは1kV〜5kV、素子電極14,15間への印加電
圧Vfは14Vとした。
【0136】スペーサ10について帯電防止膜10cの
抵抗値および性能を表−1に示す。なお、表−1〜3に
おいて、mE+nの表記は、m×10n を示すものとす
る。また、「アズデポ」は、as depositio
n(成膜後)を意味し、また、各実施例の結果を示す欄
において、「良好」とは画像の乱れが少なく良好である
状態を示し、「なし」とは画像の乱れが無く、画像乱れ
を極度に起こす帯電状態でないことを示している。
【0137】組み込み前、フェースプレートへの封着
後、リアプレートへの封着後、真空排気後、素子電極通
電処理後等各工程で計測したところ全行程を通じてほと
んど抵抗値の変動が見られなかった。
【0138】このことはCrとAl合金窒化膜が非常に
安定であり、帯電防止膜として適していることを示して
いる。
【0139】(実施例2〜9)実施例2〜9は、Cr
(6at%):Al(94at%)合金ターゲットを用
いたものである。
【0140】実施例1と全く同様にCr(6at%):
Al(94at%)合金ターゲットを用いて、導電膜1
0Cとして、CrとAlの合金窒化膜を形成した。ただ
し表−1に示すように、成膜の際に、スパッタ全圧を
0.4から1.0Paまで、N 2 分圧を10%から50
%まで変化させた。
【0141】導電膜10Cを形成後は実施例1と同様に
画像形成装置に組み込みカラー画像を表示、スペーサ近
傍の画像の乱れを調べた。
【0142】表−1に、各実施例のスペーサ10につい
て測定した結果をまとめて示す。
【0143】(実施例1〜5)実施例1〜5は、全圧
0.4Paに固定、N2 分圧を変化させたものである。
2 分圧を大きくすると、Cr−AlN膜の比抵抗値は
増大する。アニール処理によって表面の酸化が起こって
も、比抵抗値はほとんど変化せずこのCr−AlN膜は
耐熱性に優れていることが分かる。ただしAlNの表面
窒化率(「窒化アルミニウム」/「窒化アルミニウム+
酸化アルミニウム」)は、アニール処理によって低下す
る。特にN2 分圧が30%以上になると低下が大きいこ
とが分かる(表面の酸化)。
【0144】(実施例6〜9)実施例6〜9は、全圧
0.6Pa、1.0Paと増加させたものである。全圧
を増加させると、同じN2 分圧でもCr−AlN膜の比
抵抗値は増大する。ただし全圧、N2 分圧を増加させる
ほどAlNの表面窒化率は低下することが分かる。
【0145】実施例7,9のスペーサ10を組み込んだ
画像形成装置では、帯電によるスペーサ近傍の画像乱れ
(影)が見られた。
【0146】これはAlNの表面窒化率が低下しCr−
AlN膜の除電能力が低下したため、および比抵抗値が
大きくなりすぎたためである。
【0147】(実施例10〜15)実施例10〜15
(表−2)は、ターゲットをCr(3at%):Al
(97at%)合金に変えたものである。
【0148】実施例1〜9と同様に全圧、分圧を増加さ
せるほどCr−AlN膜の比抵抗値は増大する。Cr
(6at%)のターゲットに比べて同じ成膜条件でも、
AlNの表面窒化率が高い膜が得られた。ただし比抵抗
値が10の8乗Ωcmぐらいまで大きくなると除電能力
が不足し帯電によるスペーサ近傍の画像乱れ(影)が見
られた。
【0149】(実施例16〜19)実施例16〜19
は、ターゲットをCr(9at%):Al(91at
%)合金に変えたものである。
【0150】実施例1〜9と同様に全圧、分圧を増加さ
せるほどCr−AlN膜の比抵抗値は増大する。ただし
実施例1〜9と同様に全圧、分圧を増加させるほどAl
N膜の表面窒化率は低下する。実施例19は比抵抗値
は、10の6乗で適正であったが、AlN膜の表面窒化
率が0.33と低くなり、除電能力不足し帯電によるス
ペーサ近傍の画像乱れ(影)が見られた。
【0151】(実施例20〜22)実施例20〜22
は、合金ターゲットのCr量を15%から50%まで変
えたものを用いたものである。
【0152】Cr−Al膜の比抵抗値が10の4乗Ωc
mより小さくなると、Vaを1kVまで印加することが
できなかった。さらに長い時間カラー画像表示を行うと
スペーサ10からの発熱によってさらにCr−AlN膜
の比抵抗値が小さくなる、熱暴走が起こった。
【0153】またCr量が9%までは、形成された膜の
Cr/Al比率はターゲットの組成にほぼ等しいが、1
5%以上では形成された膜のCr量がターゲット組成よ
り大きくなる。
【0154】これは長時間成膜を続けると形成される膜
のCr量が変化する(しだいにCr量が減少する)可能
性を示唆するもので、合金ターゲットのCr量は15%
よりも少なくするべきである。
【0155】(実施例23〜26)実施例1において
は、Cr−Al合金ターゲットをスパッタしてCr−A
lN膜を形成したが、実施例23〜26では、Alター
ゲットとCr合金ターゲットを共にスパッタしてCr−
AlN膜を形成した。
【0156】図14は、このときのスパッタ装置の構成
例を示す模式図であり、Alターゲット43と、Cr合
金ターゲット44とを備えている。
【0157】表−3に成膜条件および、各実施例のスペ
ーサ10について測定した結果をまとめて示す。
【0158】実施例23〜26は、Cr量15%と9%
のCr−Al合金ターゲットを用いた例である。それぞ
れのターゲットに投入する高周波電力を調整することで
Cr−AlN膜のCr含有量を調整した。実施例1〜2
2と同様に、全圧、N2 分圧を調整することで同じCr
含有量のCr−AlN膜の比抵抗値を増減することが可
能である。
【0159】(比較例1〜6)比較例1〜6では、Al
ターゲットとCrターゲットを共にスパッタしてCr−
AlN膜を形成した。表−3に成膜条件および、各実施
例のスペーサ10について測定した結果をまとめて示
す。
【0160】比較例1〜3はスパッタチャンバーの背圧
がこれまでの実施例と同じ7.0×10のマイナス5乗
Paであった。
【0161】比較例4〜6は、スパッタチャンバーの背
圧が1.3×10のマイナス3乗Paで成膜を行った
(この背圧は予備排気室を持たずに、成膜ごとにスパッ
タチャンバーを大気開放するバッチ型の成膜装置での通
常の背圧に相当するものである。)。
【0162】適正な比抵抗値10の5から8乗Ωcmを
得るには、Cr/Al(原子)比が0.03〜0.12
程度である。Cr元素は、Al元素に比べてAr+N2
スパッタガスでのスパッタ速度が大きいので、膜中の少
量のCr含有量を精度良く制御するには、ターゲットに
投入する高周波電力を小さな値で、しかも精度良く制御
する必要がある(通常設定精度は電源容量の1%程度で
ある。)。
【0163】これに比べて実施例23〜26では、Cr
−Al合金ターゲットのターゲットのCr量を調整する
ことで、Alターゲットとほぼ同等の投入高周波電力に
できる。そこでCr含有量を正確に調整し、短い時間で
膜成形するには、この比較例1〜6に比べて実施例23
〜26のほうが優れていることが分かる。
【0164】比較例1〜3はスペーサ近傍の画像の乱れ
もなく、これまでの実施例と同等の良好な除電能力を示
した。
【0165】比較例4〜6は、比較例1〜3と比べて膜
形成中にチャンバー中の残留ガスによって、Cr元素の
酸化が起こるためか、比抵抗値がやや大きくなった。
【0166】さらにアニールによって膜表面の窒化度が
大きく低下し、除電能力が不足し、帯電によるスペーサ
近傍の画像乱れ(影)が見られた。
【0167】このように膜形成時の背圧が低下するとア
ニールによって表面の窒化度が大きく低下しやすい膜と
なることが分かった。
【0168】(実施例27〜29)実施例1〜26は、
膜形成時の背圧が7.0×10のマイナス5乗Paであ
ったが、実施例27では、比較例4〜6と同じ背圧1.
3×10のマイナス3乗Paで成膜を行った。
【0169】AlとCrターゲットからの共スパッタ成
膜の比較例1〜6では、背圧が高くなるとアニール後の
表面窒化度の低下が著しかったが、実施例27〜29で
は、表面窒化度の低下が少なく、良好な除電能力を示し
た。
【0170】この様に、Cr−Alの合金ターゲットを
用いると、スパッタチャンバーの背圧が高い装置条件で
も良好な除電能力の膜を得られることが分かった。
【0171】実施例の画像表示は、高圧端子Hvへの印
加電圧Vaを1kv〜5kv、素子電極への印加電圧は
14Vの条件で行なった。印加電圧Vaが大きい程、表
示される画像は明るく、スペーサ近傍の画像乱れは見え
にくくなったが、画像の評価は変わらなかった。素子電
極への印加電圧を13V〜15Vまで変化させると、1
3Vではやや画像が暗くなり、15Vでは、表示画像は
明るくなったが、スペーサ近傍の画像乱れは、やや大き
くなる傾向があった。しかし、画像乱れについての各実
施例の比較では、傾向として変わらなかった。以上、説
明した実施例では、遷移金属としてCrを例に挙げて実
施しているが、同様に、他の遷移金属として前述したも
のを用いても、本発明の効果が得られることは明白であ
る。
【0172】
【表1】
【0173】
【表2】
【0174】
【表3】
【0175】
【発明の効果】以上説明したように、素子基板とフェー
スプレート間に配置された絶縁性部材表面に、アルミと
遷移金属との合金窒化膜として、例えば、クロム−アル
ミ合金ターゲットから形成された金属クロムとアルミ合
金窒化膜を帯電防止膜として用いることにより、組立て
工程中に抵抗値の変化がほとんど起こらず安定した値が
得られた。
【0176】これにより、スペーサ近傍でのビームの電
位の乱れは抑止され、ビームが蛍光体に衝突する位置
と、本来発光するべき蛍光体との位置ずれの発生が防止
され、輝度損失を防ぐことができ鮮明な画像表示が可能
となった。
【0177】また、ターゲットに、アルミと遷移金属と
の合金として、例えば、Cr−Al合金を用いることに
より、予め、Cr−Al合金ターゲットのCr量を調整
することで、成膜中のCr含有量を正確に調整すること
ができるとともに、短い時間で成膜することができるよ
うになった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の帯電防止膜の概略断面図である。
【図2】本発明の実施例である画像表示装置の、表示パ
ネルの一部を切り欠いて示した斜視図である。
【図3】表示パネルのフェースプレートの蛍光体配列を
例示した平面図である。
【図4】平面型表面伝導型電子放出素子の構成を示す模
式的平面図及び断面図である。
【図5】平面型表面伝導型電子放出素子の形成工程図で
ある。
【図6】電子ビーム源のフォーミング形成印加パルス波
形図である。
【図7】通電活性化工程印加パルス波形図である。
【図8】垂直型表面伝導型電子放出素子の断面図であ
る。
【図9】表面伝導型電子放出素子の素子電圧と素子電
流、放出電流の関係図である。
【図10】単純マトリクス配置したマルチ電子源の構成
を示す平面図である。
【図11】単純マトリクス配置したマルチ電子源の構成
を示す断面図である。
【図12】他のスペーサ形状の例を示す斜視図である。
【図13】従来例の平面型画像表示装置を示す模式的断
面図である。
【図14】本発明の他の実施例に用いられるスパッタ装
置の構成を示す模式図である。
【符号の説明】
1 電子源 2 リアプレート 3 側壁(支持枠) 4 ガラス基板 5 蛍光膜 6 メタルバック 7 フェースプレート 8 外囲器 9 X方向配線 10 スペーサ 11 電極 12 Y方向配線 13 基板 14,15 素子電極 16 導電性薄膜 17 電子放出部 18 通電活性化処理により形成した薄膜 19 フォーミング用電源 20 電流計 21 活性化用電源 22 表面伝導型放出素子から放出される放出電流I
eを捕捉するためのアノード電極 23 直流電圧電源 24 電流計 25 基板 26,27 素子電極 28 段差形成部材 29 微粒子膜を用いた導電性薄膜 30 通電フォーミング処理により形成した電子放出
部 31 通電活性化処理により形成した薄膜
フロントページの続き (72)発明者 高木 博嗣 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 CrとAlの合金ターゲットをスパッタ
    して得られるCrとAlとの合金窒化膜からなることを
    特徴とする帯電防止膜。
  2. 【請求項2】 上記ターゲットは、Crの組成が15a
    t%より小さいCr−Al合金ターゲットであることを
    特徴とする請求項1記載の帯電防止膜。
  3. 【請求項3】 複数の冷陰極型電子放出素子を形成した
    基板と、発光材料を形成した基板とを、スペーサを介し
    て対向させた構造を有する表示装置に用いられる前記ス
    ペーサの表面に形成される帯電防止膜であって、該帯電
    防止膜は、CrとAlの合金ターゲットをスパッタして
    成膜されたCrとAlとの合金窒化膜からなることを特
    徴とする帯電防止膜。
  4. 【請求項4】 上記CrとAlとの合金窒化膜は、その
    膜厚が10nmから1μmであり、比抵抗値が、電子の
    加速電圧をVaとした時、10-5×Va2 から107 Ω
    cm、抵抗温度係数が負であり、該抵抗温度係数の値が
    1%以下であることを特徴とする請求項3記載の帯電防
    止膜。
  5. 【請求項5】 上記CrとAlとの合金窒化膜は、該膜
    中のAlの表面窒化率が30%以上であることを特徴と
    する請求項3記載の帯電防止膜。
  6. 【請求項6】 CrとAlとの合金窒化膜からなる帯電
    防止膜を成膜する成膜方法において、 前記帯電防止膜は、CrとAlの合金ターゲットをスパ
    ッタして成膜することを特徴とする成膜方法。
  7. 【請求項7】 上記ターゲットは、Crの組成が15a
    t%より小さいCr−Al合金ターゲットを用いること
    を特徴とする請求項6記載の成膜方法。
  8. 【請求項8】 CrとAlの合金ターゲットをスパッタ
    してCrとAlとの合金窒化膜を成膜する成膜方法にお
    いて、 スパッタガスとしてArとN2 を用いて、CrとAlと
    の合金窒化膜の比抵抗値を制御する手段として、 上記比抵抗値を大きくするために、スパッタ全圧を
    大きく、またはN2 分圧を大きくする; 上記比抵抗値を小さくするために、スパッタ全圧を
    小さく、またはN2 分圧を小さくする;ことを特徴とす
    る成膜方法。
  9. 【請求項9】 上記N2 分圧を50%以下にすることを
    特徴とする請求項8記載の成膜方法。
  10. 【請求項10】 複数の冷陰極型電子放出素子を形成し
    た基板と、発光材料を形成した基板とを、スペーサを介
    して対向させた構造を有する画像表示装置において、 請求項1〜5のいずれか1項記載の帯電防止膜を、少な
    くとも前記スペーサの表面に有することを特徴とする画
    像表示装置。
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EP1557863A3 (en) * 2004-01-22 2007-09-12 Canon Kabushiki Kaisha Antistatic film, spacer using it and picture display unit
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