JPH10286647A - 硬度差を有する成形工具 - Google Patents
硬度差を有する成形工具Info
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- JPH10286647A JPH10286647A JP9687097A JP9687097A JPH10286647A JP H10286647 A JPH10286647 A JP H10286647A JP 9687097 A JP9687097 A JP 9687097A JP 9687097 A JP9687097 A JP 9687097A JP H10286647 A JPH10286647 A JP H10286647A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 冷間鍛造プレスや高圧力成形等に用いられる
ダイ、ライナ、シリンダ等の成形工具の割れに対する感
受性を低減して、長寿命を有する成形工具を提供する。 【解決手段】 被加工材と接触する面の硬さが反対面部
分よりも、1HRC以上低いことを特徴とし、硬度差が
3HRC以上であることが望ましく、硬さレベルは被加
工材と接触する面が50〜60HRC、それ以外の反対
面を55〜65HRCとする。成分的には、通常の高速
度工具鋼、冷間工具鋼およびこれ等の改良鋼をも適用す
る。
ダイ、ライナ、シリンダ等の成形工具の割れに対する感
受性を低減して、長寿命を有する成形工具を提供する。 【解決手段】 被加工材と接触する面の硬さが反対面部
分よりも、1HRC以上低いことを特徴とし、硬度差が
3HRC以上であることが望ましく、硬さレベルは被加
工材と接触する面が50〜60HRC、それ以外の反対
面を55〜65HRCとする。成分的には、通常の高速
度工具鋼、冷間工具鋼およびこれ等の改良鋼をも適用す
る。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、冷間鍛造プレス、
高圧力成形等に使用され、成形時には内径面に高圧が働
くダイ、ライナ、シリンダ等、各種の成形工具に関する
ものである。
高圧力成形等に使用され、成形時には内径面に高圧が働
くダイ、ライナ、シリンダ等、各種の成形工具に関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】従来上記用途である冷間鍛造プレスや高
圧力成形等に用いられているダイ、ライナ、シリンダ他
の工具は、SKD11に代表される、中〜高C―5〜1
3%Cr系のダイス鋼やSKH51に代表される高速度
工具鋼あるいはこれ等のダイス鋼や高速度工具鋼の改良
鋼を、焼入れ焼戻しの熱処理により全体を55〜65H
RCのほぼ均一の硬さに調整したものや、さらにこれら
の熱処理品に窒化、浸硫、浸炭などの表面処理を施し
て、極く表層部を硬化したいわゆる外硬内柔タイプの工
具が頻繁に使用されている。
圧力成形等に用いられているダイ、ライナ、シリンダ他
の工具は、SKD11に代表される、中〜高C―5〜1
3%Cr系のダイス鋼やSKH51に代表される高速度
工具鋼あるいはこれ等のダイス鋼や高速度工具鋼の改良
鋼を、焼入れ焼戻しの熱処理により全体を55〜65H
RCのほぼ均一の硬さに調整したものや、さらにこれら
の熱処理品に窒化、浸硫、浸炭などの表面処理を施し
て、極く表層部を硬化したいわゆる外硬内柔タイプの工
具が頻繁に使用されている。
【0003】上述の冷間鍛造プレスや高圧力成形等の工
具は、工具と被加工材との摺動による摩耗、繰返し応力
による疲労破壊、あるいは加工圧力による変形、変寸等
に対応するため、55〜65HRCの高い硬さに熱処理
したり、さらに表面処理を施して外硬内柔の構造にして
使用されているのである。一方、硬さ(強さ)と靭性は
一般に反比例する関係にあり、硬さを高くすることは逆
に靭性を下げることが知られており、工具や機械部品等
の寿命は硬さと靭性の組合せによって左右されるので、
その目的によって材質を選定するとともに最適な硬さと
靭性が付与されている。
具は、工具と被加工材との摺動による摩耗、繰返し応力
による疲労破壊、あるいは加工圧力による変形、変寸等
に対応するため、55〜65HRCの高い硬さに熱処理
したり、さらに表面処理を施して外硬内柔の構造にして
使用されているのである。一方、硬さ(強さ)と靭性は
一般に反比例する関係にあり、硬さを高くすることは逆
に靭性を下げることが知られており、工具や機械部品等
の寿命は硬さと靭性の組合せによって左右されるので、
その目的によって材質を選定するとともに最適な硬さと
靭性が付与されている。
【0004】近年、ダイカスト金型においても高硬度化
して寿命向上を計ろうとする動きがあるが、高硬度化す
ることは靭性を下げることになるので、割れに対する感
受性が高くなる。ダイカスト金型は水冷孔を起点にした
割れが拡大して、大割れに進展することがあるので、水
冷孔の近傍のみをさらに高温で焼戻しを施したり、金型
全体に硬さの差を設け、硬さの低い部位に水冷孔を加工
したりして割れの感受性を低減しようとする試みがなさ
れている。このような思想に基づいて特開平4−367
360号公報、特開平6−315753号公報等には、
型彫り部よりもそれ以外の主として水冷孔の近傍の硬さ
を低くしたダイカスト金型が開示されている。
して寿命向上を計ろうとする動きがあるが、高硬度化す
ることは靭性を下げることになるので、割れに対する感
受性が高くなる。ダイカスト金型は水冷孔を起点にした
割れが拡大して、大割れに進展することがあるので、水
冷孔の近傍のみをさらに高温で焼戻しを施したり、金型
全体に硬さの差を設け、硬さの低い部位に水冷孔を加工
したりして割れの感受性を低減しようとする試みがなさ
れている。このような思想に基づいて特開平4−367
360号公報、特開平6−315753号公報等には、
型彫り部よりもそれ以外の主として水冷孔の近傍の硬さ
を低くしたダイカスト金型が開示されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】前述したような型彫り
部と水冷孔近傍との間の硬さに差を設け、水冷孔近傍を
高靭性化したダイカスト金型も型彫り部は高い硬さを維
持しているので、使用条件によっては靭性不足によって
微細割れが進展して破損する危険性がある。さらに前述
したような冷間鍛造プレスや高圧力成形等に使用される
工具は、工具全体を55〜65HRCの硬さに熱処理が
なされているが、この硬さは工具と被加工材との摺動に
より発生する摩耗、繰り返し応力による疲労破壊、ある
いは内部圧力により内径拡大に基づく圧力低下に対処す
るため、高硬度に設定されている場合が多い。そのため
割れに対しての感受性が非常に高いため、場合によって
は早期に割れ破壊を生ずるという問題があった。
部と水冷孔近傍との間の硬さに差を設け、水冷孔近傍を
高靭性化したダイカスト金型も型彫り部は高い硬さを維
持しているので、使用条件によっては靭性不足によって
微細割れが進展して破損する危険性がある。さらに前述
したような冷間鍛造プレスや高圧力成形等に使用される
工具は、工具全体を55〜65HRCの硬さに熱処理が
なされているが、この硬さは工具と被加工材との摺動に
より発生する摩耗、繰り返し応力による疲労破壊、ある
いは内部圧力により内径拡大に基づく圧力低下に対処す
るため、高硬度に設定されている場合が多い。そのため
割れに対しての感受性が非常に高いため、場合によって
は早期に割れ破壊を生ずるという問題があった。
【0006】本発明は上述の問題点を解消し、冷間鍛造
プレスや高圧力成形等に用いられるダイ、ライナ、シリ
ンダ等の成形工具の割れに対する感受性を低減して、長
寿命を有する工具を提供することを目的とする。
プレスや高圧力成形等に用いられるダイ、ライナ、シリ
ンダ等の成形工具の割れに対する感受性を低減して、長
寿命を有する工具を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、冷間鍛造プレ
スや高圧力成形に使用される各種の工具において、前述
の問題点を解消するため、その硬さの設定条件等につい
て検討した結果、従来全く見られなかった発想に基づい
て本発明に到達したのである。より具体的に本発明は、
被加工材と接触する側の硬さが反対側部分よりも、1H
RC以上低いことを特徴とする硬度差を有する成形工具
であり、硬度差が3HRC以上であることが望ましいと
するものである。
スや高圧力成形に使用される各種の工具において、前述
の問題点を解消するため、その硬さの設定条件等につい
て検討した結果、従来全く見られなかった発想に基づい
て本発明に到達したのである。より具体的に本発明は、
被加工材と接触する側の硬さが反対側部分よりも、1H
RC以上低いことを特徴とする硬度差を有する成形工具
であり、硬度差が3HRC以上であることが望ましいと
するものである。
【0008】さらに本発明における硬さの範囲は、被加
工材と接触する側の硬さが50〜60HRC、反対側の
硬さが55〜65HRCであり、成分的にはC:0.4
5〜2.5%、Si≦1.5%、Mn≦1.5%、C
r:3〜15%、さらにNi、W、Mo、V、Coを単
独もしくは複合で30%以下含有し、残部Feおよび不
可避的不純物からなることを特徴とするものである。そ
して、組織的に本発明は一次炭化物の量が、面積率で2
〜15%であることを特徴とするものであり、用途的に
は密閉型成形に使用される成形工具であることを特徴と
するものである。
工材と接触する側の硬さが50〜60HRC、反対側の
硬さが55〜65HRCであり、成分的にはC:0.4
5〜2.5%、Si≦1.5%、Mn≦1.5%、C
r:3〜15%、さらにNi、W、Mo、V、Coを単
独もしくは複合で30%以下含有し、残部Feおよび不
可避的不純物からなることを特徴とするものである。そ
して、組織的に本発明は一次炭化物の量が、面積率で2
〜15%であることを特徴とするものであり、用途的に
は密閉型成形に使用される成形工具であることを特徴と
するものである。
【0009】本発明の最も特徴とする点は、従来考えも
しなかった工具の被加工材と接触する側を、それ以外の
側よりも硬さを低くしたことである。前述したように本
発明が対象とする工具は、従来から表面処理を施して被
加工材と接触する面をより高硬度化することで、主とし
て耐摩耗性を付与して長寿命化するというのが一般的な
考え方であった。ところが、高硬度化することは逆に靭
性の面では不利になるので強度(硬さ)と靭性を併せ持
つ必要がある過酷な条件下で使用される成形工具におい
ては、早期に微細クラックが進展して、破壊してしまう
ことがある。
しなかった工具の被加工材と接触する側を、それ以外の
側よりも硬さを低くしたことである。前述したように本
発明が対象とする工具は、従来から表面処理を施して被
加工材と接触する面をより高硬度化することで、主とし
て耐摩耗性を付与して長寿命化するというのが一般的な
考え方であった。ところが、高硬度化することは逆に靭
性の面では不利になるので強度(硬さ)と靭性を併せ持
つ必要がある過酷な条件下で使用される成形工具におい
ては、早期に微細クラックが進展して、破壊してしまう
ことがある。
【0010】そこで本発明では、従来成形工具に代表さ
れる各種の工具においては、考え及びもしないばかり
か、耐摩耗性の面からむしろ邪道であるとさえも言われ
ていた、被加工材と接触する側を積極的に低めとするこ
とで、この部位の靭性を高め長寿命化しようとするもの
であり、従来とは全く逆の発想に基づいて完成された発
明である。前述したようなダイカスト金型においても、
被加工材と接触する部位の方を高い硬さを維持させてい
るのである。
れる各種の工具においては、考え及びもしないばかり
か、耐摩耗性の面からむしろ邪道であるとさえも言われ
ていた、被加工材と接触する側を積極的に低めとするこ
とで、この部位の靭性を高め長寿命化しようとするもの
であり、従来とは全く逆の発想に基づいて完成された発
明である。前述したようなダイカスト金型においても、
被加工材と接触する部位の方を高い硬さを維持させてい
るのである。
【0011】
【発明の実施の形態】一般に繰り返し応力をうける金属
製部材の破壊機構は、引張応力も剪断応力の積み重ねで
あると言われており、せん断応力によりすべり帯が発生
し、繰り返し応力と共にすべり帯が発達し、亀裂を発生
し、これが進展して破壊に至るとされている。実際の成
形工具の疲労破壊寿命を考える場合には、亀裂の発生と
進展が工具の強度や靭性とどのように関わっているか見
極める必要がある。すなわち、応力が比較的高く剛性の
高い工具、すなわち靭性の低い工具では、いったん疲労
亀裂が発生すると短時間で破壊に至るので、亀裂の発生
が寿命の限界となるが、一般的な金型では、微細亀裂が
発生しても直ちに破壊せず亀裂の進展速度を考慮するこ
とが寿命を向上させることになる。
製部材の破壊機構は、引張応力も剪断応力の積み重ねで
あると言われており、せん断応力によりすべり帯が発生
し、繰り返し応力と共にすべり帯が発達し、亀裂を発生
し、これが進展して破壊に至るとされている。実際の成
形工具の疲労破壊寿命を考える場合には、亀裂の発生と
進展が工具の強度や靭性とどのように関わっているか見
極める必要がある。すなわち、応力が比較的高く剛性の
高い工具、すなわち靭性の低い工具では、いったん疲労
亀裂が発生すると短時間で破壊に至るので、亀裂の発生
が寿命の限界となるが、一般的な金型では、微細亀裂が
発生しても直ちに破壊せず亀裂の進展速度を考慮するこ
とが寿命を向上させることになる。
【0012】本発明では、主に後者の場合に関わるもの
であるが、周知のように工具材料において疲労亀裂の進
展は硬さへの依存度が高く、硬さが低い(靭性が高い)
方が亀裂の進展は遅い。しかし、応力がとくに高い密閉
型の金型で硬さを低くすると高応力により座屈を生じ割
れを早めるなど早期に損傷を来す場合もある。そこで、
本発明では、成形工具の全体的硬さは、通常の高い硬さ
を保持し被加工材と接触し摺動する側(通常は内径面)
の硬さのみをやや低めることにより破壊損傷を防止し、
寿命を大幅に向上しようとするものである。
であるが、周知のように工具材料において疲労亀裂の進
展は硬さへの依存度が高く、硬さが低い(靭性が高い)
方が亀裂の進展は遅い。しかし、応力がとくに高い密閉
型の金型で硬さを低くすると高応力により座屈を生じ割
れを早めるなど早期に損傷を来す場合もある。そこで、
本発明では、成形工具の全体的硬さは、通常の高い硬さ
を保持し被加工材と接触し摺動する側(通常は内径面)
の硬さのみをやや低めることにより破壊損傷を防止し、
寿命を大幅に向上しようとするものである。
【0013】硬さの差としては、1HRC以下では上記
の効果を十分に発揮し得ないので、それ以上の硬さの差
が必要であり、望ましくは3以上が必要であるが、具体
的硬さレベルとしては、被加工材と接触する側(通常は
内径面)においては低すぎると耐摩耗性が減少し早期摩
耗や焼付きを生じるし、硬すぎるとたとえ反対側部分の
外径側との硬度差があっても上記の効果を発揮しないの
で、50〜60HRCとした。また、外径側の被加工材
と接触しない部位の硬さは前述のように耐圧縮性、変形
防止効果を保持するため、55〜65HRCとした。
の効果を十分に発揮し得ないので、それ以上の硬さの差
が必要であり、望ましくは3以上が必要であるが、具体
的硬さレベルとしては、被加工材と接触する側(通常は
内径面)においては低すぎると耐摩耗性が減少し早期摩
耗や焼付きを生じるし、硬すぎるとたとえ反対側部分の
外径側との硬度差があっても上記の効果を発揮しないの
で、50〜60HRCとした。また、外径側の被加工材
と接触しない部位の硬さは前述のように耐圧縮性、変形
防止効果を保持するため、55〜65HRCとした。
【0014】適用する成形工具の材質は、前述したよう
に、硬さを下げても耐摩耗性を保持するため、および亀
裂の進展を阻止する障害物として存在させる必要性か
ら、熱処理後も残存する1次炭化物を分散しておくこと
が重要である。そのための化学成分は、工具鋼に一般的
なCr系炭化物が主体の1次炭化物を形成させるため、
以下のように定めた。Cは基地に固溶して硬さを高める
ためと、Cr、Mo、W、Vなどと結合して硬い炭化物
を形成し耐摩耗性を保持したり、疲労亀裂の進展を阻止
する障害物の役目をするために不可欠の元素であり、そ
の目的のためには0.45%以上が必要であるが、あま
り多すぎるとその効果が飽和すると共に、靭性を低下さ
せるので2.5%を上限とする。
に、硬さを下げても耐摩耗性を保持するため、および亀
裂の進展を阻止する障害物として存在させる必要性か
ら、熱処理後も残存する1次炭化物を分散しておくこと
が重要である。そのための化学成分は、工具鋼に一般的
なCr系炭化物が主体の1次炭化物を形成させるため、
以下のように定めた。Cは基地に固溶して硬さを高める
ためと、Cr、Mo、W、Vなどと結合して硬い炭化物
を形成し耐摩耗性を保持したり、疲労亀裂の進展を阻止
する障害物の役目をするために不可欠の元素であり、そ
の目的のためには0.45%以上が必要であるが、あま
り多すぎるとその効果が飽和すると共に、靭性を低下さ
せるので2.5%を上限とする。
【0015】Siは通常、製鋼上の脱酸剤として添加さ
れて、2次硬化硬さを高める作用を有する元素である
が、多量に添加してもその効果はあまり期待されず、逆
に脆性を増長するので1.5%を上限とする。Mnも同
様に、脱酸剤として用いるほか、焼入れ性を高める効果
を有するが、多量に添加すると焼入れ時に残留オーステ
ナイトが増加して焼入れ硬さが低下したり、熱間加工性
を害するので1.5%を上限とする。Crは、焼入れ性
を高めたり、Cと結合して炭化物を形成し前述の効果を
示す元素である。その含有量はCとのバランスで決めら
れるが一般に3%よりも少ないとその効果が期待され
ず、多すぎる場合は焼入れ硬さが低下したり、炭化物量
が多くなり過ぎて靭性が劣化するので15%を上限とす
る。
れて、2次硬化硬さを高める作用を有する元素である
が、多量に添加してもその効果はあまり期待されず、逆
に脆性を増長するので1.5%を上限とする。Mnも同
様に、脱酸剤として用いるほか、焼入れ性を高める効果
を有するが、多量に添加すると焼入れ時に残留オーステ
ナイトが増加して焼入れ硬さが低下したり、熱間加工性
を害するので1.5%を上限とする。Crは、焼入れ性
を高めたり、Cと結合して炭化物を形成し前述の効果を
示す元素である。その含有量はCとのバランスで決めら
れるが一般に3%よりも少ないとその効果が期待され
ず、多すぎる場合は焼入れ硬さが低下したり、炭化物量
が多くなり過ぎて靭性が劣化するので15%を上限とす
る。
【0016】Mo、W、Vは、それぞれCrと同様に強
い炭化物形成元素であり、Crと同様の効果を示した
り、また特に2次炭化物の析出による硬化作用が大きい
元素である。また、Niは、主に焼入れ性と基地の靭性
の向上の作用を有し、Coは、2次硬化作用を有する元
素である。これらの元素は、それぞれ必要により単独ま
たは複合で添加されるが、多すぎると上述の効果が得ら
れなくなるという反作用も発生するので高々30%以内
の添加に止めるのが適当である。このような化学成分と
することで残存する1次炭化物量は2%以上15%以下
が得られるが、上記目的のためには、少なくとも2%以
上が必要であるが、多すぎると逆に亀裂発生の起点とな
り易いので15%以下に限定した。
い炭化物形成元素であり、Crと同様の効果を示した
り、また特に2次炭化物の析出による硬化作用が大きい
元素である。また、Niは、主に焼入れ性と基地の靭性
の向上の作用を有し、Coは、2次硬化作用を有する元
素である。これらの元素は、それぞれ必要により単独ま
たは複合で添加されるが、多すぎると上述の効果が得ら
れなくなるという反作用も発生するので高々30%以内
の添加に止めるのが適当である。このような化学成分と
することで残存する1次炭化物量は2%以上15%以下
が得られるが、上記目的のためには、少なくとも2%以
上が必要であるが、多すぎると逆に亀裂発生の起点とな
り易いので15%以下に限定した。
【0017】
【実施例】以下に実施例に基づいて本発明を詳細に説明
する。まず、表1に示す化学成分を有する鋼材を準備し
た。表1において、記号A〜記号Fは本発明の「硬度差
を有する成形工具」が適用され得る化学成分の範囲内に
該当し、記号G〜記号Iは、この範囲からはみ出した化
学成分を有している。
する。まず、表1に示す化学成分を有する鋼材を準備し
た。表1において、記号A〜記号Fは本発明の「硬度差
を有する成形工具」が適用され得る化学成分の範囲内に
該当し、記号G〜記号Iは、この範囲からはみ出した化
学成分を有している。
【0018】
【表1】
【0019】この鋼材から外径90mφ、内径15mm
φ、高さ60mmの概ねドーナツ形状の成形工具(ダ
イ)に加工した後、各々の材質に最適な焼入れ焼戻し処
理により所定の硬さに調整し、さらに試料11と試料8
を除いて、内径面のみを高周波加熱により、最初の焼入
れ後の焼戻し温度よりも高温で再焼戻しを行い、硬さを
低めとした。ここで、試料11(比較例)は、被加工材
と接触する内径面の方の硬さを高くするため、全体焼戻
し温度よりも高温に設定したソルトバス中に外周部を浸
漬し、ドーナツ形状の中心軸を軸芯として回転させなが
ら外周部のみをさらに高温で焼戻しを施した。
φ、高さ60mmの概ねドーナツ形状の成形工具(ダ
イ)に加工した後、各々の材質に最適な焼入れ焼戻し処
理により所定の硬さに調整し、さらに試料11と試料8
を除いて、内径面のみを高周波加熱により、最初の焼入
れ後の焼戻し温度よりも高温で再焼戻しを行い、硬さを
低めとした。ここで、試料11(比較例)は、被加工材
と接触する内径面の方の硬さを高くするため、全体焼戻
し温度よりも高温に設定したソルトバス中に外周部を浸
漬し、ドーナツ形状の中心軸を軸芯として回転させなが
ら外周部のみをさらに高温で焼戻しを施した。
【0020】そして、図2に示すように内径側は内面か
ら3mm深さの位置で、外径部は外周から20mm入っ
た位置の端面で硬さを測定した。硬さ測定の結果を表2
に示す。併せて表2には表1に示す鋼材の一次炭化物量
を面積率で測定した結果も示す。硬さ測定の結果をダイ
の断面で表すと図1に示すような状況になる。図1に示
すハッチン部が本発明に係る硬さを低めとした部位であ
る。
ら3mm深さの位置で、外径部は外周から20mm入っ
た位置の端面で硬さを測定した。硬さ測定の結果を表2
に示す。併せて表2には表1に示す鋼材の一次炭化物量
を面積率で測定した結果も示す。硬さ測定の結果をダイ
の断面で表すと図1に示すような状況になる。図1に示
すハッチン部が本発明に係る硬さを低めとした部位であ
る。
【0021】一方、SKH51を用いて外径15mmφ
×長さ120mmLのパンチを作成し、HRC63狙い
で熱処理を施した。硬さを測定したところ、HRC6
3.6であった。上述したダイとパンチを図3に示すよ
うに組合せ、JIS H4000に示すアルミニウム合
金(合金No.1100)の14mmφ×20mmLの
被加工材を内圧3000MPaの静的荷重により15m
mφに成形し、ダイが破損するまでの寿命数を計測し
た。その結果、同一鋼種内で比較すると、外径面に対し
て内径面の硬さが低いものほど寿命数が大きいことがわ
かる。
×長さ120mmLのパンチを作成し、HRC63狙い
で熱処理を施した。硬さを測定したところ、HRC6
3.6であった。上述したダイとパンチを図3に示すよ
うに組合せ、JIS H4000に示すアルミニウム合
金(合金No.1100)の14mmφ×20mmLの
被加工材を内圧3000MPaの静的荷重により15m
mφに成形し、ダイが破損するまでの寿命数を計測し
た。その結果、同一鋼種内で比較すると、外径面に対し
て内径面の硬さが低いものほど寿命数が大きいことがわ
かる。
【0022】
【表2】
【0023】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の硬度差を
有する成形工具は、従来全く考えもしなかったような、
被加工材と接触する主として内径面の硬さをその他の部
位よりも低めとして靭性の向上を図ることで、割れに対
する感受性を低減し、使用条件に対して靭性不足による
工具の割れ破損を大幅に低減することができるので、成
形工具に対する信頼性を向上することができる。また、
本発明は内径面の硬さを低めとする手段として、高周波
加熱により再焼戻しを施すことができるので、簡便で安
価に目的とする成形工具(ダイ)が得られ、しかも鋼種
的には良く知られた高速度工具鋼、冷間工具鋼、あるい
はこれ等の改良鋼等でも適用できるので、このような時
には、特別な化学成分の鋼材を使用する必要はなく、こ
の点でも本発明の工業上の効果は非常に大きい。
有する成形工具は、従来全く考えもしなかったような、
被加工材と接触する主として内径面の硬さをその他の部
位よりも低めとして靭性の向上を図ることで、割れに対
する感受性を低減し、使用条件に対して靭性不足による
工具の割れ破損を大幅に低減することができるので、成
形工具に対する信頼性を向上することができる。また、
本発明は内径面の硬さを低めとする手段として、高周波
加熱により再焼戻しを施すことができるので、簡便で安
価に目的とする成形工具(ダイ)が得られ、しかも鋼種
的には良く知られた高速度工具鋼、冷間工具鋼、あるい
はこれ等の改良鋼等でも適用できるので、このような時
には、特別な化学成分の鋼材を使用する必要はなく、こ
の点でも本発明の工業上の効果は非常に大きい。
【図1】本発明の硬度差を有する成形工具に係るダイの
内径側の硬さを低める状況を示す断面図である。
内径側の硬さを低める状況を示す断面図である。
【図2】本発明の硬度差を有する成形工具に係るダイの
硬さ測定の状況を示す概念図である。
硬さ測定の状況を示す概念図である。
【図3】本発明の硬度差を有する成形工具を用いて高圧
で成形する状況を示す概念図である。
で成形する状況を示す概念図である。
1 ダイ、2 パンチ、3 被成形材
Claims (6)
- 【請求項1】 被加工材と接触する側の硬さが反対側部
分よりも、1HRC以上低いことを特徴とする硬度差を
有する成形工具。 - 【請求項2】 硬度差が3HRC以上であることを特徴
とする請求項1に記載の硬度差を有する成形工具。 - 【請求項3】 被加工材と接触する側の硬さが50〜6
0HRC、反対側部分の硬さが55〜65HRCである
ことを特徴とする請求項1ないし2に記載の硬度差を有
する成形工具。 - 【請求項4】 成形工具の化学成分が、C:0.45〜
2.5%、Si≦1.5%、Mn≦1.5%、Cr:3
〜15%、さらにNi、W、Mo、V、Coを単独もし
くは複合で30%以下含有し、残部Feおよび不可避的
不純物からなることを特徴とする請求項1ないし3に記
載の硬度差を有する成形工具。 - 【請求項5】 一次炭化物の量が、面積率で2〜15%
であることを特徴とする請求項1ないし4に記載の硬度
差を有する成形工具。 - 【請求項6】 密閉型成形に使用される成形工具である
ことを特徴とする請求項1ないし請求項5に記載の硬度
差を有する成形工具。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP9687097A JPH10286647A (ja) | 1997-04-15 | 1997-04-15 | 硬度差を有する成形工具 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP9687097A JPH10286647A (ja) | 1997-04-15 | 1997-04-15 | 硬度差を有する成形工具 |
Publications (1)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPH10286647A true JPH10286647A (ja) | 1998-10-27 |
Family
ID=14176478
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP9687097A Pending JPH10286647A (ja) | 1997-04-15 | 1997-04-15 | 硬度差を有する成形工具 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JPH10286647A (ja) |
Cited By (3)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JP2012024779A (ja) * | 2010-07-20 | 2012-02-09 | Hitachi Metals Ltd | 金敷の製造方法及び金敷 |
| CN103160750A (zh) * | 2013-03-16 | 2013-06-19 | 安徽厚林精密金属科技有限公司 | 一种棒线材用均质导辊及其加工工艺 |
| WO2018097165A1 (ja) * | 2016-11-22 | 2018-05-31 | 小山鋼材株式会社 | ダイカスト金型の製造方法およびダイカスト金型 |
-
1997
- 1997-04-15 JP JP9687097A patent/JPH10286647A/ja active Pending
Cited By (4)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JP2012024779A (ja) * | 2010-07-20 | 2012-02-09 | Hitachi Metals Ltd | 金敷の製造方法及び金敷 |
| CN103160750A (zh) * | 2013-03-16 | 2013-06-19 | 安徽厚林精密金属科技有限公司 | 一种棒线材用均质导辊及其加工工艺 |
| WO2018097165A1 (ja) * | 2016-11-22 | 2018-05-31 | 小山鋼材株式会社 | ダイカスト金型の製造方法およびダイカスト金型 |
| CN110072650A (zh) * | 2016-11-22 | 2019-07-30 | 小山钢材株式会社 | 压铸模具的制造方法及压铸模具 |
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